(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー部の2つの側方端縁には、カバー部の上下面及び端面を覆う保護部材が、長さ方向にわたって設けられていることを特徴とする請求項1記載のディスプレイケース。
前記カバー部の固定端縁及び前記台座部の固定側端部のいずれか一方又は双方には、前記カバー部の上下方向の固定位置を調節可能な固定調節部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のディスプレイケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、大型の模型等を展示するためのディスプレイケースにおいて、透視用のカバーを一体形成した場合にはカバーだけでもかさばり、ケース自体の梱包、搬送が困難になる。また、湾曲形状のカバーを用いることは、展示品の視認容易性だけでなくデザイン的な観点からも好ましいが、湾曲形状を形成するのにはコストがかかるという問題点がある。
そこで、本願発明は、デザイン性に優れ取り扱い容易なディスプレイケースを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項に記載の発明は以下のような構成を有する。
なお、図面番号及び括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた番号及び符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、設置面に設置される方形の台座部(10)と、前記台座部(10)の対向する両側端部である立設側端部(横枠14,15)から上方に立設された2枚の側板(20)と、前記台座部(10)の前記側板(20)が設けられていない両側端部である固定側端部(前枠12,後枠13)のうちの一方の固定側端部(13)から前記側板(20)の上端面(21)を経て他方の固定側端部(12)に至る透明なカバー部(30)とを備えた中空箱形のディスプレイケース(1)である。前記側板(20)は、側面視略アーチ形に形成され、前記カバー部(30)は、可撓性を有する方形の薄板部材であって、前記台座部(10)の固定側端部(12,13)に固定される2つの固定端縁(31A,31B)と、前記台座部(10)への固定時に前記側板(20)よりも外側となる2つの側方端縁(31C,31D)とを備えている。
【0006】
そして、前記カバー部(30)の一方の固定端縁(31B)を前記台座部(10)の一方の固定側部(13)に固定し、前記カバー部(30)の板面を前記側板(20)の上端面(21)に沿って湾曲させ、前記カバー部(30)に前後方向のテンションをかけた状態で、前記カバー部(30)の他方の固定端縁(31A)を前記台座部(10)の他方の固定側端部(12)に固定することにより、前記側板(20)の上端面(21)と前記カバー部(30)の下面とを隙間なく密着させることができるように形成されていることを特徴とする。
本発明は、可撓性を有する素材、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)で形成された平板状のカバー部(30)をアーチ形の側板(20)の上面に沿わせて湾曲させ、前後方向(側板(20)の板面と平行な方向)にテンションをかけた状態で台座部(10)に固定することにより、全体として板付き蒲鉾形のディスプレイケース(1)を形成している。このため、カバー部(30)と側板(20)の固定手段を設ける必要がなく、カバー部(30)に側板(20)のアーチ形に合わせた湾曲加工を施す必要もない。
【0007】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、前記カバー部(30)の2つの側方端縁(31C,31D)には、カバー部(30)の上下面及び端面を覆う保護部材(32)が、長さ方向にわたって設けられていることを特徴とする。
保護部材(32)は、弾力性を有する部材とするのが好ましく、保護部材(32)の下側が側板(20)の上端面(21)とカバー部(30)の下面との間に位置するようにすると、側板(20)とカバー部(30)の密着性が確保され、より防塵性、防湿性を高めることができる。本発明によれば、カバー部(30)の側方端縁(31C,31D)を保護可能であるとともに、安全性を確保することができる。
【0008】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、前記側板(20)は、側面視略アーチ形に形成された板部材であり、その下縁部(22)を前記台座部(10)の各立設側端部(14,15)に固定可能に形成され、前記各側板(20)の下縁部(22)及び前記台座部(10)の各立設側端部(14,15)のいずれか一方又は双方には、前記側板(20)の上下方向の固定位置を調節可能な固定調節部が設けられていることを特徴とする。
本発明は、側板(20)を台座部(10)から着脱自在にするとともに、側板(20)の上下方向の固定位置を調節可能としたものである。「固定調節部」としては、例えば、台座部(10)と側板(20)を固定する固定部材(ビス、ボルトなど)の上下方向の固定位置を変更可能な長孔とすることができる。
【0009】
本発明によれば、側板(20)の上下の位置を調整することにより、カバー部(30)のテンションを調整することができる。また、側板(20)を着脱自在としたことにより、梱包、搬送の際にもかさばらず、経済的である。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、上記した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、前記カバー部(30)の固定端縁(31A,31B)及び前記台座部(10)の固定側端部(12,13)のいずれか一方又は双方には、前記カバー部(30)の上下方向の固定位置を調節可能な固定調節部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明における「固定調節部」としては、請求項3の説明で述べた固定部材の上下方向の固定位置を変更可能な長孔の他に、フックなどの係止部と複数の孔や突起などの被係止部により固定位置を調整可能なものも含まれる。
本発明によれば、カバー部(30)の固定位置を調節することにより、カバー部(30)のテンションを調整することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成されているので、デザイン性に優れ取り扱い容易なディスプレイケースを低コストで提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施の形態を、図面に基づき説明する。
(ディスプレイケース1)
本実施の実施の形態に係るディスプレイケース1は、
図1に示すように、方形の台座部10と、2枚の側板20と、カバー部30とからなる中空箱形のケースである。台座部10は、設置面に設置される外観が方形板状に形成されている。また、側板20は、台座部10を挟んで相対向して設けられ、側面視略アーチ形に形成されている。そして、カバー部30は、台座部10の側板20が設けられていない端部に固定されており、側板20の外周を覆っている。そして、ディスプレイケース1は、全体として、板付き蒲鉾のような形状を呈するものとなっている。
【0014】
また、側板20及びカバー部30は透明部材により形成されており、台座部10の上に載置され収納される模型などの立体構造物を、四方から視認可能となっている。
(台座部10)
台座部10は、
図2に示すように、木製又は樹脂製の方形の枠体11と、枠体11の上側に設置されるベース板17と、前固定板40及び後固定板41とから構成されている。枠体11は、前枠12、後枠13及び2つの横枠14,15を方形に組み立てたものであり、左右の横枠14,15の間には、前枠12と後枠13とにわたって設けられた補強枠16が設けられている。前固定板40及び後固定板41は、カバー部30を台座部10に固定するためのものである。以下、前枠12が位置する側を、ディスプレイケース1の正面側とし、各部材における前後及び上下左右の方向は、ディスプレイケース1を正面視したときを基準として説明する。
【0015】
前枠12、後枠13及び横枠14,15は、それぞれ、枠内側となる上端角部に、一段低く形成された段部(
図5、
図6参照)が設けられている。すなわち、前枠12には段部12Bが、後枠13には段部13Bが、正面右側の横枠14には段部14Bが、左側の横枠15には段部15Bが形成されている。そして、各段部12B,13B,14B,15Bにより枠体11の上面に形成される凹みに、ベース板17が嵌め込まれることにより、全体として方形板状の台座部10となる。
さらに、
図2に示すように、台座部10の前方側端部となる前枠12には、前後方向に貫通する3つのボルト孔12Aが水平方向に並んで設けられており、台座部10の後方側端部となる後枠13には、前後方向に貫通する3つのビス孔13Aが水平方向に並んで設けられている。また、台座部10の左右の側端部となる横枠14,15には、それぞれ、左右方向に貫通する3つのビス孔14A,15Aが水平方向に並んで設けられている。前枠12のボルト孔12A及び後枠13のビス孔13Aには、ボルト50とナット51、及びビス52により、カバー部30が固定される。すなわち、前枠12及び後枠13は台座部10の固定側端部となる。また、横枠14,15のビス孔14A,15Aには、ビス52により側板20が固定される。すなわち、横枠14,15は台座部10の立設側端部となる。
【0016】
前記前固定板40及び後固定板41は、
図2に示すように、枠体11の前後に固定される横長の薄板部材である。前固定板40には、前後方向に貫通する3つのボルト孔40Aが水平方向に並んで設けられ、後固定板41にも、同様に、前後方向に貫通する3つのビス孔41Aが水平方向に並んで設けられている。そして、前固定板40は、前枠12との間に後述するカバー部30の被覆板31の前固定端縁31Aを挟んで、前枠12に固定される(
図6参照)。後固定板41は、後枠13との間に被覆板31の後固定端縁31Bを挟んで、後枠13に固定される。
(側板20)
側板20は、透明な樹脂、例えばPETにより形成された薄板部材であり、
図2及び
図3に示すように、側面視アーチ形に形成されている。すなわち、側板20の上端面21は、中央部が突出し(平坦部が無く)かつ前後方向の小口面と連続する曲面となっている。具体的には、側板20の上端角部はアール形状に形成され、側板20の上側の辺は上端角部のアール半径よりも大きいアール半径を有するアール形状に形成されている。また、側板20の下縁部21には、3つのビス孔23が水平方向に並んで設けられている。ここで、各ビス孔23は、縦長の長孔に形成されている。これにより、側板20の上下方向の固定位置を調節可能となっている。そして、側板20は、台座部10の横枠14,15に固定されることにより、台座部10の両側端部から上方に立設された状態となる。
【0017】
(カバー部30)
カバー部30は、
図2に示すように、被覆板31と保護部材32とからなる。被覆板31は、透明な樹脂、例えばPETにより形成された前記側板20よりも肉薄の薄板部材であり、可撓性を有している。被覆板31の前縁部である前固定端縁31Aには、
図2に示すように、3つのボルト孔33が横方向に並んで形成され、被覆板31の後縁部である後固定端縁31Bには、3つのビス孔34が横方向に並んで形成されている。そして、被覆板31の左右の側方端縁31C,31Dには、それぞれ、保護部材32が、長さ方向にわたって取り付けられている。
保護部材32は、PVC(ポリ塩化ビニル)などの弾性部材により形成されており、
図8(A)に示すように、被覆板31の側方端縁31C,31Dにおける上下の面と側端面を覆う、断面略コ字型の長尺部材である。保護部材32を設けることにより、被覆板31の端部が補強されるとともに危険防止にもなる。さらに、保護部材32の重量により、被覆板31で側板20を覆うときに安定性が増すものとなる。
【0018】
カバー部30は、被覆板31に保護部材32を取り付けた状態で、上述した前固定板40及び後固定板41により、台座部10の前枠12及び後枠13に固定される。
(ディスプレイケース1の組み立て及び使用方法)
上記構成を有するディスプレイケース1は、枠体11、ベース板17、前固定板40及び後固定板41、2枚の側板20、カバー部30のパーツに分解して梱包、搬送及び販売することができる。そして、ディスプレイケース1を組み立てる場合には、まず、枠体11にベース板17を嵌入して台座部10を作り、側板20を台座部10に固定する。具体的には、枠体11の横枠14,15のビス孔14A,15Aと側板20のビス孔23を合わせ、側板20側からビス52をねじ込んで仮固定する。つまり、ビス52を完全に締結しないで、側板20のビス孔23内にビス52のネジ部を貫通させたまま側板20が上下動可能な状態としておく。次に、カバー部30を台座部10に固定する。具体的には、カバー部30を2枚の側板20に渡し掛けるようにして載せた状態で、枠体11の後枠13の外側に被覆板31を位置させ、被覆板31の後方に後固定板41を位置させる。そして、後固定板41のビス孔41Aと被覆板31の後固定端縁31Bのビス孔34と後枠13のビス孔13Aとを合わせ、後方側からビス52をねじ込んで固定する。
【0019】
ここで、台座部10のベース板17の上に、ディスプレイする模型などの展示品を設置してから、被覆板31を側板20の上端部21に沿って湾曲させ、カバー部30が後枠13から側板20の上端面21を経て前枠12に至るような状態とする。そして、被覆板31の前固定端縁31Aのボルト孔33を前枠12のボルト孔12Aと合わせる。ここで、ボルト孔33の形成位置は、被覆板31の前固定端縁31Aのボルト孔33と合わせたとき、被覆板31の下面が側板20の上端面21に当接し前後方向にテンションがかかった状態となるよう、あらかじめ設定してあるが、製品誤差などにより、テンションが十分にかからない場合(被覆板31と側板20の上端面21との間に隙間がある場合)には、仮固定してある側板20を上側にずらして、被覆板31の下面が側板20の上端面21に密着するように調整することができる。
【0020】
このように、被覆板31に適度のテンションをかけた状態で、被覆板31の前方に前固定板40をセットし、ボルト孔40Aをボルト孔33及び12Aと合わせ、正面側からボルト50を挿入する。そして、
図6に示すように、前枠12を貫通したボルトのネジ部に、裏側からナット51を螺号させて、前枠12、被覆板31、前固定板40を締結する。
このようにしてカバー部30を固定すると、
図6に示すように、被覆板31の下面と側板20の上端面21とが密着する。台座部10、側板20及びカバー部30により囲まれた内部空間が密閉された状態となり、内部に塵や埃が入ることがない。また、側板20の外側に突出している被覆板31の側方端縁31Cは、保護部材32により覆われているので、被覆板31の角に触れて思わぬけがをすることもない。
【0021】
なお、カバー部30の前方の固定部は、ボルト50及びナット51で固定してあるため、比較的容易に固定を解除することができ、
図7に示すように、カバー部30を開いて内部に収納されている展示品(図示せず)を入れ替えることができる。また、経年変化などによりカバー部30のテンションが弛み、側板20の上端面21との間に隙間が生じた場合には、側板20を上方向に移動させて固定し直すことにより、カバー部30の張りを戻し、隙間を無くすことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、加工を施す必要がない平板状のカバー部30を用いているので、材料費のコストダウンを図ることができるとともに、梱包、搬送においてもかさばらず経済性に優れている。また、カバー部30にテンションをかけた状態で固定することにより側板20との隙間を無くしているので、内部を密閉状態とするためにカバー部30と側板20とを固定する固定手段(ネジなど)を設ける必要がなく、その分のコスト減を図ることができる。このようにして、安価で取り扱い容易なデザイン性に優れたディスプレイケース1を提供することが可能となる。
【0022】
さらに、本実施の形態では、側板20の上下方向の固定位置を調整可能としたので、カバー部30の固定時に好適なテンションを調整可能であるだけでなく、使用している間にカバー部30と側板20の間に隙間が生じた場合でも、容易に補正することができる。
なお、カバー部30の湾曲部に該当する部分に、曲げやすいようにある程度の湾曲加工を施しておいてもよい。この場合でも、側板20の上端面21の曲面と正確に一致する曲面を形成する必要はないので、容易に加工することができる。
(変形例)
上記した実施の形態では、台座部10を枠体11とベース板17とから構成していたが、台座部10は単一の板部材や中空の箱体であってもよい。
【0023】
また、保護部材32は、
図8(B)又は(C)に示すような形状としてもよい。
図8(B)の保護部材32は、被覆板31の下面を覆う部分に、側板20の上端面21を超えた位置まで延びる延長部32Aを設け、この延長部32Aを軟質部材で一体形成したものである。このように形成することにより、側板20とカバー部30の密着性を高めることができる。
図8(C)は、保護部材32の下側に断面コ字型の凹部を設け、側板20の上端縁を覆うようにしたものである。このように形成した場合にも、側板20とカバー部30の密着性を高めることができる。
また、上記した実施の形態では、固定調節部として、側板20に長孔のビス孔23を設けてあったが、固定調節部の態様はこのような物に限られない。例えば、側板20又は横枠14,15のいずれか一方に設けたフックと、横枠14,15又は側板20のいずれか他方に設けた複数の係止孔のようなものであってもよい。要は、側板20の上下方向の固定位置を調節可能であればよい。さらに、固定調節部は、側板20の上下方向の固定位置を調節可能なものに限られず、カバー部30の前枠12への固定位置を調節可能なものであってもよい。例えば、被覆板31のボルト孔33や前枠12のボルト孔12Aのいずれかを縦長の長孔にしてもよいし、上記したようなフックと係止孔のようなものとしてもよい。固定調節部として、側板20の上下方向の固定位置を調節可能なものと、カバー部30の固定位置を調節可能なものの双方を設けてもよい。
【0024】
本発明に係るディスプレイケース1の側面形状は、
図3に示したような、側板20の底辺と前後の辺に直線部分を有しているものに限られず、
図9(A)に示すような、底辺以外は曲線で形成されているものや、
図9(B)に示すような、高さと幅がほぼ等しく形成されたものであってもよい。