特許第5909838号(P5909838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5909838
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   G02B6/42
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-65544(P2012-65544)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-195921(P2013-195921A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 毅
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−012835(JP,A)
【文献】 特開2004−012647(JP,A)
【文献】 特開2003−057496(JP,A)
【文献】 特開2004−012844(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0218857(US,A1)
【文献】 米国特許第05127075(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光通信ユニットがその光軸がファイバ軸に対して平行ではない所定の方向で、モジュール本体に対して溶接により取り付けられて成る光モジュールであって、
前記モジュール本体は、前記所定の方向に貫通する貫通孔が設けられ、該貫通孔に両端が前記モジュール本体から露出するように挿通固定された挿通部材を備え、
前記挿通部材の一方の端部は、前記光通信ユニットを調心し溶接する際の前記モジュール本体を把持固定する把持部として形成され、他方の端部は、前記光通信ユニットとの調心溶接部として形成されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記光通信ユニットは、ジョイントスリーブを介して前記モジュール本体に取り付けられ、前記ジョイントスリーブの接合面が、前記挿通部材の前記調心溶接部の接合面より広いことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記挿通部材の把持部は、その断面が円または円弧を含む柱形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記挿通部材の前記調心溶接部は、前記把持部の断面を構成する円または円弧の中心を通り長手方向に沿った軸上の点を中心とする円または円弧を含む円形鍔状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記モジュール本体には、光軸がファイバ軸に対して平行ではない所定の方向で取り付けられる前記光通信ユニットを含む複数の光通信ユニットが取り付けられており、前記複数の光通信ユニットはそれぞれ波長が異なる複数の信号光を送信または受信、前記挿通部材には、前記波長の異なる複数の信号光を分波する波長分波フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信で信号光を送受信する複数の光通信ユニットを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信用の光モジュールとして、1本の光ファイバで上りと下りの信号光を送受信する一心双方向光モジュール(例えば、特許文献1参照)等といった、光電変換素子を内蔵した光通信ユニットを複数備えたものが知られている。
図6に示す光モジュール100は、その一例を示す模式図で、受信用の1つの光通信ユニット101と、2つの送信用の光通信ユニット102,103と、光ファイバ104aに接続されたファイバ保持部材104とが、金属製で略円筒形状のモジュール本体105に取り付けられている。モジュール本体105には、各光通信ユニット101,102,103と光ファイバ104aとを光結合させるために、レンズ106や波長分波フィルタ(WDMフィルタ)107,108等が配設されている。
【0003】
この光モジュール100では、送信用の光通信ユニット103が、その光軸がファイバ軸Cと一致する形態でモジュール本体105に取り付けられ、受信用の光通信ユニット101及び送信用の光通信ユニット102が、その光軸Dがファイバ軸Cと直交する形態でモジュール本体105に取り付けられている。なお、送信用の光通信ユニット102,103のモジュール本体105への取り付けは、光軸方向への調心を可能とするジョイントスリーブ(以下、Jスリーブと言う)109を介して行われる。
【0004】
各光通信ユニット101〜103は、それぞれの光路が調心されてからYAGレーザ等の溶接装置により、モジュール本体105に固定される。
ここで、Jスリーブ109を介してモジュール本体105に取り付けられる送信用の光通信ユニット102の調心方法とその固定方法を説明する。まず、調心に際して、モジュール本体105が溶接装置等の第1のチャック110で把持され、送信用の光通信ユニット102がキャップ部102bにJスリーブ109が嵌合された状態で、溶接装置の移動可能な第2のチャック111により把持される。なお、光通信ユニット102の把持は、例えば、光通信ユニット102のステム102aの部分を掴んで把持する。
【0005】
この後、チャック110,111を移動制御して、光通信ユニット102をモジュール本体105に対して、XYZ方向に相対的に移動させて調心する。まず、光通信ユニット102の光軸DのZ方向の調心が行われ、送信用の光通信ユニット102とJスリーブ109との嵌合口Pの複数個所で溶接される。次いで、光通信ユニット102をJスリーブ109と共にモジュール本体105の側面に形成された接合面105b上で摺接させて、光軸Dと直交するXYの面方向に調心する。この調心の終了後、チャックと連動して移動するYAGレーザヘッド等により、光通信ユニット103に結合されたJスリーブ109の端面(接合面)が、その周縁Qの複数個所で、モジュール本体105の接合面105bに対して溶接固定される。
【0006】
もう1つの送信用の光通信モジュール103のモジュール本体105への取り付けも同様に、光軸方向への調心を可能とするJスリーブ109を介して行われる。この光通信ユニット103は、図示しないチャックによって把持され、光軸(ファイバ軸C)のZ方向の調心が行われた後、接合面105c上で摺接させて光軸と直交するXYの面方向に調心し、接合面105cに対して溶接固定する。
【0007】
なお、受光用の光通信モジュール101は、光軸方向の高精度の調心は必要でなく、光軸方向と直交するXYの面方向の調心のみで取り付けることができる。したがって、受光用の光通信モジュール101は、Jスリーブを用いることなくパッケージの接合面をモジュール本体105の側面に形成された接合面105aに、XYの面方向の調心の後に溶接固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−20542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の方法において、送信用の光通信ユニット102のパッケージを構成するステム102aと光学窓付きキャップ102bとの実装精度(±50μm)や、上記キャップ102bとJスリーブ109との間の遊び(数十μm)の影響で、モジュール本体105の接合面105bとJスリーブ109との溶接の際に、所定の位置でYAGレーザ光を照射(溶接)することができないことがある。その場合、溶接する周縁Qの溶接位置にばらつきが生じ、溶接時に生じる応力の偏りが原因となって光通信ユニット102の光軸がズレて光結合特性が低下する場合や、十分な固定強度が得られない場合がある。
【0010】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、光通信ユニットをその光軸がファイバ軸に対して平行ではない角度となるようモジュール本体に対して調心し溶接固定する際に、調心によってモジュール本体105と光通信ユニット102との相対的な位置が個々にばらついたとしても、所定の位置で溶接が行なえ、光軸ズレや強度不足が生じにくい光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による光モジュールは、少なくとも1つの光通信ユニットがその光軸がファイバ軸に対して平行ではない所定の方向で、モジュール本体に対して溶接により取り付けられて成る光モジュールであって、モジュール本体は、所定の方向に貫通する貫通孔が設けられ、該貫通孔に両端がモジュール本体から露出するように挿通固定された挿通部材を備える。そして、挿通部材の一方の端部は、光通信ユニットを調心し溶接する際のモジュール本体を把持固定する把持部として形成され、他方の端部は、光通信ユニットとの調心溶接部として形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の光通信ユニットは、ジョイントスリーブを介してモジュール本体に取り付けられ、ジョイントスリーブの接合面が、調心溶接部の接合面より広く形成されていることが好ましい。また、上記の挿通部材の把持部は、その断面が円または円弧を含む柱形状であり、挿通部材の調心溶接部は、把持部の断面を構成する円または円弧の中心を通り長手方向に沿った軸上の点を中心とする円または円弧を含む円形鍔状に形成されているのが好ましい。
なお、モジュール本体には、光軸がファイバ軸に対して平行ではない所定の方向で取り付けられる上記の光通信ユニットを含む複数の光通信ユニットが取り付けられており、複数の光通信ユニットはそれぞれ波長が異なる複数の信号光を送信または受信、挿通部材には、波長の異なる複数の信号光を分波する波長分波フィルタが設けられているようにするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モジュール本体と光通信ユニットとの光路を調心し、これに引続いてYAGレーザ光等を用いて溶接固定するに際して、挿通部材の把持部を把持することで、この把持部を基準に調心溶接部が位置決めされて保持される。この結果、光通信ユニットやジョイントスリーブの位置ズレや誤差の影響を受けることなく、調心溶接部の予め設定されている所定位置で、調心された光通信ユニットと精度よく溶接固定することができる。また、ジョイントスリーブを挿通部材の溶接部に対して容易に均等な溶接を行なうことができ、溶接時に生じる応力の偏りによる軸ズレを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の光モジュールの一例を説明する図である。
図2図1の光モジュールの組み立て前の状態を示す図である。
図3】本発明の光モジュールの他の例を説明する図である。
図4】本発明の光モジュールに用いる挿通部材の一例を示す図である。
図5】本発明の光モジュールの調心と溶接の方法を説明する図である。
図6】従来の光モジュールを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜3により、本発明による光モジュールの概略を説明する。図に示す光モジュール1は、1本の光ファイバで光信号を送受信する1心双方向光モジュールの例である。この光モジュール1は、受信用の光通信ユニット2、第1の送信用の光通信ユニット3、第2の送信用の光通信ユニット4または4’、ファイバ保持部材5またはスリーブ5’、集光レンズ6、第1及び第2のWDMフィルタ7,8、モジュール本体9、挿通部材10、ジョイントスリーブ(以下、Jスリーブと言う)11または11’、を備える。
【0016】
図1に示す光モジュールにおいて、受信用光通信ユニット2、第1の送信用光通信ユニット3、第2の送信用光通信ユニット4は、それぞれ複数のリードピン(図示省略)が取付けられたステム2a〜4aに光学窓付きキャップ2b〜4bが固定された同軸型のパッケージ2c〜4cを有し、該パッケージ2c〜4c内に半導体受光素子(PD:Photo Diode)や半導体発光素子(LD:Laser Diode)等の光電変換素子を有する。上記の光学窓は、平板ガラスやレンズから成る。また、モジュール本体9は、金属製の筺体内に集光レンズ6やWDMフィルタ7,8等を収納して成る。
上記の各光通信ユニット2〜4は、その光路が調心されてモジュール本体9にレーザ溶接等により取り付けられ、モジュール本体9の一方の端部にファイバ保持部材5に結合された光ファイバ5aを接続して光モジュール1とされる。
【0017】
受信用光通信ユニット2は、例えば、その光軸D1がモジュール本体9の側面に形成された接合面9aに、ファイバ保持部材5の光ファイバ5aの光軸方向であるファイバ軸Cに交差するように取り付けられる。
この受信用光通信ユニット2は、光ファイバ5aから出射される第1の波長の信号光を、第1のWDMフィルタ7で反射させ、パッケージ2c内のPDで受光する。PDにより受光され電気信号に変換された信号は、リードピンを介して外部へ送出される。
【0018】
第1の送信用光通信ユニット3は、その光軸D2がモジュール本体9の側面に形成された接合面9bに、光ファイバ5aの光軸方向であるファイバ軸Cと交差するように、後述する挿通部材10とJスリーブ11を介して取り付けられる。
この第1の送信用光通信ユニット3のパッケージ3c内のLDから上記第1の波長とは異なる波長(第2の波長)を有する信号光が出射される。この信号光は、第2のWDMフィルタ8により反射された後、集光レンズ6で集光され、次いで、第1のWDMフィルタ7を透過し、ファイバ保持部材5の光ファイバ5aを介して外部に伝達される。第1の送信用光通信ユニット3のLDは、リードピンと電気的に接続されており、当該リードピンを介して外部からの電気信号を受ける。
【0019】
第2の送信用光通信ユニット4は、モジュール本体9の光ファイバ5aが接続された反対側の端部に形成された接合面9cに、その光軸がファイバ軸Cに一致するようにJスリーブ11を介して取り付けられる。
この第2の受信用光通信ユニット4は、パッケージ4c内のLDから上記第1、第2の波長とは異なる波長(第3の波長)を有する信号光が出射される。この信号光は、第2のWDMフィルタ8を透過した後、集光レンズ6で集光され、次いで、第1のWDMフィルタ7を透過し、ファイバ保持部材5の光ファイバ5aを介して外部に伝達される。第2の送信用光通信ユニット4のLDは、リードピンと電気的に接続されており、当該リードピンを介して外部からの電気信号を受ける。
【0020】
ファイバ保持部品5は、例えば、光ファイバ5aを保持するジルコニア製フェルールを金属製のリング状部材へ圧入して組み立てられたもので、光ファイバ5aを保持し、その端面は斜め研磨される場合がある。なお、ファイバ保持部品5は、後述の図3に示すように、光ファイバケーブルの端部に設けられた光コネクタが着脱可能に挿着されるスリーブ5’を取り付けた形態であってもよい。
【0021】
第1及び第2のWDMフィルタ7,8は、光の波長に基づいて選択的に透過または反射するフィルタである。また、図では、集光レンズ6は第1のWDMフィルタ7と第2のWDMフィルタ8の間に配置されているが、光学系の構成はこれに限定されず、第1のWDMフィルタ7とファイバ保持部品5との間に配置された形態であってもよい。また、第1のWDMフィルタ7と第2のWDMフィルタ8の間に、信号光の戻り光を阻止するアイソレータ(図示省略)が配置される場合もある。
【0022】
モジュール本体9は、ファイバ軸Cに交差するように貫通孔が設けられ、該貫通孔に挿通固定された挿通部材10を有している。この挿通部材10は、例えば、ステンレス等の金属材料の円柱状部材を加工して成るもので、ファイバ軸Cに平行でない所定の方向(例えば、直交方向)に取り付けられる第1の送信用光通信ユニット3の光軸D2に一致する方向で挿通され、モジュール本体9にレーザ溶接等により固定される。
【0023】
挿通部材10の具体例については後述するが、挿通部材10の両端部は、モジュール本体から露出するように挿通固定される。そして、挿通部材10の光送信ユニットが取り付けられる側と反対側に露出する一方の端部は、第1の送信用光通信ユニット3を調心し溶接する際に、溶接装置等にモジュール本体9を把持固定する把持部10aとされる。この把持部10aは、その断面形状が円または円弧を有する柱形状に形成にされる。
【0024】
挿通部材10の送信用光通信ユニットが取り付けられる側に露出する他方の端部は、第1の送信用光通信ユニット3(Jスリーブ11を介して)との調心用の平坦な接合面と溶接部を備える調心溶接部10bとされる。この調心溶接部10bは、上記の把持部の中心軸上にある点を中心とする円または円弧を含む円形鍔状に形成される。なお、把持部の中心軸とは、把持部の断面を構成する円または円弧の中心を通る柱形状の把持部の軸を通って挿通部材10の長手方向に沿った軸を言う。
【0025】
図2は、モジュール本体9に光通信ユニット2〜4を取り付ける前の状態を示している。受信用光通信ユニット2は、モジュール本体9の側面に形成された平坦な接合面9aに対して、その光軸と直交するXY方向に調心した後、その接合部の周縁の複数個所がYAGレーザ等で溶接固定される。
【0026】
第1の送信用光通信ユニット3は、Jスリーブ11を介して取り付けられる。Jスリーブ11は、第1の送信用光通信ユニット3に嵌合される嵌合孔11aと挿通部材10の調心溶接部10bに接合される平坦な接合面(端面)11bを有している。第1の送信用光通信ユニット3のZ方向(光軸方向)の調心は、上記の嵌合孔11aの嵌合量を調整することで行われ、調心の後、Jスリーブ11の嵌合口P(図1参照)の複数個所がYAGレーザ等で溶接固定される。挿通部材10の調心溶接部10bは、モジュール本体9の側面の接合面9bに係止するように露出していて、平坦な接合面10cを有している。
【0027】
Jスリーブ11の接合面11bと調心溶接部10bの接合面10cとで、送信用光通信ユニット3のXY方向の調心が行われた後、調心溶接部10bの周縁Q(図1参照)の複数個所がYAGレーザ等で溶接固定される。
なお、Jスリーブ11の接合面11bは、調心溶接部10bの接合面10cより大きい面となるように形成されていて、Jスリーブ11の接合面11bから調心溶接部10bの接合面10cがはみ出ないように相対移動して調心されるようにするのが好ましい。
【0028】
このときJスリーブ11は磁力等によって、調心を妨げないように可動で、かつ、その接合面11bが調心溶接部10bの接合面10cと常に接するように保持された状態で、上記のXY方向の調心が行なわれる。Z方向の調心は、第1の送信用光通信ユニットとJスリーブ11の嵌合孔11aとの嵌合量を調整して行い、適正な位置で第1の送信用光通信ユニットとJスリーブ11は互いにレーザ溶接等で固定される。
【0029】
第2の送信用光通信ユニット4は、第1の送信用光通信ユニット3と同様に、Jスリーブ11を介してモジュール本体9の一方の端部に形成された平坦な接合面9cに取り付けられる。まず、第2の送信用光通信ユニット4の光軸は、ファイバ軸Cと一致する方向であるので、この方向(Z方向)にJスリーブ11を介して調心され、複数個所がYAGレーザ等で溶接固定される。次いで、その光軸と直交するXY方向に調心した後、同様に接合部の周縁の複数個所がYAGレーザ等で溶接固定される。ここで、Z方向の調心を適切なXY平面内の位置で行うためにX,Y,Zの調心を組み合わせて行ってもよい。また、XY方向を調心した後の溶接の際に、Jスリーブの接合面11bと、挿通部材の接合面10cとの間に予め適切な隙間を設けた状態で溶接を行ってもよい。
【0030】
図3は、他の光モジュールの例を示すもので、図1、2で説明したファイバ保持部材5に代えて、光ファイバコードに取り付けられた光コネクタ(図示省略)を接続するスリーブ5’を設けるようにしてもよい。
また、図1、2では第2の送信用の光通信ユニット4は、第1の送信用の光通信ユニット3と同様な円筒状のパッケージを備えたもので説明したが、矩形の箱型のパッケージからなる送信用の光通信ユニット4’としてもよい。この送信用の光通信ユニット4’は、第2の送信用の光通信ユニット4と同様なJスリーブ11’を介して取り付けられる。
【0031】
図4は、上述した挿通部材10の一例を示す図である。挿通部材10は、溶接装置等のチャックで把持される把持部10aの中心と、調心溶接部10bの中心とが一致するように形成される。すなわち、調心溶接部10bは、把持部10aの中心を基準に、円形または円の一部が欠如した円弧で、平坦な円形鍔状に形成される。
また、挿通部材10の把持部10aは、その断面が円かまたは円弧を有する柱形状で形成されていることが好ましい。把持部10aをそのような柱形状とすることにより、例えば、チャックによって正確に把持でき、一度目の溶接後に、モジュール本体9を所定角度だけ回転させて、再度溶接するような場合にも、所定の位置関係でYAGレーザ光を照射することができる。
【0032】
また、後述する複数のレーザヘッドからの出射光の光軸が、上記の円または円弧の中心を通る軸上の点を通るように設置しておくことで所定位置へ溶接することができる。複数のレーザヘッドを等間隔に配置することによって、溶接部に生じる応力が互いに打ち消しあって光軸ズレを抑えることができる。挿通部材10の形状を上記のように同軸の円筒が組み合わさったようにすることでNC旋盤等によって高精度の加工が容易に行なうことができる。
【0033】
なお、挿通部材10には、モジュール本体9に挿通された状態で、第1,2の送信用光通信ユニット3,4と光ファイバ5aとの間の信号光の光路を妨げることがないように、中央部に凹所10d、調心溶接部10b側に貫通孔10eが形成されている。また、凹所10dには、第2のWDMフィルタ8が取り付けられる斜面10fが設けられ、第2のWDMフィルタ8が第1の送信用光通信ユニット3からの信号光を光ファイバ5aに向けて反射する角度で取り付けられる。
上記のように挿通部材10を利用して、WDMフィルタなどを保持することにより、組み立てを容易とし低コスト化を図ることも可能となる。
【0034】
図5は、上述した挿通部材を備えた光モジュールで、モジュール本体に光通信ユニットを調心して溶接固定する装置と方法の一例を説明する図である。
図5(A)は、調心・溶接装置20(以下、装置と言う)の一例を、説明を容易にするために模式的に示した図である。装置20は、装置の上下方向のZ方向に移動調整される第1のチャック22と、装置の水平方向のX,Y,R方向に移動調整される第2のチャック23を有している。
【0035】
第1のチャック22は、基台21に設置された支持体22aで支持された把持アーム22bと22cを有し、支持体22aに沿うZ方向に移動制御される。
第2のチャック23は、基台21上に載置された水平駆動機構24上に設けられていて、装置20の基台21の面方向に沿うX,Y,R方向に移動制御される。なお、水平駆動機構24は、X方向の移動ステージ24a、Y方向の移動ステージ24b、R方向(水平回転)の移動ステージ24cからなる。水平駆動機構24は、例えば、パルスステージで構成するのが好ましい。
【0036】
また、装置20は、YAGレーザなどの溶接機構26を備え、該溶接機構26は、例えば、基台21に設置された支持体26aより支持される溶接アーム26bと、該溶接アームに保持されたレーザヘッド26cを有している。レーザヘッド26cは、上記の第1のチャック22と位置関係が関連づけられていて、第1のチャック22のZ方向の移動制御に連動して、同様にZ方向に移動制御される。
【0037】
図2で説明したモジュール本体9に、第1の送信用光通信ユニット3を取り付ける場合、まず、挿通部材10が予め挿通・固定されたモジュール本体9に光ファイバ5aが接続された状態で、装置20に載置する。この装置20へのモジュール本体9の載置は、挿通部材10の把持部10aを第1のチャック22で把持して保持するもので、モジュール本体9を吊り下げ支持する形態となる。また、光ファイバ5aには、調心状態をモニタするためのパワーメータ25を接続する。
【0038】
第1の送信用光通信ユニット3は、Jスリーブ11を嵌合させ光軸方向に移動可能な状態で保持して、ステム3aの部分を第2のチャック23で把持する。第1のチャック22は磁石を備えており、その磁力でJスリーブ11の接合面11bは、調心溶接部10bの接合面10cと接触して接合が保持されるが、互いの接合面が摺接して相対的に移動可能とされる。
【0039】
上記のチャックによる保持の後、第1の送信用光通信ユニット3内に実装されているLDを発光させて、その出力光をパワーメータ25でモニタする。
まず、第1のチャック22でモジュール本体9をZ方向に調整し、第2のチャック23で把持された第1の送信用光通信ユニットをXY方向に調整して、パワーメータ25の出力が所定の値になるように第1の送信用光通信ユニット3の位置を調心する。
【0040】
例えば、パワーメータ25の出力が最大になるようにXY方向の調整を行なった後、所定の光出力が得られるようにZ方向の調整を行なうことができる。
この調心の後、モジュール本体9と共にZ方向に移動して位置調整されたJスリーブ11と第2のチャック23側に保持されている第1の送信用光通信ユニット3とは、YAGレーザ等により溶接されて、その嵌合位置が固定される。
【0041】
次いで、第2のチャック23で把持された第1の送信用光通信ユニット3を、水平駆動機構24によりX,Y方向の水平面方向に再度調整し、パワーメータ25の出力が最大になるように第1の送信用光通信ユニット3の光軸方向と直交する方向の位置を調心する。この調心は、第1の送信用光通信ユニット3に嵌合固定されているJスリーブ11と挿通部材10の調心溶接部10bの接合面が、互いに接触が保持された状態で摺接移動することで行われる。この調心の後、挿通部材10の調心溶接部10bが、その周縁の複数個所でJスリーブ11の接合面に溶接固定される。
しかしながら、所定の光結合効率が得られるように、XY方向の調整およびZ方向の調整は、上記の手順に限定するものではない。
【0042】
挿通部材10の調心溶接部10bとJスリーブ11との溶接は、図5(B)に示すように、円形鍔状に形成された調心溶接部10bの周縁の均等な間隔の複数個所で、装置20の溶接機構26により行われる。溶接機構26のレーザヘッド26cは、第1のチャック22で把持された把持部10aを中心に、例えば、複数設けられており、上述したように第1のチャック22との相対的位置関係が関連付けられている。
【0043】
このため、第1のチャック22の把持アーム22b,22cにより挿通部材10の把持部10aが把持された状態においては、レーザヘッド26cは、把持部10aと一体加工されている調心溶接部10bに対しても、所定の位置関係が維持されている。すなわち、第1のチャック22で、第1の送信用光通信ユニット3とZ方向(光軸方向)の調心を行った場合は、レーザヘッド26cも周方向位置を維持して共にZ方向に移動される。
この結果、予め設定された調心溶接部10bの複数の所定の位置に、YAGレーザを確実に照射(溶接)することが可能となり、精度のよい溶接固定を行うことができる。
【0044】
一方、第2のチャック23で把持された第1の送信用光通信ユニット3に結合されたJスリーブ11は、面方向(X,Y方向)の調心のため移動調整される。この場合も、レーザヘッド26cは、挿通部材10の調心溶接部10bとの相対的な位置関係は変化しない。この結果、Jスリーブ11に対する挿通部材10の調心溶接部10bとのレーザヘッド26cによる溶接位置関係が一定に保たれ、調心溶接部10bの周縁の複数個所で均等に溶接することができる。
【0045】
なお、Jスリーブ11の接合面(端面)11bは、挿通部材10の調心溶接部10bの接合面10cより広く形成されている。調心の結果、Jスリーブ11の中心(第1の送信用光通信ユニット3の中心でもある)と挿通部材10の中心にバラツキが生じても、調心溶接部10bがJスリーブ11の端面から、外にはみ出ることなく確実に溶接することができる。
【0046】
上述の如く、本発明による光モジュール1は、装置20の第1のチャック22により把持される箇所(把持部10a)と溶接される箇所(調心溶接部10b)とが一体加工された挿通部材10である。すなわち、単一の挿通部材10に把持部10aと調心溶接部10bとを一体に設けたので、把持部10aと調心溶接部10bの位置関係を精度よく作製することができる。さらに、第1のチャック22と溶接のレーザヘッドの相対位置が固定されていて、第1のチャック22に対して調心溶接部10bが一定の位置関係となっているため、予め設定された所定の位置にYAGレーザを照射することができ、溶接ムラの発生を防ぐことができる。そのため、光通信ユニットは、溶接時の応力の偏りによる光軸のズレが生じることがなく精度良く取り付けられ、均一な品質の光モジュールとすることができる。
【0047】
なお、本発明で用いる挿通部材を光軸方向の調心を必要としない第1の受信用光通信ユニットの取り付けに用いてもよい。
また、本発明による光モジュールを、1つの受信用光通信ユニットと2つの送信用光通信ユニットを備えた例で説明したが、例えば、モジュール本体の端部側に配した第2の送信用光通信ユニットを受信用光通信ユニットで置きかえて、2つの受信用光通信ユニットと1つの送信用光通信ユニットを備えた光モジュールとすることもできる。すなわち、1つ以上の受信用光通信ユニットと、1つ以上の送信用光通信ユニットからなる1心双方向の光モジュールに適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…光モジュール、2…受信用光通信ユニット、3…第1の送信用光通信ユニット、4,4’…第2の送信用光通信ユニット、5…ファイバ保持部材、5’…スリーブ、5a…光ファイバ、6…集光レンズ、7,8…WDMフィルタ、9…モジュール本体、10…挿通部材、10a…把持部、10b…調心溶接部、10c…接合面、11,11’…ジョイントスリーブ(Jスリーブ)、11a…嵌合孔、11b…接合面、20…調心・溶接装置、21…基台、22…第1のチャック、23…第2のチャック、24…水平駆動機構、25…パワーメータ、26…溶接機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6