特許第5909786号(P5909786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909786
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】未発酵のビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20160414BHJP
   C12G 3/04 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   C12G3/04
   A23L2/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-87030(P2014-87030)
(22)【出願日】2014年4月21日
(62)【分割の表示】特願2011-157964(P2011-157964)の分割
【原出願日】2011年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-132906(P2014-132906A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2014年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100147588
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 浩司
(72)【発明者】
【氏名】金子 良輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎介
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/69027(WO,A1)
【文献】 特開2010−200662(JP,A)
【文献】 特開2007−82538(JP,A)
【文献】 特開2011−72228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
C12G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pH3.5の0.1質量%水溶液におけるNIBEMが160以上である大豆食物繊維を含む、未発酵のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項2】
ゲルろ過HPLCにより測定した平均分子量が100万以下である大豆食物繊維を含む請求項1のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項3】
大豆食物繊維の添加量が、0.03質量%以上0.3質量%以下である請求項1又は2のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項4】
pHが3以上4.5以下である請求項1から3のいずれかのノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項5】
pHが3以上4.0以下である請求項4のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項6】
アルコールと、請求項1から5のいずれかのノンアルコールビールテイスト飲料とを含有する、未発酵のビールテイスト飲料。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかのノンアルコールビールテイスト飲料にアルコールを添加する工程を有する、未発酵のビールテイスト飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未発酵のビールテイスト飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から広く親しまれている酒類(アルコール飲料)の代表例としては、ビール類(酒税法上のビールに分類されないものも含む)が挙げられる。ビール類は、代表的には、大麦のデンプンを糖化して麦汁とし、これに含まれる糖分を酵母によりアルコール発酵させることにより製造されるが、これに用いる主原料・副原料の種類・割合、発酵条件及び/又はその他の加熱・ろ過処理条件などを適宜設定することにより、製品に求められるテクスチャー(のどごし)や風味・味覚を非常にバラエティに富んだものとすることができるといった特徴がある。
【0003】
ところで、近年においては、アルコール含量を1質量%未満とすることで、酒税法上の酒類に属さない、ビールテイストを有する清涼飲料(いわゆる、ノンアルコールビールテイスト飲料)が消費者の間に広まっている。このようなノンアルコールビールテイスト飲料は、ビールテイストを楽しむために多量に摂取する場合であっても摂取される総アルコール量が低いため、水分補給に適し、且つ近年の健康指向にも沿った製品となっている(例えば、特許文献1から3参照)。このようなノンアルコールビールテイスト飲料は、一般的には、製造工程におけるアルコール発酵を抑制し(不十分なものとし)、発酵により生成されるアルコール含量を低減することにより製造されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−228753号公報
【特許文献2】特開平8−509855号公報
【特許文献3】特開平5−068528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来のビール類は主原料である麦芽と、副原料である米などと、ホップなどとを原料としてこれを発酵させたものや、豆類やトウモロコシのタンパク質分解物と、ホップなどとを原料としてこれを発酵させたものであったが、これらのビール類は発酵に伴う独特の香気や強度な苦味などが若者に敬遠され、その結果として、若者を中心にビール離れを引き起こしている。また、従来のノンアルコールビールテイスト飲料についても、不十分であるとはいえ、アルコール発酵の過程を経ているため、同様に、発酵に伴う独特の香気や強度な苦味などを有していた。
【0006】
従って、本発明は、外見ではビールのように泡があるものの、ビール類やノンアルコールビールテイスト飲料に共通の、発酵に伴う独特の香気を有さない、未発酵のビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、大豆食物繊維を含む、未発酵のビールテイスト飲料が、外見ではビールのように泡があるものの、ビール類やノンアルコール飲料に共通の、発酵に伴う独特の香気を有さないことを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第一の態様は、大豆食物繊維を含む、未発酵のビールテイスト飲料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の未発酵のビールテイスト飲料は、未発酵のものであるため、一般的なビール類やノンアルコールビールテイスト飲料に共通の、発酵に伴う独特の香気を有さない。このため、どのような素材と組み合わせても違和感がなく、調和が取れたものとなる。また、大豆食物繊維特有の香ばしい香りが付与されるため、香味を良好にし、ビールテイスト感を増強できる。
また、本発明のビールテイスト飲料は、大豆食物繊維を含むため、グラス等に注いだときにはきめ細かく、外観の良好なビール様の泡を形成でき、グラスから立ち上る泡はシャンパンのように細かく微細な泡で、その泡は直線的に立ち上るものとなる。また、ビール様の泡が口当たりを滑らかにし、更にはのど越しを付与する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
<未発酵のビールテイスト飲料>
本発明の未発酵のビールテイスト飲料は、大豆食物繊維を含む。
[大豆食物繊維]
本発明において使用可能な大豆食物繊維は、従来公知の種々の方法で得られる大豆食物繊維を使用することができる。ここで、大豆食物繊維の製造方法の例としては、豆腐、豆乳、及び分離大豆タンパク質の製造時に副産物として得られるおからや、脱脂大豆粕(ミール)を原料とし、水系の溶液中、好ましくは大豆タンパク質の等電点近辺の弱酸性域及び高温で抽出し、固液分離により食物繊維の水系溶液を得る製造方法を挙げることができる。大豆食物繊維の原料としては、油分、タンパク質が共に少ない、分離大豆タンパク質製造時のおからが好ましく、抽出時の温度も、100℃を超える温度であることが好ましい。
得られた抽出液中の大豆食物繊維は、抽出液のまま使用してもよいし、大豆食物繊維の機能をより発揮させるために精製した上で使用してもよい。大豆食物繊維を精製する方法としては、高分子ポリマーの精製方法として従来公知の精製方法を適宜使用することができる。
本発明のビールテイスト飲料に添加できる大豆食物繊維としては、大豆から得られた食物繊維であれば、特に限定されるものではないが、pH3.5の0.1質量%水溶液におけるNIBEMが160以上である条件を満たす大豆食物繊維であることが好ましい。また、後述するように、本発明のビールテイスト飲料に添加できる大豆食物繊維は、ゲルろ過HPLCにより測定した平均分子量が100万以下であることが好ましい。このような大豆食物繊維の例としては、特に限定されるものではないが、「ソヤファイブ−S−LA200」及び「ソヤファイブ−S−LN」(いずれも商品名、不二製油株式会社)を使用することができる。これらの大豆食物繊維は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0012】
大豆食物繊維の平均分子量は、ゲルろ過HPLC(カラム:TSKgel-G-5000PWXL(7.8cm×30cm、商品名、東ソー株式会社)、標準物質:プルランP-82(商品名、昭和電工株式会社)、移動相:50mM酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0)、流速:1.0mL/min)により測定した平均分子量であり、100万以下であることが好ましく、20万以上100万以下であることがより好ましく、40万以上60万以下であることが更に好ましい。また、上記大豆食物繊維の、pH3.5の0.1質量%の水溶液におけるNIBEMは、160以上であることが好ましく、170以上であることが更に好ましい。
なお、NIBEMとは、瓶又は缶に充填された20℃の水溶液を泡化させながら、二酸化炭素流量1500mL/分から1700mL/分で内径60mm、液底面からの高さ120mmの円筒形グラスに押し出して、グラスを泡で満たし、泡の崩壊によって、泡表面がグラスの上縁から10mmの面を起点にして40mmまでの間を降下する時間を、電極棒式の接触センサーで自動計測した数値を指す。
本発明のビールテイスト飲料における大豆食物繊維の含有量は、0.03質量%以上0.3質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下であることが更に好ましい。大豆食物繊維の含有量が、上記の範囲内のものであることにより、ビールテイスト飲料が、きめが細かく、泡もちのよい泡を形成可能なものとなる。
【0013】
[ホップ又は苦味料]
本発明のビールテイスト飲料は、大豆食物繊維に加えて、ホップ及び/又は苦味料を含んでいてもよい。ビールテイスト飲料が、ホップ又は苦味料を含有することにより、ビールテイスト飲料に適度な苦味が付与され、ビール様の味と風味を呈するものとなる。
本発明のビールテイスト飲料にホップを添加する場合、麦汁等の糖化された液糖溶液の、煮沸処理前に添加することが好ましい。斯かる態様で糖化された液糖溶液にホップを添加することにより、ホップの風味及び香気を液糖溶液に煮出することができる。ホップの添加量、添加態様(例えば、数回に分けて添加するなど)、及び煮沸条件等は、適宜決定することができる。また、煮沸後には、沈殿により生じたタンパク質等の粕を除去することが好ましい。
また、本発明のビールテイスト飲料に苦味料を添加する場合、苦味料は、任意の段階において添加すればよい。例えば、苦味料は麦汁等の原料溶液の糖化前に添加してもよく、液糖溶液の煮沸直前、煮沸時、煮沸後に添加しても良い。苦味料としては、ホップ由来の苦味物質、カフェイン、ゲンチアナ抽出物、ペプチド類、テオブロミン、ナリンジン、ニガキ抽出物、ニガヨモギ抽出物、及びキナ抽出物等から選ばれる従来公知の苦味料を使用することができる。
【0014】
[pH]
本発明のビールテイスト飲料は、pHが3以上4.5以下であることが好ましく、3.5以上4以下であることが更に好ましい。pHを上記の範囲内のものに調整することにより、ビールテイスト飲料の香味が良好なものとなる。
【0015】
<未発酵のビールテイスト飲料の製造方法>
次に、本発明の未発酵のビールテイスト飲料について、その一般的な製造方法を示す。本発明の未発酵のビールテイスト飲料は、基本的には、麦芽等を利用して調製される液糖溶液に大豆食物繊維を添加し、酵母により発酵させずに炭酸ガスを添加することにより製造するが、麦芽等を利用せずに調製された水溶液に大豆食物繊維を添加し、酵母により発酵させずに炭酸ガスを添加することにより製造してもよい。
まず、一般には、麦芽等の粉砕物等に、必要に応じて米やコーンスターチ等の澱粉質に温水を加えて混合・加温し、主に麦芽の酵素を利用して澱粉質を糖化させる。この液糖溶液を濾過して得られた濾液に、例えば、糖類、穀物シロップ、穀物エキス、果汁、苦味料、色素、ホップ等の副原料を加え煮沸する。なお、本発明のビールテイスト飲料の製造方法においては、ホップを添加することが好ましく、ホップは煮沸前に添加することが更に好ましい。
ホップを含む液糖溶液の煮沸条件は、100℃以上の温度で60分から90分程度とすることが好ましい。高温で一定時間煮沸することにより、ホップ中のα酸をイソα酸に変換することができる。
本発明のビールテイスト飲料に添加される大豆食物繊維は、任意の段階に添加すればよい。例えば、大豆食物繊維は麦汁等の原料溶液の糖化前に添加してもよく、液糖溶液の煮沸直前、煮沸時、煮沸後に添加しても良い。また、本発明のビールテイスト飲料の製造にあたって、ホップを添加する場合、大豆食物繊維はホップの添加時と同時に添加してもよく、ホップの添加時とは別に添加しても良い。煮沸後、ホップ粕等の沈殿物を除去し、炭酸ガスを添加して、目的のビールテイスト飲料を得る。
また、ビールテイスト飲料のpHの調整は、煮沸前に行ってもよいし、煮沸後に行ってもよい。
本発明において用いられる麦芽の粉砕物、米やコーンスターチ等の澱粉質、炭素源を含有する液糖、麦又は麦芽以外のアミノ酸含有材料としての窒素源等の原料は、特に限定されるものではなく、従来のビールテイスト飲料を製造する場合に、通常用いられるものを、通常用いられる量で用いることができる。
また、本発明のビールテイスト飲料は未発酵であるが、アルコールを添加することでアルコール飲料とすることもできる。ここで、添加できるアルコールは限定されず、例えば、原料用アルコール、ビール、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、スピリッツ等を挙げることができる。アルコールの添加量はビールテイスト飲料の最終アルコール濃度を想定して適宜調整することができる。ビールテイスト飲料に添加されるアルコールは、任意の段階で添加すればよい。
【実施例】
【0016】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
まず、本実施例及び比較例において使用した未発酵のビールテイスト飲料の原料の入手元を以下に示す。
【0017】
(大豆食物繊維)
「ソヤファイブ−S−LA200(商品名)」、「ソヤファイブ−S−LN(商品名)」、「ソヤファイブ−S−ZR100(商品名)」、「ソヤファイブ−S−DN(商品名)」、「ソヤアップR100(商品名)」、「ソヤアップM3000(商品名)」:いずれも不二製油株式会社
「SM700(商品名)」:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
【0018】
(大豆ペプチド)
「ハイニュート−AM(商品名)」、「ハイニュート−DC6(商品名)」:いずれも不二製油株式会社
(大豆サポニン)
「ソイヘルスSA(商品名)」:不二製油株式会社
(食物繊維(ポリデキストロース))
「ライテス(商品名)」、「ライテスII(商品名)」、「ライテスウルトラ(商品名)」:いずれもダニスコジャパン株式会社
(アルギン酸エステル)
「キミロイド BF(商品名)」:株式会社キミカ
「Biofoam AT(商品名)」:KERRY
(キラヤサポニン)
「キラヤニン S−100(商品名)」:丸善製薬株式会社
【0019】
<実施例1>
大豆食物繊維である「ソヤファイブ−S−LA200」を水に溶解し、0.20w/v%の水溶液を調製した。次いで、得られた大豆食物繊維の水溶液175mLと、炭酸水175mLを350mL缶に充填し、大豆食物繊維が0.10w/v%、ガス容量2.3の炭酸飲料を得た。
【0020】
<実施例2、比較例1から14>
実施例1の「ソヤファイブ−S−LA200」の代わりに、表1に記載の各素材を用いた点以外は、実施例1と同様の方法により、所定濃度の炭酸飲料を得た。各素材の添加量は、適当な泡立ちが得られる添加量とし、仮に泡立ちが得られないものについては過剰量とした。具体的な添加量は、表1に示す。
【表1】
【0021】
[評価]
上記のように調製した炭酸飲料を、一定速度で、かつ一定高さから200mlのメスシリンダーに注ぎ、起泡性、泡保持性、泡質等の泡の状態を目視で観察し、以下の評価基準により評価した。また、各炭酸飲料の透明度及び香味についても、以下の評価基準で評価した。以上の結果を表2に示す。
(泡の状態)
○:泡の状態が非常に良い
△:泡の状態がまあまあ良い
×:泡の状態が悪い
(透明度)
○:透明
△:やや濁っている
×:濁っている
(香味)
○:良い
△:まあまあ良い
×:悪い
【表2】
【0022】
表2に示すように、「ソヤファイブ−S−LA200」及び「ソヤファイブ−S−LN」を使用したビールテイスト飲料は、これらを使用していないビールテイスト飲料と比較して、泡の状態、透明度、香味ともに良好なものであった。
【0023】
<実施例3から10>
実施例1の「ソヤファイブ−S−LA200」の添加量を、表3に示したとおりに変更した点以外は、実施例1と同様に炭酸飲料を得た。
【表3】
【0024】
[評価]
上記のように調製した炭酸飲料を、一定速度で、かつ一定高さから200mlのメスシリンダーに注ぎ、起泡性、泡保持性、泡質等の泡の状態を目視で観察し、以下の評価基準により評価した。また、各炭酸飲料の透明度及び香味についても、以下の評価基準で評価した。以上の結果を表4に示す。
(泡の状態)
○:泡の状態が非常に良い
△:泡の状態がまあまあ良い
×:泡の状態が悪い
(透明度)
○:透明
△:やや濁っている
×:濁っている
(香味)
○:良い
△:まあまあ良い
×:悪い
【表4】
【0025】
表4に示されるように、大豆食物繊維を0.03質量%から0.3質量%含むビールテイスト飲料においては、泡の状態、透明度、及び香味が、特に良好となった。
【0026】
<実施例11から16>
大豆食物繊維である「ソヤファイブ−S−LA200」を水に溶解し、0.20w/v%の水溶液を調製した。これに適当量の乳酸を加え、pHを表5に示した値に調整した。次いで、得られた大豆食物繊維の水溶液175mLと、炭酸水175mLを350mL缶に充填し、大豆食物繊維が0.10w/v%、ガス容量2.3の炭酸飲料を得た。
【表5】
【0027】
[評価]
上記のように調製した炭酸飲料の香味について、以下の評価基準で評価した。以上の結果を表6に示す。
(香味)
○:良い
△:まあまあ良い
×:悪い
【表6】
【0028】
表6に示されるように、ビールテイスト飲料においてpHを3から4.5の範囲内に調整することにより、その香味が特に良好なものとなった。
【0029】
<実施例17から20、比較例15及び16>
表7記載の大豆食物繊維を水で溶解し、0.20w/v%の水溶液を調製した。これに適当量の乳酸を加えpHの値を表7記載の値に調整した。次いで、得られた水溶液175mlと炭酸水175mlを350ml缶に充填し、大豆食物繊維0.10w/v%、ガス容量2.3の炭酸飲料を得た。
以上のようにして調製された、缶に充填された20℃の炭酸飲料を泡化させながら、二酸化炭素流量1500mL/分から1700mL/分で内径60mm、液底面からの高さ120mmの円筒形グラスに押し出して、グラスを泡で満たし、泡の崩壊によって、泡表面がグラスの上縁から10mmの面を起点にして40mmまでの間を降下する時間を、電極棒式の接触センサーで自動計測した。結果を表7に示す。
【表7】
【0030】
<実施例21>
以下の表8に示す各成分を、表8に示す量で添加して、大豆食物繊維及び苦味料を含む水溶液を調製した。得られた水溶液に対して、ガス容量2.3となるように炭酸ガスを付与した。得られた炭酸飲料について、ビールらしさ、のど越し、おいしさを、以下に示す評価基準に基づいて、訓練を受けた社内パネリスト10名で官能評価した。同様の評価は、苦味料を添加していない炭酸飲料についても行った。結果を表9に示す。
(ビールらしさ)
5:ビールらしい
4:ややビールらしい
3:どちらともいえない
2:ややビールらしくない
1:ビールらしくない
(のど越し)
3:良い
2:普通
1:悪い
(おいしさ)
5:おいしい
4:ややおいしい
3:どちらともいえない
2:ややおいしくない
1:おいしくない
【表8】
【表9】
【0031】
表9に示されるように、苦味料を添加しないビールテイスト飲料も、ビールらしさ、のど越し、おいしさは良好なものであったものの、苦味料を添加したビールテイスト飲料においては、ビールらしさ、のど越し、おいしさが特に良好なものとなった。
以下、本発明の態様を示す。
1.大豆食物繊維を含む、未発酵のビールテイスト飲料。
2.pH3.5の0.1質量%水溶液におけるNIBEMが160以上である大豆食物繊維を含む上記1のビールテイスト飲料。
3.ゲルろ過HPLCにより測定した平均分子量が100万以下である大豆食物繊維を含む上記1又は2のビールテイスト飲料。
4.大豆食物繊維の添加量が、0.03質量%以上0.3質量%以下である上記1から3のいずれかのビールテイスト飲料。
5.ホップ及び/又は苦味料が添加された上記1から4のいずれかのビールテイスト飲料。
6.pHが3以上4.5以下である上記1から5のいずれかのビールテイスト飲料。
7.アルコールを添加した上記1から6のいずれかのビールテイスト飲料。