(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909797
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ロータリーコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 39/00 20060101AFI20160414BHJP
H01R 39/28 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
H01R39/00 J
H01R39/28
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-99238(P2012-99238)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-218997(P2013-218997A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】511040388
【氏名又は名称】株式会社ヒサワ技研
(72)【発明者】
【氏名】沢田 博史
【審査官】
山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−222463(JP,A)
【文献】
特表2010−509809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 39/00
H01R 39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面が円形である外周部材と、前記外周部材に対して相対的に回転自在であり、前記外周部材の中空部に前記内周面と同軸に配設される軸体と、前記外周部材及び前記軸体間で半径方向に弾性変形しながら遊星運動するよう回転自在に配設されるローラ集電子とを備え、前記ローラ集電子を介して、前記外周部材及び前記軸体を電気的に接続するロータリーコネクタにおいて、前記軸体、前記外周部材のいずれか一方または両方に、ローラ集電子の軸方向長さよりも長くその両端部に連なって、前記軸体の場合は外側、前記外周部材の場合は内側に傾斜する側壁がある溝を備え、その溝に前記ローラ集電子を配設することを特徴とするロータリーコネクタ。
【請求項2】
前記溝の溝底面部と側壁とのなす傾斜角度が、0度を越え90度未満であることを特徴とする請求項1のロータリーコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内周面が円形である外周部材と、外周部材に対して相対的に回転自在であり、外周部材の中空部に前記内周面と同軸に配設される軸体と、外周部材及び軸体間に、半径方向の弾性変形を伴い回転自在に配設されるローラ集電子とを備え、このローラ集電子を介して、外周部材及び軸体を電気的に接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
相対的に回転する部材同士を電気的に接続し、これらの間で電流を送給するための構造として、ローラ集電子型のロータリーコネクタが考案されている。
【0003】
ローラ集電子型ロータリーコネクタでは、外周部材と軸体が相対的に回転運動するとローラ集電子は外周部材と軸体間の円環状空間で自転しながら公転運動する、いわゆる遊星運動を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−222463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこのローラ集電子型ロータリーコネクタは、軸体を重力方向(縦方向)に取り付けた場合、ローラ集電子は遊星運動に伴い、重力方向に徐々に落下することとなり、最終的には固定部と断続的にではあっても接触することとなり、この摺動による磨耗粉が接触抵抗の増加を招き、製品寿命を短くする。そのため、ローラ集電子がいずれの部材とも摺動することがなく、その軸方向の移動を制限する構造が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
溝底面に対しその外側に傾斜した側壁を持つ溝にローラ集電子を収容することで、ローラ集電子が自立的にその軸方向位置を調整し、いずれの部材とも摺動することのない構造を達成する。この際、側壁の傾斜角度、つまり溝底面と側壁のなす傾斜角度は0度を越え90度未満とし、この溝を軸体、外周部材のいずれか一方または両方に設けることとする。
【0007】
このように傾斜した側壁により、ローラ集電子が配設されている空間は、側壁の傾斜の始まる位置から徐々に狭くなっている。このためローラ集電子に重力などで軸方向への力が働いた際でも、ローラ集電子がこの狭くなった空間に侵入するには、ローラ集電子の受ける重力が、弾性変形の増加分により新たに発生したローラ集電子のバネ力が側壁の傾斜により重力と対抗する向きに作用する力を上回る必要がある。通常ローラ集電子が受ける重力は、ローラ集電子の弾性変形により発生する力と比べて十分小さいため、ローラ集電子は側壁の手前で自立的にその位置に留まることになる。
【0008】
また側壁の傾斜角は90度未満であることから、ローラ集電子端面と側壁は接触することがなく、摺動部のない構造が達成できる。
【発明の効果】
【0009】
この構造によればロータリーコネクタは垂直、水平など取り付け方向が任意となり、部品点数を増やすことなく構造が簡単で、組み立て作業の容易なロータリーコネクタを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明によるロータリーコネクタの回転軸方向の断面図であり、回転軸にのみ溝加工を行った例を示す断面図
【
図2】
図1に記載の線に沿った断面を矢印A−A方向から見た断面図
【
図3】傾斜した側壁を持つ溝を回転軸に施した場合の図であり、溝寸法や位置を表す構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図を参考に実施形態を説明する。
図1は軸体1にのみ、傾斜した側壁4を持つ溝加工を行った例である。
図3の溝幅wは通常の使用範囲ではローラ集電子3の幅(軸方向の長さ)より十分広く設定してよいが、高速回転で使用される場合はローラ集電子3の幅よりわずかに広い程度に設定する必要がある。
【0012】
ローラ集電子は遊星運動に際し、回転軸に対して傾斜する傾向があり、特にローラ集電子の幅が広いほど、また軸体の回転速度が速いほどその現象は顕著である。ローラ集電子の幅が5mm程度の場合、回転速度が20,000rpm.程度であってもこの傾斜現象は発現しないが、幅が10mm程度の場合、前記回転速度ではこの傾斜現象による異常磨耗が確認されている。このように、ロータリーコネクタが高速回転で用いられ、ローラ集電子の幅が広いときには、溝の幅をローラ集電子3より僅かに広くすることが好ましい。
【0013】
またローラ集電子3の幅は広いほど接触抵抗が下がるため、大電流通電用途では幅を広くするが、ローラ集電子3の幅が25mm程度の場合は低速回転であっても傾斜現象が発現する場合があり、溝幅wに対しローラ集電子3の幅がわずかに狭いこととし、同時に軸体1と外周部材2の両方に溝加工を行うことでローラ集電子3の傾斜現象の発現を確実に回避する構造とする。即ち、
図1あるいは
図3には表されていないが、軸体1に設けたと同様の側壁付きの溝を外周部材2の内周面に形成する。このように、ローラ集電子3の幅が大きいときには傾斜側壁4を有する溝を、外周部材1と軸体2の双方に設けると好適である。
【0014】
次に、
図3の溝深さdに関して述べる。ロータリーコネクタ組み立ての際、ローラ集電子3はこのd分だけ通常より余計に弾性変形させる必要があることに注意する。このためローラ集電子3の弾性限界を超えて変形させないようにd寸法を設定しなければならない。
許容される弾性変形量は集電子材質、集電子肉厚、集電子直径により変化するが例えばローラ集電子材質にベリリウム銅、集電子肉厚0.13mm、集電子直径φ7mmとした場合、直径方向の変形量0.5mm以内であれば問題ない。
【0015】
また、溝底面と側壁4のなす傾斜角度θはローラ集電子3の自重と弾性変形時のバネ力により設定される。通常、ローラ集電子3が受ける重力は弾性変形時のバネ力に比べて十分小さいため30度程度の傾斜があれば問題いない。この傾斜角度はローラ集電子3の弾性変形によるバネ力を重力方向と対抗する向きに方向を変換する役目を持っており、傾斜角度が小さ過ぎるとその作用が十分ではないこともあるが、その場合は傾斜角度を増やすことで調整すればよい。
【0016】
しかし、一般的には加工コストの面から設定すればよく、例えば旋盤での加工を想定すればバイトの刃先角度に合わせて30度から60度程度の範囲で自由に設定すればよい。また角度に関して90度末満とするのはローラ集電子3の端面が、側壁4と摺動するのを防ぐためである。ローラ集電子3の軸方向の移動を制限するのはあくまで空間の狭まりによるローラ集電子3の自立的な位置調整作用であることに注意する。
【0017】
さらに、この溝加工は通常の用途では軸体1または外周部材2のどちらか一方に施せばよいが、一般的には軸体1に施す方が、外周部に対する加工となるため、加工コストの面で有利であると言える。ただし、高速回転、振動環境などで使用される場合、ローラ集電子3の軸方向の動き、また軸に対して傾斜する動きを確実に規制するため、軸体1及び外周部材2の両方に溝加工を施すことが望ましい。
【符号の説明】
【0018】
1 軸体
2 外周部材
3 ローラ集電子
4 傾斜