特許第5909818号(P5909818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5909818鉛フリー熔融亜鉛めっき方法及びその完成品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909818
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】鉛フリー熔融亜鉛めっき方法及びその完成品
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/06 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   C23C2/06
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-504418(P2010-504418)
(86)(22)【出願日】2007年4月27日
(65)【公表番号】特表2010-525171(P2010-525171A)
(43)【公表日】2010年7月22日
(86)【国際出願番号】CN2007001411
(87)【国際公開番号】WO2008131585
(87)【国際公開日】20081106
【審査請求日】2009年10月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509296409
【氏名又は名称】盛貽熱浸▲辛▼企業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】歐建宗
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−140316(JP,A)
【文献】 特開昭61−201767(JP,A)
【文献】 特開昭57−035672(JP,A)
【文献】 特開2000−192211(JP,A)
【文献】 特開昭61−133371(JP,A)
【文献】 特開2001−247951(JP,A)
【文献】 米国特許第6280795(US,B1)
【文献】 国際公開第1997/015696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00−2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熔融亜鉛めっき方法は、該方法が米国材料試験協会(ASTM)の規格ASTM A123 / A123M - 02に基づいて加工・製造し、純亜鉛インゴットSHG(Special High Grade Zinc),亜鉛,アルミニウムと1%以下の微量元素にて組成された熔融亜鉛めっき液を使用し、該純亜鉛インゴットの純度が99.995%となり、該亜鉛が質量%にて98ないし99%となるように計算され、該アルミニウムが質量%にて0.2ないし1.0%となるように計算され、該微量元素は、モリブデン,ビスマス,銀,チタンとニッケルからなる群の中より選ばれる何れか一種であることを特徴とする、熔融亜鉛めっき液に鉛の添加を行わない鉛フリー熔融亜鉛めっき方法。
【請求項2】
前記熔融亜鉛めっき液に、鉄素材のワークピース又は鋼のワークピースが浸されることを特徴とする請求項(1)に記載の熔融亜鉛めっき液に鉛の添加を行わない鉛フリー熔融亜鉛めっき方法。
【請求項3】
該浸されたワークピースは亜鉛めっき浴から引き出されて冷却されることを特徴とする請求項(2)に記載の熔融亜鉛めっき液に鉛の添加を行わない鉛フリー熔融亜鉛めっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛フリー及びカドミウムフリーの環境下で、新規な熔融亜鉛めっき液を使用して熔融亜鉛めっき処理を行う方法及びその完成品に関し、熔融亜鉛めっきの防錆過程により環境を影響して汚染を招くことを、根絶するように用いられる。
【背景技術】
【0002】
伝統的な防錆の熔融亜鉛めっきプロセスの中に、熔解助剤を塗布した品物を、450ないし520℃の亜鉛液の中に含浸する。亜鉛めっき層の表面形態を制御するために、熔融する亜鉛液の中にアルミニウムを添加する以外に、更に鉛を添加することにより、放熱速度を遅らせる。そして亜鉛液が酸化し或いは亜鉛と鉄が浸漬めっき反応する時に、熔融する亜鉛液の表面に一層の浮き滓を生成する。
【0003】
質量%と言えば、伝統的な亜鉛液の成分が、96.4%亜鉛,0.01%アルミニウム,1.45%鉛,0.15%クロムと1.95%他の微量元素である。
【0004】
そして伝統的な亜鉛めっき用の亜鉛インゴットが国際標準ZISO/R752-1968により普通良好等級となり、約1%鉛を含有する。更に多数の亜鉛めっき工場は、その亜鉛めっき浴の底部に鉛層を設置し、そこで鉛を亜鉛の中に溶解し、せいぜい1.2%に達することが出来、つまり亜鉛液が飽和する。一般に周知するように、更に鉛濃度が0.5%以下に低くなる時に、亜鉛めっきの仕事が一層難しくなると考える。
【0005】
前述の伝統的な熔融亜鉛めっきプロセスは、以下の欠点を更に有する。
【0006】
一、鉛含有プロセス:
鉛が有害物質で、つまり伝統的な熔融亜鉛めっきプロセスに使用される亜鉛インゴットが鉛を含有し、亜鉛浴の中に鉛を含有し、且つ亜鉛浴のボイラーの底層に鉛層があり、勿論その製成品が鉛を含有し、あちこちに毒物となる。
【0007】
二、環境の汚染
重金属は、環境を汚染する恐れがあり、且つ除去しにくくなり、従ってヨーロッパのRoHS(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令)の法規範により、更に明文は規定して必ず記録され、全ての伝統的な鉛含有製品が何れもヨーロッパの市場に入ることを、禁止する。
【0008】
以上の表示より了解できるのは、慣用の熔融亜鉛めっきプロセスが処理過程またはその完成品の成分の中に鉛などの有害物質を含むので、そしてより改良する必要がある。
【0009】
本発明の発明者は、前述の伝統的な熔融亜鉛めっき方式により生成された各環境汚染欠点に鑑み、より改良して革新しようと意図し、且つ多年を経て苦心して孤独に努力して鋭意に研究した後に、ついに鉛フリー熔融亜鉛めっき方法及びその完成品を、成功的に研究して完成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、鉄素材の鉛フリー熔融亜鉛めっき方法及びその完成品を提供するものであるが、伝統的な熔融亜鉛めっきプロセスを改善し、純度が99.995%である純亜鉛インゴットSHG(Special High Grade Zinc)を使用し、且つ亜鉛液の成分の配合処方を改善し、防錆処理した後の鉄素材が鉛の重金属に対する汚染を完全に改善できる。
【0011】
本発明の副次的な目的は、亜鉛滓(廃棄物)の生成を低減する技術を提供するものであるが、熔融亜鉛めっきプロセスの中における亜鉛廃棄物および浮き滓の生成を著しく改善し、且つ10ないし15%のコストを低減できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の発明目的を達成する鉛フリー熔融亜鉛めっき方法及びその完成品は、純亜鉛インゴットSHG(Special High Grade Zinc)を利用し、新規な熔融亜鉛めっきプロセスの中に、亜鉛液の成分が98ないし99%の亜鉛,0.2ないし1.0%のアルミニウム及び1%以下の微量元素で組成される熔融亜鉛めっき浴となる。
【0013】
本発明は、その他の金属原料の配合処方を利用して鉛の重金属を取り替え、且つ配合処方の上に更に改良することにより、その浮き滓と亜鉛滓の生成を低減し、コストを節約し、且つ熔融亜鉛めっきの加工品に対し、重金属の汚染がなく、環境保護および人体に対する損害が最低限まで低減する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、これが本発明の作業の流れの模式図であるが、亜鉛めっき用の亜鉛インゴットが純亜鉛インゴットSHG(Special High Grade Zinc)で、該純亜鉛インゴットの純度が99.995%で、本発明は、質量%にて計算されて98ないし99%の亜鉛,0.2ないし1.0%のアルミニウム及び1%以下の微量元素を含有して組成される熔融亜鉛めっき浴を、使用する。その中でも、微量元素は、モリブデン,ビスマス,銀,チタンとニッケルからなる群の中より選ばれる何れか一種である。
【0015】
以下が本発明の作業の流れである。
なお、本発明において、熔融亜鉛めっきは、本発明がなされる過程、および、本発明にかかる特許出願の出願時点において、熔融亜鉛めっきの技術分野では、米国を始めとする各国において広く周知され、汎用されていた米国材料試験協会(ASTM)の規格、具体的には、この時期、当業者によって広く用いられていたASTM A123 / A123M - 02に基づいて実施される。
【0016】
1.ワークピースの検査:ワークピースの表面に、油汚れ,ペンキ,予備,亜鉛漏れ孔と損害などの状況があるかどうかを検査する。
【0017】
2.脱脂:pH 7〜14,温度85℃,比重1.04〜1.09の脱脂剤により、脱脂の動作を行う。
【0018】
3.水洗:引き続いてワークピースを2回水洗し、この水洗3は、pH 4以上の水を使用する必要がある。
【0019】
4.酸洗:動作が平均で約20〜40分間となる。
【0020】
5.水洗:酸洗した後に、更に2回水洗する必要がある。
【0021】
6.熔解助剤の添加:そのpHが4.2〜5の間に限定され、温度が80℃ぐらいである。
【0022】
7.熔融亜鉛めっき:引き続いて本発明の純亜鉛インゴットの鉛フリー亜鉛液により、熔融亜鉛めっきし、温度が430±30℃の間に維持し、且つ温度を自動的に制御して検査する。
【0023】
8.冷却:熔融亜鉛めっき7を完成した後に、ワークピースに対し、冷却8の動作をする。
【0024】
9.ワークピースの整理検査:最後にワークピースに対し、より整理検査し、熔融亜鉛めっきの生産作業の流れを完成する。
【0025】
図2に示すように、これは、本発明がSGS(台湾検験科技株式会社)に委託して検査された完成品の検査報告書であるが、全文がネットワークの上から公然と調査して閲覧することを可能とし、本発明を使用した後における熔融亜鉛めっきの完成品は、その表面の亜鉛めっき量が600g/m2以上で、且つ全てが鉛とカドミウムを含まず、その完成品が熔融亜鉛めっき鋼板であってもよく、更に水源輸送管,公共施設(街灯,高速道路のガード・レール,溝蓋のグレーチング等),工場施設,鉄骨構造,電子工場のグリーンルーム,熔融亜鉛めっき鉄筋,鋼ネット,標識ポスト,配管部品,冷却器,温室の園芸,エキスパンションジョイント,船舶用配管,収納スタンド,万能アングル,基礎ねじ,ナット,装飾板,配線ダクトなどを含む。
【0026】
今時、全世界が鉛金属に対する規制に、相当に厳しい規定があり、例えばEU(欧州連合)が既に西暦2006年7月1日にRoHS指令を実施し、全ての伝統的な鉛含有熔融亜鉛めっき製品が何れもヨーロッパの市場に入ることを、禁止するが、従って勿論このような鉛フリー亜鉛めっき技術が重要な技術突破となる。
【0027】
1.本発明は、元の熔融亜鉛めっきの過程中における亜鉛浴のボイラーの寿命を延長でき、且つ質量を改善する。
【0028】
2.本発明は、廃棄物の生成量を低減でき、更に環境および作業場所が鉛の重金属の汚染を招かないことを確保でき、その経済効果が非常に著しくなる。
【0029】
以上の詳細な説明は、つまり本発明に対して実行可能な実施例の具体的な説明で、但し該実施例が本発明の特許請求の範囲を限定するために用いられるものではなく、例えば本発明の技術精神をまだ逸脱しない下で完成された等価な実施または変更が、何れも本発明の特許請求の範囲中に含まれるべきである。
【0030】
上記を総合し、本発明は、技術思想上では、確かに革新に属するだけではなく、且つ慣用の伝統的な方法により及ばない前述の多項目の効果を具備し、既に新規性と進歩性の法定の発明の特許要件を十分に満たすべきで、従って特許法により本発明の出願を提出し、貴局には本発明の特許請求の範囲の出願が許可されるよう切望する次第で、考案を励ます。
【0031】
以下の本発明に関する詳細な説明およびその添付図を参照し、ひいては本発明の技術内容およびその目的効果を了解でき、関連する添付図が下記の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の作業の流れの模式図である。
図2】本発明の完成品の検査報告書である。
【符号の説明】
【0033】
1 ワークピースの検査
2 脱脂
3 2回水洗
4 酸洗
5 2回水洗
6 熔解助剤の添加
7 熔融亜鉛めっき
8 冷却
9 ワークピースの整理検査
図1
図2