(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作動機構は、前記チェイスブロックの下方にエジェクタピンを立設した可動プレートを備え、当該可動プレートが上動することで前記ダムブロックが前記ワーク端面から離間した第1の位置と前記可動プレートが下動することで前記ダムブロックがワーク端面に当接して押動する第2の位置との間で移動させるダムブロックガイド駒を備えている請求項1記載の樹脂封止装置。
前記作動機構は、前記可動プレートが上動することで前記ワーク端面から離間した第1の位置と前記可動プレートが下動することでワーク端面を押動して反対側端面を対向するセンターインサートの端面に面一となるように押し当てる第2の位置との間で移動させるワークガイド駒を更に備えている請求項2記載の樹脂封止装置。
前記作動機構は、前記可動プレートに連繋するエジェクタ可動部材を備え、前記モールド金型の型閉じ動作に合わせて前記エジェクタ可動部材を通じて前記可動プレートを上下動させることにより前記ワークガイド駒及び前記ダムブロックを異なるタイミングで前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動させる請求項3記載の樹脂封止装置。
前記モールド金型の型閉じ動作に合わせて、先ず前記ワークガイド駒が前記ワークを前記センターインサートに押し当ててから前記ダムブロックをワーク端面に押し当てる請求項4記載の樹脂封止装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワークとして用いられる基板には樹脂基板のみならず、リードフレーム、セラミック基板や金属基板等様々な基板が用いられる。これらの外径寸法には公差を含めたマージンが設けられるうえに、基板端面が平坦面に仕上がっているとは限らない。
よって、ワークとセンターインサートとの間には隙間が発生しやすく、樹脂漏れが発生してしまう。ワークはセンターインサート側に位置決めしてモールドされることが多く、センターインサートとワーク間に漏れ出したモールド樹脂が当該ワークを周回して回り込み位置決め動作が行なうことができなくなることも想定される。また、樹脂漏れ量が多いと、モールド樹脂に所定の樹脂圧が加わらず、未充填による成形不良を起こすおそれがある。
よって、金型クリーニング及びメンテナンスの回数が増えてオートモールドを効率良く行うことができなくなる。
【0006】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、流動性の高い低粘度樹脂を用いた場合でも金型とワーク端面の隙間に漏れ出た樹脂の回り込みを防いで、成形品質を維持できる樹脂封止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
即ち、
上型と下型を含み、少なくともいずれか一方側にキャビティ凹部が形成された開閉可能なモールド金型を有するトランスファモールドタイプの樹脂封止装置であって、前記キャビティ凹部に位置を合わせてワークが載置されるインサートブロックと、前記インサートブロックに隣接して設けられ前記キャビティ凹部へ供給するモールド樹脂が装填されるポットが設けられたセンターインサートと、前記インサートブロック及びセンターインサートを支持するチェイスブロックと、前記チュイスブロックに前記ワークに向って進退動可能に設けられ、前記ワーク端面を押動して前記チェイスブロックとワークとの隙間に漏れ出したモールド樹脂のワーク端面に沿った回り込みを防ぐダムブロックと、
前記モールド金型の型閉じ動作に合わせて、前記ダムブロックを前記ワーク端面より退避した第1の位置から当該ワーク端面を押動する第2の位置へ移動させる作動機構と、を具備したことを特徴とする。
よって、モールド金型の型閉じ動作に合わせて、ダムブロックをワーク端面より退避した第1の位置から当該ワーク端面を押動する第2の位置へ移動させるので、モールド樹脂のセンターインサートとワークの隙間からワーク側面への回り込みを防ぐことができ、メンテナンスを省力化し装置稼動率を向上することができる。
【0008】
前記作動機構は、前記チェイスブロックの下方にエジェクタピンを立設した可動プレートを備え、当該可動プレートが上動することで前記ダムブロックが前記ワーク端面から離間した第1の位置と前記可動プレートが下動することで前記ダムブロックがワーク端面に当接して押動する第2の位置との間で移動させるダムブロックガイド駒を備えていることが好ましい。
これにより、エジェクタピンを作動させる可動プレートの上下動作に合わせてダムブロック駒を通じてダムブロックを第1の位置から第2の位置へ移動させてワーク端面を押動することでワークとチェイスブロックとの隙間を遮断するので、エジェクタピンによるエジェクト動作に合わせてダムブロックを移動することができる。よって、特別な駆動源を設けることなくダムブロックの作動機構を簡略化することができる。
【0009】
前記作動機構は、前記可動プレートが上動することで前記ワーク端面から離間した第1の位置と前記可動プレートが下動することでワーク端面を押動して反対側端面を対向するセンターインサートの端面に面一となるように押し当てる第2の位置との間で移動させるワークガイド駒を更に備えていることが好ましい。
これにより、エジェクタピンを作動させる可動プレートの上下動作に合わせてワークガイド駒によってワークをセンターインサートの端面に押し当てて位置決めすることができる。
よって、外形精度が確保されていないワークのモールド金型への位置決めが確実に行なえ、モールド樹脂の漏れを可及的に少なくすることができる。また、成形品の位置ずれを防止して高い成形品質を維持することできるうえに特別な駆動源を設けることなくワークガイド駒の作動機構を簡略化することができる。
【0010】
前記作動機構は、前記可動プレートに連繋するエジェクタ可動部材を備え、前記モールド金型の型閉じ動作に合わせて前記エジェクタ可動部材を通じて前記可動プレートを上下動させることにより前記ワークガイド駒及び前記ダムブロックを異なるタイミングで前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動させることが好ましい。
これにより、モールド金型の型閉じ動作に合わせてエジェクタ可動部材を通じて可動プレートを上位置から下位置へ移動させながらワークガイド駒とダムブロックを異なるタイミングで第1の位置から第2の位置へ各々移動させてワークの位置決めと樹脂の回り込み防止を共通のエジェクタピンの駆動機構を通じて実現することができる。よって金型構成を多機能化しても簡素化することができる。
【0011】
前記モールド金型の型閉じ動作に合わせて、先ず前記ワークガイド駒が前記ワークを前記センターインサートに押し当ててから前記ダムブロックをワーク端面に押し当てることが望ましい。
これにより、ワークを金型に位置決めした後でモールド樹脂の回り込みを防ぐので、ワークと金型の隙間から漏れ出す樹脂も必要最小限にとどめることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記樹脂封止装置を用いれば、流動性の高い低粘度樹脂を用いた場合でも金型とワーク端面の隙間に漏れ出た樹脂の回り込みを防いで、成形品質を維持できる樹脂封止装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る樹脂封止装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下の実施形態では、ワークとしてLED発光装置用の基板を用い、上型側にキャビティ凹部が形成され下型側にポットが形成されるトランスファモールドタイプの樹脂封止装置について説明する。
【0015】
図17において、上型1はキャビティ凹部2、キャビティ凹部2より更に凹んだレンズ用凹部3、上型カル4、図示しないランナゲート(図示せず)が形成された固定型である。
【0016】
下型5は可動型であり以下の構成を有する。キャビティ凹部2に位置を合わせてワークWが載置されるインサートブロック6、該インサートブロック6の一方側に隣接して設けられキャビティ凹部2へ供給するモールド樹脂が装填されるポット8が設けられたセンターインサート7が、下型チェイスブロック9に支持されている。センターインサート7は下型5の中央部に設けられその両側にインサートブロック6が設けられている。ポット8内にはプランジャ10が公知のトランスファ機構により上下動可能に設けられている。
【0017】
下型チェイスブロック9には、インサートブロック6に載置されたワークWをセンターインサート7の側面に押し当てる複数のワークガイド駒11が、ワークWのセンターインサート7とは離れた長手辺側端面に対して接離動可能に設けられている(
図1参照)。本実施例ではワークガイド駒11がワークWのセンターインサート7とは離れた長手辺側に所定間隔を設けて2セット配置されている。ワークガイド駒11は、後述する作動機構によって型閉じ動作に合わせて揺動するようになっており、後述するように基板端面を押動して当該基板の反対側端面をセンターインサート7の側面に面一となるように押し当てる。
【0018】
下型チェイスブロック9の下方には複数のエジェクタピン12を立設した可動プレート13が設けられている。エジェクタピン12は、下型チェイスブロック9及びインサートブロック6を貫通して先端部がワーク載置部6aより突出可能に設けられている。エジェクタピン12は型開きされたときに先端部がワーク載置部6aより突出してワークWの下面を支持し(
図12参照)、型閉じ状態でワーク載置部6aと面一となる位置までインサートブロック6内へ退避する(
図17参照)。なお、エジェクタピン12を基板載置部6aと面一となる位置よりも下となるように退避させてもよい。可動プレート13は後述するエジェクタ可動部材14により上下動する。
【0019】
ワークガイド駒11は、平板状の底部11bと、該底部11bの中央部から立設した柱状ガイド部11aによって逆T字状に形成されている。ワークガイド駒11は底部11bの対向する側面中央部に各々設けられた一対の揺動軸11cを中心に揺動する。ワークガイド駒11は底部11bの一端側が第1のコイルばね(弾性部材の一例)15を介して下型チェイスブロック9に支持されている。また、底部11bの他端側が直列配置された駒可動ピン(駒可動部材の一例)16及び第2のコイルばね(弾性部材の一例)17によって支持されている。第2のコイルばね17は、可動プレート13に支持されている。
【0020】
駒可動ピン16は可動プレート13に立設され、先端部が下型チェイスブロック9へ進入している。駒可動ピン16の先端部は、ガイド駒11の底部11bの他端側に当接したまま第2のコイルばね17に付勢されて当該底部11bの他端側を押動している。下型チェイスブロック9には、駒可動ピン16の上下動をガイドするガイドリング9aが設けられている。下型チェイスブロック9には、ワークガイド駒11の両側で一対の逆U字状の軸ガイド9bが上下方向に立設されている。各揺動軸11cは、一対の軸ガイド9bの長孔に挿入され、当該長孔に沿って上下動可能に支持されている(
図15,
図16参照)。
【0021】
可動型である下型5を閉じると、第1,第2のコイルばね15,17の付勢に抗してワークガイド駒11の先端が上型クランプ面に当接したまま金型クランプ面まで押し下げられ、ワークWはインサートブロック6と上型1との間でクランプされる。なお、本実施形態における「金型クランプ面」とは、型閉状態で上型1と下型5のセンターインサート7(ワークW上面)が当接する面であり、センターインサート7の上面(ワークW上面)と上型1の下面が当接する当接面を言う。
【0022】
作動機構は、上述した可動プレート13、駒可動ピン16、可動プレート13の側面部に連繋するエジェクタ可動部材14及び該エジェクタ可動部材14の下面部に連繋する可動ロッド18を備えている。
【0023】
エジェクタ可動部材14は、図示しないアクチュエータ(ばね、ソレノイド、シリンダ、モータなど)から可動ロッド18を通じて伝達された動力によって上下動するようになっている。このエジェクタ可動部材14を通じて可動プレート13を下動させる際に、ワークガイド駒11の柱状ガイド部11aが揺動軸11cを中心にワークWの端面から離間した第1の位置(
図12参照)からワークWに当接したままセンターインサート7の側面(突き当て面)へ押し当てる第2の位置(
図14参照)まで揺動する。なお、このときワークWに設けられたワークガイド側の孔にインサートブロック6に立設したパイロットピン26が挿入されてワークWが位置決めされる。
【0024】
これにより、
図14に示すように、ワークWの端面が対向するセンターインサート7の突き当て面に突き当てられて、ワークWの位置決めが完了する。また、エジェクタピン12の先端が基板載置部6aより退避し、ワークWは基板載置部6aに載置されたまま吸引孔6bより図示しない吸引装置によりエア吸引されて吸着固定される。また、ワークWを支持するエジェクタピン12の上下動とワークガイド駒11による位置決め動作のタイミングを取ることで、型開閉動作に合わせて効率よくワークWの位置決めが行なえる。これにより、外形精度が確保されていないワークWのモールド金型への位置決めが確実に行なえ、モールド樹脂の漏れを可及的に少なくすることができる。
【0025】
図1において、下型チュイスブロック9には、インサートブロック6に隣接してワークWの長手方向両端面を押動してセンターインサート7とワークWとの隙間から下型チェイスブロック9とワーク端面との隙間に漏れ出したモールド樹脂の回り込みを防ぐダムブロック19が対向して設けられている。ダムブロック19のモールド樹脂Rを堰き止める面には、
図5に示すように凹溝19cが刻設されていてもよい。また、ダムブロック19のワーク当接面には、凹凸形状(波型形状等)が形成された凹凸面19dが形成されていてもよい。
このダムブロック19は、上述したワークガイド駒11と同様な構成のダムブロックガイド駒22によってモールド金型の型閉じ動作に合わせて、ダムブロック19をワーク端面より退避した第1の位置(
図1参照)から当該ワーク端面を押動する第2の位置(
図3参照)へ移動させるようになっている。
【0026】
ダムブロック19の作動機構は、ワークガイド駒11の作動機構と同様である。即ち、
図7に示すように、下型チェイスブロック9の下方にエジェクタピン12を立設した可動プレート13を備えている。可動プレート13を上下動させる際にダムブロックガイド駒22を揺動させてダムブロック19がワーク端面から離間した第1の位置(
図7参照)とワーク端面に当接する第2の位置(
図10参照)との間で移動させるようになっている。
【0027】
ダムブロック19は、
図6に示すように下型チェイスブロック9からワークWへ水平方向に進退するワーク当接部19aを有する。チェイス凹部9c内には押圧ばね20が自然長より圧縮されて弾装されている。この押圧ばね20によって、ワーク当接部19aがワークW端面から離間した第1の位置(チェイス凹部9c内に退避した位置)に向って常時付勢されている。また、ワーク当接部19aは、下型チェイスブロック9にチェイス凹部9cを跨ぐように設けられた押さえ部材21によってスライド動作がガイドされている。
【0028】
次にダムブロック19を作動させる作動機構について説明する。
図7において、ダムブロックガイド駒22は、平板状の底部22bと、該底部22bの中央部から立設した柱状ガイド部22aによって逆T字状に形成されている。ダムブロックガイド駒22は底部22bの対向する側面中央部に各々設けられた一対の揺動軸22cを中心に揺動する。ダムブロックガイド駒22は底部22bの一端側が第1のコイルばね24を介して下型チェイスブロック9に支持されている。また、底部22bの他端側が直列配置された駒可動ピン23及び第2のコイルばね25によって支持されている。第2のコイルばね24は、可動プレート13に支持されている。
【0029】
可動プレート13、駒可動ピン23、可動プレート13の側面部に連繋するエジェクタ可動部材14及び該エジェクタ可動部材14の下面部に連繋する可動ロッド18を備えている。駒可動ピン23は可動プレート13に立設され、先端部が下型チェイスブロック9へ進入している。駒可動ピン23の先端部は、ダムブロックガイド駒22の底部22bの他端側に当接したまま第2のコイルばね24に付勢されて当該底部22bの他端側を押動している。下型チェイスブロック9には、駒可動ピン23の上下動をガイドするガイドリング9aが設けられている。下型チェイスブロック9には、ダムブロックガイド駒22の両側で一対の逆U字状の軸ガイド9bが上下方向に立設されている。各揺動軸22cは、一対の軸ガイド9bの長孔に挿入され、当該長孔に沿って上下動可能に支持されている(
図10,
図11参照)。
【0030】
エジェクタ可動部材14は、図示しないアクチュエータ(ばね、ソレノイド、シリンダ、モータなど)から可動ロッド18を通じて伝達された動力によって上下動するようになっている。このエジェクタ可動部材14を通じて可動プレート13を下動させる際に、ダムブロックガイド駒22の柱状ガイド部22aが揺動軸22cを中心にワークW端面から離間した第1の位置(
図7参照)からワークW端面に当接した第2の位置(
図10参照)まで揺動する。
【0031】
このように、ダムブロックガイド駒22とワークガイド駒11の共通の作動機構として可動プレート13、エジェクタ可動部材14及び可動ロッド18を用いるので、金型構成を多機能化しても簡略化することができる。
【0032】
尚、ワークガイド駒11とダムブロックガイド駒22の動作順は、ワークWに対して同時で当ても良いが、先ずワークWがワークガイド駒11によりセンターインサート7に対して位置決めしてからワークWと下型チェイスブロック9との隙間をダムブロック19により遮断するのが好ましい。よって、ワークガイド駒11とダムブロックガイド駒22を昇降動作させる揺動軸11cの軸ガイド9bの長孔のストロークが揺動軸22cのストロークより短くなるように設計されている。
【0033】
次に、樹脂封止装置の型開閉動作の一例について、ダムブロックの進退動作を示す
図7乃至
図11及びワークガイド駒の揺動を示す
図12乃至
図17を各々参照して説明する。
【0034】
図7及び
図12において、モールド金型が型開きされたとき可動プレート13は上動した位置へ移動する。このため、
図12においてエジェクタピン12の先端部が基板載置部6aより突出した状態となり、ワークWのインサートブロック6への受渡しや取り出しが容易になる。また、ワークガイド駒11は、第1のコイルばね15に付勢されかつ駒可動ピン16に突き上げられてインサートブロック6より上方に突出した状態で支持されている。また、ワークガイド駒11は、底部11bが駒可動ピン16に突き上げられるため、揺動軸11cが軸ガイド9baの上端に押し当てられ、当該揺動軸11cを中心に時計回り方向に所定量回転して第1のコイルばね15を押し縮めて傾いた状態にある。
【0035】
また、
図7において、ダムブロックガイド駒22は、第1のコイルばね24に付勢されかつ駒可動ピン23に突き上げられて下型チェイスブロック9より上方に突出した状態で支持されている。ダムブロックガイド駒22は、底部22bが駒可動ピン23に突き上げられるため、揺動軸22cが軸ガイド9bの上端に押し当てられ、当該揺動軸22cを中心に時計回り方向に所定量回転して第1のコイルばね24を押し縮めて傾いた状態にある。このとき、ダムブロック19は、ワーク端面より退避した第1の位置にある(
図1参照)。
【0036】
上記エジェクタピン12がエジェクト状態において図示しないローダーによりワークWが基板載置部6aに搬送してセットされ、モールド樹脂がポット8に投入される。ワークW5は、基板載置部6aより突出したエジェクタピン12によって支持される。
【0037】
次に、
図8及び
図13において、図示しないアクチュエータによって作動機構を作動させて、エジェクタ可動部材14及び可動ロッド18を図の矢印に示す下方に所定量移動させる。このとき、可動プレート13も下動するため、
図13においてワークWを支持したエジェクタピン12もインサートブロック6内に退避する。また、ワークガイド駒11は、駒可動ピン16が下方に移動するため、第1のコイルばね15に底部11bが押し戻されて柱状ガイド部11aが揺動軸11cを中心に反時計回り方向に所定量回転する。このとき、柱状ガイド部11aの先端部がワークWの端面に近づく。
【0038】
また
図8においてダムブロックガイド駒22は、駒可動ピン23が下方に移動するため、第1のコイルばね24に底部22bが押し戻されて柱状ガイド部22aが揺動軸22cを中心に反時計回り方向に所定量回転する。このとき、柱状ガイド部22aの先端部がダムブロック19の端面に近づく。
【0039】
次に、
図9及び
図14において、可動プレート13が更に下動して下動位置に移動したときには、エジェクタピン12の先端部が基板載置部6aと面一になるようにインサートブロック6内へ退避する。このとき、ワークWの底面が基板載置部6aに密着した状態となる。
図14において、ワークガイド駒11は、駒可動ピン16が更に下方に移動するため第1のコイルばね15の付勢により揺動軸11cを中心に更に反時計回り方向に回転してワークWの端面に当接して、その端面を押動して反対側端面をセンターインサート7に突き当てて位置決めを行なう。このように、エジェクタピン12を動作(退避)させる際に可動プレート13を上下動させるだけでワークガイド駒11を揺動させてワークWの位置決めを行なうことができる。次いで、ワークWの載置および位置決めが完了した後、ワークWは吸引孔6bから吸引されて位置決めされたまま吸着保持される。
【0040】
また、
図9において、ダムブロックガイド駒22は、駒可動ピン23が更に下方に移動するため第1のコイルばね24の付勢により揺動軸22cを中心に更に反時計回り方向に回転してダムブロック19の端面に当接して、その端面を押圧ばね20の付勢に抗して押動してダムブロック19の反対側端面をワーク端面に突き当てて下型チェイスブロック9とワークWとの隙間を遮断する(
図3参照)。
これにより、
図4に示すようにモールド樹脂Rのセンターインサート7とワークWの隙間からワークWの側面への回り込みを防ぐことができ、メンテナンスを省力化し装置稼動率を向上することができる。
【0041】
次に、
図10及び
図15において、下型5を下動して型閉め動作を開始する。このとき、ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22は第1コイルばね15,24、第2コイルばね17,25に付勢されてインサートブロック6より先端部が突出した状態にある。即ち、ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22は、センターインサート7の上面に相当する金型クランプ面から先端部が突出した状態にある。
【0042】
図11及び
図16おいて、下型5が更に上動すると上型1のパーティング面によりワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22が突き当たり、ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22を第1コイルばね15,24、第2コイルばね17,25の付勢に抗して押し下げながら上昇する。このとき、ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22は、第1コイルばね15,24、第2コイルばね17,25が押し縮めながら揺動軸11c,22cが各々軸ガイド9bの長孔に沿って下降する。尚、
図11において、ダムブロック19を押さえる押さえ部材21は、上型1のクランク面に形成された逃げ凹部1aに収納されるようになっている。
【0043】
図17は、上型1のパーティング面が下型5のセンターインサート7のパーティング面に当接して型閉じ動作が完了した状態を示す。
ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22(図示せず)は、第1コイルばね15,24、第2コイルばね17,25が押し縮めて基板載置部6aからワークWの厚みだけ突出した直立姿勢で押さえ込まれている。ワークWは周縁部を上型1とインサートブロック6によりクランプされている。この状態でトランスファ機構を作動さえてプランジャ10を押し上げ溶融したモールド樹脂を上型カル4、ランナゲート(図示せず)を通じてキャビティ凹部2、レンズ用凹部3へ充填して、加熱硬化(キュア)が行なわれる。この場合、ワークガイド駒11を用いた位置決めによってワークWにおける正確な位置でモールド樹脂を加熱硬化させることができる。また、ダムブロックガイド駒22によりモールド樹脂がセンターインサート7とワークWの界面を通じてワークWと下型チェイスブロック9の隙間に回り込んだとしても、ダムブロック19により堰き止められ、それ以上の樹脂の流動が食い止められるので、メンテナンスを省力化し装置稼動率を向上することができる。
【0044】
加熱硬化後、モールド金型を型開きすると、下型5が下動を開始するためワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22は逆の手順で移動する。即ち、ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22は第1コイルばね15,24、第2コイルばね17,25に付勢されてインサートブロック6からの突出量が多くなり、金型クランプ面から先端部が突出する。そして、ワークW5の基板載置部6aへの吸着を解除する。続いて、可動ロッド18及びエジェクタ可動部材14を上動させると可動プレート13の上動に伴って駒可動ピン16,23も上動し、ワークガイド駒11及びダムブロックガイド駒22は揺動軸11c,22cを中心に型閉じ動作とは反対の時計回り方向へ各々回転する。ワークガイド駒11はワーク端部より離間し、ダムブロック19が押圧ばね20の付勢によりワーク端面より退避する。また、可動プレート13の上動によりエジェクタピン12が基板載置部6aよりワークWを押し上げる(
図7,
図12参照)。
【0045】
このように、型閉じ動作に合わせて、ワークガイド駒11を揺動させてワーク端面を押動し反対側端面をセンターインサート7に押し当てるので、外形精度が確保されていないワークWモールド金型への位置決めが確実に行なえる。よって、モールド樹脂のワーク側面への漏れ出しを可及的に減らすことができる。また、ダムブロック19をワーク端面より退避した第1の位置から当該ワーク端面を押動する第2の位置へ移動させるので、モールド樹脂のセンターインサート7とワークWの隙間からワーク側面への回り込みを防ぐことができ、メンテナンスを省力化し装置稼動率を向上することができる。
【0046】
上述した実施の態様では、ワークガイド駒11及びその作動機構を併設したがこれを省略してもよい。また、ワークガイド駒11とダムブロックガイド駒22の作動機構を共通にしたが、個別に設けても良いのはもちろんである。また、ワークガイド駒11とダムブロックガイド駒22は揺動軸11c,22cを中心とした揺動であったが、ソレノイド駆動、シリンダ駆動などによる往復動(スライド)にしてもよい。
【0047】
また、ワークWの周囲に配置するワークガイド駒11とダムブロックガイド駒22の数は、2セット又は一対に限らず減らしても更に増やしてもよい。
また、モールド金型は、上型1を固定型、下型5を可動型としたが、上型1を可動型、下型5を固定型としても良く、双方を可動型としてもよい。また、下型5にキャビティインサートが設けられ、該キャビティインサートにワークWが載置されるものでも良い。ワークWを離型するエジェクタピン11の本数も特に限定されるものでもない。