特許第5909772号(P5909772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909772
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】車両用ドアの開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20160414BHJP
   E05F 15/659 20150101ALI20160414BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   B60J5/04 C
   E05F15/659
   B60J5/06 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-193996(P2012-193996)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-46895(P2014-46895A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 健一
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−077758(JP,A)
【文献】 特開2009−035975(JP,A)
【文献】 特開平08−172704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04,5/06
E05F 15/659
H02P 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを開閉作動させる動力を出力可能なモータと、
乗員により操作可能な操作スイッチの開操作指令に基づいて、前記モータの正転駆動を可能にするオン状態に切り替え可能な開用スイッチング手段と、
前記操作スイッチの閉操作指令に基づいて、前記モータの逆転駆動を可能にするオン状態に切り替え可能な閉用スイッチング手段と、
前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段がオン状態にあるとき、PWM制御により前記モータの回転速度を制御可能な駆動用スイッチング手段と、
前記開用スイッチング手段及び前記閉用スイッチング手段がオフ状態にあるとき、前記開用スイッチング手段と前記閉用スイッチング手段と前記モータとを直列に繋いだループ回路を開成する常開スイッチング手段と、
前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段がオン状態にあるとき、前記開用スイッチング手段と前記閉用スイッチング手段と前記モータとをそれぞれ直列に繋いで形成される回生制動回路中に、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段をオン状態に保持したまま、PWM制御により前記回生制動回路をオン、オフする制動用スイッチング手段とを備えたことを特徴とする車両用ドアの開閉制御装置。
【請求項2】
前記開用スイッチング手段、前記閉用スイッチング手段及び常開スイッチング手段を機械式の可動接点を有するリレーとし、前記駆動用スイッチング手段及び前記制動用スイッチング手段を電界効果トランジスタとしたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアの開閉制御装置。
【請求項3】
前記常開スイッチング手段は、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段がオン状態にあるとき、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段と前記駆動用スイッチング手段とを直列に繋ぐ回路間を閉成するオン状態に切替可能であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用ドアの開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアの開閉作動を制御するための車両用ドアの開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のドア、例えば、車体側面に開閉自在に支持されるスライドドアの開閉作動を制御するための開閉制御装置においては、動力源として用いられるモータの回転方向を正転(開方向)と逆転(閉方向)とに切り替えるためのモータの駆動回路として、4個のスイッチング素子を備えたHブリッジ(フルブリッジ回路)が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1(図1〜4)に記載の発明は、モータの駆動回路にFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)により構成される4個のスイッチング素子T1〜T4を使用した構成にあって、スライドドアを開閉作動させる場合、すなわちモータを駆動させる場合には、スイッチング素子T1(またはT2)及びT4(またはT3)を同時にオン制御することで、スライドドアが予め設定された目標速度で開閉作動し得るようにモータをPWM制御し、また、スライドドアの開閉速度が目標速度以上になった場合には、スイッチング素子T3及びT4(またはT1及びT2)をオフ状態として、スイッチング素子T1及びT2(またはT3及びT4)をPWM制御することで、モータ制御を駆動制御から回生制動制御に切り替えるように構成されている。
【0004】
また、特許文献1(図5、6)に記載の他の発明は、モータの駆動回路に2個のFETにより構成されるスイッチング素子T1、T2と、2個の機械式の可動接点を有するリレーR1、R2とを使用した構成にあって、モータを駆動制御する場合には、リレーR1(またはR2)及びスイッチング素子T2(T1)をオン状態にオン制御することで、スライドドアが予め設定された目標速度で開閉作動し得るようにモータをPWM制御し、また、スライドドアの開閉速度が目標速度以上になった場合には、リレーR1、R2をオフ状態として、スイッチング素子T1及びT2を同時にPWM制御することで、モータ制御を駆動制御から回生制動制御に切り替えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−246061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1(図1〜4)に記載の発明は、スイッチング素子として高価なFETを4個も用いるためコストの上昇を招く問題点を有する。
【0007】
また、特許文献1(図5、6)に記載の他の発明は、4個のスイッチング素子のうち、2個のスイッチング素子をFETに比べて安価な機械式のリレーを用いる構成としているため、コストの低減を図ることができるが、モータ制御を駆動制御から回生制動制御、及び回生制動制御から駆動制御に切り替える際、リレーR1(またはR2)もオン状態からオフ状態、及びオフ状態からオン状態に切り替える必要があるため、モータ制御の切り替え制御の反応が僅かに遅延してドアの目標速度への追従性が低下する。さらには、機械式のリレーR1(またはR2)の切り替え制御が頻繁に行われるため、可動接点の接点寿命の短命化及びノイズ発生等を招き、これらが原因で早期の故障を招く虞がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、ドアの目標速度への追従性を向上させることができる車両用ドアの開閉制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
第1の発明は、ドアを開閉作動させる動力を出力可能なモータと、乗員により操作可能な操作スイッチの開操作指令に基づいて、前記モータの正転駆動を可能にするオン状態に切り替え可能な開用スイッチング手段と、前記操作スイッチの閉操作指令に基づいて、前記モータの逆転駆動を可能にするオン状態に切り替え可能な閉用スイッチング手段と、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段がオン状態にあるとき、PWM制御により前記モータの回転速度を制御可能な駆動用スイッチング手段と、前記開用スイッチング手段及び前記閉用スイッチング手段がオフ状態にあるとき、前記開用スイッチング手段と前記閉用スイッチング手段と前記モータとを直列に繋いだループ回路を開成する常開スイッチング手段と、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段がオン状態にあるとき、前記開用スイッチング手段と前記閉用スイッチング手段と前記モータとをそれぞれ直列に繋いで形成される回生制動回路中に、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段をオン状態に保持したまま、PWM制御により前記回生制動回路をオン、オフする制動用スイッチング手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記開用スイッチング手段、前記閉用スイッチング手段及び常開スイッチング手段を機械式の可動接点を有するリレーとし、前記駆動用スイッチング手段及び前記制動用スイッチング手段を電界効果トランジスタとしたことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記常開スイッチング手段は、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段がオン状態にあるとき、前記開用スイッチング手段または前記閉用スイッチング手段と前記駆動用スイッチング手段とを直列に繋ぐ回路間を閉成するオン状態に切替可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、制動用スイッチング手段のみをPWM制御するだけで、モータ制御を駆動制御から回生制動制御に迅速に切り替えて、ドアの目標速度への追従性を高めることができる。さらには、非通電時、ドアを手動で開閉作動させた際に発生する逆起電力によりモータが焼損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係わるスライドドア及び駆動装置の模式図である。
図2】駆動装置を制御するための駆動回路がオフ状態にあるときの回路図である。
図3】同じく駆動回路の開駆動回路がオン状態にあるときの回路図である。
図4】同じく駆動回路の閉駆動回路がオン状態にあるときの回路図である。
図5】同じく駆動回路の開回生制動回路がオン状態にあるときの回路図である。
図6】同じく駆動回路の閉回生制動回路がオン状態にあるときの回路図である。
図7】他の実施例における駆動回路がオフ状態にあるときの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、車両の車体側面に前後方向へ開閉可能に支持されるドアをなすスライドドア1及び当該スライドドア1を電動で自動開閉移動させるためのクラッチレスタイプの駆動装置2の模式図である。
【0015】
スライドドア1は、車体の側面に設けられる前後方向のガイドレール(図示略)により前後方向へ開閉自在に支持され、手動操作及び駆動装置2の動力による電動操作で、車体の側面に設けられる乗降口(図示略)を閉鎖する全閉位置から車体の側面に沿って後方へ移動した全開位置、及びその逆へ移動することが可能である。
【0016】
スライドドア1には、車体側に固定されるストライカ(図示略)と係合することによって、スライドドア1を全閉位置に保持するための全閉用のドアラッチ装置(図示略)、同じく全開位置に保持するための全開用ドアラッチ装置(図示略)、同じくスライドドア1を開閉するときに操作される車外側のアウトサイドハンドルOH及び車内側のインサイドハンドル(図示略)等が設けられる。
【0017】
アウトサイドハンドルOH、インサイドハンドル、運転席に設けられる操作スイッチまたは携帯用のワイヤレスリモートコントロールスイッチのいずれかの開閉用の操作スイッチ11が開操作されると、スライドドア1が全閉位置にある場合には、全閉用ドアラッチ装置とストライカとの係合を全閉用の電動アクチュエータ(図示略)により解除した後、駆動装置2を開作動させて、スライドドア1を開方向へ移動させ、また、同じく操作スイッチ11が閉操作されると、全開位置にあるときには、全開用ドアラッチ装置とストライカとの係合を全開用の電動アクチュエータ(図示略)により解除した後、駆動装置2を閉作動させて、スライドドア1を閉方向へ移動させる。
【0018】
駆動装置2は、車体側に配置される正逆回転可能なモータ3と、モータ3の回転を減速する減速歯車と共に回転可能な回転ドラム4と、回転ドラム4の外周面に巻き取り及び送り出し可能に巻回されると共に、ガイドレールに沿って配索され端部がスライドドア1に連結される動力伝達用の開用ケーブル5及び閉用ケーブル6とを備える。
【0019】
モータ3は、ブラシ付き直流モータであって、供給される電流の向きに応じて正逆両方向に回転可能である。モータ3が正転すると図1において回転ドラム4が時計方向へ回転して、開用ケーブル5が回転ドラム4に巻き取られて閉用ケーブル6が送り出されることにより、スライドドア1は開用ケーブル5に牽引されて電動開作動する。また、モータ3が逆転すると図1において回転ドラム4が反時計方向へ回転して、閉用ケーブル6が回転ドラム4に巻き取られて開用ケーブル5が送り出されることにより、スライドドア1は閉用ケーブル6に牽引されて電動閉作動する。
【0020】
また、スライドドア1が手動で開閉操作された場合には、スライドドア1の開閉作動が開、閉用ケーブル5、6、回転ドラム4、減速歯車を介してモータ3内部のアーマチュアに伝達されてアーマチュアが回転することで、スライドドア1の手動開閉操作を可能としている。
【0021】
図2〜6は、モータ3の駆動回路の実施例を示す。駆動回路は、車体側に搭載されるECU(Electronic Control Unit)13により制御され、モータ3を正転(開方向)させるとき、オフ状態(図2に示す状態)からオン状態(図3、5に示す状態)に切り替え可能な可動接点7cを有する機械式のリレーにより構成される開用スイッチング手段7と、同じく逆転(閉方向)させるとき、オフ状態(図2に示す状態)からオン状態(図4、6に示す状態)に切り替え可能な可動接点8cを有する機械式のリレーにより構成される閉用スイッチング手段8と、N型のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)により構成される駆動用スイッチング手段9と、P型のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)により構成される制動用スイッチング手段10と、オフ状態(図2に示す状態)からオン状態(図4、6に示す状態)に切り替え可能な可動接点16cを有する機械式のリレーにより構成される常開スイッチング手段16とを含んで構成される。
【0022】
ECU13は、CPU(中央演算処理装置)及びROM、RAM等のメモリを備えたいわゆるマイクロコンピュータにより構成され、入力ポートには、各種電線を介して操作スイッチ11の受信部、回転ドラム4または減速歯車に設けられる回転センサ14、及び運転席に設けられるメインスイッチ15が接続され、出力ポートには、開用スイッチング手段7、閉用スイッチング手段8、駆動用スイッチング手段9のゲートG、制動用スイッチング手段10のゲートG及び常開スイッチング手段16がそれぞれ接続されることによって、回転ドラム4または減速歯車の回転に伴って回転センサ14から出力されるパルス信号の周期に基づいてモータ3の回転速度、すなわちスライドドア1の開閉速度を検出可能な構成を備える。
【0023】
ECU13のメモリ内には、スライドドア1の開閉位置をパラメータとした目標速度が格納されている。ECU13は、駆動用スイッチング手段9をPWM(Pulse Width Modulation)制御することにより、モータ3の回転速度、すなわちスライドドア1の開閉速度を目標速度になるように制御し、また、スライドドア1の開閉速度が目標速度以上になったとき、制動用スイッチング手段10をPWM制御することによって、モータ3の回生制動を制御して迅速にスライドドア1の開閉速度が目標速度に減速されるように制動力を付与する。
【0024】
また、ECU13は、スライドドア1の開閉速度が目標速度以上になったときには、そのときのスライドドア1の目標速度に対する開閉速度の偏差値に基づいて、制動用スイッチング手段10のゲートGに送信するデューティ比を算出し、当該算出したデューティ比により制動用スイッチング手段10をPWM制御することで、後述の開回生制動回路dまたは閉回生制動回路eのオン・オフ制御してモータ3の回生制動を細かく制御する。なお、制動用スイッチング手段10をPWM制御しているときには、駆動用スイッチング手段9はオフ状態に制御される。
【0025】
操作スイッチ11は、乗員等の操作者により開操作されると、ECU13にスライドドア1を開く旨の開指令信号を送信し、同じく閉操作されると、ECU13にスライドドア1を閉じる旨の閉指令信号を送信する。ECU13は、開指令信号または閉指令信号を受信すると、モータ3の駆動回路に正転駆動または逆転駆動の駆動信号を送信する。
【0026】
メインスイッチ15は、手動操作でオン、オフ側に切り替え可能であって、オン側にある場合には、操作スイッチ11の操作、すなわちスライドドア1の電動開閉を有効にする有効信号をECU13に送信し、また同じくオフ側にある場合には、操作スイッチ11の操作を無効にする無効信号をECU13に送信する。したがって、メインスイッチ15がオフ側にある場合には、スライドドア1の開閉は、駆動装置2の動力による電動開閉は不能であって、手動操作のみが可能となる。
【0027】
開用スイッチング手段7は、モータ3の開側給電端子31に直列に接続され、常時は図2に示すオフ状態(可動接点7cがオフ端子7aに接触している状態)にあって、スライドドア1が閉位置にあるとき操作スイッチ11が開操作されると、オフ状態から図3に示すオン状態(可動接点7cがオン端子7bに接触している状態)に切り替わり、図3に太線で示す開駆動回路(電源12、開用スイッチング手段7のオン端子7b、可動接点7c、モータ3の開側給電端子31、同じく閉側給電端子32、閉用スイッチング手段8の可動接点8c、オフ端子8a、駆動用スイッチング手段9、GNDを直列に繋いだ回路)bはオン状態となる。これにより、車両に搭載されるバッテリ、すなわち電源12の電流は、オン状態にある開用スイッチング手段7、モータ3、オフ状態にある閉用スイッチング手段8及びPWM制御される駆動用スイッチング手段9を経由してGNDに流れることにより、モータ3は正転駆動し、スライドドア1は電動開移動する。
【0028】
閉用スイッチング手段8は、モータ3の閉側給電端子32に直列に接続され、常時は図2に示すオフ状態(可動接点8cがオフ端子8aに接触している状態)にあって、スライドドア1が開位置にあるとき操作スイッチ11が閉操作されると、オフ状態から図4に示すオン状態(可動接点8cがオン端子8bに接触している状態)に切り替わり、図4に太線で示す閉駆動回路(電源12、閉側スイッチング手段8のオン端子8b、可動接点8c、モータ3の閉側給電端子32、同じく開側給電端子31、開側スイッチング手段7の可動接点7c、オフ端子7a、オン状態に切り替わった常開スイッチング手段16、駆動用スイッチング手段9、GNDを直列に繋いだ回路)cはオン状態となる。これにより、電源12の電流は、オン状態にある閉用スイッチング手段8、モータ3、オフ状態にある開用スイッチング手段7、オン状態にある常開スイッチング手段16及びPWM制御される駆動用スイッチング手段9を経由してGNDに流れることにより、モータ3は逆転駆動し、スライドドア1は電動閉移動する。
【0029】
常開スイッチング手段16は、開用スイッチング手段7と閉用スイッチング手段8とモータ3とをそれぞれ直列に繋いで形成されるループ回路a(図2に点線で示す回路)中に直列に接続され、具体的にはオン端子16bが開用スイッチング手段7のオフ端子7a、また可動接点16cが閉用スイッチング手段8のオフ端子8a及び駆動用スイッチング手段9のドレインDにそれぞれ接続され、電源12を含む電気系統の故障時の非通電時及びECU13からのメインスイッチ15のオフ状態信号によって、図2に示すオフ状態(可動接点16cがオフ端子16aに接触している状態)に切り替わり、開用スイッチング手段7及び閉用スイッチング手段8がオフ状態にあるときにはループ回路aを開成し、また、ECU13からのメインスイッチ15のオン状態信号によって、図4、6に示すオン状態(可動接点16cがオン端子16bに接触している状態)に切り替わり、閉用スイッチング手段8がオン状態に切り替わったときには閉駆動回路を閉成する。
【0030】
駆動用スイッチング手段9は、ドレインDが常開スイッチング手段16の可動接点16c及び閉用スイッチング手段8のオフ端子8aにそれぞれ接続され、ソースSがGNDに接続され、ゲートGがECU13に接続される。これにより、ECU13は、操作スイッチ11からの開または閉指令信号を受信した場合、算出したデューティ比(PWM制御)の電圧を駆動用スイッチング手段9のゲートGに印加して駆動用スイッチング手段9をPWM制御することにより、図3に太線で示す開駆動回路bまたは図4に太線で示す閉駆動回路cをオン状態としてモータ3の回転速度を制御して、スライドドア1の開閉速度が目標速度になるように制御する。
【0031】
制動用スイッチング手段10は、ドレインDが開用スイッチング手段7のオン端子7b及び閉用スイッチング手段8のオン端子8bにそれぞれ接続され、ソースSが常開スイッチング手段16の可動接点16c及び閉用スイッチング手段8のオフ端子8aにそれぞれ接続され、ゲートGがECU13に接続される。これにより、ECU13は、電動開閉作動中のスライドドア1の開閉速度が目標以上になったとき、駆動用スイッチング手段9をオフ制御すると共に、算出したデューティ比(PWM制御)の電圧を制動用スイッチング手段10のゲートGに印加して制動用スイッチング手段10をPWM制御することにより、図5に示すように、開用スイッチング手段7がオン状態にある場合には太線で示す開回生制動回路(モータ3の開側給電端子31、開用スイッチング手段7の可動接点7c及びオン端子7b、制動用スイッチング手段10のドレインD、ソースS、閉用スイッチング手段8のオフ端子8a及び可動接点8c、モータ3の閉側給電端子32を直列に繋いだ閉回路)dをオン、オフ制御して、開回生制動回路dによってモータ3の正転方向への慣性作動fを打ち消すことで、スライドドア1の開方向に対して制動力を付与させ、また、図6に示すように、閉用スイッチング手段8がオン状態にある場合には太線で示す閉回生制動回路(モータ3の閉側給電端子32、閉用スイッチング手段8の可動接点8c、オン端子8b、制動用スイッチング手段10のドレインD、ソースS、常開スイッチング手段16の可動接点16c、オン端子16b、開用スイッチング手段7のオフ端子7a、可動接点7c、モータ3の開側給電端子31を直列に繋いだ閉回路)eをオン、オフ制御して、閉回生制動回路eによって、モータ3の逆転方向への慣性作動gを打ち消すことで、スライドドア1の閉方向に対して制動力を付与させる。
【0032】
例えば、スライドドア1が閉位置にあるとき、操作スイッチ11が開操作されて開指令信号がECU13に入力されると、図3に示すように、ECU13は、開用スイッチング手段7をオン状態に切り替えると共に、駆動用スイッチング手段9のゲートGに算出したデューティ比の電圧を印加することで駆動用スイッチング手段9をPWM制御(オン状態)して、図3に示すように開駆動回路bをオン状態としてモータ3の正転方向への回転速度をPWM制御により制御して、スライドドア1を電動開作動させる。
【0033】
また、スライドドア1が開位置にあるとき、操作スイッチ11が閉操作されて閉指令信号がECU13に入力されると、図4に示すように、ECU13は、閉用スイッチング手段8及び常開スイッチング手段16をオン状態に切り替え制御すると共に、駆動用スイッチング手段9のゲートGに算出したデューティ比の電圧を印加して駆動用スイッチング手段9をPWM制御(オン状態)して、閉駆動回路cをオン状態としてモータ3の逆転方向への回転速度をPWM制御により制御して、スライドドア1を電動閉作動させる。
【0034】
なお、駆動用スイッチング手段9のゲートGに算出したデューティ比の電圧が印加されているときには、制動用スイッチング手段10のゲートGに電圧が印加されることはなく、開回生制動回路d及び閉回生制動回路eは常にオフ状態になるように制御される。
【0035】
開用スイッチング手段7がオン状態に切り替わって、スライドドア1が電動開作動している最中、スライドドア1の開速度が目標速度以上になった場合には、図5に示すように、ECU13は、開用スイッチング手段7をオン状態に保持制御したまま、駆動用スイッチング手段9をオフ制御すると共に、算出したデューティ比の電圧を制動用スイッチング手段10のゲートGに所定のタイミングで印加して開回生制動回路dをオン、オフ制御することによって、モータ3の慣性作動fを打ち消すことで、スライドドア1の開速度が目標速度に減速されるように制動力を付与する。そして、スライドドア1の開速度が目標速度まで減速されると、ECU13は、開用スイッチング手段7をオン状態に保持制御したまま、制動用スイッチング手段10をオフ状態に制御して、駆動用スイッチング手段9のゲートGに再び所定のデューティ比の電圧を印加する。
【0036】
また、閉用スイッチング手段8がオン状態に切り替わって、スライドドア1が電動閉作動している最中、スライドドア1の閉速度が目標速度以上になった場合には、図6に示すように、ECU13は、閉用スイッチング手段8及び常開スイッチング手段16をオン状態に保持制御したまま、駆動用スイッチング手段9をオフ制御すると共に、算出したデューティ比の電圧を制動用スイッチング手段10のゲートGに所定のタイミングで印加して閉回生制動回路eをオン、オフ制御することにより、モータ3の慣性作動gを打ち消すことで、スライドドア1の閉速度が目標速度に減速されるように制動力を付与する。そして、スライドドア1の閉速度が目標速度まで減速されると、ECU13は、閉用スイッチング手段8及び常開スイッチング手段16をオン状態に保持制御したまま、制動用スイッチング手段10をオフ状態に制御すると共に、駆動用スイッチング手段9のゲートGに再び所定のデューティ比の電圧を印加する。
【0037】
非通電時及び手動操作時(メインスイッチ15がオフ状態)には、図2に示すように、ループ回路aは、常開スイッチング手段16がオフ状態にあって開成している。このため、スライドドア1の手動による開閉作動に連動してモータ3が回転しても、モータ3の回転による逆起電力は回生しない。したがって、スライドドア1を手動により軽力で開閉作動させることができると共に、スライドドア1を勢いよく開閉作動させた場合であっても逆起電力によるモータ3の焼損を防止することが可能となる。
【0038】
図7は、本発明に係わる他の実施例を示す。この実施例は、前述の実施例の常開スイッチング手段16を開用スイッチング手段7に直列に接続した構成に代えて、常開スイッチング手段17を閉用スイッチング手段8に直列に接続したものである。他の構成については、前述の実施例と同一であるので、前述の実施例と同一の符号を付して説明は省略する。
【0039】
他の実施例における常開スイッチング手段17は、非通電時及び手動操作時(メインスイッチ15がオフ状態)には、可動接点17cがオフ端子17aに接触して、モータ3、開用スイッチング手段7、常開スイッチング手段17、閉用スイッチング手段8を直列に繋いだループ回路を開成し、前述の実施例と同様にスライドドア1の手動による開閉作動に連動してモータ3が回転しても逆起電力が回生しないようにしている。そして、開用スイッチング手段7がオン状態に切り替わったときには、常開スイッチング手段17はオン状態(可動接点17cがオン端子17bに接触した状態)に切替制御され、また、ECU13からのメインスイッチ15のオフ状態信号によって、常開スイッチング手段17はオフ状態(可動接点17cがオフ端子17aに接触した状態)に保持制御され、閉用スイッチング手段8がオン状態に切り替わる。
【0040】
なお、前述の実施例及び他の実施例において、常開スイッチング手段16(または17)は、閉用スイッチング手段8(または開用スイッチング手段7)がオン状態に切り替わったときオン状態に切り替わるようにしたが、開用スイッチング手段7(または閉用スイッチング手段8)がオン状態に切り替わったときにもオン状態に切り替わるようにしても良いが、このようにしても、電流の流れに何ら変化が生じるものでないから、電力消費の観点から本実施例のように制御する方が好ましい。
【0041】
以上により、本発明の実施の形態においては、スライドドア1の電動開閉作動時、スライドドア1の開閉速度が目標速度以上になって、スライドドア1に制動力を付与させる必要性が生じた場合には、開用スイッチング手段7または閉用スイッチング手段8をオン状態を保持したまま、制動用スイッチング手段10のみを算出したデューティ比の電圧を印加して制御するだけで、モータ3の制御を駆動制御からPWM制御による回生制動制御に迅速に切り替えることができるものであるから、スライドドア1の目標速度への追従性を高めることができる。さらには、モータ3の駆動を駆動制御から回生制動制御、及び回生制動制御から駆動制御に切り替える際、開用スイッチング手段7の可動接点7c、閉用スイッチング手段8の可動接点8c及び常開スイッチング手段16(または17)の可動接点16c(または17c)を切り替え作動させる必要がないので、開用スイッチング手段7、閉用スイッチング手段8及び常開スイッチング手段16(または17)の接点寿命を延ばすことが可能となる。さらには、開用スイッチング手段7及び閉用スイッチング手段8を、FETに比べて安価な機械式のリレーとしたため、コストの低減を図ることができる。
【0042】
さらには、モータ3と開用スイッチング手段7と閉用スイッチング手段8とを直列に繋いで形成されるループ回路a中に常開スイッチング手段16(または17)を設けたことによって、スライドドア1の手動による開閉作動に連動してモータ3が回転しても、逆起電力が回生しないため、スライドドア1を手動により軽力で開閉作動させることができると共に、スライドドア1を勢いよく開閉作動させた場合であっても逆起電力によりモータ3の焼損を防止することが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施例に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(1)ドアをスライドドア1をしているが、これに限らず、車体の側部にヒンジを介して開閉自在に枢着されるサイドドア、車体に後端部にヒンジを介して開閉自在に装着されるバックドアなど、他のドアとする。
【0044】
(2)駆動用スイッチング手段9及び制動用スイッチング手段10は、FETが用いられているが、これに限らず、PWM制御可能な他のスイッチング素子を用いる。
【符号の説明】
【0045】
1 スライドドア(ドア)
2 駆動装置
3 モータ
4 回転ドラム
5 開用ケーブル
6 閉用ケーブル
7 開用スイッチング手段
7a オフ端子
7b オン端子
7c 可動接点
8 閉用スイッチング手段
8a オフ端子
8b オン端子
8c 可動接点
9 駆動用スイッチング手段(FET)
10 制動用スイッチング手段(FET)
11 操作スイッチ
12 電源
13 ECU
14 回転センサ
15 メインスイッチ
16、17 常開スイッチング手段
16a、17a オフ端子
16b、17b オン端子
16c、17c 可動接点
31 開側給電端子
32 閉側給電端子
OH アウトサイドハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7