【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば印刷インク組成物に含まれる液体媒体等、液体媒体へのペリレン染料の溶解性および/または分散性を増大させる方法を提供する。該方法は、該ペリレン染料を、液体媒体に可溶なポリマーに結合させるステップを含む。
【0007】
該方法の一態様において、液体媒体は極性液体媒体であってもよい。
【0008】
別の態様において、ペリレン染料はポリマーと共有結合していてもよい。例えば、ポリマーは、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基から選択され得る少なくとも1つの極性基を含む少なくとも1種の(繰り返し)モノマー単位を含み得る。したがって、ポリマーは、例えば、式
【0009】
【化1】
のフェノール樹脂
[式中、基R
4は、同じであっても異なっていてもよく、1から約10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、mの平均数は、約1から約30、例えば、約1から約25、約1から約15、約1から約10、約1から約5、約1から約3、約5から約15、約5から約10、約10から約20、または約20から約30である]等のフェノール樹脂を含み得る。基R
4は、同じであっても異なっていてもよく(好ましくは同じであり)、例えば、tert−ブチル、tert−オクチルおよび分枝状ノニルから選択され得る。さらに、基R
4は、OH基に対してメタまたはパラ位にあってよく(式(IV)においては、パラ位のみが示されている)、フェニル環上には複数の基R
4(例えば、2または3つの基R
4)が存在し得る。例えば、フェニル環上に2つの基R
4が存在する場合(同じまたは異なる、好ましくは同じ基R
4)、それらは、例えばメタ/パラまたはメタ/メタ等、フェニル環上の利用可能な位置のいずれかに存在し得る。
【0010】
本発明の方法の別の態様において、ペリレン染料に含まれる基をポリマーの少なくとも1つの(好ましくは)極性基と反応させることによって、ペリレン染料をポリマーと結合させることができる。該少なくとも1つの極性基は、例えば、ヒドロキシ基であってよく、かつ/またはペリレン染料に含まれる基は、例えばBrまたはCl等のハロゲンであってもよい。
【0011】
本発明の方法のまたさらなる態様において、ペリレン染料は、式(A)または式(B)の化合物:
【0012】
【化2】
[式中、
基Zは、同じであるかまたは互いに異なり、O、SまたはN−Rを表し、但し、上記の式において、単位−CO−Z−CO−(式(B)の場合、式−CO−Z−CO−の一方または両方の単位)は、単位−CS−Z−CO−によって、または単位−CS−Z−CS−は[−COOH HOOC−]によって置き換えられていてよく(すなわち、環状無水物の代わりにジカルボン酸)、但し、さらにZ=N−Rでは、単位−CO−Z−CO−は、式−C(=NR’)−NR−CO−の単位によって置き換えられていてよく、
RおよびR’は独立に、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、かつ、RおよびR’は組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成してもよく、
基Xは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、COOHおよびイソシアネート(NCO)を表し、
基Yは、同じであっても異なっていてもよく、OH、NO
2、CN、式R’’、OR’’、COOR’’、OCOR’’、CONHR’’、CON(R’’)
2、OCONHR’’、OCON(R’’)
2、COR’’、SO
3H、SO
3R’’、SO
2NHR’’、SO
2N(R’’)
2、NHCOR’’、NRCOR’’、NHCOOR’’、NRCOOR’’、NHSO
2R’’、NRSO
2R’’、NHR’’およびN(R’’)
2の基から選択され、ここで、基R’’は、同じであっても異なっていてもよく、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、2つの基R’’が存在する場合、それらは組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成してもよく、
nおよびpは、それぞれ0または1から8の整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7または8)を表し、但し、(n+p)は8以下であり、但し、さらにn=0では、R、R’およびR’’の少なくとも1つが、少なくとも1つの基Xを置換基として含む]
であってもよい。
【0013】
上記の式の化合物の一態様において、(唯一の)基Zまたは基Zの少なくとも1つはN−Rを表し、ここで、Rは、例えば、場合により置換されている、1から約6個の炭素原子を有するアルキル、場合により置換されている、7から約12個の炭素原子を有するアルキルアリールまたはアリールアルキル、場合により置換されている、約6から約20個の炭素原子を有するアリール、および約3から約20個の炭素原子を有する場合により置換されているヘテロアリール、例えば場合により置換されている、1から約4個の炭素原子を有するアルキル等、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているベンジルから選択され得る。非限定的な例として、Rは、例えば、第二級または第三級炭素原子を含む少なくとも2つのアルキル基によって置換されているフェニル基等、ハロゲンおよび1から約6個の炭素原子を有するアルキルから選択される1から約3個の基で置換されているフェニルを表してもよく、その例は、イソプロピルおよびtert−ブチル基を含む。
【0014】
上記の式の化合物の別の態様において、ペリレン染料は、式(A)の化合物であってもよい。代替として、ペリレン染料は、例えば、式(B)の化合物[式中、基Zは同じであっても異なっていてもよく、OまたはN−Rを表す](両方の基ZがOである化合物、両方の基ZがN−Rである化合物(基Rは同じまたは異なっている)、および一方の基ZがOであり、他方の基ZがN−Rである化合物を含む)等、式(B)の化合物であってもよい。
【0015】
本発明は、ポリマーと結合されることによって極性液体媒体中への溶解性および/または分散性が増大したペリレン染料、ならびに式(A)または式(B)のポリマー結合ペリレン染料:
【0016】
【化3】
[式中、
基Zは、同じであるかまたは互いに異なり、O、SまたはN−Rを表し、但し、単位−CO−Z−CO−(式(B)の場合、一方の単位または両方の単位)は、−CS−Z−CO−もしくは単位−CS−Z−CS−によって置き換えられていてよく、または[−COOH HOOC−]によって置き換えられていてよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、但し、さらにZ=N−Rでは、単位−CO−Z−CO−は、式−C(=NR’)−NR−CO−の単位によって置き換えられていてよく、
RおよびR’は独立に、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、かつ、RおよびR’は組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成していてもよく、
基Xは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、イソシアネートおよびCOOHを表し、但し、少なくとも1つの基X(唯一の基Xであってもよい)は、式−L−Pの基を表し、式中、Lは共有(直接)結合または架橋基を表し、かつPはポリマー分子を表し、
基Yは、同じであっても異なっていてもよく、OH、NO
2、CN、式R’’、OR’’、COOR’’、OCOR’’、CONHR’’、CON(R’’)
2、OCONHR’’、OCON(R’’)
2、COR’’、SO
3H、SO
3R’’、SO
2NHR’’、SO
2N(R’’)
2、NHCOR’’、NRCOR’’、NHCOOR’’、NRCOOR’’、NHSO
2R’’、NRSO
2R’’、NHR’’およびN(R’’)
2の基から選択され、ここで、基R’’は、同じであっても異なっていてもよく、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、2つの基R’’が存在する場合、それらが組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成してもよく、
nおよびpは、それぞれ0または1から8の整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7または8)を表し、但し、(n+p)は8以下であり、但し、さらにn=0では、R、R’およびR’’の少なくとも1つが、少なくとも1つの基Xを置換基として含む]
も提供する。
【0017】
本発明のポリマー結合ペリレン染料の一態様において、(唯一の)基Zまたは基Zの少なくとも1つ(式(B)の場合)は、N−Rを表し、ここで、Rは、例えば、場合により置換されている、1から約6個の炭素原子を有するアルキル、場合により置換されている、7から約12個の炭素原子を有するアルキルアリールまたはアリールアルキル、場合により置換されている、約6から約20個の炭素原子を有するアリール、および場合により置換されている、約3から約20個の炭素原子を有するヘテロアリール、例えば場合により置換されている、1から約4個の炭素原子を有するアルキル等、場合により置換されているフェニルまたは場合により置換されているベンジルから選択され得る。非限定的な例として、Rは、例えば、第二級または第三級炭素原子を含む少なくとも2つのアルキル基によって置換されているフェニル基等、ハロゲンおよび1から約6個の炭素原子を有するアルキルから選択される1から約3個の基で置換されているフェニルを表してもよく、その非限定的な例は、イソプロピルおよびtert−ブチル基を含む。
【0018】
本発明のポリマー結合ペリレン染料の別の態様において、ペリレン染料は、式(A)の化合物であってもよい。代替として、ポリマー結合ペリレン染料は、例えば、式(B)の化合物[式中、基Zは同じであっても異なっていてもよく、OまたはN−Rを表す](両方の基ZがOである化合物、両方の基ZがN−Rである化合物(基Rは同じまたは異なっている)、および一方の基ZがOであり、他方の基ZがN−Rである化合物を含む)等、式(B)の化合物であってもよい。
【0019】
本発明のポリマー結合ペリレン染料のまた別の態様において、Lは、O、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NH、NHC(=O)O、NHC(=O)NHおよびC(=O)OC(=O)から選択され得る。例えば、LはOを表し得る。
【0020】
本発明のポリマー結合ペリレン染料のまたさらなる態様において、Pは、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基から選択される少なくとも1つの極性基等、少なくとも1つの極性基を含む少なくとも1種の(繰り返し)モノマー単位を含むポリマー分子を表し得る。非限定的な例として、ポリマーは、例えば、式
【0021】
【化4】
のフェノール樹脂
[式中、基R
4は、同じであっても異なっていてもよく、1から約10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、mの平均数は、約1から約30、例えば、約1から約25、約1から約15、約1から約10、約1から約5、約1から約3、約5から約15、約5から約10、約10から約20、または約20から約30である]等のフェノール樹脂を含み得る。基R
4は、同じであっても異なっていてもよく(好ましくは同じであり)、例えば、tert−ブチル、tert−オクチルおよび分枝状ノニルから選択され得る。さらに、基R
4は、OH基に対してメタまたはパラ位にあってよく(式(IV)においては、パラ位のみが示されている)、フェニル環上には複数の基R
4(例えば、2または3つの基R
4)が存在し得る。例えば、フェニル環上に2つの基R
4が存在する場合(同じまたは異なる、好ましくは同じ基R
4)、それらは、例えばメタ/パラまたはメタ/メタ等、フェニル環上の利用可能な位置のいずれかに存在し得る。
【0022】
本発明のポリマー結合ペリレン染料の別の態様において、Pは、それに結合した1つまたは複数のペリレン染料分子を有し得る。
【0023】
本発明は、上記で説明した通りのポリマー結合ペリレン染料(その種々の態様を含む)を作製するための方法も提供する。該方法は、式(A)または式(B)のペリレン染料:
【0024】
【化5】
[式中、基Zは、同じであるかまたは互いに異なり、O、SまたはN−Rを表し、但し、単位−CO−Z−CO−(式(B)の場合、一方または両方の単位)は、−CS−Z−CO−もしくは単位−CS−Z−CS−によって置き換えられていてよく、または[−COOH HOOC−]によって置き換えられていてよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、Z=N−Rでは、単位−CO−Z−CO−は、式−C(=NR’)−NR−CO−の単位によって置き換えられていてよく、
上記の式(A)および(B)中のRおよびR’は独立に、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、かつ、RおよびR’は組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成してもよく、
基Xは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、イソシアネートおよびCOOHを表し、
基Yは、同じであっても異なっていてもよく、OH、NO
2、CN、式R’’、OR’’、COOR’’、OCOR’’、CONHR’’、CON(R’’)
2、OCONHR’’、OCON(R’’)
2、COR’’、SO
3H、SO
3R’’、SO
2NHR’’、SO
2N(R’’)
2、NHCOR’’、NRCOR’’、NHCOOR’’、NRCOOR’’、NHSO
2R’’、NRSO
2R’’、NHR’’およびN(R’’)
2の基から選択され、ここで、基R’’は同じであっても異なっていてもよく、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、基R’’は組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成してもよく、
nおよびpは、それぞれ0または1から8の整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7または8)を表し、但し、(n+p)は8以下であり、但し、さらにn=0では、R、R’およびR’’の少なくとも1つが、少なくとも1つの基Xを置換基として含む]
を、該ペリレン染料の(少なくとも1つの)基Xと該ポリマーの官能基との反応を引き起こして該ポリマーを該ペリレン染料に共有結合させる条件下でポリマーPと接触させるステップを含む。
【0025】
該方法の一態様において、ハロゲンを表すペリレン染料の基Xは、ポリマーPのOH基と反応させられて、Xを基−O−Pによって置き換え得る。例えば、ポリマーのOH基は、フェノール性OH基であってもよい。
【0026】
本発明の方法の別の態様において、該方法は、塩基の存在下で行われ得る。
【0027】
本発明は、式(I)から(III)の1つのポリマー結合ペリレン染料:
【0028】
【化6】
[式中、
基Zは、同じであるかまたは互いに異なり、O、SまたはN−Rを表し、但し、式(III)の場合、一方または両方の単位−CO−Z−CO−は、−CS−Z−CO−もしくは単位−CS−Z−CS−によって置き換えられていてよく、または[−COOH HOOC−]によって置き換えられていてよく(すなわち、無水物の代わりにジカルボン酸)、Z=N−Rでは、単位−CO−Z−CO−は、式−C(=NR’)−NR−CO−の単位によって置き換えられていてよく、
RおよびR’は独立に、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、かつ、RおよびR’は組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成していてもよく、
R
1、R
2およびR
3は、水素、場合により置換されているC
1〜C
4アルキル、場合により置換されているC
1〜C
4アルキル−COOH、場合により置換されているC
1〜C
4アルキル−SO
3H、場合により置換されているC
1〜C
4アルコキシ、場合により置換されているモノ(C
1〜C
4)アルキルアミノ、場合により置換されているジ(C
1〜C
4)アルキルアミノ、場合により置換されているC
1〜C
4アミノアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロおよびSO
3Hから独立に選択され、
基Xは、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、イソシアネートおよびCOOHを表し、
基Yは、同じであっても異なっていてもよく、OH、NO
2、CN、式R’’、OR’’、COOR’’、OCOR’’、CONHR’’、CON(R’’)
2、OCONHR’’、OCON(R’’)
2、COR’’、SO
3H、SO
3R’’、SO
2NHR’’、SO
2N(R’’)
2、NHCOR’’、NRCOR’’、NHCOOR’’、NRCOOR’’、NHSO
2R’’、NRSO
2R’’、NHR’’およびN(R’’)
2の基から選択され、ここで、基R’’は、同じであっても異なっていてもよく、場合により置換されている、1から約20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基を表し、2つの基R’’が存在する場合、それらが組み合わさって、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により置換されているかつ/または縮合している5から7員環を形成してもよく、
式(II)の場合、nおよびpは、それぞれ0または1から8の整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7または8)を表し、但し、(n+p)は8以下であり、式(I)および(III)の場合、nおよびpは、それぞれ0または1から7の整数(すなわち、1、2、3、4、5、6または7)を表し、但し、(n+p)は7以下であり(好ましくは4以下であり)、かつ
Pはポリマー分子を表す]
も提供する。
【0029】
上記ポリマー結合ペリレン染料の一態様において、Pは、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基から選択される基等、少なくとも1つの極性基を含む少なくとも1種のモノマー単位を含むポリマー分子を表し得る。非限定的な例として、ポリマーは、例えば、式
【0030】
【化7】
の樹脂
[式中、基R
4は、同じであっても異なっていてもよく、1から約10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、mの平均数は、約1から約30、例えば、約1から約25、約1から約15、約1から約10、約1から約5、約1から約3、約5から約15、約5から約10、約10から約20、または約20から約30である]等のフェノール樹脂を含み得る。基R
4は、同じであっても異なっていてもよく(好ましくは同じであり)、例えば、tert−ブチル、tert−オクチルおよび分枝状ノニルから選択され得る。さらに、基R
4は、OH基に対してメタまたはパラ位にあってよく(式(IV)においては、パラ位のみが示されている)、フェニル環上には複数の基R
4(例えば、2または3つの基R
4)が存在し得る。例えば、フェニル環上に2つの基R
4が存在する場合(同じまたは異なる、好ましくは同じ基R
4)、それらは、例えばメタ/パラまたはメタ/メタ等、フェニル環上の利用可能な位置のいずれかに存在し得る。
【0031】
上記ポリマー結合ペリレン染料の別の態様において、Pは、それに結合した1つまたは複数のペリレン染料分子(例えば、1、2、3、4、5、6またはそれ以上のペリレン染料分子)を有し得る。逆に、ペリレン染料分子は、それに結合した1つまたは複数のポリマー分子P(例えば、1、2、3、4またはそれ以上のポリマー分子P)を有し得る。その上さらに、ポリマー分子Pは、それに結合した少なくとも2つのペリレン染料分子を有し得、これらのペリレン染料分子の少なくとも1つは、少なくとも1つの追加のポリマー分子Pに結合している(これが今度は1つまたは複数の追加のペリレン染料分子に結合していてもしていなくてもよい)。
【0032】
また別の態様において、上記ポリマー結合ペリレン染料中、R
1、R
2およびR
3は、水素、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、ハロゲンおよびSO
3Hから独立に選択されてよく、かつ/またはペリレン染料は、式(I)または(III)の化合物[式中、(n+p)は、1、2または3であり、かつXはClまたはBrを表す、あるいは式中、(n+p)は0であり、かつ/またはR
1およびR
2はC
1〜C
4アルキル基から選択される]であってよい。その上さらに、ペリレン染料は、R
3が水素を表す式(I)の化合物、またはR
1がSO
3Hを表し、かつR
2およびR
3が水素を表す式(I)の化合物であってもよい。
【0033】
本発明は、上記で説明した式(I)から(III)のいずれか1つのポリマー結合ペリレン染料を作製するための方法も提供する。該方法は、式(I’)から(III’)の化合物
【0034】
【化8】
[式中、R
1、R
2、R
3、XおよびYは、式(I)から(III)について上記で定義した通りであり、nは少なくとも1であり、かつ(n+p)は、1、2、3または4である]を、ポリマーP、すなわち、Xと反応してXを式OPの基によって置き換えることができる基を含むポリマー分子と接触させるステップを含む。
【0035】
一態様において、該方法は、ポリマーPが可溶な極性非プロトン性有機溶媒中で行われ得る。例えば、極性溶媒は、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドの少なくとも1種を含み得る。
【0036】
別の態様において、該方法は、無機塩基および/もしくは強有機非求核塩基の存在下で、ならびに/またはポリエチレングリコールおよび/もしくはその誘導体等の少なくとも1種の消泡剤の存在下で行われ得る。
【0037】
該方法のまた別の態様において、100gのポリマーP当たり約0.2gから約10gのペリレン染料、例えば、100gのポリマーP当たり少なくとも約0.4g、少なくとも約0.5g、少なくとも約0.6g、少なくとも約0.8g、少なくとも約1g、少なくとも約2g、少なくとも約5gまたは少なくとも約8gのペリレン染料が用いられ得る。
【0038】
本発明は、その中に溶解または分散された少なくとも1種の上記で説明した通りの本発明のポリマー結合ペリレン染料(その種々の態様を含む)を有する極性液体媒体を含む、印刷インク組成物も提供する。
【0039】
一態様において、印刷インク組成物は、組成物の総重量に基づき、約0.01重量%から約40重量%の少なくとも1種のポリマー結合ペリレン染料を含み得る。別の態様において、印刷インク組成物は、少なくとも1種の導電性付与物質(例えば塩)をさらに含み得る。
【0040】
本発明は、上記で説明した通りの本発明の印刷インク組成物(その種々の態様を含む)で作製されている、マーキングまたはセキュリティー機能も提供する。
【0041】
一態様において、マーキングまたはセキュリティー機能は、少なくとも1種の本発明によるポリマー結合ペリレン染料、例えば、上記で説明した通りの式(A)もしくは式(B)の、および/または式(I)から(III)のいずれか1つのポリマー結合ペリレン染料(その種々の態様を含む)を含み得る。別の態様において、マーキングまたはセキュリティー機能は、スレッド、ラベル、バーコード、2次元コード、パターン、証印およびデータマトリックスの少なくとも1つを含み得る。
【0042】
本発明は、上記で説明した通りの本発明のマーキングまたはセキュリティー機能(その種々の態様を含む)を含む物品も提供する。
【0043】
該物品の一態様において、マーキングまたはセキュリティー機能は、物品上に層の形態で存在し得る。別の態様において、物品は、例えば税ラベル等のラベル、包装、缶、金属、アルミ箔、カートリッジ、例えば医薬品、栄養補助食品、食品または飲料(例えば、コーヒー、茶、ミルク、チョコレート等)を含有する密封されたカートリッジ(例えばカプセル)、ガラス製の物品、セラミック製の物品、紙幣、印紙、セキュリティー書類、身分証明書、パスポート、運転免許証、クレジットカード、アクセスカード、例えば輸送チケットまたはイベントチケット等のチケット、引換券、有価書類、インク転移フィルム、反射フィルム、スレッド、および市販品の少なくとも1つであってもよい。
【0044】
本発明は、物品を認証する方法をさらに提供する。該方法は、物品に、上記で説明した通りの本発明のマーキングもしくはセキュリティー機能を、および/または上記で説明した通りの本発明の印刷インク組成物の物品への適用を提供するステップを含む。
【0045】
該方法の一態様において、物品は、税ラベル、包装、缶、金属、アルミ箔、カートリッジ、例えば医薬品、栄養補助食品、食品または飲料(例えば、コーヒー、茶、ミルク、チョコレート等)を含有する密封されたカートリッジ(例えばカプセル)、ガラス製の物品、セラミック製の物品、紙幣、印紙、セキュリティー書類、身分証明書、パスポート、運転免許証、クレジットカード、アクセスカード、例えば輸送チケットまたはイベントチケット等のチケット、引換券、有価書類、インク転移フィルム、反射フィルム、スレッド、および市販品の少なくとも1つであってもよい。
【0046】
本発明は、上記で説明した通りの本発明による方法(その種々の態様を含む)によって取得可能である、染料ドープポリマーも提供する。このポリマーにおいて、全ポリマー分子の少なくとも約0.1%から10%にペリレン染料が結合されている。
【0047】
一態様において、ポリマーは、例えば、式
【0048】
【化9】
のフェノール樹脂
[式中、基R
4は、同じであっても異なっていてもよく、1から約10個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、mの平均数は、約1から約30、例えば、約1から約25、約1から約15、約1から約10、約1から約5、約1から約3、約5から約15、約5から約10、約10から約20、または約20から約30である]等のフェノール樹脂を含み得る。基R
4は、同じであっても異なっていてもよく(好ましくは同じであり)、例えば、tert−ブチル、tert−オクチルおよび分枝状ノニルから選択され得る。さらに、基R
4は、OH基に対してメタまたはパラ位にあってよく(式(IV)においては、パラ位のみが示されている)、フェニル環上には複数の基R
4(例えば、2または3つの基R
4)が存在し得る。例えば、フェニル環上に2つの基R
4が存在する場合(同じまたは異なる、好ましくは同じ基R
4)、それらは、例えばメタ/パラまたはメタ/メタ等、フェニル環上の利用可能な位置のいずれかに存在し得る。