特許第5909784号(P5909784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909784
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】子宮鏡検査システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/303 20060101AFI20160414BHJP
   A61B 1/307 20060101ALI20160414BHJP
   A61B 1/31 20060101ALI20160414BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A61B1/30
   A61B1/00 300B
   A61B1/00 300G
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-531779(P2013-531779)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-541998(P2013-541998A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】US2011053753
(87)【国際公開番号】WO2012044705
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月24日
(31)【優先権主張番号】12/892,355
(32)【優先日】2010年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504048135
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】ミラ・サーニー
(72)【発明者】
【氏名】セマル・シェナー−イルマコグル
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0015621(US,A1)
【文献】 特開2005−118549(JP,A)
【文献】 特開昭61−259637(JP,A)
【文献】 特表2007−508871(JP,A)
【文献】 特表2002−538889(JP,A)
【文献】 特表2008−511397(JP,A)
【文献】 米国特許第06315714(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面、および内面によって画定される内部溝を有するスコープと、
前記スコープに取り外し可能に結合され、遠位フランジが前記スコープの前記外面に向かって内側に延びる先端を有し、内面をさらに有するシースと、
前記シースの前記内面と前記スコープの前記外面との間に形成された流出溝と、
前記スコープの前記内部溝内に形成された手術用溝と、
前記手術用溝に隣接して形成された視覚化用溝とを備える子宮鏡検査システム。
【請求項2】
前記遠位フランジは非一様な形状を有する、請求項1に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項3】
前記手術用溝内に挿入される手術器具を更に備え、
前記手術器具は、回転式モルセレータ、往復式モルセレータ、および回転往復式モルセレータからなる群から選択される、請求項1に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項4】
前記視覚化用溝は、視覚化デバイスを受け入れるように構成される、請求項1に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項5】
医療手順用の子宮鏡検査システムであって、
外面、および内部溝を画定する内面を有するスコープと、
前記スコープに取り外し可能に結合され、外面および内面を有し、前記スコープの前記外面に向かって内側に延びるフランジをその遠位端に有するシースと、
前記スコープの前記内部溝内に配置され、外面および内面を有する手術部材であって、前記外面が前記スコープの前記内面から間隔を置いて配置されて視覚化用溝を形成する、手術部材とを備える子宮鏡検査システム。
【請求項6】
前記手術部材内に配置された手術器具をさらに備え、
流入流体が前記手術器具と前記手術部材の前記内面との間を流れることができる請求項5に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項7】
前記視覚化用溝内に配置された視覚化デバイスをさらに備える、請求項5に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項8】
前記シースは、その遠位端の近くに配置された複数の流出穴を有し、直径が約5.6ミリメートルである、請求項5に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項9】
外面および内面を有するスコープと、
前記スコープに取り外し可能に結合され、内面、および前記スコープの前記外面に向かって内側に延びる遠位フランジを有するシースとを備える子宮鏡検査システム。
【請求項10】
前記遠位フランジは卵形を有する、請求項9に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項11】
前記卵形は、互いに向かい合う他の2つの辺よりも、前記スコープの中心に向かって内側に、より長い距離延びる互いに向かい合う2つの辺を有する、請求項10に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項12】
前記遠位フランジは非一様な形状を有する、請求項9に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項13】
前記シースは、外径が約5.6ミリメートルであり、前記スコープの長径は約5.15ミリメートルである、請求項9に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項14】
前記シースは、前記遠位フランジの近くの複数の流出穴をさらに含む、請求項9に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項15】
前記スコープ内に挿入され、外面および内部溝を有する手術部材をさらに備える、請求項9に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項16】
前記手術部材の前記外面は概ねD字形である、請求項15に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項17】
前記手術部材の前記内部溝内に挿入された器具をさらに備える、請求項15に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項18】
前記手術部材の前記内部溝内を流れ、前記器具と前記手術部材の前記内部溝との間を流れる流体をさらに備える、請求項17に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項19】
前記スコープの前記内部溝と前記手術部材の前記外面との間に形成された視覚化用溝をさらに備える、請求項15に記載の子宮鏡検査システム。
【請求項20】
前記視覚化用溝内に挿入された視覚化デバイスをさらに備える、請求項19に記載の子宮鏡検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/892355号の優先権を主張するPCT国際特許出願である。
【0002】
本発明は、概して、子宮鏡検査システムに関し、より詳細には、オフィス環境で使用できるように小さいサイズを有する子宮鏡検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
子宮鏡検査は概して、頸部に到達する子宮鏡を使用する子宮腔の検査を指す。したがって、子宮鏡は、子宮内病変の診察を可能にし、さらに外科的処置に使用することができる。子宮鏡は通常、スコープとシースとを含む。
【0004】
いくつかの現在の子宮鏡検査システムに伴う1つの問題は、これらのシステムを手術室環境において患者にある種の麻酔を施した状態で使用しなければならないことである。麻酔は特に、現在の子宮鏡のサイズが大きく、したがって、子宮鏡が患者に不快感と痛みをもたらす恐れがあるので必要となる。たとえば、代表的な子宮鏡は、最外径が約9ミリメートルである場合がある。そのような子宮鏡は、直径が約8ミリメートルのスコープと、直径が約9ミリメートルのシースとを含む。これに対して、この主題に関する科学文献では、オフィス環境において実施可能な膣鏡検査法を使用して子宮鏡検査を実施できるのは、子宮鏡の最外径が約6ミリメートル以下であるときに限られるという点で意見の一致をみている。
【0005】
現在の子宮鏡に伴う別の問題は、子宮鏡が一般に、スコープ遠位端に尖っていないフランジを含むことである。このフランジは、スコープから外側に延び、シースおよび/またはオブチュレータなしでスコープを使用することを、不可能ではないにせよ困難にする。したがって、いくつかの現在の子宮鏡のサイズは、スコープおよびシースのサイズ、たとえば9ミリメートルの直径に限定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の問題およびその他の問題に対処するオフィス環境用の子宮鏡システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、子宮鏡検査システムは、オフィス環境において医療手順を実施することを対象としている。子宮鏡検査システムは、外面と、内面によって画定される内部溝と、遠位端とを有するスコープを含む。シースが、スコープに取り外し可能に結合され、このシースは、遠位フランジがスコープの外面に向かって内側に延びる先端を有する。シースは、内面と、遠位フランジの近くの複数の流出穴も有する。シースの内面とスコープの外面との間に流出溝が形成され、遠位フランジが、流出溝の遠位端を形成する。手術器具と流入流体のうちの少なくとも一方を受け入れる手術用溝がスコープの内部溝内に形成され、視覚化デバイスを受け入れる視覚化用溝が手術用溝に隣接して形成される。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、医療手順用の子宮鏡検査システムは、外面と内面とを有する細長い管状部材の形をしたスコープを含む。スコープの内面は、スコープの内部溝を画定する。シースは、スコープに取り外し可能に結合された細長い管状部材の形をしており、外面と内面とを有する。シースは、スコープの外面の方へ内側に延びるフランジを、シースの遠位端に有する。手術部材がスコープの内部溝内に配置され、この部材は、細長いD字形管状部材の形をしている。手術部材は、外面と内面とを有し、外面が視覚化用溝を形成するようにスコープの内面から間隔を置いて配置される。
【0009】
本発明のさらに別の態様によれば、子宮鏡検査システムは、外面および内部溝を有するスコープと、スコープに取り外し可能に結合されたシースとを含む。シースは、内面と、スコープの外面の方へ内側に延びる遠位フランジとを有する。シースの内面とスコープの外面との間に流出溝が形成され、遠位フランジがスコープとシースとの間に流出溝の遠位端を形成する。
【0010】
当業者には、以下に簡単に説明する図面を参照して行われる様々な実施形態の詳細な説明に鑑みて本発明のさらなる態様が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】子宮鏡システムの斜視図である。
図2A】子宮鏡システムの遠位端の拡大斜視図である。
図2B】子宮鏡システムの遠位端の拡大側面図である。
図2C】子宮鏡システムの遠位端の拡大端面断面図である。
図2D】子宮鏡システムの遠位端の拡大上面断面図である。
図3図2Aの遠位端に関連する寸法を示す図である。
図4】シースがスコープから取り外された子宮鏡システムの斜視図である。
図5図4の子宮鏡システムの遠位端の拡大斜視図である。
図6】子宮鏡システムの代替実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明については様々な変形形態および代替形態が可能であるが、一例として特定の実施形態が図示されており、これらの実施形態について以下に詳しく説明する。しかし、本発明が開示される特定の形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲内のすべての変形形態、均等形態、および代替形態を対象とするものである。
【0013】
図1を参照する。子宮鏡システム100は、特にシース104と、流入弁106と、流出弁108と、ライトポスト110と、モルセレータ112とを有する子宮鏡102を含む。シース104は概して、遠位端114および近位端116を有する細長い管状部材である。子宮鏡システム100は、視覚化デバイス(たとえば、視覚化デバイス124)を介して受け取られる画像を取り込むために撮像デバイス(たとえば、カメラ)に連結されたアーム117も含む。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態によれば、子宮鏡システム100は、膣鏡検査法を使用して患者の子宮に挿入できる十分に小さい直径を有するスコープおよび付属器具によって子宮病変を細切除去することを目的としている。特に、子宮鏡システム100は、一般にテナキュラおよびスペキュラが使用されないので患者の痛みを最低限に抑える方法を実現する。
【0015】
さらに、麻酔が必要とされず、医療手順をオフィス環境で実施することができる。この結果、たとえば痛みを抑制しながら迅速に手術を行い、かつ迅速に回復させることが可能になり、場合によっては手術費用を低減させることができる。子宮鏡システム100のさらに別の利点は、外科医が、患者の症状に応じて、より流量の多い器具(たとえば、シース104が結合された器具)を選択するか、それともより直径の小さい器具(たとえば、シース104が取り外された器具)を選択するかを決定できることである。
【0016】
図2Aを参照する。シース104は、概して、(シース104と同様に)遠位端114と近位端116とを有する細長い管状部材であるスコープ118に取り外し可能に結合されている。より具体的には、シース104は、スコープ118と重なり合うように滑り可能に嵌め合わされている。スコープ118は、細長いD字形管状部材の形をした手術部材120を含む。
【0017】
手術部材120は、様々な異なる器具から選択されてもよい手術器具122を内部に受け入れる。たとえば、手術器具122は、回転式モルセレータであっても、往復式モルセレータであっても、往復機能と回転機能の両方を有するモルセレータであってもよい。スコープ118は、視覚化デバイス124をさらに含む。視覚化デバイス124は、手術部材120に隣接し、様々な画像デバイスを含んでもよい。たとえば、視覚化デバイス124は、照明および画像伝送が可能なように光ファイバ技法を含んでもよい。
【0018】
連続的な流出を維持するために、複数の流出穴126がシース104の遠位端114の近くに形成されている。流入弁106(図1に示されている)は、手術部材120から延びる矢印107によって表されるように手術部材120を通した液体の流入を規制する。液体は、たとえば患者の子宮を膨張させ洗浄するのに使用される。さらに、液体は概して、流体を供給して関節腔、たとえば子宮内に実質的に一定の所定の圧力レベルを発生させるアクセスポンプから受け入れられる。流出弁108(図1に示されている)は、シース104とスコープ118との間に形成された流出溝128(図2Cに示されている)を介して流出穴126を通る液体の流出を調整する。液体の流出は、流出穴126内に延びる矢印109によって表されている。流出液体は概して、廃棄物容器に送られる。
【0019】
図2Bを参照する。シース104は、スコープ118の方へ内側に延びて流出溝128(図2Cに示されている)の閉鎖端部を形成するフランジ130を遠位端114に有する。フランジ130は、概ね卵形を有し、2対の互いに向かい合う辺130a〜130dを含む。
【0020】
図示の実施形態によれば、フランジ130の形状は非一様である。たとえば、第2の辺130bは、第1の辺130aよりも長い距離、スコープ118の中心に向けて内側に延びる。同様に、この実施形態の対称的な特徴に基づいて、第4の辺130dは、第3の辺130cよりも長い距離、スコープ118の中心に向けて内側に延びる。代替実施形態では、フランジ130は様々な形状およびサイズを有してもよい。
【0021】
図2C図2Dを参照する。シース104は外面104aと内面104bとを有し、スコープ118は外面118aと内面118bとを有する。シース104の内面104bは、内部にスコープ118および視覚化デバイス124が配置された内部溝を画定する。スコープ118の内面118bは、外側部材が配置され、したがって手術器具122が配置される内部溝を画定する。
【0022】
手術部材120は、外面120aと、内面120bと、平坦な外面120c(図2Cに明確に示されている)とを有する。平坦な外面120cは、スコープ118の内面118bから間隔を置いて配置され、視覚化デバイス124が配置される視覚化用溝132(図2Cに明確に示されている)を形成する。視覚化用溝132は、スコープ118の大きい内部溝の小さい部分に過ぎない。
【0023】
流出溝128は、シース104の内面104bとスコープ118の外面118aとの間に形成されている。スコープ118の内部溝に流入溝134が形成されている。手術器具122が取り外された場合、流入溝134は単なるスコープ118の内部溝全体である。手術器具122が所定の位置に配置された場合、流入溝134は手術器具122と手術部材120の内面120bとの間の領域に限定される。
【0024】
図3を参照する。子宮鏡検査システム100は、オフィス環境において使用できるサイズを有するように設計される。具体的には、最外径が約6ミリメートル以下になるように設計される。図示の実施形態によれば、シース104の外径D1(外面104bの直径と同じである)は約5.6ミリメートルである。たとえば、代替実施形態では、シース104の直径は5.5ミリメートルである。手術器具122(たとえば、モルセレータ)の外径D2は約2.9ミリメートルである。
【0025】
スコープ118は、長径D3が約5.15ミリメートルであり、短径D4が約4.6ミリメートルである卵形を有する。手術部材120は、曲面寸法L1が約3.1ミリメートルであり、平面寸法L2が約3.95ミリメートルである。
【0026】
子宮鏡検査システム100の寸法が比較的小さいので、患者をオフィス環境で治療することができる。概して、本子宮鏡検査システム100を使用した場合、麻酔がほとんどまたはまったく不要になるように患者に医療手順を施すことができる。明らかに、子宮鏡検査システム100の1つの利点は、このシステムが膣鏡検査法に適合するほど小さい直径を有することである。
【0027】
図4を参照する。子宮鏡検査システム100は、シース104なしでも使用可能であり、しかも診察カニューレ135(たとえば、直径が約2.9ミリメートルのカニューレ)を介して連続的な流れを供給することができる。具体的には、シース104が取り外され、スコープ118を患者、たとえば子宮に挿入することのみが可能になる。シース104を取り外すと、子宮鏡検査システム100の最外径が小さくなる。たとえば、上記に図3を参照して説明した寸法によれば、最外径は約5.6ミリメートル(外径D1)から約5.15ミリメートル(長径D3)まで小さくなる。シース104を取り外すと、上述のモルセレータ112(図1図3に示されている)または診察カニューレ135などの手術器具によって流出を可能にすることができる。
【0028】
従来のスコープと比較して、スコープ118は、その遠位端から外側に延びるフランジを有さない。従来のスコープの外側に延びるフランジは、それぞれのスコープの最外径を不必要に増大させ、突き出た遠位端を形成し、それによって、シースまたはオブチュレータなしで患者に導入するのが不可能ではないにせよ困難であった。
【0029】
図5を参照する。子宮鏡検査システムは、診察のためにシース104が取り外されたときに使用されてもよい。シース104は、主として、手術の場合に、モルセレータブレードを導入する前に視界を良くするために使用される可能性が高い。診察カニューレ135は、遠位端136を有し、診察のためにシステムの全径をより小さくするために使用される。上述の寸法によれば、シース104を取り外すことによって約0.5ミリメートル小さくすることができる。カニューレ135の別の利点は、カニューレ135を再使用可能にできることである。カニューレ135のさらに別の利点は、カニューレ135を使用して患者の診察の間に患者の子宮を膨張させ洗浄することができることである。
【0030】
カニューレ135は、連続的な流出を可能にするが、スコープ118の遠位端を越える位置まで延びることはない。たとえば、カニューレ135は、シース104が取り外されたときに取り外される流出溝128に置き換わることができる。具体的には、カニューレ135は、シース104によって形成される流出溝128に置き換わる代替流出溝138を構成する。したがって、シース104が取り外された場合でも連続的な流れを維持することができる。
【0031】
図6を参照する。子宮鏡システム100は代替として、手術部材120内に挿入されたフローデバイス140を含む。フローデバイス140は、互いに結合された部材であっても互いに別個の部材であってもよい流入管状部材142と流出管状部材144とを有する。
【0032】
管状部材142、144の遠位端は、手術部材120内のそれぞれの異なる点で終わる。流入管状部材142の遠位端がスコープ118の遠位端114の所で終わり、流出管状部材144の遠位端が、手術部材120内の遠位端114からある距離だけ離れた点で終わることが好ましい。管状部材142、144が手術部材120に沿ったそれぞれの異なる点で終わることによって、流体短絡が生じる可能性がなくなり、子宮内の循環、したがって洗浄が向上する。
【0033】
一例によれば、フローデバイス140はステンレススチールで作られ、したがって、再使用可能なデバイスであってもよい。別の例によれば、フローデバイス140は、ポリマーのようなずっと費用効果が高い材料で作られる。ポリマーを使用する場合、フローデバイス140は通常、使い捨てデバイスであると考えられる。
【0034】
実際、たとえば、外科医は、フローデバイス140を患者の子宮に導入する前に子宮鏡120の手術部材120に挿入する。子宮鏡が子宮に導入される前に、フローデバイス140の流入弁146が開き、子宮を膨張させる。次いで、フローデバイス140の流出弁148を開くことによって、洗浄を実現する。診察手順の場合、その間フローデバイス140を所定の位置に配置したままでよい。手術手順の場合、フローデバイス140を取り外して、手術器具(たとえば、モルセレータ112)をスコープ118に挿入する。
【0035】
本発明を実施するための最良の形態について詳しく説明したが、本発明が関係する当業者には、添付の特許請求の範囲内で本発明を実施するための様々な代替設計および実施形態が認識されよう。たとえば、シース104、スコープ118、および手術器具122は、円形であっても、卵形であっても、あるいはその他の滑らかな形状(すなわち、外側に延びるフランジを有さない形状のような目立たない形状)であってもよい。別の例では、手術部材120は、円形または図示のD字形と同様の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 子宮鏡システム
102 子宮鏡
104 シース
104b 外面
106 流入弁
108 流出弁
110 ライトポスト
112 モルセレータ
114 遠位端
116 近位端
117 アーム
118 スコープ
120 手術部材
120a 外面
120b 内面
120c 平坦な外面
124 視覚化デバイス
126 流出穴
128 流出溝
130 フランジ
130a〜130d 辺
132 視覚化用溝
134 流入溝
135 診察カニューレ
138 流出溝
140 フローデバイス
142 管状部材
144 管状部材
146 流入弁
D1 外径
D2 外径
D3 長径
D4 短径
L1 曲面寸法
L2 平面寸法
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6