【実施例1】
【0015】
図3は、本発明にかかる実施例1の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。本発明にかかる平板ガラスの異物検査装置は、平板ガラス1に付着または取り込
まれた異物4を撮影する第1撮影装置60及び第2撮影装置70と、撮影された映像に基づいて異物4を判別する処理部50とで構成される。
【0016】
第1撮影装置60は、平板ガラス1の上部または下部のうちから選ばれたいずれか1つの方向から平板ガラス1に光を照射する第1照明部31と、平板ガラス1の上部と下部にそれぞれ1つずつ設けられ、大体平行した偏光方向を有する第1偏光板11及び第2偏光板13と、平板ガラス1を基準にして第1照明部31と反対方向に設けられ、第1偏光板11及び第2偏光板13のうち、平板ガラス1を基準にして第1照明部31と反対方向に設けられた偏光板を通過する光を撮影する第1カメラ10とで構成される。ここで、大体平行した偏光方向を有するとは、第1偏光板11及び第2偏光板13の偏光方向が略0゜乃至20゜の範囲で差異があるように設けられることを意味する。
【0017】
第2撮影装置70は、平板ガラス1の上部または下部のうちから選ばれたいずれか1つの方向から平板ガラス1に光を照射する第2照明部33と、平板ガラス1の上部と下部にそれぞれ1つずつ設けられ、大体互いに垂直な偏光方向を有する第3偏光板15及び第4偏光板17と、平板ガラス1を基準にして第2照明部33と反対方向に設けられ、第3偏光板15及び第4偏光板17のうちから平板ガラス1を基準にして第2照明部33と反対方向に設けられた偏光板を通過する光を撮影する第2カメラ20とで構成される。ここで、大体垂直な偏光方向を有するとは、第3偏光板15及び第4偏光板17の偏光方向が略70゜乃至90゜の範囲で差異があるように設けられることを意味する。
【0018】
処理部50は、平板ガラス1に付着または取り込まれた同一の異物4に対して、第1撮影装置60により撮影された異物映像と、第2撮影装置70により撮影された異物映像とを互いに比較して、当該異物4が、ガラス品質に影響を及ぼす不良性異物であるか、または当該異物4がガラス品質に影響を及ぼさない良品性異物であるかを判別する装置であって、映像処理部及び演算部を有するコンピュータ等で具現することができる。
【0019】
太陽光セル保護用平板ガラス1の内部に気泡成分等のような異物4が含まれても、入射する太陽光は、一部の屈折は発生するものの、大部分は透過されるので、太陽光セル保護用平板ガラスとして用いるのに問題はない。従って、太陽光セル保護用平板ガラス1の内部に含まれる気泡成分の異物4は、良品性異物と分類される。これと比較して、太陽光セル保護用平板ガラス1の内部において金属性またはセラミックス性物質のように太陽光を反射及び/または散乱させる異物4は、入射する太陽光を反射及び/または散乱させる特性があるため、太陽光セル保護用に用いるのに問題がある。従って、太陽光セル保護用平板ガラス1の内部に含まれる反射及び/または散乱させる特性を有する異物4は、不良性異物と分類する。
【0020】
以下では、
図3に示されたように、第1撮影装置60は、第1偏光板11及び第2偏光板13を平板ガラス1の下部及び上部にそれぞれ設けて、第1照明部31は、平板ガラス1の下部で上部方向(z方向)に光を照射し、第1カメラ10は、平板ガラス1の上部に位置する構造を有し、第2撮影装置70は、第3偏光板15及び第4偏光板17を平板ガラス1の下部及び上部にそれぞれ設けて、第2照明部33は、平板ガラス1の下部で上部方向(z方向)に光を照射し、第2カメラ20は、平板ガラス1の上部に位置する構造を有するものとして説明する。また、第1偏光板11、第2偏光板13及び第3偏光板15は、
平板ガラス1の移送方向(x方向)の光のみを透過する
第1偏光方向を有し、第4偏光板17は、
第1偏向方向に対して垂直な方向(y方向)の光のみを透過する
第2偏光方向を有するという仮定下で説明する。
【0021】
先ず、太陽光セル保護用平板ガラス1に気泡成分の異物4が含まれた場合について説明する。第1照明部31から放射される光は、第1偏光板11を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら異物4によって一部の屈折が発生するが、散乱や反射は起こらないので、光軸に変わりはなく、x方向の光が第2偏光板13に入射されるようになる。第2偏光板13は、第1偏光板11と同一の光軸を有するように設計されるため、第2偏光板13に入射される光は、そのまま透過されて、第1カメラ10に到逹するようになる。従って、平板ガラス1に取り込まれた気泡成分を透過して第1カメラ10によって獲得される映像イメージは、明るいイメージ写真を確保するようになる。一方、第2照明部33から放射される光は、第3偏光板15を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら異物4によって一部の屈折が発生するが、散乱や反射は起こらないので、平板ガラス1を透過した光は光軸に変わりがなく、x方向の光に形成されて、第4偏光板17に入射されるようになる。第4偏光板17は、第3偏光板15と垂直な光軸を有するように設計されるため、第4偏光板17に入射される光は遮断されて、第2カメラ20に到逹することができなくなる。従って、平板ガラス1に取り込まれた気泡成分を透過して第2カメラ20によって獲得される映像イメージは、暗いイメージ写真を確保するようになる。すなわち、気泡成分異物4が取り込まれた平板ガラス1を撮影する場合、第1撮影装置60では、明るい映像イメージが獲得されるが、第2撮影装置70では、暗い映像イメージが獲得されることが分かる。
【0022】
次に、太陽光セル保護用平板ガラス1に金属性またはセラミックス成分の異物4が含まれた場合について説明する。第1照明部31から放射される光は、第1偏光板11を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら金属性またはセラミックス成分の異物4によって散乱や反射が起きるため、x方向の光が複数の方向の光に散乱された後、第2偏光板13に入射されるようになる。第2偏光板13は、第1偏光板11と同一の光軸を有するように設計されるため、第2偏光板13に入射される光のうちから、x方向を除いた方向を有する光は遮断され、x方向の光のみが透過されて第1カメラ10に到逹するようになる。従って、第1撮影装置60によって金属性またはセラミックス成分の異物4が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第1カメラ10によって獲得される映像イメージは、気泡成分が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第1カメラ10によって獲得される映像イメージと比べると、比較的暗いイメージ映像を確保するようになる。一方、第2照明部33から放射される光は、第3偏光板15を経て、x方向の光のみが平板ガラス1に投射される。投射された光は、平板ガラス1を透過しながら金属性またはセラミックス性異物4によって散乱及び反射が起きるため、x方向の光が複数の方向の光に散乱された後、第4偏光板17に入射される。第4偏光板17は、第3偏光板15と垂直な光軸を有するように設計されるため、第4偏光板17に入射される光のうちから、y方向を除いた方向を有する光は遮断され、y方向の光のみが透過されて第2カメラ20に到逹するようになる。従って、第2撮影装置70によって金属性またはセラミックス成分の異物4が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第2カメラ20によって獲得される映像イメージは、気泡成分が取り込まれた平板ガラス1を透過した後、第2カメラ20によって獲得される映像イメージに比べると、比較的明るいイメージ映像を確保するようになる。すなわち、金属性またはセラミックス性異物4が取り込まれた平板ガラス1を撮影する場合、気泡性異物4が取り込まれた平板ガラス1を撮影する場合と比較するとき、第1撮影装置60では、比較的暗い映像イメージが獲得されるが、第2撮影装置70では、比較的明るい映像イメージが獲得されることが分かる。
【0023】
以下において、本発明にかかる平板ガラスの異物検査方法について説明する。本発明にかかる平板ガラスの異物検査方法は、第1偏光板11を介して異物4が含まれた平板ガラス1に光を照射し、平板ガラス1を透過した光を第1偏光板11と0゜乃至20゜の範囲で異なる偏光方向を有する第2偏光板13に入射させた後、これを通過した光を撮影して第1撮影映像を獲得する第1ステップと、第3偏光板15を介して同一の異物4が含まれた平板ガラス1に光を照射し、平板ガラス1を透過した光を、第3偏光板15と70゜乃至90゜の範囲で異なる偏光方向を有する第4偏光板17に入射させた後、これを通過した光を撮影して第2撮影映像を獲得する第2ステップと、第1撮影映像と第2撮影映像とを比較して、平板ガラス1に付着または含まれた異物4が、ガラス品質に影響を及ぼす不良性異物であるか、またはガラス品質に影響を及ぼさない良品性異物であるかを判別する第3ステップとに進行される。このとき、第1ステップ及び第2ステップは、順序に構わずに行われるか、同時に行われることができることは勿論である。
【0024】
(構成例1)
図4は、本発明の実施例1にかかる構成例1の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。
図4の構成例1では、平板ガラス1の下部に照明部35を1つ設け、照明部35と平板ガラス1の下面の間に偏光方向が‘0゜’である第1偏光板11を設けた。また、平板ガラス1の上部に第1撮影装置60側の第1カメラ10と第2撮影装置70側の第2カメラ20を取り付けて、第1カメラ10の前面には、偏光方向が‘0゜’である第2偏光板13を貼着し、第2カメラ20の前面には、偏光方向が‘90゜’である第4偏光板17を貼着した。第1カメラ10及び第2カメラ20の前面に貼着する第2偏光板13及び第4偏光板17は、フィルム状でそれぞれのレンズ表面に粘着状態で貼着して、使用した。照明部35としては、平板ガラス1の幅方向を全体的に照射することができるLEDランプを使用しており、カメラ10、20としては、ラインCCDカメラを使用した。平板ガラス1は、コンベヤベルトなどの移送装置81により移送方向100に移送しながら検査する、インライン検査で行った。
図4に示されたところでは、第1カメラ10または第2カメラ20が1つのカメラのみで構成されるように示されたが、実質的には、平板ガラス1の幅方向に一列に整列した多数個のラインカメラ群として理解しなければならない。
【0025】
(構成例2)
図5は、本発明の実施例1かかる構成例2の平板ガラスの異物検査装置の構成図である。
図5の構成例2では、
図3の構成を適用した。第1撮影装置60は、平板ガラス1の下部に第1照明部31を設け、第1照明部31と平板ガラス1の下面の間に、偏光方向が‘0゜’である第1偏光板11を設け、平板ガラス1の上部に第1カメラ10を設けて、第1カメラ10の前面には、偏光方向が‘0゜’である第2偏光板13を貼着した。第2撮影装置70は、平板ガラス1の下部に第2照明部33を設け、第2照明部33と平板ガラス1の下面の間に偏光方向が‘0゜’である第3偏光板15を設け、平板ガラス1の上部に第2カメラ20を設け、第2カメラ20の前面には、偏光方向が‘90゜’である第4偏光板17を貼着した。
【0026】
第1カメラ10及び第2カメラ20の前面に貼着する第2偏光板13及び第4偏光板17は、フィルム状でそれぞれのレンズ表面に粘着状態で貼着して、使用した。照明部31、33としては、平板ガラス1の幅方向を全体的に照射することができるLEDランプを使用しており、カメラ10、20としては、ラインCCDカメラを使用した。平板ガラス1は、コンベヤベルト等の移送装置81により移送方向100に移送しながら検査する、インライン検査で行った。
図5では、同一の平板ガラス1を、移送装置81を用いて移送方向100に沿って移送しながら、最初に第1撮影装置60を用いて第1イメージ映像を獲得し、次のステップにおいて、第2撮影装置70を用いて第2イメージ映像を獲得した後、両者を処理部50で判別し、異物4の種類を分類するようにした。
図5に示されたところでは、第1カメラ10または第2カメラ20が1つのカメラのみで構成されるように示されたが、実質的には、平板ガラス1の幅方向に一列に整列した多数個のラインカメラ群として理解しなければならない。
【0027】
(実験例)
図6(a)、(b)は、
図4に提示された撮影装置構成を用いて200μmの大きさの気泡成分の異物4が含まれた平板ガラス1を撮影した写真の複写図である。
図6(a)は、200μmの大きさの気泡成分の異物4が含まれた平板ガラス1を撮影して第1撮影装置60側の第1カメラ10で獲得した写真の複写図であり、
図6(b)は、200μmの大きさの気泡成分の異物4が含まれた平板ガラス1を第2撮影装置70側の第2カメラ20で撮影した写真の複写図である。
図6(a)、(b)の矢印で示されたように、気泡成分の異物4を有する平板ガラス1を撮影すると、平行した偏光方向を有する第1撮影装置60では、気泡成分の異物4の映像(
図6(a))が明らかに現われるが、それに対し、垂直な偏光方向を有する第2撮影装置70では、気泡成分の異物4の映像(
図6(b))を区分することができないことが分かる。
【0028】
図7(a)、(b)は、
図4に提示された撮影装置構成を用いて200μmの大きさの金属性異物4が含まれた平板ガラス1を撮影した写真の複写図である。
図7(a)は、200μmの大きさの金属性異物4が含まれた平板ガラス1を第1撮影装置60側の第1カメラ10で獲得した写真の複写図であり、
図7(b)は、200μmの大きさの金属性異物4が含まれた平板ガラス1を第2撮影装置70側の第2カメラ20で撮影した写真の複写図である。
図7(a)、(b)の矢印で示されたように、金属性異物4を有する平板ガラス1を撮影すると、平行した偏光方向を有する第1撮影装置60(
図7(a))と垂直な偏光方向を有する第2撮影装置70(
図7(b))とで、いずれにおいても金属性異物4を肉眼で確認することができることが分かる。
【0029】
以上で、本発明の好ましい実施例が特定の用語を使用して説明及び示されているが、そのような用語は、ただ本発明を明確に説明するためのものであるだけで、本発明の実施例及び記述された用語は、特許請求の範囲の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び変化を加えることができるのは、明らかである。このように変形された実施例は、本発明の思想及び範囲から個別に理解されてはいけなく、本発明の特許請求の範囲内に属すると言うべきである。