(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1コイルの第1連結部は、前記ステータコアの軸方向端面と略平行で、かつ、前記ステータコアの軸方向端面に沿って周方向に延びるように構成されている、請求項2に記載の回転電機。
前記第2コイルの前記第2折返部および前記第1屈曲部の両方が、前記第1コイルの一対の前記第1折返部と前記第1連結部とにより形成される前記凹状部内に配置されている、請求項9に記載の回転電機。
前記第3コイルの第2屈曲部は、前記第1コイルの一対の第1折返部と前記第1連結部とにより形成される前記凹状部内で、かつ、前記第2コイルの前記凹状の第1部分内に配置されている、請求項12に記載の回転電機。
前記コイルは、3相交流の各相に対応して、前記ステータコアの半径方向における前記第1折返部の長さが異なる3種類の前記第1コイルを含む、請求項15に記載の回転電機。
前記第1コイルの第1連結部は、前記ステータコアの軸方向端面と略平行で、かつ、前記ステータコアの軸方向端面に沿って周方向に延びるように構成されている、請求項19に記載の回転電機用ステータ。
前記第1コイルの一対の前記第1折返部と前記第1連結部とにより形成される凹状部内に、他の前記コイルのコイルエンドの一部が配置されている、請求項18に記載の回転電機用ステータ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図7を参照して、第1実施形態による電動機100の構成について説明する。第1実施形態では、回転電機の一例である電動機100を説明する。
【0017】
図1および
図2に示すように、電動機100は、固定部であるステータ1と、回転部であるロータ2(一点鎖線参照)とを備えている。ロータ2は、シャフト21(一点鎖線参照)と、ロータコア22(一点鎖線参照)と、図示しない複数の永久磁石とを含み、シャフト21を中心に回転可能となっている。なお、ステータ1は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0018】
ステータ1は、複数のスロット11を有するステータコア1aと、各スロットに装着された複数のコイル1bとを含んでいる。ステータコア1aは、円筒形状に形成され、内周側で半径方向Bの内側に延びる複数のティース12を有する。ティース12は、ステータコア1aの周方向Cに沿って等角度間隔で設けられており、このティース12の間の部分がスロット11である。
【0019】
第1実施形態では、電動機100は、3相のコイルが分布巻の同心巻で各スロット11に装着された3相交流の回転電機である。電動機100は、たとえば、8極、48スロットを有し、毎極毎相スロット数qが、q=2(=48/(3×8))の回転電機からなる。複数のコイル1bは、3相交流の各相に対応して、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の3種類のコイルから構成されている。
図3〜
図5に示すように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、互いに異なる形状および長さ(コイル周長)を有する。なお、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、それぞれ、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」の一例である。
【0020】
同心巻のコイル配置は、一例としては
図6に示すものである。1つのコイル1bが間隔(
図6では4スロット分)を隔てて異なる2つのスロット11を占有し、他の相の隣接する2つのコイル1bが片側ずつ、間のスロット11に配置される。このため、各コイル1bは、
図6の右側からU相コイル30、V相コイル40、W相コイル50の順で2スロットずつ配置される。
【0021】
図7に示すように、それぞれのコイル1bは、平角導線を巻き重ねて積層した扁平な帯状のエッジワイズコイルである。具体的には、平角導線は、断面における幅W1、厚みt1(W1>t1)の略長方形断面を有する。平角導線は、スロット11内で厚み方向に1列に積層されている。これにより、コイル1bは、平角導線が積層されることにより形成された積層面fと、積層方向の端面eとを有する。積層面fの積層幅W2は、平角導線の厚みt1×積層数に略等しく、端面eの幅(コイル1bの厚み)は、平角導線の幅W1に等しい。
図1に示すように、スロット11内に配置されるそれぞれのコイル1bは、ステータコア1a(スロット11)の軸方向Aの両端から軸方向に突出(露出)する部分(コイルエンド)を有する。
【0022】
次に、各相のコイルについて具体的に説明する。以下では、円筒形状のステータコア1aの軸方向Aを「軸方向」、ステータコア1aの半径方向Bを「径方向」、ステータコア1aの周方向Cを「周方向」とする。
【0023】
図1および
図3に示すように、U相コイル30は、それぞれ異なるスロット11に挿入される一対のコイル辺部31と、コイルエンドにおいて、一対のコイル辺部31から連続した一対の折返部32と、一対の折返部32を連結する連結部33とを有している。なお、コイル辺部31、折返部32および連結部33は、それぞれ、「第1コイル辺部」、「第1折返部」および「第1連結部」の一例である。また、第1実施形態では、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50それぞれにおける軸方向両端のコイルエンドは、略同一形状(軸方向に対称形状)に形成されているので、片側のコイルエンドのみを説明する。
【0024】
一対の折返部32は、同一形状を有する。具体的には、折返部32は、スロット11から軸方向に突出したコイル辺部31がコイルエンドにおいて径方向外側に略U字形状に折り返される(
図1参照)ことにより形成されている。
図6に示すように、折返部32のコア端面1cから突出高さ(最大高さ)はH1である。また、折返部32は、折返部32の先端面32aがステータコア1aの軸方向端面(以下では、コア端面1cという)の近傍の距離D1(D1<H1)の位置で、ステータコア1aと対向するように形成されている。
【0025】
図1および
図3に示すように、連結部33は、周方向に沿って延びるように形成され、コア端面1c近傍の折返部32の先端部同士を連結している。また、連結部33は、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行になるように配置されている。また、U相コイル30のコイルエンドは、径方向から見て、一対の折返部32と連結部33とからなる軸方向外側が開放された凹状部34を有する形状に形成されている。
図6に示すように、凹状部34の内部には、他のコイル(V相コイル40およびW相コイル50)のコイルエンドの一部が配置されている。
【0026】
図1および
図4に示すように、V相コイル40は、それぞれ異なるスロット11に挿入される一対のコイル辺部41を有する。また、V相コイル40は、コイルエンドにおいて、一方のコイル辺部41から連続する折返部42と、他方のコイル辺部41から連続する屈曲部43と、折返部42および屈曲部43を連結する連結部44とを有する。折返部42は、径方向外側へ略U字形状に折り返されており、屈曲部43は、径方向外側へ略S字状に折り曲げられている。なお、コイル辺部41、折返部42、屈曲部43および連結部44は、それぞれ、「第2コイル辺部」、「第2折返部」、「第1屈曲部」および「第2連結部」の一例である。
【0027】
折返部42は、U相コイル30の折返部32と同様の略U字状形状を有する。折返部32と異なり、折返部42の突出高さはH2(>H1)(
図6参照)である。なお、折返部42の突出高さH2は、略U字状形状を形成しうる高さであればよい。折返部42の先端面42a(
図4参照)は、U相コイル30の一対の折返部32と連結部33とによって形成された凹状部34の内部に配置されている。
【0028】
屈曲部43は、スロット11から軸方向に突出したコイル辺部41がコイルエンドにおいて径方向外側に略S字形状に折り曲げられることにより形成されている。具体的には、屈曲部43は、平角導線の積層方向(径方向)に沿って略90度で外折りされた後、略90度で内折りされることにより、略S字状に形成されている。したがって、屈曲部43の先端面43aは、コア端面1cとは反対側(軸方向外側)を向いている。屈曲部43の先端面43aの突出高さは、折返部42の突出高さH2と一致する。ただし、屈曲部43の先端面43aの突出高さは、高さH2と一致する必要はない。また、屈曲部43は、折返部42とは別のU相コイル30(隣接するU相コイル)の凹状部34の内部に配置されている。
【0029】
連結部44は、コア端面1c側を向いた折返部42の先端部と、コア端面1cとは反対側を向いた屈曲部43の先端部とを連結するように形成されている。
図6に示すように、連結部44は、径方向から見て、軸方向外側が開放された凹状の第1部分45と、U相コイル30の折返部32を跨ぐ凸状の第2部分46とを含む段差状形状を有する。凹状の第1部分45は、U相コイル30の凹状部34内に配置されている。凸状の第2部分46は、U相コイル30の折返部32を軸方向外側から跨ぐように形成されている。第1部分45と第2部分46との間の段差部分は、U相コイル30の折返部32およびW相コイル50の後述する屈曲部52の両方と干渉することがないように、連結部44全体の略中央に配置されている。
図1および
図4に示すように、第1部分45および第2部分46は、中央の段差部分を除き、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行で、かつ、周方向に沿って延びるように形成されている。また、
図2に示すように、連結部44は、U相コイル30の連結部33と軸方向に重なる(
図2のハッチング領域参照)ように配置されている。
【0030】
このように、V相コイル40は、折返部42と、屈曲部43と、連結部44の第1部分45とが、U相コイル30の凹状部34の内部に配置されている。このため、
図6に示すように、連結部44の凹状の第1部分45は、U相コイル30の凹状部34内に収納されるように配置されている。
【0031】
図1および
図5に示すように、W相コイル50は、それぞれ異なるスロット11に挿入される一対のコイル辺部51と、コイルエンドにおいて、一対のコイル辺部51から連続した一対の屈曲部52と、一対の屈曲部52を連結する連結部53とを有している。なお、コイル辺部51、屈曲部52および連結部53は、それぞれ、「第3コイル辺部」、「第2屈曲部」および「第3連結部」の一例である。
【0032】
一対の屈曲部52は、V相コイル40の屈曲部43と同様の略S字状形状を有する。
図6に示すように、屈曲部52の先端面52a(
図5参照)のコア端面1cからの距離は、W相コイル50の突出高さH3(>H2)と一致する。一対の屈曲部52は、それぞれ、隣接するV相コイル40の連結部44の凹状の第1部分45内に配置されている。また、凹状の第1部分45がU相コイル30の凹状部34内に収納されるように配置されていることにより、凹状の第1部分45内に配置される一対の屈曲部52は、共に、隣接するU相コイル30の凹状部34内に配置されている。
【0033】
図5に示すように、連結部53は、コア端面1cとは反対側を向いた一対の屈曲部52の先端部を連結するように形成されている。また、
図6に示すように、連結部53は、V相コイル40の連結部44の凸状の第2部分46の軸方向外側を通り、隣接するV相コイル40の凹状の第1部分45の間に跨がるように形成されている。また、連結部53は、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行で、かつ、周方向に沿って延びるように形成されている。連結部53は、
図2に示すように、U相コイル30の連結部33およびV相コイル40の連結部44と軸方向に重なる(
図2のハッチング領域参照)ように配置されている。
【0034】
以上のように、U相コイル30、W相コイル50およびV相コイル40のコイルエンドは、いずれも径方向外側に折り曲げられる(または折り返される)ことにより、径方向内側のロータ2(
図1参照)とは干渉することがないように形成されている。また、
図2のハッチング領域で示したように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の連結部33、44および53は、互いに軸方向に重なるように配置されている。第1実施形態のステータ1全体におけるコイルエンドの突出高さは、最大でH3(W相コイル50の突出高さ)(
図6参照)となる。
【0035】
第1実施形態では、上記のように、コイルエンドにおいてステータコア1aの半径方向外側へ略U字形状に折り返された一対の折返部32と、一対の折返部32を連結する連結部33と、を有するU相コイル30を設ける。これにより、U相コイル30の一対の折返部32の先端部がステータコア1aのコア端面1c側に配置されるので、連結部33をコア端面1c側に近づけることができる。その結果、U相コイル30のコイルエンドに他のコイル(V相コイル40、W相コイル50)のコイルエンドが重ねられたとしても、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを抑制することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30の折返部32を、折返部32の先端部がコア端面1cの近傍でステータコア1aと対向するように形成し、連結部33を、コア端面1c近傍の折返部32の先端部同士を連結するように形成する。これにより、連結部33がコア端面1cに近接する位置に配置されるので、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを効果的に抑制することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30の連結部33を、コア端面1cと略平行で、かつ、コア端面1cに沿って周方向に延びるように構成する。これにより、連結部33の全体がコア端面1cに近接するように配置されるので、連結部33の突出高さを小さくすることができる。
【0038】
また、第1実施形態では、上記のように、平角導線が積層されることにより形成された帯状のエッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向するようにU相コイル30の連結部33を形成する。これにより、連結部33の突出高さは、コア端面1cからの距離D1とエッジワイズコイルの厚み(端面eの幅W1)との加算分になる。帯状のエッジワイズコイルでは、幅(積層面fの積層幅W2)よりも厚み(端面eの幅W1)の方が小さくなるので、その分、連結部33の突出高さをさらに抑制することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30の折返部32を、平角導線の積層方向に沿ってステータコア1aの半径方向外側へ折り返す。これにより、矩形断面の平角導線では、積層方向または積層方向と直交する方向(矩形断面の各辺に沿う方向)に曲げ易く、斜め方向(断面の対角線方向)には曲げ難いことから、折返部32を小さい半径で容易に折り曲げることができ、折返部32の突出高さを小さくすることができる。特に、第1実施形態のように、長方形断面の短辺の延びる方向を積層方向とすることによって、積層方向により小さなU字状に折り曲げやすくなるので、より折返部32の突出高さを小さくすることができる。
【0040】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30の一対の折返部32と連結部33とによって形成される凹状部34内に、他のコイル1b(V相コイル40、W相コイル50)のコイルエンドの一部を配置する。これにより、折返部32と連結部33とによって形成されるスペース(凹状部34)に他のコイルのコイルエンドの一部を収納することができるので、スペース効率が向上し、かつ、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを効果的に抑制することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30の凹状部34内に、V相コイル40およびW相コイル50の少なくとも一方のコイルエンドの一部を配置する。これにより、ステータ1におけるコイルエンドの突出高さが大きくなるのを抑制可能な3相交流の電動機100を得ることができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、V相コイル40の折返部42および屈曲部43の少なくとも一方を、U相コイル30の凹状部34内に配置する。これにより、折返部42および屈曲部43の少なくとも一方を凹状部34によって形成されたスペースに収納することができるので、U相コイル30だけでなく、V相コイル40のコイルエンドの突出高さも大きくなるのを抑制することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、V相コイル40の折返部42および屈曲部43の両方を、U相コイル30の凹状部34内に配置する。これにより、折返部42および屈曲部43の両方を凹状部34内に収納することができるので、V相コイル40のコイルエンドの突出高さが大きくなるのをより効果的に抑制することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、V相コイル40の連結部44に、U相コイル30の凹状部34内に配置された凹状の第1部分45と、折返部32を跨ぐ凸状の第2部分46とを形成する。これにより、U相コイル30の凹状部34内にV相コイル40の第1部分45を収納することができるので、コイルエンドにおけるスペース効率を向上させることができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、W相コイル50の屈曲部52を、V相コイル40の凹状の第1部分45内に配置する。これにより、W相コイル50の屈曲部52を凹状の第1部分45内に収納することができるので、U相コイル30およびV相コイル40に加えて、さらにW相コイル50のコイルエンドの突出高さが大きくなるのを抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、W相コイル50の屈曲部52を、U相コイル30の凹状部34内で、かつ、V相コイル40の凹状の第1部分45内に配置する。これにより、U相コイル30の凹状部34内に収納されたV相コイル40の凹状のスペース(第1部分45)内に、さらにW相コイル50の屈曲部52を収納することができる。この結果、U相コイル30の凹状部34内にV相コイル40およびW相コイル50の両方のコイルエンドの一部をまとめて収納することができるので、コイルエンドの突出高さが大きくなるのをさらに効果的に抑制することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、W相コイル50の連結部53を、隣接するV相コイル40の凹状の第1部分45の間に跨がるように配置する。これにより、W相コイル50の一対の屈曲部52を、隣接するV相コイル40の第1部分45内に収納させ、連結部53によって連結することができるので、コイルエンドにおけるスペース効率を向上させることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、
図8〜
図12を参照して、第2実施形態による電動機200の構成について説明する。第2実施形態では、U相、W相およびV相の各コイルの連結部を互いに軸方向に重なるように配置した上記第1実施形態とは異なり、U相、W相およびV相の各コイルの連結部が互いに径方向に並んで配置される例について説明する。なお、電動機200は、「回転電機」の一例である。また、第2実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0049】
第2実施形態によるステータ101では、複数のコイル101bは、3相交流の各相に対応して、半径方向における折返部の長さが異なる3種類のコイルを含んでいる。具体的には、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150の3種のコイル全てについて、基本的な外形形状が上記第1実施形態のU相コイル30と共通している。そして、第2実施形態では、
図9に示すように、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150のそれぞれは、折返部132、142および152の径方向の長さが互いに異なるように形成されている。なお、ステータ101は、「回転電機用ステータ」の一例である。また、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150は、それぞれ、「第1コイル」の一例である。
【0050】
図8〜
図10に示すように、第2実施形態では、U相コイル130の折返部132は、屈曲点132aと132bとの間の直線部132cの長さがL1となるように形成されている。
図9に示すように、U相コイル130の連結部133は、3相のコイルの内、最も径方向内側(内周側)に配置されている。なお、折返部132および連結部133は、それぞれ、「第1折返部」および「第1連結部」の一例である。
【0051】
図8、
図9および
図11に示すように、V相コイル140は、折返部142の直線部142cの長さのみがU相コイル130と異なり、直線部142cの長さがL2となるように形成されている。長さL2は、少なくともエッジワイズコイルの積層面fの積層幅W2だけ、長さL1よりも大きい。V相コイル140の折返部142(直線部142c)は、U相コイル130の凹状部134内に配置されている。このため、V相コイル140は、U相コイル130の連結部133を、折返部142が径方向外側に向けて跨ぐように構成されている。これにより、
図9に示すように、V相コイル140の連結部143(
図9のハッチング部)が、U相コイル130の連結部133とは重なることなく径方向外側に配置される。なお、折返部142および連結部143は、それぞれ、「第1折返部」および「第1連結部」の一例である。
【0052】
図8、
図9および
図12に示すように、W相コイル150は、折返部152の直線部152cの長さのみがU相コイル30と異なり、直線部152cの長さがL3となるように形成されている。長さL3は、少なくともエッジワイズコイルの積層面の積層幅W2だけ、長さL2よりも大きい。W相コイル150の折返部152(直線部152c)は、U相コイル130の凹状部134内と、V相コイル140の凹状部144内との両方に渡って配置されている。このため、W相コイル150は、U相コイル130の連結部133およびV相コイル140の連結部143の両方を、折返部152が径方向外側に向けて跨ぐように構成されている。これにより、W相コイル150の連結部153が、
図9に示すように、U相コイル130の連結部133およびV相コイル140の連結部143とは重なることなく径方向外側に配置される。なお、折返部152および連結部153は、それぞれ、「第1折返部」および「第1連結部」の一例である。
【0053】
図8に示すように、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150のコイルエンドのコア端面1cからの突出高さは共通で、H21である。このため、第2実施形態のステータ101全体におけるコイルエンドの突出高さは、H21である。第2実施形態では、それぞれの連結部133、143および153が軸方向に重なることがないため、ステータ101全体におけるコイルエンドの突出高さは、上記第1実施形態のステータ1よりも小さくなる。
【0054】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0055】
第2実施形態では、上記のように、コイルエンドにおいてステータコア1aの半径方向外側へ略U字形状に折り返された一対の折返部132(142、152)と、一対の折返部132(142、152)を連結する連結部133(143、153)と、を有するU相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150を設ける。これにより、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150の一対の折返部132(142、152)の先端部がステータコア1aのコア端面1c側に配置されるので、連結部133(143、153)をコア端面1c側に近づけることができる。その結果、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを抑制することができる。
【0056】
また、第2実施形態では、上記のように、半径方向における折返部132(142、152)の長さが異なるU相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150を設け、ステータコア1aの軸方向から見て、それぞれの連結部133(143、153)を互いに重ならないように配置する。そして、半径方向外側のV相コイル140の折返部142がU相コイル130の連結部133を半径方向に跨ぎ、W相コイル150の折返部152がV相コイル140の連結部143およびU相コイル130の連結部133の両方を半径方向に跨ぐように各コイルを構成する。これにより、コア端面1c側に近づけて配置された連結部133(143)を折返部142(152)が跨ぐことにより、折返部142(152)の軸方向の突出高さを小さくすることができる。この結果、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを効果的に抑制することができる。
【0057】
また、第2実施形態では、上記のように、V相コイル140の折返部142(直線部142c)をU相コイル130の凹状部134内に配置し、W相コイル150の折返部152(直線部152c)をU相コイル130の凹状部134内と、V相コイル140の凹状部144内との両方に渡って配置する。これにより、折返部132(142)と連結部133(143)とによって形成されるスペース(凹状部134、144)に折返部142および折返部152を配置することができるので、折返部142(152)の軸方向の突出高さをさらに効果的に抑制することができる。
【0058】
また、第2実施形態では、上記のように、3相交流の各相に対応して、ステータコア1aの半径方向における折返部132(142、152)の長さが異なるU相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150の3種のコイルを設ける。これにより、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを効果的に抑制可能な3相交流の電動機200を得ることができる。
【0059】
また、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0060】
(第3実施形態)
次に、
図13〜
図16を参照して、第3実施形態による電動機300の構成について説明する。第3実施形態では、ステータ1の両端のコイルエンドが略同一形状(略対称形状)となるように構成した上記第1実施形態とは異なり、ステータ201の両端のコイルエンドが非対称形状となるように形成した例について説明する。なお、電動機300は、「回転電機」の一例である。また、第3実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0061】
図13に示すように、第3実施形態によるステータ201は、複数のコイル201b(U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250)を含む。U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250は、一方側(矢印A1方向側)のコイルエンドでは、それぞれ上記第1実施形態のU相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50と同一の形状を有する。一方、U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250は、他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドの形状が、それぞれ一方側とは異なる形状に形成されている。なお、U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250は、それぞれ、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」の一例である。また、ステータ201は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0062】
図13および
図14に示すように、第3実施形態のU相コイル230は、他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドでは、径方向内側に略S字形状に折り曲げられた一対の屈曲部231と、一対の屈曲部231同士を連結する連結部232とを含む。屈曲部231の先端面231aは、軸方向外側を向くように形成されており、屈曲部231の先端面231aのコア端面1cからの突出高さはH31である。連結部232は、周方向に沿って延びるように形成され、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。U相コイル230の他方側のコイルエンドでは、一対の屈曲部231と連結部232とにより、軸方向内側が開放された凸形状の凸状部233が形成されている。
【0063】
図13および
図15に示すように、V相コイル240は、他方側のコイルエンドでは、径方向内側に略S字形状に折り曲げられた屈曲部241と、径方向内側に略U字形状に折り返された折返部242と、屈曲部241の先端部および折返部242の先端部を連結する連結部243とを含む。ここで、一方側のコイルエンドにおける略S字形状の屈曲部43の反対側(他方側)には、略U字形状の折返部242が形成されている。また、一方側のコイルエンドにおける略U字形状の折返部42の反対側(他方側)には、略S字形状の屈曲部241が形成されている。
【0064】
連結部243は、径方向から見て、軸方向外側が開放された凹状の第1部分244と、軸方向内側が開放された凸状の第2部分245とを含む段差状形状を有する。第1部分244および第2部分245は、周方向に沿って延びるように形成され、中央の段差部分を除き、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。第3実施形態では、凹状の第1部分244内にU相コイル230の屈曲部231が配置されている。
【0065】
図13および
図16に示すように、W相コイル250は、他方側のコイルエンドでは、径方向内側に略L字形状に折り曲げられた一対の屈曲部251と、一対の屈曲部251からそれぞれ径方向内側に延びる一対の直線部252と、一対の直線部252の先端部を連結する連結部253とを含む。
【0066】
一対の直線部252は、径方向内側に直線状に延びるとともに、V相コイル240の凸状の第2部分245の内部(軸方向内側)に収まるように配置されている。さらに、直線部252は、U相コイル230の凸状部233の内部(軸方向内側)に収まるように配置されている。また、直線部252は、U相コイル230の連結部232の軸方向内側を通り、V相コイル240の連結部243およびU相コイル230の連結部232よりも径方向内側まで延びる。
【0067】
連結部253は、周方向に沿って延びるように形成され、V相コイル240の連結部243およびU相コイル230の連結部232よりも径方向内側の位置に配置されている。連結部253は、エッジワイズコイルの端面eが軸方向を向いてロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。
【0068】
第3実施形態のステータ201の他端側のコイルエンドにおける最大の突出高さは、U相コイル230の屈曲部231の先端面231aの突出高さH31である。したがって、各相のコイルエンドが、突出高さH31のU相コイル230の凸状部233よりも軸方向内側に納めるように配置されている。
【0069】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0070】
第3実施形態では、上記のように、各相コイルのコイルエンドが非対称形状となっている。他方側のコイルエンドでは、V相コイル240の凹状の第1部分244内にU相コイル230の屈曲部231を収納するとともに、V相コイル240の凸状の第2部分245の内部(軸方向内側)にW相コイル250の直線部252を収納することにより、コイルエンドにおけるスペース効率を向上させることができる。
【0071】
また、ステータ201の他方側のコイルエンドでは、各相のコイルが径方向内側に折り曲げられ、各相のコイルエンドの一部がロータ2と軸方向に対向(オーバーラップ)する。このように構成した場合でも、ステータ201の一方側のコイルエンドではロータ2とオーバーラップすることがないので、ロータ2の組付時にステータ201の一方側からロータ2を組み込めば、コイルエンドとロータ2とが干渉することがない。したがって、製造工程および製造設備が複雑化することはない。
【0072】
また、他方側のコイルエンドで各相のコイルが径方向内側に折り曲げられているため、各相のコイルをステータ201に装着する際、コイル201b(U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250)の他方側のコイルエンドをスロット11に対して軸方向(A2方向)に挿入するだけで、各相のコイルをステータ201に装着することができる。
【0073】
また、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
(第4実施形態)
次に、
図17〜
図20を参照して、第4実施形態による電動機400の構成について説明する。第4実施形態では、ステータ両端のコイルエンドを非対称とした上記第3実施形態の別の構造例について説明する。なお、電動機400は、「回転電機」の一例である。また、第4実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0075】
図17および
図18に示すように、第4実施形態によるステータ301は、複数のコイル301b(U相コイル330、V相コイル340およびW相コイル350)を含む。U相コイル330は、一方側のコイルエンドでは、上記第1実施形態と同様の折返部32および連結部33を含む。U相コイル330の他方側のコイルエンドでは、径方向内側に略L字形状に折り曲げられた一対の屈曲部331と、一対の屈曲部331同士を連結する連結部332とが形成されている。連結部332は、周方向に沿って延びるように形成され、コア端面1c(ロータ端面)と略平行になるように形成されている。また、連結部332は、エッジワイズコイルの端面eが軸方向Aを向き、ロータ2の軸方向端面と対向するように配置されている。なお、U相コイル330は、「第1コイル」の一例である。また、ステータ301は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0076】
図17および
図19に示すように、V相コイル340は、一方側のコイルエンドでは、スロット11から軸方向に突出した一対のコイル辺部341の先端部同士を直接連結する連結部342を含む。連結部342は、U相コイル330の屈曲部32、および、後述するW相コイル350の屈曲部351を跨いで、周方向に沿って延びるように形成されている。連結部342は、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行になるように形成されている。連結部342のコア端面1cからの突出高さは、H41である。なお、V相コイル340は、「第2コイル」の一例である。
【0077】
V相コイル340は、他方側のコイルエンドでは、略S字状の一対の屈曲部343と、一対の屈曲部343の先端部を連結する連結部344とを含む。屈曲部343は、径方向内側に延びる直線部345を有し、U相コイル330の連結部332の軸方向内側を通るように形成されている。また、屈曲部343は、W相コイル350の後述する凸状部355内に配置されている。連結部344は、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2と対向し、ロータ2の軸方向端面と略平行になるように形成されている。
【0078】
図17および
図20に示すように、W相コイル350は、一方側のコイルエンドでは、径方向外側に略S字形状に折り曲げられた一対の屈曲部351と、一対の屈曲部351を連結する連結部352とを有している。屈曲部351は、屈曲部351の先端面がコア端面1cとは反対側(軸方向外側)を向いて配置されている。屈曲部351は、U相コイル330の凹状部34内に配置されている。連結部352は、周方向に沿って延びるように形成され、U相コイル330の連結部33と軸方向に重なるように配置されている。連結部352は、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行になるように形成されている。連結部352のコア端面1cからの突出高さは、H41である。したがって、第4実施形態では、一方側のコイルエンドにおいて、W相コイル350の連結部352とV相コイル340の連結部342とが、径方向に沿って並ぶように配置されている。なお、W相コイル350は、「第3コイル」の一例である。また、屈曲部351および連結部352は、それぞれ、「第2屈曲部」および「第3連結部」の一例である。
【0079】
W相コイル350は、他方側のコイルエンドでは、径方向内側に略S字形状に折り曲げられた一対の屈曲部353と、一対の屈曲部353を連結する連結部354とを有している。屈曲部353は、屈曲部353の先端面がコア端面1cとは反対側(軸方向外側)を向いて配置されている。連結部354は、周方向に沿って延びるように形成されている。連結部354は、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2と対向し、ロータ2の軸方向端面と略平行になるように形成されている。また、一対の屈曲部353と連結部352とによって、軸方向内側が開放された凸状部355が形成されている。
【0080】
第4実施形態のステータ301の一端側のコイルエンドにおける最大の突出高さは、V相コイル340の連結部342およびW相コイル350の連結部352の突出高さH41である。
【0081】
第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0082】
第4実施形態では、一方側のコイルエンドにおいて、U相コイル330の凹状部34にW相コイル350の屈曲部351を配置し、U相コイル330の連結部33とW相コイル350の連結部352とを重なるように配置する。そして、V相コイル340の連結部342をW相コイル350の連結部352と径方向に並ぶように配置する。これにより、3相のコイルの連結部33、44および53を全て軸方向に重なるように配置した上記第1実施形態と比較して、軸方向の突出高さをさらに抑制することができる。
【0083】
また、第4実施形態のその他の効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0084】
(第5実施形態)
次に、
図21および
図22を参照して、第5実施形態による電動機500の構成について説明する。第5実施形態では、上記第1〜第4実施形態の各相のコイルに低高速用コイル部と低速用コイル部とを設けた例ついて説明する。なお、電動機500は、「回転電機」の一例である。
【0085】
第5実施形態では、各相のコイル形状は任意であり、上記第1〜第4実施形態で示したコイル形状のいずれにも適用することが可能である。そのため、ここでは、上記第1実施形態のコイル(U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50)に第5実施形態の構成を適用した例について説明する。
【0086】
図21に示すように、第5実施形態によるステータ401では、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50から構成される各コイル401bが、それぞれ、低高速用コイル部460と低速用コイル部470とを含んでいる。具体的には、各コイル401bでは、積層された平角導線のうち、一部が低高速用コイル部460を構成し、他の一部が低速用コイル部470を構成している。これらの低高速用コイル部460と低速用コイル部470とは、絶縁部材480によって互いに分離されている。これにより、各コイル401bは、低高速用コイル部460と低速用コイル部470とが共通のスロット11内に配置されるように構成されている。なお、ステータ401は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0087】
各コイル401bの低高速用コイル部460は、電動機500の低速駆動時および高速駆動時の両方で使用され、低速用コイル部470は、電動機500の低速駆動時にのみ使用されるように構成されている。これらの低高速用コイル部460および低速用コイル部470は、
図22に示すように、巻線切替部CSによって接続状態を切替可能である。
【0088】
具体的には、電動機500は、電源部BUおよび巻線切替部CSとそれぞれ接続される。電動機500は、電源部BUから供給される3相の交流電力に対応して駆動するように構成されている。
【0089】
各コイル401bの低高速用コイル部460および低速用コイル部470は、電気的に直列に接続されている。低高速用コイル部460の一方側の端子TU1、TV1およびTW1は、電源部BUに接続されている。また、低高速用コイル部460の他方側で、かつ、低速用コイル部470の一方側の端子TU2、TV2およびTW2は、巻線切替部CSに接続されている。また、低速用コイル部470の他方側の端子TU3、TV3およびTW3は、巻線切替部CSに接続されている。
【0090】
巻線切替部CSは、電動機500の端子TU2、TV2およびTW2を短絡させるための高速用スイッチSW1と、電動機500の端子TU3、TV3およびTW3を短絡させるための低速用スイッチSW2とを含む。
【0091】
巻線切替部CSは、低速駆動時には、高速用スイッチSW1をオフ状態にするとともに、低速用スイッチSW2をオン状態にする。これにより、端子TU3、TV3およびTW3が短絡され、端子TU3、TV3およびTW3を中性点として、コイル401bの低高速用コイル部460および低速用コイル部470による各相4並列のスター結線が構成される。この結果、電動機500の各相のコイル401bにおいて低高速用コイル部460および低速用コイル部470の両方に電圧が印加される。これにより、各相のコイル401bのインピーダンスが大きくなるので、コイル401bに大きな電圧を印加することができ、低速駆動時の電動機500のトルクを大きくすることが可能である。
【0092】
また、巻線切替部CSは、高速駆動時には、高速用スイッチSW1をオン状態にするとともに、低速用スイッチSW2をオフ状態にする。これにより、端子TU2、TV2およびTW2が短絡され、端子TU2、TV2およびTW2を中性点として、コイル401bの低高速用コイル部460による各相4並列のスター結線が構成される。この結果、電動機500の各相のコイル401bにおいて低高速用コイル部460のみに電圧が印加される。この結果、低速駆動時に比べて、各相のコイル401bのインピーダンスが小さくなるので、電動機500を高速駆動することが可能である。
【0093】
第5実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0094】
第5実施形態では、上記のように、各相のコイル401bに、低速時にのみ使用される低速用コイル部470と、高速時および低速時の両方に使用される低高速用コイル部460とを設け、低速用コイル部470と低高速用コイル部460とを共通のスロット11内に配置する。これにより、コイルエンドの突出高さが大きくなるのを抑制可能で、かつ、駆動速度に応じて巻線切り替え可能な電動機500を得ることができる。なお、
図22に示した第5実施形態では、各相のコイル401bの接続を4並列のスター結線とした例を示したが、各相のコイル接続は、4並列のスター結線以外の構成も可能である。
【0095】
(第6実施形態)
次に、
図23〜
図26を参照して、第6実施形態による電動機600の構成について説明する。第6実施形態では、ステータ両端のコイルエンドを非対称とした上記第4実施形態の別の構造例として、ステータ両端のコイルエンドを対称に形成した例について説明する。なお、電動機600は、「回転電機」の一例である。また、第6実施形態において上記第4実施形態と同様の構成については、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0096】
図23に示すように、第6実施形態によるステータ501は、複数のコイル501b(U相コイル530、V相コイル540およびW相コイル550)を含む。第6実施形態では、U相コイル530、V相コイル540およびW相コイル550のコイルエンドが、一方側と他方側とで略同一形状(軸方向に対称形状)に形成されている。なお、U相コイル530は、「第1コイル」の一例である。
【0097】
図23および
図24に示すように、U相コイル530は、上記第1実施形態のU相コイル30と同様の形状を有する。すなわち、一方側、他方側のコイルエンドの両方で、折返部32および連結部33が設けられている。これは、上記第4実施形態のU相コイル330の他方側のコイルエンドを、一方側のコイルエンドと同一(対称)の形状に形成したものでもある。
【0098】
図23および
図25に示すように、V相コイル540は、一方側および他方側の両方のコイルエンドに、上記第4実施形態と同様の連結部342が設けられている。なお、V相コイル540は、「第2コイル」の一例である。
【0099】
図23および
図26に示すように、W相コイル550は、一方側および他方側の両方のコイルエンドに、上記第4実施形態と同様の一対の屈曲部351および連結部352が設けられている。なお、W相コイル550は、「第3コイル」の一例である。
【0100】
したがって、第6実施形態では、一方側および他方側の両方のコイルエンドにおいて、U相コイル530の凹状部34にW相コイル550の屈曲部351が配置され、U相コイル530の連結部33がW相コイル550の連結部352と重なるように配置されている。そして、V相コイル540の連結部342がW相コイル550の連結部352と径方向に並ぶように配置される。
【0101】
第6実施形態のステータ501では、一方側および他方側のコイルエンドにおける最大の突出高さは、同一で、V相コイル540の連結部342およびW相コイル550の連結部352の突出高さH41である。
【0102】
第6実施形態のその他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
【0103】
第6実施形態では、一方側および他方側の両方のコイルエンドにおいて、U相コイル530の凹状部34にW相コイル550の屈曲部351を配置し、U相コイル530の連結部33とW相コイル550の連結部352とを重なるように配置する。そして、V相コイル540の連結部342をW相コイル550の連結部352と径方向に並ぶように配置する。これにより、上記第4実施形態と比較して、軸方向の突出高さをさらに抑制することができる。コイルエンドの高さを比較すると、上記第2実施形態によるステータ101(両側がH21)<第6実施形態によるステータ501(両側がH41)<上記第1実施形態によるステータ1(両側がH3)となる。
【0104】
また、第6実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
【0105】
(第7実施形態)
次に、
図27を参照して、第7実施形態による自動車700の構成について説明する。なお、自動車700は、「車両」の一例である。
【0106】
図27に示すように、自動車700は、上記第1〜第6実施形態の電動機100、200、300、400、500および600のうちのいずれか1つが備えられている。なお、第7実施形態のその他の構成は、上記第1〜第6実施形態と同様である。
【0107】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0108】
たとえば、上記第1〜第6実施形態では、電動機および電動機用ステータを示したが、電動機以外の発電機などの回転電機および回転電機用ステータであってもよい。
【0109】
また、上記第1〜第6実施形態では、3相交流の電動機を示したが、3相以外の単相の電動機(回転電機)にも適用可能である。
【0110】
また、上記第1〜第6実施形態では、平角導線を巻き重ねて積層したエッジワイズコイルを用いた例を示したが、丸線を束ねたコイルを用いてもよい。
【0111】
また、上記第1〜第6実施形態では、少なくともU相コイルに、折返部と連結部とにより形成される凹状部を形成した例を示したが、U相以外のV相コイルやW相コイルに凹状部を形成してもよい。
【0112】
また、上記第1〜第6実施形態では、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」の一例として、それぞれU相コイル、V相コイルおよびW相コイルを設けた例を示したが、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」は、U相、V相およびW相のうちいずれの相に対応するコイルであってもよい。
【0113】
また、上記第1〜第6実施形態では、少なくともU相コイルに径方向外側へ略U字形状に折り返された一対の折返部を形成した例を示したが、たとえばV字形状など、U字形状以外の形状となるように折り返してもよい。
【0114】
また、上記第1〜第6実施形態では、U相コイルの折返部の先端面を、ステータコアのコア端面と対向するように形成した例を示したが、折返部の先端面がコア端面と平行になっている必要はない。折返部の先端面がコア端面側の方向を向いていれば、折返部の先端面の向きがコア端面に対して傾いていてもよい。
【0115】
また、上記第1〜第6実施形態では、U相コイルにU字形状の折返部を形成した例を示したが、折返部は文字「U」の形状そのままのU字形状である必要はない。すなわち、折返部を、屈曲部分が丸みを帯びたU字形状に形成する代わりに、屈曲部分が角張ったU字形状に形成してもよい。本出願において、「U字形状」とは、屈曲部分が角張ったU字形状(矩形状の一辺を取り除いたような形状)も含む。また、「U字形状」構成する直線部分(屈曲部分以外の部分)が平行である必要もない。
【0116】
また、上記第1〜第6実施形態では、U相、V相およびW相の各相コイルの連結部を、ステータコアの周方向に沿って延びるように形成した例を示したが、連結部を、周方向に沿って円弧状に延びるように形成してもよいし、周方向に沿って直線状に延びるように形成してもよい。また、連結部を、周方向に沿って円弧状以外の曲線状に延びるように形成してもよい。
【0117】
また、上記第7実施形態では、自動車に上記第1〜第6実施形態の電動機が備えられている例を示したが、建設機械用等の車両や、農業用の車両に上記第1〜第6実施形態の電動機を備えてもよい。また、車両以外にも、たとえば、船舶や航空機等に上記第1〜第6実施形態の電動機を備えてもよい。