【実施例】
【0184】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および態様を実証かつさらに例証するために提供され、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0185】
(実施例1)
CXCR1の癌幹細胞同定
この実施例は、CXCR1、ならびに癌幹細胞マーカーとしての他のタンパク質(例、FBXO21)の同定を記載する。
【0186】
細胞培養。乳腺細胞株(BCL)は、ATCC(“http://www.”に続いて“lgcpromochem−atcc.com/common/catalog/cellBiology/cellBiologyIndex.cfm”)から、またはDrs. S. Ethierの研究所で開発された収集品(“http://www.”に続いて“asterand.com/asterand/BIOREPOSITORY/hbreastcancercelllines.aspx, SUM44, SUM52, SUM149, SUM159, SUM185, SUM190, SUM225, SUM229”で現在利用可能)、V.J. Moebus (BrCa−MZ−01)、およびV. Catros (S68)から得られた。試験された全BCLは、線維嚢胞性疾患から得られたMCF10Aを除き、上皮性悪性腫瘍、および正常乳房組織から得られたHMEC由来184A1から得られた。細胞株は、望ましい培養条件を使用して育成された。全実験は、成長の指数関数的なフェーズのやや集密的な細胞で行われた。
【0187】
ALDEFLUOR検定およびFACSによるALDH陽性集団の分離。ALDH活性は、ヒト乳癌の主要な分子亜類型を表現する33BCLで評価された。ALDEFLUORキット(StemCell technologies Durham, NC, USA)は高ALDH酵素活性で集団を単離するのに使用された(17)。トリプシン処理後にやや集密的な細胞株から、または解離されたばかりの異種移植片から得られた細胞は、ALDH基質(1x106細胞あたりBAAA、1μmol/l)を含むALDEFLUOR検定緩衝液で懸濁され、40分間37°Cで培養された。それぞれの実験で、細胞の試料は、負の対照として、特定のALDH阻害剤である、ジエチルアミノベンズアルデヒド(DEAB)50mmol/Lで、同一条件下で染色された。フローサイトメトリー分類は、FACStarPLUS(Becton Dickinson)を使用して実行された。ALDEFLUOR蛍光は、488nmで励起され、標準フルオレセインイソチオシアネート(FITC)530/30バンドパスフィルタを使用して検出された。異種移植された腫瘍において、抗H2Kd抗体(BDバイオサイエンス、1/200,20分氷上)で培養することに続くフェコエリスリンでの第2の抗体標識化(Jackson labs,1/250,20分氷上)、は、マウス由来の細胞を排除するために使用された。分類ゲートは、生存力についてのPI染色細胞、DEAB処置されたALDEFLUOR染色細胞、および第2の抗体単独で染色されたものを使用して確立された。RNAプロファイリングまたはNOD/SCIDマウス注射の前に、分類された集団の純度は、BrCa−MZ−01およびSUM159細胞株内の10,000のALDEFLUOR陽性および陰性細胞の二重の分類を使用してチェックされた。両細胞株にとって、分類されたALDEFLUOR陽性集団は、ALDEFLUOR陽性細胞を98%以上含み、ALDEFLUOR陰性集団内ではALDEFLUOR陽性細胞は検出されなかった。
【0188】
NOD/SCIDマウス内の腫瘍形成能。ALDELFUOR陽性、陰性、および分離されていないSUM159、MDA−MB−453、およびBrCa−MZ−01細胞の腫瘍形成能は、NOD/SCIDマウス内で評価された。脂肪パッドは、思春期前の生育3週間で上皮を取り除かれ、(17)に記載のように、ヒト繊維芽細胞(1:1照射:無照射、50,000細胞/100μLマトリゲル/脂肪パッド)を注射されてヒト化された。研究における脊椎動物の使用のための規制に従い、腫瘍が最大直径で1.2cmの時、動物は安楽死させられた。脂肪パッドそれぞれの部分は、組織学分析のために、ホルマリンで固定され、パラフィンに埋め込まれた。別の部分は、、ALDEFLUOR検定によって評価され、分類および連続移植が続いた。
【0189】
足場非依存性培養。184A1、SUM149、およびSUM159からのALDEFLUOR陽性、陰性、および分離されていない細胞は、低密度(5000生存細胞/mL)で、極低付着プレート(Corning,Acton,MA)に単細胞として固定された。細胞は、(18)に記載のように、無血清乳腺上皮の基礎の培地(Cambrex Bio Science, Walkerville, MD)で3〜7日間増殖された。球形を形成する細胞の能力は、培地に加えられた異なる用量のIL8(GenWay Biotech, San Diego, CA)で処理後、定量化された。
【0190】
RNA抽出。全RNAは、DNA/RNA All Prep Maxi Kitを使用して凍ったALDEFLUOR陽性および陰性細胞から、製造業者の指示(Qiagen Sample and Assay technologies The Netherlands)に従い抽出された。8つのBCL、すなわち184A1、BrCa−MZ−01、HCC1954、MDA−MB−231、MDA−MB−453、SK−BR−7、SUM149、およびSUM159が、転写分析に使用された。RNA完全性は、ホルムアルデヒドアガロースゲル電気泳動およびミクロ分析(Agilent Bioanalyzer, Palo Alto, CA)を変性させることで管理された。
【0191】
DNAマイクロアレイでの遺伝子発現プロファイリング。遺伝子発現分析は、38,500個の十分に特徴付けられたヒト遺伝子を含む47,000超の転写産物および変異体を含むアフィメトリクスU133プラス2.0ヒトオリゴヌクレオチドマイクロアレイを使用した。cRNAの調製、混成、洗浄、および検出は、提供者に推薦されたように実施された(“http://www.”に続いて“affymetrix.com/index.affx”)。発現データは、(20、21)に記載のように、バイオコンダクタおよび関連パッケージ(19)を使用するRにおいて、RMA(ロバストマルチチップ平均)方法によって分析された。RMAは、1遺伝子あたり11のオリゴヌクレオチドのバックグラウンド補正、変位値標準化、および要約化を行った。
【0192】
分析前に、ろ過過程は、データセットから25,285遺伝子/ESTを保持する全ての16試料中で100ユニットに劣る発現値で画定されるように、低および不完全に測定された発現の遺伝子を取り除いた。標準偏差(SD)の強度に基づく第2のフィルタは、分析を通じ、低発現変異を示す遺伝子を排除するために監視されていない分析に適用された。標準偏差は、ログ2変換データ上で計算されたが、最低値は100ユニットの最小値、すなわち、0.5以上の標準偏差の13,550遺伝子/ESTを保持するバックグラウンド強度にまず張られた。監視されていない分析は、13,550遺伝子上の16のALDEFLUOR陽性、陰性細胞で行われた。階層クラスタリング前にフィルタされたデータは、ログ2変換され、遺伝子上のデータメジアン中心、類似性測量および重心結合クラスタリングとしてのピアソン相関を使用するクラスタプログラム(22)に伝送された。結果は、ツリー表示プログラム(22)を使用して表示された。遺伝子区別できるALDEFLUOR陽性および陰性集団を区別する遺伝子を同定し位置づけるために、マン−ホイットニーのUテストが、25,285遺伝子/ESTに適用され、誤った発見率(FDR)(23)は、仮説の複数テストを正すのに使用された。識別特性の分類能力は、階層クラスタリングによって試料を分類することで例証された。LOOCVは、同定された分子シグネチャーおよび監視された分析の妥当性の予測の正確性を推定するのに適用され、それぞれの試料は、無排除試料上で画定されたモデルを使用して、1つずつ排除され、線形判別分析(LDA)(24)で分類された。
【0193】
リアルタイムRT−PCR。異なる細胞株からALDEFLUOR陽性およびALDEFLUOR陰性集団が分類された後、総RNAは、RNeasy Mini Kit (QIAGEN)を使用して単離され、384ウェル遮断モジュールおよび自動アクセサリ(Applied Byosystems)とともに、ABI PRISM(商標登録)7900HT配列検出システムのリアルタイム定量RT−PCR(qRT−PCR)検定のために利用された。Taqmanシステムのためのプライマーおよびプローブは、Applied Byosystemsのウェブサイトから選択された。PCRプライマーペアの配列およびCXCR1、FBXO21、NFYA、NOTCH2、RAD51L1、およびTBPに使用される蛍光発生プローブは、Applied Byosystemsのウェブサイトで利用可能である(CXCR1検定ID:Hs_00174146_mi;FBXO21検定ID:Hs_00372141_mi,NFYA検定ID:Hs_00953589_mi,NOTCH2検定ID:Hs_01050719_mi,RAD51L1検定ID:Hs00172522_mi,TBP検定ID:Hs_00427620_mi)。CXCR1、FBXO21、NFYA、NOTCH2、RAD51L1の相対発現mRNAレベルは、既に(25)に記載のように、RNAの質および入力cDNA量の変化を標準化するために、内部標準TBP遺伝子に関してコンピュータ計算された。
【0194】
浸潤検定。検定は、12ウェルプレート(Corning,NY)のための8um孔ポリカーボネートフィルタ挿入物でトランスウェルチェンバ内で、3重で行われた。フィルタは、1時間37°Cで培養されたDMEM/F12内の、氷のように冷たい1:6基底膜抽出物(Matrigel,BD−Bioscience)30ulで被覆された。細胞は、無血清培地の200ulの上部チェンバに付加された。浸潤検定において、5000細胞は、マトリゲル被覆フィルタ上に播種され、下部チェンバは、10%ヒト血清(Cambrex)で補われた培地600ulまたはIL8(100ng/mL)で補われた無血清培地600ulで満たされた。48時間培養した後、フィルタ底面の細胞は、光学顕微鏡を使用して計数された。相対浸潤は、血清条件の下、未分離の対応する細胞株に標準化された。
【0195】
レンチウイルス感染。発光酵素遺伝子導入において、HCC1954、MDA−MB−453、およびSUM159からの70%集密的細胞は、培地のレンチウイルスの上澄みであるレンチLUC−VSVG(ベクターコア,Ann Arbor, MI)1:3沈殿混合物で、一晩、培養された。次の日、細胞は、トリプシン/EDTAによって収穫され、1:6の比率でサブ培養された。1週間培養した後、細胞は、ALDEFLUOR表現型に従って分類され、発光酵素発現は、それぞれの分類された集団(ALDEFLUOR陽性およびALDEFLUOR陰性)で、培地に2mLのD−luciferin0.0003%(Promega,Madison,WI)を付加し、素子カメラシステム(Xenogen,Alameda,CA)によって光子束を数えることによって検証された。
【0196】
心臓内接種。生後6週間のNOD/SCIDマウスは、2%イソフルラン/空気混合物で麻酔され、Ca2+およびMg2+欠失無菌ダルベッコPBS100μL内の100,000細胞を左心室に注射された。3つの細胞株それぞれ(HCC1954、MDA−MB−453、SUM159)およびそれぞれの集団(ALDEFLUOR陽性、ALDEFLUOR陰性、および未分類)に対し、3動物が注射された。
【0197】
生物発光検出。接種およびその後の各週の接種の前に、基準値生物発光が評価された。マウスは、2%イソフルラン/空気混合物で麻酔され、PBS中150mg/kg D−ルシフェリン(Promega,Madison,WI)の量の単回腹腔内投与が与えられた。そして、D−ルシフェリンの投与の6分後、動物は再度麻酔された。光子束を数えるために、電荷結合素子カメラシステム(Xenogen,Alameda,CA)が、ノーズコーンイソフルラン送達システムおよび体温維持のための加熱段階で使用された。Xenogenイメージングシステムで提供される生存イメージソフトウェアを使用して2〜12分露出した後、結果が分析された。シグナル強度は、データ後処理中に手作業で配置された関心のある均質領域内で、検出された全光子束数の合計として定量された。標準化された光子束は、接種後の各週に検出される光子束および接種前に検出される光子束の割合を代表する。
【0198】
統計的分析。結果は、それぞれの群の少なくとも3つの繰り返しの個別実験に対し、平均±標準偏差として表される。統計的分析は、SPSSソフトウェア(10.0.5版)を使用した。試料群と分子パラメータの間の相関関係は、フィッシャー抽出テストまたは独立系試料のワンウェイ分散分析で計算された。p値
*0.05は、有意と考えられた。
【0199】
乳腺細胞株の大部分は、ALDEFLUOR陽性集団を含む。ALDEFLUOR検定(17)は、多様な分子亜類型および乳癌の特徴を表す33BCLからCSCを単離するのに使用された(20)。33細胞株中23が、0.2からほぼ100%に近い範囲のALDEFLUOR陽性細胞集団を含むことが発見された。12中7の管腔BCLが、いずれの検出可能なALDEFLUOR陽性細胞(p=0.0006、フィッシャー抽出テスト)も含まないのに対し、16基底/間葉BCLは全て、ALDEFLUOR陽性集団を含んでいた。
【0200】
ALDEFLUOR陽性細胞は、腫瘍球形成能力を有する。乳房上皮幹細胞および前駆細胞は、足場非依存性条件で生存し増殖することが可能で、マンモスフィアと呼ばれる浮遊球形コロニーを形成することが以前に報告されていた(18)。乳腺腫瘍ならびに細胞株からのデータは、癌幹のような細胞または癌発動細胞は、同様の検定において「腫瘍球」として単離または増殖もされ得ることを証明した(26)。正常なヒト乳腺のマンモスフィアを引き起こす全細胞は、ALDEFLUOR陽性集団内に含まれている(17)。BCLからのALDEFLUOR陽性集団を特徴付けるために、184A1、SUM149、およびSUM159からのALDEFLUOR陽性および陰性集団の腫瘍球を形成するための能力が比較された。それぞれの細胞株で、ALDEFLUOR陽性集団は、ALDEFLUOR陰性細胞に比較して増大した腫瘍球形成能力を示した。
【0201】
ALDEFLUOR陽性BCL細胞は、インビボに癌幹細胞特性を有する。BCLの階層的組織を決定するために、MDA−MB−453、SUM159、およびBrCa−MZ−01細胞株のALDEFLUOR陽性および陰性集団の幹細胞特性が、分析された。これらの3つのBCLのALDEFLUOR陽性集団は、全細胞集団の3.54±1.73%〜5.49±3.36%間に構成された(
図1A〜B、G〜H、
図2A〜B)。
図1F、Lに示すように、腫瘍形成のサイズおよび潜伏は、注射されたALDEFLUOR陽性細胞の数に関連付けられた。注目すべきことに、MDA−MB−453からの500のALDEFLUOR陽性細胞およびSUM159からの1,000のALDEFLUOR陽性細胞は腫瘍を形成することができた。腫瘍生成能力は、これらの細胞の自己再生能力を証明する連続継代を通じて維持された。対照的に、50,000のALDEFLUOR陰性MDA−MB−453細胞が注射された時に、限定的な成長が産出されたが、ALDEFLUOR陰性細胞は、腫瘍を生成しなかった。脂肪パッド切片のH&E染色法が、ALDEFLUOR陽性細胞によって形成された腫瘍が悪性細胞を含むことを確認したが、残留マトリゲル、アポトーシスを起こした細胞、およびマウスの組織のみがALDELFUOR陰性細胞注射の部位で見られた(
図1E、K)。ALDEFLUOR陽性集団が癌幹細胞特性を有する事実と一致して、この集団によって生成された腫瘍は、ALDEFLUOR陽性および陰性細胞と同一の割合で当初の腫瘍の表現型の不均一性を繰り返した。(
図1C、I)。これは、ALDEFLUOR陽性細胞が、自己再生でALDEFLUOR陽性細胞を生成することが可能で、分化でALDEFLUOR陰性細胞を生成することが可能であることを示した。
【0202】
BrCa−MZ−01細胞が、ALDEFLUOR陽性および陰性構成物に分離された時、両方とも腫瘍生成可能であった。ALDEFLUOR陽性集団によって生成された腫瘍は、当初の腫瘍の表現型の不均一性を繰り返すALDEFLUOR陽性および陰性細胞の両方から構成された。対照的に、ALDEFLUOR陰性細胞によって生成された腫瘍は、ALDEFLUOR陰性細胞のみを含む成長の遅い腫瘍を生じさせた。連続的に移植されるALDEFLUOR陽性細胞の能力とは対照的に、ALDEFLUOR陰性腫瘍の連続継代は、3つの経過に続いて成長しないことで腫瘍を成長の低下させた。これは、BrCa−MZ−01細胞のALDEFLUOR陽性構成物は、幹細胞特性をもつ細胞を含むが、ALDEFLUOR陰性細胞は、限定的に成長を実行することはできるが自己再生はしない前駆細胞を含むことを示唆する。
【0203】
ALDELFUOR陽性および陰性細胞集団の遺伝子発現プロファイリング。異なるBCLから分離されたALDEFLUOR陽性細胞が、「癌幹細胞」遺伝子の共通セットを発現したかを決定するために、8つのBCL(184A1、BrCa−MZ−01、HCC1954、MDA−MB−231、MDA−MB−453、SK−BR−7、SUM49、およびSUM159)から分離されたALDEFLUOR陽性および陰性細胞集団は、アフィメトリクス全ゲノムオリゴヌクレオチドマイクロアレイを使用して分析された。16試料に適用される監視されていない階層クラスタリングおよび13,550のろ過された遺伝子/ESTは、ALDEFLUOR陽性および陰性集団を分離しなかった。代わりに、ALDEFLUOR陽性および陰性集団は、親細胞株でクラスター化された。これは、クローン細胞株間のmRNA転写産物の違いが、ALDEFLUOR陽性とALDEFLUOR陰性細胞との間の違いに取って替わることを示唆する。これは、限定的な数の遺伝子のみが、差次的に推定癌幹細胞とその子孫との間に発現することをさらに提示した。
【0204】
どの遺伝子が、ALDEFLUOR陽性および陰性集団を区別するのかを決定するために、マン−ホイットニーのUテストが全遺伝子に適用されたが、低および不完全に測定された発現、すなわち25,285プローブセットをもつものであった。FDR補正後、このテストは、ALDEFLUOR陽性および陰性細胞集団を区別した413遺伝子/ESTを同定し、位置づけた。独自の遺伝子に対応する28の過剰発現した遺伝子を表1に示し、最も頻繁に低発現した遺伝子を表2に示す。
【0205】
【表15】
【0206】
【表16】
【0207】
【表17】
【0208】
【表18】
【0209】
【表19】
【0210】
【表20】
【0211】
この識別シグネチャーの分類力は、16のALDEFLUOR陽性および陰性試料を、413の差次的に発現された遺伝子/ESTを分類することで例証された。階層クラスタリングは、16試料中15をランク付けした(
図2A)。
【0212】
幹細胞生物学の役割を果たすことが知られているNFYA、NOTCH2、PCNX、RBM15、ST3GAL3、およびTPRXLを含む多くの遺伝子が、ALDEFLUOR陽性集団(表1)で、上方制御された。例えばARID1B、RAD51L1、およびケモカイン受容体CXCR1/IL8RAのような他の遺伝子は、幹細胞機能、で、推定または特徴付けられていない役割を有するタンパク質をエンコードする(27)。ALDEFLUOR陽性集団内で低発現される遺伝子は、細胞分化、アポトーシス、RNAスプライシング、およびミトコンドリアの代謝に関与する。
【0213】
分析の厳密さを向上させるため、マン−ホイットニー分析の閾値は、0.5リスクに上げられ、ALDEFLUOR陽性および陰性集団を区別する49遺伝子/ESTのリストを得た(表1〜2のアスタリスクのある遺伝子)。このリストで、SK−BR−7からのものを除く、全ALDEFLUOR陽性細胞は、共にクラスター化された。これらの49遺伝子/EST中、45が同定された独自の遺伝子に対応し、これら45中たった3がALDEFLUOR陽性群内で過剰発現し、一方、42が低発現であった。特徴付けられた過剰発現した遺伝子は、Fボックスタンパク質FBXO21およびCXCR1/IL8RAをコードする。低発現遺伝子は、ミトコンドリアのタンパク質(MRPL41、MRPL42、MRPL47、MRPL54、MRPS23、IMMP1L)のコード化、および分化(NACA)およびプレmRNAスプライシング因子(LSM3、プレmRNAプロセッシング因子PRPF39およびPRPF4B)を含む。0.5%リスクのLeave−one−out交差検定(LOOCV)は、同定分子シグネチャーの予想の正確性を推定し、試料の88%は、監視された分析を確認するこの「癌幹細胞シグネチャー」で右のクラスに予想された。
【0214】
定量RT−PCR評価は、ALDEFLUOR陽性細胞内のCXCR1およびFBXO21の重大な増加を確認した。ALDEFLUOR陽性集団内の過剰発現した5つの識別遺伝子の定量RT−PCR分析(CXCR1/IL8RA、FBXO21、NFYA、NOTCH2、およびRAD51L1)が実行された。プロファイリング分析に使用された3細胞株(BrCa−MZ−01、MDA−MB−453、SUM159)および2つの追加の管腔細胞株(MCF7、S68)は、ALDEFLUOR検定で分類され、ALDEFLUOR陽性および陰性集団は、定量RT−PCR分析でそれぞれ処理された。CXCR1およびFBXO21の定量RT−PCR発現レベルは、
図2BおよびCに表される。定量RT−PCRで測定される遺伝子発現レベルは、ALDEFLUOR陰性集団に比較したALDEFLUOR陽性集団でCXCR1およびFBXO21 mRNAレベルが上昇する、DNAマイクロアレイを使用して得られた結果を確認した(p<0.05)。
【0215】
IL8は、癌幹細胞自己再生を促進する。プロファイリング研究は、IL8受容体CXCR1/IL8RAが、一貫してALDEFLUOR陽性細胞集団に発現したことを示唆した。この関連を確認するために、CXCR1/IL8RAのタンパク質発現は、フローサイトメトリーによってALDEFLUOR陽性および陰性集団内で測定された。異なる4つの細胞株からのALDEFLUOR陽性および陰性集団は、FACSによって単離され、固定されて、フィコエリスリンで標識化されたCXCR1単クローン性の抗体と染色された。
図3Aに示すように、ALDEFLUOR陽性細胞は、CXCR1陽性細胞内に、ALDEFLUOR陰性集団に比較して非常に豊富に含まれた。
【0216】
IL8シグナル伝達が、幹細胞機能において重要かどうかを決定するために、4つのBCLが、腫瘍球形成およびALDH酵素活性によって測定された癌幹細胞集団上へのその効果を決定するために、ヒト組み換えIL8で処置された。
図3Bに示すように、IL8の付加は、用量依存的に第1および第2の腫瘍球形成を増大した。さらに、IL8は、分析された4つのBCLのそれぞれでALDEFLUOR陽性集団を用量依存的に増大させた(
図3C)。これは、幹細胞機能で役割を果たすかもしれない経路を同定する「CSCシグネチャー」の力を例証する。
【0217】
IL8/CXCR1軸は癌幹細胞浸潤に関与する。IL8/CXCR1軸は、癌幹細胞浸潤の役割を果たすと報告されてきた(28、29)。3つの異なる細胞株(HCC1954、MDA−MB−453、SUM159)からのALDEFLUOR陽性および陰性細胞集団の浸潤能力を検証するために、誘引物質として血清を使用して、マトリゲル浸潤検定が利用された。
図4Aに示すように、ALDEFLUOR陽性細胞は、ALDEFLUOR陰性集団よりマトリゲルを通じて6倍〜20倍高い浸潤を証明した(p<0.01)。化学誘引物質として使用されるとき、IL8(100ng/mL)は、ALDEFLUOR陽性細胞の浸潤を増大させた(p<0.05)(
図4A)。ALDEFLUOR陽性細胞への影響とは対照的に、IL8は、ALDELFLUOR陰性細胞の浸潤能には何の影響もなかった。これらの結果は、癌幹細胞が浸潤行動を示し、さらに、IL8がこのプロセスを促進することを示した。
【0218】
ALDEFLUOR陽性細胞は、転移能を増大させた。CSCが、癌転移において重大な役割を果たすことが提唱されてきた(30、31)。上記の実験は、ALDEFLUOR陽性細胞が、ALDEFLUOR陰性細胞に比較して浸潤能を増大させたことを証明した。ALDEFLUOR陽性と転移能力との関係を決定するために、HCC1954、MDA−MB−453、およびSUM159は、発光酵素レンチウイルスレポーターシステムに感染された。ルシフェラーゼ感染細胞は、ALDEFLUOR検定を使用して分類され、心臓内の注射によってNOD/SCIDマウスに導入された。それぞれの集団からの100,000細胞の懸濁液が注射され、転移は、生物発光のイメージングによって評価された。ALDEFLUOR陽性細胞を接種されたマウスは、異なる部位に転移を発達させ、分離されていない細胞を接種されたマウスで、1マウスあたり1転移以下を発達させたマウス、またはALDEFLUOR陰性細胞を培養されたマウスで、リンパ節に限定した偶発の転移のみを発達させたマウス、より高い光子束の放出を示した(
図4B〜J)。組織学的切片は、これらの部位に転移の存在を確認した(
図4K〜M)。このように、BCLの転移能は、ALDEFLUOR陽性集団に含まれるCSCによって支配的に媒介される。
【0219】
腫瘍がCSCによって駆動される細胞階層内で組織化されるという仮説は、癌生物学における基礎的意味、ならびに癌の初期検出、予防法および治療法における臨床の意味を有する。CSCの証拠は、大きく第1および初期経過異種移植モデルに依存する(32〜34)。しかしながら、乳腺腫瘍異種移植の確立の成功は、特に一部の分子亜類型では低下かった。第1の腫瘍とは対照的に、細胞株は、制限なしの量で利用可能であり、正常な組織および間質無しの分子分析のための癌性集団のみを提供する。乳癌においては、第1のヒト乳癌で発見された異なる分子亜類型を代表する大部分の不死化細胞株が産出された(2、20)。しかしながら、これらの細胞株は、どれだけ密接にヒト乳癌の生物学を繰り返すことが可能かに関する基礎的疑問は、残っている。
【0220】
細胞株内の幹細胞のためのインビボ証拠。最近の研究は、細胞株はクローン的に由来されるかもしれないが、細胞分化の様々なステージを代表する細胞階層を含むことを示唆した。幾つかの研究は、乳癌細胞株内のCSCを同定するためにCD44+/CD24−等のマーカーを利用した。しかしながら、その利便性は、頻繁に細胞株内の大部分の細胞がこの推定幹細胞マーカーを発現することが観察されることから、限定的である。例えば、基礎の乳癌細胞株の90%を超える細胞は、CD44+/CD24−表現型を表す。実際、CD44+/CD24−表現型は、これらの細胞株の腫瘍原性の集団を単離しなかった(Ginestier et al. Cell Stem Cell 1:555−567、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)。代替的アプローチは、細胞株からのSPを使用してきた。しかしながら、ヘキスト染色法を利用する機能的研究は、剤の毒性によって限定されている(35)。機能的幹細胞活性は、SP内に含まれない証拠もある(36)。ALDEFLUOR検定によって評価されるALDH活性は、種々の癌から幹細胞特性を有する細胞を単離する(14、37)。この実施例によって、33中23のBCL(支に基底細胞株)が、ALDEFLUOR陽性集団を含むことが証明された。いくつかの管腔BCL内のALDEFLUOR陽性集団の欠失が、これらの管腔BCLは、ALDEFLUOR陰性前駆細胞から得られたことを示すかもしれない。
【0221】
この実施例は、ALDEFLUOR陽性集団の幹細胞特性を証明するために、NOD/SCIDマウスのインビボ検定を利用した。自己再生は、NOD/SCIDマウスの連続継代によって証明され、分化は、ALDEFLUOR陰性細胞ではなく、ALDEFLUOR陽性細胞の当初の腫瘍の細胞の不均質性を再生成する能力によって証明された。
【0222】
乳癌幹細胞シグネチャー。8個の乳腺細胞株を利用することで、この実施例は、その遺伝子の発現がALDEFLUOR陽性および陰性細胞を区別する413遺伝子を同定した。このシグネチャーは、幹細胞生物学の役割を果たすことで知られる多くの遺伝子を含んだ。ALDEFLUOR陽性集団内で過剰発現した遺伝子は、乳腺幹細胞(18、38)の自己再生および分化を規制するNotchホモログ2(NOTCH2)、幹細胞の自己再生および分化を制御することで知られるNFYA(39、40)、造血幹細胞の多面的な役割を果たし(41)、NOTCHシグナル伝達を通じて骨髄分化に作用する(42)pecanexホモログPCNXであるRBM15/OTT、胚性発達を伴うホメオボックス様因子TPRXL、ステージ特異的な胚性抗原4シンセターゼをコード化し、致命的な発達および腎臓および胃の発癌に関連付けられた(43)ST3GAL3、を含む。著しく、ステージ特異的な胚性抗原4タンパク質(SSEA−4)は、ヒト臍帯血および静止状態の乳腺幹細胞内のCXCR4+/CD133+/CD34+/lin幹細胞等の幹細胞集団に発現される(44)。
【0223】
ALDEFLUOR陽性集団の低発現した遺伝子は、細胞分化、アポトーシス、およびミトコンドリアの酸化に関与する。それらは、新生ポリペプチド関連複合体アルファサブユニットNACAをコードする遺伝子、プログラムされた死亡タンパク質PDCD5ならびにPDCD10、ミトコンドリアのリボソーマルタンパク質L41(MRPL41)であって、BCL2ならびにカスパーゼを通じてP53依存ならびに非依存の方法でアポトーシスを誘導するタンパク質、および、例えば、酸化リン酸化反応(NDUFA2、ATP5J2、IMMP1L)およびミトコンドリア内のタンパク質合成(MRPL42、MRPL47、MRPL54、MRPS23)のような、ミトコンドリアのプロセスに関与するタンパク質を含む。CSCのアポトーシス遺伝子の下方制御は、放射線および化学療法へのこれらの細胞の抵抗の役割を果たすかもしれない(45、46)。ALDH1A1は、ALDEFLUOR陽性シグネチャー内に差次的に発現した遺伝子として同定されなかった。しかしながら、個別BCLの遺伝子発現プロファイルの検査は、ALDEFLUOR陽性集団内のALDH1A1の差次的発現を示すものがある一方で、この集団の異なるALDHアイソフォームであるALDH1A3の差次的発現を示すものがあったことを明らかにした。これは、異なるALDHアイソフォームの発現が、ALDEFLUOR陽性表現型に貢献し得ることを示唆する。
【0224】
ケモカインから「ステモカイン(stemokine)」に。IL8の受容体であるCXCR1の発現は、様々な癌で増大する(47〜50)。IL8発現は、ER陰性乳癌と関連する(51)が、このケモカインは、幹細胞機能の役割を果たすことは以前には報告されていなかった。成長および転移の制御におけるその意味は、アンドロゲン非依存性前立腺癌に十分定着されている(52)。さらに、IL8の発現レベルは、VEGF生成および血管形成を通じた腫瘍形成能および転移と関連している(53、54)。遺伝子発現データは、3方法で検証された。第1に、定量RT−PCR分析は、プロファイリング分析ではなく、両方が細胞株からのALDEFLUOR陽性内で培養されたCXCR1mRNAの著しい増大を確認した。第2に、CXCR1含有細胞が、ALDEFLUOR陽性集団内に排他的に発見されることがフローサイトメトリーを使用して証明された。第3に、組み換えIL8は、BCL内のマンモスフィア形成およびALDEFLUOR陽性細胞の割合を増大させた。したがってIL8/CXCR1軸は、そのように乳腺幹細胞増殖または自己再生を制御するように思われる。内皮および間質細胞はIL8を分泌するので、このケモカインは、腫瘍幹細胞と腫瘍微小環境との間で媒介作用の役割を果たすと思われる。
【0225】
最新の研究は、CSCの制御におけるインターロイキン/ケモカインの役割を示唆している(55、56)。これは、乳房CSCのIL6および結腸CSCの化学療法抵抗性を媒介するIL4の役割を含む(56〜59)。これらの因子は、炎症と癌の間の関係に関わるかもしれない。これはまた、間葉幹細胞によって分泌されたケモカインであるCCL5(RANTES)の役割を含み、それはパラ分泌因子として働き、乳癌細胞運動性、浸潤、および転移を増強する(55)。
【0226】
転移の根。CSCは、腫瘍転移の媒介に関与しているかもしれない。CSCと転移とのリンクは、比較上の転移のプロファイルを使用して生成された11遺伝子シグネチャーの幹細胞遺伝子および前立腺癌の遺伝子組み換えマウスモデルおよび癌患者(60)内の第1の腫瘍の同定でまず示唆された。このシグネチャーは、様々な癌タイプの疾患再発、療法後の死亡、および遠隔転移の強力な予測因子でもあった。この実施例は、ALDEFLUOR陽性細胞は、ALDEFLUOR陰性細胞より多く転移し、過去に腫瘍転移の役割を果たすと報告されていたIL8は、選択的にIL8受容体CXCR1を発現する癌幹細胞の浸潤および走化性を促進することを証明した。細胞株から転移癌幹細胞を単離する能力は、腫瘍転移を媒介する癌幹細胞によって分子機構の研究を促進せねばならない。
【0227】
(実施例2)
CXCR1抑制および併用療法
この実施例は、CXCR1抑制、ならびに抗有糸分裂剤(ドセタキセル)を併用するCXCR1抑制を併用した場合の腫瘍細胞上の効果をテストするために採用された種々の方法を記載する。
【0228】
細胞成長およびSUM159細胞株のALDEFLUOR陽性集団上のCXCR1抑制効果
SUM159細胞株は、付着条件で培養され、CXCR1/CXCR2阻害剤レペルタキシンまたはCXCR1またはCXCR2のための2つの特定の遮断抗体を使用して細胞を処理された。治療法の4日後、細胞成長への影響はMTT検定(
図5A)を使用して、癌幹細胞集団への影響はALDEFLUOR検定(
図5B)を使用して分析された。細胞成長抑制の95%以上が、レペルタキシンまたはCXCR1遮断抗体で処置された細胞で観察され、CXCR2遮断抗体で処置された細胞では何の効果も観察されなかった(
図5A)。興味深いことに、同様の効果が、レペルタキシンおよびCXCR1遮断抗体のそれぞれで処置された細胞のALDEFLUOR陽性集団の80%および50%低下したALDEFLUOR陽性集団上で観察された(
図5B)。
【0229】
レペルタキシン治療法は、FAS/FASリガンドのシグナル伝達によって媒介されたバイスタンダー効果を誘導する
SUM159細胞株細胞は、付着条件で培養されて、レペルタキシン単独で、またはFAS拮抗薬との併用で処置された。興味深いことに、レペルタキシン処置によって誘導された細胞成長抑制は、FAS拮抗薬(BD pharmingen(cat#556371)からの抗/Fasリガンド)の追加によって部分的に救助された。さらに、FAS作用薬で処置された細胞は、レペルタキシンで処置された細胞よりも同様の細胞成長抑制を示した。これらの結果は、レペルタキシン治療法が、FAS/FASリガンドのシグナル伝達によって媒介されるバイスタンダー効果を誘導することを示唆する。
【0230】
FAK、AKT、およびFOXOA3活性へのレペルタキシン治療法の効果
CXCR1下流シグナル伝達上のレペルタキシン治療法の効果を評価するために、SUM159細胞は、レペルタキシン100nMの存在の有無の付着条件で2日間培養され、抗体剤p−FAK、p−AKT、およびFOXOA3に対する抗体で免疫蛍光によって染色された。無処置の細胞(
図7A)において、p−FAKを発現する細胞の30%およびp−AKTを発現する細胞の10%が、不活性化を示した一方で、レペルタキシン処置された細胞が、p−FAKおよびp−AKTの完全な不活性化を示した(
図7B)ことが検出された。無処置のSUM159細胞は、FOXOA3の細胞質内で細胞陽性の80%を表した。興味深いことに、レペルタキシン処置されたSUM159細胞は、FOXOA3の核内の細胞陽性の80%を表した。細胞質から核へのFOXOA3細胞局在の変更は、FOXOA3タンパク質の活性を示す。
【0231】
レペルタキシン、ドセタキセル、またはその併用での治療法に続く腫瘍成長曲線
レペルタキシン、ドセタキセル、またはその併用の効果は、1つの乳癌細胞株(8A、SUM159)および異なる患者(8B、MC1;8C、UM2;および8D、UM3)から生成された3つの人間乳癌異種移植片を使用して評価された。試料のそれぞれで、50,000細胞は、腫瘍サイズを観察されるNOD−SCIDマウスの乳房脂肪体に注射された。腫瘍サイズが約4mmの時に、注射が開始された。レペルタキシンは、1日2回28日間または一週間に1度注射され(15mg/Kg)、ドセタキセルの腹腔内注射(10mg/Kg)、またはその併用(レペルタキシン/ドセタキセル)が採用された。
図8は、示された治療法(矢印は、治療法の開始)の事前、経過中の腫瘍サイズを示す。ドセタキセル単独で、またはレペルタキシン/ドセタキセルと併用で処置されたときに、対照に比較して(p<0.01)、それぞれの試料(SUM159、MC1、UM2、UM3)で統計的に優位な腫瘍サイズの縮小という、同様の結果が観察されたが、対照の腫瘍とレペルタキシン単独で処置された腫瘍の成長との間には違いが観察されなかった。
【0232】
ALDEFLUOR検定により評価される、癌幹細胞集団におけるレペルタキシン、ドセタキセル、またはそれらを併用した治療法の効果
ALDH活性は、レペルタキシン、ドセタキセル、またはその併用で処置されたそれぞれの腫瘍(9A。SUM159、9B。MC1、9C。UM2、9D。UM3)の癌幹細胞集団サイズを分析するALDEFLUOR検定によって評価された。同様の結果が、それぞれの試料で観察される。ドセタキセル処理の腫瘍異種移植片は、対照に比較して、ALDEFLUOR陽性細胞の同一または高い割合を示し、レペルタキシン治療法単独で、またはドセタキセルとの併用で、対照に比較して、統計的に有意な減少である、癌幹細胞内のALDEFLUOR陽性細胞の65%〜85%の減少を生じさせた(p<001)。
【0233】
第2のマウスの移植により評価される、癌幹細胞集団におけるレペルタキシン、ドセタキセル、またはそれらを併用した治療法の効果
未処理(対照)、およびレペルタキシン、ドセタキセル、またはそれらの併用で処理した第1の腫瘍(10A。SUM159、10B。MC1、10C。UM2、10D。UM3)から得られた細胞の連続希釈物が、第2のNOD/SCIDマウスの乳房脂肪体内に移植された。対照およびドセタキセル処置された第1の腫瘍は、全ての希釈において第2の腫瘍を形成し、レペルタキシンまたはドセタキセルとの併用で処置されたより高い濃度の第1の腫瘍のみが、対照またはドセタキセル処理された腫瘍より著しく小さいサイズの遅延した第2の腫瘍を形成することができた(p<0.01)。さらに、1000および100個の第1の併用処置された細胞は、4中3試料で第2の腫瘍(SUM159、UM2、UM3)を形成しなかった。
【0234】
レペルタキシン治療法は、SUM159細胞株の転移能を低下させる
SUM159細胞株は、発光酵素を発現するレンチウイルスに感染させられ、250,000の発光酵素感染細胞をNOD/SCIDマウスの心臓に接種された。マウスは、2群に組織化された。2群のマウスは、心臓内の注射の12時間後に、1日に2回、28日間、生理食塩水の皮下注射またはレペルタキシンの皮下注射(15mg/kg)を処置された。転移形成は、生物発光画像法を使用して観察された(11B:生理食塩水処置されたマウス、11C:レペルタキシン処置されたマウス)。接種に続いて一週間間隔で測定された標準光子束の定量化は、レペルタキシン(11A)で処置されたマウスの群に比較して、生理食塩水で処置されたマウスの群の転移形成において、統計的に有意な増加を明らかにした。
【0235】
(実施例3)
CXCR1遮断による癌幹細胞の治療法
本実施例は、インビトロ検定およびマウスモデルの両方を通じて、腫瘍細胞におけるCXCR1抑制の効果を証明する。
【0236】
乳腺組織の解離。整復乳房形成からの正常な乳房組織100〜200gは、小刀で刻まれ、酵素的に解離され、単細胞は、マンモスフィアを生成するために懸濁液内か、細胞分化を誘導するために付着条件でコラーゲン基層上に培養された(Dontu et al. Genes Dev. 17:1253−1270、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。
【0237】
細胞培養。乳癌細胞株は、推奨された培養条件を使用して生育された(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res.69:1302−1313。参照により全体が本明細書に組み入れられる)。乳癌細胞株は、レペルタキシン(Sigma−Aldrich)、抗ヒトCXCR1マウス単クローン性の抗体(クローン42705、R&Dシステム)、抗ヒトCXCR2マウス単クローン性の抗体(クローン48311、R&Dシステム)、FASシグナル伝達作用薬として利用される抗ヒトCD95マウス単クローン性の抗体(クローンDX2、BD Pharmingen)、FASシグナル伝達拮抗薬として利用される抗ヒトFASリガンドマウス単クローン性の抗体(クローンNOK−1、BD pharmingen)、またはドセタキセル(Taxotere,Sanofi−Aventis)を使用して付着条件で処置された。
【0238】
細胞の生存。MTT検定において、細胞は、1ウェルにつき5,000細胞の96−ウェルプレートに付着条件で播種された。1日後、レペルタキシンでの治療法が、開始された。細胞生存能力上のレペルタキシン治療法の効果は、それぞれのウェルにMTT溶液(PBS内で5mg/mL)20μLを付加することで異なる時点で推定された。そして、細胞は、それぞれのウェルにDMSO50μLを付加した後、1時間37°Cで培養された。吸光度は、蛍光プレートリーダー(Spectrafluor,Tecan)において560nmで測定された。TUNEL検定において、細胞は、1ウェルにつき50,000細胞の6−ウェルプレートに付着条件で播種された。1日後、レペルタキシンでの治療法が、開始された。アポトーシスを起こした細胞の数は、治療法の4日後推定された。細胞は、3.7%ホルムアルデヒドで固定され、TACS TdTキット(R&D Systems)を利用して染色された。核は、DAPI/antifade(Invitrogen)で対比染色された。切片は、緑で検出されたアポトーシスを起こした細胞について蛍光顕微鏡(Leica,Bannockborn,IL,USA)で検査された。
【0239】
ALDEFLUOR検定。ALDEFLUORキット(StemCell technologies)は、既に記述されたように(Ginestier et al. Cell Stem Cell 1:555−567、参照により全体が本明細書に組み入れられる)、FACStarPlus(Becton Dickinson)を使用して高ALDH酵素活性を有する集団を単離するのに使用された。異種移植された腫瘍からのマウス由来の細胞を排除するために、、細胞集団は、抗H2Kd抗体(BD biosciences,1/200,20分氷上)で染色され、続いてフィコエリスリン(PE)(Jackson labs,1/250,20分氷上)で標識化された第2の抗体で染色された。
【0240】
ELISA検定。レペルタキシン処置された、またはされなかった細胞の培地において可溶性FASリガンド分泌のレベルを測定するために、ヒトsFASリガンドElisa(Bender Medsystems)が利用された。吸光度は、第1の波長として450nmを使用して分光光度計上で読み取られた。
【0241】
ウエスタンブロット法。細胞は、電気泳動用(laemmli)緩衝液に溶解され、SDSポリアクリルアミドゲル上に載せた。ブロットは、4℃で一晩または室温で2時間、TBST(0.1%Tween20および2%BSAを含む)で希釈されたそれぞれの第1の抗体で培養された。ブロットは、洗浄され、適切な第2の抗体(GE Healthcare, UK)で培養され、SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce)を使用して検出された。
【0242】
免疫染色。免疫蛍光染色において、分類されたCXCR1陽性細胞は、−20°Cで10分間、95%メタノールで固定された。細胞は、PBSで再水和され、室温で1時間、それぞれの抗体と培養された。使用された第1の抗体は、P−FAK(1:50、Cell Signaling Technology)、P−AKT(1:300、Cell
Signaling Technology)、およびFOXO3a(1:250、Cell Signaling Technology)であった。スライドは、その後洗浄され、PE接合した第2の抗体(Jackson labs)と30分間培養された。
【0243】
核は、DAPI/antifade(Invitrogen)およびカバーガラスを被せて対比染色された。切片は、蛍光顕微鏡(Leica, Bannockborn, IL, USA)で検査された。ALDH1(1:100,BD biosciences)、P−FAK、P−AKT、FOXO3a発現の検出のための免疫組織化学は、パラフィン切片(Ginestier et al. Am. J Pathol. 161:1223−1233、参照により全体が本明細書に組み入れられる)上で実施された。染色は、Histostainプラスキット(Zymed laboratories)を利用して実施された。ジアミノベンジジン(DAB)または3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)は、色素原として使用され、切片は、ヘマトキシリンで対比染色された。
【0244】
動物モデル。ALDEFLUOR陽性/CXCR1陽性およびALDEFLUOR陽性/CXCR1陰性SUM159細胞の腫瘍形成能は、NOD/SCIDマウス内で評価された(Ginestier et al. Cell Stem Cell 1:555−567、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。SUM159細胞株および3人の異なる患者(MC1、UM2、UM3)から生成された3個の第1のヒト乳癌異種移植片は、腫瘍の成長におけるレペルタキシン治療法の有効性を決定するために利用された(Ginestier et al. Cell Stem Cell 1:555−567、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。これらの腫瘍からの細胞は、インビトロ培養無しで、NOD/SCIDマウスのヒト化除去された脂肪パッド内で同所的に移植された。脂肪パッドは、既に記載されたように調整された(Ginestier et al. Cell Stem Cell 1:555−567、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。それぞれの異種移植片からの50,000細胞は、NOD/SCIDマウスのヒト化脂肪パッドに注射され、腫瘍の成長を観察された。腫瘍サイズがおおよそ4mmの時に、レペルタキシン単独(皮下注射、15mg/Kg、1日2回、28日間)、ドセタキセル単独(腹腔内、10mg/Kg、1週間に1回、4週間)、併用で(レペルタキシン/ドセタキセル)の治療、または生理食塩水を注射された対象群(腹腔内を1週間に1回および皮下注射を1日2回)が、開始された。腫瘍の壊死を避けるため、および研究における脊椎動物の使用のための規制に従い、腫瘍が最大直径でおおよそ1.5cmの時、動物は安楽死させられた。注射された脂肪パッドそれぞれの部分は、組織学分析のために、ホルマリンで固定され、パラフィンに埋め込まれた。腫瘍細胞の残りは、第2のNOD/SCIDマウスに再移植された。細胞の連続希釈物は、それぞれ処置された腫瘍に10,000、1,000、および100細胞を注射して再移植するために利用された。
【0245】
足場非依存性培養。レペルタキシン(100nM)、抗CXCR1抗体(10μg/mL)、または抗CXCR2(10μg/mL)で付着条件で処置されたBCLは、解離され、低密度(5000生存細胞/mL)で、極低付着プレート(Corning,Acton,MA)に単細胞としてプレーティングされた。細胞は、既に記載のように成育された(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。第1の腫瘍球の解離後に続く培養は、5,000生存細胞/mLの密度で、極低付着プレートにプレーティングされた。腫瘍球を形成する細胞の能力は、第1の(第1の腫瘍球)および第2の(第2の腫瘍球)継代の後、定量化された。
【0246】
RNA抽出およびqRT−PCR。SUM159細胞が処置された後、総RNAは、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を使用して単離され、ABI PRISM(商標登録)7900HT配列検出システムのリアルタイム定量RT−PCR(qRT−PCR)検定のために利用された。Taqmanシステムのためのプライマーおよびプローブは、Applied Biosystemsウェブサイトから選択された(www
dot appliedbiosystems dot com)(FASリガンド検定ID:Hs_00899442_mi;IL8検定ID:Hs_00174103_mi,TBP検定ID:Hs_00427620_mi)。FASリガンドおよびIL8の相対発現mRNAレベルは、既に記載のように、RNAの質および入力cDNA量の変化を標準化するために、内部標準TBP遺伝子に関してコンピュータ計算された(Ginestier et al. Clin. Cancer Res.12:4533−4544、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。
【0247】
フローサイトメトリー分析。CD44/CD24/Lin染色法が実行された(Ginestier et al. Cell Stem Cell 1:555−567、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。CD95/FAS染色法は、抗CD95標識APC(1:20,BD biosciences)を使用して実行された。CXCR1およびCXCR2染色法において、第1の抗体抗CXCR1(1:100、クローン42705、R&D Systems)および抗CXCR2(1:100、クローン48311、R&D Systems)に続いて、PE(希釈度1:250,Jackson Labs)で標識化された第2の抗体抗マウスで染色法が行われた。新鮮な細胞は、5分間、1μg/mL PI(Sigma)で、生存性のために染色された。
【0248】
ウイルス感染。2つの異なるレンチウイルス構築物は、ルシファラーゼ遺伝子(レンチLUC−VSVG)(Charafe−Jauffret et al. Cancer
Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)の発現およびPTEN発現(レンチPTEN−siRNA−DsRed)(Korkaya et al. PLoS Biolog. 7:e1000121、参照により全体が本明細書に組み入れられる)の抑制のために、それぞれ産生された。全てのレンチウイルス構築物は、ミシガン大学ベクターによって調製された。FAK(Ad−FAK−GFP)の過剰発現用のアデノウイルス構築物も、利用された(Luo et al. Cancer Res. 69:466−474、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。異なるベクターでの細胞感染は、既に記載のように実行された(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。感染の効率性は、DsRedまたはGFP発現細胞の割合を測定することで検証された。
【0249】
心臓内接種。生後6週間のNOD/SCIDマウスは、2%イソフルラン/空気混合物で麻酔され、Ca2+およびMg2+欠失無菌ダルベッコPBS100μL内の250,000細胞を左心室に注射された。3細胞株(HCC1954、MDA−MB−453、およびSUM159)およびそれぞれの治療法(生理食塩水またはレペルタキシン)について、6動物が注射された。心臓内の注射の12時間後、マウスは、1日2回、レペルタキシン注射または対照には生理食塩水注射を開始された。
【0250】
生物発光検出。接種およびその後の各週の接種の前に、基準値生物発光が評価された。生物発光検出手順は、既に記載のように実行された(Charafe−Jauffret
et al. Cancer Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。標準化された光子束は、接種後の各週に検出される光子束および接種前に検出される光子束の割合を代表する。
【0251】
CXCR1発現は、癌幹細胞集団を細分する。癌幹細胞(CSC)を制御する細胞シグナル伝達経路を同定することは、細胞集団の潜在治療標的を提供する。乳房CSC制御経路に潜在的に関与する複数の遺伝子を含む遺伝子発現プロファイリンに基づく乳房CSCシグネチャーが、同定された(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。乳房CSC集団内で過剰発現した遺伝子内で、炎症性のケモカインIL−8/CXCL8を結合するCXCR1a受容体は、組み換えIL−8が、乳房CSCの自己再生を刺激したため、有望な候補であると思われた(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。フローサイトメトリーを利用して、CXCR1タンパク質発現は、ヒト乳癌細胞株HCC1954、MDA−MB−453、およびSUM159内でALDELFUOR検定によって評価されるように、乳房CSC集団内で測定された。NOD/SCIDマウス異種移植片の機能的幹細胞特性を有する細胞は、ALDEFLUOR陽性細胞集団内に含まれた(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。CXCR1陽性集団は、集団全体の2%未満を代表し、ほぼ排他的にALDEFLUOR陽性集団内に含まれた(
図12Aおよび表4参照)。
【0252】
【表21】
【0253】
CXCR2発現もまた評価された。CXCR1に比較して低い親和性であるが、CXCR2は、IL−8/CXL8も結合できる受容体である。CXCR1陽性細胞とは対照的に、CXCR2陽性細胞は、ALDEFLUOR陽性とALDEFLUOR陰性集団との間に等しく分配された(
図12A参照)。CXCR1発現にしたがって癌幹細胞集団の階層的組織を決定するために、ALDEFLUOR陽性/CXCR1陽性およびALDEFLUOR陽性/CXCR1陰性細胞集団は分類され、NOD/SCIDマウスに注射された(
図13参照)。両細胞集団は、腫瘍を生成した。腫瘍成長速度は、腫瘍形成の潜伏かつ規模ならびに注射された細胞の数に相関した。ALDEFLUOR陽性/CXCR1陽性集団によって生成された腫瘍は、連続継代において当初の腫瘍の表現型の不均一性を再構成したが、ALDEFLUOR陽性/CXCR1陰性集団は、ALDEFLUOR陽性/CXCR1陰性細胞のみを含む腫瘍を生じさせた。これらの結果は、CSC細胞階層は、CXCR1発現にしたがって組織化されることを示唆するが、しかしながら、両細胞集団が、同様の腫瘍原性の能力を示した。
【0254】
CXCR1遮断は、インビトロ乳癌幹細胞集団を低下させる。3つの異なる細胞株は、乳房CSC集団上のCXCR1遮断の効果を評価するために、レペルタキシン(100nM)、CXCR1/2阻害剤で処置された(Bertini et al. Proc.
Natl. Acad. Sci. U. S A 101:11791−11796、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。SUM159について、治療法の3日後、ALDEFLUOR陽性細胞の割合の5倍の低下が観察された(
図12B参照)。同様の効果が、抗CXCR1遮断抗体でのSUM159細胞の治療法後に観察された。対照的に、抗CXCR2遮断抗体での治療法後は何の効果も観察されず、ALDEFLUOR陽性集団上のレペルタキシン効果が、CXCR1によって媒介されたことを示唆する。
【0255】
乳腺腫瘍ならびに細胞株からのデータは、癌幹のような細胞または癌発動細胞は、懸濁液培養において「腫瘍球」として単離も増殖もされ得ることを証明する(Ponti et al. Cancer Res. 65:5506−5511、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。レペルタキシンまたは抗CXCR1遮断抗体での治療法の3日後、細胞が、脱離されて、懸濁液で培養された時、第1のおよび第2の腫瘍球形成の8倍の低下が対照に比較して観察された。対照的に、抗CXCR2遮断抗体は腫瘍球形成に何の効果も無かった(
図14参照)。
【0256】
驚くべきことに、レペルタキシンでの治療法の5日後、我々は、MTT検定で評価された細胞集団全体の生存能力において、生存可能であり続ける細胞はたった3%であるという、大規模な低下を観察した(
図12C参照)。類似の結果が、抗CXCR1遮断抗体で観察されたが、抗CXCR2遮断抗体では観察されず、よって、この効果がCXCR1遮断に依存していることを示した。レペルタキシンのこの効果は、治療法の3日後に開始する細胞生存能力の欠失で遅延された(
図15A参照)。レペルタキシン治療法は、HCC1954乳癌細胞株上に類似の効果を誘導したが、PTEN変異体を宿すMDA−MB−453細胞においては何の効果も観察されなかった(Hollestelle et al. Cancer Res. 5:195−201、参照により全体が本明細書に組み入れられる)(
図14、15B〜C、および16参照)。
【0257】
TUNEL検定を利用して、SUM159細胞は、治療法の4日後、レペルタキシンで染色され、レペルタキシン治療法後に検出された36%のアポトーシスを起こした細胞でのアポトーシスの誘導による、細胞の生存能力の大規模な低下が、観察された(
図12D参照)。結果は、CXCR1遮断が、乳房CSC集団の低下をもたらし、続いて残存する腫瘍集団全体において大規模なアポトーシスを誘導すること、を示唆する。
【0258】
CXCR1遮断は、バイスタンダー効果を通じてCXCR1陰性細胞の細胞死を誘導する。CXCR1陽性集団は総細胞集団の2%未満を表すという事実にもかかわらず、レペルタキシンまたは抗CXCR1遮断抗体が、大規模な細胞死を誘導したという観察は、CXCR1陽性細胞のCXCR1遮断は、バイスタンダー効果を通じてCXCR1陰性細胞死を誘導することを示唆した。分類されたCXCR1陽性およびCXCR1陰性集団は、レペルタキシンで処置された(
図12E参照)。レペルタキシンは、3日以内にCXCR1陽性集団の細胞生存能力を低下させたが、CXCR1陰性集団では何の効果も観察されなかった。レペルタキシンは、分離されていない細胞に大規模な細胞死を誘導した。分離されていないおよびCXCR1陽性集団の細胞生存能力におけるレペルタキシンの効果は、用量依存的であった(
図12E参照)。この結果は、バイスタンダー効果を通じてCXCR1陰性細胞死を次に誘導するCXCR1陽性集団を標的化するレペルタキシン治療法と一致している。
【0259】
この効果が、レペルタキシンによって誘導される可溶性因子によって媒介されたかどうかを決定するために、調整済みの培地は、レペルタキシン治療法の3日後にCXCR1陽性集団から収集され、分子を3.5KDaより大きく保持しながら、培地からレペルタキシンを取り除くために3.5KDa排除の膜を利用してこの培地を透析した。透析され調整済みの培地は、CXCR1陰性および分離されていない集団の両方で細胞生存能力の大規模な低下を誘導したが、CXCR1陽性集団では誘導しなかった(
図12F参照)。これらの結果は、CXCR1陽性集団内のCXCR1遮断が、可溶性がある透析不可能な因子を通じてCXCR1陰性集団に細胞死を誘導することを証明した。CXCR1陽性集団は、レペルタキシンに感受性があるが、透析可能な死亡因子に耐性がある。
【0260】
CXCR1遮断によって誘導されるバイスタンダー効果は、FASリガンド/FASシグナル伝達によって媒介される。 FASリガンド/FAS相互作用は、例えば乳腺退縮等の様々な生理学的状態、または化学療法によって誘導されるものを含む組織障害の状態で活性化される(Chhipa et al. J Cell Biochem. 101:68−79、Song et al. J Clin. Invest 106:1209−1220、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。レペルタキシンで処置したSUM159細胞の培地における可溶性FASリガンド培養のレベルは、FASリガンド/FAS相互作用のCXCR1遮断により誘導されるアポトーシスバイスタンダー効果を媒介することにおける役割を評価するためにELISA検定を使用して測定された。処置なし細胞に比較して、4日間レペルタキシンで処置された細胞培地で可溶性FASリガンドの5倍を超える増加が、観察された(
図17A参照)。FASリガンドmRNAレベルを測定することによってレペルタキシン治療法によるFASリガンドの転写制御は、RT−PCRによって確認された(
図17B参照)。レペルタキシン処理された細胞のFASリガンドmRNAレベルの4倍の増加が、処置なし細胞に比較して観察された。FASシグナル伝達を活性化するFAS作用薬での治療法後に、FASリガンドが、陽性フィードバックループを生成するFASシグナル伝達の標的であることを示すという同様の結果が観察された。フローサイトメトリーによって決定されるように、SUM159細胞の100%が、FASタンパク質を発現した。FAS作用薬でのSUM159細胞の治療法は、細胞生存能力の大規模な低下がレペルタキシン治療法で観察された殺傷効果を再産生した(
図17C参照)。細胞生存能力におけるレペルタキシン治療法の効果は、抗FASリガンド遮断抗体によって部分的に逆となり、レペルタキシンおよび抗FASリガンド抗体での治療後、レペルタキシン単独ではたった3%であったのに比較して、細胞の44%生存可能のままであった(
図17C参照)。結果は、レペルタキシンによって誘導される大規模な細胞死は、FASリガンド/FAS経路によって媒介されるバイスタンダー効果によることを示唆する。
【0261】
FAS作用薬でのSUM159細胞の治療法は、CXCR1陽性およびALDEFLUOR陽性細胞のそれぞれの割合の10倍および3倍の増加をもたらした(
図17D/Eおよび18参照)。両集団のレペルタキシンの効果は、抗FASリガンドによって救助されず(
図17D/E参照)、CXCR1陽性集団を含むALDEFLUOR陽性集団が、これらの細胞によってFASリガンド生成を次に誘導するCXCR1遮断に直接的に感受性があるが、FASリガンド/FASプロアポートシスシグナル伝達に耐性があることを示唆する。対照的に、ALDEFLUOR陰性大量細胞集団は、CXCR1を発現しないが、FASリガンド媒介細胞死に感受性がある。
【0262】
FASリガンド/FASシグナル伝達は、乳腺退縮中に重要な役割を果たす(Song
et al. J Clin. Invest 106:1209−1220、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。整復乳房形成から得られたヒト正常乳房上皮細胞におけるCXCR1遮断の効果が、検査された。乳癌細胞株で観察されるように、CXCR1陽性正常乳腺細胞は、ALDEFLUOR陽性集団内にほぼ排他的に含まれた(
図19A参照)。IL−8シグナル伝達が、正常乳腺幹/前駆機能に重要かどうかを決定するために、懸濁液中に培養された正常乳房上皮細胞は、ヒト組み換えIL−8で処置され、マンモスフィアの形成によって測定されるようにそのCSC集団の効果を決定された(Dontu et al. Genes Dev. 17:1253−1270、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。IL−8の追加は、用量依存的に第1のおよび第2のマンモスフィアの形成を増大させ(
図19B参照)、IL−8/CXCR1軸は、正常乳腺幹/前駆細胞増殖または自己再生の制御に関与するかもしれないことを示唆した。レペルタキシンまたはFAS作用薬での治療法は、高濃度のレペルタキシン(500nM)が利用された(
図16A参照)時でさえ、付着条件で培養された正常乳房上皮細胞の生存能力に何の効果もなかった。しかしながら、乳癌細胞株で観察されるように、可溶性FASリガンドの増加が、レペルタキシンで処置された正常乳房上皮細胞の培地で検出された(
図20B参照)。この観察は、これらの条件下で培養された正常な上皮細胞のFAS発現の不在によって説明されるかもしれない(
図20C参照)。これは、授乳に続く退縮プロセス中のみに、乳腺内のFASの発現が発生することを証明する研究と一致する(Song et al. J Clin. Invest 106:1209−1220、参照により全体が本明細書に組み入れられる)。正常な乳房上皮細胞の大量集団上の効果の欠失とは対照的に、レペルタキシンは、これらの細胞によるマンモスフィア形成を著しく低下させた(
図20C参照)。
【0263】
これらの結果は、IL−8/CXCR1軸が、正常なおよび悪性の乳房上皮幹細胞/前駆細胞集団の制御および生存に重要な役割を果たすことを示唆する。バイスタンダー効果を媒介するFASリガンドを通じて大量の細胞集団に作用する能力は、これらの細胞のFAS発現のレベルに関連するかもしれない。
【0264】
癌幹細胞上のCXCR1障害効果は、FAK/AKT/FOXO3A経路によって媒介される。 CXCR1は、焦点接着キナーゼ(FAK)のリン酸化反応を含むシグナル伝達経路を介して作用し、AKTの活性化をもたらす(Waugh et al.Clin.Cancer Res. 14:6735−6741.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。FAKおよびAKT活性化におけるCXCR1障害の影響を評価するために、3つの異なる細胞株において、FAKおよびAKTリン酸化タンパク質のレベルをウエスタンブロット法によって測定した。SUM159およびHCC1954に関して、レペルタキシンで治療された細胞において、未治療の細胞と比較して、FAK Tyr
397およびAKT Ser
473リン酸化反応の低下を検出し、レペルタキシン効果は、FAK/AKT経路によって媒介され得ることを示した(
図21Aおよび22を参照)。MDA−MB453がレペルタキシン治療に耐性があるという観察は、PI3K/AKT経路を活性化するPTEN変異体(919G>A)の存在によって説明され得る(Hollestelle et al. Mol. Cancer Res. 5:195−201.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。MDAMB453細胞株におけるレペルタキシン治療後、FAK Tyr
397およびAKT Ser
473リン酸化反応における修飾は検出されなかった(
図22を参照)。CXCR1障害の効果を媒介する際のFAK/AKT経路の機能的役割を確認するために、2つのウイルス構築物を使用し、一方はPTEN shRNAを介してPTEN発現をノックダウンし、もう一方はFAK過剰発現に導いた。PTENは、その脂質ホスファターゼを介して、PI3−K/AKTシグナル伝達を拮抗する(Vivanco et al.Nat.Rev.Cancer 2:489−501.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。PTENノックダウンは、AKT Ser
473リン酸化反応の増大によって証明されるように、AKT活性化をもたらした(
図21Aおよび22を参照)。PTENノックダウンは、FAKおよびAKT活性におけるレペルタキシン治療の効果を阻止した。FAK過剰発現はまた、レペルタキシンの効果を阻止し、FAK Tyr
397およびAKT Ser
473リン酸化反応の増大する発現によって測定されたFAKおよびAKTの活性化を誘発した。これらの結果は、CXCR1障害効果がFAK/AKTシグナル伝達によって媒介されることを示す。
【0265】
CXCR1陽性細胞で免疫蛍光染色を利用することは、レペルタキシン治療が、未治療の細胞と比較して、ホスホFAKおよびホスホAKT発現の劇的な減少をもたらすことを確認した(
図21Bを参照)。AKTは、リン酸化反応事象を介してフォークヘッド転写因子FOXO3Aの活性を制限し、細胞質FOXO3A隔離をもたらす(Brunet et al.Mol.Cell Biol. 21:952−965.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。対照的に、FOXO3Aの非リン酸化型は、FASリガンドの合成を制御する転写因子の機能を果たす核に移行する(Jonsson et al.Nat.Med.11:666−671.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。レペルタキシンは、FASリガンドが媒介するバイスタンダー効果を介して細胞死を誘発し、このシグナル伝達経路上でのレペルタキシンの効果を、免疫蛍光染色で検査した。FOXO3Aは、未治療の細胞内の細胞質内の位置に存在したが、レペルタキシン治療時に核に往来させられた(
図21Bを参照)。これは、CXCR1障害が、FAK/AKT経路の阻害を介してFOXO3A活性を誘発することを示す。PTEN欠失またはFAK過剰発現を伴う細胞は、ホスホFAKおよびホスホAKT発現の高いレベルを示し、レペルタキシン治療および未治療の細胞の両方において免疫蛍光検査法で検出された。レペルタキシン治療は、FOXO3Aの細胞質の位置で示されるように、PTEN欠失またはFAK過剰発現を伴う細胞ではFOXO3A活性化を誘発しなかった(
図21Bを参照)。
【0266】
FAK/AKT経路の構成的活性化の結果として、PTEN欠失またはFAK過剰発現を伴う細胞は、レペルタキシン治療への耐性を示した。PTEN欠失またはFAK過剰発現を伴う細胞は、レペルタキシン治療を伴う細胞生存能力において、少しも減少を示さなかった。AKTシグナル伝達は、CSCの生物学において重要な役割を果たすと提唱されている(
図21Bおよび22を参照)(Dubrovska et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U. S A106:268−273.、Korkaya et al. PLoS Biolog. 7:e1000121.、Yilmaz et al. Nature 441:475−482.、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。阻害剤での治療後に、ALDELFUOR陽性集団の維持によって示されるように、FAK/AKT経路の活性化は、CSC集団でレペルタキシン効果を阻止した(
図21Bを参照)。全ての結果は、CXCR1障害がFAK/AKT/FOXO3A経路に直接的に影響を及ぼすことを示す。レペルタキシン治療は、CSC活性に不可欠であるAKTシグナル伝達を阻害し、続いて、CSC産生FASリガンドによって媒介されるバルク腫瘍細胞上でバイスタンダー効果を誘発する。
【0267】
レペルタキシン治療は、インビボで乳癌幹細胞集団を減少させる。 最新の知見は、胸部CSCが化学療法および放射線療法に比較的耐性があり、治療後の腫瘍再増殖に寄与し得ることを示す(Phillips et al. J Natl. Cancer Inst.98:1777−1785.、Yu et al. Cell 131:1109−1123.、Li et al. J Natl. Cancer Inst.100:672−679.、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。CSCの概念は、臨床転帰における著しい改善が、CSC集団の有効な標的化を必要とすることを示す(Reya et al. Nature 414:105−111.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。バルク腫瘍細胞が化学療法によって標的化されるとき、アポトーシスプロセス中に、いくつかの因子が合成および分泌される。これらの因子の間で、FASリガンドは、バイスタンダー殺傷効果を媒介することによって化学療法効果を増幅する(Chhipa et al. J Cell Biochem. 101:68−79. 参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。化学療法はまた、損傷細胞におけるIL−8生成を誘発し得る。一般に利用される化学療法剤、ドセタキセルは、SUM159細胞内のIL−8およびFASリガンドmRNAの両方を誘発する(
図10a/Bを参照)。我々はまた、FAS作用薬治療後に、IL−8 mRNAレベルの4倍の増加を検出した(
図10Bを参照)。我々は、IL−8がCSC集団を制御する能力があることを示した。これは、細胞毒性化学療法に対するレペルタキシンの添加が、この効果を阻止し、癌幹細胞集団を標的とし得ることを示す。
【0268】
3人の異なる患者(MC1、UM2、UM3)から生じたSUM159細胞株および3つの一次ヒト乳癌異種移植片を、腫瘍の成長においてのレペルタキシン治療の効率を調査するために使用した。これらの腫瘍からの細胞を、インビトロ培養なしで、NOD/SCIDマウスのヒト化され除去された脂肪パッド内に同所性移植した。これらの異種移植片の各々について、CSC集団は、ALDEFLUOR陽性集団内に排他的に含有された(Ginestier et al. Cell Stem Cell1:555−567.、Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313.、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。腫瘍の各々において、CXCR1陽性集団は、このALDEFLUOR陽性集団(表5を参照)内にほぼ排他的に含有され、PTEN/FAK/AKT経路は、活発化された(
図25を参照)。
【0269】
【表22】
【0270】
各異種移植片からの50,000個の細胞を、NOD/SCIDマウスのヒト化脂肪パッドに注入し、腫瘍の成長を監視した。腫瘍の大きさが約4mmであったとき、レペルタキシン単独(15mg/Kg、1日に2回、28日間)、ドセタキセル単独(10mg/Kg、1週間に1回、4週間)、または両薬物の組み合わせで治療を開始した。腫瘍の成長を、生理食塩水注入対照と比較した。各異種移植片に関して、ドセタキセル治療またはレペルタキシン/ドセタキセルの組み合わせによって誘発された腫瘍の成長の著しい阻害を観察した(
図26Aおよび27を参照)。レペルタキシン治療単独では、腫瘍の成長に中等度の影響を与えた。治療の4週間後に、動物を屠殺し、残存腫瘍をALDEFLUOR検定を利用して分析した。ドセタキセル単独で治療された残存腫瘍は、未治療の対照と比較して、不変または割合の増加したALDELFUOR陽性細胞のいずれか一方を含有した(
図26Bおよび27を参照)。対照的に、レペルタキシン治療単独またはドセタキセルとの組み合わせは、75%を超えてALDEFLUOR陽性集団を減少させた(
図26Bおよび27を参照)。結果は、異なる異種移植片におけるALDH1発現の免疫組織化学で確認された。ALDH1陽性細胞における減少は、未治療の腫瘍と比較して、レペルタキシンで治療された腫瘍内で検出され、ALDH1陽性細胞の割合は、ドセタキセル単独で治療された腫瘍において不変または増加した(
図26Dを参照)。
【0271】
これらの腫瘍内のCD44
+/CD24
−細胞の存在を評価した。マーカーが乳癌幹細胞内で発現されることが以前に示されている(Al Hajj et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S A 100:3983−3988.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。CD44
+/CD24
−表現型とCXCR1発現との間の重複部分を測定した。CXCR1陽性細胞は、CD44+/CD24−細胞集団およびCD24またはCD44陰性を発現する細胞集団内に存在した(表6を参照)。
【0272】
【表23】
【0273】
ドセタキセル単独で治療された残存腫瘍において、CD44
+/CD24
−細胞の不変または増加割合のどちらか一方を観察し、レペルタキシン治療単独またはドセタキセルとの組み合わせは、CD44
+/CD24
−細胞集団の減少をもたらした(
図28を参照)。
【0274】
治療腫瘍から二次NOD/SCIDマウスへの細胞の再移植から成る機能的なインビボ検定は、治療後、残存CSCの腫瘍開始および自己再生能力を評価する直接試験を提供した。対照またはドセタキセルで治療された動物由来の腫瘍細胞は、二次NOD/SCIDマウスにおいて、全ての希釈物で同様の腫瘍再増殖を示した。対照的に、ドセタキセル有無に関わらないレペルタキシン治療は、二次レシピエントにおける腫瘍の成長を減少させた(
図26Cを参照)。同等の数の細胞を注入したとき、レペルタキシンで治療された動物からの細胞は、対照またはドセタキセルで治療された動物からの細胞と比較して、腫瘍の成長において2〜5倍の減少を示した(
図26Cを参照)。各異種移植モデルでは、レペルタキシンおよびドセタキセルの組み合わせで治療された動物から得られた1000または100個の腫瘍細胞は、NOD/SCIDマウスにおける任意の二次腫瘍を形成しなかった(
図26C、27、および表7を参照)。これらの研究は、レペルタキシン治療が、特にCSC集団を標的化および減少させることを証明する。
【0275】
【表24】
【0276】
レペルタキシン治療は、FAK/AKTシグナル伝達を阻害し、インビボでFOXO3Aを活性化する。ホスホFAKおよびホスホAKTの発現を、治療後、異種移植片の各々において、免疫組織化学で検査した。膜状ホスホFAK発現を、対照およびドセタキセルで治療された腫瘍からの細胞の50%で検出した一方、ホスホFAK発現は、レペルタキシン単独またはドセタキセルとの組み合わせで治療された腫瘍内で破壊された(
図26Dを参照)。未治療の腫瘍でホスホAKTを発現する70%の細胞、ドセタキセルで治療された腫瘍内の20%のホスホAKT陽性細胞、およびレペルタキシン単独またはドセタキセルとの組み合わせで治療された腫瘍におけるホスホAKT発現の完全阻害を用いて、ホスホAKT発現に対して、同様の結果が観察された(
図26Dを参照)。細胞核のFOXO3Aは、ドセタキセル単独、レペルタキシン単独、およびレペルタキシン/ドセタキセルの組み合わせで治療された腫瘍からの細胞内で検出された。これらのインビボデータはインビトロデータと一致し、レペルタキシン治療がFAK/AKTシグナル伝達を阻害し、FOXO3Aを活性化することを確認する。
【0277】
レペルタキシン治療は、全身転移の進行を減少させる。レペルタキシンが全身転移を減少させるかを決定するために、HCC1954、MDA−MB−453、およびSUM159乳癌細胞株を、発光酵素レンチウイルスレポーターシステムで感染させ、その細胞を心腔内注射でNOD/SCIDマウス内に導入した。各細胞株に対して250,000個の細胞の懸濁液を注入し、転移形成を生物発光イメージングで1週間に1回観察した。心腔内注射の12時間後、対照のために、マウスをレペルタキシン注入または生理食塩水で、1日に2回治療した。HCC1954およびSUM159細胞を注入されたマウスにおけるレペルタキシン治療は、未治療のマウスと比較して、治療されたマウスにおいて、光子束の低放射で転移形成を著しく減少させた(
図29A/Bを参照)。組織学的切片は、未治療の動物のいくつかの部位で、転移の存在を確認した(
図29Dを参照)。レペルタキシン治療は、MDA−MB−453細胞を注入されたマウスにおいて、転移形成に少しも効果を有さなかった(
図29Cを参照)。光子束の放射および転移が進行した動物の数は、レペルタキシン治療および未治療群の両方において類似した。この結果は、PTEN変異体の存在により、レペルタキシンに耐性がある細胞株としてMDA−MB−453を説明したデータと一致した。これらの結果は、レペルタキシン等の薬剤を伴うCXCR1障害が、CSC集団によって媒介される転移を減少させることができ得ることを示す(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0278】
本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、幹細胞特性をもつ細胞小成分が腫瘍の成長および転移を駆動することを示す(Visvader et al.Nat.Rev.Cancer8:755−768.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。現在の治療法に対するそれらの相対抵抗のおかげで、これらの細胞は、治療抵抗および再発に寄与し得る(Reya et al. Nature 414:105−111.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本発明は、癌幹細胞集団を効果的に標的化し、治療結果を改善するために、乳癌幹細胞上で発現されるCXCR1サイトカイン受容体を阻止することに基づくアプローチを提供する。多くのシステムでの本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、サイトカインネットワークが、腫瘍形成において重要な役割を果たすことを証明している。これらのサイトカインのいくつかは、幹細胞行動を制御し得るという証拠が存在する。IL−4は、膵臓癌幹細胞の自己再生を制御する能力があり、IL−6は、結腸癌および乳癌において癌幹細胞を制御する能力がある(Todaro et al. Cell Stem Cell1:389−402.、Sansone et al. J Clin. Invest 117:3988−4002.、参照により本明細書に組み込まれる)。腫瘍浸潤および転移を媒介する際のIL−8の役割は、以前に証明されている(Waugh & Wilson. Cancer Res. 14:6735−6741.、Inoue et al. Clin. Cancer Res. 6:2104−2119.、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、IL−8は、脳内での創傷治癒中に神経幹細胞の自己再生を増進させる(Beech et al. J Neuroimmunol. 184:198−208.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。肺癌幹細胞は、ケモカイン受容体CXCR1を発現するとして説明された(Levina et al.PLoS.ONE.3:e3077.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、CXCR1陽性集団が、乳癌細胞株および一次異種移植片、ならびに正常な乳腺細胞におけるALDEFLUOR陽性集団内に、ほぼ排他的に含有されることを証明した。ケモカイン受容体は、ALDEFLUOR陽性の乳癌細胞集団内で過剰発現される(Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。乳癌において、IL−8は、炎症細胞、血管内皮細胞、腫瘍に関連する繊維芽細胞、および間葉幹細胞を含む多くの細胞型によって、腫瘍内微小環境で産生される(Waugh et al.Clin.Cancer Res. 14:6735−6741.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。サイトカインネットワークは、これらの細胞型の間の相互作用を媒介し、したがって、癌幹細胞を、IL−8受容体CXCR1の障害を介して標的化することができる。
【0279】
インビトロ検定を利用することによって、CXCR2(代替IL−8受容体)ではなくCXCR1障害が、乳癌幹細胞集団を減少させたことが証明された。これには、CXCR1発現を欠如する全体の残存細胞集団におけるアポトーシスの誘発が続いた。CXCR1遮断抗体に加えて、実施形態の開発中に行われた実験は、レペルタキシン、CXCR1/2阻害剤は、CXCR1陽性集団を標的化することによって同様の効果を誘発したことを証明する。CXCR1−発現癌幹細胞集団におけるその直接的効果とは対照的に、レペルタキシンは、CXCR1発現を欠如するバルク腫瘍細胞集団上で、直接的効果を有さなかった。これは、CXCR1陽性細胞内のCXCR1障害が、バイスタンダー効果を介して、CXCR1陰性細胞内で細胞死を誘発したことを示す。本明細書に記載の実験は、FASリガンド/FAS経路がこのバイスタンダー殺傷効果の媒介物であると証明する。この現象は、CXCR1陽性集団が1%未満の細胞集団を表すという事実にもかかわらず、全細胞集団内で大規模なアポトーシスを誘発するレペルタキシン治療の有効性を説明する。FASリガンドの役割は、抗FASリガンド抗体によるバイスタンダー殺傷の効果的な阻止によって証明された。
【0280】
本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、同様のサイトカイン相互作用が、細胞毒性化学療法に曝露された腫瘍内で発生し得ることを示す。化学療法は、分化された腫瘍細胞内で細胞アポトーシスを直接的に誘発し得、ならびにFAS媒介バイスタンダー効果を介して、周囲の腫瘍細胞内でアポトーシスを次に誘発するこれらの死亡細胞によって、FASリガンドの生成を誘発し得る。FASリガンドの生成と同時に、これらの損傷細胞はまた、乳腺退縮または創傷治癒に類似する過程において、増加レベルのIL−8を分泌する。退縮乳腺の場合と同様に、このIL−8は、乳癌幹細胞を刺激し得、ならびにそれらをアポトーシスから保護し得る。これは、前臨床モデル(4)およびネオアジュバント臨床検定(5)における化学療法後に観察される癌幹細胞における相対的増加に寄与し得る。腫瘍内のアポトーシスおよび自己再生経路における化学療法の効果は、
図30に示される。
【0281】
CXCR1障害がインビボで乳癌幹細胞を標的化できるかを決定するために、細胞毒性薬ドセタキセルの効果を、癌幹細胞コンパートメントにおける、およびNOD/SCIDマウスでの腫瘍の成長における、レペルタキシンと比較した。ドセタキセルは、乳癌を有する女性を治療するために現在使用される最も効果的な化学療法剤の1つである。癌幹細胞集団を、ALDEFLUOR検定で、およびNOD/SCIDマウスにおける連続移植で評価した。これらの検定を利用して、化学療法治療単独が、癌幹細胞集団において、不変または相対的増加のいずれかをもたらすと決定された。対照的に、レペルタキシン治療単独または化学療法と併用のレペルタキシン治療は、癌幹細胞集団を著しく減少させた。腫瘍開始集団における著しい減少にもかかわらず、レペルタキシン単独の使用は、腫瘍の著しい縮小をもたらさなかった。化学療法とレペルタキシンの組み合わせは、腫瘍の大きさ、ならびに癌幹細胞集団における著しい減少をもたらした。癌幹細胞およびバルク腫瘍細胞集団の両方を標的化するためにこれらの薬剤を併用することは、これらの治療法の有効性を最大化する。
【0282】
レペルタキシンの作用機構を解明するために、CXCR1からの下流の経路を分析した。CXCR1、FAK、およびAKTの間の相互作用が確認された。CXCR1障害は、特にFAKおよびAKT活性化を介して作用する。本発明の実施形態の開発中に行われた実験は、AKT活性化が、WNT経路の活性化をもたらすGSK3βのリン酸化反応を介して、正常および悪性乳腺幹細胞の自己再生を制限することを示す(Korkaya et al. PLoS Biolog. 7:e1000121、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。これらの結果は、なぜPTENノックダウンを伴う細胞がレペルタキシンに耐性があるかを示す。AKTの追加機能は、フォークヘッド転写因子FOXO3Aのリン酸化反応を介する細胞生存の制御である。FOXO3AのAKTリン酸化反応は、その細胞質隔離をもたらす。対照的に、CXCR1障害は、核内のFOXO3Aの転位をもたらすAKT活性化の減少に導き、そこで、それはFASリガンドを含む多くの遺伝子を誘発する(Jonsson et al.Nat.Med.11:666−671.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。次にCXCR1障害を介して誘発されるFASリガンドは、観察されるバイスタンダー殺傷効果の原因となる(
図30を参照)。
【0283】
CXCR1シグナル伝達におけるその役割に加えて、FAKは、インテグリン受容体を介して、細胞外基質成分を伴う細胞の相互作用を媒介する(Waugh et al.Clin.Cancer Res. 14:6735−6741.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。FAKシグナル伝達は、遺伝子導入モデルにおいて、正常および悪性マウス乳腺幹細胞の自己再生を制御する役割を果たす(Luo et al. Cancer Res. 69:466−474.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。FAK活性化はまた、FADDおよびRIP媒介アポトーシスを阻止することによって細胞生存を促進する(Kurenova et al.Mol.Cell Biol. 24:4361−4371.、Xu et al. J Biol.Chem.275:30597−30604.、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。これは、FAS/FASリガンド誘発アポトーシスに対する癌幹細胞集団の抵抗に対する説明を提供する。
【0284】
乳癌幹細胞は、腫瘍浸潤および転移において重要な役割を果たすことが証明されている(Croker et al. J Cell Mol.Med.2008、Charafe−Jauffret et al. Cancer Res. 69:1302−1313.、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。IL−8およびCXCR1はまた、これらの過程においても重要な役割を果たすことが本明細書に示される。CXCR1障害の効果を、実験的転移の形成においてレペルタキシンを利用して分析した。CXCR1障害は、乳癌細胞の心腔内注射の後に投与されるときに、転移の進行を減少させることが証明された。
【0285】
レペルタキシンを利用する臨床研究は、毒性の欠如を証明している。IL−8およびCXCR1等のサイトカイン制御ループを妨害することを図る戦略は、乳癌幹細胞を標的化するための方法を示す。
【0286】
〔参考文献〕
次の参考文献は、本明細書に完全に示しているかのように、参照により全体が本明細書に組み入れられる。
1. Hanahan D and Weinberg R A. The hallmarks of cancer. Cell 2000; 100: 57−70.
2. Neve R M, Chin K, Fridlyand J et al. A collection of breast cancer cell lines
for the study of functionally distinct cancer subtypes. Cancer Cell 2006; 10: 515−527.
3. Bonnet D and Dick J E. Human acute myeloid leukemia is organized as a hierarchy that originates from a primitive hematopoietic cell. Nat.Med. 1997; 3: 730−737.
4. Glinsky G V. Stem cell origin of death−from−cancer phenotypes of human prostate and breast cancers. Stem Cell Rev. 2007; 3: 79−93.
5. Jaiswal S, Traver D, Miyamoto T, Akashi K, Lagasse E, and Weissman I L. Expression of BCR/ABL and BCL−2 in myeloid progenitors leads to myeloid leukemias. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2003; 100: 10002−10007.
6. Krivtsov A V, Twomey D, Feng Z et al.
Transformation from committed progenitor to leukaemia stem cell initiated by MLL−AF9. Nature 2006; 442: 818−822.
7. Christgen M, Ballmaier M, Bruchhardt H, von Wasielewski R, Kreipe H, and Lehmann U. Identification of a distinct side
population of cancer cells in the Cal−51 human breast carcinoma cell line. Mol.Cell Biochem. 2007; 306: 201−212.
8. Fillmore C M and Kuperwasser C. Human
breast cancer cell lines contain stem−like cells that self−renew, give rise to phenotypically diverse progeny and survive chemotherapy. Breast Cancer Res. 2008; 10: R25.
9. Kondo T, Setoguchi T, and Taga T. Persistence of a small subpopulation of cancer stem−like cells in the C6 glioma cell line. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2004; 101: 781−786.
10. Setoguchi T, Taga T, and Kondo T. Cancer stem cells persist in many cancer cell lines. Cell Cycle 2004; 3: 414−415.
11. Patrawala L, Calhoun T, Schneider−Broussard R, Zhou J, Claypool K, and Tang D G. Side population is enriched in tumorigenic, stem−like cancer cells, whereas ABCG2+ and A. Cancer Res. 2005; 65: 6207−6219.
12. Chute J P, Muramoto G G, Whitesides J et al. Inhibition of aldehyde dehydrogenase and retinoid signaling induces the
expansion of human hematopoietic stem cells. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2006; 103: 11707−11712.
13. Duester G. Families of retinoid dehydrogenases regulating vitamin A function: production of visual pigment and retinoic acid. Eur.J Biochem. 2000; 267: 4315−4324.
14. Cheung A M, Wan T S, Leung J C et al. Aldehyde dehydrogenase activity in leukemic blasts defines a subgroup of acute
myeloid leukemia with adverse prognosis
and superior NOD/SCID engrafting potential. Leukemia 2007; 21: 1423−1430.
15. Corti S, Locatelli F, Papadimitriou D et al. Identification of a primitive brain−derived neural stem cell population
based on aldehyde dehydrogenase activity. Stem Cells 2006; 24: 975−985.
16. Pearce D J, Taussig D, Simpson C et al. Characterization of cells with a high aldehyde dehydrogenase activity from cord blood and acute myeloid leukemia samples. Stem Cells 2005; 23: 752−760.
17. Ginestier C, Hur M H, Charafe−Jauffret E et al. ALDH1 Is a Marker of Normal and Malignant Human Mammary Stem Cells and a Predictor of Poor Clinical Outcome.
Cell Stem Cell 2007; 1: 555−567.
18. Dontu G, Abdallah W M, Foley J M et al. In vitro propagation and transcriptional profiling of human mammary stem/progenitor cells. Genes Dev. 2003; 17: 1253−1270.
19. Irizarry R A, Hobbs B, Collin F et al. Exploration, normalization, and summaries of high density oligonucleotide array probe level data. Biostatistics. 2003; 4: 249−264.
20. Charafe−Jauffret E, Ginestier C, Monville F et al. Gene expression profiling
of breast cell lines identifies potential new basal markers. Oncogene 2006; 25:
2273−2284.
21. Finetti P, Cervera N, Charafe−Jauffret E et al. Sixteen−kinase gene expression identifies luminal breast cancers with poor prognosis. Cancer Res. 2008; 68: 767−776.
22. Eisen M B, Spellman P T, Brown P O, and Botstein D. Cluster analysis and display of genome−wide expression patterns.
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 1998; 95: 14863−14868.
23. Reiner A, Yekutieli D, and Benjamini
Y. Identifying differentially expressed
genes using false discovery rate controlling procedures. Bioinformatics. 2003; 19: 368−375.
24. Hua J, Balagurunathan Y, Chen Y et al. Normalization benefits microarray−based classification. EURASIP.J Bioinform.Syst.Biol. 2006; 43056.
25. Ginestier C, Cervera N, Finetti P et
al. Prognosis and gene expression profiling of 20q13−amplified breast cancers. Clin.Cancer Res. 2006; 12: 4533−4544.
26. Ponti D, Costa A, Zaffaroni N et al.
Isolation and in vitro propagation of tumorigenic breast cancer cells with stem/progenitor cell properties. Cancer Res.
2005; 65: 5506−5511.
27. Ringe J, Strassburg S, Neumann K et al. Towards in situ tissue repair: human
mesenchymal stem cells express chemokine receptors CXCR1, CXCR2 and CCR2, and migrate upon stimulation with CXCL8 but not CCL2. J Cell Biochem. 2007; 101: 135−146.
28. Hughes L, Malone C, Chumsri S, Burger A M, and McDonnell S. Characterisation
of breast cancer cell lines and establishment of a novel isogenic subclone to study migration, invasion and tumourigenicity. Clin.Exp.Metastasis 2008.
29. Itoh Y, Joh T, Tanida S et al. IL−8 promotes cell proliferation and migration through metalloproteinase−cleavage proHB−EGF in human colon carcinoma cells. Cytokine 2005; 29: 275−282.
30. Gupta G P, Perk J, Acharyya S et al.
ID genes mediate tumor reinitiation during breast cancer lung metastasis. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2007; 104: 19506−19511.
31. Li F, Tiede B, Massague J, and Kang Y. Beyond tumorigenesis: cancer stem cells in metastasis. Cell Res. 2007; 17: 3−14.
32. Al Hajj M, Wicha M S, Benito−Hernandez A, Morrison S J, and Clarke M F. Prospective identification of tumorigenic breast cancer cells. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2003; 100: 3983−3988.
33. Li C, Heidt D G, Dalerba P et al. Identification of pancreatic cancer stem cells. Cancer Res. 2007; 67: 1030−1037.
34. Ricci−Vitiani L, Lombardi D G, Pilozzi E et al. Identification and expansion
of human colon−cancer−initiating cells.
Nature 2007; 445: 111−115.
35. Montanaro F, Liadaki K, Schienda J, Flint A, Gussoni E, and Kunkel L M. Demystifying SP cell purification: viability, yield, and phenotype are defined by isolation parameters. Exp.Cell Res. 2004; 298: 144−154.
36. Stingl J, Eirew P, Ricketson I et al. Purification and unique properties of mammary epithelial stem cells. Nature 2006; 439: 993−997.
37. Matsui W, Huff C A, Wang Q et al. Characterization of clonogenic multiple myeloma cells. Blood 2004; 103: 2332−2336.38. Farnie G and Clarke R B. Mammary stem cells and breast cancer−−role of Notch
signalling. Stem Cell Rev. 2007; 3: 169−175.
39. Krstic A, Mojsin M, and Stevanovic M. Regulation of SOX3 gene expression is driven by multiple NF−Y binding elements. Arch.Biochem.Biophys. 2007; 467: 163−173.
40. Zhu J, Zhang Y, Joe G J, Pompetti R,
and Emerson S G. NF−Ya activates multiple hematopoietic stem cell (HSC) regulatory genes and promotes HSC self−renewal.
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2005; 102: 11728−11733.
41. Raffel G D, Mercher T, Shigematsu H et al. Ott1(Rbm15) has pleiotropic roles
in hematopoietic development. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 2007; 104: 6001−6006.
42. Ma X, Renda M J, Wang L et al. Rbm15
modulates Notch−induced transcriptional activation and affects myeloid differentiation. Mol.Cell Biol. 2007; 27: 3056−3064.
43. Peiffer I, Eid P, Barbet R et al. A sub−population of high proliferative potential−quiescent human mesenchymal stem cells is under the reversible control of
interferon alpha/beta. Leukemia 2007; 21: 714−724.
44. Villadsen R, Fridriksdottir A J, Ronnov−Jessen L et al. Evidence for a stem cell hierarchy in the adult human breast. J Cell Biol. 2007; 177: 87−101.
45. Hambardzumyan D, Becher O J, and Holland E C. Cancer stem cells and survival
pathways. Cell Cycle 2008; 7.
46. Jagani Z and Khosravi−Far R. Cancer stem cells and impaired apoptosis. Adv.Exp.Med.Biol. 2008; 615: 331−344.
47. Maxwell P J, Gallagher R, Seaton A et al. HIF−1 and NF−kappaB−mediated upregulation of CXCR1 and CXCR2 expression promotes cell survival in hypoxic prostate
cancer cells. Oncogene 2007; 26: 7333−7345.
48. Murphy C, McGurk M, Pettigrew J et al. Nonapical and cytoplasmic expression of interleukin−8, CXCR1, and CXCR2 correlates with cell proliferation and microvessel density in prostate cancer. Clin.Cancer Res. 2005; 11: 4117−4127.
49. Trentin L, Miorin M, Facco M et al. Multiple myeloma plasma cells show different chemokine receptor profiles at sites of disease activity. Br.J Haematol. 2007; 138: 594−602.
50. Varney M L, Johansson S L, and Singh
R K. Distinct expression of CXCL8 and its receptors CXCR1 and CXCR2 and their association with vessel density and aggressiveness in malignant melanoma. Am.J Clin.Pathol. 2006; 125: 209−216.
51. Freund A, Chauveau C, Brouillet J P et al. IL−8 expression and its possible relationship with estrogen−receptor−negative status of breast cancer cells. Oncogene 2003; 22: 256−265.
52. Inoue K, Slaton J W, Eve B Y et al. Interleukin 8 expression regulates tumorigenicity and metastases in androgen−independent prostate cancer. Clin.Cancer Res. 2000; 6: 2104−2119.
53. Balbay M D, Pettaway C A, Kuniyasu H
et al. Highly metastatic human prostate
cancer growing within the prostate of athymic mice overexpresses vascular endothelial growth factor. Clin.Cancer Res. 1999; 5: 783−789.
54. Kim S J, Uehara H, Karashima T, Mccarty M, Shih N, and Fidler I J. Expression of interleukin−8 correlates with angiogenesis, tumorigenicity, and metastasis of human prostate cancer cells implanted
orthotopically in nude mice. Neoplasia.
2001; 3: 33−42.
55. Karnoub A E, Dash A B, Vo A P et al.
Mesenchymal stem cells within tumour stroma promote breast cancer metastasis. Nature 2007; 449: 557−563.
56. Schafer Z T and Brugge J S. IL−6 involvement in epithelial cancers. J Clin.Invest 2007; 117: 3660−3663.
57. Todaro M, Alea M P, Di Stefano A B et al. Colon cancer stem cells dictate tumor growth and resist cell death by production of interleukin−4. Cell Stem Cell 2007; 1: 389−402.
58. Landi S, Bottari F, Gemignani F et al. Interleukin−4 and interleukin−4 receptor polymorphisms and colorectal cancer risk. Eur.J Cancer 2007; 43: 762−768.
59. Sansone P, Storci G, Tavolari S et al. IL−6 triggers malignant features in mammospheres from human ductal breast carcinoma and normal mammary gland. J Clin.Invest 2007; 117: 3988−4002.
60. Glinsky G V, Berezovska O, and Glinskii A B. Microarray analysis identifies a death−from−cancer signature predicting
therapy failure in patients with multiple types of cancer. J Clin.Invest 2005; 115: 1503−1521.
61. Golub T R, Slonim D K, Tamayo P et al. Molecular classification of cancer: class discovery and class prediction by gene expression monitoring. Science 1999;
286: 531−537。
【0287】
上記の明細書において挙げられた全ての刊行物および特許は、参照として本明細書に組み入れられている。本発明の記載された方法およびシステムの様々な改変ならびにバリエーションは、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者にとって明らかであると考えられる。本発明は、特定の好適な実施形態に関して記載されているが、主張されているような本発明が、かかる特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことは理解されるべきである。実際、関連分野の業者にとって明らかである、本発明を実施するための記載された様式の様々な改変は、本発明の範囲内であることが意図される。