特許第5909724号(P5909724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909724
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】医療用微粒塩を供給するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   A61M15/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-522332(P2013-522332)
(86)(22)【出願日】2011年7月29日
(65)【公表番号】特表2013-532571(P2013-532571A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】IB2011053381
(87)【国際公開番号】WO2012017365
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】BS2010A000136
(32)【優先日】2010年8月2日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513026573
【氏名又は名称】テクノ サン エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】モンテレンツィ, ロベルト
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/054604(WO,A1)
【文献】 特表2001−527442(JP,A)
【文献】 特表2002−518161(JP,A)
【文献】 特表2002−532162(JP,A)
【文献】 特開平04−220259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が垂直である延伸部と円筒形状の下端部(3)とを有して、医療用塩の放出口(4)を設けて、一定量の医療用塩を収容するように構成された容器(2)と、
該容器に挿入されて、上方端部(21)と前記下端部に対応する位置で非固定である下方端部(22)とを有するスクリュ(20)と、
該スクリュを前記容器に対して回転させるため前記スクリュの前記上方端部に機械的に接続された前記スクリュの回転部材(30)とを備えており、
前記スクリュは、前記医療用塩を前記下端部(3)の前記放出口(4)から制御された回転速度で放出するとともに前記容器の前記下端部で支持し、前記回転を通して前記医療用塩を前記延伸部に沿って下向きに送出するよう構成される医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、
前記装置は、供給管(51)と該供給管の中に気流を発生させるための送風部材(60)とを含むディスペンサ(50)とを備えており、該ディスペンサは前記医療用塩の前記放出口が前記気流へ前記医療用塩を直接放出するように前記供給管と連通しており、前記気流は少なくとも前記放出口に対応する位置では水平方向であることを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記容器(2)は前記医療用塩を前記容器へ投入する上方開口部(6)から前記下端部まで延伸する略切頭円錐形状の上方部(5)を有しており、前記上方開口部は前記下端部の直径よりも大きい直径を有しており、前記スクリュ(20)は、第1ピッチを有する前記容器の前記上方部の中に全体が延伸する第1スクリュ(23)と、第2ピッチを有して、前記第1スクリュの下で前記スクリュの前記下端部まで延伸する第2スクリュ(24)とからなり、前記スクリュは前記第1および第2スクリュと一体的に回転するように構成されており、前記第1ピッチは前記第2ピッチより大きいことを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記第1スクリュ(23)は前記容器の前記上方部の前記切頭円錐形状に対応する切頭円錐形延伸部を有することにより、前記第1スクリュの各部の直径は前記容器の前記上方部の対応する部分の直径と等しく、前記第2スクリュ(24)は、少なくとも前記下端部に対応する位置に延伸する部分に於いて、前記容器の円筒形である前記下端部の前記直径と等しく且つ一定である直径を有しており、前記第1および/または第2スクリュは、前記容器の前記上方部(5)および前記下端部(3)の内壁に接し医療用塩を支持することを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項4】
前記請求項の何れかに記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記容器(2)は前記医療用塩を前記容器へ投入するためのシュート(10)を含み、該シュートは前記容器の前記上方部の側面から前記医療用塩が挿入されるための投入セクション(11)まで外側に延伸し、前記容器の内部と連通していることを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項5】
前記請求項の何れかに記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記回転部材(30)は、前記容器の上方に取り付けられる取り付け部分(32)と、前記スクリュの前記上方端部(21)に機械的に接続されて一体的となった駆動シャフト(33)とを備えるモータ(31)を含み、前記装置は、給送と前記回転部材の動作の管理と、前記スクリュの回転速度の連続調節を可能にするためにプログラムされた電子中央ユニット(40)を含むことを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項6】
前記請求項の何れかに記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記容器に確実に固定されて前記容器を振動させるように構成された振動部材(45)を含むことを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項7】
請求項6に記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記容器と前記回転部材との間に配置される振動抑制システム(44)をさらに含むことを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項8】
前記請求項の何れかに記載の医療用微粒塩を供給するための装置(1)であって、前記供給管(5)は、水平な長手延伸部を有するとともに、前記送風部材が取り付けられて前記気流の空気が前記供給管へ流入するための入口(52)と、前記気流と前記医療用微粒塩とが流出するための前記入口と反対にある開口した出口(53)とを備え、さらに前記供給管は、前記入口と前記出口との間の中間位置に操作開口部(54)を有しており、前記放出口が前記管の内側で前記供給管の内面から一定距離にあるように、前記容器の前記下端部(3)が前記操作開口部を通って前記供給管へ少なくとも部分的に突入されることを特徴とする医療用微粒塩を供給するための装置。
【請求項9】
医療用微粒塩を供給するための方法を、
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の装置(1)の前記容器(2)に医療用微粒塩の混合物を投入するステップと、
前記スクリュ(20)を回転させることにより前記容器の長手方向に垂直である前記延伸部に沿って下向きに前記混合物を制御された回転速度で送出するステップと、
前記容器の前記下端部(3)の前記放出口(4)から前記混合物を前記供給管(51)の中に放出するステップと、
前記送風部材(60)を用いて前記供給管の内側に気流を発生させ、少なくとも前記放出口に対応する位置では前記気流が水平方向であるステップと、
前記気流に放出された前記混合物を、前記供給管から供給するステップとを有する医療用微粒食塩を供給するための方法であって、
医療用微粒塩の混合物を前記容器へ投入する前記ステップにおいて、前記混合物を、同じ化学組成であり且つ異なる粒度を有する塩の混合物を、所定の質量分率に従って収容する袋状体から含む包含体から取り出すことを特徴とする医療用微粒食塩を供給するための方法。
【請求項10】
前項に記載の医療用微粒塩を供給するための方法であって、前記混合物を袋状体から取り出す前記ステップにおいて、前記袋状体を、20マイクロメートルより小さく5マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を5%から10%の質量百分率で、5マイクロメートルより小さい粒度を有する医療用微粒塩を1%から5%の質量百分率で、50マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を85%から94%の質量百分率で収容することを特徴とする医療用微粒食塩を供給するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロセラピー治療用などの医療用微粒塩を供給するための装置に関連する。さらに本発明は、このような装置を用いて医療用微粒塩の混合物を供給するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
ハロセラピーとは、例えば気管支肺の病状および皮膚病の治療での治療効果をねらって処方される、微粒化され密閉環境に拡散される医療用塩化ナトリウムの投与および吸入から成る自然療法である。「医療用微粒塩」という語は、例えば1から100マイクロメートルの寸法を有する粒子に微粉砕された、医療での使用に適した塩化ナトリウムを指す。
【0003】
ハロセラピーは一般的に、互いに粒度の異なる塩の混合物の使用を伴うが、ここで粒度とは、磨砕のプロセスにより生成される医療用塩の粒子(粒状物)の寸法特性(平均直径など)を意味する。
【0004】
一定量の医療用塩を微粒化してから供給することが可能な装置については知られている。これらの装置は一般的に、微粒化される医療用塩が投入される給送容器と、容器に収容された医療用塩を一般的には機械的および連続的に細かく磨砕して、ハロセラピー治療を実施するために用意された環境にこれを供給する微粒化装置(プロペラまたは一対のローラなど)とを包含する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療用微粒塩を供給するための現在の装置は欠点がないわけではなく、様々な面で改良が可能であることに、出願人は気付いた。
すなわち、公知の装置は、所定の粒度組成を有する医療用微粒塩による混合物を投与できない。例えば、所定の粒度組成(つまり異なる粒度の百分率分布)を有する塩の混合物を投入すると、微粒化装置による磨砕のため公知の装置は粒度組成を変化させてしまう。
【0006】
公知の装置のさらなる欠点は、例えば外部粒子、プラスチック、金属、塗料などの不要物質が、医療用塩の微粒化および/または拡散時に医療用塩に添加されて、装置が医療用微粒塩を処理している環境へ放出されるということである。
さらなる欠点は、供給される医療用塩を充分な精度で計量投与すること、および/またはこのような投与量を変化させることが公知の装置では不可能であるか極めて困難だということである。
【0007】
給送容器の内側での医療用塩の圧縮という不都合な現象によって、公知の装置がどれほど不利益を被っているかということにも出願人は注目した。この現象は、医療用塩の粒子のサイズが小さいことによるものであり、その結果、装置が詰まる可能性がある、および/または寸法の小さい医療用塩の供給が困難および/または不可能となる。公知の装置の付加的な欠点は、微粒化するための医療用塩を給送容器へ頻繁に充填することにある。
【0008】
出願人はまた、公知の装置がいかに複雑な構造および/または高い実施コストを特徴としているかにも気付いた。
【0009】
このような状況において、様々な態様および/または実施形態での本発明の目的は、上述した欠点の一つ以上を解消することのできる、医療用微粒塩を供給するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下の説明でより明らかとなるこの目的、そしてもしあるならば他の目的は、請求項の一つ以上に記載された、および請求項とともに様々に組み合わされる以下の態様および/または実施形態に従った、医療用微粒塩を供給するための装置および関連の方法により実質的に達成される。なお請求項は、その各々が、単独で(関連の従属請求項を伴わずに)、あるいは他の請求項との組み合わせにおいて検討される。
【0011】
一態様において、本発明は、長手方向が垂直である延伸部と円筒形状の下端部とを有して医療用塩の放出口を設けて、一定量の医療用塩を収容するように構成された容器と、
前記容器に挿入されて、上方端部と、上述の下端部に対応する位置で非固定である下方端部とを有するスクリュと、
前記容器に対してスクリュを回転させるためスクリュの上方端部に機械的に接続されたスクリュの回転部材とを備えており、
前記スクリュは、医療用塩を下端部の放出口から制御状態で放出するとともに容器の下端部の他の箇所で支持し、前記回転を通して医療用塩を長手延伸部に沿って下向きに送出するように構成される医療用微粒塩を供給するための装置であって、
前記装置は、供給管と該供給管の中に気流を発生させるための送風部材とを含むディスペンサとを備えており、該ディスペンサは医療用塩の放出口が前記気流に医療用塩を直接放出するように前記供給管と連通しており、前記気流は少なくとも放出口に対応する位置でほぼ水平方向であることを特徴とする医療用塩を供給するための装置に関連する。
【0012】
上述した技術的特徴の組み合わせ、特に、医療用塩を放出口から制御状態で放出するとともに容器の下端部の他の箇所では医療用塩を支持することのできるスクリュの存在、そして水平方向気流へ医療用塩を直接放出するように医療用塩の放出口が供給管と連通しているという構成により、例えば微粒化ステップなどさらなるステップを施すことなく、容器に収容された微粒塩を治療環境へ供給することができる。言い換えると、供給管から装置の外側へ医療用塩を移送するとともにこれを治療環境へ放出するのに適した水平方向気流において、医療用塩が上方よりスクリュを通って制御投与量で容器から直接に供給されるのである。
【0013】
また、例えば微粒化装置を使用せずに装置が医療用塩を供給するという構成のため、容器へ投入された医療用微粒塩は、供給管から供給されるまで、その物理的性質、例えば粒度組成を保持することを、出願人は実証した。
このような状況において、本発明の対象装置は、すでに微粒化され、固有の特徴を有し、環境に均一に拡散されると固有のハロセラピー治療を実現することを目的とした一定量の医療用塩を供給するように構成されている。
【0014】
上述した技術的特徴、特に容器に対してスクリュを回転させるためのスクリュの回転部材を、医療用塩が下端部分の放出口から制御状態で放出されるように回転を通してスクリュが医療用塩を下向きに送出するという構成により、高い汎用性を備え、供給される医療用塩を充分な精度で計量投与すること、および/またはこのような投与量(質量濃度など)を変更させることができる装置を設けることが可能となる。
【0015】
一態様において、容器は、医療用塩が容器へ投入されるための上方開口部から上述の下端部まで延伸する略切頭円錐形状の上方部を有し、上方開口部は下端部の直径よりも大きい直径を有する。
【0016】
一態様において、スクリュは、第1ピッチを有して容器の上方部内で全体が延伸する第1スクリュと、第2ピッチを有して第1スクリュよりも下方でスクリュの下端部まで延伸する第2スクリュとを包含し、第1および第2スクリュは一体的に回転するように構成され、第1ピッチは第2ピッチより大きい。
好適には、第2スクリュが容器の上方部にも部分的に延伸する。
【0017】
一態様において、容器の上方部の切頭円錐形状に対応する切頭円錐形の延伸部を第1スクリュが有するため、第1スクリュの各部分の直径は、容器の上方部の対応する区間の直径と等しい。ゆえに大きい直径およびピッチを有する第1スクリュは、容器の上部にある大量の医療用塩を移動するように保持しつつ、容器内での医療用塩の圧縮および閉塞を回避することができて好都合である。塩の下向きの送出は、容器の垂直配向のみならず、容器の内面に沿った塩の流れを促進する容器の上方部のテーパ形状によっても維持される。
【0018】
一態様において、第2スクリュは、少なくとも下端部に対応する位置に延伸する部分(好適には延伸部全体)に、容器の円筒形下端部の直径と等しい一定の直径を有する。こうして、一定の小さい直径およびピッチを有する第2スクリュは、下端部において医療用塩を塩の放出口へ均一に送出するとともに、これを正確に計量投与する。全体として、二つのスクリュからなるスクリュは、効率的な制御された回転速度で医療用塩の送出および計量投与を可能にする。
【0019】
一態様において、第1および/または第2スクリュは、容器の上方部および下端部のそれぞれの内壁に接し医療用塩を支持している。こうして、スクリュは医療用塩を送出するのと同時に容器内で塩を支持して、スクリュと容器の内壁との間からの医療用塩の漏出と、例えば、その結果生じる放出口からの医療用塩の意図しない下方流出、または第1スクリュからの漏出の後に第2スクリュで圧縮されることを回避する。こうして、スクリュによる送出のみにより放出口へ医療用塩が誘導されて供給が制御される。
【0020】
一態様において、前記回転部材は、容器の上方に取り付けられた取り付け部と、スクリュの上方端部に機械的に接続されて一体的である駆動シャフトとを備えるモータを包含する。
【0021】
一態様において、前記装置は、容器に確実固定されて容器を振動させるように構成された振動部材を包含する。この構成により、容器内の医療用塩を振動させて(一般的には微粒化された医療用塩の混合物について)その圧縮を防止し、スクリュによる放出口への塩の送出を促進することが可能である。
【0022】
一態様において、前記装置は、容器と回転部材との間に配置された振動抑制システムを少なくとも包含する。この構成により、振動部材を回転部材から分断して、振動部材により発生する振動が回転部材に伝達されるのを回避することが可能である。振動により、例えば機関部品の故障および破損が発生することがあるので、(長時間にわたって繰り返される場合には特に)振動は極めて有害である。
【0023】
一態様において、本発明は、態様および/または請求項の一つ以上に記載の装置の容器に医療用微粒塩の混合物を導入するステップと、スクリュを回転させることにより容器の長手方向が垂直である延伸部に沿って制御状態で混合物を下向きに送出するステップと、容器の下端部の放出口から混合物を供給管の中に放出するステップと、送風部材を用いて供給管の内側に気流を発生させ、少なくとも放出口に対応する位置では気流が水平方向であるステップと、気流へ放出された混合物を供給管から供給するステップとを包含する、医療用微粒塩を供給するための方法に関連する。
【0024】
一態様において、医療用微粒塩の混合物を容器に投入するステップでは、同じ化学組成と異なる粒度とを有する塩による混合物を所定の質量分率に従って収容する袋状体から、所定の質量分率に従って混合物を取り出す。こうして、所定の粒度組成と一定の投与量である医療用微粒塩の混合物の供給を行うことが可能である。さらに、医療用塩の混合物への不純物の導入を回避することが可能である。本発明で使用される医療用塩は、(正確な湿度を有して埃および不純物を含まないなどの)制御環境で予め用意されて袋状体に封入された一般的な医療用微粒塩である。こうして、(所定の特徴を持つ)医療用微粒塩による特定混合物を所与の投与量だけ袋状体へ投入することにより、多様なハロセラピーサイクルを提供することが可能である。
【0025】
一態様において、混合物が袋状体から取り出すステップでは、この袋状体は、20マイクロメートル好適には15マイクロメートルより小さく、5マイクロメートル好ましくは10マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を5%から10%の質量分率で、5マイクロメートル好ましくは3マイクロメートルより小さい粒度を有する医療用微粒塩を1%から5%の間の質量分量で、また50マイクロメートル好ましくは100マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を85%から94%の質量分量で収容する。出願人は、自身の知る限りでは初めて、微粒化された(20マイクロメートル未満などの)医療用塩の混合物に、(100マイクロメートルより大きいなどの)充分に大きな粒度を有する塩を約10倍以上の量で添加すると、微粒子を乾燥状態にして分離させることができ、添加しなければ微粒子が一緒に圧縮される、および/または水分を吸収しやすいという事実を、試験の実行を通して発見した。こうして、混合物を分解状態にして装置の効率的な動作を促進することが可能である。微粒子はハロセラピー治療でより有益な作用が行われるかどうかを左右するので微粒子を分離状態にすることが最も重要な目的であることに注目すべきである。
【0026】
一態様において、本発明は、態様および/または請求項の一つ以上による装置と上述の袋状体とを包含するアセンブリに関連する。
【0027】
一態様において、アセンブリは、態様および/または請求項の一つ以上に記載の装置と、同じ化学組成であり且つ異なる粒度とを所定の質量分率に従って有するそれぞれの食塩混合物を各々が収容する一組の袋状体とを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明による医療用微粒塩を供給するための装置についての、好適な実施形態も含む例示的だが排他的ではないいくつかの実施形態の詳細な説明から、さらなる特徴および長所がより明らかになるだろう。単に示唆的であり、ゆえに非限定的な目的で用意した添付図面を参照して、この説明を以下に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による医療用微粒食塩を供給するための装置の分解斜視図である。
図2】組み立て状態である図1の装置の側面図である。
図3図2の装置の正面図である。
図4】IV‐IV断面で切断されていくつかの部品が取り除かれた図2の装置の部分的断面図である。
【0030】
添付の図を参照すると、本発明による医療用微粒塩を供給するための装置は全体として符号1で表されている。
医療用微粒塩を供給するための装置1は、長手方向が垂直である延伸部と円筒形状の下端部3とを有して医療用塩の放出口4を備える、一定量の医療用塩を収容することのできる容器2を包含する。
【0031】
装置はさらに、上方端部21と、下端部3に対応する位置で非固定である下方端部22とを備えて容器2へ挿入されるスクリュ20と、該容器に対してスクリュを回転させるためスクリュの上方端部に機械的に接続されるスクリュの回転部材30とを包含する。装置はさらに、供給管51と該供給管の中に気流を発生させる送風部材60とを含むディスペンサ50を備える。上記の気流に医療用塩を直接放出するように、医療用塩の放出口4は供給管51と連通しており、少なくとも放出口に対応する位置では気流がほぼ水平方向であるように供給管が構成されている。例を挙げると、図に示されているように、送風部材により発生される気流が供給管自体のあらゆる箇所で水平方向であってこれから水平方向に流出するように、供給管は水平方向(容器の長手延伸部に対して垂直)である。
【0032】
好適には、前記容器2は、医療用塩が容器へ導入される上方開口部6から上記の下端部3まで延伸する略切頭円錐形状の上方部5を有する。好適には、上方開口部は切頭円錐形状の下端部の直径より大きい直径を有する。
例として、上方開口部6は約50 mmに等しい直径を有し、塩の放出口4は約15 mmに等しい直径を有し、上述した容器の長手方向が垂直である延伸部に沿って計算される上方開口部と塩の放出口との間の距離は、約150 mmに等しい。
【0033】
好適には、スクリュの上方端部21は回転部材30へ接続されるために、容器の上方開口部から上方に突出している。
【0034】
好適には、容器の上方部5と下端部とは個々の共通軸29を有し、前記スクリュは共通軸29と一致する回転軸を中心に容器に対して回転する。
【0035】
好適には、スクリュ20は、第1ピッチを有して、装置が組み立てられた時に容器の上方部5の中に全体が延伸する第1スクリュ23と、第2ピッチを有して、第1スクリュよりも下でスクリュの下端部3まで延伸する第2スクリュ24とを包含する。
【0036】
好適には、第1および第2スクリュがスクリュ上で直列に配設され(第1スクリュは第2に対して上方位置にある)、これと一体的に回転する。好適には、第1ピッチは第2ピッチより大きい。好適には、第2スクリュは容器の上方部の中にも部分的に延伸する。
【0037】
好適には、第1ピッチは5 mm好ましくは10 mmより長くて、25 mm好ましくは20 mmより短く、第2ピッチは1 mm好ましくは2 mmより長くて、10 mm好ましくは8 mmより小さい。例を挙げると、第1および第2ピッチはそれぞれ約18 mmおよび5 mmに等しい。
【0038】
好適には、第1スクリュ23は、容器の上方部5の切頭円錐形状にほぼ対応する切頭円錐形の延伸部を有するため、第1スクリュの各部分の直径は容器の上方部の対応する部分の直径にほぼ等しい。好適には、第1スクリュの直径は50 mmから80 mmの間、好ましくは25 mmから40 mmの間である。好適には、第2スクリュ24は、容器の下端部3および/または放出口の(好ましくは一定の)直径とほぼ等しい一定の直径を有する。
【0039】
好適には、第1および/または第2スクリュは容器の上方部および下端部のそれぞれの内壁にほぼ接し、医療用塩を支持している。
【0040】
好適には、スクリュは、第1スクリュが延在する第1部分26と、第2スクリュが延在する第2部分27とを有するステム25を包含する。好適には、ステムの第2部分のそれぞれの一定直径より大きいそれぞれの一定直径をステムの第1部分が有し、ステムは第1および第2部分の間に接続部分28を有する。好適には、第1スクリュ23は接続部分の対応位置の下方またはその上方に終端を持ち、第2スクリュは接続部分28の対応位置の上方またはその下方に始端を持つ。好適には、第2スクリュが第1スクリュの直下まで延在して、ほぼ連続的なアセンブリスクリュを実現する。
【0041】
好適には、前記容器は、容器の上方部の側面から、医療用塩が挿入される投入セクション11まで外側に延伸する、医療用塩を容器へ投入するためのシュート10を包含し、シュートは容器の内部と連通している。こうして、装置の部品を分解する必要なく、またその動作中でも、容器への医療用微粒塩の挿入が容易であって常時可能である。そのうえ、シュートを使用することで、容器での医療用塩の摺動方向と合わせて医療用塩を容器へ投入することができる。好適には、シュートと容器とが一体的に形成される。
【0042】
好適には、シュートは、シュートの投入セクション11に対応する位置に配設された安全格子12を含む。こうしてシュートは、供給される医療用微粒塩を(装置の動作前または動作中に)挿入するためには通過可能であるが、(誤って投入されて装置を破損させるような)大きいサイズの物体およびユーザの手は通過不可能である。こうして、装置は安全であってユーザの健康にリスクを与えない。
【0043】
好適には、前記装置は、容器の上方開口部を閉鎖して、スクリュの上方端部21の貫通を可能にする中央孔13aを備える上方プレート13を包含する。上方プレートはスクリュを軸上に維持して、容器に対するその適切な回転を可能にする。
【0044】
好適には、上方開口部に対応する位置で容器の上方部の上縁部から水平方向に延出して上方開口部の外側にリングを形成する上方フランジ14を容器が包含し、上方プレート13は好ましくは上方フランジに締結される。
【0045】
好適には、回転部材30は、容器(好ましくは上方プレート13)の上方に取り付けられる取り付け部32を備えるとともに、スクリュの上方端部に機械的に接続されて一体的である駆動シャフト33を備えるモータ31を包含する。
【0046】
好適には、モータは電動モータ、例えばブラシレスモータもしくは直流モータ、または空圧もしくは油圧アクチュエータである。好適には、螺合接続(ドエルなど)または他の締結具(例えばキー、タング、または機械継手)により、駆動シャフトがスクリュに機械的に接続される。好適には、前記回転部材は、モータとスクリュとの間に配置されて、例えばモータの高い回転速度にもかかわらずスクリュをゆっくり回転させるためにモータからスクリュへの回転速度を変化させることができる、(図示していない)変速機(減速歯車など)を含んでもよい。
【0047】
好適には、前記装置は、好ましくはモータと一体的であって、給送および回転部材の動作の管理のためにプログラムされた電子中央ユニット40を包含する。好適には、所望の塩の投与量に基づいたスクリュの回転速度の連続的な調節を可能にするように、電子中央ユニット40がプログラムされる。こうして、前記装置により供給される医療用微粒塩の投与量を制御することが可能である。
【0048】
好適には、前記装置は、容器自体を振動させる、容器に確実固定された振動部材45を包含する。好適には、前記容器は、振動部材が取り付けられる容器(好ましくは上方部分)の外側に確実に固定された取り付けブラケット15を包含する。好適には、振動部材は、10 Hz好ましくは50 Hzより高く、1000 Hz好ましくは500 Hzより低い周波数を有する振動を発生させる。好適には、振動部材は機械的偏心振動器または機械的往復運動振動器を含む。好適には、前記振動部材は、振動部材の動作を管理する電子中央ユニット40に接続される。
【0049】
好適には、前記装置は、容器と回転部材との間に配置された振動抑制システム44を包含する。
【0050】
好適には、前記抑制システムは、上方プレート13と容器の上方フランジ14との間に配置されてこれらと接触する少なくとも一つの抑制器46を包含する。このような構成では、上方プレートは容器の上方開口部を完全には閉塞せずに、少なくとも一つの抑制器の軸方向寸法に等しい距離だけ前記容器の上方開口部から離間している。好適には、振動抑制システムは、駆動シャフト33を中心とする円周上に配設される複数(例としては3個)の抑制器46を包含する。これらの抑制器は、振動を吸収できる材料、例えばゴム、プラスチック、または他の弾性材料で製作される(容器およびモータへの取り付けのための貫通孔を備える)例示的な円筒形スペーサである。
【0051】
好適には、前記装置は、回転部材を容器に取り付けるための締結部材35(螺合接続、ねじ、ボルト、または溶接部など)を包含する。好適には、前記締結部材は、上方プレート13へのモータの取り付け部分32の組み付けと、容器の上方フランジ14への上方プレートの組み付けとを同時に実現する。好適には、前記締結部材35は、モータと容器との間に配置される抑制器46の組み付けも実現する。
【0052】
好適には、供給管51は水平な長手延伸部を有して、送風部材60が取り付けられて気流の空気が供給管へ流入するための入口52を備え、気流と医療用微粒塩とが流出するための、入口と反対の非固定出口を備える。
【0053】
好適には、前記供給管は、入口と出口との間の中間位置に位置する操作開口部54を供給管がさらに包含し、放出口が管の内面55から一定距離で管の内側にあって、好ましくは供給管の水平な長手延伸部を横切る断面に対して中央位置にあるように、前記操作開口部を通って容器の下端部3が供給管へ少なくとも部分的に導入される。
【0054】
好適には、前記供給管51は、供給管の外面57の外側に固定(溶接など)されて操作開口部54と同軸の貫通孔58を備える取り付けプレート56を包含し、取り付けプレートにより、食塩の放出口が貫通孔を通って供給管の内側まで達すること、および、容器の下端部を供給管自体に確実に締結することが可能となる。
【0055】
好適には、前記容器は、下端部3の各側面から好ましくは水平方向に延伸する下方フランジ16を包含する。塩の放出口4が供給管自体の内面55から所定距離で供給管の中に位置するように、前記下方フランジは供給管51の取り付けプレート56に(ねじ59などにより)確実に固定される。
【0056】
好適には、送風部材60は、供給管の水平の長手延伸部に平行である気流を供給管に発生させる電動の遠心または軸流ファンを包含する。好適には、例えば適切な螺合接続によりファンが取り付けられる取り付けフランジ61を、供給管の入口52に設ける。
【0057】
好適には、前記容器および/または前記ディスペンサは、金属、例えばステンレス鋼、またはプラスチック、例えばポリメタクリル酸メチルで製作される。
前記装置の操作は、最初に、例えば上方開口部6またはシュート10から容器2へ医療用微粒塩の混合物を投入することを含む。続いて、回転部材30により発生するスクリュ20の回転が、容器の長手方向が垂直である延伸部に沿って混合物を制御状態で下向きに送出し、最後に容器の下端部の放出口4から供給管51の中へ混合物を放出する。このような管では、送風部材60が入口52から出口53への水平方向気流を発生させ、気流中に存在する混合物を、供給管の出口から、ハロセラピー治療を実施する予定の外部環境へ供給することができる。
【0058】
好適には、操作時にスクリュは1から15 rpm好ましくは4から10 rpmの速度で回転する。例を挙げると、操作時に装置により供給される塩の投与量は、一時間あたり1から10ミリグラムである。
【0059】
好適には、ハロセラピー治療の実施が予定されている環境の容積、および/または外部からの空気の潜在的な換気、および/またはこの環境を囲繞する壁への医療用塩の付着に基づいて、一定の操作時間の後に、この環境における医療用微粒塩の所定濃度を実現するように、装置により供給される塩の投与量が調節される。例を挙げると、この濃度は1立方メートルあたり1から20ミリグラムの間である。
【0060】
好適には、同じ化学組成と異なる粒度とを有する塩混合物を所定の質量分率に従って含有する袋状体から、混合物を取り出す。
例えばこの袋状体は、20マイクロメートル好ましくは15マイクロメートルより小さく、5マイクロメートル好ましくは10マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を50%から90%の質量分率で、また5マイクロメートル好ましくは3マイクロメートルより小さい粒度を有する医療用微粒塩を10%から50%の質量分率で収容する。
【0061】
代替例では、袋状体は、30マイクロメートル好ましくは15マイクロメートルより小さく、5マイクロメートル好ましくは10マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を5%から10%の質量分率で、5マイクロメートル好ましくは3マイクロメートルより小さい粒度を有する医療用微粒塩を1%から5%の質量分率で、また50マイクロメートル好ましくは100マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を85%から94%の質量分率で収容する。
例を挙げると、袋状体は、10マイクロメートルより小さい粒度を有する医療用微粒塩を5%から10%の質量分率で、また100マイクロメートルより大きい粒度を有する医療用微粒塩を90%から95%の質量分率で収容する。
【符号の説明】
【0062】
1・・医療用微粒塩を供給するための装置、2・・容器、3・・下端部、5・・上方部、20・・スクリュ、22・・下方端部、25・・ステム、30・・回転部材、40・・電子中央ユニット、50・・ディスペンサ、60・・送風部材。
図1
図2
図3
図4