(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水受槽の底部から下向きに部分的に凹んだ形態の排水用凹部を構成し、該水受槽内の水を該排水用凹部に流入させ、該排水用凹部の底部に形成した排水口から排水する排水装置において、
前記排水用凹部の内部には、該排水用凹部の底部から前記排水口に向う排水の流れに、自身の回転による力を該排水口周りで加えて該排水の流れを妨げ且つ押し返す羽根車が設けてあり、
該羽根車は、回転軸周りの外周部に、該回転軸の側から外周端に向って延び、前記排水に対して回転方向に当る回転羽根を有し、また内周側に、前記排水口と連通した上下方向に貫通の排水の流出開口を有するものとなしてあることを特徴とする排水装置。
請求項1において、前記羽根車は、周方向に環状をなす板状部を前記外周部に有しており、該板状部の下面に前記回転羽根が設けられているとともに、該板状部の径方向内側に前記流出開口を有していることを特徴とする排水装置。
請求項1,2の何れかにおいて、前記羽根車は、前記排水用凹部内を前記排水口に向う前記排水の流れの力とは別の駆動力にて回転駆動されるものであることを特徴とする排水装置。
請求項4,5の何れかにおいて、前記水車側磁石及び羽根車側磁石を円盤状に構成し、該水車側磁石と羽根車側磁石とを、上下方向に延在した前記回転軸の軸線方向において盤面が互いに向き合う状態に配置したことを特徴とする排水装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、排水用凹部内に流れ込んだ排水によって洗浄水流を効果的に生成させ得、排水用凹部内を洗浄することのできる排水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、水受槽の底部から下向きに部分的に凹んだ形態の排水用凹部を構成し、該水受槽内の水を該排水用凹部に流入させ、該排水用凹部の底部に形成した排水口から排水する排水装置において、前記排水用凹部の内部には、該排水用凹部の底部から前記排水口に向う排水の流れに、自身の回転による力を該排水口周りで加えて該排水の流れを妨げ且つ押し返す羽根車が設けてあり、該羽根車は、回転軸周りの外周部に、該回転軸の側から外周端に向って延び、前記排水に対して回転方向に当る回転羽根を有し、また内周側に、前記排水口と連通した上下方向に貫通の排水の流出開口を有するものとなしてあることを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記羽根車は、周方向に環状をなす板状部を前記外周部に有しており、該板状部の下面に前記回転羽根が設けられているとともに、該板状部の径方向内側に前記流出開口を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記羽根車は、前記排水用凹部内を前記排水口に向う前記排水の流れの力とは別の動力にて回転駆動されるものであることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項3において、前記羽根車は、前記水受槽内に給水を行う給水管内の水の流れの力を前記駆動力として回転駆動されるものであり、該給水管内の給水流路には水の流れの力で回転する水車を設けて、該水車に水車側磁石を一体回転状態に設けるとともに、該水車側磁石に対し隔壁で隔てた位置に前記羽根車と一体回転する羽根車側磁石を設けて、該水車側と該羽根車側とを磁気カップリングさせ、該水車による駆動力を前記羽根車に及ぼして回転駆動するようになしてあることを特徴とする。
【0014】
請求項5のものは、請求項4において、前記水車が、該水車の回転軸線を中心とした円筒部を有する水車ハウジングに収容してあり、該円筒部に備えた給水の流入口に、該給水の流れを該水車に向けて噴出するノズルが設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項4,5の何れかにおいて、前記水車側磁石及び羽根車側磁石を円盤状に構成し、該水車側磁石と羽根車側磁石とを、上下方向に延在した前記回転軸の軸線方向において盤面が互いに向き合う状態に配置したことを特徴とする。
【0016】
以上にように本発明では、排水用凹部の内部に設けた羽根車が、詳しくは排水用凹部の底部から排水口に向う排水の流れに、自身の回転による力を排水口周りで加えて排水の流れを妨げ且つ押し返す羽根車が、排水口周りで排水を滞留せしめる。
更にその滞留した排水に対して、自身の回転による遠心力で撹拌作用を及ぼしつつ渦流等の洗浄水流を生ぜしめる。
そしてその洗浄水流によって、排水用凹部の内面等に付着するヌメリに至る前の菌とその栄養分や油分その他の汚れを除去し洗浄する。
また排水用凹部内にごみ籠が収容されている場合には、その洗浄水流をごみ籠の主として下面を含む外面に当ててこれを洗浄する。
【0017】
これらの作用は、主として羽根車の外周部に備えた回転羽根によって行うが、排水の流れを妨げる作用、排水を押し返す作用、更に排水の滞留水に遠心力を付加する作用が過剰であると、排水用凹部内の排水が水受槽の側まで溢れてしまう。
特に水受槽から排水用凹部内への排水の流入量が多い状況下でこのようなことが生じ易い。
排水ボウルから溢れた排水には汚れが含まれているため、排水用凹部内の排水が水受槽の側まで溢れてしまうといったことは望ましくない。
【0018】
そこで本発明では、外周部の回転羽根の内側即ち内周側に、排水口と連通した、上下方向に貫通の排水の流出開口を羽根車に備えている。
これにより、排水口周りで排水の滞留水が多量に生成したとき、その過剰分を流出開口を通じ排水口へと流出させることができる。
従って本発明によれば、良好な洗浄水流を発生させるための適正量の滞留水の生成と、良好な排水性能とをバランスさせることができ、排水の滞留水が過剰に生成して、その滞留水が羽根車の回転による遠心力の作用で排水用凹部から水受槽側に溢れてしまうのを防ぐことができる。
【0019】
本発明では、羽根車の外周部に、周方向に環状をなす板状部を備えておき、その板状部の下面に回転羽根を設けるとともに、板状部の径方向内側に上記の流出開口を形成しておくことができる(請求項2)。
このようにした場合、回転羽根と回転羽根との間の排水は、環状の板状部に遮られて回転羽根と回転羽根との間を上方に抜けることができない。
そのため、羽根車は回転による遠心力の作用を排水に対し押し返し方向に効果的に作用させることができ、排水を径方向外方へと案内して排水口周りに排水の滞留水を良好に生ぜしめることができ、ひいては排水による洗浄水流を良好に生成せしめることができる。
また排水口周りの過剰の滞留水を、板状部の上面の案内作用で円滑に排水口へと導き、排出させることができる。
【0020】
尚上記羽根車は、回転軸線が排水口の内側で上下向きとなり、少なくとも回転羽根の上端が排水用凹部における底面の排水口周りの縁部よりも上側に位置する状態に設けておくことができる。
【0021】
本発明において羽根車は、排水用凹部内を排水口に向う排水の流れの力とは別の駆動力にて回転駆動されるものとなしておくことができる(請求項3)。
羽根車を回転させるための駆動力としては様々な駆動力を用い得るが、かかる駆動力として管路の内部を流れる水の流れの力、特に水受槽に給水を行う給水管内の水の流れの力を駆動力として好適に用いることができる。
【0022】
この場合において給水流路には、水の流れの力で回転する水車を設けて、水車に水車側磁石を一体回転状態に設けるとともに、水車側磁石に対し隔壁で隔てた位置に羽根車と一体回転する羽根車側磁石を設けて、水車側と羽根車側とを磁気カップリングさせ、水車による駆動力を羽根車に及ぼして回転駆動するようになしておくことができる(請求項4)。
このようにすれば、水の流れの力を羽根車回転のための駆動力として用い得て、かかる羽根車を強制的に回転駆動でき、これにより排水用凹部内に強い洗浄水流を生ぜしめ得て、排水用凹部内を効果高く洗浄することができる。
【0023】
更にこの場合において、水車の回転軸線を中心とした円筒部を有する水車ハウジングに水車を収容し、そしてその円筒部に備えた給水の流入口に、給水の流れを水車に向けて噴出するノズルを設けておくことができる(請求項5)。
このようにすれば、流入口を通じて水車ハウジング内に流入する給水の流れの流速を速め、水車の回転及びこれと一体回転する羽根車の回転の速度を速め、排水用凹部内で洗浄水流を効率的に生成させることができる。
【0024】
次に請求項6のものは、水車側磁石と羽根車側磁石とを円盤状に構成し、そしてそれら水車側磁石と羽根車側磁石とを、上下方向に延在した回転軸の軸線方向において盤面が互いに向き合う状態に対向して配置したものである。
ここで円盤状とは、その中心部若しくは他の部位に貫通の開口を含むもの及び含まないものの両方とを含む。
【0025】
水受槽内に給水を行う給水流路の水の流れの力で水車を回して羽根車を回転させる排水装置では、給水の流量(瞬間流量)が多くなると、排水用凹部内に流入する排水の流量が多くなると同時に、水車の回転速度が増大し、これに伴って排水用凹部内での羽根車の回転速度が速まる。
その結果、排水用凹部内での滞留水の増大と、洗浄水流の勢いの増大とが生じ、その程度が一定の限界を超えると、羽根車に備えた上記の流出開口からの排水流出にも拘らず、排水用凹部内の排水が水受槽側に溢れてしまう恐れが生ずる。
【0026】
この場合、羽根車が排水用凹部内の排水を水受槽側に溢出させる限界の回転数に達する以前に、水車側磁石と羽根車側磁石との磁気的な連結(磁気カップリング)を切り、水車から羽根車への動力伝達を遮断して水車側磁石を空回りさせることで、水受槽側への排水用凹部内の排水の溢出(逆流)を確実に防ぐことができる。
【0027】
請求項6はこれを狙いとして、水車側磁石と羽根車側磁石とを円盤状に構成して、それらを回転軸の軸線方向に対向状態に配置したもので、水車側磁石及び羽根車側磁石をこのように構成し且つ配置した場合、水車側磁石と羽根車側磁石との磁気的な吸着力を比較的弱く設定することができ、羽根車側磁石が限界回転数に到る前の段階で、羽根車に作用する負荷抵抗の増大を利用して水車側磁石と羽根車側磁石との磁気的な連結を切り易い。
【0028】
詳しくは、羽根車側磁石が限界回転数(回転速度)に達する以前の設定回転数に達したところで、羽根車側磁石の水車側磁石に対する回転の同期を失わせ、脱調停止させるように磁気的な吸着力の強度をチューニングし易い。
而して羽根車側磁石を脱調停止させることで、羽根車側磁石の過回転による水受槽側への排水溢れを未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は流し台(図示省略)に備えられたシンク(水受槽)で、このシンク10に流し台水栓(以下単に水栓とする)12が設けられている。ここで水栓12はシングルレバー式の混合水栓である。
水栓12は、シンク10の頂面から起立する水栓本体14と、水栓本体14からシンク10の中央側に向かって延び出した吐水管16とを有している。吐水管16の先端には吐水口18が備えられている。
また水栓本体14の内部には、水と湯とを混合する混合部が備えられている。
【0031】
20はレバーハンドルで、このレバーハンドル20の操作により吐水口18からの吐水と止水及び吐水の流量調節、更に吐水の温度調節が行われる。
水栓12には、水,湯をそれぞれ給水する1次側の給水管22が接続されている(図では一方の給水管22のみ示され、他方の給水管22は図示省略されている)。
24は水栓12の混合部からの水を吐水口18に導く給水流路を内側に形成する2次側の給水管で、この給水管24に後述の水車ユニット25が接続されている。
【0032】
図中24Aは、混合弁から出た水を水車ユニット25に流入させる入側の給水管、24Bは水車ユニット25から流出した水を吐水口18側に導く出側の給水管で、それぞれの一端部が水車ユニット25の後述の水車ハウジング26に接続されている。
【0033】
図2において、32はシンク10の底部30から下向きに部分的に凹んだ形態で構成された排水用凹部としての排水ボウルである。
この排水ボウル32の下側には排水トラップ34が設けられている。
排水ボウル32は、上端に径方向外方に環状に張り出したフランジ部38を有しており、そのフランジ部38を、シンク10における底部30の開口40縁部に掛止させる状態に底部30に取り付けられている。
【0034】
42は、排水ボウル32内部に収容された、生ごみ等を入れるごみ籠で、上端部に周方向にリング状をなす枠部(ここでは断面L字状をなしている)43を有しており、この枠部43を排水ボウル32の環状の段付部44に掛止させる状態に、排水ボウル32内部に保持されている。
ここでごみ籠42は、枠部43を除くほぼ全体がメッシュにて構成されている。
【0035】
排水トラップ34は、トラップ本体をなす外筒36と、その内側に上側から下向きに挿入された内筒46とを有しており、それら外筒36と内筒46とによって下部に封水48を保持している。
排水トラップ34は、封水48を保持することによって排水管50の側からシンク10内への臭気の逆流を防止する。
【0036】
外筒36には、その上部に排水口(第2の排水口)58が横向きに設けられており、この排水口58から円筒形状の接続管52が突き出している。
接続管52の内部には排水管50の端部が内嵌状態に嵌合されており、それら接続管52と排水管50とが、それぞれに形成されたフランジ部54を重ね合せ状態で挟持するクリップ56にて抜止状態に接続されている。
ここで内筒46は、上端と下端とが開口形状とされており、シンク10からの排水は、内筒46の上端の開口から内筒46内に流入して流下し、そしてその下端の開口から、内筒46と外筒36との間に流出して、外筒36の上記横向きの排水口58から排水管50へと流出し、外部に排出される。
【0037】
図3に示すように、上記排水ボウル32は円形の周壁部59と、底部60とを有している。
底部60には、その中心部に開口が形成されており、その開口の内側に上記の内筒46の上端部が配置されている。
この内筒46の上端の開口は、排水ボウル32における排水口62となるもので、排水ボウル32内の排水はこの排水口62を通じて下方に排出される。
排水ボウル32の開口の縁部には、径方向内向きの環状のフランジ部64が設けられており、そのフランジ部64に対して、外筒36の上端部と内筒46の上端部とが取り付けられている。
【0038】
66,68は、内筒46の上端部及び外筒36の上端部を排水ボウル32のフランジ部64に取り付けるためのトラップ取付部材(以下単に取付部材とする)で、何れも円形のリング状をなしている。
これら取付部材66,68はフランジ部70,72を有しており、それらフランジ部70,72にて排水ボウル32のフランジ部64をシール部材158を介し上下両側から挟み込む状態に、取付部材66の外周面の雄ねじと、取付部材68の内周面の雌ねじとのねじ結合で、排水ボウル32のフランジ部64に固定されている。
【0039】
そして取付部材66に対して、内筒46の上端部が内嵌状態に嵌合された上で、内筒46の上端の掛止部74を、取付部材66の内面の段付部に掛止される状態に、内筒46が取付部材66,68を介して排水ボウル32のフランジ部64に取り付けられ、保持されている。
尚、内筒46は取付部材66に対して、図中上側から下向きに差し込まれることで、取付部材66に取り付けられ、保持される。
【0040】
一方外筒36は、その上端部が取付部材68の円筒状の嵌合部76に対して内嵌状態に嵌合された上、それぞれに設けられたフランジ部78が互いに重ね合せ状態でクリップ80により挟持されることで、取付部材68に取り付けられ、保持されている。
【0041】
尚、内筒46の上端部からは径方向内方にアーム82が延び出しており、その内端部において、後述の回転軸86を回転可能に嵌入させてこれを径方向に支持する円筒状の支持部84を構成している。
図2に示しているように、内筒46の下端部からも同様にアーム82が径方向内方に延び出しており、その内端部において、回転軸86を回転可能に嵌入させてこれを径方向に支持する円筒状の支持部84を構成している。
【0042】
ここで回転軸86は、排水口62の内側の中心位置に且つ上下向きに配置されており、排水ボウル32の内部に設けられた羽根車88が、その上端部に一体回転状態に連結されている。
羽根車88の具体的構成や配置位置及び作用については後述する。
【0043】
図4に示しているように、回転軸86の下端には有底の円筒部90が設けられており、その円筒部90の下側に円筒状の磁石92が取り付けられている。
ここで磁石92は、上記の羽根車88と一体に回転する羽根車側磁石となる。
この円筒部90の上底部には、回転軸86から放射方向に直線状に延びる形状の回転羽根94が、一体回転状態に設けられている。
ここで回転羽根94は、封水48に回転力を与えて、封水48に渦流を洗浄水流として生ぜしめる働きを有する。
【0044】
上記外筒36は下端部に開口96を有しており、その開口96がキャップ98にて閉鎖されている。
キャップ98は、外筒36の開口96周りに形成された円筒部100に対して外嵌状態に嵌合されている。
このキャップ98には、円筒状の凹部102が設けられており、その凹部102内に、上記の円筒部90の下部が磁石92とともに回転可能に収容されている。
尚、キャップ98にはその中心部において上向きに突出する支持軸104が設けられており、その支持軸104によって回転軸86を回転可能に上向きに支持している。
【0045】
キャップ98の下側には、上記の水車ユニット25が配置されており、その水車ユニット25の水車ハウジング26が、キャップ98に対してクリップ106にて取り付けられている。
詳しくは、キャップ98と水車ハウジング26とのそれぞれに設けられたフランジ部108を重ね合せ状態で挟持するクリップ106にて、水車ハウジング26がキャップ98に取り付けられている。
【0046】
水車ハウジング26は、上端が開口した形状のハウジング本体26Aと、その上端の開口を閉鎖する蓋体26Bとで構成されている。
ハウジング本体26Aは、後述の水車110の回転軸線を中心とした、水車ハウジング26の外周壁を構成する円筒部144と、下底部146とを有している。
一方蓋体26Bは、上底部147と、上底部147の外周端から立ち上る円筒状の立上り部148とを有しており、その立上り部148において、上記のクリップ106にてキャップ98に取り付けられている。
この蓋体26Bの上底部147には、有底の円筒形状をなす凹み部150が図中下向きに設けられており、その凹み部150の内側の凹所に上記の磁石92がキャップ98の一部とともに収容されている。
【0047】
水車ハウジング26の内部には水車110が回転可能に収容されている。
水車110は、底部118と円筒部152とを備えた本体部114を有しており、その円筒部152に、即ち水車110における外周部に羽根112が設けられている。また本体部114には、円筒状の磁石116が設けられている。ここで磁石116は周方向に沿ってN極とS極とを交互に有している(この点は上記の磁石92についても同様)。
磁石116は水車側磁石となるもので、この磁石116に対して、上記の羽根車側磁石となる磁石92が、給水流路の一部を形成する水車ハウジング26及び上記のキャップ98を隔壁として、その内側位置に同心状に配置され、径方向に対向せしめられている。
【0048】
即ちこれら磁石116,92によって水車110と回転軸86、即ち上記の羽根車88とが磁気カップリングされている。そしてその磁気カップリングにより、水車110の回転の力が回転軸86を経て排水ボウル32内の上記の羽根車88に伝えられ、羽根車88が水車110と一体に排水ボウル32内で回転せしめられる。
つまり水栓12の混合部から吐水口18までの給水流路の水の流れの力を駆動力として、羽根車88が排水ボウル32内で強制的に回転駆動せしめられる。
水車110は、底部118の中心部から上下方向に突出する回転軸120を有しており、その回転軸120の下端部と上端部とが、水車ハウジング26に設けられた軸受部122,124にて回転可能に支持されている。
【0049】
水車ハウジング26の上記の円筒部144には、流入口126と流出口128とが設けられており、
図1に示した入側の給水管24Aからの水は、この流入口126から水車ハウジング26内に流入して、その流れを水車110の羽根112に対して水車110を一定方向に回転させる向きに当て、これを回転させる。
そして水車110を通過した水が流出口128から流出する。
流出した水は、出側の給水管24Bにて水栓12の吐水口18へと導かれ、そして吐水口18からシンク10内に吐水される。即ちシンク10内に水栓12からの水として給水される。
【0050】
排水ボウル32の内部に配置された上記の羽根車88は、
図5に示しているように中心部にハブ130を、外周部に円形のドーナツ環状の板状部132を有しており、それらの間に上記の排水口62に連通した、上下方向に貫通の排水の流出開口134を形成している。
ここで中心部のハブ130と外周部の板状部132とは、複数のアーム136にて繋がれている。
【0051】
外周部の環状の板状部132は、
図5(B)に示しているように中心側から外周側に向って上向きに傾斜した形状をなしている。そしてその板状部132の下面から垂下する状態に、側面形状及び正面形状が3角形状をなす板状の回転羽根138が、周方向に沿って一定間隔ごとに複数設けられている。
ここで回転羽根138は、羽根車88の中心側から放射方向に、即ち回転軸線を中心とする、回転軸線周りの円に対する法線方向に直線状に延びる形状とされている。
尚、板状部132の内周側の付根部は、全周に亘り板状部132の他部よりも厚肉に構成されており、その厚肉部140が、
図5(C)に示しているようにアーム136とともに下向きに突出せしめられている。
【0052】
上記ハブ130は、これら厚肉部140よりも更に下向きに突出せしめられている。
このハブ130には、
図5(B)に示しているように下向きに開口した嵌込孔142が設けられている。嵌込孔142は多角形状、ここでは6角形状をなしており、そこに上記の断面円形状の回転軸86の上端部の多角形状部(ここでは6角形状)が嵌合され、羽根車88が回転軸86と一体に回転せしめられるようになっている。
【0053】
図2及び
図3に示しているように、羽根車88は排水ボウル32における排水口62の真上位置に配置されており、そして羽根車88に備えられた複数の回転羽根138のそれぞれが、排水ボウル32における底部60の上面(底面)、詳しくは底面における排水口62周りの縁部60aよりも全体的に上側に位置せしめられている。
【0054】
この実施形態では、使用者が水栓12のレバーハンドル20を操作して吐水口18から吐水し水作業を行うと、吐水口18から吐水された水即ち給水された水はシンク10にて受けられて、シンク10の底部30から
図6に示しているように排水ボウル32の内部へと排水される。
【0055】
このときシンク10の底部30を流れた水(排水)は、排水ボウル32の内部に流入して、その底部60へと至る。
底部60に至った排水は、その底部60に沿って排水口62に向う流れとなり、その流れが排水口62周りの全周から排水口62に向って求心方向に流れ込もうとする(その際に排水の流れは排水口62周りの全周から排水口62に向う求心方向の流れとなるために、その流れは羽根車88を特定の一方向に回転させる力としては働かない)。
【0056】
このとき排水ボウル32内の羽根車88は、給水管24内の水の流れの力を駆動力として既に強制的に回転駆動されている。
そのため排水ボウル32内の排水が底部60に沿って排水口62に流れ込もうとしたときに、強制駆動で回転する羽根車88の回転羽根138が、その排水の流れに対して回転方向に当り、排水口62に向う排水の流れの抵抗となって排水口62への流入を妨げ、抑制する。
【0057】
羽根車88は、回転羽根138によってその流れの抵抗体となるのみならず、自身の回転による遠心力を排水の流れに作用させて、
図6に示しているように排水を排水口62から遠ざかる方向に押し返し、その作用によって排水口62周りに排水を滞留させる。
のみならず羽根車88は、回転羽根138によってその滞留水に対し遠心力を働かせることで、撹拌作用を及ぼしつつ渦流等の洗浄水流を生成せしめる。
【0058】
このとき、本実施形態では羽根車88の外周部に、周方向に環状をなす板状部132を備えて、その板状部132の下面に回転羽根138を設けているため、回転羽根138と回転羽根138との間の排水は、環状の板状部132に遮られて回転羽根138と回転羽根138との間を上方に抜けることができず、かかる排水に対して羽根車88の回転による遠心力が効果的に作用せしめられ、排水口62周りに排水の滞留水が良好に生ぜしめられるとともに、排水による洗浄水流が良好に生成せしめられる。
【0059】
生成した洗浄水流は排水ボウル32の内面に勢い良く当って、その内面に付着するヌメリに至る前の菌とその栄養分や油分その他の汚れを除去し、排水ボウル32の内面を洗浄する。
併せて発生した洗浄水流はごみ籠42の外面、主としてその下面に当って、そこに付着した汚れを併せて除去し、洗浄作用する。
【0060】
洗浄後の水は、その後その一部が羽根車88の回転継続中に排水口62を経て排水トラップ34内に流入し、或いは水栓12からの給水停止によってその全体が排水口62から排水トラップ34へと流入し、更に続いて横向きの排水口58から排水管50内に流れ出て、排水管50を通じ外部に排出される。
【0061】
尚羽根車88、即ち回転羽根138による排水の押し返しの量が過剰になると、押し返された排水が排水ボウル32からシンク10の底部30側に溢れてしまう恐れがあるが、本実施形態では滞留水が多量になったときには、その過剰な滞留水が羽根車88の流出開口134を通じて排水口62内に流出でき(このとき滞留水は羽根車88における外周部の板状部132の上面の案内作用で流出開口134に円滑に導かれ、排水口62内に流出する)、羽根車88周りに過剰な滞留水が生じて、その排水が羽根車88による遠心力の作用でシンク10の底部30側に溢れる現象を防ぐことができる。
【0062】
以上のように本実施形態では、外周部の回転羽根88の内側即ち内周側に、排水口62と連通した、上下方向に貫通の排水の流出開口134を羽根車88に備えているため、排水口62周りで排水の滞留水が多量に生成したとき、その過剰分を流出開口134を通じ排水口62へと流出することができる。
これにより良好な洗浄水流を発生させるための適正量の滞留水の生成と、良好な排水性能とをバランスさせることができ、排水ボウル32内を良好に洗浄しつつ過剰に生成した排水の滞留水が羽根車88の回転による遠心力の作用でシンク10側に溢れてしまうのを防ぐことができる。
【0063】
本実施形態では、吐水口18から吐水を行うと羽根車88が回転して自動的に排水ボウル32内を洗浄する。
従って使用者は排水ボウル32内を洗浄するための特別の操作を行う必要は無いので、洗浄のために手間を要するといったことが無く、洗浄のための負担は使用者には掛からない。
即ち本実施形態では、使用者が洗浄をしようとする意識をもたなくても、水栓を使用すれば自動的に回転羽根138が回って排水ボウル32内が洗浄される。
【0064】
また本実施形態では、シンク10で水栓12を用いて水作業をすると、その排水自体が洗浄水流となって排水ボウル32内を洗浄するため、上水を洗浄のみのためにだけ吐水する場合と比べて節水を図ることができる。
【0065】
図7〜
図14は、本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態において、排水ボウル32は、
図8に示しているように上端の径方向外方に環状に張り出したフランジ部38において、シール部材153,154を介し一対のボウル取付部材156,157にてシンク10の底部30に取り付けられている。
詳しくは、ボウル取付部材156と157とには挟持部160と162とが設けられており、ボウル取付部材157の外周面の雄ねじと、ボウル取付部材156の内周面の雌ねじとのねじ結合により、排水ボウル32のフランジ部38が、シンク10側のフランジ部159とともに一対の挟持部160,162にて上下両側から挟持される状態に、排水ボウル32がシンク10側のフランジ部159に固定され、取り付けられている。
【0066】
この排水ボウル32の内部には、ごみ籠42が保持されている。またこのごみ籠42の下側において羽根車88が回転可能に設けられている。
尚この実施形態において、ごみ籠42の断面略4角形状をなす枠部43には、ごみ籠42の中心側に突出した板状の把手163が設けられており、またこの実施形態において、ごみ籠42は枠部43を除いた全体が、多数の貫通の通水孔を分散形成して成るパンチングメタルから成っている。
【0067】
更にこの実施形態において、ごみ籠42の底部164には、その一部を部分的に上向きに凹曲させて成る凹曲部168が設けられている。
凹曲部168は、排水ボウル32内で羽根車88周りに多量の滞留水が生じたときに、過剰の滞留水を排水し易くするために、即ち排水性能を高めるべく設けられている。
図7に示しているように、排水ボウル32の下側には排水トラップ34が設けられている。
排水トラップ34の構成は基本的に上記実施形態と同様である。
【0068】
この実施形態では、
図7及び
図8に示しているように排水ボウル32の底部60の開口が、平面視において中心から偏心した位置に設けられており、その開口の内側に上記の内筒46の上端部が配置されている。
即ちこの実施形態において、排水ボウル32の排水口62は、底部60の中心から偏心した位置に配置されている。
【0069】
図9にも示しているように、排水ボウル32の下端の開口の縁部には、径方向内向きの環状のフランジ部64が設けられており、そしてそのフランジ部64に対して、外筒36の上端部と内筒46の上端部とが取り付けられている。その取付構造もまた、基本的に上記実施形態と同様である。
【0070】
尚内筒46は、上記実施形態と同様に取付部材66に対して図中上側から下向きに差し込まれることで、取付部材66に取り付けられて保持される。
より詳しくは、ここでは取付部材66の内周面には180°異なった位置のそれぞれに突起170が、また内筒46の外周面には対応する螺旋状の凹条172が設けられている。
【0071】
内筒46を取り付けるに際しては、取付部材66の突起170と内筒46の凹条172の下端の開口とを嵌め合せ、封水筒46を回転させてねじ込み操作する。
すると内筒46が、突起170と凹条172との案内作用で図中下向きに移動する。そして最終的に上端の係止部74が、取付部材66の段付部に当り係止することで、内筒46が取付部材66に対して軸方向に位置決状態で取り付けられる。
【0072】
この実施形態では、
図7にも示しているように内筒46の上端部にのみアーム82が設けられており、その内端部において、回転軸86を回転可能に嵌入させて、これを径方向に支持する円筒状の支持部84を構成している。
断面円形をなす回転軸86は、その上端部が多角形状をなす係合軸部176とされており、この係合軸部176が、羽根車88における上記の嵌込孔142の奥部の、対応する多角形状の係合孔174に嵌め合されて係合しており、それらの係合作用で羽根車88が回転軸86と一体に回転するようになっている。
【0073】
図10に示しているように、回転軸86の下端部には羽根車88側磁石178が、取付部材180にて取り付けられている。
この実施形態において、磁石178は中心部に貫通の開口を有する円盤状のもので、その中心軸線を回転軸86の中心軸線に合致させる状態に配置されている。即ちその盤面を上下方向に向けて配置されている。
【0074】
取付部材180は、下端が開口した形状の本体部182と、その下端の開口を閉鎖する蓋部184とを有している。
上記磁石178は、これら本体部182と蓋部184とにより挟持され、かかる取付部材180を介し回転軸86に一体回転状態に取り付けられている。
取付部材180は、中心部に円形の嵌合孔188を有しており、そこにリング状の軸受部材190が装着されている。
【0075】
この実施形態において、外筒36は下端が底部192にて閉鎖されている。
底部192には、
図11にも示しているようにその中心部に上向きに突出する支持軸194が設けられている。
そしてその支持軸194に対して取付部材180が、上記の嵌合孔188において軸受部材190を介し嵌め合わされており、この取付部材180を介し上記の回転軸86が支持軸194により回転可能に支持されている。
【0076】
外筒36の下端部には、円筒状をなす外嵌合部196が下向きに突出形成されている。
一方外筒36の下側に配置された水車ユニット25における水車ハウジング26には、上端部に内嵌合部198が設けられており、その内嵌合部198が外嵌合部196に内嵌状態に嵌合されている。
そしてその嵌合状態で水車ハウジング26が、取付部材200にて外筒36に取り付けられている。
【0077】
水車ハウジング25は、その外周壁をなす、水車110の回転軸線を中心とした円筒部202と、下底部204とを有し、上端が開口した形状のハウジング本体26A、及び上底部206を有し、ハウジング本体26Aの上端の開口を閉鎖する蓋体26Bにて構成されている。
ここでハウジング本体26Aと蓋体26Bとはねじ結合されて組み付けられている。
【0078】
この水車ハウジング26の内部に収容された水車110は、互いに別体をなす下側の第1部材208と、上側の第2部材210とを組み付けて構成してある。
この水車110の内部には、水車側磁石となる磁石214が組み込まれている。
ここで水車110側磁石214は、下側の第1部材208と上側の第2部材210とによって、上下方向に挟持される状態に水車110内部に組み込まれている。
【0079】
水車110側磁石214もまた、中心部に貫通の開口を有する円盤状のもので、中心軸線を回転軸86の中心軸線に合致させる状態に配置されており、かかる磁石214が、給水流路の一部を形成する水車ハウジング26及び上記の外筒36の底部192を隔壁として、その上側位置に配置された羽根車88側磁石178に対して上下に対向せしめられている。
即ち回転軸86の軸線方向において、羽根車88側磁石178と水車110側磁石214とが所定の距離を隔てて盤面を向き合わせる状態に対向配置されている。
そしてそれら磁石178,214の磁気カップリングにより、水車110の回転の力が回転軸86を経て排水ボウル32内の上記の羽根車88に伝えられ、羽根車88が水車110と一体に排水ボウル32内で回転せしめられる。
【0080】
水車110は、
図12にも示しているように第1部材208の下面から下向きに突出する複数の羽根212を周方向に沿って複数有している。
水車110は、その中心部に円筒部215と軸部216とを有しており、それら円筒部215,軸部216において、水車ハウジング26の対応する軸部218,円筒部220によりそれぞれリング状の軸受部材190を介し回転可能に支持されている。尚
図10において、236は水抜栓である。
【0081】
図13に示しているように、水車ハウジング26の円筒部202に設けられた給水の流入口126及び流出口128は、それぞれが円筒部202の円形の内周面に対して、その接線方向と同方向を向くように、詳しくは流入口126,流出口128直近の下流部位,上流部位の接線方向と同方向を向くように配向されている。
本実施形態では、その流入口126の内部に、水車ハウジング26とは別体をなすノズル222が組み込んである。
ノズル222は、給水の流速を速めて水車110に、具体的には水車110の羽根212に向けて噴出するもので、このようなノズル222を流入口126に組み込んでおくことで、水車110の回転速度を速め、これにより排水ボウル32内での羽根車88の回転速度を速めて、羽根車88により洗浄水流を効率的に生成させることができる。そしてそのことによって、排水ボウル32内の洗浄効率を高めることができる。
【0082】
図14は、ノズル222の形状を具体的に示している。
図に示しているようにノズル222は、円筒状の本体226の基端にフランジ部228を有しており、また本体226の内側にノズル孔230を備えている。
図に示しているようにノズル222は、先端面238が斜めにカットされた形状とされている。より詳しくは、ノズル孔230の先端の開口232にて形成される開口面238b、及び円筒状の本体226の先端面238aを含む先端面238全体が、水車ハウジング26における円筒部202の内周面と同じ曲率で湾曲する円弧形状の面(円弧面)とされている。
そしてノズル222は、円弧形状をなす先端面238を円筒部202の内周面に合致させる状態に(円筒部202の内周面Pの延長上に先端面238が位置する状態に)、流入口126内部に向きを定めて組み込まれている。
【0083】
尚、ノズル222は中心軸線周りの位置がずれると、円弧面をなす先端面238が円筒部202の内周面Pと合致しなくなることから、ノズル222には位置決めのための凸部231が設けてある。
一方流入口126の内部には、
図12に示しているように対応する位置決用の凹部234が設けられており、この凹部234に凸部231を嵌め合せるようにしてノズル222を組み込むことで、ノズル222を正しく位置決めした状態で流入口126に組み込むことができる。
【0084】
流入口126に組み込むノズル222を上記のような形状としておくことで、ノズル孔230の先端の開口232を可及的に水車110に近くに位置させることができ、開口232からの噴出流をできるだけ拡散させないで水車110の羽根212に至近位置から当てることができ、効率的に水車110の回転速度を速めることができる。
【0085】
例えばノズル222の形状を、
図17の比較例図に示すノズル222A-1や222A-2のように、先端面全体が軸直角方向の面をなす形状とした場合、
図17(B)に示すようにノズル222の開口232Aからの噴出流が、水車110の羽根212に当る前に拡散してしまい、勢いが減じた状態で羽根212に当ってしまう。この場合、噴出流のエネルギーを効率的に水車110に及ぼすことができない。
【0086】
これに対し本実施形態のノズル222では、
図13に示すようにノズル孔230の先端の開口232からの噴出流を、できるだけ拡散させることなく羽根212に当てることができ、効率高く水車110の回転エネルギーとして加えることができる。
尚、場合によってノズル孔230の先端の開口232にて形成される開口面238bだけを円弧面となしておくこともできる。
【0087】
この実施形態ではまた、流出口128の内部の孔径Dが、ノズル222におけるノズル孔230の孔径dよりも大きくしてある。
このようにすることで、流入口126から水車ハウジング26内に流入した水が流出口128から抜け易くなり、水車ハウジング26内に流入した水が長く滞留して、これが水車110の回転抵抗となってしまうのを防ぐことができる。
【0088】
流入口126に組み込んだ上記のノズル222は、給水の流れの流速を高めて水車110に当てる働きの他に、水車ハウジング26と別体に構成されていることによって次のような働きを有する。
以下これを具体的に説明する。
この実施形態では、給水の流量が多くなると、排水ボウル32内に流入する排水の流量が多くなると同時に、水車110の回転速度が増大し、これに伴って排水ボウル32内での羽根車88の回転速度が速まる。
その結果、排水ボウル32内での滞留水の増大と、洗浄水流の勢いの増大とが生じ、その程度が一定の限界を超えると、羽根車88に設けた流出開口134からの排水流出(排出)にも拘らず排水ボウル32内の排水がシンク10側に溢れてしまう恐れが生ずる。
【0089】
この場合、羽根車88が排水ボウル32内の排水をシンク10側に溢出させる限界の回転数に達する以前に、水車110側磁石214と羽根車88側磁石178との磁気的な連結(磁気カップリング)を切り、水車110から羽根車88への動力伝達を遮断することで、シンク10側への排水ボウル32内の排水の溢出(逆流)を防ぐことができる。
【0090】
この実施形態ではこれを狙いとして、水車110側磁石214と羽根車88側磁石178とを円盤状に構成して、それらを回転軸86の軸線方向に上下方向に対向状態に配置しており、このようにすることで、例えば上記第1の実施形態に示すように水車110側磁石116と羽根車88側磁石92とを円筒状に構成して、それぞれを径方向に対向配置した場合に比べて、対向面の面積が小となることにより水車110側磁石214と羽根車88側磁石178との磁気的な吸引力を比較的弱く設定することができ、羽根車88側磁石178が限界回転数に到る前の段階で、羽根車88に作用する負荷抵抗の増大を利用して、水車110側磁石214と羽根車88側磁石178との磁気的な連結を切り易い。
【0091】
詳しくは、羽根車88側磁石178が限界回転数(回転速度)に達する以前の設定回転数に達したところで、羽根車88側磁石178の、水車110側磁石214に対する回転の同期を失わせて、これを脱調停止させるように、磁気的な吸引力の強度をチューニングし易い。
そしてこれにより、羽根車88側磁石178の過回転によるシンク10側への排水溢れを未然に防ぐことができる。
【0092】
ここにおいて水車ハウジング26とは別体をなす上記ノズル222は、ノズル孔230の孔径dの異なったものと交換することで、同一の給水の流量の下でも水車110及び羽根車88の回転数を異ならせ、そのことで給水量増大時における脱調停止の時期を異ならせ、制御する脱調制御手段としての働きも有する。
【0093】
図15はこれを模式的に示している。
図中横軸は給水流量,縦軸は水車110及び羽根車88の回転数で、図中に示したXは、羽根車88側磁石178が脱調停止する回転数を、またYは洗浄効果を発揮し始める羽根車88の回転数をそれぞれ示している。
またAは、ノズル孔230の孔径の小さいノズル222を用いた場合の給水流量と回転数との関係を、Bはノズル孔230の孔径の大きなノズル222を用いたときの給水流量と回転数との関係を示している。
【0094】
図のA,Bに示しているように、何れの場合にも給水流量が増加するのに伴って、水車110及び羽根車88の回転数は増大する。そしてその回転数がYを超えたところで、羽根車88の回転による洗浄効果が生じ、更に回転数がXに到ると、そこで羽根車88側磁石178が脱調してそこで回転停止する。
図のAで示しているように、孔径の小さなノズル222を用いた場合には、流量の比較的僅かな増加で回転数が高まり、従って比較的早い時期から(給水流量が少ない段階で)洗浄効果が生じるとともに、羽根車88が回転数Yに到って脱調停止する際の給水流量もBで示す場合に比べて相対的に小量である。
一方孔径の大きなノズル222を用いた場合には、給水の噴出流の流速が孔径の小さなノズル222を用いた場合に比べてそれほど速くならないために、Aに示す場合に比べて洗浄効果の生じるのが遅くなり、また脱調停止の際の給水流量も大となる。
【0095】
このように孔径の小さなノズル222を用いた場合には、Aに示すように給水流量を増加したときに早い段階で羽根車88の回転による洗浄効果が表れるが、磁石178即ち羽根車88が脱調停止の回転数に到達する時期も早い。
他方孔径の大きなノズル222を用いた場合には、Bに示しているように洗浄効果の生じるのが遅くなるが、脱調停止の回転数に到達する時期も遅く、洗浄効果を生ぜしめる給水流量のレンジ(R
2)も、Aに示す場合のレンジ(R
1)に比べて広い。
【0096】
例えばキッチンでは日常的に多くの給水量で水栓12を使う人もあれば、小量の給水量で水栓12を使う人もある等様々である。
そしてそれに応じてノズル222を交換することで、使用する給水流量の大小に応じて羽根車88の脱調停止時期を制御することができる。
【0097】
尚、羽根車88側磁石178が脱調して回転停止したとき、水車110側磁石214は空回り状態となる。このとき上下に対向配置された水車110側磁石214と羽根車88側磁石178とは、
図16に示すように水車110の回転に連れて磁気的な吸引と反発とを小刻みに繰り返す。
これに応じて回転軸86に上下方向の加振力が加わり、回転軸86及び羽根車88が微振動を起す可能性がある。
本実施形態では、回転軸86及び羽根車88の重量が、磁石178及び214の吸引力及び反発力の作用方向に加わる構造であるため、回転軸86の重量を重くする等によって、微振動の発生を抑制することができる。
【0098】
以上本発明の実施形態を詳述したが、これはあくまで一例示である。
例えば本発明においては、場合によって回転羽根の下側の一部が排水ボウル32の底面の縁部60aよりも下側に位置するように羽根車を構成するといったことも可能である。
またその他に、羽根車の形状を上記例示した形状以外の様々な形状で構成することが可能である。
更に上記実施形態では、給水管から水栓の吐水口までの給水流路を流れる水の流れの力を動力として羽根車を回転駆動するようにしているが、これ以外の他の種々の動力にて羽根車を回転駆動するようになすことも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。