(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリウレタンウレア樹脂(Y)が、ひまし油ポリオール(A)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)と、ジイソシアネート(C)と、鎖延長剤(D)とを反応させてなることを特徴とする請求項1記載の積層体。
接着剤が、ひまし油ポリオール(A’)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)と、ジイソシアネート(C’)とを反応させてなるポリウレタン樹脂(X’)、及び/または、
ひまし油ポリオール(A’)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)と、ジイソシアネート(C’)と、鎖延長剤(D’)とを反応させてなるポリウレタンウレア樹脂(Y’)を、含有することを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
ポリウレタンウレア樹脂(Y)が、ひまし油ポリオール(A)由来の骨格を、ポリウレタンウレア樹脂(Y)の樹脂固形分に対して、20重量%から80重量%含有することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の積層体。
第一のプラスチック基材、インキ組成物からなる印刷層、接着剤からなる接着剤層、及び第ニのプラスチック基材を、順次積層することを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に特定されない。
【0018】
本発明の積層体は、
第一のプラスチック基材、インキ組成物からなる印刷層、接着剤からなる接着剤層、及び第二のプラスチック基材から構成される積層体であって、
インキ組成物が、着色剤、ひまし油ポリオール(A)を原料とするポリウレタンウレア樹脂(Y)、及び媒体を含有し、
接着剤が、ひまし油ポリオール(A’)を原料とする、ポリウレタン樹脂(X’)、ポリウレタンウレア樹脂(Y’)、ポリアミド樹脂、又はポリエステル樹脂のいずれかを含有することを特徴とする。
以下、本発明の構成要素について説明する。
【0019】
[印刷層]
本発明の積層体を構成する印刷層は、後述のインキ組成物により形成される文字、絵柄等であり、グラビア印刷、又はフレキソ印刷などの既知の印刷方式を用いて、形成することができる。
【0020】
<インキ組成物>
インキ組成物は、着色剤と、ひまし油ポリオール(A)を原料とするポリウレタンウレア樹脂(Y)と、媒体とを、混合及び/又は分散することで得ることが出来る。
(着色剤)
着色剤としては、例えば、有機系顔料、無機系顔料、染料等の通常のインキ組成物において使用される各種のものが使用できる。
【0021】
有機系顔料としては、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
【0022】
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、アルミニウム粉、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0023】
染料としては、例えば、タートラジンレーキ、ローダン6Gレーキ、ビクトリアピュアブルーレーキ、アルカリブルーGトーナー、ブリリアントグリーンレーキ等が挙げられ、この他、コールタール等を使用することもできる。
なかでも、耐水性などの点から有機系顔料または無機系顔料を使用することが好ましい。
【0024】
着色剤は、インキ組成物の濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ組成物の総重量に対して1〜50重量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの着色剤は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0025】
(ポリウレタンウレア樹脂(Y))
ポリウレタンウレア樹脂(Y)は、ひまし油ポリオール(A)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)と、ジイソシアネート(C)と、鎖延長剤(D)とを反応させてなることが好ましい。
【0026】
《ひまし油ポリオール(A)》
ひまし油ポリオール(A)としては、ひまし油の構成成分であるリシノール酸(以下、ひまし油脂肪酸)を主成分とし、かつ水酸基の平均官能基数が1より大きく3以下であれば特に構造は限定されず、例えば、ひまし油、脱水ひまし油の他、ひまし油脂肪酸をジオール等のポリオールを開始剤として縮合することより得られるひまし油脂肪酸縮合物、及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらのひまし油ポリオール(A)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
ポリウレタンウレア樹脂(Y)は、ひまし油ポリオール(A)由来の骨格を、ポリウレタンウレア樹脂(Y)の樹脂固形分に対して、20重量%以上80重量%以下含有することが好ましい。
20重量%未満であると、インキ組成物中の着色剤の分散安定性が低下する場合があり、80重量%より大きいと、媒体が後述のアルコール(G)を含有する場合に、ポリウレタンウレア樹脂(Y)のアルコール(G)溶剤への溶解性が低下する場合がある。
【0028】
ひまし油ポリオール(A)の分子量としては、重量平均分子量で500〜3,500が好ましく、さらに好ましくは1,000〜3,000の範囲である。重量平均分子量が3,500より大きい場合はポリウレタンウレア樹脂(Y)の媒体への溶解性が低下する傾向があり、500より小さい場合はポリウレタンウレア樹脂(Y)の凝集力が高くなり、第一のプラスチック基材との密着性が低下する場合がある。
【0029】
《ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)》
ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)としては、以下の例には限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオール(B−1)、ポリエステルポリオール(B−2)、低分子多価アルコール(B−3)等が挙げられるが、中でもアルコール溶剤への溶解性の観点からポリエーテルポリオール(B−1)を使用することが好ましい。
【0030】
本発明に用いるポリエーテルポリオール(B−1)としては、以下の例には限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらの共重合ポリエーテルジオール等を挙げることが出来る。これらのポリエーテルポリオール(B−1)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
ポリエーテルポリオール(B−1)の使用量としては、顔料の分散安定性、及び印刷物における耐ブロッキング性の観点から、ポリエーテルポリオール(B−1)由来の骨格を、ポリウレタンウレア樹脂(Y)の樹脂固形分に対して15重量%以上80重量%以下含有することが好ましく、より好ましくは15重量%以上60重量%以下である。
【0032】
ポリエーテルポリオール(B−1)の分子量としては、重量平均分子量で500〜4,000のものが好ましく、さらに好ましくは1,000〜3,000の範囲である。重量平均分子量が4,000より大きい場合は着色剤の分散安定性、および印刷層の耐ブロッキング性が低下する場合があり、500より小さい場合はポリウレタンウレア樹脂(Y)の凝集力が高くなり、第一のプラスチック基材との密着性が低下する場合がある。
【0033】
本発明に用いるポリエステルポリオール(B−2)としては、以下の例には限定されないが、例えば、
アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4−シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の二塩基酸と、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−15−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等のジオールとのエステル化反応により得られる縮合物、
本発明のジオールを開始剤として得られるカプロラクトン重合物、バレロラクトン重合物、メチルバレロラクトン重合物、乳酸重合物等のポリエステルジオール等が挙げられる。これらのポリエステルポリオール(B−2)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
本発明に用いる低分子多価アルコール(B−3)としては、以下の例には限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。これらの低分子多価アルコール(B−3)は、本発明のインキ組成物の分子量やハードセグメントとソフトセグメントの分布を調節したりする目的で使用される。これらの低分子多価アルコール(B−3)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
低分子多価アルコール(B−3)の使用量としては、低分子多価アルコール(B−3)由来の骨格を、ポリウレタンウレア樹脂(Y)の樹脂固形分に対して20重量%以下含有することが好ましく、10重量%以下含有することがより好ましい。20重量%より大きい場合、第一のプラスチック基材との密着性が低下する傾向がある。
【0036】
さらに、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)として、ポリカーボネートポリオールを使用することができる。
【0037】
《ジイソシアネート(C)》
本発明に使用されるジイソシアネート(C)としては、以下の例には限定されないが、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(別名:MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート(C)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
本発明のインキ組成物に用いられるジイソシアネート(C)は、ポリウレタンウレア樹脂(Y)のアルコール溶解性の観点から、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネートが好ましい。
【0039】
《鎖延長剤(D)》
本発明に使用する鎖延長剤(D)としては、例えば、ジアミン類、アミノアルコール類、低分子多価アルコール等が挙げられる。
ジアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミンなどの他、
N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロピレンジアミン等の分子内に水酸基を有するアミン類、
メチルイミノビスプロピルアミン、ラウリルイミノビスプロピルアミン等の分子内に3級アミノ基を有するアミン類が挙げられる。
アミノアルコール類としては、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン等が挙げられる。
低分子多価アルコールとしては、以下の例には限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
これらの鎖延長剤(D)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
《反応溶剤》
ポリウレタンウレア樹脂(Y)の製造には、後述の媒体である、アルコール(G)および/または水酸基を有さない有機溶剤(J)を用いることができる。
【0041】
アルコール(G)としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール等の炭素原子数1〜7の脂肪族アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル類等が挙げられる。
イソシアネート基含有のプレポリマー溶液製造の際には、イソシアネート基との反応性の観点から、反応性の低い3級アルコールが好ましく、3級アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ターシャリーブタノールなどが挙げられる。
【0042】
水酸基を有さない有機溶剤(J)としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。
これらの反応溶剤は、2種以上混合して用いても良い。
【0043】
《ポリウレタンウレア樹脂(Y)の製造》
本発明のポリウレタンウレア樹脂(Y)を製造する方法としては、特に制限はなく、一般的な鎖延長反応で製造できる。例えば、無溶剤下もしくは、水酸基を有さない有機溶剤(J)下で、ひまし油ポリオール(A)、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)、及びジイソシアネート(C)を、ひまし油ポリオール(A)とひまし油ポリオール以外のポリオール(B)の水酸基に対して、ジイソシアネート(C)のイソシアネート基が過剰となる当量比で反応させてイソシアネート基含有のプレポリマーをつくり、ついで、これを水酸基を有さない有機溶剤(J)及び/または、イソシアネート基との反応性の低い3級アルコールに溶解させてプレポリマー溶液とした後、鎖延長剤(D)を前記反応溶剤中に溶解させたものに、該イソシアネート基含有のプレポリマー溶液を添加して鎖延長反応させる方法がある。
【0044】
鎖延長剤(D)を前記反応溶剤中に溶解させる際に、溶剤としてアルコール(G)を使用する場合は、イソシアネート基含有プレポリマーとの反応性の観点から、鎖延長剤(D)はジアミン類、アミノアルコール類を用いるのが好ましい。
【0045】
ポリウレタンウレア樹脂(Y)を製造するにあたり、ひまし油ポリオール(A)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B)と、ジイソシアネート(C)との割合は、ジイソシアネート(C)のイソシアネート基のモル数と、ひまし油ポリオール(A)及びひまし油ポリオール以外のポリオール(B)との水酸基のモル数の比であるNCO/OH比を1.1〜3.0の範囲となるようにすることが好ましい。この比が1.1より小さい場合には、得られるポリウレタンウレア樹脂(Y)中のウレア基濃度が下がるため弾性率が低下し、印刷層が十分な耐ブロッキング性が得られない傾向がある。また、NCO/OH比が3.0より大きい場合には、第一のプラスチック基材との密着性が低下する場合がある。
【0046】
ポリウレタンウレア樹脂(Y)は、重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは15,000〜50,000である。10,000より小さいと、印刷層が十分な耐ブロッキング性が得られない場合があり、100,000より大きいと、媒体への溶解性が低下し十分な顔料分散性が得られなくなる場合がある。
【0047】
ポリウレタンウレア樹脂(Y)は、第一のプラスチック基材への密着性を確保するために末端および/または主鎖中にアミノ基を有することが好ましい。
【0048】
ポリウレタンウレア樹脂(Y)のアミノ基の量は、アミン価で0.5〜40.0mgKOH/樹脂1gであることが好ましく、さらに好ましくはアミン価で3.0〜20.0mgKOH/樹脂1gの範囲である。アミン価が0.5より小さい場合には、印刷層の第一のプラスチック基材への密着性が低下し、40.0より大きい場合にはインキ組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
【0049】
(媒体)
本発明のインキ組成物は、着色剤をインキ組成物中に分散させるため、媒体を含有する。本発明の媒体は、インキ組成物に含有される全媒体を指し、ポリウレタンウレア樹脂(Y)の反応溶剤も含まれる。媒体としては、アルコール(G)および/または水酸基を有さない有機溶剤(J)を用いることができる。
【0050】
アルコール(G)としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール等の炭素原子数1〜7の脂肪族アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル類及びこれらの2種以上の混合物が挙げられるが、中でも環境負荷が低く、かつ、揮発速度が速いエタノール、イソプロパノールの使用が好ましい。
【0051】
媒体中のアルコール(G)の割合としては、有機系顔料の分散安定性の観点から媒体の重量100重量%中、60重量%以上100重量%以下が好ましく、より好ましくは60重量%以上98重量%以下である。アルコール(G)の割合が60重量%以上であると、従来有機溶剤中で有機系顔料を分散させる場合に、顔料分散剤として好適に用いられてきた塩酢ビを使用せずとも、有機系顔料の分散安定性を確保することができるため、環境や安全衛生性の高い積層体を得ることが出来る。
【0052】
水酸基を有さない有機溶剤(J)としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0053】
また、本発明のインキ組成物は、有機系顔料の分散安定性を向上させることを目的として媒体中に水を含有することができる。媒体に含まれる水の量は、媒体の合計100重量%中、0〜20重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜16重量%である。媒体中の水の量が20重量%より多い場合、媒体の乾燥速度が遅くなり、印刷インキの乾燥工程において生産効率が低下する場合がある。
【0054】
(インキ組成物の製造方法)
本発明の積層体を構成するインキ組成物は、着色剤、ひまし油ポリオール(A)を原料とするポリウレタンウレア樹脂(Y)、及び媒体を混合することで得ることが出来る。特に、着色剤として有機系顔料を用いる場合、サンドミル等の公知の分散機を使用して顔料分散処理を行うのが好ましい。
インキ組成物は、必要に応じて公知の顔料分散剤、顔料誘導体、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤を含有してもよい。
【0055】
[接着剤層]
本発明の積層体を構成する接着剤層は、後述の接着剤を、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティングなどの公知の手法を用いコーティングし、設けることができる。
【0056】
<接着剤>
接着剤は、ひまし油ポリオール(A’)を原料とする、ポリウレタン樹脂(X’)、ポリウレタンウレア樹脂(Y’)、ポリアミド樹脂、又はポリエステル樹脂のいずれかを含有すれば良く、2種以上を併用しても良い。
ポリウレタン樹脂(X’)としては、例えば、ひまし油ポリオール(A’)と、ジイソシアネート(C’)とを反応させてなるポリウレタン樹脂(X’)が挙げられる。
また、ポリウレタンウレア樹脂(Y’)としては、例えば、ひまし油ポリオール(A’)と、ジイソシアネート(C’)と、鎖延長剤(D’)とを反応させてなるポリウレタンウレア樹脂(Y’)が挙げられる。
以下、ポリウレタン樹脂(X’)とポリウレタンウレア樹脂(Y’)について説明する。
【0057】
(ポリウレタン樹脂(X’))
ポリウレタン樹脂(X’)は、前述のとおり、ひまし油ポリオール(A’)と、ジイソシアネート(C’)と、必要に応じて、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)とを反応させて得ることができ、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)を併用することが好ましい。また、ポリウレタン樹脂(X’)としては、水酸基末端ポリウレタン樹脂(X’OH)と、イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(X’NCO)とを併用することが好ましい。
【0058】
《ひまし油ポリオール(A’)》
ひまし油ポリオール(A’)としては、ひまし油の構成成分であるリシノール酸(以下、ひまし油脂肪酸)を主成分とし、かつ水酸基の平均官能基数が1より大きく3以下であれば特に構造は限定されず、例えば、ひまし油、脱水ひまし油の他、ひまし油脂肪酸をジオール等のポリオールを開始剤として縮合することより得られるひまし油脂肪酸縮合物、及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらのひまし油ポリオール(A’)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0059】
ポリウレタン樹脂(X’)は、ひまし油ポリオール(A’)由来の骨格を、接着剤固形分に対して、30重量%以上90重量%以下含有することが好ましく、30重量%以上70重量%以下であることが特に好ましい。30重量%未満の場合、十分なラミネート強度を得られない場合があり、90重量%より多い場合は樹脂の凝集力が不足し接着剤として機能しなくなる場合がある。
【0060】
ひまし油ポリオール(A’)の分子量としては、重量平均分子量で、500〜3,500が好ましく、さらに好ましくは1,000〜3,000である。重量平均分子量が3,500より大きい場合、十分な凝集力が得られずに接着強度が不足する場合がある。重量平均分子量が500より小さい場合、凝集力が高くなり基材密着性が低下する場合がある。
【0061】
《ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)》
ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)としては、以下の例には限定されないが、例えばポリエーテルポリオール(B’−1)、ポリエステルポリオール(B’−2)、低分子多価アルコール(B’−3)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(B’−1)、ポリエステルポリオール(B’−2)、及び低分子多価アルコール(B’−3)としては、前記ポリエーテルポリオール(B−1)、前記ポリエステルポリオール(B−2)、及び前記低分子多価アルコール(B−3)を用いることができる。
【0062】
ポリエーテルポリオール(B’−1)は接着剤の耐加水分解性を付与する目的で使用されるが、ポリエーテルポリオール(B’−1)の使用量としては、凝集力の観点から接着剤固形分の合計100重量%のうち0〜50重量%にすることが好ましい。
【0063】
ポリエーテルポリオール(B’−1)の分子量としては、重量平均分子量で、300〜4,000が好ましく、さらに好ましくは、350〜3,000の範囲である。重量平均分子量が4,000より大きい場合、十分な凝集力が得られずに接着強度が不足する場合がある。重量平均分子量が300未満の場合、凝集力が高くなり基材密着性が低下する場合がある。
【0064】
低分子多価アルコール(B’−3)は、接着剤のハードセグメントとソフトセグメントの分布を調節する目的で使用されるが、1分子中に3つ以上の水酸基を有する低分子多価アルコールを使用する場合は分岐構造を付与する目的でも使用される。低分子多価アルコール(B’−3)の使用量としては、接着剤固形分に対し30重量%以下、更には20重量%以下にすることが好ましい。低分子多価アルコール(B’−3)の使用量が30重量%より多い場合、凝集力が高くなり、接着剤の白濁、及び接着力が低下する傾向がある。
【0065】
《ジイソシアネート(C’)》
ジイソシアネート(C’)としては、例えば、前記インキ組成物で示した、ジイソシアネート(C)が挙げられ、任意に使用することができ、イソシアネート反応性、及び凝集力の観点から、芳香族ジイソシアネートが好ましい。
【0066】
《反応溶剤》
ポリウレタン樹脂(X’)の製造には、前述の媒体である、水酸基を有さない有機溶剤(J)を任意に使用することができる。
【0067】
《ポリウレタン樹脂(X’)の製造》
ポリウレタン樹脂(X’)を製造する方法としては、特に制限はなく、一般的なウレタン化反応で製造できる。
例えば、水酸基末端ポリウレタン樹脂(X’OH)を製造する場合、無溶剤下もしくは、水酸基を有さない有機溶剤(J)下で、ひまし油ポリオール(A’)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)と、ジイソシアネート(C’)とをイソシアネート基に対して水酸基が過剰となる当量比で反応させて水酸基含有のポリウレタン樹脂(X’OH)とする。
水酸基末端ポリウレタン樹脂(X’OH)は、ラミネート強度及び、塗工性の観点から、樹脂中の水酸基価が10〜40mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量が0.5〜4mmol/樹脂1g、重量平均分子量が10000〜150000であることが好ましい。
【0068】
例えば、イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(X’NCO)を製造する場合、無溶剤下もしくは、水酸基を有さない有機溶剤(J)下で、ひまし油ポリオール(A’)と、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)と、ジイソシアネート(C’)とを水酸基に対してイソシアネート基が過剰となる当量比で反応させてイソシアネート基含有のポリウレタン樹脂(X’NCO)とする。
イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(X’NCO)は、ラミネート強度及び、塗工性の観点から、樹脂中のイソシアネート基量が1〜2mmol/樹脂1g、ウレタン基含有量が0.5〜3mmol/樹脂1g、重量平均分子量が3000〜50000であることが好ましい。
【0069】
(ポリウレタンウレア樹脂(Y’))
ポリウレタンウレア樹脂(Y’)は、前述のとおり、ひまし油ポリオール(A’)と、ジイソシアネート(C’)と、鎖延長剤(D’)とを反応させて得ることができ、必要に応じて、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)を用いることもできる。ポリウレタンウレア樹脂(Y’)としては、アミン末端ポリウレタンウレア樹脂(Y’NH)を用いることが好ましい。
【0070】
《ひまし油ポリオール(A’)》
ひまし油ポリオール(A’)としては、前記ポリウレタン樹脂(X’)で示した、ひまし油ポリオール(A’)を、任意に使用することができる。
【0071】
《ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)》
ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)としては、前記ポリウレタン樹脂(X’)で示した、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)を、任意に使用することができる。
【0072】
《ジイソシアネート(C’)》
ジイソシアネート(C’)としては、前記ポリウレタン樹脂(X’)で示した、ジイソシアネート(C’)を、任意に使用することができるが、後述の反応溶剤としてアルコール(G)を使用する際は溶解性の観点から、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネートが好ましい。
【0073】
《鎖延長剤(D’)》
鎖延長剤(D’)としては、例えば、前記インキ組成物で示した、鎖延長剤(D)が挙げられ、任意に使用することができる。
【0074】
《反応溶剤》
ポリウレタンウレア樹脂(Y’)の製造には、前記ポリウレタンウレア樹脂(Y)で示した反応溶剤を任意に使用することができる。
【0075】
《ポリウレタンウレア樹脂(Y’)の製造》
ポリウレタンウレア樹脂(Y’)を製造する方法としては、特に制限はなく、前記ポリウレタンウレア樹脂(Y)と同様の方法で製造することができる。
例えば、無溶剤下もしくは、水酸基を有さない有機溶剤(J)下で、ひまし油ポリオール(A’)、ひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)、及びジイソシアネート(C’)を、ひまし油ポリオール(A’)とひまし油ポリオール以外のポリオール(B’)の水酸基に対して、ジイソシアネート(C’)のイソシアネート基が過剰となる当量比で反応させてイソシアネート基含有のプレポリマーをつくり、ついで、これを水酸基を有さない有機溶剤(J)及び/または、イソシアネート基との反応性の低い3級アルコールに溶解させてプレポリマー溶液とした後、鎖延長剤(D’)を前記反応溶剤中に溶解させたものに、該イソシアネート基含有のプレポリマー溶液を添加して鎖延長反応させる方法がある。
【0076】
鎖延長剤(D’)を前記反応溶剤中に溶解させる際に、溶剤としてアルコール(G)を使用する場合は、イソシアネート基含有プレポリマーとの反応性の観点から、鎖延長剤(D’)はジアミン類、アミノアルコール類を用いるのが好ましい。
【0077】
ポリウレタンウレア樹脂(Y’)は、アミン末端ポリウレタンウレア樹脂(Y’NH)であることが好ましく、ラミネート強度及び、塗工性の観点から、アミン価が10〜40mgKOH/g、ウレタン基含有量が0.5〜3mmol/樹脂1g、ウレア基含有量が0〜3mmol/樹脂1g、重量平均分子量が10000〜100000であることが好ましい。
【0078】
(ポリアミド樹脂)
ひまし油ポリオール(A’)を原料とするポリアミド樹脂は、例えば、ひまし油ポリオール(A’)と、多価カルボン酸および/またはジカルボン酸と、の縮合体と、ジアミン化合物との置換反応により製造することができる。
(ポリエステル樹脂)
ひまし油ポリオール(A’)を原料とするポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸および/またはジカルボン酸と、ひまし油ポリオール(A’)と、の重縮合反応により製造することができる。
【0079】
(接着剤の製造方法)
これらのひまし油ポリオール(A’)を原料とする、ポリウレタン樹脂(X’)、ポリウレタンウレア樹脂(Y’)、ポリアミド樹脂、又はポリエステル樹脂は、接着剤として単独で、または2種以上を混合して用いることができ、さらに必要に応じて硬化剤を併用して使用することもできるが、なかでも、
ひまし油ポリオール(A’)を原料とする水酸基末端ポリウレタン樹脂(X’OH)と、ひまし油ポリオール(A’)を原料とするイソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(X’NCO)と、後述の硬化剤としてイソシアネート添加剤とを併用する、ウレタン接着剤、
または、
ひまし油ポリオール(A’)を原料とするアミン末端ポリウレタンウレア樹脂(Y’NH)と、後述の硬化剤としてエポキシ樹脂(K)とを併用する、ポリウレタンウレア接着剤が好ましい。
【0080】
水酸基末端ポリウレタン樹脂(X’OH)と、イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(X’NCO)とを併用するウレタン接着剤は、イソシアネート基/水酸基のモル当量比は、イソシアネート基末端樹脂のイソシアネート基が水酸基末端樹脂の水酸基合計に対して、0.5〜7.0倍になるように配合され、好ましくは0.7〜6.0倍である。当量比が0.5倍未満の場合は硬化が不十分で接着性が低下する場合があり、当量比が7.0倍より大きい場合は架橋密度が大きくなるため接着性が低下する場合がある。
【0081】
≪硬化剤≫
硬化剤としては、イソシアネート添加剤、及び/またはエポキシ樹脂(K)を含有することが好ましい。
【0082】
イソシアネート添加剤としては、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定しないが、例えば、前記ジイソシアネート(C)の他、前記イソシアネート(C)の誘導体である、アダクト体、アロファネート体、ビュレット体、ウレチジンジオン体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
【0083】
エポキシ樹脂(K)としては、例えば、ジフェノールメタン(ビスフェノールF)、ジフェノールエタン、ジフェノールプロパン(ビスフェノールA)、ポリビニルフェノール、ポリイソプロペニルフェノール、四臭化ビスフェノールA、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジメチルメタン等から誘導されるエポキシ化合物;フェノールノボラック、臭素化フェノールノボラック、クレゾールノボラック、臭素化クレゾールノボラック、レゾルシンノボラック、臭素化レゾルシンノボラック等から誘導されるノボラック系樹脂;レゾルシン、ヒドロキノン、メチルレゾルシン、四塩化ビスフェノールA等から誘導される多価フェノール系エポキシ樹脂;アニリン、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノ−m−クレゾール、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、m−オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系化合物;5,5′−ジメチルヒダントイン等から誘導されるヒダントイン系エポキシ樹脂;2,2′−ビス(4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2′−ビス(4−(2,3−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ビニルシクロヘキセンオキサイド等の脂環式エポキシ樹脂;その他、例えばトリグリシジルイソシアヌレート、2,4,6−トリグリシドキシ−5−トリアジン等を挙げることができ、これらの変性物であるダイマー酸変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等やビスフェノールA型エポキシ樹脂の水添物である水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等も使用可能である。上記の中でも、本発明の積層体を、食品包装用材料として用いる場合には、安全性を考慮して水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂等が好ましい。上記エポキシ樹脂は2種以上用いてもよい。
【0084】
エポキシ樹脂(K)の使用量としては、アミン末端ポリウレタンウレア樹脂(Y’NH)に対して1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%となる範囲で配合される。エポキシ樹脂の配合量が1重量%未満では、十分な凝集力が得られないため耐久性が不足する場合があり、50重量%を超えると、柔軟性が低下し、接着力が不十分となる場合がある。
【0085】
本発明の接着剤は、耐熱水性を高めるため、更に、シランカップリング剤を含有させることができる。シランカップリング剤としては、以下の例には限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0086】
シランカップリング剤の添加量は、接着剤固形分に対して、0.1〜5.0重量%であることが好ましく、0.2〜3.0重量%であることがより好ましい。
【0087】
本発明の接着剤は、耐酸性を高めるため、更に、リンの酸素酸またはその誘導体を含有させることができる。
リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。
リンの酸素酸の誘導体としては、上記のリンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。リンの酸素酸またはその誘導体は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
リンの酸素酸またはその誘導体の添加量は、接着剤固形分に対して、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5.0重量%であることがより好ましく、0.02〜1.0重量%であることが特に好ましい。
【0089】
本発明の接着剤は、更に、触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防黴剤、増粘剤、可塑剤、充填剤、消泡剤等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0090】
触媒としては、ひまし油ポリオール(A’)を原料とする、ポリウレタン樹脂(X’)、ポリウレタンウレア樹脂(Y’)、ポリアミド樹脂、又はポリエステル樹脂の合成時間、及び接着剤の硬化時間を調節する目的で使用されるが、公知のものであれば特に制限はなく、例えば、第3級アミン化合物や、有機金属化合物等が挙げられる。
三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N−シクロヘキシルモルフォリン、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルブタンジアミンもしくはN、N、N’、N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、1、4、−ジメチルピペラジン、1、2−ジメチルイミダゾール、1−アゾビシクロ[3.3.0]オクタン、1、4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば酢酸スズ(II)、スズ(II)オクトエイト、スズ(II)エチルヘキサノエート、スズ(II)ラウレート等の有機カルボン酸スズ(II)塩、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズラウレート等の有機カルボン酸ジアルキルスズ(IV)塩、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等のアルコキシド有機チタン化合物、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ-2-エチルヘキソキシビス(2-エチル-3-ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等の溶剤系キレート有機チタン化合物、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテート等の水系キレート有機チタン化合物が挙げられる。好ましくは、ポリエステルポリオール(B’−2)の加水分解反応を促進しない、有機チタン化合物がいい。更に好ましくは、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。
【0091】
本発明の接着剤に触媒を使用する場合は、接着剤のポットライフを向上させるために、アセチルアセトン等の公知の触媒作用抑制剤を使用することが出来る。また本発明の接着剤は、接着剤の製造時、及び塗工時の希釈剤として、前記のアルコール(G)や水酸基を有さない有機溶剤(J)等の媒体を使用することができる。
【0092】
[第一のプラスチック基材][第二のプラスチック基材]
第一のプラスチック基材、及び第二のプラスチック基材としては、例えば、
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、無延軸ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ−ト、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フィルム若しくはシート及びポリ塩化ビニリデンまたは、ポリ塩化ビニルをコーティングしたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、セロファン等のプラスチックフィルム及びアルミニュウム箔、銅箔等が挙げられる。さらに、必要であれば、第一のプラスチック基材、及び第二のプラスチック基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を施すことができる。
第一のプラスチック基材としては、耐水性、耐熱性、耐衝撃性があり、防湿性やガス遮断性の観点から、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエステル、延伸ナイロンなどが好ましい。
第二のプラスチック基材としては、熱によって溶融し相互に融着し得る基材であれば特に限定されないが、耐寒性、耐衝撃性、低温シール性の観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、無延軸ポリプロピレンが好ましい。
【0093】
[積層体]
本発明の積層体の製造法は、特に制限はなく、一般的なラミネート方法で製造できるが、例えば、第一のプラスチック基材に本発明のインキ組成物で多色印刷を行い、印刷した第一のプラスチック基材の印刷面に本発明の接着剤を塗布し、必要に応じて溶剤を常温又は加温下で乾燥させた後、第二のプラスチック基材を貼り合わせ、常温又は加温下で硬化させるドライラミネート方法が挙げられる。
【0094】
接着剤の塗布量としては通常、乾燥固形物量で、2.0〜5.0g/m2の範囲であることが好ましい。塗布量が2.0g/m2未満であると十分なラミネート強度が得られない場合があり、塗布量が5.0g/m2より多いと、ドライラミネート時の溶剤の蒸発が遅く、乾燥が不十分になる場合がある。
【実施例】
【0095】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」をそれぞれ表す。
なお、実施例中の「樹脂固形分濃度」、「粘度」、「水酸基価」、「イソシアネート価」、「アミン価」、「重量平均分子量」、及び「酸価」の測定方法は次の通りである。
樹脂固形分濃度:JIS K5601−1−2に準拠し、加熱温度150℃、加熱時間20分で測定したときの加熱残分を樹脂固形分濃度(%)とした。
粘度:B型粘度計(株式会社 東京計器製 BL型粘度計)を用い25℃で測定した。
水酸基価:試料溶液1gを無水酢酸でアセチル化し、未反応の酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定し、下記式により算出した。
水酸基価(mgKOH/g)=((A−B)×f×28.05)/試料1g+酸価
A:空試験に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
B:滴定に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f:0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター(1.00)
イソシアネート価:試料溶液1gを乾燥オルトジクロロベンゼン20mlに溶解後、過剰の1.5N−ジ−n−ブチルアミン溶液20mlを加えて15分反応させた後、メタノール70mlを添加し、残ったジ-n-ブチルアミンを0.1mol/lの塩酸標準溶液で逆滴定し、得られた滴定曲線上の変曲点から、下記式により算出した。
イソシアネート価(mmol/g)=(((b−e)×f)/(s×w))×k
e:0.1mol/l塩酸溶液の使用量(ml)
b:ブランク値(ml)
f:滴定液のファクター(1.00)
k:係数(0.1)
s:試料溶液(g)
w:樹脂固形分濃度(%)
アミン価:試料溶液3gをフラスコに計り取り、メタノール50mlを添加し、0.1mol/lの塩酸標準溶液を用い電位差滴定法によって滴定し、得られた中和点から下記式により算出した。
アミン価=a×f×5.61/(s×w)
a:0.1mol/l塩酸溶液の使用量(ml)
f:0.1mol/l塩酸溶液のファクター(1.00)
s:試料溶液
w:樹脂固形分濃度(%)
重量平均分子量(Mw):カラムとしてTSKgel SuperHM、SuperHM−1(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HPC−8020)で展開溶媒にTHFを用いたときのポリスチレン換算分子量を用いた。ただし、ポリウレタンウレア樹脂(Y)又は(Y’)においては、前処理としてポリウレタンウレア樹脂(Y)又は(Y’)の両末端のアミノ基を全てα、α−ジメチル−3−イソプロペニルベンジルイソシアネートと反応させた後に分子量測定を行った。
酸価:JIS K0070に準拠して測定した。
【0096】
[水酸基末端ポリウレタン樹脂(X’OH)の合成例]
(合成例1)水酸基末端ポリウレタン樹脂(1)の合成
攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H1824」伊藤製油社製、水酸基価68.5mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.3、重量平均分子量1638)178.9部と、トリメチロールプロパン3.4部と、酢酸エチル15.9部とを仕込み、窒素気流下、50℃で20分加熱し、トリメチロールプロパンを溶解させた後、トリレンジイソシアネート17.7部と酢酸エチル17.6部からなる混合物を5分かけて滴下し、その後95℃で30分反応させた。ついで、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)0.0185部と、酢酸エチル1.8部からなる混合物を添加し、3時間反応させた後、酢酸エチルで希釈して、固形分70%、粘度3800mPa・s(25℃)、水酸基価25.6mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量1.0mmol/樹脂1g、重量平均分子量58,000の水酸基末端ポリウレタン樹脂(1)溶液を得た。
【0097】
(合成例2)水酸基末端ポリウレタン樹脂(2)の合成
攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H1824」伊藤製油社製、水酸基価68.5mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.3、重量平均分子量1638)81.3部と、ポリトリメチレングリコール(1)(水酸基価56.0mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量2003)56.6部とポリトリメチレングリコール(2)(水酸基価265mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量423.5)31.8部と、トリメチロールプロパン4.0部と、酢酸エチル15.9部とを仕込み、窒素気流下、50℃で20分加熱し、トリメチロールプロパンを溶解させた後、トリレンジイソシアネート26.2部と酢酸エチル17.6部からなる混合物を5分かけて滴下し、その後95℃で30分反応させた。ついで、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)0.0185部と、酢酸エチル1.8部からなる混合物を添加し、3時間反応させた後、酢酸エチルで希釈して、固形分70%、粘度5800mPa・s(25℃)、水酸基価26.8mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量1.5mmol/樹脂1g、重量平均分子量77,000の水酸基末端ポリウレタン樹脂(2)溶液を得た。
【0098】
(合成例3)水酸基末端ポリウレタン樹脂(3)の合成
攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H1824」伊藤製油社製、水酸基価68.5mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.3、重量平均分子量1638)24.8部と、ポリトリメチレングリコール(1)(水酸基価56.0mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量2003)109.0部とポリトリメチレングリコール(2)(水酸基価265mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量423.5)35.8部と、トリメチロールプロパン4.1部と、酢酸エチル15.9部とを仕込み、窒素気流下、50℃で20分加熱し、トリメチロールプロパンを溶解させた後、トリレンジイソシアネート26.3部と酢酸エチル17.6部からなる混合物を5分かけて滴下し、その後95℃で30分反応させた。ついで、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)0.0185部と、酢酸エチル1.8部からなる混合物を添加し、3時間反応させた後、酢酸エチルで希釈して、固形分70%、粘度4500mPa・s(25℃)、水酸基価27.1mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量1.5mmol/樹脂1g、重量平均分子量62,000の水酸基末端ポリウレタン樹脂(3)溶液を得た。
【0099】
[ポリウレタンウレア樹脂(Y’NH)の合成例]
(合成例4)ポリウレタンウレア樹脂(1)の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「HS 2G−120」豊国製油社製、水酸基価122.3mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量917.4)64.4部と、ポリプロピレングリコール(1)(水酸基価54.2mgKOH/g、平均官能基数2、重量平均分子量2070)26.2部と、ポリプロピレングリコール(3)(水酸基価111mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量1011)45.4部と、ジプロピレングリコール1.8部および、イソホロンジイソシアネート48.2部を仕込み、窒素気流下、90℃で3時間反応させた後、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)0.0185部を加え、さらに3時間反応し、ウレタンプレポリマーを製造した後、酢酸エチル46.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン8.8部、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン5.3部、酢酸エチル76.8部、エタノール76.8部からなる混合物に、本発明のウレタンプレポリマー溶液を1時間かけて滴下し、その後1時間反応させて、樹脂固形分濃度50重量%、粘度1000mPa・s(25℃)、樹脂固形分のアミン価は15.2mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量1.4mmol/樹脂1g、ウレア基含有量0.76mmol/樹脂1g、重量平均分子量23,000の、アミン末端である、ポリウレタンウレア樹脂(1)溶液を得た。
【0100】
[イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(X’NCO)の合成例]
(合成例5)イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(1)の合成
攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H1824」伊藤製油社製、水酸基価68.5mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.3、重量平均分子量1638)130.9部と、1,3−プロパンジオール0.9部とポリプロピレングリコール(5)(水酸基価400mgKOH/樹脂1g、平均官能基数3.0、重量平均分子量420.8)2.7部と、酢酸エチル22.5部とを仕込み、窒素気流下、ジフェニルメタンジイソシアネート65.5部と酢酸エチル27.5部からなる混合物を5分かけて滴下し、その後90℃で3時間反応させた後、酢酸エチルで希釈して、固形分70%、粘度220mPa・s(25℃)、イソシアネート価1.6mmol/樹脂1g、ウレタン基含有量1.0mmol/樹脂1g、重量平均分子量7,800のイソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(1)溶液を得た。
【0101】
(合成例6)イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(2)の合成
攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC HF2009」伊藤製油社製、水酸基価41.5mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量2684)26.4部と、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H1824」伊藤製油社製、水酸基価68.5mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.3、重量平均分子量1638)36.2部と、ポリプロピレングリコール(2)(水酸基価265mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量423.4)50.1部とポリプロピレングリコール(5)(水酸基価400mgKOH/樹脂1g、平均官能基数3.0、重量平均分子量420.8)4.6部と、酢酸エチル22.5部とを仕込み、窒素気流下、ジフェニルメタンジイソシアネート82.7部と酢酸エチル27.5部からなる混合物を5分かけて滴下し、その後90℃で3時間反応させた後、酢酸エチルで希釈して、固形分70%、粘度170mPa・s(25℃)、イソシアネート価1.64mmol/樹脂1g、ウレタン基含有量1.67mmol/樹脂1g、重量平均分子量6,000の、イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(2)溶液を得た。
【0102】
(合成例7)イソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(3)の合成
攪拌器、温度計、還流冷却器、滴下漏斗及び、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ジフェニルメタンジイソシアネート100部と、イソシアネート基含有量が28.6重量%であるジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体(製品名:「ミリオネートMTL−C」日本ポリウレタン工業社製)650部とを仕込み、窒素気流下、昇温及び攪拌を開始した。温度が50℃に達したところで、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H−30」伊藤製油社製、水酸基価160.0mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.7、重量平均分子量946.7)250部を添加し、70℃で3時間反応させた後、酢酸エチルで希釈して、固形分70%、粘度300mPa・s(25℃)、イソシアネート価4.5mmol/樹脂1g、ウレタン基含有量0.71mmol/樹脂1g、重量平均分子量2,000のイソシアネート基末端ポリウレタン樹脂(3)溶液を得た。
【0103】
[ポリウレタンウレア樹脂(Y)の合成例]
(合成例8)ポリウレタンウレア樹脂(2)の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「URIC H1824」伊藤製油社製、水酸基価71.2mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.3、重量平均分子量1576)40.5部と、ポリトリメチレングリコール(1)(水酸基価56.1mgKOH/樹脂1g、重量平均分子量2000)27.0部と、1,3−プロパンジオール4.1部および、イソホロンジイソシアネート41.6部を仕込み、窒素気流下、90℃で6時間反応させウレタンプレポリマーを製造した後、ターシャリーブタノール48.5部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン17.4部と、エタノール342.0部からなる混合物に、本発明のウレタンプレポリマー溶液を1時間かけて滴下し、その後1時間反応させて、樹脂固形分濃度25重量%、粘度125mPa・s(25℃)であり、樹脂固形分のアミン価は7.0mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量1.4mmol/樹脂1g、ウレア基含有量1.4mmol/樹脂1g、重量平均分子量18,000の、ポリウレタンウレア樹脂(2)溶液を得た。
【0104】
(合成例9)ポリウレタンウレア樹脂(3)の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ひまし油ポリオール(製品名:「PH−100」伊藤製油社製、水酸基価41.6mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2、重量平均分子量2697.1)39.3部と、ポリトリメチレングリコール(1)(水酸基価56.1mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、重量平均分子量2000)39.2部と、1,3−プロパンジオール3.2部および、イソホロンジイソシアネート34.0部を仕込み、窒素気流下、90℃で6時間反応させウレタンプレポリマーを製造した後、ターシャリーブタノール49.6部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン14.3部と、エタノール340.4部からなる混合物に、本発明のウレタンプレポリマー溶液を1時間かけて滴下し、その後1時間反応させて、樹脂固形分濃度25重量%、粘度125mPa・s(25℃)であり、樹脂固形分のアミン価は6.5mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量1.2mmol/樹脂1g、ウレア基含有量1.2mmol/樹脂1g、重量平均分子量18,000の、ポリウレタンウレア樹脂(3)溶液を得た。
【0105】
(合成例10)ポリウレタンウレア樹脂(4)の合成
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ポリプロピレングリコール(水酸基価28.0mgKOH/樹脂1g、平均官能基数2.0、数平均分子量4000)500部と、イソホロンジイソシアネート45.45部を仕込み、窒素気流下、90℃で6時間反応させウレタンプレポリマーを製造した。次いで、イソホロンジアミン11.85部、ジ−n−ブチルアミン1.45部、トルエン520部、メチルエチルケトン520部、イソプロピルアルコール632部からなる混合物に、本発明のウレタンプレポリマーを1時間かけて滴下し、その後、50℃で3時間反応させて、樹脂固形分濃度25重量%、粘度1,600mPa・s(25℃)であり、樹脂固形分のアミン価は1.17mgKOH/樹脂1g、ウレタン基含有量0.45mmol/樹脂1g、ウレア基含有量0.268mmol/樹脂1g、重量平均分子量80,000、ポリウレタンウレア樹脂(4)溶液を得た。
【0106】
合成例1〜10について、表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
(調整例1〜8)接着剤(1)〜(8)の調整
合成例1〜7で得られた樹脂、硬化剤、添加剤、および溶剤を、表2で示す割合で配合し、不揮発分30%の接着剤(1)〜(8)を得た。
【0109】
【表2】
【0110】
表2中の略称は以下の通りである。
・#1296X;(ヒマシ油のトリメチロールプロパン変性体、伊藤製油社製、平均官能基数=3.0、水酸基価=267(mgKOH/g)、トリメチロールアルカンヒマシ油脂肪酸モノエステルの数平均分子量(Mn)を450とした場合におけるGPC測定値:Mn=450以上のピーク面積比94%:Mw/Mn=1.23
・ポリエーテルポリオール(1);スクロースを開始剤としてプロピレンオキサイドを付加して得られる多官能ポリエーテルポリオール、開始剤の官能基数=8.0、水酸基価=455(mgKOH/g)、数平均分子量=1000
・コロネートL−75;(トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体溶液、日本ポリウレタン工業社製)
・CAT−EP1;(エポキシ樹脂、東洋モートン社製)
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;(シランカップリング剤、信越シリコーン社製)
【0111】
(調整例9)インキ組成物(1)の調整
(調整例9)
合成例8で得られたポリウレタンウレア樹脂(Y)、着色剤(C.Iピグメントブルー 15:3)、水、エタノールをそれぞれ、12.9重量部、10重量部、4.7重量部、17.3重量部となるように混合した。次に、横型サンドミルを用いて分散した後、表3の配合比率になるように残りの成分を配合してインキ組成物(1)を調整した。
【0112】
[調整例10〜14]インキ組成物(2)〜(6)の調整
表3に示すポリウレタンウレア樹脂(Y)、着色剤、および媒体を用いた以外は調整例8と同様にして、インキ組成物(2)〜(6)を調整した。
【0113】
【表3】
【0114】
(積層体の作製)
[実施例1]
得られた印刷インキ(1)100重量部をエタノール50重量部で希釈した後、バーコーターNo.4にて、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製、商品名:P−2161、厚さ20μm、表面コロナ放電処理;以下、OPPと略する)のコロナ放処理面に印刷し、50℃で30秒乾燥することで、第一の印刷層を得た。次に、インキ組成物(2)100重量部をエタノール50重量部で希釈した後、これをバーコーターNo.4にて、OPPの印刷層(1)面に塗布し、50℃で30秒乾燥させることで第二の印刷層を形成した。
次に、接着剤(1)を常温にてバーコーターにより乾燥塗布量が3.0〜3.5g/m2となるように、OPPの第二の印刷層面に塗布し、溶剤を揮散させた後、接着剤塗布面を無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:GHC、厚さ25μm、表面コロナ放電処理;以下、CPPと略する)と貼り合せ、40℃で48時間保温し、OPP/印刷層/接着剤層/CPP、の積層体を得た。
【0115】
[実施例2〜8][比較例1〜2]
表4に示す接着剤及び、インキ組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0116】
[実施例9]
得られた印刷インキ(1)100重量部をエタノール50重量部で希釈した後、バーコーターNo.4にて、ナイロンフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレムRT、厚さ15μm、表面コロナ放電処理;;以下、NYと略する)のコロナ放処理面に印刷し、50℃で30秒乾燥することで、第一の印刷層を得た。次に、インキ組成物(2)100重量部をエタノール50重量部で希釈した後、これをバーコーターNo.4にて、NYの第一の印刷層面に塗布し、50℃で30秒乾燥させることで第二の印刷層を形成した。
次に、接着剤(1)を常温にてバーコーターにより乾燥塗布量が3.0〜3.5g/m2となるように、NYの第二の印刷層面に塗布し、溶剤を揮散させた後、接着剤塗布面を直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:TUX−FCD、50μm、表面コロナ放電処理;以下、LLDPEと略する)と貼り合せ、40℃で48時間保温し、NY/印刷層/接着剤層/LLDPE、の積層体を得た。
【0117】
[実施例10〜16][比較例3〜4]
表5に示す接着剤、インキ組成物を用いた以外は実施例9と同様にして、積層体を得た。
【0118】
[実施例17]
実施例9と同様にして得た積層体を用い、14cm×18cmの大きさのパウチを作成し、内容物として食酢、サラダ油、ケチャップを重量比で1:1:1に配合した擬似食品200gを真空充填した。このパウチを98℃の熱水中で30分間加熱殺菌(ボイル)し、ボイル後積層体を得た。
【0119】
[実施例18〜24][比較例5〜6]
実施例10〜16および比較例3〜4と同様にして得た積層体を用い、実施例17と同様にして、ボイル後積層体を得た。
【0120】
<積層体の評価>
得られた積層体の、ヒートシール強度評価、およびラミネート強度評価を、下記の方法で行った。
【0121】
(ラミネート強度評価)
ラミネート強度(N/15mm)は、積層体から300mm×15mmの大きさの試験片を作成し、引張り試験機を用い、温度20℃、相対湿度65%の条件下、T型剥離により剥離速度30cm/分で、OPPとCPP間、またはNYとLLDPE間を剥離することで測定し、5個の試験片の平均を測定値とした。
OPP/印刷層/接着剤層/CPP構成では、
◎は2N以上/15mm:性能が特に優れている。
○は1.5〜2N未満/15mm:性能が十分である。
△は1〜1.5N未満/15mm:実用レベルである。
×は1N未満/15mm:使用できるレベルにない、をそれぞれ示し、
NY/印刷層/接着剤層/LLDPE構成では、
◎は7N以上/15mm:性能が特に優れている。
○は6〜7N未満/15mm:性能が十分である。
△は5〜6N未満/15mm:実用レベルである。
×は5N未満/15mm:使用できるレベルにない、をそれぞれ示した。
【0122】
(ヒートシール強度評価)
ヒートシール強度(N/15mm)は、積層体から300mm×15mmの大きさの試験片を作成し、シーラントフィルム(CPPまたは、LLDPE)同士が重なり合う様にラミネートフィルムを2つ折りにし、端を150℃、2kg/fで1秒間熱プレスした後、引張り試験機を用い、温度20℃、相対湿度65%の条件下、T型剥離により剥離速度30cm/分で、シーラントフィルム同士の接合間を剥離することで測定し、5個の試験片の平均を測定値とした。
OPP/印刷層/接着剤層/CPP構成では、
◎は10N以上/15mm:性能が特に優れている。
○は8〜10N未満/15mm:性能が十分である。
△は5〜8N未満/15mm:実用レベルである。
×は5N未満/15mm:使用できるレベルにない、をそれぞれ示し、
NY/印刷層/接着剤層/LLDPE構成では、
◎は60N以上/15mm:性能が特に優れている
○は55〜60N未満/15mm:性能が十分である。
△は50〜55N未満/15mm:実用レベルである。
×は50N未満/15mm:使用できるレベルにない、をそれぞれ示した。
【0123】
結果を表4〜表6に示す。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
表4〜6から明らかなように、ひまし油ポリオール(A)を原料とするポリウレタンウレア樹脂(Y)、着色剤、及び媒体を含有するインキ組成物と、ひまし油ポリオール(A’)を原料とするポリウレタン樹脂(X’)、ポリウレタンウレア樹脂(Y’)、ポリアミド樹脂、又はポリエステル樹脂のいずれかを含有する接着剤とを用いることで、ラミネート強度とヒートシール強度に優れ、ボイル下においても、接着性を維持している積層体を得ることが出来た。
【0128】
中でも、ひまし油ポリオール(A’)由来の骨格を、接着剤固形分に対して、30重量%から90重量%含む接着剤を用いることで、ラミネート強度とヒートシール強度が非常に優れた積層体を得ることが出来た。