特許第5909751号(P5909751)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909751
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】平板ガラスの異物検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20160414BHJP
   G01N 21/958 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   G01N21/88 H
   G01N21/958
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-82752(P2011-82752)
(22)【出願日】2011年4月4日
(65)【公開番号】特開2012-159487(P2012-159487A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2011年4月4日
【審判番号】不服2015-3814(P2015-3814/J1)
【審判請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0009258
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミスン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ソラ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ガヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,テホ
(72)【発明者】
【氏名】リ,チャンハ
【合議体】
【審判長】 尾崎 淳史
【審判官】 三崎 仁
【審判官】 信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/097055(WO,A1)
【文献】 特開2009−271497(JP,A)
【文献】 特開平7−270325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送される平板ガラスの内部に含まれた異物が気泡を含む良品性異物であるか、または金属を含む不良性異物であるかを判別する平板ガラスの異物検査装置において、
前記平板ガラスを基準にして上部または下部領域のうちから選ばれたいずれかの領域に設けられ、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに光を照射する第1照明部と、前記第1照明部と前記平板ガラスとの間に設けられ、前記平板ガラスの移送方向の光のみを透過する第1偏光方向を有する第1偏光板と、前記平板ガラスを基準にして前記第1照明部が設けられる反対方向であって且つ前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付けられ、前記異物により散乱された光を撮影する第1カメラと、前記第1カメラと前記平板ガラスとの間の空間に設けられ、前記第1偏光方向を有する第2偏光板とを具備する第1撮影装置と、
前記平板ガラスを基準にして前記上部または前記下部領域のうちから選ばれた前記領域と同じ領域に設けられ、前記第1照明部の照射と同時に、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに光を照射する第2照明部と、前記第2照明部と前記平板ガラスとの間に設けられ、前記第1偏光方向を有する第3偏光板と、前記平板ガラスを基準にして前記第2照明部が設けられる反対方向であって且つ前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付け、前記第1カメラの撮影と同時に、前記異物により散乱された光を撮影する第2カメラと、前記第2カメラと前記平板ガラスとの間の空間に設けられ、前記第1偏向方向に対して垂直な方向の光のみを透過する第2偏向方向を有する第4偏光板とを具備する第2撮影装置と、を含み、
前記第1照明部及び前記第2照明部からそれぞれ照射された前記光は、直接に前記第1カメラ及び前記第2カメラにそれぞれ入射しない構成になっていることを特徴とする平板ガラスの異物検査装置。
【請求項2】
前記第2偏光板及び前記第4偏光板は、前記第1カメラ及び前記第2カメラの前面レンズにフィルム形態で貼着具備されることを特徴とする請求項1に記載の平板ガラスの異物検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の平板ガラスの異物検査装置は、
さらに、前記平板ガラスを移送する移送装置が具備されることを特徴とする平板ガラスの異物検査装置。
【請求項4】
前記第1カメラ及び前記第2カメラは、それぞれ複数個のラインCCDカメラで構成されることを特徴とする請求項1に記載の平板ガラスの異物検査装置。
【請求項5】
前記平板ガラスは、太陽光セル保護用平板ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の平板ガラスの異物検査装置。
【請求項6】
移送される平板ガラスの内部に含まれた異物が気泡を含む良品性異物であるか、または金属を含む不良性異物であるかを判別する平板ガラスの異物検査方法において、
直接に第1カメラに入射しない第1照明部の出射光を、前記平板ガラスの移送方向の光のみを透過する第1偏向方向を有する第1偏光板により偏光させ、前記第1偏光板により偏光された光を、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに照射し、前記平板ガラスを透過した光を、前記第1偏光方向を有する第2偏光板に入射させた後、前記第2偏光板を通過した光を、前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付けられた前記第1カメラによって撮影してイメージ映像を獲得する第1ステップと、
直接に第2カメラに入射しない第2照明部の出射光を、前記第1偏向方向を有する第3偏光板により偏光させ、前記第3偏光板により偏光された光を、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに照射し、前記平板ガラスを透過した光を、前記第1偏向方向に対して垂直な方向の光のみを透過する第2偏向方向を有する第4偏光板に入射させた後、前記第4偏光板を通過した光を、前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付けられた前記第2カメラによって撮影してイメージ映像を獲得する第2ステップと
前記第1ステップにおいて獲得した前記イメージ映像と前記第2ステップにおいて獲得した前記イメージ映像とを比較して、前記平板ガラスに含まれた前記異物が、ガラス品質に影響を及ぼす前記不良性異物であるか、またはガラス品質に影響を及ぼさない前記良品性異物であるかを判別する第3ステップと、を含み、
前記第1ステップ及び前記第2ステップは、同時に行われることを特徴とする平板ガラスの異物検査方法。
【請求項7】
前記平板ガラスは、太陽光セル保護用平板ガラスであることを特徴とする請求項6に記載の平板ガラスの異物検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板ガラスの異物検査装置及び検査方法(APPARATUS FOR DETECTING PARTICLE IN FLAT GLASS AND DETECTING METHOD USING SAME)に関し、より具体的には、平板ガラスの内部に含まれた、品質に大きな影響を及ぼす金属及びセラミックス成分の異物を正確に検査する平板ガラスの異物検査装置並びに検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平板ガラスの製造工程中、ガラス原料を溶解させて平板に作成する過程において発生される内部異物には、気泡、金属、セラミックス成分等の異物がある。これらの内部異物は、平板ガラスの品質に大きな影響を及ぼすため、正確な検査技術が必要である。さらには、内部異物の成分によって平板ガラスの品質に及ぼす影響の程度が異なるため、これらを区分して検査する技術が要求される。特に、内部異物のうち、金属やセラミックス成分はガラス品質に及ぼす影響が大きいが、気泡成分はその影響が大きくないことから、気泡成分が取り込まれていても、太陽光用セルの保護ガラスとして使用することは可能であると知られている。
【0003】
このように、ガラス基板の内部に含まれた異物を検出するための検査装置では、暗視野光学系DF及び明視野光学系BFが一般的に用いられている。暗視野光学系DF及び明視野光学系BFの原理については、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
先ず、明視野光学系について簡単に説明すると、以下のとおりである。図1(a)、(b)は、ガラス基板としての平板ガラスに存在する欠陥を検出する明視野光学系を示した図である。図1(a)、(b)を参照すると、明視野光学系は、センサーカメラ3が平板ガラス1に対して光源2の正反射方向に位置するように構成されている。従って、光源2から出射した光は、主に2個の光線経路2a、2bを経てセンサーカメラ3に到逹するようになるが、1つの光線経路2aは、平板ガラス1の上側面による反射光に該当し、他の1つの光線経路2bは、平板ガラス1の下側面による反射光に該当する。センサーカメラ3は、このように2つの光線経路2a、2bによる反射イメージが映って明視野となる。
【0005】
このような明視野光学系は、移送される平板ガラス1に対する反射イメージを撮影して検査が行われるが、上記の撮影過程において、明視野光学系は反射光源により実像と虚像(影)のイメージを得るようになり、このような実像と虚像との間の距離を計算して異物4の有無を判別することができる。
【0006】
また、暗視野光学系に対して簡単に説明すると、以下のとおりである。図2は、ガラス基板としての平板ガラスに存在する欠陥を検出する暗視野光学系を示した図である。図2を参照すると、暗視野光学系の場合、センサーカメラ5は平板ガラス1の上側面上に配置され、光源6は平板ガラス1の下側面上に配置されて、反射光ではない透過光を用いてイメージを撮影するようになる。すなわち、暗視野光学系は、平板ガラス1を透過したビーム7のうちから暗視野成分を収集することにより、平板ガラス1に存在する異物4を検出する方式である。
【0007】
ところが、従来、明視野光学系または暗視野光学系による検査を行う場合、異物4の正確な位置把握には容易であるが、発見された異物4が、金属、セラミックス成分を含む、ガラス品質に大きな影響を与える異物であるか、或いは気泡成分のようなガラス品質に別に影響を与えない異物であるかを判別することが不可能であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−10334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、平板ガラスの内部に含まれた異物を、ガラス品質に影響を及ぼす異物と、ガラス品質に影響を及ぼさない異物とに正確に判別可能な平板ガラスの異物検査装置及び検査方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による上記目的は、移送される平板ガラスの内部に含まれた異物が気泡を含む良品性異物であるか、または金属を含む不良性異物であるかを判別する平板ガラスの異物検査装置において、第1撮影装置と、第2撮影装置と、を含んでいる。
前記第1撮影装置は、 前記平板ガラスを基準にして上部または下部領域のうちから選ばれたいずれかの領域に設けられ、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに光を照射する第1照明部と、前記第1照明部と前記平板ガラスとの間に設けられ、前記平板ガラスの移送方向の光のみを透過する第1偏光方向を有する第1偏光板と、前記平板ガラスを基準にして前記第1照明部が設けられる反対方向であって且つ前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付けられ、前記異物により散乱された光を撮影する第1カメラと、前記第1カメラと前記平板ガラスとの間の空間に設けられ、前記第1偏光方向を有する第2偏光板とを具備する第1撮影装置と、を具備している。
前記第2撮影装置は、前記平板ガラスを基準にして前記上部または前記下部領域のうちから選ばれた前記領域と同じ領域に設けられ、前記第1照明部の照射と同時に、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに光を照射する第2照明部と、前記第2照明部と前記平板ガラスとの間に設けられ、前記第1偏光方向を有する第3偏光板と、前記平板ガラスを基準にして前記第2照明部が設けられる反対方向であって且つ前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付け、前記第1カメラの撮影と同時に、前記異物により散乱された光を撮影する第2カメラと、前記第2カメラと前記平板ガラスとの間の空間に設けられ、前記第1偏向方向に対して垂直な方向の光のみを透過する第2偏向方向を有する第4偏光板とを具備する第2撮影装置と、を具備している。
そして、前記第1照明部及び前記第2照明部からそれぞれ照射された前記光は、直接に前記第1カメラ及び前記第2カメラにそれぞれ入射しない構成になっていることを特徴とする平板ガラスの異物検査装置により達成される。
【0011】
本発明による上記目的は、平板ガラスの内部に含まれた異物が気泡を含む良品性異物であるか、または金属を含む不良性異物であるかを判別する平板ガラスの異物検査方法において、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含んでいる。
前記第1ステップは、直接に第1カメラに入射しない第1照明部の出射光を、前記平板ガラスの移送方向の光のみを透過する第1偏向方向を有する第1偏光板により偏光させ、前記第1偏光板により偏光された光を、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに照射し、前記平板ガラスを透過した光を、前記第1偏光方向を有する第2偏光板に入射させた後、前記第2偏光板を通過した光を、前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付けられた前記第1カメラによって撮影してイメージ映像を獲得する。
前記第2ステップは、直接に第2カメラに入射しない第2照明部の出射光を、前記第1偏向方向を有する第3偏光板により偏光させ、前記第3偏光板により偏光された光を、前記平板ガラスの垂直方向に対して傾斜した方向から前記平板ガラスに照射し、前記平板ガラスを透過した光を、前記第1偏向方向に対して垂直な方向の光のみを透過する第2偏向方向を有する第4偏光板に入射させた後、前記第4偏光板を通過した光を、前記平板ガラスに対して垂直方向に取り付けられた前記第2カメラによって撮影してイメージ映像を獲得する。
前記第3ステップは、前記第1ステップにおいて獲得した前記イメージ映像と前記第2ステップにおいて獲得した前記イメージ映像とを比較して、前記平板ガラスに含まれた前記異物が、ガラス品質に影響を及ぼす前記不良性異物であるか、またはガラス品質に影響を及ぼさない前記良品性異物であるかを判別する。
そして、前記第1ステップ及び前記第2ステップは、同時に行われることを特徴とする平板ガラスの異物検査方法により達成される。
【発明の効果】
【0012】
従来のような平板ガラスの検査装置または検査方法の場合には、平板ガラスに含まれた異物が、気泡成分のような良品性異物であるか、もしくは金属性またはセラミックス成分の異物のような不良性異物であるのかを正確に判別することは出来なかったが、本発明にかかる平板ガラスの異物検査装置及び検査方法により、平板ガラスに気泡成分の異物が取り込まれた場合と、金属性またはセラミックス性異物が取り込まれた場合とを偏光板を用いて明確に判別することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1はガラス基板に存在する欠陷を検出する従来の明視野光学系を示した構成図である。
図2図2はガラス基板に存在する欠陷を検出する従来の暗視野光学系を示した構成図である。
図3図3は本発明にかかる実施例1の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。
図4図4は本発明の実施例1にかかる構成例1の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。
図5図5は本発明の実施例1にかかる構成例2の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。
図6図6図4に提示された撮影装置構成を用いて200μmの大きさの気泡成分の異物が含まれた平板ガラスを撮影した写真の複写図である。
図7図7図4に提示された撮影装置構成を用いて200μmの大きさの金属性異物が含まれた平板ガラスを撮影した写真の複写図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、添付の図面を参照しながら、本発明にかかる平板ガラスの異物検査装置及び検査方法の好ましい実施例、長所及び特徴について詳しく説明する。
【実施例1】
【0015】
図3は、本発明にかかる実施例1の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。本発明にかかる平板ガラスの異物検査装置は、平板ガラス1に付着または取り込まれた異物4を撮影する第1撮影装置60及び第2撮影装置70と、撮影された映像に基づいて異物4を判別する処理部50とで構成される。
【0016】
第1撮影装置60は、平板ガラス1の上部または下部のうちから選ばれたいずれか1つの方向から平板ガラス1に光を照射する第1照明部31と、平板ガラス1の上部と下部にそれぞれ1つずつ設けられ、大体平行した偏光方向を有する第1偏光板11及び第2偏光板13と、平板ガラス1を基準にして第1照明部31と反対方向に設けられ、第1偏光板11及び第2偏光板13のうち、平板ガラス1を基準にして第1照明部31と反対方向に設けられた偏光板を通過する光を撮影する第1カメラ10とで構成される。ここで、大体平行した偏光方向を有するとは、第1偏光板11及び第2偏光板13の偏光方向が略0゜乃至20゜の範囲で差異があるように設けられることを意味する。
【0017】
第2撮影装置70は、平板ガラス1の上部または下部のうちから選ばれたいずれか1つの方向から平板ガラス1に光を照射する第2照明部33と、平板ガラス1の上部と下部にそれぞれ1つずつ設けられ、大体互いに垂直な偏光方向を有する第3偏光板15及び第4偏光板17と、平板ガラス1を基準にして第2照明部33と反対方向に設けられ、第3偏光板15及び第4偏光板17のうちから平板ガラス1を基準にして第2照明部33と反対方向に設けられた偏光板を通過する光を撮影する第2カメラ20とで構成される。ここで、大体垂直な偏光方向を有するとは、第3偏光板15及び第4偏光板17の偏光方向が略70゜乃至90゜の範囲で差異があるように設けられることを意味する。
【0018】
処理部50は、平板ガラス1に付着または取り込まれた同一の異物4に対して、第1撮影装置60により撮影された異物映像と、第2撮影装置70により撮影された異物映像とを互いに比較して、当該異物4が、ガラス品質に影響を及ぼす不良性異物であるか、または当該異物4がガラス品質に影響を及ぼさない良品性異物であるかを判別する装置であって、映像処理部及び演算部を有するコンピュータ等で具現することができる。
【0019】
太陽光セル保護用平板ガラス1の内部に気泡成分等のような異物4が含まれても、入射する太陽光は、一部の屈折は発生するものの、大部分は透過されるので、太陽光セル保護用平板ガラスとして用いるのに問題はない。従って、太陽光セル保護用平板ガラス1の内部に含まれる気泡成分の異物4は、良品性異物と分類される。これと比較して、太陽光セル保護用平板ガラス1の内部において金属性またはセラミックス性物質のように太陽光を反射及び/または散乱させる異物4は、入射する太陽光を反射及び/または散乱させる特性があるため、太陽光セル保護用に用いるのに問題がある。従って、太陽光セル保護用平板ガラス1の内部に含まれる反射及び/または散乱させる特性を有する異物4は、不良性異物と分類する。
【0020】
以下では、図3に示されたように、第1撮影装置60は、第1偏光板11及び第2偏光板13を平板ガラス1の下部及び上部にそれぞれ設けて、第1照明部31は、平板ガラス1の下部で上部方向(z方向)に光を照射し、第1カメラ10は、平板ガラス1の上部に位置する構造を有し、第2撮影装置70は、第3偏光板15及び第4偏光板17を平板ガラス1の下部及び上部にそれぞれ設けて、第2照明部33は、平板ガラス1の下部で上部方向(z方向)に光を照射し、第2カメラ20は、平板ガラス1の上部に位置する構造を有するものとして説明する。また、第1偏光板11、第2偏光板13及び第3偏光板15は、平板ガラス1の移送方向(x方向)の光のみを透過する第1偏光方向を有し、第4偏光板17は、第1偏向方向に対して垂直な方向(y方向)の光のみを透過する第2偏光方向を有するという仮定下で説明する。
【0021】
先ず、太陽光セル保護用平板ガラス1に気泡成分の異物4が含まれた場合について説明する。第1照明部31から放射される光は、第1偏光板11を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら異物4によって一部の屈折が発生するが、散乱や反射は起こらないので、光軸に変わりはなく、x方向の光が第2偏光板13に入射されるようになる。第2偏光板13は、第1偏光板11と同一の光軸を有するように設計されるため、第2偏光板13に入射される光は、そのまま透過されて、第1カメラ10に到逹するようになる。従って、平板ガラス1に取り込まれた気泡成分を透過して第1カメラ10によって獲得される映像イメージは、明るいイメージ写真を確保するようになる。一方、第2照明部33から放射される光は、第3偏光板15を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら異物4によって一部の屈折が発生するが、散乱や反射は起こらないので、平板ガラス1を透過した光は光軸に変わりがなく、x方向の光に形成されて、第4偏光板17に入射されるようになる。第4偏光板17は、第3偏光板15と垂直な光軸を有するように設計されるため、第4偏光板17に入射される光は遮断されて、第2カメラ20に到逹することができなくなる。従って、平板ガラス1に取り込まれた気泡成分を透過して第2カメラ20によって獲得される映像イメージは、暗いイメージ写真を確保するようになる。すなわち、気泡成分異物4が取り込まれた平板ガラス1を撮影する場合、第1撮影装置60では、明るい映像イメージが獲得されるが、第2撮影装置70では、暗い映像イメージが獲得されることが分かる。
【0022】
次に、太陽光セル保護用平板ガラス1に金属性またはセラミックス成分の異物4が含まれた場合について説明する。第1照明部31から放射される光は、第1偏光板11を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら金属性またはセラミックス成分の異物4によって散乱や反射が起きるため、x方向の光が複数の方向の光に散乱された後、第2偏光板13に入射されるようになる。第2偏光板13は、第1偏光板11と同一の光軸を有するように設計されるため、第2偏光板13に入射される光のうちから、x方向を除いた方向を有する光は遮断され、x方向の光のみが透過されて第1カメラ10に到逹するようになる。従って、第1撮影装置60によって金属性またはセラミックス成分の異物4が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第1カメラ10によって獲得される映像イメージは、気泡成分が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第1カメラ10によって獲得される映像イメージと比べると、比較的暗いイメージ映像を確保するようになる。一方、第2照明部33から放射される光は、第3偏光板15を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら金属性またはセラミックス性異物4によって散乱及び反射が起きるため、x方向の光が複数の方向の光に散乱された後、第4偏光板17に入射される。第4偏光板17は、第3偏光板15と垂直な光軸を有するように設計されるため、第4偏光板17に入射される光のうちから、y方向を除いた方向を有する光は遮断され、y方向の光のみが透過されて第2カメラ20に到逹するようになる。従って、第2撮影装置70によって金属性またはセラミックス成分の異物4が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第2カメラ20によって獲得される映像イメージは、気泡成分が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第2カメラ20によって獲得される映像イメージに比べると、比較的明るいイメージ映像を確保するようになる。すなわち、金属性またはセラミックス性異物4が取り込まれた平板ガラス1を撮影する場合、気泡性異物4が取り込まれた平板ガラス1を撮影する場合と比較するとき、第1撮影装置60では、比較的暗い映像イメージが獲得されるが、第2撮影装置70では、比較的明るい映像イメージが獲得されることが分かる。
【0023】
以下において、本発明にかかる平板ガラスの異物検査方法について説明する。本発明にかかる平板ガラスの異物検査方法は、第1偏光板11を介して異物4が含まれた平板ガラス1に光を照射し、平板ガラス1を透過した光を第1偏光板11と0゜乃至20゜の範囲で異なる偏光方向を有する第2偏光板13に入射させた後、これを通過した光を撮影して第1撮影映像を獲得する第1ステップと、第3偏光板15を介して同一の異物4が含まれた平板ガラス1に光を照射し、平板ガラス1を透過した光を、第3偏光板15と70゜乃至90゜の範囲で異なる偏光方向を有する第4偏光板17に入射させた後、これを通過した光を撮影して第2撮影映像を獲得する第2ステップと、第1撮影映像と第2撮影映像とを比較して、平板ガラス1に付着または含まれた異物4が、ガラス品質に影響を及ぼす不良性異物であるか、またはガラス品質に影響を及ぼさない良品性異物であるかを判別する第3ステップとに進行される。このとき、第1ステップ及び第2ステップは、順序に構わずに行われるか、同時に行われることができることは勿論である。
【0024】
(構成例1)
図4は、本発明の実施例1にかかる構成例1の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。図4の構成例1では、平板ガラス1の下部に照明部35を1つ設け、照明部35と平板ガラス1の下面の間に偏光方向が‘0゜’である第1偏光板11を設けた。また、平板ガラス1の上部に第1撮影装置60側の第1カメラ10と第2撮影装置70側の第2カメラ20を取り付けて、第1カメラ10の前面には、偏光方向が‘0゜’である第2偏光板13を貼着し、第2カメラ20の前面には、偏光方向が‘90゜’である第4偏光板17を貼着した。第1カメラ10及び第2カメラ20の前面に貼着する第2偏光板13及び第4偏光板17は、フィルム状でそれぞれのレンズ表面に粘着状態で貼着して、使用した。照明部35としては、平板ガラス1の幅方向を全体的に照射することができるLEDランプを使用しており、カメラ10、20としては、ラインCCDカメラを使用した。平板ガラス1は、コンベヤベルトなどの移送装置81により移送方向100に移送しながら検査する、インライン検査で行った。図4に示されたところでは、第1カメラ10または第2カメラ20が1つのカメラのみで構成されるように示されたが、実質的には、平板ガラス1の幅方向に一列に整列した多数個のラインカメラ群として理解しなければならない。
【0025】
(構成例2)
図5は、本発明の実施例1かかる構成例2の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。図5の構成例2では、図3の構成を適用した。第1撮影装置60は、平板ガラス1の下部に第1照明部31を設け、第1照明部31と平板ガラス1の下面の間に、偏光方向が‘0゜’である第1偏光板11を設け、平板ガラス1の上部に第1カメラ10を設けて、第1カメラ10の前面には、偏光方向が‘0゜’である第2偏光板13を貼着した。第2撮影装置70は、平板ガラス1の下部に第2照明部33を設け、第2照明部33と平板ガラス1の下面の間に偏光方向が‘0゜’である第3偏光板15を設け、平板ガラス1の上部に第2カメラ20を設け、第2カメラ20の前面には、偏光方向が‘90゜’である第4偏光板17を貼着した。
【0026】
第1カメラ10及び第2カメラ20の前面に貼着する第2偏光板13及び第4偏光板17は、フィルム状でそれぞれのレンズ表面に粘着状態で貼着して、使用した。照明部31、33としては、平板ガラス1の幅方向を全体的に照射することができるLEDランプを使用しており、カメラ10、20としては、ラインCCDカメラを使用した。平板ガラス1は、コンベヤベルト等の移送装置81により移送方向100に移送しながら検査する、インライン検査で行った。図5では、同一の平板ガラス1を、移送装置81を用いて移送方向100に沿って移送しながら、最初に第1撮影装置60を用いて第1イメージ映像を獲得し、次のステップにおいて、第2撮影装置70を用いて第2イメージ映像を獲得した後、両者を処理部50で判別し、異物4の種類を分類するようにした。図5に示されたところでは、第1カメラ10または第2カメラ20が1つのカメラのみで構成されるように示されたが、実質的には、平板ガラス1の幅方向に一列に整列した多数個のラインカメラ群として理解しなければならない。
【0027】
(実験例)
図6(a)、(b)は、図4に提示された撮影装置構成を用いて200μmの大きさの気泡成分の異物4が含まれた平板ガラス1を撮影した写真の複写図である。図6(a)は、200μmの大きさの気泡成分の異物4が含まれた平板ガラス1を撮影して第1撮影装置60側の第1カメラ10で獲得した写真の複写図であり、図6(b)は、200μmの大きさの気泡成分の異物4が含まれた平板ガラス1を第2撮影装置70側の第2カメラ20で撮影した写真の複写図である。図6(a)、(b)の矢印で示されたように、気泡成分の異物4を有する平板ガラス1を撮影すると、平行した偏光方向を有する第1撮影装置60では、気泡成分の異物4の映像(図6(a))が明らかに現われるが、それに対し、垂直な偏光方向を有する第2撮影装置70では、気泡成分の異物4の映像(図6(b))を区分することができないことが分かる。
【0028】
図7(a)、(b)は、図4に提示された撮影装置構成を用いて200μmの大きさの金属性異物4が含まれた平板ガラス1を撮影した写真の複写図である。図7(a)は、200μmの大きさの金属性異物4が含まれた平板ガラス1を第1撮影装置60側の第1カメラ10で獲得した写真の複写図であり、図7(b)は、200μmの大きさの金属性異物4が含まれた平板ガラス1を第2撮影装置70側の第2カメラ20で撮影した写真の複写図である。図7(a)、(b)の矢印で示されたように、金属性異物4を有する平板ガラス1を撮影すると、平行した偏光方向を有する第1撮影装置60(図7(a))と垂直な偏光方向を有する第2撮影装置70(図7(b))とで、いずれにおいても金属性異物4を肉眼で確認することができることが分かる。
【0029】
以上で、本発明の好ましい実施例が特定の用語を使用して説明及び示されているが、そのような用語は、ただ本発明を明確に説明するためのものであるだけで、本発明の実施例及び記述された用語は、特許請求の範囲の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び変化を加えることができるのは、明らかである。このように変形された実施例は、本発明の思想及び範囲から個別に理解されてはいけなく、本発明の特許請求の範囲内に属すると言うべきである。
【符号の説明】
【0030】
1:平板ガラス
4:異物
10:第1カメラ
11:第1偏光板
13:第2偏光板
15:第3偏光板
17:第4偏光板
20:第2カメラ
31:第1照明部
33:第2照明部
60:第1撮影装置
70:第2撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7