特許第5910154号(P5910154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910154
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ジョイント機構
(51)【国際特許分類】
   F16B 12/20 20060101AFI20160414BHJP
   F16B 12/32 20060101ALI20160414BHJP
   A47B 87/00 20060101ALI20160414BHJP
   B42F 7/14 20060101ALI20160414BHJP
   B42F 7/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F16B12/20 B
   F16B12/32 B
   A47B87/00
   B42F7/14 Z
   B42F7/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-34724(P2012-34724)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-170621(P2013-170621A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】松里 久鑑
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−517220(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3126348(JP,U)
【文献】 特開2002−213417(JP,A)
【文献】 特開2006−226471(JP,A)
【文献】 実開昭58−172107(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 12/20−12/60
F16B 5/00− 5/12
F16B 19/10
A47B 87/00
B42F 7/00
B42F 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の収納具と第2の収納具とを接続するために用いられ、第1の収納具の外壁に設けたジョイント収納孔の内部に収納されその全体を第1の収納具の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第1の要素と、第2の収納具の外壁に設けたジョイント収納孔の内部に収納されその全体を第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第2の要素とを備え、前記第1の要素の雄部材と第2の要素の雌部材とをそれぞれ第1及び第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配した状態から互いに接近させて相対回転させることにより第1の収納具と第2の収納具とを連結するジョイント機構であって、
前記第1の要素が、前記ジョイント収納孔に係合させてなるホルダと、このホルダの内部に収納される雄部材たる雄ねじ部材と、この雄ねじ部材を前記ホルダの内部に保持させるための雄ねじ保持機構を有するとともに、前記第2の要素が、前記ジョイント収納孔に係合させてなるホルダと、このホルダの内部に収納される雌部材たる雌ねじ部材と、この雌ねじ部材を前記ホルダの内部に保持させるための雌ねじ保持機構を有することを特徴とするジョイント機構。
【請求項2】
前記雄ねじ保持機構及び雌ねじ保持機構が、前記ホルダの3箇所以上に設けた係止爪と、前記雄ねじ部材又は雌ねじ部材に設けられ前記係止爪に係合可能な凹部とを係合させてなるものである請求項1記載のジョイント機構。
【請求項3】
前記第1の要素の雄ねじ部材の頭部の側面に前記保持機構の凹部を設けているとともに、前記第2の要素の雌ねじ部材が、前記保持機構の凹部を有する頭部と、頭部から突出しその内部に雌ねじを有するボス部を有するものである請求項2記載のジョイント機構。
【請求項4】
前記第1の要素の雄ねじ部材の頭部に、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付部を設けているとともに、前記第2の要素の雌ねじ部材が、頭部と、頭部から突出しその内部に雌ねじを有するボス部を有し、前記頭部にも、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付部を設けている請求項1記載のジョイント機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納具同士を連結する際に用いられるジョイント機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、収納具同士を互いに隣接させた状態で連結するためのジョイント機構として種々のものが考えられてきている。このようなジョイント機構の一例として、第1の収納具の外壁及び第2の収納具の外壁にねじ挿通孔をそれぞれ設け、これら第1の収納具及び第2の収納具の外壁のねじ挿通孔を重ね合わせた状態で雄ねじ部材を挿通させ、第1の収納具に雄ねじ部材の頭部を衝き当てた状態で第2の収納具側から雌ねじ部材を雄ねじ部材を螺着させることにより、これら第1の収納具と第2の収納具とを締結する態様のものが考えられている(例えば、特許文献1を参照)。前記特許文献1記載のジョイント機構においては、第1の収納具の外壁及び第2の収納具の外壁に、収納具内部に向けて開口する嵌合孔を設け、この嵌合孔の側面及び底面を被覆する縁部材を取り付けているとともに、この縁部材に、第1及び第2の収納具を連結しているか否かに関わらず嵌合孔内を被覆可能なキャップを取り付け可能にしている。
【0003】
前記特許文献1記載の構成では、第1の収納具と第2の収納具との連結を解除する際に、雌ねじ部材を雄ねじ部材に螺着した状態を一旦解除し、雄ねじ部材を前記ねじ挿通孔から取り外して嵌合孔の外に取り去る操作が行われる。また、この操作に続いて、雌ねじ部材も嵌合孔の外に取り去る操作が行われる。その後、取り去った雄ねじ部材及び雌ねじ部材が嵌合孔の外の保管箇所に保管される。ここで、前記雄ねじ部材及び雌ねじ部材を収納具内の目に付きやすい箇所に収納すると、収納具内においてこれら雄ねじ部材及び雌ねじ部材のための収納スペースが消費され、これら雄ねじ部材及び雌ねじ部材が邪魔に感じられることがある。一方、これら雄ねじ部材及び雌ねじ部材をその他の箇所に保管する場合、これら雄ねじ部材及び雌ねじ部材の少なくとも一方を紛失し、第1及び第2の収納具を再度連結できなくなる不具合が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−15440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、収納具同士を連結していない場合において、少なくとも収納具同士を連結する際に用いる部材が邪魔に感じられる不具合の発生を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係るジョイント機構は、第1の収納具と第2の収納具とを接続するために用いられ、第1の収納具の外壁に設けたジョイント収納孔の内部に収納されその全体を第1の収納具の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第1の要素と、第2の収納具の外壁に設けたジョイント収納孔の内部に収納されその全体を第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第2の要素とを備え、前記第1の要素の雄部材と第2の要素の雌部材とをそれぞれ第1及び第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配した状態から互いに接近させて相対回転させることにより第1の収納具と第2の収納具とを連結するジョイント機構であって、前記第1の要素が、前記ジョイント収納孔に係合させてなるホルダと、このホルダの内部に収納される雄部材たる雄ねじ部材と、この雄ねじ部材を前記ホルダの内部に保持させるための雄ねじ保持機構を有するとともに、前記第2の要素が、前記ジョイント収納孔に係合させてなるホルダと、このホルダの内部に収納される雌部材たる雌ねじ部材と、この雌ねじ部材を前記ホルダの内部に保持させるための雌ねじ保持機構を有することを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、第1及び第2の収納具を連結していない状態においては、第1の要素及び第2の要素がそれぞれ第1及び第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配しておくことができるので、これら第1及び第2の収納具を連結する際に用いる第1及び第2の要素が邪魔に感じられる不具合の発生を抑制できる。その上で、第1の要素の雄部材と第2の要素の雌部材とを互いに接近させて相対回転させる簡単な動作により第1の収納具と第2の収納具とを連結できる。
【0008】
なお、本発明において、「収納具」とは、収納家具や、紙葉類を綴じて保存するファイルや、紙葉類を内部に収納するボックスファイル等、物品の収納に利用されるもの全般を含む概念である。
【0009】
さらに、前記第1の要素が、前記ジョイント収納孔に係合させてなるホルダと、このホルダの内部に収納される雄ねじ部材と、この雄ねじ部材を前記ホルダの内部に保持させるための雄ねじ保持機構を有するとともに、前記第2の要素が、前記ジョイント収納孔に係合させてなるホルダと、このホルダの内部に収納される雌ねじ部材と、この雌ねじ部材を前記ホルダの内部に保持させるための雌ねじ保持機構を有するので、第1及び第2の要素の紛失を有効に防ぐこともできる
【0010】
上述した雄ねじ保持機構及び雌ねじ保持機構を簡単な構成で実現するための構成として、前記雄ねじ保持機構及び雌ねじ保持機構が、前記ホルダの3箇所以上に設けた係止爪と、前記雄ねじ部材又は雌ねじ部材に設けられ前記係止爪に係合可能な凹部とを係合させてなるものが挙げられる。
【0011】
前段で述べた構成のさらに具体的な態様の一例として、前記第1の要素の雄ねじ部材の頭部の側面に前記保持機構の凹部を設けているとともに、前記第2の要素の雌ねじ部材が、前記保持機構の凹部を有する頭部と、頭部から突出しその内部に雌ねじを有するボス部を有するものが挙げられる。
【0012】
加えて、簡単な操作により第1及び第2の収納具の連結を行うことができるようにするための構成として、前記第1の要素の雄ねじ部材の頭部に、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付部を設けているとともに、前記第2の要素の雌ねじ部材が、頭部と、頭部から突出しその内部に雌ねじを有するボス部を有し、前記頭部にも、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付部を設けているものが挙げられる。kのおようなものであれば、操作受付具にコイン等の操作具を挿入して雄ねじ部材及び雌ねじ部材を相対回転させることにより連結作業を行うことができるからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納具同士を連結していない場合において、少なくとも収納具同士を連結する際に用いる部材が邪魔に感じられる不具合の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るジョイント機構により接続された収納具を示す斜視図。
図2】同実施形態に係るジョイント機構による接続部位の中央縦断面図。
図3】同実施形態に係るジョイント機構による接続部位を拡大して示す斜視図。
図4】同実施形態に係るジョイント機構を示す分解斜視図。
図5】同実施形態に係るジョイント機構のホルダを示す正面図。
図6】同実施形態に係るジョイント機構におけるホルダの係止爪近傍を拡大して示す斜視図。
図7】同実施形態に係る第1及び第2の要素のホルダに雄ねじ部材及び雌ねじ部材を保持させた状態における当該部位の中央縦断面図。
図8】同実施形態に係る第1の要素のホルダに雄ねじ部材を保持させた箇所を拡大して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図1図8を参照しつつ以下に述べる。
【0016】
本実施形態に係るジョイント機構Jは、図1に示すように、第1の収納具1と第2の収納具2とを接続するために用いられる。より具体的には、このジョイント機構Jは、第1の収納具1の外壁に設けたジョイント収納孔1aの内部に収納されその全体を第1の収納具1の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第1の要素3と、第2の収納具2の外壁に設けたジョイント収納孔2aの内部に収納されその全体を第2の収納具2の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第2の要素4とを備えている、そして、このジョイント機構Jは、これら第1の要素3と第2の要素4とをそれぞれ第1及び第2の収納具1、2の外壁の厚さ寸法内に配した状態から互いに接近させて相対回転させることにより、第1の収納具1と第2の収納具2とを接続する。
【0017】
さらに詳述すると、前記第1の要素3は、図2図5に示すように、前記ジョイント収納孔1aに係合させてなるホルダ31と、このホルダ31の内部に収納される雄部材たる雄ねじ部材32と、この雄ねじ部材32を前記ホルダ31の内部に保持させるための雄ねじ保持機構33とを有する。前記ホルダ31は、樹脂により形成され、ジョイント収納孔1a内に収納した状態で先端部がジョイント収納孔1aに密着する側壁311と、この側壁311の先端に接続し中央部に雄ねじ部材32を挿通させるためのねじ挿通孔312aを有する底壁312と、前記側壁311の基端部から径方向外方に延出させて設けられ、ジョイント収納孔1a内に収納した状態でその外側端がジョイント収納孔1aの収納具内部側に設けた座ぐり部1a1に密着する鍔部313と、この鍔部313の裏面から前記側壁311と平行に延びその外側端がジョイント収納孔1aの収納具内部側に設けた座ぐり部1a1に密着するリブ314とを有する。ここで、このホルダ31の側壁311及び底壁312により、雄ねじ部材32を収納する雄ねじ部材収納空間31xが区成される。一方、雄ねじ部材32は、頭部321と、この頭部321の裏面から起立しねじ山を有する雄ねじ部322とを有する。雄ねじ部材32の頭部321には、その表面の中央部に、コイン等の操作具を挿入することにより雄ねじ部材32を回転させることを可能にすべく、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付部たる操作受付穴321aを設けている。そして、雄ねじ保持機構33は、前記ホルダ31の側壁311の内面の3箇所に設けた係止爪331と、前記雄ねじ部材32の頭部321の側面に設けられ前記係止爪331に係合可能な凹部332とを係合させてなる。より具体的には、前記係止爪331は、図5及び図6に示すように、前記ホルダ31の側壁311から起立し、このホルダ31の周方向に延びている。また、この係止爪331を挟んで第1の収納具1の内部に向かう側及びその反対側に隣接する部位には、この係止爪331を雄ねじ部材収納空間31xに対して突没する方向に弾性移動しやすくすべく、薄肉部333を設けている。この係止爪331は、周方向に120°ずつ離間させて設けている。一方、前記凹部332は、本実施形態では、雄ねじ部材32の頭部321の側面の厚さ方向中間部に、周方向に延びる溝として設けている。
【0018】
前記第2の要素4は、図2図5に示すように、前記ジョイント収納孔2aに係合させてなるホルダ41と、このホルダ41の内部に収納される雌部材たる雌ねじ部材42と、この雌ねじ部材42を前記ホルダ31の内部に保持させるための雌ねじ保持機構43を有する。前記ホルダ41は、前記第1の要素3のホルダ31と同一の構造を有する。すなわち、樹脂により形成され、ジョイント収納孔2a内に収納した状態で先端部がジョイント収納孔2aに密着する側壁411と、この側壁411の先端に接続し中央部に雄ねじ部材42を挿通させるためのねじ挿通孔412aを有する底壁412と、前記側壁411の基端部から径方向外方に延出させて設けられ、ジョイント収納孔2a内に収納した状態でその外側端がジョイント収納孔2aの収納具内部側に設けた座ぐり部2a1に密着する鍔部413と、この鍔部413の裏面から前記側壁411と平行に延びその外側端がジョイント収納孔2aの前記座ぐり部2a1に密着するリブ414とを有する。ここで、このホルダ41の側壁411及び底壁412により、雌ねじ部材42を収納する雌ねじ部材収納空間41xが区成される。一方、雌ねじ部材42は、頭部421と、頭部421から突出しその内部に雌ねじ422aを有するボス部422とを有する。雌ねじ部材42の頭部421にも、その表面の中央部に、コイン等の操作具を挿入することにより雌ねじ部材42を回転させることを可能にすべく、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付部たる操作受付穴421aを設けている。そして、雌ねじ保持機構43は、前記ホルダ41の側壁411の内面の3箇所に設けた係止爪431と、前記雌ねじ部材42の頭部421の側面に設けられ前記係止爪431に係合可能な凹部432とを係合させてなる。より具体的には、前記係止爪431は、前記ホルダ41の側壁411から起立し、このホルダ41の周方向に延びている。また、この係止爪431を挟んで第2の収納具4の内部に向かう側及びその反対側に隣接する部位には、この係止爪431を雌ねじ部材収納空間42xに対して突没する方向に弾性移動しやすくすべく、薄肉部433を設けている。この係止爪431は、周方向に120°ずつ離間させて設けている。一方、前記凹部432は、本実施形態では、雌ねじ部材42の頭部421の側面の厚さ方向中間部に、周方向に延びる溝として設けている。
【0019】
ここで、第1の収納具1と第2の収納具2とを連結していない状態では、図7に示すように、第1の要素3の雄ねじ部材32、及び第2の要素4の雌ねじ部材42は、それぞれ雄ねじ保持機構33及び雌ねじ保持機構43によりホルダ31、41に保持されている。すなわち、雄ねじ部材32の頭部321の凹部332と第1の要素3のホルダ31の係止爪331とが係合しているとともに、雌ねじ部材42の頭部421の凹部432と第2の要素4のホルダ41の係止爪431とも係合している。ここで、雄ねじ部材32の頭部321の前面と第1の収納具1の側壁の内面とは、図8に示すように、略面一である。また、雌ねじ部材42の頭部421の前面と第2の収納具2の側壁の内面とも、略面一である。この状態から第1の収納具1と第2の収納具2とを連結する際には、以下のような手順で操作が行われる。まず、第1の収納具1のジョイント収納孔1aと第2の収納具2のジョイント収納孔2aとを重ね合わせる。次いで、第1の要素3の雄ねじ部材32と第2の要素4の雌ねじ部材42に対して相寄る方向に作用を加える。その際、第1の要素3及び第2の要素4のホルダ31の係止爪331、431は、雄ねじ部材32の頭部321又は雌ねじ部材42の頭部321に接触した状態で一旦外方に退避し、雄ねじ部材32の頭部321又は雌ねじ部材42の頭部421に接触した状態が解除されると弾性力により元の位置に戻る。そして、雄ねじ部材32の操作受付穴321a及び雌ねじ部材42の操作受付穴421aの一方にコイン等の操作具を挿入し、雄ねじ部材32と雌ねじ部材42とを相対回転させてこれらを螺着することにより、第1の収納具1と第2の収納具2とが連結される。第1の収納具1と第2の収納具2とを連結した状態を解除する際には、上述した操作と逆の操作を行う。そして、第1の要素3及び第2の要素4のホルダ31の係止爪331、431と、雄ねじ部材32の頭部321及び雌ねじ部材42の頭部421の凹部432とをそれぞれ弾性係合させることにより、雄ねじ部材32及び雌ねじ部材42をそれぞれホルダ31、41に保持させる。このとき、第1の要素3は、その全体が第1の収納具1の外壁の厚さ寸法内、すなわちジョイント収納孔1a内に配される。また、第2の要素4も、その全体が第2の収納具2の外壁の厚さ寸法内、すなわちジョイント収納孔2a内に配される。
【0020】
以上に述べたように、本実施形態の構成によれば、第1及び第2の収納具1、2を連結していない状態においては、第1の要素3及び第2の要素4の全体を、それぞれ第1及び第2の収納具1、2の外壁の厚さ寸法内すなわちジョイント収納孔1a、2a内に配しておくことができるので、これら第1及び第2の要素3、4が邪魔に感じられる不具合の発生を抑制できる。その上で、第1の要素3の雄ねじ部材32と第2の要素4の雌ねじ部材42とを互いに接近させて相対回転させる簡単な動作により、第1の収納具1と第2の収納具2とを連結できる。
【0021】
また、前記第1の要素3が、前記ジョイント収納孔1aに係合させてなるホルダ31と、このホルダ31の内部に収納される雄ねじ部材32と、この雄ねじ部材32を前記ホルダ31の内部に保持させるための雄ねじ保持機構33を有するので、雄ねじ部材32の紛失を防ぐことができる。さらに、前記第2の要素4が、前記ジョイント収納孔2aに係合させてなるホルダ41と、このホルダ41の内部に収納される雌ねじ部材42と、この雌ねじ部材42を前記ホルダ41の内部に保持させるための雌ねじ保持機構43を有するので、雌ねじ部材42の紛失を防ぐことができる。
【0022】
加えて、前記雄ねじ保持機構33及び雌ねじ保持機構43が、前記ホルダ31、41の3箇所に設けた係止爪331、431と、前記雄ねじ部材32又は雌ねじ部材42の頭部321、421の側面に設けられ前記係止爪331、431に係合可能な凹部332、432とを係合させてなるので、このような雄ねじ保持機構33及び雌ねじ保持機構43を簡単な構成で実現することができる。
【0023】
そして、前記第1の要素3の雄ねじ部材32の頭部321、及び前記第2の要素4の雌ねじ部材42の頭部421に、一方向に延伸し操作具を挿入可能な凹部である操作受付穴321a、421aをそれぞれ設けているので、コイン等の操作具を操作受付穴321a、421aに挿入して回転させる簡単な操作によりジョイント機構Jによる第1及び第2の収納具1、2の連結を行うことができる。
【0024】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0025】
例えば、上述した実施形態では、第1の要素の雄ねじ部材及び第2の要素の雌ねじ部材
の頭部に、コイン等を挿入することにより雌ねじ部材を回転させることを可能にすべく、操作受付部たる操作受付穴を設けているが、例えば、頭部から操作受付部たるつまみを突出させて設ける態様を採用してもよい。
【0026】
また、第1の要素の雄ねじ部材及び第2の要素の雌ねじ部材に代えて、例えば、第1の要素に、頭部と、この頭部の裏面から突出し円柱状をなす本体と、この本体から外方に突出する係合突起とを有する雄部材を備えさせるとともに、第2の要素に、頭部と、この頭部の裏面から突出し前記第1の要素の雄部材の本体を収納可能であるとともに、前記雄部材の突起との間で摺動することにより雄部材を軸方向に移動可能に案内する第1案内溝、及びこの第1案内溝の端部から周方向に延び前記雄部材の突起との間で摺動することにより雄部材を軸周りに回転可能に案内する第2案内溝を有する雌部材を備えさせる態様等、ねじ以外の方法で互いに相対回転させることにより係合可能な構成を採用してもよい。
【0027】
さらに、ホルダに係止爪を互いに周方向に離間させて設ける態様に限らず、例えばホルダの内面に全周に亘って突出している環状の突起を設けてもよい。また、ホルダに係止爪を互いに周方向に離間させて設ける態様において、係止爪を設ける箇所は3箇所に限らず、4箇所以上であっても雄ねじ部材又は雌ねじ部材を安定して保持できる効果は得られる。また、ホルダの強度を確保する等の目的で、係止爪を1箇所又は2箇所のみに設けるようにしてもよい。
【0028】
そして、収納家具に限らず、ボックスファイルや綴じ具を備えたファイル等の収納具同士を連結する際に本発明のジョイント機構を利用してもよい。
【0029】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0030】
J…ジョイント機構
1…第1の収納具
2…第2の収納具
3…第1の要素
32…雄ねじ部材
4…第2の要素
42…雌ねじ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8