(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キャパシタンス領域のテーブルと対応するターゲット送信デューティ・サイクルとを格納するように構成されたメモリをさらに備え、前記プロセッサは前記メモリに接続され、前記ターゲット送信時間を決定するステップは、前記第1のキャパシタンス測定値と前記第2のキャパシタンス測定値を使用して前記テーブル内のターゲット送信デューティ・サイクルを検索するステップを含み、前記ターゲット送信時間は前記ターゲット送信デューティ・サイクルに前記期間を乗じたものに等しい、請求項2に記載の無線装置。
前記無線送信器はアンテナを備え、前記無線装置はさらに、前記アンテナが有効かどうかを示す信号を生成するように構成されたアンテナ状態回路を備え、前記プロセッサは、前記信号を受信するように構成され、前記プロセッサは、前記アンテナが有効である場合にのみ前記期間の一部で前記無線送信器をスイッチオフするように構成された、請求項1に記載の無線装置。
第2のアンテナを備えた第2の無線送信器をさらに備え、ターゲット送信時間を判定するステップはさらに前記第2の無線送信器を介した第2の送信に対する第1の送信器を介した第1の送信の優先度に基づき、前記プロセッサはさらに、前記第2の無線送信器に対する第2のターゲット送信時間を前記推定と前記優先度に基づいて決定するように構成された、請求項4に記載の無線装置。
前記期間の先頭と末端は、フレーム/スーパーフレームの先頭と末端とそれぞれ同期され、前記プロセッサはさらに、制御送信に対して予約されたタイムスロットにおいて制御送信の代わりにデータ送信を可能とするように構成された、請求項3に記載の無線装置。
第1のキャパシタの第1のキャパシタンス測定値をキャパシタンス・センサから受信するステップであって、前記キャパシタンス・センサは無線装置に接続され、前記無線装置は無線送信器を備えるステップと、
前記無線装置に対する人間の身体の相対的近接度を前記第1のキャパシタンス測定値に基づいて推定するステップと、
前記推定に基づく期間内にターゲット送信時間を前記無線送信器に対して決定するステップと、
前記期間における前記無線送信器の送信時間が前記ターゲット送信時間を超えた場合に前記期間の一部で前記無線送信器をスイッチオフするステップと、
を含み、
第2のキャパシタの第2のキャパシタンス測定値を前記キャパシタンス・センサから受信するステップをさらに含み、前記相対的近接度を推定するステップはさらに前記第2のキャパシタンス測定値に基づく、
比吸収率(SAR)制御を提供するための方法。
前記ターゲット送信時間を決定するステップは、前記第1のキャパシタンス測定値と前記第2のキャパシタンス測定値を用いてキャパシタンス領域のテーブル内のターゲット送信デューティ・サイクルと対応する送信デューティ・サイクルとを検索するステップを含む、請求項8に記載の方法。
前記無線送信器はアンテナを含み、前記方法はさらに前記アンテナが有効であるかどうかを示すアンテナ検出回路から信号を受信するステップを含み、前記無線送信器のスイッチオフは前記アンテナが有効である場合にのみ行われる、請求項7に記載の方法。
前記無線装置は第2の無線送信器を備え、前記第2の無線送信器は第2のアンテナを備え、前記ターゲット送信時間を決定するステップはさらに前記第2の無線送信器を介した第2の送信に対する第1の送信器を介した第1の送信の優先度に基づき、前記方法はさらに、前記推定と前記優先度に基づいて前記第2の無線送信器に対する第2のターゲット送信時間を決定するステップを含む、請求項10に記載の方法。
前記プロセッサはさらに、チャネル指標メトリックを閾値と比較し、および前記チャネル指標メトリックが前記閾値より小さい場合には前記ターゲット送信時間を決定し、および前記チャネル指標メトリックが前記閾値より大きい場合には、電力バックオフ因子を決定して最大電力レベルから前記電力バックオフ因子を差し引いた電力レベルで前記期間において送信するように構成された、請求項13に記載の無線装置。
キャパシタンス領域のテーブルと対応する送信デューティ・サイクルとを格納するように構成されたメモリをさらに備え、前記プロセッサは前記メモリに接続され、前記ターゲット送信時間を決定するステップは、前記第1のキャパシタンス値と前記第2のキャパシタンス値を用いて前記テーブル内のターゲット送信デューティ・サイクルを検索するステップを含み、前記ターゲット送信時間は前記ターゲット送信デューティ・サイクルに前記期間を乗じたものに等しい、請求項14に記載の無線装置。
前記無線送信器はアンテナを含み、前記無線装置はさらに、前記アンテナが有効かどうかを示す信号を生成するように構成されたアンテナ状態回路を備え、前記プロセッサは前記信号を受信するように構成され、前記プロセッサは、前記アンテナが有効である場合にのみ前記期間の一部で前記無線送信器をスイッチオフするように構成された、請求項13に記載の無線装置。
第2のアンテナを備えた第2の無線送信器をさらに備え、ターゲット送信時間を決定するステップはさらに前記第2の無線送信器を介した第2の送信に対する第1の送信器を介した第1の送信の優先度に基づき、前記プロセッサはさらに、前記特定された第1の近接領域と前記優先度に基づいて前記第2の無線送信器に対する第2のターゲット送信時間を決定するように構成された、請求項16に記載の無線装置。
前記期間の先頭と末端は、フレーム/スーパーフレームの先頭と末端とそれぞれ同期され、前記プロセッサはさらに、制御送信に対して予約されたタイムスロットにおいて制御送信の代わりにデータ送信を可能とするように構成された、請求項15に記載の無線装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では先ず1つまたは複数の実施形態の例示的な実装形態を提供するが、開示したシステムおよび/または方法を現在公知であるかまたは存在する任意数の技術を用いて実装してもよいことは理解される。本発明は、本明細書で図示および説明した例示的な設計および実装形態を含む、以下で説明する例示的な実装形態、図面、および技術には決して限定されず、添付の特許請求の範囲においてその均等物の全範囲に沿って修正してもよい。
【0011】
無線装置のユーザが受けるSAR値は、無線装置の送信電力、送信デューティ・サイクル、および無線装置とユーザの距離、ならびにアンテナ設計や遮蔽のような他の因子と関連してもよい(「送信デューティ・サイクル」または単に「デューティ・サイクル」という用語は、或る時間または期間で測定した無線装置のアンテナが送信する時間の割合を指してもよい。したがって、デューティ・サイクルは、0%以上100%以下の任意なパーセントであってもよい。)例えば、人間の身体が吸収したRFエネルギの量は、送受信器の出力電力が増大すると、(SARが時間当たりの総吸収エネルギに関連するので)送信デューティ・サイクルが増大したとき、および/または、分離距離が減少したときに、増大する可能性がある。さらに、無線装置の設計においては、開発サイクルを可能な限り短く保ち開発コストを最小化することが望ましい。これらの制約は、SAR要件を満たすための複雑なアンテナ再設計または他の複雑なハードウェア再設計が望ましくないことを示唆している。したがって、SAR準拠基準を満たすための1つの戦略は、人間の身体が無線装置と十分に近くSAR要件を満たすための調節が必要な場合に送受信器の出力電力を減らしかつ/または送信デューティ・サイクルを減らすためのアルゴリズムを開発することであるかもしれない。デューティ・サイクルまたは送信電力を減らすためのアルゴリズムの実装は、SARを減らすための他の可能なシステムまたは方法よりも複雑でないかもしれない。
【0012】
SARは人間が無線装置と十分に近い場合にのみ問題となりうるので、人間の存在と無線装置に対する人間の相対的近接度を検出することが望ましいかもしれない。静電容量の検知は、人間の存在と無線装置に対する人間の相対的近接度を確実に検出する1つの方法であるかもしれない。静電容量センサを無線装置内部に配置することによって静電容量の検知を使用してもよい。静電容量センサが、1つまたは複数のキャパシタ内のキャパシタ電極の間の電界における変動を、測定したキャパシタンスの変化を通じて監視して、人間の身体の存在と無線装置に対する人間の身体の相対的近接度を決定してもよい。さらに、光センサ、赤外線センサ、または音センサのような他の種類のセンサと異なり、静電容量センサはその誘電特性に基づいて様々なオブジェクトを区別することができる。当該誘電特性により、静電容量センサは人間の身体の誘電特性に基づいて人間の組織を本や木のテーブルのような無生物から区別することができる。「静電容量センサ」および「キャパシタンス・センサ」のような用語を区別せずに用いることもある。
【0013】
SAR制御が望ましいかどうかを判定する際の1つの因子は、無線装置のアンテナが有効かどうかである。
図1は、アンテナ110が有効であるかどうかを示すことができるRF送受信器回路100の一部の1実施形態の略図である。アンテナ110に加えて、RF送受信器回路100が、
図1に示すように配置したアンテナ整合回路115、ネットワーク整合回路125、ポート130および150、ならびにアンテナ状態回路140を備えてもよい。RF送受信器回路100が、ベースバンド・プロセッサと電力増幅器を備えた無線送信器の一部であってもよく、RF信号を介して情報をフォーマットし送信するように構成されてもよい。
【0014】
アンテナ110は、受信モードのときにRF信号を電気信号に変換し送信モードのときに電気信号をRF信号に変換する任意の種類のアンテナであってもよい。当該アンテナが無指向性であっても、指向性であってもよい。アンテナ整合回路115は、アンテナ状態回路140とアンテナ110の間で伝播する電気信号の送信効率を例えばインピーダンス整合を介して改善するように構成された任意の構成要素または回路であってもよい。ネットワーク整合回路125は、ポート130で接続されたアンテナ検出回路140とRF受信回路の間で伝播する電気信号の送信効率を例えばインピーダンス整合を介して改善するように構成された任意の構成要素または回路であってもよい。この文脈で用いる「ポート」とは、或る回路を別の回路に接続するのに好都合な任意の種類の装置または材料であってもよい。例えば、ポートが電線上の位置を含んでもよい。
【0015】
アンテナ状態回路140を、アンテナ110がRFエネルギを放射できるかどうかを判定するように構成してもよい。アンテナ状態回路140が、直流(DC)電圧源141、抵抗器142、複数のインダクタ143および148、RFスイッチ・コネクタ144、複数のキャパシタ145および147、ならびにアース146を備えてもよい。DC電圧源141は、一定のDC電圧をアンテナ状態回路140に供給するように構成された任意の構成要素であってもよい。アース146は、アンテナ状態回路140において電位がそこから測定される任意の共通参照点であってもよい。抵抗器142は、アンテナ状態回路140における電気抵抗を提供するように構成された任意の構成要素であってもよい。インダクタ143および148は、磁界にエネルギを蓄えるように構成された任意の回路要素であってもよい。キャパシタ145および147は、エネルギを電界に蓄えるために使用される任意の回路要素であってもよい。
【0016】
RFスイッチ・コネクタ144は、起動時にアンテナ状態回路140内の電気回路を有効または無効にするように構成された任意の装置であってもよい。RFスイッチ・コネクタ144が閉状態にあるときには、アンテナ110はRF信号を放射することができる(即ち、当該アンテナが有効であるかスイッチオンされる)。他方、RFスイッチ・コネクタ144が開状態にあるときには、アンテナ110はRF信号を放射しない(即ち、アンテナは無効であるかまたはスイッチオフされる)。整合されたRFフラグがRFスイッチ・コネクタ144に適用されている場合には、RFスイッチ・コネクタ144が開状態になり、アンテナ110が無効になる。当該RF信号は、アンテナではなくRFフラグを行き来する。RFプラグが適用されない場合には、RFスイッチ・コネクタ144は閉状態にあってもよい。
【0017】
ポート150で測定された電圧により、アンテナ110をスイッチオンするかどうかを判定する方法を提供する。RFスイッチ・コネクタ144が開状態にある場合には、ポート150で測定された電圧はDC電圧源141の電圧にほぼ等しく、RFスイッチ・コネクタ144が閉状態である場合には、ポート150で測定された電圧はアース146にほぼ等しい。したがって、ポート150で測定された電圧はSAR制御アルゴリズムにおいて有用でありうる。なぜならば、アンテナが無効である場合にはSAR制御は必要でなくともよく、アンテナが有効である場合にはSAR制御が必要であってもよいからである。
【0018】
他の実施形態では、RFスイッチ144およびRFプラグが存在しないがアンテナ110がPFピンに加えて接地ピンを有してもよい。かかるアンテナは無線装置で一般的であり、その例として逆Fアンテナ、平板型逆Fアンテナ、およびループ・アンテナがある。アンテナ状態回路を、RFスイッチ144および対応するRFフラグなしに実装してもよい。1実施形態では、インダクタ148を削除して、アースへのDC経路を切断してもよい。キャパシタ145をバイパスするか0オームの抵抗器で置き換えてもよく、整合回路115を再設計して、アンテナのRFピンへ(即ちアースへ)のDC経路を可能としてもよい。
【0019】
無線装置が、静電容量センサを使用して人間の身体の存在と近接性を検出してもよい。静電容量センサが、存在と近接性を検出する際に支援するための1つまたは複数のキャパシタを備えてもよい。幾つかの実施形態では、1つまたは複数のキャパシタをプリント回路基板(PCB)またはフレキシブル・プリント回路基板(FCB)で使用される材料のような絶縁材料にエッチングしてもよい。
図2は、複数のキャパシタ210、220、および230を備えた構造200の1実施形態の斜視図である。キャパシタ210、220、および230を絶縁材料240のブロックに取り付けてもよい。キャパシタが絶縁材料の様々なサーフェスに存在してもよい。例えば、キャパシタ210および220がサーフェス250および260に取り付けられ、キャパシタ230がサーフェス250に取り付けられる。構造200が静電容量センサの一部であってもよく、当該静電容量センサを無線装置内部に配置してもよく、サーフェス250および260を無線装置のサーフェスと整列させてもよい。キャパシタは一般に1つの電極だけを含むシングルエンド・タイプのものであってもよく、または、2つの電極を含む差分タイプ(differential type)であってもよい。例えば、キャパシタ210が、空気および/または絶縁材料240によって分離された2つの電極(パターンを用いて示してある)を備える。
【0020】
キャパシタで使用される電極が、複数のキャパシタ330および340を備える別の構造300の1実施形態の斜視図により
図3で示したように、任意の形状であってもよい。構造300が、
図3に示すように、第1のアンテナ310、第2のアンテナ320、第1のキャパシタ330、および絶縁材料350に接続した第2のキャパシタ340を備えてもよい。構造300は、データ・カードまたは近接性検出のために構成された他の無線通信装置の一部であってもよい。第1のアンテナ310および/または第2のアンテナ320が、無線通信を確立するためにアンテナ310および320がRF信号を送信できるという点で上述のアンテナ110と同様であってもよい。第1のアンテナ310および第2のアンテナ320が互いに独立にまたは協働して信号を送信し、1つの時点に1つのアンテナを介してまたは同時に信号を送信してもよい。一般に、無線装置が任意数のアンテナを備えてもよく、無線装置が他のアンテナと独立に任意のアンテナを介してまたは協働して信号を送信してもよく、任意数のアンテナを介して同時にまたは1つのアンテナのみを介して信号を送信してもよい。
【0021】
第1のキャパシタ330および第2のキャパシタ340を戦略的に構造300に配置してもよく、構造300がスマート・フォンのような無線通信装置のフォーム・ファクタ内部に存在して、合理的に正確かつ/または有意な人間の存在と近接性の検出を可能としてもよい。例えば、第1のキャパシタ330および第2のキャパシタ340の配置により、サーフェス360および370と整列した無線通信装置のサーフェスに関して相対的に良好な近接性検出を提供してもよい。
【0022】
1実施形態では、
図3の第1のキャパシタ330および第2のキャパシタ340のような複数のキャパシタのキャパシタンスの測定値を使用して、人間の身体の存在を決定し無線装置に対する人間の身体の近接性を推定してもよい。
図3において当該無線装置は構造300を含む。各キャパシタのキャパシタンスを測定するための標準的なテスト方法を使用してもよい。例えば、キャパシタンス・デジタル変換器(CDC)を使用して1つまたは複数のキャパシタのキャパシタンスを測定し、プロセッサが読み取ることができる1つまたは複数の出力を生成してもよい。人間の身体の存在により、キャパシタに印加された電圧により生成された電界を変化させることによってキャパシタのキャパシタンスが変化し、その結果、キャパシタンスが変化しうる。
【0023】
SARを測定するために従来使用されているタイプの人間の身体のファントム(即ち、シミュレートされた人間)を用いて実験的な手続きを実行してもよい。SARを測定するための従来の手続きにおいて人間の頭のファントムを使用してもよい。当該ファントムは人間の組織をシミュレートするものである。無線装置はファントムに対して配置され、当該位置に対してSAR値が決定される。例えば、SARプローブの先端をファントム内部周囲で動かし、結果の測定値を用いて体積平均したSARを決定することによってSAR値を決定してもよい。無線装置を、SARを測定するために使用される人間の身体のファントムに対する様々な環境、方位、および位置に配置してもよい。例えば、ファントムを無線装置の「面」から特定の分離距離(例えば、5mm)に配置してもよい。面をサーフェスと称してもよく、例として、立方体は6つの面またはサーフェスを有する。SARが測定される所与の位置で、無線装置内部の静電容量センサのキャパシタのキャパシタンス値を測定し、ファントムに対する無線装置の位置と最も近いサーフェスに関連付けてもよい。
【0024】
図4は、人間の身体380に近い無線装置351を示す。無線装置351は、第1の面352に配置された一次アンテナ365と第2の面353に配置された二次アンテナ375、ならびに、複数のキャパシタンス・センサ356を備えてもよい。1実施形態では、一次アンテナ365、二次アンテナ375、およびキャパシタンス・センサ356を、構造300の第1のアンテナ310、第2のアンテナ320、およびキャパシタンス・センサ330/340と同様に構成してもよい。本明細書で論じたように、キャパシタンス・センサ356を無線装置に戦略的に配置して、適切なキャパシタンス・データ、例えば、第1のサーフェス352および/または第2のサーフェス353に対する人間の身体380の相対的近接度の判定を可能とするかまたは促進するデータを収集できるようにしてよい。
【0025】
図5は、適切なデューティ・サイクルと無線装置のサーフェスに関連付けるべきキャパシタンス領域とを決定するための方法400の1実施形態の流れ図である。方法400を、キャパシタンス領域と、1つまたは複数のアンテナに関連付けられた無線装置に対するSAR値とを決定するために適用してもよい。方法400をアンテナごとに適用して、アンテナごとにキャパシタンス領域と関連するSAR値を生成してもよい。方法400では、2つのキャパシタが例示の目的で存在と近接性の判定に使用されていると仮定しており、したがって、2つのキャパシタンス値をキャパシタごとに1つ測定してもよい。あるいは、存在と近接性の判定のために1つのキャパシタを使用するか、または、3つ以上のキャパシタを使用してもよい。単一のキャパシタは人間の身体の存在と近接性を何らかの精度で検出するために有用であるかもしれないが、より高い精度で近接性を検出するためには複数のキャパシタの測定値が有用であるかもしれない。近接性の測定精度は一般にキャパシタの数とともに増大する。
【0026】
ステップ410では、無線装置は人間のファントムから最も近い可能な分離距離に配置される。当該無線装置を、特定のサーフェスが人間のファントムの最も近くにあるように配置してもよい。次にステップ420では、第1の複数のキャパシタンスC
X1およびC
Y1を測定してもよい。次にステップ430では、FCCのような1つまたは複数の規制組織により規定された位置(ファントムに対する距離および相対的方位)に無線装置を移動する(例えば、無線装置とファントムが5mm離れている)。即ち、人間の身体に対する無線装置の位置と方位をユース・ケースと考えてもよい。送信電力を最大電力P
MAXに設定してもよく、送信デューティ・サイクルを100%に設定してもよい。この100%とは、最悪ケースのSARシナリオを表す。次のステップ440で、SARを当該位置でS0として測定する。
【0027】
次にステップ441で、S0をターゲットSAR値SAR
TARGETと比較する。SAR
TARGETは、例えば、当該ユース・ケースに関するターゲットSAR値であってもよく、または、別の例として、何らかの設計マージンを有するFCCで規定されたSAR露出限界であってもよい。S0≦SAR
TARGETの場合には、この特定の構成に対してSAR制御は必要でない。S0>SAR
TARGETの場合には、S0<=SAR
TARGETまで送信電力を削減する(ステップ442)。ステップ445で、送信電力をP0と記録し、当該送信電力を最大電力に再設定する。無線装置を移動して、人間のファントムに対する無線装置の方位をほぼ同一に保ちつつ、人間のファントムからの距離を増大させてもよい。ステップ460で、当該SARを当該位置で測定し、SARの値をS1として表す。ステップ470で、S1≦SAR
TARGETかどうかを判定する。S1がSAR
TARGET以下ではない場合には、ステップ450に戻る。S1がSAR
TARGET以下である場合には、ステップ480に進み、第2の複数のキャパシタンス、C
X2およびC
Y2を、2つのキャパシタごとに1つ、測定してもよい。
【0028】
方法400は、特定のユース・ケースP0に対応するパラメータC
X1、C
Y1、C
X2、およびC
Y2を生成する。キャパシタンス領域を、当該ユース・ケースと関連付けるべきこれらの測定値に基づいて、C
X1とC
X2の間にある第1のキャパシタの測定されたキャパシタンスC
1と、C
Y1とC
Y2の間にある第2のキャパシタの測定されたキャパシタンスC
2として指定してもよい。数学的に述べると、領域RをR={C
1∈(C
X1、C
X2)、C
2∈(C
Y1、C
Y2)}として指定してもよい。
【0029】
P0が厳密にP
MAX未満であると仮定すると、SARが近接領域に対するSAR
TARGET以下となるように無線装置のデューティ・サイクルおよび/または送信電力を減らしてもよい。例えば、当該デューティ・サイクルをP0/P
MAXに設定して、SAR
TARGETがユース・ケースに関して超過しないようにしてもよい。あるいは、送信電力を因子P0/P
MAXだけ減らして、SAR
TARGETが当該ユース・ケースに関して超過しないようにしてもよい。
【0030】
可能なユース・ケースおよび対応するSARテスト構成ごとに、1組のパラメータ(P0、C
X1、C
Y1、C
X2、およびC
Y2)をアンテナごとに取得してもよい。複数のアンテナを有する無線装置に関して、送信電力P0を電力のベクトル(P
0A、P
0B、・・・)で置き換えることができる。当該アンテナを、同時送信に対するSAR値を取得するために同時送信している間にテストしてもよく、あるいは、アンテナが単体で送信している間に、取得した各アンテナからのSAR値を加算することによって同時送信に対するSAR値を推定してもよい。同時送信のケースでは、ステップ442で、1つまたは複数の送信器の電力を送信器ごとの優先度と実際の設計要件に従って減らしてもよい。
【0031】
多くのデータ・アプリケーションでは、無線送信がバースト的であり、データが短いバーストで送信されてその後に沈黙期間が続くことがある。例えば、Wi−Fiとも呼ばれるIEEE802.11標準では、ウェブ閲覧に関連するデータ送信のようなデータ送信がバースト的であることがある。デューティ・サイクル制御は、連続的または定期的に送信するように構成された通信システム、例えば音声送信とは対照的に、バースト的に送信されるように構成された通信システムに対して好適でありうる。バースト送信に対して、電力が減った場合でも高次変調を使用できるのに十分なほど無線チャネル条件が好ましい場合には電力バックオフを使用してもよい。例えば、802.11システムでは、RSSI(Received Signal Strength Indicator)が十分に大きい場合には、スループットに逆影響を与えることなく電力バックオフを使用してもよい。以下で説明するように、一般的に、チャネル指標メトリックが閾値未満であるときにデューティ・サイクル制御を使用し、当該チャネル指標メトリックが閾値を超えるときには電力バックオフを使用してもよい。
【0032】
図6は、様々なユース・ケースに対応するキャパシタンス領域500の1例の1実施形態のグラフである。当該グラフのx軸は第1のキャパシタの測定値を示し、当該グラフのy軸は第2のキャパシタの測定値を示す。キャパシタンス領域R
1乃至R
4は無線装置の4つの異なるユース・ケースに対応し、各領域は、x軸上の値で示した第1のキャパシタのキャパシタンスの範囲と、y軸上の値で示した第2のキャパシタのキャパシタンスの値の範囲によって定義してもよい。キャパシタンス領域R
1乃至R
4は、例えば、無線装置の4つの異なるサーフェスに関する人間の身体(例えば、ユーザ)に対する無線装置の方位のユース・ケースに対応してもよい。当該無線装置がスマート・フォンである場合、例えば、サーフェスの1つがタッチ・スクリーンを備えたサーフェスでありうる場合には、領域R
1が例えばタッチ・スクリーンに対する人間の身体の近接性を示してもよい。
【0033】
キャパシタンス領域R
FSは、無線装置が本質的に自由空間に存在するケース、即ち、当該装置の近傍にありうる任意のオブジェクトが測定されたキャパシタンスに及ぼす影響が無視できるケースに対応する。このケースのキャパシタンス領域R
FSを、様々なラップトップおよび様々なUSBスロットに配置したUSBドングルのように、当該無線装置を様々な構成で配置することによって決定してもよい。各位置にある複数の測定値を取得し、平均化して結果を生成してもよい。キャパシタンス領域R
FSを、測定の結果として取得されるC
X1、C
X2、C
Y1、およびC
Y2により定義してもよい。装置が当該領域で動作している場合には、人間の身体が存在せずSARが問題とならないことを測定されたキャパシタンスが示すので、デューティ・サイクルが100%であり送信電力が最大電力であるべきである。
【0034】
キャパシタンス領域R
NUは、無線装置の「通常利用」に対応し、理想的な構成では、R
FSと同じ領域であろう。しかし、R
NUとRFSの間に変形が存在してもよい。例えば、通常利用が、木の机に置かれた無線ルータ、または、液晶ディスプレイに近い位置に配置されたデータ・カードを含んでもよい。
【0035】
R
NUとR
1乃至R
4のようなユース・ケースの間に重複があってもよい。R
NUとR
1乃至R
4のようなユース・ケースの間に広範囲の重複がある場合には、重複を減らすために静電容量センサを無線装置内部で互いに対して再配置する必要があるかもしれない。
【0036】
領域R
1乃至R
4の各々を方法400のステップに従うことによって生成してもよく、領域R
1乃至R
4の各々は関連するデューティ・サイクルと電力バックオフを有し、それらの1つをチャネル条件に応じて使用してもよい。当該領域の一部が互いに重複してもよい。例えば、領域R
3とR
4が
図6に示すように重複する。重複領域は測定したキャパシタンス値からユース・ケースを判定する際の曖昧さを表す。例えば、測定したキャパシタンスが
図6の重複領域にある場合には、2つの領域R
3またはR
4のうちどちらを適用するかを判定することは難しい。複数の領域が互いに重複する場合には、様々な領域のうち最低のデューティ・サイクルと電力バックオフを重複領域に関連付けるべきである。最低のデューティ・サイクルが最低のSAR値をもたらすので最低デューティ・サイクルを選択してもよく、それにより、異なる領域に対応する異なるユース・ケースのうちどれが生じてもSAR要件が満たされることが保証される。あるいは、チャネル条件が十分に好ましい場合には、異なる重複領域に対応する最大の電力バックオフを選択してもよく、その結果、SAR値が最低となるはずである。
【0037】
様々なキャパシタンス領域および対応するデューティ・サイクルおよび電力バックオフが上述の実験的手続きにより決まると、当該領域および対応するデューティ・サイクル/電力バックオフを無線装置の静的メモリに情報のテーブルまたはデータベースとしてロードしてもよい。当該情報を、無線装置のデューティ・サイクルと送信電力を調節するための方法600の実施形態で使用してもよく、これを
図7の流れ図として示す。方法600は単一のアンテナを介した送信に適用される。この状況は、1つのアンテナのみを有する無線装置で生ずるか、または、アンテナのうち1つだけが送信に使用されるようにした複数のアンテナを具備した無線装置で生じうる。同時に送信する複数のアンテナの送信デューティ・サイクルおよび電力バックオフを調節するための手続きはより複雑である可能性があり、後でその手続きを説明する。
【0038】
方法600は、ステップ610で開始し各「制御期間」の終了時にステップ610に戻る。当該制御期間の長さを出来るだけ短く選択してユーザが気づかないようにしてもよい。当該長さはSARテストの間にSAR値を決定するのに使用する時間よりも長くないべきである。方法600の諸ステップにおいて、制御期間ごとにデューティ・サイクルと電力レベルを以下のように選択する。ステップ610で、装置の状態と人間の身体に対する近接性を決定してもよい。当該装置の状態が、例えば、アンテナが有効であるかどうか、(装置が折畳み式携帯電話である場合に)電話が開状態または閉状態であるかどうか、および/または(装置がスライド式のキーボードである場合に)キーボードがスライド位置にあるかどうかを含んでもよい。アンテナ状態を、例えば、
図1で説明したアンテナ状態回路140を用いて決定してもよい。人間の身体に対する近接性の判定には、人間の身体が近くに存在するかどうかを判定し、近くに存在する場合には装置と人間の身体の距離および装置に対する人間の身体の位置を決定すること(例えば、ユース・ケースを特定すること)が含まれる。これらの判定を、静電容量センサのキャパシタンスの測定値を用いて行ってもよい。例えば、2つのキャパシタを使用する場合には、
図6と同様に測定値をキャパシタンス領域に対して比較することができ、キャパシタンス領域に関連付けられた送信デューティ・サイクルを選択してもよい。
【0039】
次にステップ615で、SAR制御が必要かどうかの判定を行ってもよい。当該判定が、ステップ610で決定した装置状態情報に基づいてもよい。例えば、ステップ610でアンテナが無効であると判定された場合には、SAR制御は必要でない。別の例として、
図6に示すように測定したキャパシタンスがキャパシタンス領域R
FSにあると判定された場合には、例えば、装置が自由空間に存在すると推定されるためSAR制御が必要でなくてもよい。しかし、
図6に示すように、測定したキャパシタンスがキャパシタンス領域R
1にあるとステップ610で判定された場合には、例えば、人間の身体が近くにあると推定してもよく、したがって、電力バックオフのデューティ・サイクル制御の形のSAR制御が望ましいかもしれない。
【0040】
ステップ615で、SAR制御が必要であると判定された場合には、ステップ625で、チャネル指標メトリックが閾値未満であるかどうかを判定する。当該チャネル指標メトリックが、受信信号強度、または、SNR/SNIR、即ち、信号対雑音比もしくは信号対雑音干渉電力比、または、無線装置と意図した受信器の間のチャネル条件の好適性の指示を提供する他の任意のメトリックであってもよい。当該受信信号強度は、無線装置と基地局/アクセス・ポイントの間の経路損失に関連するものである。当該チャネル指標メトリックを、制御期間ごとのように、継続的に監視してもよい。原則として、チャネル条件がステップ625で決定されたように十分に好ましい場合には、ステップ665乃至680で電力バックオフを使用してもよい。そうでない場合には、ステップ630乃至660で送信デューティ・サイクル制御を使用してもよい。電力バックオフと送信デューティ・サイクルの間の頻繁な切替えを回避するために、ヒステリシスを実装してもよい。例えば、複数のチャネル指標メトリック閾値を使用して、送信デューティ・サイクル制御が選択されたときに、次の反復で電力バックオフを選択するのがより難しいようにしてもよく、その反対も可能である。以下の例では1つの例を与える。方法600の1回の反復において、チャネル指標メトリックが第1の閾値より小さい場合には、ステップ630乃至660で送信デューティ・サイクル制御を使用してもよい。次の反復で、当該第1の閾値より大きい第2の閾値を使用してもよい。これにより、電力バックオフではなく送信デューティ・サイクル制御が第2の反復で適用される可能性がより高くなることが保証されるはずである。第1の反復において電力バックオフが選択される場合には2つの閾値を有する同様な手続きを使用して、後の反復において電力バックオフが選択される可能性がより高いようにしてもよい。
【0041】
チャネル指標メトリックが閾値より小さいとステップ625で判定された場合には、方法600はステップ630に進んで、ステップ610で決定した推定された人間の近接性と装置状態に基づいて送信時間の割当てを決定する。送信時間の割当てを、デューティ・サイクルに制御期間を乗ずることで決定してもよい。
【0042】
次にステップ635で、タイマを開始し、送信時間のカウンタを初期化してもよい。当該送信時間カウンタにより、どれだけ多くの時間だけアンテナが送信していたかの中間結果を計算してもよく、タイマが時間の中間結果を追跡してもよい。ステップ640では、送信時間カウンタが、どれだけ多くの時間だけアンテナがデータを送信しているかを追跡する。判定ブロック645で、タイマが切れたかどうかを判定する。タイマが切れた場合には、これは制御期間が終了したことを示唆し、方法600をステップ610からやり直す。タイマが切れていない場合には、方法600は判定ブロック650に進み、送信時間の割当てを超過したかどうかを判定する。
【0043】
送信時間の割当てを超過した場合には、ステップ655および660で制御期間の残りに対して送信を禁止する。ステップ655での送信禁止を実現できる2つの実装形態がありうる。第1の実装形態では、データの制限を利用してもよい。例えば、データ待ち行列からデータが受信される速度を大幅に低下させて、対象のデューティ・サイクルを実現するのに十分な時間だけデータ送信を禁止できることを保証してもよい。データの制限では、パケットを破棄することなくデータ速度を低下させてもよい。第2の実装形態では、制御信号を使用して、受信器が送信器からのデータを期待している場合でも送信器を強制的にオフにしてもよい。「オフ」期間中の送信に対してスケジュールされたデータ・パケットはスキップされる。かかる実装形態の結果、データ・パケットの損失につながりうる。当該損失は、例えばハイブリッド自動再送方式のような再送方式によって回復できる。既存の通信標準を用いて第2の実装形態を実装してもよい。例えば、IEEE802.11a/b/g/nでは電力節約モードを実装している。当該モードを使用して、或る時間部分だけ送信するように送受信器を構成することができる。HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)、HSPA+(Evolved High Speed Access)、およびLTE(Long Term Evolution)システムでは、不連続送信を定義することができ、不連続送信を無線装置に対して構成することができる。低レベルのソフトウェアを修正し通信標準の標準的機能を用いることによって、適切な通知を当該通信戦略の受信装置に送信して、パケット損失と再送を回避してもよい。ステップ660でタイマが切れた場合には、これは制御期間が終了したことを示唆し、方法600をステップ610からやり直す。
【0044】
ステップ615に戻ると、SAR制御が必要でない場合には、方法600はステップ620に進み、100%のデューティ・サイクルを制御期間の持続期間に使用することによって送信を行うことができる。制御期間が終了したときには、プロセスはステップ610からやり直す。
【0045】
ステップ625に戻ると、チャネル指標メトリックが閾値を超えた場合には、方法600はステップ665に進んで、ステップ610で決定した推定された人間の近接性と装置状態に基づいて送信電力バックオフを決定する。ステップ670で、タイマを開始してもよい。次にステップ675で、無線装置が選択された電力レベルで任意の利用可能なデータを送信する。判定ブロック680で、タイマが切れたかどうかを判定する。切れていない場合には、無線装置は選択された電力レベルで送信し続ける。タイマが切れた場合には、これは制御期間が終了したことを示唆し、プロセスはステップ610からやり直す。
【0046】
同時に送信できる複数のアンテナを有するシステムでは、デューティ・サイクルと電力バックオフを選択するための方法はより複雑であるかもしれない。例えば、第1のアンテナが第1の種類のトラフィック(例えば、音声)を送信し、第2のアンテナが第2の種類のトラフィック(例えば、データ)を送信する場合には、SARの制御において一方の種類のトラフィックを別の種類のトラフィックに対して優先してもよい。この場合、SRA要件を満たすために、高優先度のトラフィックよりも低優先度のトラフィックを低い電力レベルまたは低いデューティ・サイクルで送信してもよい。両方のアンテナが特定の種類のトラフィックを協働的に送信する場合(複数入力複数出力データ送信)には、各アンテナの電力レベルまたはデューティ・サイクルを同一の値に設定してもよい。
【0047】
方法600では、デューティ・サイクルの計算における信号送信または参照信号送信に予約されたタイムスロットを明示的に考慮しなくともよい。例えば、HSPA+やLTEのような特定の電気通信標準に従って実装されたシステムでは、信号送信、参照、および/または制御送信に予約された特定のフレームおよび/またはサブフレーム(一般にタイムスロットと呼ばれる)を有する同期送信が使用される。無線装置が、予約されたタイムスロット中に情報を送信する必要があってもよい。かかるシステムでは、タイマと制御期間をシステムのクロックおよび/またはシステムのフレーム境界と同期してもよい。予約された送信を、送信時間の割当てが超過したかどうかに関わらず可能としてもよい。あるいは、送信デューティ・サイクル制御において、例えば、予約された送信の送信時間を予約された送信が行われる前に累積送信時間に追加することによって、これらの予約された送信を考慮し、予約されていない送信を前もってブロックすることによって当該アルゴリズムが予約された送信のためのスペースを生成するようにしてもよい。このように、方法600は、同期システム、非同期システム、ならびに予約された送信を伴う期間および予約された送信を伴わない期間に対応することができる。
【0048】
図8は、同期通信システムにおける送信の1実施形態のタイミング
図700であり、定期的な予約された送信を有する。当該タイミング図は、ターゲットが50%のデューティ・サイクルである場合の送信デューティ・サイクル制御を示す。本図では、2種類の送信が存在する。一方は、正しいシステム動作に必要な定期的な予約された送信であり、もう一方はランダム・データ送信である。定期的な予約された送信がシステム情報または制御情報を含んでもよい。10個のタイムスロットを含む固定フレームまたはサブフレームに対応する期間が示されている。3つのフレーム/サブフレームが710、720、および730として示されている。タイムスロット715はランダム・データ送信の1例であり、タイムスロット735は定期的な予約された送信の1例である。50%のデューティ・サイクルは、フレーム/サブフレームごとの10個のタイムスロットのうち5つの間の送信に対応する。定期的な予約された送信を、本例での設計による5個のタイムスロットごとに行ってもよく、各フレーム/サブフレームにおける最初と5番目のタイムスロットを、本例における制御送信のような定期的な予約された送信に予約してもよい。
【0049】
第1のフレーム/サブフレーム710では、3番目のランダム・データ送信の後の送信は禁止される。なぜならば、5個のタイムスロットの割当て(定期的な予約された送信に対して2つのスロット、および、ランダム・データに対して3つのスロット)に達したからである。禁止期間中はデータを待ち行列に入れるかまたは破棄してもよい。2番目のフレーム/サブフレーム720では、送信を禁止する必要はない。なぜならば、5個のタイムスロットの割当てに到達していないからである(定期的な予約された送信に対して2つのスロットがあり、ランダム・データのスロットは2つしかない)。1番目のフレーム/サブフレーム710の間に待ち行列に入れられた任意のデータを、2番目のフレーム/サブフレーム720の間に送信してもよい。3番目のフレーム/サブフレーム730では、4番目のタイムスロットの後にランダム・データの送信が禁止される。なぜならば、タイムスロット735において行われなければならない定期的な予約された送信がさらに1つ存在することが予想されうるからである。当該送信により、5個のタイムスロットにおける送信の全て(定期的な予約された送信に対する2つのスロットとランダム・データに対する3つのスロット)が与えられる。5番目のタイムスロットに対して利用可能な任意のデータを予めブロックして、フレーム/サブフレーム730の6番目のタイムスロットにおける定期的な予約された送信に対するスペースを生成する。あるいは、幾つかの適用事例では、制御送信に予約されたタイムスロット(例えば、
図8における各フレーム/サブフレームの最初の5番目のタイムスロット)中に、制御送信のような定期的な予約された送信の代わりにデータを送信できるようにしてもよい。
【0050】
図9は、無線装置における近接性検出を提供するためのシステム800の1実施形態の略図である。システム800は、m個のキャパシタC
X1820乃至C
XM830を備える静電容量センサ810と、アナログ・キャパシタンスを測定し測定したキャパシタンスをデジタル形式で出力するCDC840を備える。mは整数である。
【0051】
当該システムは、センサ−1850からセンサ−n860とラベルを付したn個のセンサも備える。nは整数である。当該センサをハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装してもよく、当該センサを、(
図1のアンテナ状態回路140のような1つまたは複数のアンテナ状態回路を用いて)1つまたは複数のアンテナが有効であるかどうかといった、無線装置に関する情報を決定するために使用してもよい。センサ850乃至860が、装置が折畳み式携帯電話である場合に電話が開状態または閉状態にあるかどうか、および/または、装置がスライド式のキーボードである場合にはキーボードがスライド位置にあるかどうか、および/または、
図7の方法600で使用した信号対雑音比またはRSSI(Received Signal Strength Indicator)のようなチャネル指標メトリックを判定してもよい。
【0052】
センサ850乃至860の1つが、特定のアンテナに対する期間中の累積送信時間を決定できてもよく、それにより、
図7のブロック640の実装を支援する。物理層またはMAC(Medium Access Control)層を修正することなく、送受信器またはモデムからの送信器または電力増幅器のイネーブル信号に基づいて送信時間をカウントしてもよい。イネーブル信号の定期的な問合せを使用して総送信時間を累積することができる。これを、ソフトウェア・ロジックまたはハードウェア・ロジックにより容易に実装することができる。あるいは、何らかのプロトコルを修正することで、総送信時間を決定するためのソフトウェア実装が可能となりうる。例えば、夫々の送信された物理層パケットの数、タイプ、および長さを或る期間において決定し、プロセッサ880および/または上位のプロトコル層に提供してもよい。当該総送信時間を当該情報に基づいて決定してもよい。
【0053】
静電容量センサ810とセンサ850乃至860はプロセッサ880に対する入力を提供する。プロセッサ880は、電力バックオフまたはデューティ・サイクル制御が望ましいかどうかを判定するための
図7の方法600と同様なステップを実装してもよい。プロセッサ880を、1つまたは複数の中央演算装置(CPU)として実装してもよく、または、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であってもよい。プロセッサ880がメモリ870にアクセスしてもよい。メモリ870は、送信デューティ・サイクルまたは送信電力をSAR制御のために変更すべきかどうかの判定を支援するために、
図6と同様なキャパシタンス領域と関連する送信デューティ・サイクルおよび電力バックオフ値を格納してもよい。
【0054】
少なくとも1つの実施形態を開示した。当業者が行う当該実施形態(複数可)および/または当該実施形態(複数可)の特徴の変形、結合、および/または修正は本発明の範囲内にある。当該実施形態(複数可)の特徴を結合し、統合し、かつ/または省略した結果である代替的な実施形態も本発明の範囲内にある。数値範囲または数値限定を明示的に述べたが、かかる明示的な範囲または限定は、当該明示的な範囲または限定に入る同様な大きさの反復的な範囲または限定を含むと理解できる(例えば、約1から約10とは2、3、4等を含み、0.10より大きいとは0.11、0.12、0.13等を含む)。例えば、下限R
lおよび上限R
uを有する数値範囲を開示したときには常に、当該範囲内に入る任意の数が具体的に開示されている。特に、当該範囲に入る以下の数が具体的に開示されている。即ち、R=R
l+k*(R
u−R
l)である。ここで、kは1パーセントの増分で1パーセントから100パーセントまで変化する変数である。即ち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、または100パーセントである。さらに、上で定義した2つのRの数で定義される任意の数値範囲も具体的に開示されている。請求項の任意の要素に関して「場合によっては」という用語を使用することは、当該要素が必要であること、または、当該要素が必要でないことを意味し、その両方の代替物が当該請求項の範囲内にある。備える、含む、および有するといったより広範囲の用語を使用することは、〜から成る、本質的に〜から成る、実質的に〜から構成されるといったより狭い範囲の用語をサポートするものと理解できる。したがって、保護範囲は上述の説明によっては限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される。当該保護範囲は、諸請求項の発明特定事項の全ての均等物を含む。各請求項および全請求項はさらなる開示事項として明細書に取り込まれ、諸請求項は本発明の実施形態(複数可)である。本開示における文献の議論はそれが先行技術、特に、本願の優先日より後の公開日を有する任意の文献であると認めたものではない。本開示で引用した全ての特許、特許出願、および刊行物は、それらが本発明を補完する例示的な詳細、手続的な詳細、または他の詳細を提供する限りにおいて、引用により本明細書に取り込まれる。
【0055】
幾つかの実施形態を本明細書では提供したが、開示したシステムおよび方法を本発明の趣旨または範囲から逸脱しない他の多数の具体的な形態で具体化できることは理解される。本明細書における種々の例は例示的であり限定的ではないと考えるべきであり、本発明は本明細書で与えた例には限定されない。例えば、様々な要素または構成要素を別のシステムにおいて結合もしくは統合してもよく、または、特定の機能を省略するか実装しなくともよい。
【0056】
さらに、様々な実施形態で離散的または別個のものとして説明し図示したシステム、サブシステム、および方法を、本発明の範囲から逸脱することなく他のシステム、モジュール、技術、または方法と組み合わせるかまたは統合してもよい。互いと結合もしくは直接的に結合または通信するとして図示または説明した他の項目を、電気的、機械的、またはそれ以外の方法で何らかのインタフェース、装置、または中間体を介して間接的に結合するかまたは通信させてもよい。他の変更、置換、および代替の例は当業者により解明可能であり、本明細書で開示した趣旨と範囲から逸脱することなく実施することができる。