(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の監視対象者を確実に監視するシステムは上記のように構成されていた。従来のシステムにおいては、警告エリアを監視者が表示された地図情報の上で設定する必要があった。このような警告エリアの設定においては、監視者の主観による危険エリアの設定は可能であるが、それが客観的に正しいか否か不明であった。また、危険エリアの設定は可能であるが、それ以外の用途には使用できないという問題があった。さらに、何らかの目的でマップ情報を作成しても、そのまま放置されて、情報がどんどん陳腐化してしまうという問題があった。
【0006】
この発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、所望の目的に沿った最新情報を有するマップを自動的に作成できるマップ作成システム、マップ作成装置および携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るマップ作成システムは、ある地域を移動する情報提供者が有する携帯端末と、携帯端末からの情報に基づいて地域に関するマップを作成するマップ作成装置とを含む。マップ作成装置は、携帯端末から携帯端末の移動情報をその属性とともに収集する収集手段と、収集手段によって収集した移動情報および属性に基づいて、移動情報の目的を推定する目的推定手段と、目的推定手段によって推定された目的に基づいて、目的に沿ったマップを作成するマップ作成手段とを含む。
【0008】
この発明の他の局面においては、マップ作成装置は、ある地域を移動する情報提供者が有する携帯端末から、当該地域を移動したときの移動情報をその属性とともに収集する収集手段と、収集手段によって収集した移動情報および属性に基づいて、移動情報の目的を推定する目的推定手段と、目的推定手段によって推定された目的に基づいて、目的に沿ったマップを作成するマップ作成手段とを含む。
【0009】
好ましくは、作成手段によって作成されたマップを格納するマップ情報データベースを含む。
【0010】
さらに好ましくは、収集手段は携帯端末からネガポジ情報を収集する。
【0011】
移動情報は移動位置、移動時間、移動速度、又は、温度を含んでもよいし、属性は、性別、年齢、職業、嗜好、車椅子の利用の有無を含んでもよい。
【0012】
この発明のさらに他の局面においては、マップ作成装置は、外部に設けられた端末から、マップの要求を受付ける受付手段と、受付手段によって受付た要求に沿ったマップをマップ情報データベースから検索する検索手段と、検索手段によって検索されたマップを外部に設けられた端末に送信する送信手段とを含む。
【0013】
この発明のさらに他の局面においては、携帯端末は、外部に設けられたマップ作成装置と通信可能である。携帯端末は、マップ作成装置に対して、移動した地域の移動情報を送信する送信手段を含み、送信手段は、移動情報とともに、携帯端末の所有者の属性情報と、送信する情報のネガポジ情報を送信する。
【発明の効果】
【0014】
この発明においては、情報提供者から提供された移動情報と属性とに基づいて目的を推定し、目的別のマップを作成するため、所望の目的に応じた最新情報が反映されたマップを作成できる。
【0015】
その結果、情報が陳腐化しない目的別のマップを利用者に提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係るマップ作成システム10の全体構成を示すブロック図である。
図1を参照して、マップ作成システム10は、情報を提供する情報提供者が有する携帯端末11と、情報提供者からの情報に基づいて所望のマップを生成するマップ作成装置30と、マップ作成装置30によって作成されたマップ情報を利用する情報利用者が有する携帯端末41と、携帯端末11、携帯端末41、および、マップ作成装置30を相互に接続可能なインターネットのようなネットワーク20とを含む。携帯端末11は位置情報を検出可能なGPS機能を有し、かつ無線通信が可能な携帯電話が好ましい。利用者の携帯端末41はGPS機能を有さなくてもよい。
【0018】
なお、携帯端末11は携帯電話や携帯ゲーム機等を含む。また、携帯端末11は携帯端末に限らず、固定されていても、その位置が特定されており、その位置が通知可能であれば同様に利用してもよい。
【0019】
図2はマップ作成システム10の模式的機能ブロック図である。
図2を参照して、マップ作成システム10は、情報提供者の端末11からの情報を受信して目的別マップ情報データベースを作成するマップ情報作成部分10aと、作成された目的別マップ情報を、利用者の端末41に提供するマップ情報利用部分10bとを含む。
【0020】
マップ情報作成部分10aは、情報提供者の携帯端末11からの情報を収集する移動情報収集部31と、移動情報収集部31の収集した移動情報に基づいて、目的別地図を作成する目的別地図作成部32と、目的別地図を作成するために、情報提供者の移動情報および属性等を用いてそれに基づいて目的を推定するための属性/目的変換テーブル33と、作成された目的別地図を格納する目的別マップ情報データベース34とを含む。
【0021】
マップ情報利用部分10bは、利用者からの要求を受付ける利用者要求受付部35と、利用者要求受付部35の受付けた要求に応じて、目的別マップ情報データベース34を検索して、要求された目的別マップ情報を配信する目的別マップ情報配信部36とを含み、目的別マップ情報配信部35からの情報はネットワーク20bを介して情報利用者の端末41に送信される。ここで、マップ情報の利用者は、
図2に示すように、障害者、旅行者、地域住民、警備防犯関係者等を含む。また、利用者要求受付部35は利用者の端末41からのマップの要求を受付ける。
【0022】
なお、移動情報収集部31と、目的別地図作成部32と、属性/目的変換テーブル33と、目的別マップ情報データベース34と、利用者要求受付部35と、目的別マップ情報配信部36とはマップ作成装置30に含まれる。
【0023】
次に、マップ作成システム10の動作について説明する。
図3(A)は情報提供者の端末11が行う動作を示すフローチャートであり、
図3(B)はマップ作成提供装置30の動作を示すフローチャートである。
【0024】
図3(A)を参照して、情報提供者の携帯端末11は図示のない制御部を有し、情報提供者の指示によって所定のマップ情報提供アプリケーションを起動する(
図3ステップS11、以下、
図3およびステップを省略する)。アプリケーションが起動すると、アプリケーションは、情報提供者に対して属性を指定させる(S12)。ここで属性とは、情報提供者の性別、年齢、職業、嗜好、居住者か旅行者かの区別、車椅子の使用の有無等を含む。次に、GPS機能をONさせ(S13)、提供する情報がネガティブな情報なのか、ポジティブな情報なのか(以下、「ネガポジ情報」という場合がある)を入力させる(S14)。ここで、ネガティブ情報とは、提供する情報が消極的な情報、たとえば、その位置が「危険である」とか、「近寄れない」とか、「面白くない」といった情報である。一方、ポジティブ情報とは、ネガティブ情報の逆の積極的な情報、たとえば、その位置が「安全である」とか、「楽しい」とか、「通行が容易である」とか、「景色が良い」といった情報である。
【0025】
なお、このアプリケーションは、マップ作成システムが提供する。
【0026】
次に、制御部は携帯端末11の位置や移動情報をGPS機能によって検出し(S15)、データ送信を行う(S16,S17)。移動データについては、制御部が、あらかじめ定められた距離、又は、あらかじめ定められた時間、携帯端末11が移動したか否かを自動的に判断してマップ作成装置30へ送信するようにしてもよい。
【0027】
次に、マップ作成装置30の動作について説明する。
図3(B)を参照して、マップ作成装置30は移動情報収集部(収集手段)31でシステム情報提供者の端末11からの移動情報を収集する(S21)。提供された移動情報等からその目的を推定し(S22)、推定結果に応じて目的別マップを作成して(S23)、目的別マップ情報データベース34に格納する。
【0028】
したがって、制御部36は、目的推定手段、および、マップ作成手段として作動する。
【0029】
目的別マップの作成(S23)においては、移動情報と属性、必要に応じてネガポジ情報、から目的を推定してマップを作成する(S231)、ネガティブ情報についてはネガティブ情報として、ポジティブ情報についてはポジティブ情報として、それぞれ、目的別マップ情報データベース34に登録する(S232、S233)。
【0030】
図4はマップ作成装置30の要部を示すブロック図である。
図4を参照して、マップ作成装置30は、基本的にコンピュータであり、装置全体を制御する、CPUを有する制御部50と、移動情報収集部31および利用者要求受付部35として作動する受信部37と、目的別地図作成部32として作動する処理部38と、目的別マップ情報配信部36として作動する送信部39と、ハードディスクのような格納部40とを含む。格納部40は、属性/目的変換テーブル33と目的別マップ情報データベース34とを含む。
【0031】
次に、
図3のS22、S23で示した目的の推定および目的別マップ情報作成の例について説明する。ここでは、属性情報とGPSによる位置情報とネガ/ポジ情報としては、表1に示すようなデータを利用する。
【0033】
作成される目的別マップの例は次のとおりである。
【0034】
(1)バリアフリー地図
ここでは、少なくとも次のような情報を用いて、バリアフリー地図の作成を行う。
【0036】
この情報を属性別マップ情報データベースに格納する。「通行が容易」の場合は、「バリアフリー経路」とし、「通行が容易ではない」の場合は、「バリア経路」として保存する。
【0039】
上記の条件に合致する情報提供者の移動経路を「女性向けのリスクマップ」として保存する。
【0042】
上記の条件に合致する情報提供者の移動経路を「通学経路」として保存する。
【0045】
上記の条件に合致する情報提供者の移動経路を「歴女の探索ルート」として保存する。
【0046】
ここでは、ネガ/ポジ情報を用いた例を示しているが、これは無くてもよい。例えば、属性として車椅子の使用が含まれており、その移動情報が提供されていれば、それだけで、バリアフリー地図となりうる。また、かかった移動時間や移動速度に応じて、車椅子の移動が容易、容易でない、以外に、3段階以上に分類してもよい。
【0047】
次にこのような目的別マップを作成するための目的の推定を実現するための方法(目的推定手段の動作)について説明する。目的推定を実現するためには、予め、目的と、目的に合致する「属性情報」と「移動情報」を定義する。その例は表2のとおりである。
【0049】
これらの情報を予め、属性/目的変換テーブル33に格納しておく。移動情報および属性を受信すると、これらの情報が、上記のどのパターンに該当するかを制御部50で判定することによって、目的を推定する。
【0050】
なお、これは、完全一致でなくてもよい。一部の一致や、類似を基に判断してもよい。
【0051】
例えば、属性情報が、「女性」+「25歳」+「旅行」という属性の場合、上記のケースBおよびCに該当するとして、推定結果として、ケースBとCとを出力する
収集した移動情報については、上記で推定された目的のデータとして保存する。
【0052】
ただし、一件のデータでは、信ぴょう性にかける懸念もあるため、複数の移動情報が収集され、記録されたことをもって、正式な目的別の地図情報として目的別マップ情報データベース34に格納し、それを外部への情報提供に用いてもよい。
【0053】
また、推定した目的を情報提供者に通知して、情報提供者に確認するようにしてもよい。
【0054】
なお、この実施の形態においては、
図3に示すように、情報提供者からの情報が入力されれば、それによってリアルタイムにマップが形成されたり、更新されたりするが、これに限らず、一定期間格納部40に格納しておき、所定の時間ごとに更新されるようにしてもよいし、この更新タイミングを情報提供者や利用者に設定させるようにしてもよい。
【0055】
次に、目的別マップ情報データベース34に格納された目的別マップ情報について説明する。
図5は、ある地域の地図(A)と、その地域を移動した情報提供者の携帯端末11からの移動情報および属性に基づいて作成された目的別地図の例を示す図である。
【0056】
図5に示す地域を情報提供者が移動して、公園の前を地点51から52へ移動したときに、不審な人を見かけて、その旨を、GPS情報とともに端末11から通知したとする。その属性データは例えば、表2のケースEに示すとおりである。なお、ここでは、ネガポジ情報については記載していない。
【0057】
この場合、目的別地図生成部32はその情報を基に、
図5(B)に示すような地図を生成する。ここでは、情報提供者が提供した情報に基づいて、公園の前の道路に斜線で示すように、その地域が、危険な領域であることを表示する。なお、このとき、図の右上に20:00で示すように、この状態が確認された時間を表示するようにしてもよい。
【0058】
このような地図が、位置ごとに分類されて目的別マップ情報データベース34に格納されている。
【0059】
なお、このようにして作成された地図を特許文献1に示した監視装置に用いてもよい。
【0060】
次に、このようにして準備された目的別マップ情報データベース34に格納された地図を利用する場合について説明する。
【0061】
図6は、外部の情報利用者の携帯端末末41の図示のない制御部が行う動作を示すフローチャートであり、
図7はマップ作成装置30の制御部が行う動作を示すフローチャートである。
図6および
図7を参照して、情報利用者の携帯端末41は、所定のアプリケーションを起動して所望のマップ情報を要求する(S31、S32)。そして、その情報をマップ作成装置30に送信する。ここで、所望のマップを要求するときは、要求するマップの目的、および、地域を指定する。
【0062】
マップ作成装置30は利用者要求受付部35でこの要求を受信し、目的別マップ情報データベースを検索して、検索されたマップを利用者の端末41に送信する(S41〜43)。したがって、制御部36は、受付手段、検索手段として作動し、送信部39は送信手段として作動する。
【0063】
次に、このようにして作成される目的別マップ情報の更新方法について説明する。
【0064】
基本的には、情報提供者の携帯端末11からの送信情報によってリアルタイムにマップが更新(作成)される。情報提供者の属性が異なれば、自動的にその属性に適したマップが作成される。提供者の属性が、女性の場合のマップが「女性用夜間安心マップ」がすでに作成されている場合に、利用者の属性が、例えば、小学生の情報が提供されると、同じ領域について、別途、「小学生安心ゾーン」といった「安心マップ」が作成される。
【0065】
また、情報提供者が「暗くて危険」とか、「怪しい人物がいる」とか、「不法投棄あり」、など不審に感じた場所をその位置情報とともに、携帯端末11が有するカメラで撮影した写真を送信してもよい。この場合写真も作成された地図に表示される。
【0066】
この受信内容は、マップ作成装置30によってマップに反映される。また、町内会や、警察などのパトロール時に、GPS付スマートフォン等の携帯端末11を保持して、パトロール時に不審に感じたエリアをマップ作成装置30に送信し、マップとして登録するようにしてもよい。
【0067】
不審者人物情報などの情報提供者からの通報内容もリアルタイムにマップに反映してもよい。
【0068】
次に、このようにして準備された目的別マップ情報の利用方法について説明する。
【0069】
利用者が、「安心マップ(ポジ情報に基づくマップ)」の反対の、「リスクマップ(ネガ情報に基づくマップ)」上の「危険ゾーン」に入る場合、利用者の端末にアプリケーションで警告するようにしてもよい。
【0070】
また、このようにして作成された目的別マップ情報を基に、町内会や交番などで「地図」を作成してもよいし、このようにして作成された地図を用いて、「危険ゾーン」とされた地域をパトロールなどの際に、重点的に回る場所として参考データとしてもよい。
【0071】
また、「不法投棄」等の情報が寄せられたときは、回収作業や、対策を講じるようにしてもよい。
【0072】
また、通学路等に防犯カメラ,人感センサ,気象センサなどを設置してもよい。これらの画像やセンサ情報をもとに不審人物の有無,見守れる住民の有無,見守り環境(視界の良し悪しや視認性)などを判定するようにしてもよい。
【0073】
また、これらの画像やセンサ情報については情報提供者から情報が提供された時刻における、提供された地域に設置された機器からのデータを自動的に収集してマップに含めて表示してもよい。
【0074】
また、地域住民は通学路上や周辺を日常生活の中で見守り,安全に関わる情報を見つけた場合(例えば,見慣れない人がいたり,いたずらや不審物を見た)は,その情報を携帯端末から入力するようにしてもよい。これらの情報はGPS位置情報と共に目的別マップ情報データベース34に登録され,地域にリスクマップに反映される。
【0075】
以上のようにして得られた情報をもとに地域全体のリスク分布がマップ化され,リスクの高い場所が把握できる。
【0076】
また、このようなシステムを用いて、見守るべき人(子供や社会弱者)の行動を把握し、これらの人がリスクの高い場所に接近もしくは進入した場合は、本人へ通知し注意を喚起したり、周辺の住民,警備や防犯担当者に通知され見守りを強化するようにしてもよい。
【0077】
なお、携帯端末のカメラ機能に限らず、デジカメを用いて撮影した写真データを含めてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態においては、地域安全等の観点でマップを作成する例について説明したが、これに限らず、グルメ情報や、トイレ情報のマップの作成を行ってもよい。
【0079】
また、上記実施の形態においては、情報提供者から直接得た情報に基づいてマップを作成する場合について説明したが、これに限らず、情報提供者は伝聞情報を提供してもよい。
【0080】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。