特許第5909743号(P5909743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909743
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】空港用ダンプ車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/04 20060101AFI20160414BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20160414BHJP
   B60J 7/08 20060101ALI20160414BHJP
   B64F 1/32 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   B62D33/04 C
   B60P1/04 Z
   B60J7/08 B
   B64F1/32
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-212898(P2012-212898)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-65427(P2014-65427A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
(72)【発明者】
【氏名】石井 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】長田 善彦
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−146079(JP,A)
【文献】 特開平07−156896(JP,A)
【文献】 特開2002−326701(JP,A)
【文献】 実開昭54−119107(JP,U)
【文献】 特開2003−182648(JP,A)
【文献】 特開2003−120613(JP,A)
【文献】 特開2003−094945(JP,A)
【文献】 特開昭52−129115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/04
B60J 7/08
B60P 1/04
B64F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空港のエプロンで航空機から廃棄物を回収する空港用ダンプ車両であって、
車枠と、
この車枠に搭載された荷台と、
この荷台の上部に回動可能に取り付けた天蓋と、
この天蓋を開閉する油圧シリンダと、
この油圧シリンダの保持圧を開放する手動操作弁と、
前記油圧シリンダとともにリンク機構を構成し、前記油圧シリンダを収縮方向に付勢して前記天蓋を閉じるための操作レバーと
を備えたことを特徴とする空港用ダンプ車両。
【請求項2】
請求項1の空港用ダンプ車両において、前記操作レバーは、前記荷台の壁面に回動可能に連結されたレバー本体と、このレバー本体に対して進退可能に保持されたレバーグリップとを備え、前記レバーグリップは、前記天蓋が開いた状態で前記レバー本体に対して引き出すと、前記荷台の側部に突出することを特徴とする空港用ダンプ車両。
【請求項3】
請求項2の空港用ダンプ車両において、前記レバーグリップは、前記天蓋が閉じた状態で上下に延びる姿勢となることを特徴とする空港用ダンプ車両。
【請求項4】
請求項3の空港用ダンプ車両において、前記レバーグリップは、前記レバー本体に対する抜け止めを備えていることを特徴とする空港用ダンプ車両。
【請求項5】
請求項1−4のいずれかの空港用ダンプ車両において、前記操作レバー及び前記手動操作弁は、前記荷台と運転席の間の空間に備えられていることを特徴とする空港用ダンプ車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港のエプロン(駐機場)で航空機から廃棄物の回収等に使用される空港用ダンプ車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプ車両は、車枠に搭載した荷台を起立させることで積載物を容易に排出できるため、各種運搬物を取り扱う様々な現場で利用されている。この種のダンプ車両にあっては、積載物の飛散を抑制するために荷台の上部に蓋(「天蓋」と称する)を持ち、この天蓋を油圧シリンダで開閉するものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−146079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行場のエプロンにおいては、到着した航空機から取り下しゴミを迅速に回収する必要がある。航空機の取り下しゴミの回収にダンプ車両を用いる場合、滑走路に繋がるエプロンに積載物を落とすことは安全上許されないため、走行中の積載物の落下を防止すべく荷台には天蓋を備えなければならない。しかし、上記特許文献1の装置を適用した場合には次のような懸念がある。
【0005】
まず、天蓋を油圧シリンダで開閉する構成であるため、万一油圧シリンダ又はその回路が故障した場合には天蓋の開閉に支障を来す。特にエプロンでゴミを積載した状態で天蓋が閉じられなくなることは避けなければならない。ただ、天蓋は荷台の上部にあるため作業者が人力で閉じることは難しいものの、油圧シリンダの保持圧を開放してやれば自重で閉じ得る。しかし、自重に頼っていては天蓋が閉じるのに時間がかかり、回収作業に遅れが生じた場合には、航空機の移動が阻害される結果、多くの乗降客や空港職員のスケジュールに影響が及び甚大な損害が発生し得る。また、広大な滑走路に隣接するエプロンでは強風も珍しくなく、油圧シリンダの保持圧を開放しても天蓋が風に煽られて自重では閉まり得ない状況が当然に想定される。加えて、工具等の置き忘れが事故に繋がり得るため、エプロンで油圧シリンダを修理することは望ましくない。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、天蓋を開閉する油圧シリンダが動作不良に陥った場合でも特別な工具を用いずに迅速に天蓋を閉じることができる空港用ダンプ車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、空港のエプロンで航空機から廃棄物を回収する空港用ダンプ車両であって、車枠と、この車枠に搭載された荷台と、この荷台の上部に回動可能に取り付けた天蓋と、この天蓋を開閉する油圧シリンダと、この油圧シリンダの保持圧を開放する手動操作弁と、前記油圧シリンダとともにリンク機構を構成し、前記油圧シリンダを収縮方向に付勢して前記天蓋を閉じるための操作レバーとを備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記操作レバーは、前記荷台の壁面に回動可能に連結されたレバー本体と、このレバー本体に対して進退可能に保持されたレバーグリップとを備え、前記レバーグリップは、前記天蓋が開いた状態で前記レバー本体に対して引き出すと、前記荷台の側部に突出することを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、前記レバーグリップは、前記天蓋が閉じた状態で上下に延びる姿勢となることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第3の発明において、前記レバーグリップは、前記レバー本体に対する抜け止めを備えていることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第1−第4のいずれかの発明において、前記操作レバー及び前記手動操作弁は、前記荷台と運転席の間の空間に備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、手動操作弁で油圧シリンダの保持圧を開放し操作レバーで油圧シリンダを動かして天蓋を閉じることができる。これにより、天蓋を開閉する油圧シリンダが動作不良に陥った場合でも特別な工具を用いずに迅速に天蓋を閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るダンプ車両の全体構成を表す側面図である。
図2図1中のII−II線による荷台の矢視正面図である。
図3図2中のIII矢印による天蓋開閉装置の矢視平面図である。
図4図2中のIV矢印による天蓋開閉装置の矢視側面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るダンプ車両に備えられたシリンダユニットの油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
1.ダンプ車両
図1は本発明の第1の実施の形態に係るダンプ車両の全体構成を表す側面図である。本実施の形態では図1中の左右をダンプ車両の前後とする。
【0016】
図1に示したダンプ車両は、空港のエプロン(駐機場)で航空機から廃棄物を回収する空港用ダンプ車両であって、車両1及び荷台2を備えている。車両1は、本体である車枠(シャシ)3、及び車枠3の前部に搭載された運転席4を含む。荷台2は運転席4の後側に位置するように車枠3に搭載されている。
【0017】
本実施の形態の荷台2は上部が開口した箱型に構成されたものであり、床をなす底壁、及び前後左右の側壁を備えている。但し、同図では左側から見たダンプ車両を模式的に表しているため荷台2は左の側壁2bのみを図示している。荷台2の前及び左右の側壁は固定構造物であり、後側の側壁は開閉扉等になっていて開閉できるようになっている。後側の側壁には、不用意に開かないようにロック装置が設けてある。また、荷台2は、開閉部分にシールが施されていて、後述する天蓋6(図2等参照)を閉じた状態で一定の気密性が確保されるように構成されている。そして、荷台2の後部下側の部分は左右に延びる回転軸5で車枠3に対して連結されていて、後側の側壁を開いた状態で油圧シリンダ8を伸ばすと回転軸5を支点にして荷台2が起立し(二点鎖線参照)、積載物がダンプ排出されるようになっている。
【0018】
2.天蓋
図2図1中のII−II線による荷台2の矢視正面図である。
【0019】
同図に示したように、荷台2の上部開口は天蓋6で開閉できるようになっている。本実施の形態では左右2枚の天蓋6が備わっており、各天蓋6は単位面積当たりの重量が十分にある鋼板で構成されている。天蓋6を鋼板で構成することで荷台2の気密性を確保し易く、また閉じる方向に作用する自重を確保する上でも有利である。左右の天蓋6は、車幅方向外側の端部がそれぞれ左右の側壁2bの上端部に対して回転軸7を介して回動可能に連結されている。回転軸7は、天蓋6に対して固定されていて前後方向に延在する。すなわち、例えば右側(同図では左側)の天蓋6は、右側端部が側壁2bに対して連結されていて、図示したように左側部分が上下に回動し荷台2の上部開口を開閉する構成である。左右の天蓋6は左右対称の構成であり、閉じた姿勢では互いの対向端部が密着する。特に図示していないが、天蓋6には不用意に開かないようにロック装置を設ける場合もある。また、荷台2の前側の側壁2aには左右の天蓋6をそれぞれ開閉する左右の天蓋開閉装置10が設けられていて、これら天蓋開閉装置10は荷台2と運転席4の間の空間に収容されている。
【0020】
3.天蓋開閉装置
図3図2中のIII矢印による天蓋開閉装置10の矢視平面図、図4図2中のIV矢印による天蓋開閉装置10の矢視側面図である。なお、既に説明したものには図3及び図4において既出図面と同符号を付し説明を省略する。これらの図において荷台2は前端付近のみを表し、後述するシリンダユニット11やリンク12等の一部の要素を図示省略してある。また、図3及び図4には左側の天蓋開閉装置10を図示してあるが、左右の天蓋開閉装置10は実質的に左右対称の構成であり、右側の天蓋開閉装置10は以下に説明する左側の天蓋開閉装置10と同様の構成である。
【0021】
図1図3に示すように、天蓋開閉装置10は、シリンダユニット11、リンク12、ブラケット13−15、操作レバー16、及びスプリング17を備えている。シリンダユニット11は、油圧シリンダ18及び油圧駆動装置19を備えている。
【0022】
油圧駆動装置19は油圧シリンダを駆動する油圧回路を内蔵したものであり、油圧シリンダ18のシリンダチューブの外周部に取り付けてあって油圧シリンダ18とユニットをなしている。油圧シリンダ18は天蓋6を開閉する駆動装置である。油圧シリンダ18のボトム側端部は、ピン20を介してブラケット13に回動可能に連結されている。ブラケット13は荷台2の側壁2aに固定してある。油圧リンダ18のロッド先端は、リンク12及びブラケット14を介して天蓋6の回転軸7に連結してある。リンク12の両端部は、油圧シリンダ18及びブラケット14に対してピン21,22を介して回動可能に連結されている。ブラケット14は回転軸7に固定してある。
【0023】
操作レバー16は、レバー本体25及びレバーグリップ26を備えている。レバー本体25の基端部はピン27を介してブラケット15に回動可能に連結されている。ブラケット15は荷台2の側壁2aに固定してある。また、レバー本体25の中間部は、上記のピン21を介して油圧シリンダ18及びリンク12の連結部に連結されている。上記のピン20−22,27は平行に前後方向に延び、天蓋開閉装置10の各要素の荷台2の側壁2aに沿った揺動運動を許容する。図2から分かる通り、レバー本体25は、油圧シリンダ18、リンク12及びブラケット14とともにリンク機構を構成している。なお、このリンク機構の駆動装置である油圧シリンダ18は、自身のピストンロッドやリンク機構の他の要素、及び天蓋6の重量が収縮方向に効果的に作用させる上では、鉛直又は鉛直に近い姿勢で設置することが好ましい。油圧シリンダ18を起立させるためには、ブラケット13を荷台2の側壁2aの下部における車幅方向の外寄りの位置、例えばブラケット14が車幅方向の内側に延びた姿勢にあるときの上記ピン22の下方の位置に配置する。この場合には、リンク12も上下方向に延びる姿勢となるように構成することが望ましい。
【0024】
レバーグリップ26は、レバー本体25の筒状の先端部に挿入されていて、レバー本体25に対して進退可能に保持されている。本実施の形態において、レバーグリップ26は、レバー本体25に対して車幅方向の外側に向かって下方に傾斜した姿勢で取り付けられている。レバー本体25の先端部には蝶ネジ28が取り付けられていて、この蝶ネジ28を締めることによってレバー本体25に対しレバーグリップ26が任意の位置で固定される。また、レバーグリップ26の基端部にはストッパ29が設けられていて、蝶ネジ28を緩めて先端を下に向けてもグリップ26がレバー本体25から抜け落ちないようになっている。なお、説明の便宜上、先端部を蝶ネジ28に近付けたレバーグリップ26の位置を「収納位置」、ストッパ29を蝶ネジ28に近付けたレバーグリップ26の位置を「作業位置」と称する。
【0025】
また、レバー本体25は姿勢によらず荷台2から車幅方向にはみ出さない長さに設定してある。これに対し、レバーグリップ26は、天蓋6が開いた状態のときに作業位置に引き出すと先端部が荷台2から車幅方向外側に突出する長さを持つ(図2参照)。但し、収容位置に押し込んだときには、姿勢によらずレバーグリップ26が荷台2から車幅方向にはみ出すことはない。また、天蓋6が閉じた状態ではレバーグリップ26は上下に延在し、収納位置であるか作業位置であるかに関わらずレバーグリップ26が荷台2から車幅方向にはみ出さないようになっている。
【0026】
なお、上記のスプリング17(図2参照)は天蓋6の姿勢を保つためのものであり、基端が側壁2aに回動可能に連結されていて、先端がリンク12の中間部分に連結されている。スプリング17は基端側からリンク12に伸長方向の復元力を作用させている。リンク12は天蓋6の開閉動作に伴って弧を描いて揺動するが、天蓋6の開閉動作の途中でスプリング17の上死点を超えるようになっている。すなわち、スプリング17の上死点を境にリンク12を介して天蓋6に作用する付勢力の作用方向が切り換わり、開位置にある天蓋6及び閉位置にある天蓋6の姿勢維持の助けになっている。
【0027】
4.シリンダユニット
図5はシリンダユニット11の油圧回路図である。
【0028】
同図に示したように、油圧駆動装置19は、主な構成要素として、電動モータ31、油圧ポンプ32、切換弁33、及び手動操作弁34を備えている。
【0029】
油圧ポンプ32は、一対の入出力ポートを持つ両傾転斜板機構を有しており、入出力ポートからの作動油の吐出及び吸入の方向が切り換えられるものである。油圧ポンプ32の一方の吐出管路32aは、パイロットチェック弁35、及びスローリターンチェック弁36を介して油圧シリンダ18のボトム側油室18aに接続している。他方の吐出管路32bは、パイロットチェック弁37、及びスローリターンチェック弁38を介して油圧シリンダ18のロッド側油室18bに接続している。
【0030】
パイロットチェック弁35,37はそれぞれ吐出管路32b,32aからのパイロット圧で作動するパイロット作動式のチェック弁である。また、スローリターンチェック弁36,38は、絞りとチェック弁を持ち、チェック弁を介してボトム側油室18a及びロッド側油室18bに作動油を供給する一方で、ボトム側油室18a及びロッド側油室18bからの戻り油は絞りを通して流量を絞る。また、油圧ポンプ32の吐出管路32a,32bには、パイロットチェック弁35,37よりも油圧ポンプ32側の位置にリリーフ弁39,40が、パイロットチェック弁35,37よりも油圧シリンダ18側の位置にリリーフ弁41,42がそれぞれ接続している。
【0031】
切換弁33は、吐出管路32a,32bから導かれるパイロット圧で作動するパイロット作動式の切換弁であり、ポジションによって吐出管路32a,32bとタンク43とを接続したり切り離したりする。切換弁33がポジション33aのときには吐出管路32a,32bのうち吐出管路32aのみがタンク43に接続し、ポジション33bのときには吐出管路32a,32bのうち吐出管路32bのみがタンク43に接続し、ポジション33cのときには吐出管路32a,32bの双方がタンク43から切り離される。
【0032】
手動操作弁34は、グリップ50(図2も参照)により人力でポジションを切り換える切換弁である。手動操作弁34は吐出管路32a,32bにおけるパイロットチェック弁35,37よりも油圧シリンダ18側の位置に接続しており、ポジション34aのときには吐出管路32a,32bをタンク43から切り離し、ポジション34bのときには吐出管路32a,32bの双方をタンク43に接続する。
【0033】
5.動作
まず、油圧シリンダ18を油圧で動かすときは手動操作弁34をポジション34aにしておく。油圧ポンプ32が停止しているときは、切換弁33、パイロットチェック弁35,37にパイロット圧が作用しないため、バネの付勢力で切換弁33はポジション33cとなり、パイロットチェック弁35,37も閉じた状態である。この状態のとき、油圧シリンダ18は保持圧によって伸長動作を拘束されている。この状態で油圧シリンダ18に不用意に過度な外力がかかっても、リリーフ弁41又は42が開いて回路は保護される。
【0034】
一方、図示しない操作装置により電動モータ31を正転させると、油圧ポンプ32が正転して吐出管路32aに作動油が吐出され、吐出管路32aからのパイロット圧でパイロットチェック弁37が開くとともに、切換弁33がポジション33bに切り換わる。これにより油圧ポンプ32からの作動油が油圧シリンダ18のボトム側油室18aに供給され、油圧シリンダ18が伸長し天蓋6が開く。油圧シリンダ18のロッド側油室18bから押し退けられた作動油は油圧ポンプ32に戻り、ボトム側油室18aとロッド側油室18bの受圧面積差で生じる戻り油の余剰分は切換弁33を介してタンク43に流入する。例えば何らかの障害物により天蓋6が拘束された状態でボトム側油室18aに圧油が供給され続け、吐出管路32aの圧力が過度に上昇した場合には、リリーフ弁39が作動して回路が保護される。
【0035】
反対に電動モータ31を逆転させると、油圧ポンプ32が逆転して吐出管路32bに作動油が吐出され、吐出管路32bからのパイロット圧でパイロットチェック弁35が開くとともに、切換弁33がポジション33aに切り換わる。これにより油圧ポンプ32からの作動油が、切換弁33を介してタンク34から吸い上げられた作動油とともに油圧シリンダ18のロッド側油室18bに供給され、油圧シリンダ18が収縮し天蓋6が閉じる。油圧シリンダ18のボトム側油室18aから押し退けられた作動油は油圧ポンプ32に戻る。また、吐出管路32bの圧力が過度に上昇した場合には、リリーフ弁40が作動して回路が保護される。
【0036】
また、例えば油圧シリンダ18、油圧ポンプ32、電動モータ31、又はその他油圧機器に不具合が生じて油圧シリンダ18が動作不良に陥った場合、グリップ50で操作して手動操作弁34をポジション34bに切り換えることにより、油圧シリンダ18のボトム側油室32a及びロッド側油室32bの双方がタンク43と繋がって油圧シリンダ18の保持圧が開放される。
【0037】
天蓋6が開姿勢のときに油圧シリンダ18が動作不良に陥った場合には、手動操作弁34をポジション34bに切り換えることにより油圧シリンダ18の保持圧を開放し、レバーグリップ26を作業位置に引き出して人力で押し下げることにより、油圧シリンダ18を容易に収縮させて天蓋6を閉じることができる。天蓋6を閉じたら手動操作弁34をポジション34aに戻すことで油圧シリンダ18に保持圧を作用させることもできる。
【0038】
6.効果
本実施の形態によれば、手動操作弁34で油圧シリンダ18の保持圧を開放して操作レバー16を押し下げることにより、油圧シリンダ18を人力で簡単に縮めることができる。これにより、空港のエプロンで航空機からの取り下しゴミを荷台2に積載した状態で油圧シリンダ18の動作不良で天蓋6が閉じなくなった場合でも、特別な工具を用いずに迅速に天蓋6を閉じることができる。
【0039】
また、操作レバー16にレバー本体25とレバーグリップ26とを設けたことにより、レバーグリップ26を作業位置から収納位置に押し込めることができ、操作レバー16は使用しないときに荷台2の幅内に収納しておくことができる。また、操作レバー16を使用する場合には、作業位置に引き出すと荷台2から車幅方向にレバーグリップ26が突出するが、引き出したレバーグリップ26の用途は天蓋6を閉じることであり、目的を達成すべく押し下げればレバーグリップ26は下向きの姿勢となる。したがって、作業位置にあるか収納位置にあるかに関係なく使用後のレバーグリップ26は自動的に荷台2の幅内に収まり、レバーグリップ26の収納し忘れを抑制することができるメリットもある。また、レバーグリップ26の基端部にはストッパ29が設けてあるため、蝶ネジ28を締め忘れて走行した場合のレバーグリップ26の落下も抑制することができる。
【0040】
また、天蓋開閉装置10を荷台2の前側の側壁2aと運転席4の間の空間に収容しているので、手動操作弁34及び操作レバー16が運転席4の直ぐ近くにあり、一刻を争うエプロンでの作業において迅速な対応の一助となる。
【0041】
また、本実施の形態においては、油圧シリンダ18が上下に延びる姿勢で取り付けられ、同じく上下に延びるリンク26を含むリンク機構や鋼板製の天蓋6の重量が油圧シリンダ18を収縮させる力として効率的に作用する。このように天蓋6等の自重が油圧シリンダ18を収縮させる力として積極的に作用する構成とすることにより、上記の操作レバー16によって梃の原理で加えられる力と相乗して天蓋6をより円滑かつ迅速に閉じることができる。
【0042】
また、天蓋6が開いた姿勢でレバーグリップ26を作業位置に引き出すと、レバーグリップ26が車幅方向の外側に向かって下方に傾斜した姿勢をとるようになっているので、低い位置に力を加えることができ操作性が良い。また、上記のように天蓋6等の自重が相乗的に作用して小さな力で天蓋6を閉じることができるので、レバーグリップ26を傾斜させたことによって人によって力点の位置を調節できることもメリットである。
【符号の説明】
【0043】
2 荷台
2a,b 荷台の側壁
3 車枠
6 天蓋
16 操作レバー
18 油圧シリンダ
25 レバー本体
26 レバーグリップ
29 ストッパ(抜け止め)
34 手動操作弁
図1
図2
図3
図4
図5