特許第5909735号(P5909735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909735
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】スピードスプレーヤの送風機構
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20160414BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A01M7/00 N
   B05B17/00 102
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-51972(P2011-51972)
(22)【出願日】2011年3月9日
(65)【公開番号】特開2012-187024(P2012-187024A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2013年1月11日
【審判番号】不服2015-11126(P2015-11126/J1)
【審判請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186784
【氏名又は名称】株式会社ショーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆博
(72)【発明者】
【氏名】久保 武則
【合議体】
【審判長】 赤木 啓二
【審判官】 住田 秀弘
【審判官】 谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−104857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
B05B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射方向に複数の動翼ブレードを設けた動翼部と、この動翼部を回転させる回転駆動部と、放射方向に複数の静翼ブレードを設け、かつ前記動翼部による送風方向前方に固定して配設した静翼部と、この静翼部の送風方向前方に配し、かつ前記動翼部からの送風を放射方向に整流する放出部とを備え、この放出部に臨ませた複数の噴霧ノズルから吐出する薬液を放射方向に噴霧するスピードスプレーヤの送風機構であって、前記静翼部に備える静翼ブレードにおける一部の静翼ブレードとして前記噴霧ノズルが存在しない下側領域に位置する静翼ブレードを選定し、この選定した一部の静翼ブレードを、放射方向軸に対する周方向の角度が、前記動翼部による送風方向に対して順応する方向、かつスピードスプレーヤの前後方向に対して、40±20゜の範囲になるように、予め設定して固定し,又は回動取付手段により回動可能に取付けるとともに静翼ブレード固定手段により複数の異なる角度から選択して固定してなることを特徴とするスピードスプレーヤの送風機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射方向に複数の静翼ブレードを設けた静翼部を備えるスピードスプレーヤの送風機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圃場の果樹等に薬液を噴霧する際に用いるスピードスプレーヤは知られている。この種のスピードスプレーヤは、通常、放射方向に複数の動翼ブレードを設けた動翼部と、この動翼部を回転させる回転駆動部と、放射方向に複数の静翼ブレードを設け、かつ動翼部による送風方向前方に固定して配設した静翼部と、この静翼部の送風方向前方に配し、かつ動翼部からの送風を放射方向に整流する放出部とを備え、この放出部に臨ませた複数の噴霧ノズルから吐出する薬液を放射方向に噴霧する送風機構を備えている。
【0003】
従来、このような送風機構としては、特許文献1に開示されるスピードスプレーヤの送風機、或いは特許文献2で開示されるスピードスプレヤーに搭載される送風機構が知られている。特許文献1には、送風ファン、風胴内筒、風胴カバー、吐出ベルマウス、及び固定案内翼、とを備えたスピードスプレーヤの送風機において、風胴カバーと吐出ベルマウスとを接合固定して風胴用中空外部胴体を構成するとともに、吐出ベルマウスの内筒状内周部内に放射状に配設された固定案内翼を介して風胴内筒が固定されるようにしたスピードスプレーヤの送風機が開示され、また、特許文献2には、車輛の後部から回転羽根によってエアを吸入し、放射方向に複数個の静翼を設けた整流筒により車輛本体の側方に向けてエアを噴出させるとともに、整流筒の開口部に薬液を供給するノズルを設置して、エア流によりノズルから薬液を噴霧させるスピードスプレーヤにおいて、静翼の吸入側端縁に凹凸の切欠を設けた送風機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−257456号
【特許文献2】特開2000−210001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来におけるスピードスプレーヤの送風機構は、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、薬液を噴霧する範囲は、車輛の両側方及び上方を含む扇形の範囲となるため、通常、送風機構の下側は遮蔽構造に構成して下方への無用な放出を防止している。一方、送風機構における動翼部の回転による送風は軸流となり、かつ旋回(渦巻)成分が含まれるため、静翼部を設けることにより整流を行っている。この場合、静翼部の軸方向長さを長くすれば、十分な整流を行うことができるが、現実には長さが制限されるため、整流効果は限定的となる。この結果、旋回成分が少なからず残留し、この残留成分(未整流成分)が送風機構の下側の遮蔽構造に影響を受けることにより、図6に示すように、下側の送風(噴霧方向Fwo)の左側が相対的に弱くなり、かつ右側が相対的に強くなる傾向を示すなど、送風の不安定化,送風効率(送風量)の低下,車輛付近における無用な飛散等を招く難点があった。
【0007】
第二に、この種のスピードスプレーヤは、高さの異なる様々な樹木,形の異なる様々な圃場,樹木との様々な距離等、に対応して薬液散布する必要があるため、薬液の噴霧においても、噴霧に係わる強弱や方向などのパターンを容易かつ柔軟に設定できることが望ましい。しかし、従来の送風機構、特に、静翼部については、必ずしもこの点についての考慮はされておらず、主に、噴射ノズルから薬液を吐出させる薬液供給系の調整(制御)に頼っていた。具体的には、複数のノズル群を複数のブロック単位に分け、それぞれのブロックを選択的に使用したり、或いは薬液を送出する送液ポンプ(バルブ)の吐出圧(吐出流量)を可変制御するなどの制御に頼っていたため、コストアップを招くとともに、多様性を高め、かつ緻密な制御(設定)を実現するにも限界があった。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したスピードスプレーヤの送風機構の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、放射方向に複数の動翼ブレード2p…を設けた動翼部2と、この動翼部2を回転させる回転駆動部3と、放射方向に複数の静翼ブレード4p…を設け、かつ動翼部2による送風方向Fw前方に固定して配設した静翼部4と、この静翼部4の送風方向Fw前方に配し、かつ動翼部2からの送風を放射方向に整流する放出部5とを備え、この放出部5に臨ませた複数の噴霧ノズル6…から吐出する薬液を放射方向に噴霧するスピードスプレーヤMの送風機構1を構成するに際して、静翼部4に備える静翼ブレード4p…における一部の静翼ブレード4pc…として噴霧ノズル6…が存在しない下側領域Adに位置する静翼ブレード4p…を選定し、この選定した一部の静翼ブレード4pc…を、放射方向軸Scに対する周方向Ffの角度Qiが、動翼部2による送風方向Fwに対して順応する方向、かつスピードスプレーヤ1の前後方向Fsに対して、40±20゜の範囲に設定したことを特徴とする。
【0010】
また、この際、選定した一部の静翼ブレード4pc…は、予め設定して固定し,又は回動取付手段11…により回動可能に取付けるとともに静翼ブレード固定手段12…により複数の異なる角度Qia,Qib…から選択して固定する。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係るスピードスプレーヤMの送風機構1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 選定した一部の静翼ブレード4pc…における放射方向軸Scに対する周方向Ffの角度Qiを、スピードスプレーヤMの前後方向Fsに対して、40±20゜の範囲に設定したため、送風の安定化,送風効率(送風量)の向上,車輛付近における無用な飛散防止等を図れるとともに、送風機構1の送風に対する整流を容易に最適化できる。
【0013】
(2) 選定した一部の静翼ブレード4pc…は、噴霧ノズル6…が存在しない下側領域Adに位置するため、最も大きな課題となる送風機構1における下側の送風における送風の不安定化,送風効率(送風量)の低下,車輛付近における無用な飛散等の課題を有効に解消できる。
【0014】
(3) 選定した一部の静翼ブレード4pc…における40±20゜の角度を、動翼部2による送風方向Fwに対して順応する方向に設定したため、送風方向Fwに対する整流作用のマッチングにより、送風機構1における下側の送風の有効かつ的確な整流効果を得ることができる。
【0015】
(4) 好適な態様により、複数の静翼ブレード4p…における一部又は全部の静翼ブレード4pc…の角度Qiを予め設定し、固定して配設するようにすれば、メーカーサイドにおいて最も望ましい態様に設定できるため、ユーザーサイドによる設定を不要にすることができる。
【0016】
(5) 好適な態様により、複数の静翼ブレード4p…における一部又は全部の静翼ブレード4pc…を回動可能に取付ける回動取付手段11…と、この回動取付手段11…により回動させた静翼ブレード4pc…を、少なくとも異なる複数の角度Qia,Qib…を選択して固定可能な静翼ブレード固定手段12…とを備えて構成すれば、任意に選択した一部又は全部の静翼ブレード4pc…に対して任意の角度Qia…を設定できるため、噴霧に係わる強弱や方向などの各種パターンを容易かつ柔軟に設定でき、薬液噴霧に係わる多様性の向上、更には緻密な制御(設定)を実現できるとともに、低コストに実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の好適実施形態に係る送風機構の要部を示す背面図、
図2図1中のX−X線における一部断面を含む同送風機構の平面図、
図3】同送風機構における静翼部の展開図
図4】同送風機構の静翼部に用いる静翼ブレードの斜視図、
図5】同送風機構の送風方向を矢印で明示した背面図、
図6】背景技術に係わる送風機構の送風方向を矢印で明示した背面図、
図7】本発明の好適実施形態に係る送風機構を備えるスピードスプレーヤの外観側面図、
図8】本発明の変更実施形態に係る送風機構における静翼部の構成図、
図9】参考例に係る送風機構の背面図、
図10】他の参考例に係る送風機構の背面図、
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
まず、本実施形態に係る送風機構1の理解を容易にするため、スピードスプレーヤMの全体の概略構成について、図7を参照して説明する。
【0020】
スピードスプレーヤMにおいて、50はシャーシであり、このシャーシ50の前側に、左右一対の前輪51…を備えるとともに、後側に、左右一対の後輪52…を備え、搭載するエンジンにより自走する。また、シャーシ50上のボディ53には、前部に運転席54を備えるとともに、運転席54の前方におけるフロントパネル55には、ヘッドライト等の灯火器やバックミラー等の必要な車両設備を備える。さらに、運転席54の後方には、薬液タンク56及びエンジンルームや後述する回転駆動部3等を収容した機械室を搭載するとともに、この後方に本実施形態に係る送風機構1を備える薬液噴霧部57を搭載する。したがって、この薬液噴霧部57には、送風機構1とこの送風機構1に噴霧する薬液を供給する複数の噴霧ノズル6…を備える薬液供給機構58が含まれる。
【0021】
次に、本実施形態に係る送風機構1の具体的な構成について、図1図4を参照して説明する。
【0022】
送風機構1は、ボディ53の一部を構成する風胴部21を備え、この風胴部21の後端付近の内部には、放射方向に複数の動翼ブレード2p…を設けた動翼部2を配する。また、ボディ53側には、図2に仮想線で示す回転駆動部3を備え、この回転駆動部3から後方に突出する回転シャフト3sの先端に動翼部2の中心を取付ける。これにより、動翼部2は回転駆動部3により回転する。なお、回転駆動部3はエンジン等の回転駆動源により回転させることができる。
【0023】
一方、動翼部2による送風方向Fw前方には、図1及び図2に示す静翼部4を固定して配設する。静翼部4は中心位置に円筒基部4bを有し、この円筒基部4bの外周面に複数の静翼ブレード4p…の一端を固定して放射方向に突出させる。一枚の静翼ブレード4pを図4に示す。静翼ブレード4pは前後方向長さが短くなる矩形に形成し、短辺4psを緩やかに湾曲させて形成する。例示の静翼部4は十三枚の静翼ブレード4p…を備え、円筒基部4bの周方向にほぼ等間隔で配設する。
【0024】
図3は、円筒基部4bを直線方向に展開した場合における各静翼ブレード4p…の固定角度を示している。この場合、各静翼ブレード4p…は、基本的に、静翼ブレード4p…における放射方向軸Sc(図4参照)に対する周方向Ffの角度Qrを、スピードスプレーヤMの前後方向Fsに対して、概ね10゜に設定するとともに、少なくとも一部の静翼ブレード4pc…における放射方向軸Scに対する周方向Ffの角度Qiを、スピードスプレーヤMの前後方向Fsに対して、40±20゜の範囲に設定する。この角度は、図2に示すように、前後方向Fsに対して、動翼部2による送風方向Fwに対して順応する方向に設定する。このように、40±20゜の角度を、前後方向Fsに対して、動翼部2による送風方向Fwに対して順応する方向に設定すれば、送風方向Fwに対する整流作用のマッチングにより、送風機構1における下側の送風の有効かつ的確な整流効果を得ることができる。
【0025】
例示の場合、図6に示した問題点、即ち、下側の送風において、左側が相対的に弱くなり、かつ右側が相対的に強くなる傾向を解消するために、噴霧ノズル6…が存在しない下側領域Adに位置する静翼ブレード4p…、具体的には、図1に示すように、下側に位置する三枚の静翼ブレード4pc…における放射方向軸Scに対する周方向Ffの角度Qiを、スピードスプレーヤMの前後方向Fsに対して、概ね40゜に設定した。この角度も上述したように、前後方向Fsに対して、動翼部2による送風方向Fwに対して順応する方向に設定する(図2参照)。なお、図2は、図1中のX−X線断面を平面方向から見た静翼ブレード4pc…,4pの断面を示している。
【0026】
他方、この静翼部4の送風方向Fw前方には、動翼部2からの送風を放射方向に整流する放出部5を配設する。放出部5は、軸流方向、即ち、動翼部2から車輛(ボディ53)の前方向への送風をほぼ直角方向にガイドし、放射方向に放射する湾曲整流面5sを備えている。そして、この放出部5における送風空間Sには、図7に示すように、薬液供給機構58における複数の噴霧ノズル6…を臨ませる。各噴霧ノズル6…は、図に現れない薬液配管,バルブ及び送液ポンプを介して前述した薬液タンク56に接続される。
【0027】
次に、本実施形態に係る送風機構1の機能及び作用(動作)について、図1図5を参照して説明する。
【0028】
今、スピードスプレーヤMは薬液噴霧モードにより運転されているものとする。この場合、回転駆動部3の回転により動翼部2が回転する。このときの動翼部2の回転方向は、図1及び図2中、矢印Fd方向となる。この動翼部2の回転により、外気が風胴部21の後端口から吸入され、前方向に送風が行われる。この送風は、静翼部4により予備整流され、放出部5に至る。この場合、静翼部4には、異なる角度に設定された二種類の静翼ブレード、即ち、概ね40゜に設定した下側領域Adに位置する三枚の静翼ブレード4pc…と概ね10゜に設定した残りの十枚の静翼ブレード4p…を備えるため、送風がそれぞれの静翼ブレード4pc…,4p…を通過する際には、各静翼ブレード4pc…,4p…の角度に従って送風が予備整流される。
【0029】
この際、下側領域Adに位置する三枚の静翼ブレード4pc…を通過する送風は、図2に示すように、より左方向にガイドされるため、図5に示すように、従来例である図6に示した場合に比べて、噴霧方向Fwoは、左側が相対的に強められるとともに、右側が相対的に弱められ、下側の送風に対する最適化、更には全体の噴霧方向Fwoに対する最適化が図られる。このように、本実施形態に係る送風機構1によれば、基本的には、複数の静翼ブレード4p…における少なくとも一部の静翼ブレード4pc…における放射方向軸Scに対する周方向Ffの角度Qiを、スピードスプレーヤMの前後方向Fsに対して、40±20゜の範囲に設定したため、送風の安定化,送風効率(送風量)の向上,車輛付近における無用な飛散防止等を図れるとともに、送風機構1の送風に対する整流を容易に最適化できる。
【0030】
特に、例示のように、少なくとも一部の静翼ブレード4pc…として、噴霧ノズル6…が存在しない下側領域Adに位置する静翼ブレード4p…を選定すれば、最も大きな課題となる送風機構1における下側の送風における送風の不安定化,送風効率(送風量)の低下,車輛付近における無用な飛散等の課題を有効に解消できる。また、例示の場合、複数の静翼ブレード4p…における一部の静翼ブレード4pc…の角度Qiを予め設定し、固定して配設したため、メーカーサイドにおいて最も望ましい態様に設定でき、ユーザーサイドによる設定を不要にできるメリットがある。
【0031】
次に、本発明の変更実施形態に係る送風機構1について、図8を参照して説明するとともに、図9及び図10には参考例を示す。
【0032】
図8に示す変更実施形態は、静翼ブレード4pc…を回動可能に取付ける回動取付手段11…と、この回動取付手段11…により回動させた静翼ブレード4pc…を、少なくとも異なる複数の角度Qia,Qib…を選択して固定可能な静翼ブレード固定手段12…とを備えて構成したものである。
【0033】
例示の場合、回動取付手段11は、静翼ブレード4pcの一端側(一方の長辺)を回動軸71により回動可能となるように円筒基部4bに取付けて構成する。また、静翼ブレード固定手段12は、静翼ブレード4pcの他端側(他方の長辺)に軸受部72によりストッパピン部73を長辺方向に変位自在に支持するとともに、スプリング74によりストッパピン部73を円筒基部4b側に付勢する。ストッパピン部73の中間位置には、操作部を兼ねるストッパプレート75を設け、軸受部72の端部により規制可能に構成する。他方、円筒基部4bには、ストッパピン部73が挿入係止する複数の係合孔76a,76b,76c,76d,76e,76f…を、ストッパピン部73の移動軌跡上に所定間隔置きに形成する。
【0034】
これにより、ストッパプレート75を手で持ってスプリング74側に変位させ、ストッパピン部73を係合孔76a…から離脱させるとともに、回動軸71を支点に静翼ブレード4pcを回動変位させ、任意の係合孔76a…にストッパピン部73を挿入すれば、静翼ブレード4pc…の角度Qia(Qi)…を任意に設定できる。
【0035】
一方、図9及び図10には参考例を示す。各参考例は、全ての静翼ブレード4p…、即ち、十三枚の静翼ブレード4p…の全部に、図8に示した変更実施形態を適用し、全ての静翼ブレード4pcs…,4pct…の角度Qia(Qi)…を任意に設定できるようにしたものである。図9は、例えば、選択した六枚の静翼ブレード4pcs…を、ほぼ遮蔽位置、即ち、角度Qia(Qi)をほぼ90゜に設定し、高い樹木の上方に集中的に噴霧できるように、噴霧方向Fwoを特定の方向に指向性を持たせた場合の一例を示す。また、図10は、例えば、選択した十枚の静翼ブレード4pct…を、交互に反対方向に設定、即ち、任意の静翼ブレード4pctを送風方向Fwに対して順応する方向に60゜程度に設定し、かつ隣の静翼ブレード4pctを送風方向Fwに対して順応する方向の反対方向に−60゜程度に設定することにより、低い位置の樹木に比較的弱く噴霧できるようにした場合の一例を示す。
【0036】
このように、図8に示す変更実施形態は、静翼ブレード4pc…を回動可能に取付ける回動取付手段11…と、この回動取付手段11…により回動させた静翼ブレード4pc…を、少なくとも異なる複数の角度Qia,Qib…を選択して固定可能な静翼ブレード固定手段12…とを備えて構成したため、任意に選択した一部又は全部の静翼ブレード4pc…に対して任意の角度Qia…を設定できる。したがって、噴霧に係わる強弱や方向などの各種パターンを容易かつ柔軟に設定でき、薬液噴霧に係わる多様性の向上、更には緻密な制御(設定)を実現できるとともに、低コストに実施できる。なお、図8図10において、図1図5と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0037】
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、複数の静翼ブレード4p…における一部又は全部の静翼ブレード4pc…を回動可能に取付ける回動取付手段11…として、例示は、静翼ブレード4pcの一端に設けた場合を示したが、中間位置に設けてもよい。また、静翼ブレード4pc…を、少なくとも異なる複数の角度Qia,Qib…を選択して固定可能な静翼ブレード固定手段12…として、例示は、複数の係合孔76a…を選択してストッパピン部73を挿入する形式を示したが、連続して回動変位する際の任意の位置で固定できるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る送風機構は、薬液を噴霧する各種スピードスプレーヤに利用できる。この場合、スピードスプレーヤには、薬液を散布する各種形態の車両が含まれ、例えば、薬液散布装置を荷台に搭載した四輪トラックやトラクタ等も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1:送風機構,2:動翼部,2p…:動翼ブレード,3:回転駆動部,4:静翼部,4p…:静翼ブレード,4pc…:静翼ブレード,5:放出部,6…:噴霧ノズル,11…:回動取付手段,12…:静翼ブレード固定手段,M:スピードスプレーヤ,Ad:下側領域,Fw:送風方向,Ff:周方向,Fs:前後方向,Sc:放射方向軸,Qi:角度,Qia:角度,Qib:角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10