(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶手段により連続して記憶されたデータを日ごとで区分けしたデータに基づいて、所定の検出時間帯の複数日分の平均水道使用量が使用状態であり、現在の前記検出時間帯の水道使用量の合計値が未使用状態であるとき、当該住戸の前記安否情報を更新する、短時間未使用検出手段を更に備える、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の安否監視機能を有する水道量集中検針装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る、計測手段とは、集中検針装置が水道メータからの電気信号を受信し、各住戸の水道使用量を計測することである。
【0030】
本発明に係る、安否監視機能を有する水道量集中検針装置とは、マイコン、RAM、ROM、リアルタイムクロック(RTC)、I/O、通信I/F、不揮発メモリ、表示器、操作I/F等で構成される計測記録装置である。計測データ、判定結果、パラメータ等の処理データは主に不揮発メモリに記憶保管される。
【0031】
以下、安否監視機能を有する水道量集中検針装置を集中検針装置という。
【0032】
この集中検針装置は戸外に設置されるが、戸外とは、主に集合住宅の敷地内の一画を指す。
【0033】
また、集合住宅に限らず、住宅街の町内等にて、各住戸の水道メータと接続し、町内等の共用施設等に集中検針装置を設置する事でも実現可能である。
【0034】
1人が1日に使用する平均水道使用量は約200〜300リットルと言われている。
使用する水道メータは、パルス出力付き、アナログ出力付き、電文出力付きのもの等があり、信号出力する最小計測量が、1リットル未満、1リットル、10リットル、100リットル、1000リットル等がある。
【0035】
本発明で使用する水道メータの最小計測量は、上記1日の平均水道使用量から鑑みて、10リットル以下、できれば1リットル以下の電気信号を出力するものが望ましい。
【0036】
通常の集中検針装置は、上記信号出力付き水道メータからの電気信号を読み込み、パルス信号の積算計数、アナログ信号のスケール変換、電文解析等の処理を行い、日報や月報などの水道使用量の表示や印字を行う。
【0037】
水道使用量のみで安否確認を行う方法は、対象者が通常の時間内に、通常使用するはずの水を使用していない場合や、水が流れ続けている状態であるなど、異常に水を使用している場合でも異常と判別することで行う。
【0038】
使用量を判定する基準となる時間を単位時間という。単位時間とは、使用量を計測する最小の時間間隔であり、短時間である程、より詳細に使用状況を把握できるが、より詳細な水道量を計測する水道メータを使用する必要がある。
【0039】
また、最小計測単位が大きい水道メータでは、最小計測値が現れるまで時間がかかるため、単位時間を大きくする必要がある。
【0040】
各住戸の単位時間は、可変できるようにしている。上述の1日の平均使用量から1時間あたり平均して10リットル程度使用すると考えれば、水道メータの最小計測量が1リットルの場合、30分〜1時間程度、10リットルの場合は1時間〜2時間程度、100リットルの場合は12時間〜24時間程度、1000リットルの場合は4〜5日程度などとすれば良い。
【0041】
このように単位時間は、水道メータの最小計測単位により変化する。
【0042】
安否判定は上述の単位時間を基に行うため、単位時間が長くなるほど、安否判定に時間を要する。このため、使用する水道メータは、最小計測量が10リットル以下、できれば1リットル以下のものを使用し、単位時間を1時間程度に設定するのが望ましい。
【0043】
計測された単位時間あたり使用量は、記憶手段により、マイコンの内蔵タイマーやRTCを基準とした単位時間経過ごとに継続して記憶される。例えば、単位時間が1時間とすれば、1時間毎の使用量が順にメモリエリアへ配置されていく。
【0044】
また、計測データを格納するメモリエリアには、単位時間あたり使用量の他、各住戸の日報使用量や、月報使用量、年間使用量などの計測データが記憶される。
【0045】
上述の記憶手段による単位時間あたりデータの記憶数は、対象戸数や集中検針装置の記憶部容量によるが、仮に記憶容量128キロバイトとして、戸数が40件で、使用量データをバイナリ2バイトで表せば、1住戸あたり1638回の単位時間データを記憶できる。これは、仮に単位時間を1時間とした場合、約2ヶ月分のデータが確保できる事になる。
【0046】
安否情報とは、未使用判定手段、放出判定手段、短時間未使用検出手段、及び留守変遷手段での対象となる住戸の名称(部屋番号等)や、発生・解除時の時間、発生内容或いは解除内容等の情報である。
【0047】
この安否情報が更新されると、通報手段によりパラメータ設定手段により設定されている通報先メールアドレスへ電子メールによる通報が行われる。
【0048】
この安否情報を記憶手段のメモリエリアへ連続記憶し、閲覧できるようにすれば、通報履歴としての情報を提供できる。
【0049】
水道量が未使用状態であるとは、未使用閾値以下であることを表す。未使用とは、通常は使用量がゼロの状態であるが、水道メータの器差や環境等により、微量の検出量が蓄積され、使用量が表れてしまうような場合を考慮し、未使用閾値で補正される。
【0050】
水道量が使用状態であるとは、未使用状態でない状態をいう。
【0051】
未使用判定とは、単位時間あたりの使用量が、未使用である状態が、所定時間継続した場合に異常と判定される。この所定時間のことを未使用判定時間といい、単位時間の倍数となる。
【0052】
上述の未使用判定時間は、対象者により異なるが、一般的に睡眠時間などを考慮すれば、6〜12時間程度に指定すれば良い。
【0053】
例えば、単位時間を1時間、未使用判定時間を12時間とした場合、1時間毎の使用量が12回連続して未使用状態であるときに、異常と判定される。
【0054】
以後、未使用状態が継続した場合、単位時間毎に異常と判定され、都度安否情報が更新され、通報が行われる。
【0055】
上述の連続とは、前回の使用状態から数えての連続となる。この未使用の通報は、対象者が水を使用した時点で解除となり、解除時にも通報を行うようにすれば、管理者への有用な情報となる。
【0056】
上述の未使用判定時間は、基本的にパラメータ設定により可変できるが、設定の手間を省いて、例えば12時間等と固定時間で使用するようにしても良い。
【0057】
しかし、未使用判定時間は、短すぎても不正な通報を頻発することになり得るし、長すぎても万が一の際に、手遅れになってしまうかもしれない。このように、未使用判定時間は、個人差に依るところが大きい。このため、できれば対象者に合わせ可変にすることが望ましい。
【0058】
個人差のある未使用判定時間を決定するには、対象者の生活様態を知る必要がある。そこで、対象者の連続した単位時間データを閲覧できるようにし、対象者の水道使用量から生活様態を確認する機能を備えれば、未使用判定時間を決定する参考になる。1週間程度のデータを参考にすれば、だいたいの生活リズムを把握できるであろう。
【0059】
未使用判定時間は、最初は長めに指定しておき、詳細な生活様態が判明したら、監視対象者の睡眠時間や外出時間などを参考に決定すれば良い。
【0060】
対象者が万が一の事態になったときが、入浴中などで水を出している状態であるかもしれない。このような状態になった場合でも通報を行えるのが、放出判定手段である。
【0061】
放出判定は、単位時間あたりの使用量が、一定量である状態が、一定時間継続した場合に異常と判定される。この一定時間のことを、放出判定時間といい、単位時間の倍数となる。
【0062】
上述の放出判定時間は、一般家庭では何時間も水を放出状態にすることは考えにくいので、3〜5時間程度に指定すれば良いであろう。
【0063】
この放出判定時間は、基本的に可変であるが、設定の手間を省いて、例えば3時間等と固定時間として使用するようにしても良い。
【0064】
例えば、最小計測量が1リットルで、単位時間を1時間、放出判定時間を4時間に設定した場合、1時間毎の使用量が4回連続して同一量であった場合に異常と判定される。使用量が同一量で無い場合は、異常と判定されない。
【0065】
以後、同一量である状態が継続した場合、単位時間毎に異常と判定され、都度通報が行われる。
【0066】
この放出判定の通報は、対象者の水道使用量に変化があった時点で解除となり、解除時にも通報を行うようにすれば、管理者への有用な情報となる。
【0067】
また、上述のパラメータ設定手段にて安否監視機能を無効としている住戸にも放出判定を行うようにすれば、漏水や人為的な水道放出状態の検知を兼ね、節水に役立つことが可能である。
【0068】
基本的に、上述の放出判定手段の使用量が一定量という概念に所定値指定は不要であるが、水道メータの最小計測量が10リットルなどと大きい場合、水道使用量がこの最小流量に丸められてしまうため、通常使用しているような場合でも、異常と判定してしまう恐れがある。このような場合には、判定時間を延ばして精度を上げると良い。
【0069】
また、最小計測量が100リットルや1000リットルなどと更に大きい水道メータを使用する場合、水道検出量が更に大きく丸められてしまい、連続した上記一定量が取れない。このような場合でも、放出判定の使用量に閾値等を設け、所定の時間に、この閾値を超えた場合に異常と判定すれば、放出判定をすることが可能である。
【0070】
また、使用環境によるが、最小計測量が1リットル以下の小さい水道メータを使用する場合、近隣の水道使用による水圧変化で計測量が変化する可能性があるため、別途、ヒステリシス等を設ける必要があるかもしれない。
【0071】
上述のように、対象者の安否判定は、単位時間あたりの使用量と、未使用判定時間や、放出判定時間に基づき判定されるため、単位時間及び判定時間が短いほど、万が一の際に、担当者は対象者へ迅速に駆けつけることができる。
【0072】
留守変遷手段は、監視対象者が、旅行や入院などで、長期外出するような場合に、留守状態へと変遷させる機能である。
【0073】
監視対象者が、長期外泊等の留守状態と判明したとき、管理者や担当者は、集中検針装置に対し、対象者が留守状態であると指定する事ができる。
【0074】
この留守状態の間、対象住戸の水道使用量による監視は行われない。水道使用量による監視とは、未使用判定手段及び短時間未使用検出手段による、安否情報の更新による通報のことである。これは、判定を行わないようにしても良いし、通報を行わないようにしても良い。この状態は、対象者が帰宅し水を使用して在宅状態となるまで継続される。
【0075】
また、万が一の事態が起き、対象者宅に管理者が駆けつけ、入院などの状態に至った場合でも、この留守状態にしておけば良い。
【0076】
上述のように、留守変遷手段では、留守状態の指定は人為的な操作により行われ、解除は自動で行われる。
この留守変遷手段により、対象者が不在で水道が使用されない場合の、不正な通報を防止することができる。
【0077】
留守状態へ変遷した情報や、在宅状態へ変遷した時に、前述の安否情報を更新させ、登録されている全管理者へ通報が行われるようにすると、全ての管理者が状況を把握でき、有用である。
【0078】
異常と判定された場合や、異常が解除された場合、及び上述の留守変遷時に、安否情報を更新する。
【0079】
パラメータ設定手段により予め登録されている管理者など通報先への通報内容は、この安否情報を記載した電子メールが送信される。
【0080】
前述の安否情報が更新されたときの通報は、インターネット回線を介して、電子メールによって行われる。電子メールであれば、特別な装置は不要で、携帯電話やスマートフォン等の個人所有による端末で容易に実現できる。
【0081】
通報されるメールの内容は、前述の対象者の名称や部屋番号等と共に、通報内容の情報を記載するようにする。また、同一メッセージ内に、現在発生中の他の通報内容や、留守状態の情報を記載するようにすれば、管理者にとって有用な情報となる。
【0082】
管理者や担当者は、常に固定の人員であるとは限らず、また、監視対象者が多いなどの場合、管理者や担当者は全ての監視対象者の情報を把握するのが困難となる。中には監視対象者と面識がない者もいるであろう。
【0083】
そこで、上述のパラメータ設定手段に、監視対象者の氏名・年齢・性別・本人の連絡先・備考などを予め設定できるようにし、上述した通報されるメールに、監視対象者のこれらの情報を記載するようにすると、万が一の通報の際、管理者や担当者は、監視対象者をすぐさま把握でき、本人に連絡を取るなど次の行動に迅速に対応することができる。また、備考には、監視対象者の近親者への連絡先等、様々な情報を記載することが可能である。
【0084】
また、パラメータ設定手段による通報先メールアドレスを変更することにより、管理者や担当者が当番制などの場合でも、適宜通報先アドレスを変更することにより対応可能である。
【0085】
また、パラメータ設定手段は、前述の通り、遠隔操作手段により遠隔地から操作可能となるため、実際の運用にも有効な機能となる。
【0086】
また、各住戸の日報や月報などの水道使用量データをメールに添付し、水道検針者へ送信できる機能を備えれば、通常の検針作業も現地に赴くことなく実現でき、集中検針装置としての導入優位性を高められる。
【0087】
前述の留守変遷手段の留守状態の指定は、主に集中検針装置本体への操作にて行うが、これを、インターネット回線を介して、PCやタブレット、スマートフォン等の外部情報処理端末のウェブブラウザ等から、集中検針装置のウェブサーバー機能にアクセスすることにより、特殊なソフトウェアも必要なく、遠隔から操作することが可能となる。これを遠隔操作手段と言う。
【0088】
この遠隔操作にて、留守変遷の他、前述のパラメータ設定手段も行えるようにすれば、監視対象者の情報などの文字入力もPCやスマートフォンで行え、より容易に変更できる。
【0089】
また、外部情報処理端末のウェブブラウザにより、現在までの連続した単位時間あたり計測データを閲覧できるようにすれば、前述の対象者の生活様態を把握して、未使用継続時間を指定するための参考となる。
【0090】
通信手段に接続されるインターネット回線は、基本的には通信会社等が提供するFTTH等の回線となるが、携帯電話会社等が提供する無線通信回線等を利用しても良い。一般的には、プロバイダへ接続するためのモデムやルータ等を併せて使用する必要がある。
【0091】
電子メールを使用する際は、別途プロバイダ等から提供された、メールサーバアドレスと送信元メールアドレス、認証用パスワード等が必要となる。
【0092】
また、上述のウェブサーバー機能は、集中検針装置と同一LAN環境内で行う必要があり、同一LAN内から外れた遠隔地から行う場合、集中検針装置に接続するインターネット環境は、固定IPアドレスを取得する必要がある。
【0093】
短時間未使用検出手段は、住戸ごとの検出時間帯(例えば3時間等)経過毎に検出を行う。
【0094】
対象住戸の、連続して記憶された単位時間あたり使用量を、1日ごとに区分(単位時間1時間なら24データ、単位時間3時間なら8データなど)し、複数日分のデータを得る。複数日分というのは、直近の連続した日数分でも良いし、記憶されているデータから曜日毎に揃える等にしても良い。
【0095】
上述の複数日分の検出時間帯のデータを抽出し、この抽出したデータの合計値を複数日数で割ることにより、検出時間帯の日ごと平均値を算出する。
【0096】
上述の算出された平均値と、同一時間帯の現在の合計値を判定基準とする。算出された平均値が使用状態であり、現在の合計値が未使用状態であれば、安否情報を更新し通報する。
【0097】
前述の未使用判定手段では、所定時間(6〜12時間など)連続して水道使用量が未使用状態の場合に通報となり、この場合、最低でも所定時間が経過しないと判定できないが、この短時間未使用検出手段により、過去のデータを利用し比較することで、検出時間を短縮できる。
【0098】
上述の検出時間帯は、可変としても良いし、3時間等の固定値としても良い。
【0099】
この検出時間帯は人間の行動パターンの誤差で決定すれば良い。
例えば、通常、朝起きてトイレに行く、顔を洗う等の行動を取るが、この行動の時間帯には、起床時間の誤差や行動時間の誤差がある。これを踏まえ、例えば、単位時間が1時間であれば、誤差を前後の1時間を取り、検出時間帯を3時間等とする。
【0100】
上記の短時間未使用判定手段は、データを取得するまでに時間がかかるため、最初のうちは導入できないが、時間が経過するにつれ記憶データが増えることにより実施可能となる。
【0101】
この短時間未使用判定手段に必要なデータ数は、連続日数であれば1週間分程度、曜日で検出する場合は1ヶ月程度、記憶データが必要となる。この連続日数が多いほど、検出精度は上がるため、前述した記憶手段の記憶数が増えるほど、精度が向上する。
【0102】
上記の短時間未使用検出手段による判定方法は、単位時間が1〜12時間等の1日未満であることが条件となる。
【0103】
ただし、対象者の生活リズムにばらつきがある場合、短時間未使用判定手段では検出できない可能性もあるため、前述の未使用検出手段も合わせて行う必要がある。
【0104】
前述の記憶手段において、メモリ容量に余裕が無い場合、単位時間毎の計測値をメモリエリアへ連続配置しなくとも、例えば、単位時間毎に計測値を参照し、未使用判定手段の場合は未使用状態の判定をし、放出判定手段の場合は前回の単位時間あたり計測値を記憶しておき前回と現在の使用量が同一であるかの判定をし、各判定結果によりそれぞれの連続カウンタ等をインクリメントするかリセットする処理を行えば、継続してメモリエリアに記憶する必要はなく、メモリ容量を節約できる。
【0105】
しかし、上記の手法を使用した場合、メモリ容量は節約できるが、上述の監視対象者の生活様態の閲覧や、短時間未使用検出手段を使用することはできない。
【0106】
集合住宅では、空室状態や、各住戸住人の年齢や家族構成などにより、安否監視の必要の無い住戸がある。そこで、パラメータ設定手段により、各住戸別に安否監視機能を無効とすることができる。
【0107】
安否監視機能を無効にした住戸は、未使用判定手段、短時間未使用検出手段による安否判定は行われなくなり、管理者への通報は行われなくなる。
【0108】
また、安否監視機能を無効にした住戸は、留守変遷手段の留守指定は行えなくなり、集中検針装置の表示や遠隔操作手段による外部情報処理端末の画面に当該住戸は表示されなくなる。
【0109】
ただし、安否監視機能を無効にしても、各住戸の水道使用量の計測記録動作は行われ、単に集中検針装置としての機能は果たす。
【0110】
また、安否監視機能を無効にしても、各住戸の放出判定手段は判定を行うことが可能で、漏水や人為的な水道放出状態の検知を兼ね、節水に役立つことが可能である。
【0111】
パラメータ設定手段では、通報先として複数の管理者のメールアドレスを設定でき、更に、住戸毎に近親者などの連絡先を指定でき、監視対象者の家族に通報することも可能となる。
【0112】
また、パラメータ設定手段により設定可能なメールアドレスには、通報先メールアドレスとは別に、検針者のアドレスも指定でき、計測記録された日報や月報などの集計データは検針者のみに送信できる。
【0113】
また、本発明に係る集中検針装置には、現場名称、各住戸の名称や部屋番号、IPアドレスなど、その他機能に必要なパラメータも設定できる。必要な場合、単位時間・未使用判定時間・放出判定時間なども設定可能である。
【0114】
メール通報を行うような装置は、フェールセーフにより1日1回程度、正常稼働メールを送信する機能等を備えるが、上述の留守状態は変遷時に更新されるのみであるため、集中検針装置の正常稼働メールに、留守状態である対象者のリスト等が掲載されるようにすれば、更に有用な情報となる。
【0115】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の安否監視機能を有する水道量集中検針装置のシステム全体構成図の一例である。
【0116】
集合住宅2に設置されている水道メータ21a〜21nは、各住戸の水道使用量を検出する上述の水道メータである。水道メータ21a〜21nからの信号は、集中検針装置1の計測手段10によって計測される。
【0117】
計測手段10によって計測された各住戸の計測データは、住戸毎の単位時間毎に、単位時間あたり計測データが記憶手段12に記憶格納される。
【0118】
また、上述したように、記憶手段12には、各住戸の日報値、月報値、年報値等も併せて記憶され、これらのデータを帳票にし、送信メールへ添付し、通報手段16により、水道検針者へ送信することも可能である。
【0119】
未使用判定手段13は、上述したように、パラメータ設定手段11により有効とされている住戸の記憶手段12に記憶格納された計測データに基づいて、各住戸の未使用状態を判定し、住戸毎の未使用判定時間に基づいて、連続して未使用状態の場合に、当該住戸の記憶手段12の安否情報を更新するようにしている。
【0120】
放出判定手段14は、上述したように、記憶手段12に記憶格納された計測データに基づいて、各住戸における水の放出状態を判定し、住戸毎の放出判定時間に基づいて、連続して放出状態の場合に、当該住戸の記憶手段12の安否情報を更新するようにしている。
【0121】
留守変遷手段15は、上述したように、パラメータ設定手段11により有効とされている住戸の留守、在宅の状態に合わせて、水道使用量による監視の有効、無効を切り替えるようにしている。
【0122】
また、監視対象者が長期外出等で留守であると判明した場合に、留守状態と指定することにより、水道使用量による監視を無効とし、記憶手段12の安否情報を更新し、監視対象者が帰宅し水道を使用した場合は、自動的に水道使用量による監視を再開し、記憶手段12の安否情報を更新するようにしている。
【0123】
通報手段16は、上述したように、記憶手段12の安否情報の更新に基づいて、該当する住戸の名称(部屋番号)や通報内容等の安否情報を記載した電子メールを作成し、パラメータ設定手段11にて予め設定されている通報先メールアドレスへ、通信手段17、及びインターネット通信網3を介して、外部情報処理端末4へ送信するようにしている。
【0124】
なお、通報手段16による電子メールの送信は、安否情報の更新による通報のみではなく、上述したフェールセーフにより正常稼働メッセージを送信する機能や、現在の通報発生状況を定期的に再送信する機能等を備えるようにしても良い。
【0125】
また、上述したパラメータ設定手段11による安否監視機能の有効・無効の設定、通報先メールアドレス、留守変遷手段15の留守状態の指定、及びその他設定値の設定は、各住戸それぞれに対応した設定値を装置本体の表示器やボタンによって設定できるようにしている。
【0126】
図2は、本発明の安否監視機能を有する水道量集中検針装置のシステム全体構成図の一例である。また、
図2は、上述した
図1に対応しており、同一部には、同一符号を付して説明を省略する。
【0127】
短時間未使用検出手段19は、上述したように、パラメータ設定手段11により有効とされている住戸の記憶手段12に記憶格納された計測データに基づいて、当該住戸の過去の複数日分のデータを基に、現在と同一検出時間帯における水道の使用状態、未使用状態を判定することで、記憶手段12の安否情報を更新するようにしている。
【0128】
遠隔操作手段18は、上述したように、通信手段17を介しブラウザ機能を具備した外部情報処理端末4からの要求を応答することにより、外部情報処理端末4から留守変遷手段15の監視対象者の留守状態の指定ができるようにしている。また、パラメータ設定手段11の各住戸の通報先のメールアドレス、各住戸の監視対象者の氏名、性別、年齢、連絡先等の情報や上述のその他の設定等ができるようにしている。また、記憶手段12に記憶格納された各住戸の計測データや、現在の通報発生状況についても閲覧することができるようにしている。
【0129】
このようにすることで、留守状態への切り替えや各パラメータ設定等を、インターネット通信網3を介して遠隔からであっても設定・閲覧できるようにしている。
【0130】
図3の本発明に係る未使用判定手段による通報発生の一例を示すタイミングチャートを参照して、上記構成における未使用判定手段13による動作の一例を、ある1つの住戸の例を用いて説明する。
【0131】
図3の横軸は時間を示し、縦軸の上段は計測された水道使用量、中段は水道使用状態をH、未使用状態をLで示し、下段を未使用判定手段13の判定結果として異常の判定をH、正常の判定をLで示す。さらに未使用判定時間は例として12時間設定とし、縦の一点鎖線で示す。また、直近の水道未使用状態t0からt1の未使用判定時間経過までを計測している様子を示している。
【0132】
ここで、
図3では、水道使用量が未使用判定時間の12時間、t0からt1で未使用状態と判定され、判定結果が異常の判定Hとなる状態を示している。
【0133】
図4の本発明に係る放出判定による通報発生の一例を示すタイミングチャートを参照して、上記構成における放出判定手段14の動作の一例を、ある1つの住戸の例を用いて説明する。
【0134】
図4は上述の
図3と同様に、横軸は時間を示し、縦軸の上段は水道使用量、下段は異常の判定をH、正常の判定をLで示す。さらに、放出判定時間は例として2時間と設定し、縦の一点鎖線で示す。
【0135】
ここで、
図4では、水道使用量が放出判定時間3時間、t0からt1で一定量と判定され、判定結果が異常の判定Hとなる状態を示している。
【0136】
図5の本発明に係る短時間未使用検出手段による、複数日分のデータと現在の水道使用量とを比較する一例を示す図を参照して、上記構成における短時間未使用検出手段18の判定方法の一例を、ある1つの住戸の例を用いて説明する。
【0137】
例として、
図5では、記憶手段12に記憶格納された1:00から0:00までの1日分の24時間データを、複数日分(7日間分)のデータとして表に示している。
【0138】
短時間未使用検出手段19による判定は、
図5の灰色実線枠内の過去の検出時間帯における過去7日分の合計値が「96」、1日当たりの平均値は「13.7」、約「14」となるため、過去7日間において水道使用の認められる時間帯であることを判別し、現在の検出時間帯における水道使用量の合計値が「17」であることから、水道使用状態が認められ、正常であると判定するようにしている。一方、同じ時間帯で、例えば検出された現在の水道使用量の合計値が上述の未使用状態の場合には、異常と判定するようにしている。
【0139】
つまり、
図5の例では、過去7日間における検出時間帯の1日当たりの平均値によって、当該時間帯に水道が通常使用されているかの判断を行い、現在の検出時間帯における水道使用状態と比較することによって、住人に異常が発生した際の判定時間を短縮できるようにしている。
【0140】
図6の集中検針装置による留守状態の設定を行う画面の一例を説明する。
【0141】
図6の設定画面例は、集中検針装置に具備された表示器(例えばタッチディスプレイモジュール)にて、留守設定を行う画面例であり、画面左枠の番号は名称や部屋番号を示し、画面右枠には在宅、留守を文字表示するようにしている。また、例として104号室の住人が留守の状態を示している。
【0142】
留守状態の設定は、部屋番号や部屋番号に対応した文字表示部や画面部品等をタッチ操作することで、留守状態に設定できるようにしており、在宅への設定変更は、当該住戸の水道が使用されると、自動的に在宅へ切り替わるようにしている。
【0143】
図7の外部情報処理端末による集中検針装置の留守状態の設定を行う画面の一例を説明する。
【0144】
図7の設定画面例は、ウェブブラウザ機能を備えた外部情報処理端末4のスマートフォンなどによる、留守状態設定を行う画面例であり、画面左枠には各住戸に対応する留守ボタンを設け、画面右枠は名称や部屋番号を示すようにしている。また、例として104号室の住人が留守中である状態を示している。
【0145】
留守状態の設定は、各住戸に対応したボタンや画面部品等をタッチ操作することで、留守状態に設定できるようにしている。
【0146】
図8の本発明に係る外部情報処理端末が受信する電子メールの一例を説明する。
【0147】
図8の電子メールは、上述した未使用判定手段13により異常が判定された場合の例であり、水道使用量が未使用判定時間連続して未使用状態であった場合の通報発生時の電子メールである。件名には現場の名称が記され、本文には通報発生時の日付時刻、パラメータ設定手段11により設定された監視対象者の氏名、年齢、性別、連絡先が記されている。
【0148】
左図の電子メールは、例として、タイトルには「未使用通報」が記され、107号室において「12時間連続して水道が使用されていない」旨のメッセージが送信される。なお、12時間は、未使用判定時間の設定値である。
【0149】
また、右図の電子メールは、左図の電子メールを受信した後、さらに、設定されている単位時間の1時間経過後に、水道が継続して使用されていない状態の電子メールの例である。つまり、未使用判定時間の12時間において、連続して水道が使用されていない状態が、さらに1時間経過したことで「13時間連続して水道が使用されていない」旨のメッセージが送信されるようにしている。
【0150】
なお、電子メールの下段には、複数の住戸において通報が発生している場合を考慮して、その他の住戸の通報の発生状況がメッセージで送信されるようにしている。左図では、104号室が留守状態である様子を示した例である。
【0151】
図9の本発明に係る外部情報処理端末が受信する電子メールの一例を説明する。また、
図9は、上述した
図8に対応しており、同一部は説明を省略する。
【0152】
図9の電子メールは、上述した放出判定手段14により異常が判定された場合の例である。水道使用量が放出判定時間連続して一定状態であった通報発生時の電子メールである。
【0153】
本文には、例として、タイトルには「放出通報」が記され、108号室において「3時間連続して水道が一定量流れている」旨のメッセージが送信される。なお、3時間は、放出判定時間の設定値である。
【0154】
図10の本発明に係る外部情報処理端末が受信する電子メールの一例を説明する。また、
図10は、上述した
図8に対応しており、同一部は説明を省略する。
【0155】
図10の電子メールは、上述した短時間未使用検出手段18により異常が判定された場合の例である。水道使用状態と判別された時間帯で、現在の検出時間内の水道使用量が、未使用状態であった通報発生時の電子メールである。
【0156】
左図は、例として、タイトルには「注意通報」が記され、109号室において「検出時間3時間の設定で、通常、水道を使用する時間帯で、水道が使用されていない」旨のメッセージが送信される。なお、3時間は、検出時間の設定値である。
【0157】
また、右図の電子メールは、左図の電子メールを受信した後、さらに、設定されている検出時間帯の3時間以内に、水道が使用された場合の「通報解除」の電子メールである。例として、タイトルには「解除通報」が記されている。つまり、水道が使用されていない異常が発生し、その後、検出時間の3時間が経過した時、その間に水道の使用が認められた場合には「水道が使用された」旨のメッセージが送信されるようにしている。
【解決手段】水道量集中検針装置1の計測手段10は、集合住宅2の各住戸に設置されている水道メータ21a〜21nからの電気信号に基づいて計測を行い、各住戸の計測データと安否情報を記憶手段12に記憶格納する。また、空室や監視不要住戸等のために、パラメータ設定手段11により、安否監視機能の有効無効を指定できる。各住戸の未使用判定手段13は、記憶格納された各住戸の水道使用量が未使用判定時間未使用であった場合又は放出判定時間連続して一定状態の場合に、安否情報を更新し、通報手段16により、外部情報処理端末4に通報する。また、留守変遷手段15により、当該住戸を留守状態と指定できる機能を備え、留守中は未使用による通報を行わず、帰宅後の水道使用により自動的に未使用判定を再開する。