特許第5909739号(P5909739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909739
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】排気システムおよび排気装置制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20160414BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20160414BHJP
   F04C 28/08 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F04B49/06 341J
   F04B49/06 341L
   F04C25/02 B
   F04C28/08 B
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-82851(P2014-82851)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-203349(P2015-203349A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2015年7月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】北澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】大野 真喜
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−048755(JP,A)
【文献】 特開平05−157374(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028450(WO,A1)
【文献】 特開2001−140768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 25/02
F04C 28/08
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気対象から接続用配管を介して気体を排気する少なくとも1台の回転数固定型排気装置と、
予め規定された第1の回転数、および当該第1の回転数よりも高回転の予め規定された第2の回転数の間の回転数で動作可能に構成されて前記排気対象から前記接続用配管を介して前記気体を排気するN台(Nは、2以上の自然数)の回転数可変型排気装置と、
負荷が減少したときに前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置の動作状態を変更して前記気体の排気量を低減させる排気量低減処理を実行すると共に負荷が増加したときに当該回転数固定型排気装置および当該回転数可変型排気装置の動作状態を変更して当該気体の排気量を増加させる排気量増加処理を実行することによって前記接続用配管内の真空圧を予め設定された真空圧範囲内の真空圧に維持する制御部とを備えた排気システムであって、
前記第1の回転数以上で前記第2の回転数よりも低回転の予め規定された第3の回転数が前記排気量低減処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の下限として当該排気量低減処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定され、
前記制御部は、前記N台の回転数可変型排気装置のうちのM台(Mは、2以上N以下の自然数)を少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置と共に動作させている状態において前記気体の排気量を低減させるときに、当該M台の回転数可変型排気装置のうちのL台(Lは、M以下の自然数)の予め指定された当該回転数可変型排気装置の回転数が前記第3の回転数よりも高回転のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第1の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在し、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、当該L台の回転数可変型排気装置の他に動作している当該回転数可変型排気装置を1台停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第2の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在せず、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第3の処理と、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に停止状態の前記回転数可変型排気装置の動作を開始させる第4の処理との少なくとも一方を前記排気量低減処理として実行する排気システム。
【請求項2】
前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置は、前記排気量低減処理において停止させる前記回転数固定型排気装置による第1の排気量と、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置を前記第3の回転数で動作させたときの第2の排気量とを合わせた第3の排気量よりも、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点で動作状態となっているように制御される当該回転数可変型排気装置を前記第2の回転数で動作させたときの第4の排気量の方が多くなるとの条件を満たす排気能力を有する装置でそれぞれ構成され、
前記制御部は、前記排気量低減処理に際して前記回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置による第5の排気量が前記第1の排気量よりも多くなるように前記第3の処理および前記第4の処理のいずれか一方を実行する請求項1記載の排気システム。
【請求項3】
前記回転数可変型排気装置の動作台数がM=2台のときの前記第3の回転数が前記第1の回転数と等しい回転数に規定されている請求項1または2記載の排気システム。
【請求項4】
前記第3の回転数よりも高回転で前記第2の回転数以下の予め規定された第4の回転数が前記排気量増加処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の上限として当該排気量増加処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定され、
前記制御部は、前記気体の排気量を増加させるときに、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数が前記第4の回転数よりも低回転のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、当該第4の回転数よりも低回転で動作している当該回転数可変型排気装置の回転数を上昇させる第5の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置および少なくとも1台の前記回転数可変型排気装置がそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第4の回転数のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、停止状態の当該回転数可変型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該第4の回転数で動作させていた当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第6の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、前記N台の回転数可変型排気装置のすべてが前記第4の回転数で動作しているときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該N台の回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第7の処理を前記排気量増加処理として実行する請求項1から3のいずれかに記載の排気システム。
【請求項5】
各動作台数毎の前記第4の回転数のすべてが前記第2の回転数と等しい回転数に規定されている請求項4記載の排気システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記排気量低減処理において、前記第3の回転数よりも高回転で動作している前記回転数可変型排気装置が複数存在するときに当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該各回転数可変型排気装置のすべての回転数をそれぞれ低下させる請求項1から5のいずれかに記載の排気システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記排気量低減処理および前記排気量増加処理において、動作中の前記回転数可変型排気装置が複数存在するときに動作中の当該各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する1から6のいずれかに記載の排気システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記排気量低減処理において、前記第3の回転数よりも高回転で動作している前記回転数可変型排気装置が複数存在するときに当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該各回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を変化させることなく、当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該回転数可変型排気装置のうちの他の少なくとも1台の回転数を低下させる請求項1から5のいずれかに記載の排気システム。
【請求項9】
前記接続用配管に配設されて当該接続用配管内の真空圧を検出する圧力センサを備え、
前記制御部は、前記圧力センサから出力されるセンサ信号に基づいて前記接続用配管内の真空圧を特定すると共に、特定した真空圧が前記予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別して前記排気量低減処理を実行し、かつ特定した真空圧が当該予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別して前記排気量増加処理を実行する請求項1から8のいずれかに記載の排気システム。
【請求項10】
排気対象から接続用配管を介して気体を排気する少なくとも1台の回転数固定型排気装置と、予め規定された第1の回転数、および当該第1の回転数よりも高回転の予め規定された第2の回転数の間の回転数で動作可能に構成されて前記排気対象から前記接続用配管を介して前記気体を排気するN台(Nは、2以上の自然数)の回転数可変型排気装置とを備えて構成された排気システムにおいて、負荷が減少したときに前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置の動作状態を変更して前記気体の排気量を低減させる排気量低減処理を実行すると共に負荷が増加したときに当該回転数固定型排気装置および当該回転数可変型排気装置の動作状態を変更して当該気体の排気量を増加させる排気量増加処理を実行することによって前記接続用配管内の真空圧を予め設定された真空圧範囲内の真空圧に維持する排気装置制御方法であって、
前記第1の回転数以上で前記第2の回転数よりも低回転の予め規定された第3の回転数を前記排気量低減処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の下限として当該排気量低減処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定すると共に、前記N台の回転数可変型排気装置のうちのM台(Mは、2以上N以下の自然数)を少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置と共に動作させている状態において前記気体の排気量を低減させるときに、当該M台の回転数可変型排気装置のうちのL台(Lは、M以下の自然数)の予め指定された当該回転数可変型排気装置の回転数が前記第3の回転数よりも高回転のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、少なくとも当該L台の回転数可変型排気装置の回転数を低下させる第1の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在し、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、当該L台の回転数可変型排気装置の他に動作している当該回転数可変型排気装置を1台停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第2の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在せず、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第3の処理と、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に停止状態の前記回転数可変型排気装置の動作を開始させる第4の処理との少なくとも一方を前記排気量低減処理として実行する排気装置制御方法。
【請求項11】
前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置が、前記排気量低減処理において停止させる前記回転数固定型排気装置による第1の排気量と、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置を前記第3の回転数で動作させたときの第2の排気量とを合わせた第3の排気量よりも、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点で動作状態となっているように制御される当該回転数可変型排気装置を前記第2の回転数で動作させたときの第4の排気量の方が多くなるとの条件を満たす排気能力を有する装置でそれぞれ構成された前記排気システムにおいて、前記排気量低減処理に際して前記回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置による第5の排気量が前記第1の排気量よりも多くなるように前記第3の処理および前記第4の処理のいずれか一方を実行する請求項10記載の排気装置制御方法。
【請求項12】
前記第3の回転数よりも高回転で前記第2の回転数以下の予め規定された第4の回転数を前記排気量増加処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の上限として当該排気量増加処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定すると共に、前記気体の排気量を増加させるときに、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数が前記第4の回転数よりも低回転のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、当該第4の回転数よりも低回転で動作している当該回転数可変型排気装置の回転数を上昇させる第5の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置および少なくとも1台の前記回転数可変型排気装置がそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第4の回転数のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、停止状態の当該回転数可変型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該第4の回転数で動作させていた当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第6の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、前記N台の回転数可変型排気装置のすべてが前記第4の回転数で動作しているときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該N台の回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第7の処理を前記排気量増加処理として実行する請求項10または11記載の排気装置制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続用配管を介して排気対象に接続される複数の排気装置を備えて構成された排気システム、およびそのような排気システムにおいて排気装置を制御する排気装置制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献には、ウェーハ保持ヘッド(減圧吸着機構:以下、単に「保持ヘッド」ともいう)に接続された減圧ポンプによって保持ヘッド内の空気を吸引して保持ヘッドから排気することで吸着対象物(ワーク:ウェーハ)を保持ヘッドによって吸着して保持可能に構成されたワーク吸着装置が開示されている。
【0003】
この場合、この種の装置において複数の排気対象(上記の保持ヘッド等)から気体(空気)を排気する際には、排気装置(減圧ポンプ)の排気能力が不足して必要量の気体を排気するのが困難となることがある。その場合、大量の気体を排気可能な大型の排気装置(排気能力が高い排気装置)を採用することによって複数の排気対象から十分な量の気体を排気することが可能となるが、各排気対象の動作状態が変化して(例えば、保持ヘッド等の使用台数が減少して)大量の気体を排気する必要がなくなったときに、大型の排気装置を動作させている分だけ電力が不要に消費されるだけでなく、各排気対象と排気装置とを接続している配管内の真空圧が過剰に高くなり、排気装置に大きな負担がかかる事態を招くおそれがある。したがって、出願人は、排気対象に対して複数台の排気装置を並列接続すると共に、各排気装置の動作状態を負荷量に応じて変化させることにより、少量の空気(気体)を排気する状態から大量の空気(気体)を排気する状態までの各種の状態において、予め設定された真空圧範囲内の真空圧で空気を吸引して排気対象から排気可能な排気システムを開発した。
【0004】
具体的には、図1に示すように、出願人が開発した排気システム1x(以下、この排気システム1xの構成要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する)では、インバータ回路4ax,4bxから供給される電力の周波数に応じて回転数を変化させられる(空気の排気量を変化させられる)回転数可変型の真空ポンプ2ax,2bxと、電源回路5xからの電力供給に伴って一定の回転数で動作させられる(一定の排気力で空気を排気する)回転数固定型の真空ポンプ3xと、インバータ回路4axによる真空ポンプ2axへの電力供給、インバータ回路4bxによる真空ポンプ2bxへの電力供給、および電源回路5xによる真空ポンプ3xへの電力供給を制御することで真空ポンプ2ax,2bx,3xの動作状態を変化させ、排気システム1x全体としての排気対象からの空気の排気量を調整する制御部7xとを備えている。
【0005】
この排気システム1xでは、各真空ポンプ2ax,2bx,3xが接続用配管8を介して排気対象に接続されると共に、一例として、制御部7xが接続用配管8に配設された圧力センサ6xからのセンサ信号に基づいて接続用配管8内の真空圧を測定し、測定結果に応じてインバータ回路4ax,4bxや電源回路5xを制御して空気の排気量を調整する構成が採用されている。この場合、上記の真空ポンプ3xのような回転数固定型排気装置の消費電力は、上記の真空ポンプ2ax,2bxのような回転数可変型排気装置を、回転数固定型排気装置の動作時における気体の排気量と同じ排気量となる回転数で動作させたときの消費電力よりもやや少ない(回転数固定型排気装置の方が回転数可変型排気装置よりも消費電力あたりの排気量が多い:エネルギー効率が良い)ことが知られている。したがって、出願人が開発した排気システム1xでは、必要とされる排気量が多いときに、消費電力が少ない真空ポンプ3xを動作させる構成を採用することにより、回転数可変型排気装置だけで構成した排気システムと比較して、そのランニングコストを低減することが可能となっている。
【0006】
具体的には、この排気システム1xによって排気対象から空気を排気する際には、制御部7xが、図8に示すように各真空ポンプ2ax,2bx,3xの動作状態を制御することにより、接続用配管8内の真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧となるように空気を吸引することで排気対象から空気を排気させる。この場合、同図では、接続用配管8内の真空圧が上記の真空圧範囲内の真空圧よりも上昇したとき(すなわち、負荷が減少して空気の排気量を低減させる必要が生じたとき:排気量低減処理時)に制御部7xが各真空ポンプ2ax,2bx,3xをどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて左図に表している。また、同図では、接続用配管8内の真空圧が上記の真空圧範囲内の真空圧よりも低下したとき(すなわち、負荷が増加して空気の排気量を増加させる必要が生じたとき:排気量増加処理時)に制御部7xが各真空ポンプ2ax,2bx,3xをどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて右図に表している。
【0007】
なお、真空ポンプ2ax,2bxのような回転数可変型排気装置では、所定の回転数を下回る動作状態において気体を十分に排気するのが困難となることが知られている。このため、回転数可変型排気装置の使用に際しては、必要とされる真空圧を維持し得る排気が可能な回転数の下限と、例えば排気装置の破損や耐用寿命の低下を招くことのない回転数の上限とがそれぞれ規定されており、規定された下限と上限との間の回転数範囲内の回転数で動作させることが行われている。以下、排気システム1xにおける真空ポンプ2ax,2bxでは、一例として、上記の回転数の上限を100%としたときに、回転数の下限を30%に規定した状態で使用するものとして説明する。また、排気システム1xの動作原理についての理解を容易とするために、両真空ポンプ2ax,2bxの排気能力(同じ回転数で動作しているときの空気の排気量)が互いに等しく、かつ、真空ポンプ2ax,2bxを100%の回転数で動作させたときの空気の排気量が、真空ポンプ3xの動作時における空気の排気量と等しいものとする。
【0008】
この排気システム1xでは、一例として、真空ポンプ2ax,2bxをそれぞれ100%の回転数で動作させ、かつ真空ポンプ3xを動作させている状態(排気システム1xによる空気の排気量が排気量AMxの状態)において負荷が減少して真空圧が上昇したときに、制御部7xが、排気量低減処理を実行し、左図に示すように、その負荷量において必要とされる排気量に応じてインバータ回路4ax,4bxを制御して真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ低下させる。この際に、回転数を低下させられた状態で真空ポンプ3xと共に動作させている真空ポンプ2ax,2bxによる合計排気量が真空ポンプ3xによる排気量と等しい状態(すなわち、真空ポンプ2ax,2bxをそれぞれ50%の回転数で動作させている状態:排気量Aaxの状態)において排気システム1xによる空気の排気量をさらに低減させる必要があるときに、制御部7xは、電源回路5xを制御して真空ポンプ3xを停止させると共に、インバータ回路4ax,4bxを制御して真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ100%に上昇させ、その後に、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4ax,4bxを制御して真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ低下させる。
【0009】
また、真空ポンプ3xを停止させた状態において動作を継続させられている真空ポンプ2ax,2bxの合計排気量が真空ポンプ2axを100%の回転数で動作させたときの排気量と等しい状態(すなわち、真空ポンプ2ax,2bxをそれぞれ50%の回転数で動作させている状態:排気量Abxの状態)において排気システム1xによる空気の排気量をさらに低減させる必要があるときに、制御部7xは、インバータ回路4ax,4bxを制御することにより、真空ポンプ2bxを停止させると共に真空ポンプ2axの回転数を100%に上昇させ、その後に、インバータ回路4axを制御することにより、必要とされる排気量となるように真空ポンプ2axの回転数を低下させる。さらに、真空ポンプ3x,2bxを停止させた状態において動作を継続させられている真空ポンプ2axを30%の回転数で動作させている状態(排気量Acxの状態)において排気システム1xによる空気の排気量をさらに低減させる必要があるときに、制御部7xは、インバータ回路4axを制御して真空ポンプ2axを停止させる。
【0010】
一方、真空ポンプ2ax,2bx,3xのすべてが停止している状態において空気を排気する必要が生じたときに、制御部7xは、排気量増加処理を実行して、インバータ回路4axを制御することで真空ポンプ2axの動作を開始させる。この際には、真空ポンプ2axが30%の回転数で動作を開始して排気量Baxで空気を排気する。次いで、制御部7xは、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4axを制御して真空ポンプ2axの回転数を上昇させる。この際に、真空ポンプ2axの回転数が100%に達した状態(排気量Bbxの状態)において排気システム1xによる空気の排気量をさらに増加させる必要があるときに、制御部7xは、インバータ回路4ax,4bxを制御することにより、真空ポンプ2axの回転数を50%に低下させると共に真空ポンプ2bxを50%の回転数で動作させ、その後に、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4ax,4bxを制御して真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ上昇させる。
【0011】
また、真空ポンプ2ax,2bxの回転数がそれぞれ100%に達した状態(排気量Bcxの状態)において排気システム1xによる空気の排気量をさらに増加させる必要があるときに、制御部7xは、インバータ回路4ax,4bxを制御して真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ50%に低下させると共に、電源回路5xを制御して真空ポンプ3xの動作を開始させ、その後に、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4ax,4bxを制御して真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ上昇させる。
【0012】
なお、排気システム1xの動作原理についての理解を容易とするために、排気システム1による空気の排気量を排気量AMxから排気量Acx(A0x)まで徐々に低減させ、その後に排気量を排気量Bax(B0x)から排気量BMxまで徐々に増加させる際の制御部7xによる各真空ポンプ2ax,2bx,3xの制御手順(動作状態の変更手順)について説明したが、実際には、例えば、排気量AMxから排気量Aaxまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下し、これに応じて排気量Bcxから排気量BMxまでの範囲内において排気量を増加させる制御が行われたり、排気量Bbxから排気量Bcxまでの範囲内において排気量を増加させる制御が行われた後に負荷が減少して真空圧が上昇し、これに応じて排気量Aaxから排気量Abxまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われたりする。これにより、出願人が開発した排気システム1xでは、真空ポンプ2ax,2bx,3xの動作状態を適宜変更することにより、排気量AMxから排気量A0xまでの範囲内(排気量B0xから排気量BMxまでの範囲内)で、必要とされる任意の排気量で排気対象から空気を排気することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4446246号公報(第7−12頁、第1−6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、出願人が開発した排気システム1x、および排気システム1xにおける真空ポンプ2ax,2bx,3xの制御方法には、以下の改善すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開示している排気システム1xでは、真空ポンプ2ax,2bxによる合計排気量が真空ポンプ3xによる排気量と等しい運転状態において排気量を低減させる必要があるときに、真空ポンプ3xを停止させると共に真空ポンプ2ax,2bxの回転数をそれぞれ上昇させる構成が採用されている。このため、出願人が開発した排気システム1xでは、実現し得る排気量AMxから排気量A0xまでの範囲のうちの2/3の範囲(排気量Aaxから排気量A0xまでの範囲)において真空ポンプ3xを停止させた状態とする制御が行われ、排気量を低減させるべきときに真空ポンプ2ax,2bxの回転数を低下させることで対応可能な排気量(例えば、図8における排気量A2x)であっても真空ポンプ3xを停止させている。したがって、出願人が開発した排気システム1xでは、エネルギー効率が良い真空ポンプ3xの稼働率が低いため、この点を改善することで排気システム1xのランニングコストを一層低減するのが好ましい。
【0015】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、回転数固定型排気装置の稼働率を十分に向上させ得る排気システムおよび排気装置制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の排気システムは、排気対象から接続用配管を介して気体を排気する少なくとも1台の回転数固定型排気装置と、予め規定された第1の回転数、および当該第1の回転数よりも高回転の予め規定された第2の回転数の間の回転数で動作可能に構成されて前記排気対象から前記接続用配管を介して前記気体を排気するN台(Nは、2以上の自然数)の回転数可変型排気装置と、負荷が減少したときに前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置の動作状態を変更して前記気体の排気量を低減させる排気量低減処理を実行すると共に負荷が増加したときに当該回転数固定型排気装置および当該回転数可変型排気装置の動作状態を変更して当該気体の排気量を増加させる排気量増加処理を実行することによって前記接続用配管内の真空圧を予め設定された真空圧範囲内の真空圧に維持する制御部とを備えた排気システムであって、前記第1の回転数以上で前記第2の回転数よりも低回転の予め規定された第3の回転数が前記排気量低減処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の下限として当該排気量低減処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定され、前記制御部は、前記N台の回転数可変型排気装置のうちのM台(Mは、2以上N以下の自然数)を少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置と共に動作させている状態において前記気体の排気量を低減させるときに、当該M台の回転数可変型排気装置のうちのL台(Lは、M以下の自然数)の予め指定された当該回転数可変型排気装置の回転数が前記第3の回転数よりも高回転のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第1の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在し、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、当該L台の回転数可変型排気装置の他に動作している当該回転数可変型排気装置を1台停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第2の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在せず、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第3の処理と、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に停止状態の前記回転数可変型排気装置の動作を開始させる第4の処理との少なくとも一方を前記排気量低減処理として実行する。
【0017】
請求項2記載の排気システムは、請求項1記載の排気システムにおいて、前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置は、前記排気量低減処理において停止させる前記回転数固定型排気装置による第1の排気量と、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置を前記第3の回転数で動作させたときの第2の排気量とを合わせた第3の排気量よりも、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点で動作状態となっているように制御される当該回転数可変型排気装置を前記第2の回転数で動作させたときの第4の排気量の方が多くなるとの条件を満たす排気能力を有する装置でそれぞれ構成され、前記制御部は、前記排気量低減処理に際して前記回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置による第5の排気量が前記第1の排気量よりも多くなるように前記第3の処理および前記第4の処理のいずれか一方を実行する。
【0018】
請求項3記載の排気システムは、請求項1または2記載の排気システムにおいて、前記回転数可変型排気装置の動作台数がM=2台のときの前記第3の回転数が前記第1の回転数と等しい回転数に規定されている。
【0019】
請求項4記載の排気システムは、請求項1から3のいずれかに記載の排気システムにおいて、前記第3の回転数よりも高回転で前記第2の回転数以下の予め規定された第4の回転数が前記排気量増加処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の上限として当該排気量増加処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定され、前記制御部は、前記気体の排気量を増加させるときに、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数が前記第4の回転数よりも低回転のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、当該第4の回転数よりも低回転で動作している当該回転数可変型排気装置の回転数を上昇させる第5の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置および少なくとも1台の前記回転数可変型排気装置がそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第4の回転数のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、停止状態の当該回転数可変型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該第4の回転数で動作させていた当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第6の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、前記N台の回転数可変型排気装置のすべてが前記第4の回転数で動作しているときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該N台の回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第7の処理を前記排気量増加処理として実行する。
【0020】
請求項5記載の排気システムは、請求項4記載の排気システムにおいて、各動作台数毎の前記第4の回転数のすべてが前記第2の回転数と等しい回転数に規定されている。
【0021】
請求項6記載の排気システムは、請求項1から5のいずれかに記載の排気システムにおいて、前記制御部は、前記排気量低減処理において、前記第3の回転数よりも高回転で動作している前記回転数可変型排気装置が複数存在するときに当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該各回転数可変型排気装置のすべての回転数をそれぞれ低下させる。なお、「回転数可変型排気装置のすべての回転数をそれぞれ低下させる」との制御には、「回転数可変型排気装置のすべての回転数をそれぞれ等しく低下させる」との制御だけでなく、「回転数可変型排気装置のすべての回転数を互いに相違する低下量でそれぞれ低下させる」との制御がこれに含まれる。
【0022】
請求項7記載の排気システムは、請求項1から6のいずれかに記載の排気システムにおいて、前記制御部は、前記排気量低減処理および前記排気量増加処理において、動作中の前記回転数可変型排気装置が複数存在するときに動作中の当該各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する。
【0023】
請求項8記載の排気システムは、請求項1から5のいずれかに記載の排気システムにおいて、前記制御部は、前記排気量低減処理において、前記第3の回転数よりも高回転で動作している前記回転数可変型排気装置が複数存在するときに当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該各回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を変化させることなく、当該第3の回転数よりも高回転で動作している当該回転数可変型排気装置のうちの他の少なくとも1台の回転数を低下させる。
【0024】
請求項9記載の排気システムは、請求項1から8のいずれかに記載の排気システムにおいて、前記接続用配管に配設されて当該接続用配管内の真空圧を検出する圧力センサを備え、前記制御部は、前記圧力センサから出力されるセンサ信号に基づいて前記接続用配管内の真空圧を特定すると共に、特定した真空圧が前記予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別して前記排気量低減処理を実行し、かつ特定した真空圧が当該予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別して前記排気量増加処理を実行する。
【0025】
請求項10記載の排気装置制御方法は、排気対象から接続用配管を介して気体を排気する少なくとも1台の回転数固定型排気装置と、予め規定された第1の回転数、および当該第1の回転数よりも高回転の予め規定された第2の回転数の間の回転数で動作可能に構成されて前記排気対象から前記接続用配管を介して前記気体を排気するN台(Nは、2以上の自然数)の回転数可変型排気装置とを備えて構成された排気システムにおいて、負荷が減少したときに前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置の動作状態を変更して前記気体の排気量を低減させる排気量低減処理を実行すると共に負荷が増加したときに当該回転数固定型排気装置および当該回転数可変型排気装置の動作状態を変更して当該気体の排気量を増加させる排気量増加処理を実行することによって前記接続用配管内の真空圧を予め設定された真空圧範囲内の真空圧に維持する排気装置制御方法であって、前記第1の回転数以上で前記第2の回転数よりも低回転の予め規定された第3の回転数を前記排気量低減処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の下限として当該排気量低減処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定すると共に、前記N台の回転数可変型排気装置のうちのM台(Mは、2以上N以下の自然数)を少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置と共に動作させている状態において前記気体の排気量を低減させるときに、当該M台の回転数可変型排気装置のうちのL台(Lは、M以下の自然数)の予め指定された当該回転数可変型排気装置の回転数が前記第3の回転数よりも高回転のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、少なくとも当該L台の回転数可変型排気装置の回転数を低下させる第1の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在し、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を停止させることなく、当該L台の回転数可変型排気装置の他に動作している当該回転数可変型排気装置を1台停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第2の処理を前記排気量低減処理として実行し、前記L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している前記回転数可変型排気装置が存在せず、かつ当該L台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第3の回転数のときには、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に動作を継続させている当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第3の処理と、前記回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に停止状態の前記回転数可変型排気装置の動作を開始させる第4の処理との少なくとも一方を前記排気量低減処理として実行する。
【0026】
請求項11記載の排気装置制御方法は、請求項10記載の排気装置制御方法において、前記回転数固定型排気装置および前記回転数可変型排気装置が、前記排気量低減処理において停止させる前記回転数固定型排気装置による第1の排気量と、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置を前記第3の回転数で動作させたときの第2の排気量とを合わせた第3の排気量よりも、当該排気量低減処理において当該回転数固定型排気装置を停止させた時点で動作状態となっているように制御される当該回転数可変型排気装置を前記第2の回転数で動作させたときの第4の排気量の方が多くなるとの条件を満たす排気能力を有する装置でそれぞれ構成された前記排気システムにおいて、前記排気量低減処理に際して前記回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする前記回転数可変型排気装置による第5の排気量が前記第1の排気量よりも多くなるように前記第3の処理および前記第4の処理のいずれか一方を実行する。
【0027】
請求項12記載の排気装置制御方法は、請求項10または11記載の排気装置制御方法において、前記第3の回転数よりも高回転で前記第2の回転数以下の予め規定された第4の回転数を前記排気量増加処理時に前記各回転数可変型排気装置の回転数を変更する範囲の上限として当該排気量増加処理の実行時における当該回転数可変型排気装置の動作台数に応じてそれぞれ規定すると共に、前記気体の排気量を増加させるときに、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数が前記第4の回転数よりも低回転のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、当該第4の回転数よりも低回転で動作している当該回転数可変型排気装置の回転数を上昇させる第5の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置および少なくとも1台の前記回転数可変型排気装置がそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の前記回転数可変型排気装置のすべての回転数が前記第4の回転数のときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、停止状態の当該回転数可変型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該第4の回転数で動作させていた当該回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第6の処理を前記排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の前記回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、前記N台の回転数可変型排気装置のすべてが前記第4の回転数で動作しているときには、停止状態の当該回転数固定型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ当該N台の回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第7の処理を前記排気量増加処理として実行する。
【発明の効果】
【0028】
請求項1記載の排気システム、および請求項10記載の排気装置制御方法では、N台の回転数可変型排気装置のうちのM台を少なくとも1台の回転数固定型排気装置と共に動作させている状態において気体の排気量を低減させるときに、M台の回転数可変型排気装置のうちのL台の予め指定された回転数可変型排気装置の回転数が第3の回転数よりも高回転のときには、回転数固定型排気装置を停止させることなく、第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第1の処理を排気量低減処理として実行し、L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している回転数可変型排気装置が存在し、かつL台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が第3の回転数のときには、回転数固定型排気装置を停止させることなく、L台の回転数可変型排気装置の他に動作している回転数可変型排気装置を1台停止させると共に動作を継続させている回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第2の処理を排気量低減処理として実行し、L台の予め指定された回転数可変型排気装置の他に動作している回転数可変型排気装置が存在せず、かつL台の回転数可変型排気装置のすべての回転数が第3の回転数のときには、回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に、動作を継続させている回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を上昇させる第3の処理、および回転数固定型排気装置を1つ停止させると共に停止状態の回転数可変型排気装置の動作を開始させる第4の処理の少なくとも一方を排気量低減処理として実行する。
【0029】
したがって、請求項1記載の排気システム、および請求項10記載の排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して、L台の予め指定された回転数可変型排気装置だけが動作している状態で、かつ回転数可変型排気装置の回転数が第3の回転数の運転状態となるまで回転数固定型排気装置を停止させることなく、動作させた状態が維持されるため、動作中の回転数可変型排気装置による合計排気量が回転数固定型排気装置による排気量と等しい運転状態において排気量を低減させる必要があるときに回転数固定型排気装置を停止させる構成・方法と比較して、エネルギー効率が良い回転数固定型排気装置を動作させた状態に制御する排気量範囲を広くすることができ、回転数固定型排気装置の稼働率を十分に向上させることができるため、排気システムによる消費電力を低減することができる。また、排気量低減処理に際して回転数固定型排気装置を停止させた動作状態に制御する排気量範囲が狭い分だけ、動作開始時に加わるストレスが大きい回転数固定型排気装置の動作を開始させる頻度が低下するため、回転数固定型排気装置の耐用寿命を長くすることができる。
【0030】
請求項2記載の排気システム、および請求項11記載の排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする回転数可変型排気装置による第5の排気量が、排気量低減処理において停止させる回転数固定型排気装置による第1の排気量よりも多くなるように第3の処理および第4の処理のいずれか一方を実行することにより、回転数固定型排気装置を停止させた時点において動作中とする回転数可変型排気装置による第5の排気量が、停止させる回転数固定型排気装置による第1の排気量以下となるように第3の処理および第4の処理の少なくとも一方を実行する構成・方法とは異なり、回転数固定型排気装置の停止時に、排気システムによる排気量が著しく減少する事態を招くことなく、排気量をスムーズに低減させることができる。
【0031】
請求項3記載の排気システムによれば、回転数可変型排気装置の動作台数がM=2台のときの第3の回転数を第1の回転数と等しい回転数に規定したことにより、排気量低減処理に際して、回転数可変型排気装置の回転数が、下限として規定されている第1の回転数に低下するまで回転数固定型排気装置を動作させた状態が維持されるため、第3の回転数を第1の回転数よりも高回転に規定した構成・方法と比較して、エネルギー効率が良い回転数固定型排気装置を動作させた状態に制御する排気量範囲を十分に広くすることができるため、排気システムによる消費電力を十分に低減することができる。また、排気量低減処理に際して回転数固定型排気装置を停止させた動作状態に制御する排気量範囲が十分に狭い分だけ、動作開始時に加わるストレスが大きい回転数固定型排気装置の動作を開始させる頻度が十分に低下するため、回転数固定型排気装置の耐用寿命を十分に長くすることができる。
【0032】
請求項4記載の排気システム、および請求項12記載の排気装置制御方法では、気体の排気量を増加させるときに、少なくとも1台の回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、動作中の回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数が第4の回転数よりも低回転のときには、停止状態の回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、第4の回転数よりも低回転で動作している回転数可変型排気装置の回転数を上昇させる第5の処理を排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の回転数固定型排気装置および少なくとも1台の回転数可変型排気装置がそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の回転数可変型排気装置のすべての回転数が第4の回転数のときには、停止状態の回転数固定型排気装置の動作を開始させることなく、停止状態の回転数可変型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつ第4の回転数で動作させていた回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第6の処理を排気量増加処理として実行し、少なくとも1台の回転数固定型排気装置が停止状態で、かつ、N台の回転数可変型排気装置のすべてが第4の回転数で動作しているときには、停止状態の回転数固定型排気装置のうちの1台の動作を開始させ、かつN台の回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を低下させる第7の処理を排気量増加処理として実行する。
【0033】
したがって、請求項4記載の排気システム、および請求項12記載の排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して回転数固定型排気装置を停止させる排気量と、排気量増加処理に際して回転数固定型排気装置の動作を開始させる排気量とが相違するため、これらの排気量と同程度の排気量で気体を排気すべきときに、回転数固定型排気装置を停止させる制御、および回転数固定型排気装置の動作を開始させる制御が小刻みに繰り返して実行される事態を好適に回避することができる結果、回転数固定型排気装置の耐用寿命を一層長くすることができる。
【0034】
請求項5記載の排気システムによれば、各動作台数毎の第4の回転数のすべてを第2の回転数と等しい回転数に規定したことにより、排気量増加処理に際して、回転数可変型排気装置の回転数が、上限として規定されている第2の回転数に上昇するまで回転数固定型排気装置を停止させた状態が維持されるため、第4の回転数を第2の回転数よりも低回転に規定した構成・方法と比較して、回転数固定型排気装置の動作を開始させる頻度が一層低下するため、回転数固定型排気装置の耐用寿命を一層長くすることができる。
【0035】
請求項6記載の排気システムによれば、排気量低減処理において、第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置が複数存在するときに第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置のすべての回転数をそれぞれ低下させることにより、排気処理時に各回転数可変型排気装置に加わるストレスを同程度とすることができるため、各回転数可変型排気装置のうちのいずれかの耐用寿命が他のいずれかと比較して著しく低下する事態を回避することができる。
【0036】
請求項7記載の排気システムによれば、排気量低減処理および排気量増加処理において、動作中の回転数可変型排気装置が複数存在するときに動作中の各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御することにより、各回転数可変型排気装置のうちのいずれかの回転数を一定の回転数に固定しつつ、他のいずれかの回転数だけを変化させるように制御する構成・方法や、各回転数可変型排気装置の回転数を互いに相違する回転数に制御する構成・方法と比較して、各回転数可変型排気装置の動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
【0037】
請求項8記載の排気システムによれば、排気量低減処理において、第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置が複数存在するときに第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台の回転数を変化させることなく、第3の回転数よりも高回転で動作している各回転数可変型排気装置のうちの他の少なくとも1台の回転数を低下させることにより、例えば、各回転数可変型排気装置の回転数を互いに相違する回転数に変化させるように制御する構成・方法とは異なり、各回転数可変型排気装置のうちのいずれかの回転数を一定の回転数に固定しつつ、他の回転数可変型排気装置の回転数だけを変化させればよいため、各回転数可変型排気装置の動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
【0038】
請求項9記載の排気システムによれば、圧力センサから出力されるセンサ信号に基づいて接続用配管内の真空圧を特定すると共に、特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別して排気量低減処理を実行し、かつ特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別して排気量増加処理を実行することにより、負荷量を確実かつ容易に特定して排気システムによる気体の排気量を、必要とされる排気量に的確に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施の形態に係る排気システム1および出願人が開発している排気システム1xの構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る排気システム1における制御部7によって実行される排気量調整処理10のフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態に係る排気システム1による排気量調整処理10(排気量低減処理および排気量増加処理)の実行時における真空ポンプ2a,2b,3の動作状態の一例について説明するための説明図であって、真空ポンプ2a,2b,3のそれぞれの回転数(動作状態)を、必要とされる排気量に対応付けて表した図である。
図4】本発明の実施の形態に係る排気システム1による排気量調整処理10(排気量増加処理)の実行時における真空ポンプ2a,2b,3の他の動作状態の一例について説明するための説明図であって、真空ポンプ2a,2b,3のそれぞれの回転数(動作状態)を、必要とされる排気量に対応付けて表した図である。
図5】本発明の実施の形態に係る排気システム1による排気量調整処理10(排気量低減処理)の実行時における真空ポンプ2a,2b,3の他の動作状態の一例について説明するための説明図であって、真空ポンプ2a,2b,3のそれぞれの回転数(動作状態)を、必要とされる排気量に対応付けて表した図である。
図6】本発明の実施の形態に係る排気システム1による排気量調整処理10(排気量低減処理および排気量増加処理)の実行時における真空ポンプ2a,2b,3の動作状態の他の一例について説明するための説明図であって、真空ポンプ2a,2b,3のそれぞれの回転数(動作状態)を、必要とされる排気量に対応付けて表した図である。
図7】本発明の実施の形態に係る排気システム1による排気量調整処理10(排気量低減処理)の実行時における真空ポンプ2a,2b,3の動作状態のさらに他の一例について説明するための説明図であって、真空ポンプ2a,2b,3のそれぞれの回転数(動作状態)を、必要とされる排気量に対応付けて表した図である。
図8】出願人が開発した排気システム1xによる排気量低減処理および排気量増加処理の実行時における真空ポンプ2ax,2bx,3xの動作状態の一例について説明するための説明図であって、真空ポンプ2ax,2bx,3xのそれぞれの回転数(動作状態)を、必要とされる排気量に対応付けて表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して、排気システム、および排気装置制御方法の実施の形態について説明する。
【0041】
最初に、排気システム1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0042】
図1に示す排気システム1は、「排気システム」の一例であって、真空ポンプ2a,2b,3、インバータ回路4a,4b、電源回路5、圧力センサ6および制御部7を備え、射出成型機、吸着保持装置、真空包装機、並びに、箱体および袋体等の各種容器内の空気を脱気する工具等の各種排気対象(図示せず)から各真空ポンプ2a,2b,3によって空気(「気体」の一例)を吸引することで排気対象から空気を排気する(排気対象に対して真空圧を供給する)ことができるように構成されている。この場合、この排気システム1では、真空ポンプ2a,2b,3が接続用配管8(「接続用配管」の一例)を介して排気対象に対して並列接続されている。
【0043】
真空ポンプ2a,2bは、「回転数可変型排気装置」の一例である「インバータ制御方式の真空ポンプ」であって、後述するようにインバータ回路4a,4bから供給される電力P2a,P2bの周波数に応じた回転数(回転速)で回転するモータを動力源として備えて構成されている。この場合、本例の排気システム1では、一例として、作動用電力の定格周波数が60Hzのモータを動力源としてそれぞれ備えると共に、回転数あたりの排気能力が互いに等しい真空ポンプ(排気能力が同じ真空ポンプ)で両真空ポンプ2a,2bが構成されている。なお、「排気システム」を構成する「回転数可変型排気装置」の台数は、N=2台の本例の構成に限定されず、N=3台以上の複数台を備えて「排気システム」を構成することができる。
【0044】
また、真空ポンプ2a,2bのような「回転数可変型排気装置」は、前述したように、所定の回転数を下回る動作状態において気体を十分に排気するのが困難な状態となる。したがって、本例の排気システム1では、両真空ポンプ2a,2bに対して上記の定格周波数(60Hz)の電力P2a,P2bを供給したときの回転数(「第2の回転数」の一例)を上限の100%の回転数としたときに、その30%の回転数(「第1の回転数」の一例)を下限として規定し、30%から100%の間の回転数で真空ポンプ2a,2bを動作させるよう規定されている。
【0045】
この場合、「回転数可変型排気装置」に対して規定する「第1の回転数」は、上記の例のような「十分な量の気体(空気)を排気し得る回転数範囲の下限の回転数」に限定されず、「消費電力あたりの排気量が多い(エネルギー効率が良い)回転数範囲の下限の回転数」や、「掻き揚げ式潤滑機構を採用している場合において十分な量の潤滑油を掻き揚げることが可能な回転数」などの各種の基準に従って製造者や利用者が任意に規定することができる。同様にして、「回転数可変型排気装置」に対して規定する「第2の回転数」は、上記の例のような「動力源に定格周波数の作動用電力を供給したときの回転数」に限定されず、「消費電力あたりの排気量が多い(エネルギー効率が良い)回転数範囲の上限の回転数」、「耐用寿命が著しく低下することのない回転数範囲の上限の回転数」、「作動音が小さい回転数範囲の上限の回転数」および「排気能力に余裕がある排気装置を採用しているときに消費電力の低減を目的として任意に設定する回転数」などの各種の基準に従って製造者や利用者が任意に規定することができる。
【0046】
また、本例の排気システム1では、一例として、後述する排気量低減処理時に真空ポンプ2a,2bの回転数を変更する範囲の下限としての「第3の回転数」が上記の「第1の回転数(この例では、30%の回転数)」と等しい回転数に規定されている。なお、「第3の回転数」については、「第1の回転数以上で第2の回転数よりも低回転」との条件を満たしていれば、「第1の回転数」と相違する回転数に規定することができる。また、「回転数可変型排気装置」の台数が3台以上のときには、排気量低減処理の実行時における「回転数可変型排気装置」の動作台数に応じてそれぞれ相違する回転数に規定することもできる。
【0047】
この場合、N=2台の真空ポンプ2a,2bを備えた本例の排気システム1では、「動作台数がM台(Mは、2以上N以下の自然数)」との状態が「M=2台」の状態だけとなるため、上記のように「第3の回転数」をいずれか1種類の回転数(本例では、「第1の回転数」と等しい30%の回転数)に規定すればよいが、「回転数可変型排気装置」の台数が3台以上の構成を採用するときには、少なくとも、「回転数可変型排気装置」の動作台数がM=2台のときの「第3の回転数」を「第1の回転数」と等しい回転数に規定するのが好ましい。これにより、「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した場合と比較して、排気量低減処理において動作中の「回転数可変型排気装置」が1台だけの状態となる頻度を十分に低減することが可能となる。
【0048】
また、本例の排気システム1では、後述する排気量増加処理時に真空ポンプ2a,2bの回転数を変更する範囲の上限としての「第4の回転数」が上記の「第2の回転数(この例では、100%の回転数)」と等しい回転数に規定されている。なお、「第4の回転数」については、「第3の回転数よりも高回転で第2の回転数以下」との条件を満たしていれば、「第2の回転数」と相違する回転数に規定することができる。また、「回転数可変型排気装置」の台数が3台以上のときには、排気量増加処理の実行時における「回転数可変型排気装置」の動作台数に応じてそれぞれ相違する回転数に規定することもできる。しかしながら、後述するように、停止中の真空ポンプ2bや、停止中の真空ポンプ3の動作を再開させる頻度を低減するためには、「回転数可変型排気装置」の動作台数に拘わらず、「第4の回転数」を「第2の回転数」と等しい回転数に規定するのが好ましい。
【0049】
真空ポンプ3は、「回転数固定型排気装置」の一例であって、後述するように、電源回路5から供給される電力P3によって回転するモータを動力源として備えている。この場合、前述したように、この真空ポンプ3のような「回転数固定側の排気装置」は、真空ポンプ2a,2bのような「回転数可変型排気装置」と比較して、消費電力あたりの気体の排気量が多く、エネルギー効率が良いことが知られている。したがって、本例の排気システム1では、後述するように、負荷が大きく、必要とされる空気の排気量が多いとき(複数台の「排気装置」を動作させる必要があるとき)に、エネルギー効率が良い真空ポンプ3を動作させることで消費電力を低減する構成が採用されている。なお、「排気システム」を構成する「回転数固定型排気装置」の台数は1台に限定されず、2台以上の複数台を備えて「排気システム」を構成することができる。
【0050】
また、本例の排気システム1では、一例として、真空ポンプ2aを100%の回転数で動作させたときの排気量、真空ポンプ2bを100%の回転数で動作させたときの排気量、および真空ポンプ3を動作させたときの排気量が互いに等しい排気量となる排気装置(真空ポンプ)で各真空ポンプ2a,2b,3が構成されている。これにより、本例の排気システム1では、真空ポンプ3による排気量(「第1の排気量」の一例)と、後述する排気量低減処理において真空ポンプ3を停止させた時点において動作中とする真空ポンプ2a,2bを「第3の回転数」としての30%の回転数でそれぞれ動作させたときの排気量(「第2の排気量」の一例)とを合わせた排気量(「第3の排気量」の一例)よりも、真空ポンプ3を停止させた時点で動作状態となっているように制御される真空ポンプ2a,2bを「第2の回転数」としての100%の回転数で動作させたときの排気量(「第4の排気量」の一例)の方が多くなるとの条件が満たされている。
【0051】
インバータ回路4a,4bは、制御部7および電源回路5と相俟って「制御部」を構成し、インバータ回路4aが制御部7からの制御信号S4aに従って真空ポンプ2aに供給する電力P2aの周波数を変化させ、インバータ回路4bが制御部7からの制御信号S4bに従って真空ポンプ2bに供給する電力P2bの周波数を変化させることにより、真空ポンプ2a,2bを上記の30%から100%の間の任意の回転数で動作させる(真空ポンプ2a,2bの回転数を制御する)。なお、定格周波数である60Hzの電力P2a,P2bが供給されたときの回転数を100%の回転数として真空ポンプ2a,2bを動作させる本例では、真空ポンプ2a,2bを30%の回転数で動作させるときに、インバータ回路4a,4bが18Hzの電力P2a,P2bを真空ポンプ2a,2bに供給する。
【0052】
電源回路5は、制御部7からの制御信号S5に従って、真空ポンプ3に電力P3を供給することで真空ポンプ3を一定の回転数で動作させる。圧力センサ6は、「圧力センサ」の一例であって、各真空ポンプ2a,2b,3と排気対象とを相互に接続する接続用配管8に配設されて接続用配管8内の真空圧を検出し、検出した真空圧に応じたセンサ信号S6を出力する。
【0053】
制御部7は、前述したように、インバータ回路4a,4bおよび電源回路5と相まって「制御部」を構成し、排気システム1を総括的に制御する。具体的には、制御部7は、後述するように、図2に示す排気量調整処理10を実行し、圧力センサ6から出力されるセンサ信号S6に基づいて接続用配管8内の真空圧を特定する(測定する)と共に、特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲(「予め設定された真空圧範囲」の一例)内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別し、かつ特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別する。なお、上記の「予め設定された真空圧範囲」は、排気対象において必要とされる十分な真空圧で空気を排気可能で、かつ排気システム1の各部(真空ポンプ2a,2b,3等)に大きな負担をかけない真空圧の範囲として予め設定される。
【0054】
また、制御部7は、センサ信号S6に基づいて特定した負荷量に応じて、負荷が減少したとき(すなわち、接続用配管8内の真空圧が上記の真空圧範囲よりも高い真空圧に上昇したとき)に、インバータ回路4a,4bおよび電源回路5に制御信号S4a,S4b,S5を出力して真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を変更して、排気システム1全体としての空気の排気量を低減させる「排気量低減処理」を実行すると共に、負荷が増加したとき(すなわち、接続用配管8内の真空圧が上記の真空圧範囲よりも低い真空圧に低下したとき)に、インバータ回路4a,4bおよび電源回路5に制御信号S4a,S4b,S5を出力して真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を変更して、排気システム1全体としての空気の排気量を増加させる「排気量増加処理」を実行することにより、接続用配管8内の真空圧を上記の真空圧範囲内の真空圧に維持する。なお、「排気量低減処理」や「排気量増加処理」の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
【0055】
次に、排気システム1による排気対象からの空気の排気処理(真空圧の供給処理)について、添付図面を参照して説明する。
【0056】
この排気システム1では、制御部7が、図2に示す排気量調整処理10を実行し、接続用配管8内の真空圧の特定、および特定した真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧であるか否かの判別(真空圧の監視処理)を一定時間間隔で繰り返して実行する。具体的には、制御部7は、圧力センサ6から出力されるセンサ信号S6に基づいて接続用配管8内の真空圧を特定(測定)する(ステップ11)。次いで、制御部7は、特定した真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧であるか否かを判別する(ステップ12)。この際に、特定した真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧のときには、制御部7は、真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を変更することなく(現状の動作状態を維持させつつ)、ステップ11に戻って圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づく真空圧の特定を行う。
【0057】
一方、ステップ11において特定した真空圧が、目標真空圧に対する許容範囲よりも高い真空圧に上昇したときには(ステップ12)、制御部7は、負荷が減少したと判別して排気量低減処理を実行する。具体的には、制御部7は、まず、負荷が減少したと判別した時点における各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態(現在動作状態)を特定し(ステップ13)、次いで、上記のステップ11において特定した真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするのに必要な各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態(目標動作状態)を特定する(ステップ14)。
【0058】
また、制御部7は、特定した目標動作状態に応じて、インバータ回路4a,4bや電源回路5に制御信号S4a,S4b,S5を出力することにより、インバータ回路4aから真空ポンプ2aへの電力P2aの供給状態、インバータ回路4bから真空ポンプ2bへの電力P2bの供給状態、および電源回路5から真空ポンプ3への電力P3の供給状態を変更させて各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を変化させる(ステップ15)。これにより、接続用配管8を介しての空気の排気量が低減され、圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づいて特定される真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧となる(ステップ11,12)。
【0059】
また、ステップ11において特定した真空圧が、目標真空圧に対する許容範囲よりも低い真空圧に低下したときには(ステップ12)、制御部7は、負荷が増加したと判別して排気量増加処理を実行する。具体的には、制御部7は、まず、負荷が増加したと判別した時点における各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態(現在動作状態)を特定し(ステップ13)、次いで、上記のステップ11において特定した真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするのに必要な各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態(目標動作状態)を特定する(ステップ14)。
【0060】
また、制御部7は、特定した目標動作状態に応じて、インバータ回路4a,4bや電源回路5に制御信号S4a,S4b,S5を出力することにより、インバータ回路4aから真空ポンプ2aへの電力P2aの供給状態、インバータ回路4bから真空ポンプ2bへの電力P2bの供給状態、および電源回路5から真空ポンプ3への電力P3の供給状態を変更させて各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を変化させる(ステップ15)。これにより、接続用配管8を介しての空気の排気量が増加し、圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づいて特定される真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧となる(ステップ11,12)。
【0061】
このように、本例の排気システム1では、負荷量に応じて各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を変更することにより、出願人が開発した従来の排気システム1xと同様にして、少量の空気を排気する状態から大量の空気を排気する状態までの各種の状態において、予め設定された真空圧範囲内の真空圧で接続用配管8を介して排気対象から空気を排気することが可能となっている。
【0062】
次いで、排気システム1における上記の排気量低減処理および排気量増加処理について、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0063】
本例の排気システム1によって排気対象から空気を排気する際には、制御部7が、図3に示すように各真空ポンプ2a,2b,3の動作状態を制御することにより、接続用配管8内の真空圧が上記の目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧となるように空気を排気させる。この場合、同図は、圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づいて特定される接続用配管8内の真空圧が上記の目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも上昇したとき(すなわち、負荷が減少して空気の排気量を低減させる必要が生じたとき)に制御部7が各真空ポンプ2a,2b,3をどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて左図に表している。また、同図では、接続用配管8内の真空圧が上記の目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも低下したとき(すなわち、負荷が増加して空気の排気量を増加させる必要が生じたとき)に制御部7が各真空ポンプ2a,2b,3をどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて右図に表している。さらに、後に参照する図4〜7おいても、制御部7が各真空ポンプ2a,2b,3をどのような回転数で回転させるかを、必要とされる排気量に対応させて表している。
【0064】
この排気システム1では、一例として、M=2台の真空ポンプ2a,2bをそれぞれ100%の回転数で動作させ、かつ真空ポンプ3を動作させている状態(排気システム1による空気の排気量が排気量AMの状態)において負荷が減少して真空圧が上昇したときに、制御部7が、排気量低減処理を実行し、図3の左図に示すように、その負荷量において必要とされる排気量に応じてインバータ回路4a,4bを制御して真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ低下させる。
【0065】
この際に、制御部7は、M=2台の真空ポンプ2a,2bを真空ポンプ3と共に動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、両真空ポンプ2a,2bのうちの真空ポンプ2a(「L台の予め指定された回転数可変型排気装置」の一例であって、L=1の例)の回転数が「第3の回転数」としての30%の回転数よりも高回転のとき(図3において、排気量AM以下で排気量Aaよりも多い量の空気を排気している状態のとき)には、真空ポンプ3を停止させることなく、インバータ回路4a,4bに制御信号S4a,S4bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく低下させることにより、「第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台」としての真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく低下させる(「第1の処理」の一例であって、「動作中の回転数可変型排気装置が複数存在するときに各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が低減する。
【0066】
また、制御部7は、M=2台の真空ポンプ2a,2bを真空ポンプ3と共に動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、「L台の回転数可変型排気装置」としての真空ポンプ2aの他に動作している真空ポンプ2bが存在し、かつ真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」としての30%の回転数のとき(図3において、排気量Aaの空気を排気している状態のとき)には、真空ポンプ3を停止させることなく、インバータ回路4bに制御信号S4bを出力して真空ポンプ2bに対する電力P2bの供給を停止させることで真空ポンプ2bを停止させると共に、インバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を上昇させることにより、動作を継続させている真空ポンプ2aの回転数を30%の回転数から60%の回転数に上昇させる(「第2の処理」の一例)。次いで、制御部7は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を低下させることによって真空ポンプ2aの回転数を低下させる。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が低減する。
【0067】
この場合、本例の排気システム1とは相違するが、「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した場合には、真空ポンプ2aの回転数が30%まで低下する以前に真空ポンプ2bを停止させることとなる。このため、そのような構成を採用した場合には、真空ポンプ2a,2bの双方を動作させた状態に制御すべき排気量範囲が、上記の例における排気量AMから排気量Aaまでの排気量範囲よりも狭い範囲となり、真空ポンプ2bを停止させた状態に制御すべき排気量範囲が本例よりも広くなる。したがって、空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、停止状態の真空ポンプ2bの動作を再開させる必要が生じる頻度が高まる結果、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまでに長時間を要する事態を招くおそれがある。
【0068】
これに対して、本例の排気システム1では、前述したように、「第3の回転数」が「第1の回転数」と等しい回転数(この例では、30%の回転数)に規定されている。したがって、本例の排気システム1では、「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した場合(真空ポンプ2aの回転数が30%まで低下する以前に真空ポンプ2bを停止させる構成)とは異なり、排気量AMから排気量Aaまでの十分に広い排気量範囲に亘って真空ポンプ2a,2bの双方が動作している状態を維持することができる。このため、排気量AMから排気量Aaまでの範囲内で空気を排気している状態において空気の排気量を増加させる必要が生じたときには、図4の左図に示すように、停止状態ではない真空ポンプ2bの回転数を真空ポンプ2aの回転数と共に上昇させることにより、必要な排気量で空気を排気し得る状態まで長時間を要することなく排気量を迅速に増加させることが可能となっている。
【0069】
一方、制御部7は、L=1台の真空ポンプ2aを真空ポンプ3と共に動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、図3に示すように、真空ポンプ2aの他に動作している「回転数可変型排気装置」が存在せず(本例では、真空ポンプ2bが停止状態のとき)、かつ真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」としての30%の回転数のとき(同図において、排気量Abの空気を排気している状態のとき)には、電源回路5に制御信号S5を出力して真空ポンプ3を停止させると共に、インバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を上昇させることで真空ポンプ2aの回転数を30%の回転数から65%の回転数に上昇させ(「第3の処理」の一例)、かつインバータ回路4bに制御信号S4bを出力して真空ポンプ2bに対する電力P2bの供給を再開させることで真空ポンプ2bを65%の回転数で動作させる(「第4の処理」の一例)。
【0070】
この際に、制御部7は、真空ポンプ3を停止させた時点において動作中とする真空ポンプ2a,2bによる排気量(この例では、両真空ポンプ2a,2bをそれぞれ65%の回転数で動作させたときの排気量:「第5の排気量」の一例)が、真空ポンプ3による排気量(「第1の排気量」の一例)よりも多くなるように、上記の「第3の処理」および「第4の処理」を実行する。これにより、真空ポンプ2aが30%の回転数で動作させられ、かつ真空ポンプ3が動作状態であった状態と、真空ポンプ3が停止させられ、かつ真空ポンプ2a,2bが動作状態となった状態との間において、排気システム1全体としての空気の排気量が急激に減少する事態が回避される。この場合、排気量低減処理に際して、真空ポンプ2aだけが30%の回転数で動作している状態において排気量を低減させる必要があるときに真空ポンプ3を停止させる本例の排気システム1では、出願人が開発した排気システム1xと比較して、図3の左図における排気量A1から排気量Abまでの範囲の分だけ、真空ポンプ3を動作させた状態に制御する制御範囲が広くなっている。
【0071】
なお、「第5の排気量」が「第1の排気量」よりも多くなるように「第3の処理」および「第4の処理」の双方を実行する本例の構成・方法に代えて、「第3の処理」および「第4の処理」のいずれか一方だけを実行する構成・方法を採用することもできる。具体的には、一例として、真空ポンプ2aを100%の回転数で動作させたときの排気量が真空ポンプ3による排気量よりも多いときには、図3において、排気量Abの空気を排気している状態において排気量を低減させる必要があるときに、真空ポンプ3を停止させると共に、真空ポンプ2bの動作を開始させることなく、真空ポンプ2aの回転数を必要とされる排気量に応じて高回転に上昇させる構成・方法を採用することができる(「第3の処理」だけを実行する構成・方法の例)。また、図3において、排気量Abの空気を排気している状態において排気量を低減させる必要があるときに、真空ポンプ3を停止させると共に、真空ポンプ2aの回転数を30%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2bを100%の回転数で動作を開始させる構成・方法を採用することもできる(「第4の処理」だけを実行する構成・方法の例)。
【0072】
次いで、制御部7は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4a,4bに制御信号S4a,S4bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく低下させることによって真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく低下させる(「動作中の回転数可変型排気装置が複数存在するときに各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御の他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が低減する。
【0073】
また、制御部7は、真空ポンプ2a,2bが動作中で、かつ真空ポンプ3が停止している状態(回転数可変型排気装置と共に動作中の回転数固定型排気装置が存在しない状態)において空気の排気量を低減させるときに、真空ポンプ2aの他に動作している真空ポンプ2bが存在し、かつ真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」としての30%の回転数のとき(図3において、排気量Acの空気を排気している状態のとき)には、インバータ回路4bに制御信号S4bを出力して真空ポンプ2bに対する電力P2bの供給を停止させることで真空ポンプ2bを停止させると共に、インバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を上昇させることにより、動作を継続させている真空ポンプ2aの回転数を30%の回転数から60%の回転数に上昇させる。次いで、制御部7は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を低下させることによって真空ポンプ2aの回転数を低下させる。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が低減する。
【0074】
さらに、制御部7は、真空ポンプ2aだけが動作中で、かつその真空ポンプ2aの回転数が30%の回転数の状態(図3において排気量Adの空気を排気している状態)において空気の排気量をさらに低減させる必要があるとき(例えば、排気対象が停止状態となって空気の排気を行う必要がなくなったとき)には、インバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を維持させることで真空ポンプ2aを「第3の回転数」としての30%の回転数で動作させた状態を維持させる。この際には、真空ポンプ2b,3が停止させられ、かつ、真空ポンプ2aが30%の回転数で動作している状態となるため、接続用配管8内の真空圧が過剰に高くなる事態を招くことなく、接続用配管8内が真空の状態が維持される結果、負荷が増加したときに排気対象からの排気を直ちに開始することが可能となる。
【0075】
一方、真空ポンプ2aが30%の回転数で動作し、かつ真空ポンプ2b,3が停止している状態において空気を排気する必要が生じたとき(例えば、排気システム1の動作開始時点や、停止状態であった排気対象の動作が再開されて接続用配管8内の真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したとき)に、制御部7は、排気量増加処理を実行して、インバータ回路4aに制御信号S4aを出力することにより、図3の右図に示すように、必要とされる排気量に応じて真空ポンプ2aの回転数を上昇させる。
【0076】
この際に、制御部7は、圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づいて特定した接続用配管8内の真空圧が目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧よりも低い真空圧であると特定したとき(排気量をさらに増加させる必要があるとき)に、真空ポンプ3が停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2aの回転数が「第4の回転数」としての100%の回転数よりも低回転のとき(図3において排気量Baから排気量Bbまでの範囲内で空気を排気しているとき)には、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させることなく、インバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を上昇させることにより、「第4の回転数」よりも低回転で動作している真空ポンプ2aの回転数を上昇させる(「第5の処理」の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が増加する。
【0077】
また、真空ポンプ3および真空ポンプ2bがそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2aの回転数が「第4の回転数」としての100%の回転数の状態(同図において排気量Bbで空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときに、制御部7は、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させることなく、インバータ回路4bに制御信号S4bを出力して真空ポンプ2bに対して電力P2bの供給を開始させることにより、停止状態であった真空ポンプ2bを50%の回転数で動作を開始させ、かつインバータ回路4aに制御信号S4aを出力して真空ポンプ2aに対して供給する電力P2aの周波数を低下させることにより、100%の回転数で動作させていた真空ポンプ2aの回転数を50%に低下させる(「第6の処理」の一例)。
【0078】
次いで、制御部7は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4a,4bに制御信号S4a,S4bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく上昇させることによって真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく上昇させる(「第5の処理」の他の一例であって、かつ「動作中の回転数可変型排気装置が複数存在するときに各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御の他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量が排気量Bbから排気量Bdまでさらに増加する。
【0079】
さらに、真空ポンプ3が停止状態で、かつ、N=2台の真空ポンプ2a,2bのすべてが「第4の回転数」としての100%の回転数で動作している状態(同図において排気量Bdで空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときに、制御部7は、電源回路5に制御信号S5を出力して真空ポンプ3に対する電力P3の供給を開始させることによって停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させ、かつインバータ回路4a,4bに制御信号S4a,S4bを出力して両真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数をそれぞれ等しく低下させることによって真空ポンプ2a,2bの回転数を100%の回転数から50%の回転数に等しく低下させる(「第7の処理」の一例であって、「動作中の回転数可変型排気装置が複数存在するときに各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御のさらの他の一例)。
【0080】
次いで、制御部7は、必要とされる排気量に応じてインバータ回路4a,4bに制御信号S4a,S4bを出力して真空ポンプ2a,2bに対して供給する電力P2a,P2bの周波数を等しく上昇させることによって真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく上昇させる(「動作中の回転数可変型排気装置が複数存在するときに各回転数可変型排気装置のすべての回転数を同じ回転数に制御する」との制御のさらに他の一例)。これにより、排気システム1全体としての空気の排気量がさらに増加する。
【0081】
この場合、本例の排気システム1における真空ポンプ3のような「回転数固定型排気装置」は、電力の供給開始から、十分な量の空気を排気可能な状態となるまでにある程度の時間を要することが知られている。また、「回転数固定型排気装置」は、動作開始時に内部機構(例えば、動力源としてのモータの力を排気機構部に伝達するための動力伝達部(タイミングベルト、またはチェーンや、プーリ、またはスプロケット等の部品))に大きなストレスが加わるため、動作開始および動作停止を小刻みに繰り返して行ったときには、その耐用寿命が著しく低下することとなる。
【0082】
また、本例の排気システム1とは相違するが、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定することにより、真空ポンプ2a,2bの回転数が100%まで上昇する以前に真空ポンプ3の動作を開始させる構成を採用したときには、真空ポンプ3を停止させた状態で排気量を調整すべき排気量範囲が、上記の例における排気量B0(Ba)から排気量Bdまでの排気量範囲よりも狭い範囲となり、真空ポンプ3を動作させた状態に制御すべき排気量範囲が本例の制御例よりも広くなる。したがって、そのような構成を採用した場合には、空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させる必要が生じる頻度が高まるため、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまでに長時間を要する事態を招く頻度が高まり、かつ真空ポンプ3の耐用寿命が低下するおそれがある。
【0083】
これに対して、本例の排気システム1では、前述したように、「第4の回転数」が「第2の回転数」と等しい回転数(この例では、100%の回転数)に規定されている。したがって、本例の排気システム1では、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定した場合(真空ポンプ2a,2bの回転数が100%まで上昇する以前に真空ポンプ3の動作を開始させる構成)とは異なり、排気量B0(Ba)から排気量Bdまでの十分に広い排気量範囲に亘って真空ポンプ3の動作を停止させた状態を維持することができる。このため、前述した排気量低減処理によって真空ポンプ3を停止させた状態において空気の排気量を増加させる必要が生じたときに、真空ポンプ3の動作を開始させることなく、真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させるだけで必要な排気量で排気対象から空気を排気するようにこれらを制御する排気量範囲が十分に広いため、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させる必要が生じる頻度が低くなり、必要な排気量で空気を排気し得る状態となるまで長時間を要することなく排気量を迅速に増加させることができ、かつ真空ポンプ3の耐用寿命の低下を回避することが可能となっている。
【0084】
なお、排気システム1の動作原理についての理解を容易とするために、排気システム1による空気の排気量を排気量AMから排気量Ad(A0)まで徐々に低減させ、その後に排気量を排気量Ba(B0)から排気量BMまで徐々に増加させる際の制御部7による各真空ポンプ2a,2b,3の制御手順(動作状態の変更手順)について説明したが、実際には、排気量低減処理の実行中に排気量が排気量A0まで低減される以前に排気量増加処理が実行されたり、排気量増加処理の実行中に排気量が排気量BMまで増加する以前に排気量低減処理が実行されたりする。
【0085】
この場合、出願人が開発した排気システム1xでは、排気量低減処理の実行によって図8の左図におけるいずれかの量まで低減された排気量で空気を排気している状態において排気量を増加させる必要が生じたときに、右図においてその時点における排気量に対応する態様で排気量増加処理が開始される。このため、出願人が開発した排気システム1xでは、例えば左図における排気量A1xで空気を排気している状態において排気量を低減させるために真空ポンプ3xを停止させ、排気量A2xで空気を排気している状態となった時点において負荷が変動して排気量を増加させる必要が生じたときには、右図における排気量B2xの態様で排気量増加処理が実行され、排気量Bcxまで排気量が増加した時点において真空ポンプ3xの動作を開始させることとなる。
【0086】
また、出願人が開発した排気システム1xでは、排気量増加処理の実行によって右図におけるいずれかの量まで増加された排気量で空気を排気している状態において排気量を低減させる必要が生じたときに、左図においてその時点における排気量に対応する態様で排気量低減処理が開始される。このため、出願人が開発した排気システム1xでは、例えば右図における排気量B2xで空気を排気している状態において排気量を増加させるために真空ポンプ3xの動作を開始させ、排気量B1xで空気を排気している状態となった時点において負荷が変動して排気量を低減させる必要が生じたときには、左図における排気量A1xの態様で排気量増加処理が実行され、排気量Aaxまで排気量が増加した時点において真空ポンプ3xを停止させることとなる。
【0087】
この場合、この種の排気システムでは、排気対象の動作状態に応じて、その負荷が小刻みに変動する。したがって、出願人が開発した排気システム1xでは、接続用配管8内の真空圧を目標真空圧に対する許容範囲内の真空圧とするために、例えば排気量Aax,Bcxでの空気の排気を行う必要があるときに、排気対象の動作状態の変化に伴って負荷が僅かに減少したときに真空ポンプ3xを停止させ、負荷が僅かに増加したときに真空ポンプ3xの動作を開始させる制御が必要となり、真空ポンプ3の動作を開始させる頻度が高くなるという現状がある。
【0088】
一方、本例の排気システム1では、例えば、図3における排気量AMから排気量Aaまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したとき(排気量を増加させる必要が生じたとき)には、前述したように、図4の左図に示す態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させる排気量増加処理(動作中の真空ポンプ2a,2b,3を停止させることなく排気量を増加させる制御)が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量AMから排気量Aaまでの範囲内から排気量を増加させるときに、真空ポンプ3が動作した状態を維持することが可能となっている。
【0089】
また、図3における排気量Aaから排気量Abまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したときには、図4の右図に示す態様で真空ポンプ2aの回転数を上昇させる排気量増加処理(停止状態の真空ポンプ2bをできるだけ動作させずに排気量を増加させる制御:真空ポンプ2aの回転数が100%の回転数に達するまで真空ポンプ2bの動作を開始させない制御)が行われ、排気量Bdまで排気量が増加した状態において排気量をさらに増加させる必要があるときには、図3の右図における排気量Bdから排気量BMまでの態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させる排気量増加処理が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量Aaから排気量Abまでの範囲内から排気量を増加させるときにも、真空ポンプ3が動作した状態を維持することが可能となっている
【0090】
さらに、図3における排気量Bcから排気量Bdまでの範囲内において排気量を増加させる制御が行われた後に負荷が減少して真空圧が上昇したとき(排気量を低減させる必要が生じたとき)には、図5の左図に示す態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる排気量低減処理(停止状態の真空ポンプ3を動作させることなく排気量を低減させる制御)が行われ、排気量Ab(Bc)まで排気量が低減された状態において排気量をさらに低減させる必要があるときには、図3の左図における排気量Abから排気量Ad(A0)までの態様で真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる排気量低減処理が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量Bcから排気量Bdまでの範囲内から排気量を低減させるときに、真空ポンプ3を停止させた状態を維持することが可能となっている。
【0091】
また、図3における排気量Baから排気量Bbまでの範囲内において排気量を低減させる制御が行われた後に負荷が増加して真空圧が低下したときには、図5の右図に示す態様で真空ポンプ2aの回転数を低下させる排気量増加処理(停止状態の真空ポンプ2bを動作させることなく排気量を低減させる制御)が行われる。したがって、この排気システム1では、排気量Baから排気量Bbまでの範囲内から排気量を低減させるときに、真空ポンプ3を停止させた状態を維持することが可能となっている。したがって、この排気システム1では、排気量Baから排気量Bbまでの範囲内から排気量を低減させるときにも、真空ポンプ3を停止させた状態を維持することが可能となっている。
【0092】
このように、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法では、N=2台の真空ポンプ2a,2bのうちのM台を真空ポンプ3と共に動作させている状態において空気の排気量を低減させるときに、「L台の予め指定された回転数可変型排気装置」に相当する真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」よりも高回転のときには、真空ポンプ3を停止させることなく真空ポンプ2a,2bの回転数を低下させる「第1の処理」を排気量低減処理として実行し、真空ポンプ2aの他に動作している「回転数可変型排気装置(本例では、真空ポンプ2b)」が存在し、かつ真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数(本例では、30%の回転数)」のときには、真空ポンプ3を停止させることなく、真空ポンプ2bを停止させると共に動作を継続させている真空ポンプ2aの回転数を上昇させる「第2の処理」を排気量低減処理として実行し、真空ポンプ2aの他に動作している「回転数可変型排気装置」が存在せず(真空ポンプ2bが停止状態のとき)、かつ真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」のときには、真空ポンプ3を停止させると共に、動作を継続させている真空ポンプ2aの回転数を上昇させる「第3の処理」、および真空ポンプ2bの動作を開始させる「第4の処理」の少なくとも一方(本例では、双方)を排気量低減処理として実行する。
【0093】
したがって、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して、「L台の予め指定された回転数可変型排気装置」に相当する真空ポンプ2aだけが動作している状態で、かつその真空ポンプ2aの回転数が30%の回転数の運転状態となるまで真空ポンプ3を停止させることなく、動作させた状態が維持されるため、真空ポンプ2ax,2bxによる合計排気量が真空ポンプ3xによる排気量と等しい運転状態において排気量を低減させる必要があるときに真空ポンプ3xを停止させる構成・方法と比較して、エネルギー効率が良い真空ポンプ3を動作させた状態に制御する排気量範囲を広くすることができ、真空ポンプ3の稼働率を十分に向上させることができるため、排気システム1による消費電力を低減することができる。また、排気量低減処理に際して真空ポンプ3を停止させた動作状態に制御する排気量範囲が狭い分だけ、動作開始時に加わるストレスが大きい真空ポンプ3の動作を開始させる頻度が低下するため、真空ポンプ3の耐用寿命を長くすることができる。
【0094】
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して真空ポンプ3を停止させた時点において動作中とする真空ポンプ2a,2bによる「第5の排気量(本例では、真空ポンプ2a,2bをそれぞれ65%の回転数で動作させたときの排気量)」が、排気量低減処理において停止させる真空ポンプ3による「第1の排気量」よりも多くなるように上記の「第3の処理」および「第4の処理」のいずれか一方(本例では双方)を実行することにより、真空ポンプ3を停止させた時点において動作中とする真空ポンプ2a,2bによる「第5の排気量」が、停止させる真空ポンプ3による「第1の排気量」以下となるように「第3の処理」および「第4の処理」の少なくとも一方を実行する構成・方法とは異なり、真空ポンプ3の停止時に、排気システム1による排気量が著しく減少する事態を招くことなく、排気量をスムーズに低減させることができる。
【0095】
さらに、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、真空ポンプ2a,2bの動作台数がM=2台のときの「第3の回転数」を「第1の回転数」と等しい回転数(本例では、30%の回転数)に規定したことにより、排気量低減処理に際して、真空ポンプ2aの回転数が、排気システム1に搭載する「回転数可変型排気装置」の回転数の下限として規定されている「第1の回転数」に低下するまで真空ポンプ3を動作させた状態が維持されるため、「第3の回転数」を「第1の回転数」よりも高回転に規定した構成・方法と比較して、エネルギー効率が良い真空ポンプ3を動作させた状態に制御する排気量範囲を十分に広くすることができるため、排気システム1による消費電力を十分に低減することができる。また、排気量低減処理に際して真空ポンプ3を停止させた動作状態に制御する排気量範囲が十分に狭い分だけ、動作開始時に加わるストレスが大きい真空ポンプ3の動作を開始させる頻度が十分に低下するため、真空ポンプ3の耐用寿命を十分に長くすることができる。
【0096】
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法では、空気の排気量を増加させるときに、真空ポンプ3が停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2a,2bのうちの少なくとも1台の回転数が「第4の回転数(本例では、100%の回転数)」よりも低回転のときには、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させることなく、「第4の回転数」よりも低回転で動作している真空ポンプ2a,2bの回転数を上昇させる「第5の処理」を排気量増加処理として実行し、真空ポンプ3および真空ポンプ2bがそれぞれ停止状態で、かつ、動作中の真空ポンプ2aの回転数が「第4の回転数」のときには、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させることなく、停止状態の真空ポンプ2bの動作を開始させ、かつ「第4の回転数」で動作させていた真空ポンプ2aの回転数を低下させる「第6の処理」を排気量増加処理として実行し、真空ポンプ3が停止状態で、かつ、N=2台の真空ポンプ2a,2bのすべてが「第4の回転数」で動作しているときには、停止状態の真空ポンプ3の動作を開始させ、かつ真空ポンプ2a,2bのうちの少なくとも1台(本例では、双方)の回転数を低下させる「第7の処理」を排気量増加処理として実行する。
【0097】
したがって、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理に際して真空ポンプ3を停止させる排気量(本例では、図3の態様における排気量Ab)と、排気量増加処理に際して真空ポンプ3の動作を開始させる排気量(本例では、図3の態様における排気量Bd)とが相違するため、これらの排気量と同程度の排気量で空気を排気すべきときに、真空ポンプ3を停止させる制御、および真空ポンプ3の動作を開始させる制御が小刻みに繰り返して実行される事態を好適に回避することができる結果、真空ポンプ3の耐用寿命を一層長くすることができる。
【0098】
さらに、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、各動作台数毎の「第4の回転数」のすべてを「第2の回転数」と等しい回転数(本例では、100%の回転数)に規定したことにより、排気量増加処理に際して、真空ポンプ2a,2bの回転数が、排気システム1に搭載する「回転数可変型排気装置」の回転数の上限として規定されている「第2の回転数」に上昇するまで真空ポンプ3を停止させた状態が維持されるため、「第4の回転数」を「第2の回転数」よりも低回転に規定した構成・方法と比較して、真空ポンプ3の動作を開始させる頻度が一層低下するため、真空ポンプ3の耐用寿命を一層長くすることができる。
【0099】
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理において、「第3の回転数」よりも高回転で動作している「回転数可変型排気装置(本例では、真空ポンプ2a,2b)」が複数存在するときに「第3の回転数」よりも高回転で動作している両真空ポンプ2a,2bの両回転数をそれぞれ低下させることにより、排気処理時に両真空ポンプ2a,2bに加わるストレスを同程度とすることができるため、真空ポンプ2a,2bのいずれか一方の耐用寿命が他方と比較して著しく低下する事態を回避することができる。
【0100】
さらに、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、排気量低減処理および排気量増加処理において、動作中の「回転数可変型排気装置(本例では、真空ポンプ2a,2b)」が複数存在するときに動作中の両真空ポンプ2a,2bの両回転数を同じ回転数に制御することにより、真空ポンプ2a,2bのいずれか一方の回転数を一定の回転数に固定しつつ他方の回転数だけを変化させるように制御する構成・方法や、真空ポンプ2a,2bの回転数を互いに相違する回転数に制御する構成・方法と比較して、両真空ポンプ2a,2bの動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
【0101】
また、この排気システム1、および排気システム1における排気装置制御方法によれば、圧力センサ6から出力されるセンサ信号S6に基づいて接続用配管8内の真空圧を特定すると共に、特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも高い真空圧に上昇したときに負荷が減少したと判別して排気量低減処理を実行し、かつ特定した真空圧が予め設定された真空圧範囲内の真空圧よりも低い真空圧に低下したときに負荷が増加したと判別して排気量増加処理を実行することにより、負荷量を確実かつ容易に特定して排気システム1による空気の排気量を、必要とされる排気量に的確に調整することができる。
【0102】
なお、「排気システム」の構成、および「排気装置制御方法」の具体的な内容は、上記の排気システム1の構成、および排気システム1における各真空ポンプ2a,2b,3の制御方法の例に限定されない。例えば、排気量低減処理および排気量増加処理において動作中の真空ポンプ2a,2bが複数存在するときに動作中の両真空ポンプ2a,2bの両回転数を同じ回転数に制御する構成・方法を例に挙げて説明したが、このような構成・方法に代えて、図6の左図に示す態様の排気量低減処理、右図に示す排気量増加処理を実行する構成・方法を採用することができる。
【0103】
この場合、同図に示す真空ポンプ2a,2b,3の回転数の制御方法に関する態様では、排気量低減処理に際して、「N台の回転数可変型排気装置」に相当する真空ポンプ2a,2bのうちの一方(この例では、真空ポンプ2a)の回転数を「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2a,2bの他方(この例では、真空ポンプ2b)の回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる(排気量AMから排気量Aaまでの範囲)。また、真空ポンプ2bが「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数で動作している状態において排気量をさらに低減させる必要があるときには、真空ポンプ2aの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に低下させる(排気量Aaから排気量Abまでの範囲、および排気量Acから排気量Adまでの範囲)。
【0104】
さらに、真空ポンプ2bが30%の回転数で動作している状態で真空ポンプ2aの回転数が「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数まで低下した状態において排気量をさらに低減させる必要があるとき(排気量Ab,Adで空気を排気しているとき)には、真空ポンプ2bを停止させる。なお、同図の態様では、真空ポンプ2aが「L台の予め指定された回転数可変型排気装置」に相当する。また、同図の態様では、真空ポンプ2bが「第1の処理」時における「第3の回転数よりも高回転で動作している回転数可変型排気装置のうちの少なくとも1台」、および「第2の処理」時における「L台の回転数可変型排気装置の他に動作している回転数可変型排気装置」に相当する。
【0105】
また、同図の態様では、排気量増加処理に際して、「N台の回転数可変型排気装置」に相当する真空ポンプ2a,2bのうちの一方(この例では、真空ポンプ2b)の回転数を「第3の回転数」としての「第1の回転数」である30%の回転数に維持しつつ、真空ポンプ2a,2bの他方(この例では、真空ポンプ2a)の回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる(排気量Bbから排気量Bcまでの範囲、および排気量Bdから排気量Beまでの範囲)。また、真空ポンプ2aが「第4の回転数」としての「第2の回転数」である100%の回転数まで上昇した状態(排気量Bcおよび排気量Beの状態で空気を排気している状態)において排気量をさらに増加させる必要があるときには、真空ポンプ2aを100%の回転数で動作させた状態を維持しつつ、真空ポンプ2bの回転数を必要とされる排気量に応じて徐々に上昇させる(排気量Bcから排気量Bdまでの範囲、および排気量Beから排気量BMまでの範囲)。
【0106】
なお、左図における排気量低減処理の排気量Abから排気量Acまでの範囲、および排気量Adから排気量Ae(A0)までの範囲や、右図における排気量増加処理の排気量Ba(B0)から排気量Bbまでの範囲における真空ポンプ2a,2b,3の回転数制御については、図3を参照しつつ説明した上記の例と同様のため、詳細な説明を省略する。この場合、排気量低減処理に際して、動作中の「回転数可変型排気装置」が真空ポンプ2aだけで、その回転数が30%の回転数となっている状態において排気量を低減させる必要があるときに真空ポンプ3を停止させる図6の態様では、出願人が開発した排気システム1xと比較して、同図における排気量A1から排気量Acまでの範囲の分だけ、真空ポンプ3を動作させた状態に制御する制御範囲が広くなっている。
【0107】
また、図6に示す回転数制御の例においても、図3〜5を参照しつつ説明した上記の回転数制御の例と同様にして、左図における排気量Aaから排気量Abまでの範囲内から排気量を増加させる必要が生じたときに右図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Abから排気量Aaまで排気量を増加させる回転数制御)で真空ポンプ2a,2b,3の動作状態が制御される。さらに、左図における排気量Abから排気量Acまでの範囲内から排気量を増加させる必要が生じたときに右図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Acから排気量Abまで排気量を増加させる回転数制御)で真空ポンプ2a,2b,3の動作状態が制御される。
【0108】
同様にして、図6の右図における排気量Baから排気量Bbまでの範囲内から排気量を低減させる必要が生じたときに左図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Bbから排気量Baまで排気量を低減させる回転数制御)で真空ポンプ2a,2b,3の動作状態が制御される。また、右図における排気量Bbから排気量Bdまでの範囲内から排気量を低減させる必要が生じたときに左図の排気量増加処理とは相違する態様(排気量Bdから排気量Bbまで排気量を低減させる回転数制御)で真空ポンプ2a,2b,3の動作状態が制御される。
【0109】
このように構成した排気システム、およびその排気システムにおける排気装置制御方法によれば、排気量低減処理において、「第3の回転数」よりも高回転で動作している「回転数可変型排気装置(本例では、真空ポンプ2a,2b)」が複数存在するときに「第3の回転数」よりも高回転で動作している真空ポンプ2a,2bのうちの1台(本例では、真空ポンプ2a)の回転数を変化させることなく、「第3の回転数」よりも高回転で動作している各真空ポンプ2a,2bのうちの他の1台(本例では、真空ポンプ2b)の回転数を低下させることにより、例えば、真空ポンプ2a,2bの回転数を互いに相違する回転数に変化させるように制御する構成・方法とは異なり、両真空ポンプ2a,2bのいずれか一方(本例では、真空ポンプ2a)の回転数を一定の回転数に固定しつつ、他方(本例では、真空ポンプ2b)の回転数だけを変化させればよいため、真空ポンプ2a,2bの動作状態を、必要とされる排気量に応じて簡易に変化させることができる。
【0110】
また、図7の左図に示す態様の排気量低減処理や、図7の右図に示す態様の排気量低減処理を実行する構成・方法を採用することができる。なお、左図および右図の態様の排気量低減処理を実行する構成・方法を採用した場合の排気量増加処理については、一例として、図3の右図に示す態様や、図6の右図に示す態様を採用すればよいため、排気量増加処理についての説明を省略する。
【0111】
この場合、図7の左図に示す真空ポンプ2a,2b,3の回転数の制御方法に関する態様では、図3の左図に示す排気量低減処理における排気量Aaの状態(真空ポンプ2a,2bの双方が30%の回転数まで低下した状態)において真空ポンプ3を停止させ、真空ポンプ2a,2bの回転数を30%の回転数から80%の回転数にそれぞれ上昇させた後に、必要とされる排気量に応じて真空ポンプ2a,2bの回転数をそれぞれ等しく低下させる点を除き、図3の左図に示す排気量低減処理と同様に真空ポンプ2a,2b,3の回転数が制御される。また、図7の右図に示す真空ポンプ2a,2b,3の回転数の制御方法に関する態様では、図6の左図に示す排気量低減処理における排気量Abの状態(真空ポンプ2a,2bの双方が30%の回転数まで低下した状態)において真空ポンプ3を停止させ、真空ポンプ2aの回転数を30%の回転数から100%の回転数に上昇させると共に、真空ポンプ2bの回転数を30%の回転数から60%の回転数に上昇させた後に、必要とされる排気量に応じて真空ポンプ2bの回転数を低下させる点を除き、図6の左図に示す排気量低減処理と同様に真空ポンプ2a,2b,3の回転数が制御される。これらの構成・方法を採用した場合においても、前述した排気システム1、およびその排気装置制御方法と同様の効果を奏することができる。
【0112】
また、真空ポンプ2a,2bのN=2台の「回転数可変型排気装置」を備えた排気システム1において、両真空ポンプ2a,2bの「第1の回転数」や「第2の回転数」を互いに等しい回転数に規定した例について説明したが、「第1の回転数」は、各「回転数可変型排気装置」毎の回転数範囲の下限であり、かつ「第2の回転数」は、各「回転数可変型排気装置」毎の回転数範囲の上限であるため、これらの回転数を各「回転数可変型排気装置」毎に互いに相違する回転数に規定することもできる。同様にして、「第3の回転数」については、各「回転数可変型排気装置」毎の「第1の回転数」以上で、かつ各「回転数可変型排気装置」毎の「第2の回転数」よりも低回転であれば、各「回転数可変型排気装置」毎に互いに相違する回転数に規定することができ、「第4の回転数」についても、各「回転数可変型排気装置」毎の「第2の回転数」以下で、かつ各「回転数可変型排気装置」毎の「第3の回転数」よりも高回転であれば、各「回転数可変型排気装置」毎に互いに相違する回転数に規定することができる。
【0113】
さらに、制御部7が圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づいて特定した接続用配管8内の真空圧によって負荷の大小を特定する構成を例に挙げて説明したが、負荷の減少や増加を検出するための構成・方法はこれに限定されず、例えば、圧力センサ6からのセンサ信号S6に基づいて接続用配管8内の真空圧を測定し、測定結果(真空圧)、または、測定結果に応じて特定される負荷量を「排気システム」に出力する装置(図示せず)を「排気システム」とは別個に設けて負荷の減少や増加を検出する構成・方法や、排気対象から出力される「動作状態を示す信号」に基づき、「排気システム」に加わる負荷を特定する構成・方法を採用することもできる。
【0114】
また、インバータ制御方式のモータを動力源とする真空ポンプ2a,2bを採用してインバータ回路4a,4bから供給する電力の周波数を変更することで真空ポンプ2a,2bの回転数を制御する構成・方法を例に挙げて説明したが、例えば、供給電力の電圧に応じて回転数が変化するモータを動力源とする電圧可変制御型の「回転数可変型排気装置」を採用し、その「回転数可変型排気装置」に供給する電力の電圧を変化させることで回転数を制御する構成・方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0115】
1 排気システム
2a,2b,3 真空ポンプ
4a,4b インバータ回路
5 電源回路
6 圧力センサ
7 制御部
8 接続用配管
10 排気量調整処理
AM〜A0,B0〜BM 排気量
P2a,P2b,P3 電力
S4a,S4b,S5 制御信号
S6 センサ信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8