特許第5909761号(P5909761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909761
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】自動水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   E03C1/05
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-213530(P2012-213530)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-66103(P2014-66103A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100089440
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】幸前 康章
(72)【発明者】
【氏名】安尾 貴司
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−017700(JP,A)
【文献】 特開2007−154588(JP,A)
【文献】 特開平10−082082(JP,A)
【文献】 特開2010−127010(JP,A)
【文献】 特開2009−239519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00 − 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)先端の吐水口から水槽に向けて吐水を行う吐水管と、(b)該吐水管に設けられた人体検知センサと、(c)該人体検知センサからの検知信号に基づいて吐水状態制御を行う電動式の制御弁と、を有する自動水栓において、
前記人体検知センサを、人体の動きを検知するモーションセンサとして構成し、
該人体検知センサは、平面視で前記吐水管の管軸と直交方向である横方向の動きを検知する横動検知手段と、該吐水管の管軸方向である縦方向の動きを検知する縦動検知手段と、を有するものとし、
該人体検知センサによる検知が人体の横方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行い、人体の縦方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行わないものとしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記人体検知センサが、前記吐水管に上向きに設けられ、人体の横方向の動きを検知するごとに吐水から止水に若しくはその逆に吐水状態を変更させる吐止水センサであることを特徴とする自動水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水槽に向けて吐水を行う吐水管に人体検知センサを設けて成る自動水栓に関し、詳しくは人体検知センサによる誤検知により水栓が誤動作するのを防ぐための技術手段に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端の吐水口から水槽に向けて吐水を行う吐水管と、吐水管に設けられ、非接触で人体を検知する人体検知センサと、人体検知センサからの検知信号に基づいて吐水状態制御を行う制御弁と、を有する自動水栓が広く用いられている。
【0003】
この種の自動水栓として、手かざし式の人体検知センサを吐水管の先端部に上向きに設け、かかる人体検知センサにて人体検知するごとに吐水状態の変更(ここで言う吐水状態には吐水量がゼロ即ち止水の状態も含まれる)を行わせるようにしたもの、例えば吐水と止水とを交互に行わせるようにしたものが従来公知である。
下記特許文献1に、この種の自動水栓の一例が開示されている。
【0004】
この自動水栓では、上向きに設けた手かざし式の人体検知センサに手をかざして吐水開始させた後、検知エリアから手を外しても吐水を続行することができ、この点で利便性が高い。
この自動水栓は、キッチン用の自動水栓としても好適なものである。
詳しくは、この自動水栓をキッチン用の自動水栓として用いた場合、上向きに設けた人体検知センサに手をかざして吐水開始させた後、検知エリアから手を外して水作業を続行することができ、そして水作業を終えた後、再び人体検知センサに手をかざすことで止水を行わせることができ、キッチンでの水作業等が行い易い。
但しこの自動水栓では、人体検知センサが吐水管に上向きに設けてあるため、使用者が人体の一部を無意識に人体検知センサにかざしてしまい易い問題がある。
【0005】
そこで特許文献1に記載のものでは、吐水継続中に使用者が人体の一部を無意識に人体検知センサ上方にかざしてしまうことがあっても、意図せず吐水停止してしまわないように、吐水開始後において人体検知センサの検知距離を短く切り替えるようにしている。
【0006】
ところでキッチンの形式として対面式キッチン、詳しくは台所と食堂やリビング(以下では食堂を代表として述べる)とが完全に仕切られておらず、シンク(水槽)を備えた調理台に向って人が立ったときに、身体が食堂側を向く形となる対面式キッチンがある。この対面式キッチンでは、台所と食堂との間に皿等を受渡しするカウンタを設けたものが一般的である。
【0007】
この対面式キッチンの水栓として上記形式の自動水栓、即ち吐水管に設けた人体検知センサに手をかざすごとに吐水と止水とを交互に行う自動水栓を用いた場合、調理台の前に立った使用者がカウンタに皿等の物品を載せようとして、或いはカウンタから物品を取ろうとして腕を伸ばしたときに、無意識に腕を人体検知センサの上方にかざしてしまい、これにより意図せず吐水口から水を吐水させてしまうといったことが生じ得る。
またシンクの上方に設置してある電動式の昇降棚を下降させたときに、吐水管の人体検知センサが昇降棚を検知してしまい、意図せず吐水口から水を吐水させてしまったりすることが生じ得る。
このような問題に対して、特許文献1に開示の方法では解決することができない。
特許文献1に開示の方法は、吐水開始後に人体検知センサの検知距離を短く切り替えるものであり、止水状態の下で人体検知センサによる誤検知によって、意図せず吐水を行ってしまう問題を解決できない。
尚、人体検知センサによる誤検知をできるだけ防ぐために人体検知センサの検知距離を常時短くしておくことも考えられるが、この場合、人体検知センサの直近位置まで手かざし操作しなければならなくなり、操作性が悪化してしまう。
【0008】
以上、人体検知センサによる検知によって、止水から吐水に又はその逆に吐水状態を変更する場合について述べたが、人体検知センサによる検知によって吐水の流量を変更させたり、吐水の温度を変更させたり、或いは原水から浄水に若しくはその逆に変更するなど水質を変更させる場合においても同様の問題を生じ得る。
【0009】
本発明に対する他の先行技術として、下記特許文献2には自動水栓についての発明が示され、そこにおいて自動水栓の電源として用いる太陽電池A(21)と太陽電池B(22)とを吐水管の上面に横方向に並べて配置し、又は縦方向に並べて配置し、使用者の手が太陽電池上を横方向に、又は縦方向に移動したときに、吐水状態を反転させる(吐止水を切り替える)ようになしたものが開示されている。
しかしながらこの特許文献2に開示のものでは、人体の横方向の動きと縦方向の動きとを正しく判別することができない。
通常、使用者の腕を伸ばす動作は、縦方向の動きを主としているものの横方向の動きも伴っており、このような動きに対して特許文献2に開示のものは、太陽電池A(21),太陽電池B(22)とが人体の縦の動きと横の動きとを明確に判別することができないために上記の誤検知を防止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−138573号公報
【特許文献2】特開2000−17700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、人体検知センサの誤検知によって水栓が誤動作してしまう問題を解決でき、使い勝手の良好な自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1のものは、(a)先端の吐水口から水槽に向けて吐水を行う吐水管と、(b)該吐水管に設けられた人体検知センサと、(c)該人体検知センサからの検知信号に基づいて吐水状態制御を行う電動式の制御弁と、を有する自動水栓において、前記人体検知センサを、人体の動きを検知するモーションセンサとして構成し、該人体検知センサは、平面視で前記吐水管の管軸と直交方向である横方向の動きを検知する横動検知手段と、該吐水管の管軸方向である縦方向の動きを検知する縦動検知手段と、を有するものとし、該人体検知センサによる検知が人体の横方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行い、人体の縦方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行わないものとしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項2のものは、請求項1において、前記人体検知センサが、前記吐水管に上向きに設けられ、人体の横方向の動きを検知するごとに吐水から止水に若しくはその逆に吐水状態を変更させる吐止水センサであることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0014】
以上のように本発明は、自動水栓における人体検知センサを、平面視で吐水管の管軸と直交方向の動きを検知する横動検知手段と、管軸方向の縦方向の動きを検知する縦動検知手段とを有するモーションセンサとして構成し、人体検知センサによる検知が人体の横方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行い、人体の縦方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行わないようにしたものである。
尚本発明において、吐水状態の変更には吐水から止水若しくはその逆への変更,吐水流量の変更,吐水温度の変更,原水から浄水若しくはその逆への変更等の水質の変更等が含まれる。
【0015】
かかる本発明の自動水栓では、使用者が吐水状態の変更を目的として手を吐水管に設けた人体検知センサに対して横方向に動かしたとき、人体検知センサがこれを検知して止水から吐水に変更させる等吐水状態の変更を行わせる。
【0016】
一方人体検知センサの非接触操作を目的としないで腕を伸ばすような動きを行ったとき、例えばシンク(水槽)の奥側のカウンタに皿等の物品を載せようとして、或いはカウンタから皿等を取ろうとして腕を伸ばしたとき、このときには人体検知センサが人体の縦方向の動きを検知することで、吐水状態の変更が行われずに現在の吐水状態が維持される。
【0017】
例えば人体検知センサによる検知によって吐止水を行う場合において、人体検知センサが人体の縦方向の動きを検知することで、現在の止水の状態から吐水の状態への変更が禁止される。
また人体検知センサによる人体検知によって吐水の流量調節を行う場合、或いは吐水の温度調節を行う場合、更には水質の変更を行う場合には、それらの吐水状態の変更が禁止される。
【0018】
本発明では、吐水管に人体検知センサが上向きに設けてある場合において、シンクの上方に設けてある電動の昇降棚が下降した場合であっても、その昇降棚の運動は下向きの動きであるため、人体検知センサがその下降を水栓の操作を目的としたものとして誤検知してしまうことはなく、従ってその誤検知により水栓が誤動作してしまうこともない。
【0019】
以上のように本発明は、人体検知センサの誤検知による水栓の誤動作を有効に防止し、自動水栓の使い勝手を向上させることができる。
また本発明によれば、人体検知センサの検知距離を常時短くしておくといったことは必要ないので、水栓を操作する際の良好な操作性を確保することができる。
尚水栓の操作、具体的には人体検知センサを非接触操作する際の想定される人体の横方向の動きは、通常ある程度の縦の動きも伴っている。
同様に人体検知センサを非接触操作することを目的としていないで、例えば使用者がシンクよりも奥にあるカウンタに向けて腕を伸ばすとき等に想定される縦の動きもまた、ある程度の横の動きを伴っている。
【0020】
従って横動検知手段が横動検知したからといって、直ちに人体の動きが想定される横方向の動き(厳密には横方向を主とした動き)であると判定することはできず、また同様に縦動検知手段が縦動検知したからといって、人体の動きが想定される縦の動き(厳密には縦の動きを主とした動き)であると判定することはできない。
【0021】
そこで本発明では、横動検知手段及び縦動検知手段の両検知手段による検知に基づいて、それらによる検知が人体の横の動きによるものであるのか、縦の動きによるものであるのかを判定する。
要するに本発明では、人体検知センサに横動検知手段と縦動検知手段との両方を備えることで、初めて人体の動きが横の動きであるのか又は縦の動きであるのかを判定することが可能となる。
【0022】
この場合において、人体検知センサは、横方向に距離を隔てて配置した複数の検知エリアを有するものとして、それら横方向の複数の検知エリアをもって横動検知エリア(横動検知手段)となし、横方向に配置した複数の検知エリアで時間差をもって人体(若しくは人体の一部とともに移動するお玉等の調理具等、以下便宜上これを含めて人体の一部とする)検知することで、横動検知するようになすことができる。
また縦方向に距離を隔てて配置した複数の検知エリアを有するものとして、それら縦方向の複数の検知エリアをもって縦動検知エリア(縦動検知手段)となし、それら複数の縦方向に配置した検知エリアで時間差をもって人体検知することで縦動検知するようになすことができる。
【0023】
この場合、人体の縦方向の動きに対し、使用者から縦方向に最も遠く離れた位置又は使用者に対し縦方向に最も近い位置の検知エリア(縦方向の検知エリア)で、最後に又は最初に人体を検知するように各検知エリアの位置を定めておくことができる。
また、人体の横方向の動きに対し、横方向に配置した検知エリアのうち、横方向の端位置の検知エリアで最後に人体検知するように各検知エリアの位置を定めておくことができる。
このようにしておけば、想定される人体の縦方向の動き、横方向の動きを容易に判別することが可能となる。
【0024】
本発明ではまた、直交する2軸方向に多数の画素を面状に並べて配置して成る画像センサ(2次元のエリアセンサ、代表的にはCCDセンサ)を用いて人体検知センサを構成し、その画像センサにて人体の一部を撮像し、画像処理によって人体の横方向の動き,縦方向の動きを判別して、人体の横方向の動きを検知することで吐水状態の変更を行い、人体の縦方向の動きを検知したら吐水状態の変更を行わないようにしておくことができる。
【0025】
本発明では、請求項2に従って人体検知センサを、人体検知するごとに、詳しくは人体の横方向の動きを検知するごとに止水から吐水に若しくはその逆に吐水状態を変更させる吐止水センサとなしておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態である自動水栓を周辺部とともに示した斜視図である。
図2図1の自動水栓の吐水管の側面図である。
図3図1の自動水栓の構成を示した図である
図4】同実施形態の自動水栓を昇降棚とともに示した図である。
図5】同実施形態における手の動きと検知エリアとの関係作用説明図である。
図6】同実施形態における人体の横方向の動きと縦方向の動きとの関係を示した図である。
図7図5とは手の動きが異なる場合の作用説明図である。
図8】本発明の他の実施形態における手の動きと検知エリアとの関係を示した作用説明図である。
図9図8とは手の動きが異なる場合の作用説明図である。
図10】本発明の更に他の実施形態である自動水栓を示した図である。
図11】同実施形態における作用説明図である。
図12】比較例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は対面式キッチンの調理台12に備えられたシンク(水槽)であり、14はシンク10の奥側に設けられた、皿等の各種物品を載せることのできるカウンタである。
16は、調理台12におけるシンク10周りの天面18から起立する状態に設けられた自動水栓20の吐水管で、シンク10に向けて吐水する吐水口22を先端に有している。
吐水管16は、天面18から直立する下部24と、逆U字状のグースネック形状をなす上部26とを有している。
ここで調理台12の前に立った使用者とカウンタ14とを最短で結ぶ方向を前後方向としたとき、吐水管16の上部26はその前後方向の向きとされている。
この例の対面式キッチンにおいては、図4に示しているようにシンク10の上方に電動式で昇降する昇降棚25が設けられている。
【0028】
図3において27は給水路,28は給湯路で、これら給水路27からの水と、給湯路28からの湯とが混合部29で混合され、混合水路30を通じ吐水口22へと送られるようになっている。
給水路27,給湯路28上には、それぞれ吐水口22からの吐水状態制御を行う制御弁32,34が設けられている。
これら制御弁32,34は、弁部36と弁部36の弁体を駆動する電動式のモータ(ここではステッピングモータ)38とを有している。
【0029】
制御弁32,34は、モータ38により弁部36を開閉することで吐水口22からの吐水と止水を行い、また弁部36の開度を変化させることで吐水の流量調節及び温度調節を行う。
これら制御弁32,34は制御部40に電気的に接続されており、各制御弁32,34が制御部40にて作動制御されるようになっている。
【0030】
図1図3に示しているように、吐水管16の先端部の上面、詳しくは吐水口22から上部26の最上位の位置に到る途中の部位の上面には、非接触で人体検知する人体検知センサ42が上向き、詳しくは前方斜め上向きに設けられている。
この例において、人体検知センサ42は人体検知、詳しくは後述するように人体の横方向の動きを検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせる吐止水センサとして設けられている。
この例において、人体検知センサ42は人体の動きを検知するモーションセンサとして構成されており、第1センサ42-1と第2センサ42-2と第3センサ42-3との3つのセンサを有している。
【0031】
この実施形態において、人体検知センサ42は反射型の赤外線センサであって、投光部から投光レンズを通して投光され、そして人体からの反射光を受光レンズを通して第1センサ42-1,第2センサ42-2,第3センサ42-3で受光し、その受光量に基づいて人体詳しくはその動きを検知する。
【0032】
図5は第1センサ42-1,第2センサ42-2,第3センサ42-3それぞれによる第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3Aのそれぞれの位置関係を示している。
【0033】
図に示しているように第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとは吐水管16の、詳しくは平面視において使用者から見た前後方向に延びる上部26の管軸と直交方向の横方向に距離を隔てて配置されており、本例ではこれら第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとの2つの検知エリアをもって、管軸と直交方向の横方向の動きを検知する横動検知エリアとされている。
【0034】
また横方向に並んだ第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aの2つの検知エリア、及びこれら第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aに対して上部26の管軸方向の縦方向に距離を隔てて奥側に配置された第3検知エリア42-3Aをもって、上部26の管軸方向の縦方向の動きを検知する縦動検知エリアとされている。
即ちここでは、横方向に並んだ第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aが同時に縦方向の検知エリアを兼ねたものとなっている。
【0035】
尚これら第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとは、管軸方向において同一の位置に配置されている。これら第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとは、管軸方向において若干位置をずらせて配置しておくこともできる。
但し第3検知エリア42-3Aは、それら第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとに管軸方向の位置の差がある場合において、それらの位置の差よりも、第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aに対してより大きく管軸方向に距離を隔てた位置に配置しておく。
【0036】
尚この実施形態において、第3センサ42-3は第1センサ42-1と第2センサ42-2との間の中間の位置(管軸と直交方向の横方向の中間位置)に配置されている。
これに対応して、図5の第3検知エリア42-3Aもまた、第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとの間の横方向の中間位置に配置されている。
【0037】
この実施形態では、図5に示しているように使用者が吐水管16の上方において、手(ここでは右手)を吐水管16に対し矢印Pで示す横方向(右方向)に移動させ操作をしたときに、その動きが第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3Aで検知される。
その手の動きは、図5(A)の場合、第1検知エリア42-1A,第3検知エリア42-3A,第2検知エリア42-2Aの順に所定の時間差をもって検知される。
即ち管軸と直交方向の横方向における端位置の第2検知エリア42-2Aでの検知が最後の検知となる。
第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3Aの位置が予めそのように定められている。
【0038】
ここにおいて第1センサ42-1,第3センサ42-3,第2センサ42-2の順に各センサから検知信号が出力され、制御部40へと入力される。
制御部40はそれらの検知信号に基づいて人体(の一部)が横方向の動きを生じたものと判定する。即ち人体検知センサ42が使用者によって横方向に非接触操作されたものと判定する。
【0039】
一方、使用者がシンク10の奥側のカウンタ14に皿等の物品を載せようとして、或いはカウンタ14から皿等の物品を取ろうとして腕を伸ばしたとき、そのときの腕の動きは、図5(B)の矢印Pで示しているように、主として吐水管16における上部26の管軸方向の縦方向の動きとなる。
但しこのときの腕の動きは純粋に縦方向の動きだけではなく、ある程度の横方向の動きも伴っている。
【0040】
このとき使用者の手の動きは、第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3Aを順に通過する動きとなる。即ち第3検知エリア42-3Aを最後に通過する動きとなる。
そしてこれに応じて第1センサ42-1,第2センサ42-2,第3センサ42-3の順に各センサから検知信号が出力される。
制御部40は、それらの検知信号に基づいて人体の一部が縦方向の動きを生じたものと判定する。即ち人体検知センサ42による検知が、人体検知センサ42の非接触操作を目的としていない動きによるものであると判定する。
【0041】
尚、人体の横の動きには通常ある程度の縦の動きも伴っており、また上記のように人体の縦の動きにはある程度の横の動きも伴っている。
そこでここでは、図6に示しているように純粋に横方向の動きを横軸Xに、純粋に縦方向の動きを縦軸Yにとったとき、人体の動きが角度α以下の角度の小さい動きであれば横方向の動きとし、また角度αを超える角度の大きな動きであるときには縦方向の動きとする。
ここでαは例えば45°としておくことができる。
【0042】
以上のようにしてこの実施形態では、第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3Aの3つの検知エリアでの検知に基づいて、使用者による人体の動きが横方向の動きであるのか、縦方向の動きであるのか正しく判別することができる。
そしてこの実施形態では、以上のようにしてモーションセンサをなす人体検知センサ42が人体の横方向の動きだけを検知し、縦方向の人体の動きを検知しないときには、人体検知センサ42が使用者によって非接触操作されたものと判定して現在の吐水状態を変更する。
即ち止水から吐水に吐水状態を変更し、或いは吐水から止水に吐水状態を変更する。
【0043】
図12は本実施形態に対する比較例を示している。
この比較例は、第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aの2つの検知エリアだけを設けた例で、この場合には、図12(A)に示しているように人体が横方向の動きを生じた場合にも、また(B)に示しているように縦方向の動きを生じた場合にも、第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aで且つその順番で手の動きを検知してしまう。
即ちこの比較例では、人体の動きが横方向の動きであるのか、また縦方向の動きであるのかを判別することができない。
【0044】
従って第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aの順に手が検知された場合に吐水状態の変更を行わせるようにすると、使用者がカウンタ14側に手を伸ばしたときにも、その手の動きが人体検知センサ42を非接触操作したものと誤検知してしまって、その誤検知に基づいて吐水状態を変更してしまう。
しかるに本実施形態ではそのような誤検知を有効に防ぐことができ、人体検知センサ42による誤検知に基づく自動水栓20の誤動作を防ぐことができる。
【0045】
以上は使用者が右手を動かした場合の例であるが、図7に示しているように使用者が左手を動かした場合においても同様に、使用者の動きが横方向の動きであるのか、縦方向の動きであるかを正しく判別することができる。
【0046】
具体的には、使用者の左手が図7(A)において図中右から左方向に矢印P′方向に移動したときに、人体検知センサ42は第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3A,第1検知エリア42-1Aの順で手の動きを検知する。
また一方、図7(B)に示しているように使用者が左手を縦方向に動かしたときには、第2検知エリア42-2A,第1検知エリア42-1A,第3検知エリア42-3Aの順に、人体検知センサ42が手を検知し、その手の動きが縦方向の動きであると判定する。
【0047】
図8は他の実施形態を示している。
図5の実施形態では、第3検知エリア42-3Aを、第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとの中間において、それら第1検知エリア42-1A及び第2検知エリア42-2Aの位置よりも管軸方向に大きく距離を隔てて(第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとの管軸方向の位置の差に比べ大きく距離を隔てて)使用者から遠く離れた位置に配置しているが、この図8の実施形態では、第3検知エリア42-3Aを、第1検知エリア42-1Aと第2検知エリア42-2Aとの間の中間位置において、それらから管軸方向に大きく距離を隔てた、使用者に近い位置に配置している。
【0048】
この例の場合、使用者が右手を図8(A)において横方向且つ右方向(矢印P方向)に移動させたとき、手が第1検知エリア42-1A,第3検知エリア42-3A,第2検知エリア42-2Aの順に掛かることによって、人体検知センサ42により横方向に人体の動きが生じたことが検知される。
【0049】
一方使用者の右手が図7(B)に示すように縦方向に動いたときには、第3検知エリア42-3A,第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aの順に、それら検知エリアに手が掛かることによって、人体検知センサ42によりこのときの手の動きが縦方向の動きであることが検知される。
【0050】
従ってこの実施形態においても、人体検知センサ42を検知させる動きが横方向の動きであるのか、縦方向の動きであるのかが正しく判別され、その判別に基づいて吐水状態を変更したり、或いはその変更を禁止したりする。
【0051】
図8は、第3検知エリア42-3Aを、第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2Aに対し使用者に近い側に配置した場合において、使用者が右手を動かした場合の例を示している。
これに対して図9の例は、図8に示す右手に代えて左手を使用者が動かした場合の例を示したもので、図8に示したものとの違いは、図5に示したものと図7に示したものとの違いと基本的に同様である。
【0052】
これらの実施形態ではまた、図4に示しているようにシンク10及び自動水栓20における吐水管16の上方の昇降棚25が下降して来た場合にも、これを誤検知しない。
この昇降棚25の動きは上方から下方に移動する動きであり、この動きは上記の横方向の動きでも、また縦方向の動きでもないため、人体検知センサ42がこの昇降棚25の下降を誤検知することはなく、従ってその誤検知に基づいて吐水状態を変更してしまうといった不都合を生じない。
【0053】
以上のような本実施形態は、自動水栓20における人体検知センサ42を、平面視で吐水管16の管軸と直交方向の横方向の動きを検知する横動検知エリアと、管軸方向の縦方向の動きを検知する縦動検知エリアとを有するモーションセンサとして構成し、人体検知センサ42による検知が人体の横方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行い、人体の縦方向の動きを検知したものであるときには吐水状態の変更を行わないようにしたものである。
従って使用者が吐水状態の変更を目的として手を人体検知センサ42に対して横方向に動かしたときには、人体検知センサ42がこれを検知して止水から吐水に又はその逆に吐水状態の変更を行わせる一方、人体検知センサ42の非接触操作を目的としないで腕を伸ばすような動きを行ったとき、例えばシンク(水槽)10の奥側のカウンタ14に皿等の物品を載せようとして、或いはカウンタ14から皿等を取ろうとして腕を伸ばしたときには、人体検知センサ42が縦方向の人体の動きを検知することで、吐水状態の変更を行わせずに、現在の吐水状態を維持させる。
【0054】
またシンク10の上方に設けてある電動の昇降棚25が下降しても、その動きは下向きの動きであるため、人体検知センサ42がこれを水栓の操作を目的としたものと誤検知してしまうことはなく、その誤検知により自動水栓20を誤動作させてしまうこともない。
【0055】
このように本実施形態によれば、人体検知センサ42の誤検知による自動水栓20の誤動作を有効に防止でき、自動水栓20の使い勝手を向上させることができる。
また本実施形態によれば、人体検知センサ42の検知距離を常時短くしておくといったことは必要ないので、自動水栓20を操作する際の良好な操作性を確保することができる。
【0056】
尚、人体検知センサ42を上記のようなモーションセンサとして用いる他、かかる人体検知センサ42を、人体の存在(静止状態の存在)を検知する手かざしセンサとしても用い得るようにし、スイッチ操作により、自動水栓をモーション操作により吐水状態を変更するモーション操作モードから、手かざし操作により吐水状態を変更させる手かざし操作モードに若しくはその逆に切り替えられるようにしたり、或いはモーション操作モード及び手かざし操作モードの両方とも可能な両立モードに切り替えられるようになしておくこともできる。
このようにしておけば、操作方法を選択できることで、使用者の好み等に応じて最適な操作方法で自動水栓20を使用することが可能となる。
【0057】
また人体検知センサ42をモーション操作,手かざし操作の何れかで操作可能とする場合において、操作モードの違いにより有効となる人体検知センサ42の検知距離を変えること、例えば誤検知の少ないモーション操作の場合には有効な検知距離を長めにし、誤検知の恐れのある手かざし操作の場合には有効な検知距離を短めに設定することで、人体検知センサ42による誤検知を防ぎつつ、水栓の使い勝手,操作性を高めることが可能となる。
【0058】
図10及び図11は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、人体検知センサ42として、直交する2軸方向に多数の画素を面状に並べて成る画像センサ44を用いた例である。
具体的には、ここでは画像センサ44としてCCDセンサを用いている。
図10及び図11において、50はその画像センサ44を用いた人体検知センサ42による検知エリアを示している。
この実施形態では、画像センサ44にて検知エリア50内の画像を撮像する。得られた画像データは制御部40へと送られる。
制御部40はその画像データを画像処理することによって、人体(手)の動きが上記の横方向の動きであるか、或いは縦方向の動きであるかを判別する。
而して人体の動きが横方向の動きであれば吐水状態の変更、即ち止水から吐水に、若しくは吐水から止水に状態変更する。
また人体の動きが縦方向の動きであると判定したときには、吐水状態に変更を行わず、現在の吐水状態を維持する。
【0059】
尚この実施形態において、検知エリア50は、画像センサ44の個々の画素のそれぞれに対応した多数の検知エリアの集合から成っており、このうち横方向(吐水管16における上部26の管軸と直交方向)に並んだ一群の検知エリアが横動検知エリア(横動検知手段)を成しており、また縦方向(管軸方向)に並んだ一群の検知エリアが縦動検知エリア(縦動検知手段)を成している。
【0060】
図1図7の第1の実施形態においても、人体検知センサ42としてエリアセンサ、例えばCCDセンサを用い、かかるCCDセンサの互いに別々の画素領域にて第1センサ42-1,第2センサ42-2,第3センサ42-3を構成し、それぞれの検知エリアを第1検知エリア42-1A,第2検知エリア42-2A,第3検知エリア42-3Aとすることも可能である。
【0061】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば図1図7の第1の実施形態において、センサの数を4つ若しくはそれ以上にしたり、或いはセンサが3つである場合も含めてそれらの配置を上例以外の他の配置とすることも可能である。
また本発明は上記人体検知センサ42を吐水の流量変更を行わせる流調センサとしたり、吐水の温度を変更させる温調センサとしたり、或いは水質変更させる水質変更センサとしたりすることも可能であり、更に人体検知センサ42を吐水管の上面ではなく側面に設けたりすることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 シンク(水槽)
16 吐水管
20 自動水栓
22 吐水口
32,34 制御弁
42 人体検知センサ
42-1A 第1検知エリア
42-2A 第2検知エリア
42-3A 第3検知エリア
44 画像センサ
50 検知エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12