(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
廃棄物焼却炉、鉱石の製錬炉、電炉などから発生する排ガスには、煤塵、ダイオキシン類、重金属、揮発性有機化合物(VOC(Volatile Organic Compounds))、残留性有機汚染物質(POPs (Persistent Organic Pollutants))などが含まれている。煤塵は、濾過式集塵器によって捕集することができる。また、ダイオキシン類、重金属、揮発性有機化合物有害物質などは、粒状活性炭が充填された活性炭吸着塔によって除去できる。
【0003】
活性炭吸着装置としては、従来から特許文献1に開示の技術が知られている。この活性炭吸着装置は、活性炭層を内部に複数配設したカートリッジ式であり、前記活性炭層は、ガスの流入側の面及び流出側の面にパンチングメタルなどの通気性及び耐熱性を備えた透過素材を用い、枠部分等の非透過面には鋼板等の耐熱性のある非透過素材を用いて構成される。活性炭は、自己発火が生じない所定の厚さで前記透過素材により内部に保持される。
【0004】
活性炭層の一方をガス流入側面とし、他方をガス流出側面として平行かつ面対象な位置に複数配置し、ガス流入側面が対向する空間に対して排ガスを導入し、活性炭層を通過させ、ガス流出側面から排出した排ガスをガス流出側面が対向する空間から排出する。この排ガスの流れはクロスフローとなる。活性炭吸着装置の活性炭カートリッジは、活性炭層の吸着性能が低下した際に新しいものと交換される。
【0005】
係るカートリッジ式の活性炭吸着装置の一例として、非特許文献1に記載の技術が知られている。この活性炭吸着装置は、排ガスを導入する箱状の本体と、この本体の側面に設けた前記活性炭カートリッジの着脱を行う着脱口と、本体上部に接続した排ガス導入管と、本体底面に設けた清浄ガス排出管とから構成される。また、活性炭吸着装置は、例えば清掃工場において焼却炉、減温塔、濾過式集塵器の下流に配置される。所定の運転時間が経過した場合または活性炭の吸着性能が低下した場合には、着脱口の蓋を開けて活性炭カートリッジごと交換する。活性炭層を複数配置して排ガスの流れをクロスフローとした活性炭カートリッジを採用することで、活性炭吸着装置は小型化が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の活性炭吸着装置と濾過式集塵器とを併設すると、ガス管の取り回しや作業スペースがそれぞれに必要なので実質的な設置面積が大きくなり、それに応じて建屋や敷地も広くしなければならないという問題点があった。この発明は、係る課題を解決するために成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排ガス処理装置は、本体の内部に活性炭吸着手段を設置した活性炭吸着塔と、筐体の内部に複数の筒状濾布(バグフィルタ)を有すると共に、前記活性炭吸着塔の本体の側方に隣接配置された濾過式集塵器と、前記活性炭吸着塔の本体の側面に設けた排ガス入口と当該活性炭吸着塔の本体に対向する前記濾過式集塵器の筐体の側面に設けた排ガス出口とを接続し、活性炭吸着塔の本体と濾過式集塵器の筐体との内部同士を連通する連通部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
活性炭吸着塔の側方に濾過式集塵器を隣接配置することで、排ガス処理装置全体をコンパクトにできる。この場合、活性炭吸着塔の排ガス入口と濾過式集塵器の排ガス出口とを接続することで、活性炭吸着塔の本体と濾過式集塵器の筐体との内部同士を連通して排ガスを移動させる。なお、当該活性炭集塵塔と濾過式集塵器とは、少なくとも活性炭吸着手段の外寸より小さい間隔をもって隣接することになる。
【0010】
また、本発明に係る排ガス処理装置は、本体の内部に活性炭吸着手段を設置した活性炭吸着塔と、筐体の内部に複数の筒状濾布を有すると共に、前記活性炭吸着塔の本体の左右側に配置された濾過式集塵器と、前記活性炭吸着塔の本体の側面に設けた排ガス入口と当該活性炭吸着塔の本体に対向する前記濾過式集塵器の筐体の側面に設けた排ガス出口とを接続し、活性炭吸着塔の本体と濾過式集塵器の筐体との内部同士を連通する連通部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
処理ガス量が多い場合、特にパルスジェット式の濾過式集塵器では複数の濾過式集塵器を並設して用いるのが好ましい。また、濾過式集塵器を通過した排ガスは、できるだけ短い距離で活性炭吸着塔に導入することが望ましい。そこで、この発明では、活性炭吸着塔を中央に配置してその左右側に濾過式集塵器を配置し、連通部で前記活性炭吸着塔の本体と濾過式集塵器の筐体とを連通したので、排ガス処理装置をコンパクトにでき、且つ当該濾過式集塵器から活性炭吸着塔に排ガスを短い距離で導入できる。
【0012】
また、上記発明において、前記活性炭吸着塔は、本体の上部に設けた開口部と、この開口部に着脱自在に設けた蓋部とを備えた構成とするのが好ましい。
【0013】
本体の上部に開口部を備えることで内部に設置している活性炭吸着手段を上部から交換できる。このため、活性炭吸着塔の側方に作業スペースが不要となり、濾過式集塵器を活性炭吸着塔により隣接して配置でき、装置全体をコンパクト化できる。
【0014】
また、上記発明において、前記活性炭吸着塔の本体の側面と濾過式集塵器の筐体の側面とを一体化して仕切壁を構成し、この仕切壁に前記連通口を形成するのが好ましい。
【0015】
活性炭吸着塔の本体の側面と濾過式集塵器の筐体の側面とを一体化することで、活性炭吸着塔と濾過式集塵器との隙間を殆どなくすことができるので、排ガス処理装置全体をコンパクトにできる。なお、前記側面同士の一体化には、本体と筐体とで共通の鋼板により一体化する場合のみならず、2枚の鋼板を重ねて接合する場合、断熱層等を介して接合する場合が含まれる。
【0016】
また、上記発明において、更に、前記活性炭吸着塔の側方に濾過式集塵器を配置した場合に、当該活性炭吸着塔の下方で且つ濾過式集塵器の側方の空間に、前記活性炭吸着塔内に設置した活性炭吸着手段を通過した清浄ガスを導出する清浄ガス管を配置した構成とするのが好ましい。
【0017】
係る構成によればガス管スペースを排ガス処理装置の設置面積内に収めることができるので、装置全体をコンパクトにできる。
【0018】
また、上記発明において、前記活性炭吸着手段は、上面に汚染ガス通路が開口し且つ下面に清浄ガス通路が開口すると共に当該下面の周囲に枠状の凸部が設けられた活性炭カートリッジからなり、活性炭吸着塔の下面の清浄ガスの導出口の周囲に前記活性炭カートリッジの下面を支持する枠状の支持構造体を設け、この支持構造体の上面に、前記凸部に対応した枠状であって当該凸部より幅広の弾性部材を設けた構成とするのが好ましい。
【0019】
活性炭カートリッジを支持構造体に載せると、活性炭カートリッジの下面の凸部が弾性部材に食い込んでシールされ、当該活性炭カートリッジと活性炭吸着塔の底面との間が気密に保持される。また、凸部より幅広の弾性部材を用いるので設置位置が多少ずれてもシールが可能である。これにより、底面の清浄ガスの導出口に未処理ガスが漏れ出ることを防止できる。なお、凸部は、先端を丸い形状とするのが好ましい。例えば、剛性部材でできた中実丸棒、中空丸棒等などが望ましい。
【0020】
また、上記発明において、前記活性炭吸着手段の内部は、前記粒状活性炭が充填された活性炭収納部と、前記活性炭収納部に流入する排ガスが流れる汚染ガス通路と、前記活性炭収納部から流出した排ガスが流れる清浄ガス通路とが一列に並んで配置され、前記活性炭収納部は、前記粒状活性炭により形成された活性炭層と、平行な1組のガス通過面とを具備し、前記汚染ガス通路および前記清浄ガス通路は、排ガスの主たる流れ方向が前記活性炭層の厚さ方向に対して直交方向になる形状をしている構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、活性炭吸着塔及び濾過式集塵器のレイアウトの工夫により、排ガス処理装置をコンパクトにできる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る排ガス処理装置を示す斜視図である。
図2は、
図1に示した排ガス処理装置の分解図である。
図3は、
図1に示した排ガス処理装置の平面図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図4は、活性炭吸着塔の内部構造を示す説明図である。
図5は、活性炭吸着塔の断面図である。
図6は、活性炭カートリッジの説明図であり、(a)に断面図、(b)に斜視図を示す。
図7は、活性炭収納部の説明図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
図8は、活性炭カートリッジの支持構造体を示す説明図である。
【0026】
この排ガス処理装置100は、内部に活性炭カートリッジ2を配置した活性炭吸着塔1と、当該活性炭吸着塔1の下方に配置した清浄ガス管3と、当該活性炭吸着塔1の左右側方に隣接して配置した一対の濾過式集塵器4と、濾過式集塵器4の側方で前記清浄ガス管3の下方に配置した汚染ガス管5とから構成されている。なお、活性炭吸着塔1に対して濾過式集塵器4を隣接配置するとは、後述するように本体10と筐体42とを一体化すること、本体10及び筐体42の間に断熱層等の一定の間隙又は空間を有すること、後述する活性炭カートリッジ2の寸法より小さい距離で近接していることを含むものとする。
【0027】
活性炭吸着塔1の本体10の下面には複数の排気管7が設けられている。排気管7の下端は前記清浄ガス管3に接続されている。また、濾過式集塵器4の筐体42の下面には、集塵した煤塵を排出する複数のホッパ8が設けられている。ホッパ8の高さ方向の中間位置には導入管9が設けられている。この導入管9は、前記汚染ガス管5に接続されている。なお、ホッパ8の下端には、ガスをシールしながら煤塵を排出できるロータリーバルブが設けられている(図示省略)。清浄ガス管3は一端が閉じており、他端は煙突等(図示省略)に接続されている。汚染ガス管5の一端は閉じており、他端は汚染ガスを発生させる炉等(図示省略)に接続されている。
【0028】
清浄ガス管3と汚染ガス管5とは互いに上下に配置され且つ濾過式集塵器4と活性炭吸着塔1との間に形成される空間に配置される。換言すれば、活性炭吸着塔1の上面(蓋部12)と濾過式集塵器4の上面(蓋部46)とが面一になるように隣接配置した場合、濾過式集塵器4の容積が大きいため活性炭吸着塔1の下側で且つ濾過式集塵器4の横側に空間が形成される。当該空間に前記清浄ガス管3及び汚染ガス管5を配置する。このため、ガス管スペースを排ガス処理装置100の設置面積内に収めることができるので、排ガス処理装置100をコンパクトにできる。また、汚染ガス管5と清浄ガス管3とは、略直線状に並行配置されており、汚染ガス管5は排ガス処理装置100の一方側に延出して設けられ、清浄ガス管3は他方側に延出して設けられている。これにより、排ガス処理装置100を清掃工場や製鉄所などに設置する場合に、効率的なレイアウトが可能となる。
【0029】
前記活性炭吸着塔1は、一方向に長い直方体の本体10と、本体10の上面に設けた開口部11と、当該開口部11に設けた蓋部12(
図1では蓋部12を取り外した状態と取り付けた状態の両方を示す)と、本体10の底面13に設けた前記排気管7とから構成される。本体10のうち、前記濾過式集塵器4と隣接する側の壁面10aの上方には、複数の連通口54が設けられている。また、本体10の底面13には、活性炭吸着手段である活性炭カートリッジ2が設置される。活性炭カートリッジ2は、前記開口部11から蓋部12を開けることで交換可能である。底面13の排気管7の開口7a(清浄ガスの導出口)周囲には、活性炭カートリッジ2の支持構造体16が設けられる。この支持構造体16は、I形鋼等の形鋼からなる梁17を四角枠形状に溶接し、底面13に対して気密に溶接される。
【0030】
活性炭吸着塔1には高い除去率(例えば、99%以上)が求められるため、活性炭層21を通過しない未処理の排ガスが活性炭カートリッジ2と活性炭吸着塔1の本体10の底面13の間から漏れ出ないようにする必要がある。
【0031】
支持構造体16の頂面18には、四角枠形状のパッキン19が設けられている。当該パッキン19は、高温ガスに耐えるため耐熱温度が200℃のシリコンを用いる。その断面は短冊形状、長方形又は正方形である。カートリッジ筐体22のフランジ22aの下面周囲には、四角枠形状に配置した凸部である棒材20(中実丸棒,中空丸棒等の剛性部材)が設けられている。この棒材20はフランジ22aの下面に対して気密状態で溶接されている。活性炭カートリッジ2を活性炭層21に載せたとき、棒材20が前記パッキン19に食い込んで、活性炭カートリッジ2と排気管7との間の空間が気密に保持され、外部から隔離される。また、パッキン19は柔軟性が高いので、前記棒材20に多少の歪みがあってもこれを吸収して機密性を保持できる。パッキン19の幅は、棒材20の直径より広くするのが好ましい。これにより、クレーンで活性炭カートリッジ2を設置する際に多少の位置ずれが生じても活性炭カートリッジ2の機密性が保たれる。なお、活性炭カートリッジ2は、本体10内に3個配置されているが、これに限定されない。
【0032】
活性炭カートリッジ2の構造は、
図6及び
図7に示すように、カートリッジ筐体22と、矩形の薄箱状の梁構造23からなる活性炭収納部24と、パンチングメタルや網状板等の通気性を有するガス通過面25と、ガスの流れを規制する遮蔽板26と、活性炭層21の出し入れを行う際に用いる蓋部27と、活性炭収納部24に粒状活性炭を充填して形成される活性炭層21と、活性炭層21の上部に収納されたスチールウール28とから構成されている。前記活性炭層21は、粒状活性炭の流動化(babbling)を防止するため、バイブレータで振動を与え或いは棒などで突きながら、密に充填される。前記活性炭収納部24は、カートリッジ筐体22内に一定の間隔で4列設けられる。第1の活性炭収納部24a及び第2の活性炭収納部24bの空間の上部は、遮蔽板26で連結されて覆われている。第2の活性炭収納部24b及び第3の活性炭収納部24cの空間の下部は、遮蔽板29で連結されて覆われている。第3の活性炭収納部24c及び第4の活性炭収納部24dの空間の上部は、遮蔽板28で連結されて覆われている。
【0033】
また、第1の活性炭収納部24a及び第4の活性炭収納部24dは、カートリッジ筐体22の内側壁から一定の距離で配置される。また、第1の活性炭収納部24a及び第4の活性炭収納部24dの下部とカートリッジ筐体22の下端は、遮蔽板30で連結されて覆われている。これにより、カートリッジ筐体22の内側壁と第1の活性炭収納部24aとの空間、第2の活性炭収納部24bと第3の活性炭収納部24cとの空間、第4の活性炭収納部24dとカートリッジ筐体22の内側壁との空間が、汚染ガス通路31となる。また、第1の活性炭収納部24a及び第2の活性炭収納部24bとの空間、第3の活性炭収納部24c及び第4の活性炭収納部24dとの空間が、清浄ガス通路32となる。そして、活性炭カートリッジ2の上面に前記汚染ガス通路31が開口し、下面に清浄ガス通路32が開口する。係る構成によれば、汚染ガス通路31及び清浄ガス通路32における排ガスの主たる流れ方向と、活性炭層21内における排ガスの主たる流れ方向(厚さ方向への流れ)とが略直交する所謂クロスフローとなる。
【0034】
なお、一つの活性炭カートリッジ2に搭載する活性炭収納部24の数はこれに限定されるものではない。例えば、活性炭収納部24の数を6個に増やすことで、汚染ガス通路31を4個とし、清浄ガス通路32を3個としても良い。活性炭収納部24の数と前記遮蔽板26,29との組み合わせにより、様々な構成が可能である。
【0035】
また、活性炭収納部24は、構造上、上端部24fでの排ガスの流れが遅い。粒状活性炭は有害物質の吸着によって熱を発生し、排ガスの流れが遅いと蓄熱が進み発火するおそれがある。そこで、活性炭収納部24の上端部24fにスチールウール28を設けることで、活性炭収納部24の上端部24fで蓄熱しても自己発火のおそれがなくなる。また、活性炭収納部24の蓋部27の内面と活性炭層21との両方にスチールウール28を密着させる。スチールウール28は、形状が自在に変形してその全体の弾性力により粒状活性炭を加圧する。このため、粒状活性炭の中をガスが通気した場合でも、活性炭層21に流動化が起こり難くなり、有害物質の除去効率が低下しない。よって、従来よりも少ない粒状活性炭の充填量で有害物質を除去することが可能になる。
【0036】
活性炭収納部24の活性炭層21の厚さは、30mm〜100mmであることが望ましい。活性炭層21の層厚が30mm未満では排ガスのすり抜けが起こり有害成分の除去性能が悪くなることがあり、層厚が100mmを超えると活性炭層21が蓄熱して発火するおそれがあるからである。また、活性炭収納部24の高さや奥行きは、任意に決定できる。当該高さ及び奥行きは、例えば500mm〜3000mmの範囲とする。汚染ガス通路31や清浄ガス通路32の幅(活性炭層21の厚さ方向での寸法)は、流速や構造上の理由からおよそ20mm〜300mmの範囲とすることが望ましい。
【0037】
また、活性炭収納部24に粒状活性炭を充填することでガス通過面25が膨れることがある(
図7において点線で示す)。ガス通過面25が膨れると、活性炭層21の厚さが一定でなくなると共に前記汚染ガス通路31および清浄ガス通路32が狭くなり、活性炭カートリッジ2の圧力損失や有害物質の除去効率に悪影響がある。そこで、この活性炭カートリッジ2では、
図7に示すように、剛性部材でできた中間支持材33をガス通過面25の中央に設ける。この中間支持材33は、活性炭収納部24のガス通過面25を押さえ、ガス通過面25が膨れるのを防止する。また、中間支持材33は一定間隔をもって複数設けても良い。
【0038】
活性炭カートリッジ2のカートリッジ筐体22は、強度、耐久性、作りやすさ等の理由から、普通鋼、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属製とすることが望ましい。また、ガス通過面25は、通風性、耐久性、重量などの理由から、前記材質からなる金網、パンチングメタル等の通気性が高く、薄く(厚さ1mm程度)且つ軽い形状とすることが望ましい。また、活性炭収納部24の形状は直方体が望ましいが、平行な1組のガス通過面25を有するものであれば他の形状でも良い。1組のガス通過面25を平行に配置することで、排ガスを活性炭層21に均一に流すことができ、有害物質の除去効率を向上できる。
【0039】
活性炭カートリッジ2のカートリッジ筐体22を構成する部材をボルト及びナットで締め付け固定する場合、ボルト及びナットの締め付け部分にシールを施すのが好ましい。これにより、ボルト及びナットの締め付け部分からガスが漏洩するのを防止できる。前記蓋部26は、開閉可能であり、不用意に開かないようにボルトなどで固定する。
【0040】
前記粒状活性炭は、破砕炭、顆粒炭、成形炭(造粒炭)、球状炭のいずれをも用いることができる。円柱状の成形炭は、形状や大きさのばらつきが少なく、コストも低いので、粒状活性炭の製造に最適である。また、吸着除去する有害物質に応じて、粒状活性炭に薬品や金属を添着してもよい。
【0041】
粒状活性炭の大きさは、粒径が0.5mm以上2.4mm以下(粒度が8メッシュ以上32メッシュ以下)であることが望ましい。活性炭吸着塔1では、流動化の発生を防止するため、粒径が4mm以上(粒度が5メッシュ以下)の粒状活性炭を用いることが多いが、ダイオキシン類などは、活性炭粒の表面近傍で吸着されるため、粒径が小さい粒状活性炭のほうが単位体積あたりの排ガスとの接触面積が大きく除去効率が高い。このため、粒径は、2.4mm未満とするのが好ましい。一方、粒状活性炭の粒径を0.5mm未満とすると、それに適したガス通過面25を製作するのが困難になってしまうので、粒径は0.5mm以上とするのが好ましい。
【0042】
活性炭カートリッジ2を交換する際は、開口部11の蓋部12を開き、活性炭カートリッジ2をクレーンにより吊り上げて取り出し、新しい活性炭カートリッジ2を入れる。この活性炭カートリッジ2を設置する際、フランジ22aの棒材20が支持構造体16のパッキン19に食い込んで、活性炭カートリッジ2と排気管7との間が気密に連結される。なお、前記開口部11及び蓋部12は、一台の活性炭カートリッジ2を出し入れできる大きさであっても、複数台の活性炭カートリッジ2を出し入れできる大きさであっても良い。蓋部12は、セパレート構造であっても、ヒンジ構造であっても良い。
【0043】
次に、前記濾過式集塵器4は、テフロン(登録商標)繊維やガラス繊維等の材質でできた円筒状瀘布41を筐体42内に多数収納した構造である。筐体42内の上部には、内部を上下に仕切る仕切板43が設けられている。仕切板43には多数の穴44が設けられ、各穴44に対して前記円筒状瀘布41が吊り下げられる。円筒状瀘布41内には、形状を円筒状に保持するためのリテーナーが設けられる(図示省略)。
【0044】
前記筐体42は一方向に長い直方体であり、その上面には開口部45が設けられる。開口部45には着脱自在に蓋部46が設けられる(
図1では蓋部46を取り外した状態と取り付けた状態の両方を示す)。筐体42の下面には、既述のようにホッパ8が複数設けられている。ホッパ8の下端には、ロータリーバルブが設けられている(図示省略)。また、筐体42内であって前記仕切板43の上側には、パルスジェットエアを噴出するエア噴出管が設けられている(公知技術であるため図示省略)。エア噴出管には多数の噴出口が設けられ、各噴出口は円筒状瀘布41の上端部開口に対向している。エア噴出管の端部には、所定の圧力のエアを供給する圧縮空気供給部と、ダイヤフラム弁等からなるパルスジェット発生弁とが設けられている。なお、煤塵の払い落し方法としては、パルスジェット式の他、機械振動式、逆圧払い落し式を採用しても良い。
【0045】
濾過式集塵器4では、濾布を通過するガス流速を遅く(約0.5〜1.5m/min)する必要があるため、多くの円筒状瀘布41を設ける必要がある。このため、濾過式集塵器4は他の排ガス処理装置100の構成要素に比べ大型になる。一方、濾過式集塵器4の横幅をあまり広くするとパルスジェットの圧縮空気が均一に流れにくくなる等の不都合が生じるため、処理ガス量が多い場合、特にパルスジェット式の濾過式集塵器4では例えば二台の濾過式集塵器4を並列に設置することで対応するのが好ましい。
【0046】
上記活性炭吸着塔1の本体10の両側面10aと、当該活性炭吸着塔1の左右両側に配置した濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aとは、一体化して仕切壁50を構成する。例えば、仕切壁50は、活性炭吸着塔1の本体10の両側面10aと濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aとで共通の一枚の鋼板により構成される。別の構成では、活性炭吸着塔1の本体10の両側面10aを構成する鋼板と、当該活性炭吸着塔1の左右両側に設けた濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aを構成する鋼板とを重ね、溶接又は機械的に締結し一体化することで仕切壁50を構成する。
【0047】
更に別の構成では、
図9(a)に示すように、活性炭吸着塔1の本体10の両側面10aを構成する鋼板と、当該活性炭吸着塔1の左右両側に設けた濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aを構成する鋼板とを、一定の隙間又は断熱材からなる断熱層51を介して一体化して仕切壁50を構成する。断熱層51を形成することで、排ガスの熱が濾過式集塵器4から活性炭吸着塔1に移動するのを防止できる。
【0048】
更に別の観点では、
図9(b)に示すように、活性炭吸着塔1の本体10の両側面10aを構成する鋼板と、当該活性炭吸着塔1の左右両側に設けた濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aを構成する鋼板とを、活性炭カートリッジ2の寸法よりも小さい隙間をもって一体化する。この排ガス処理装置100では、活性炭カートリッジ2は上部から交換し、活性炭吸着塔1の側方での交換作業は行わない。このため、前記本体10と筐体42とを活性炭カートリッジ2の外寸より小さい隙間を持って隣接配置できる。
【0049】
仕切壁50の上部には、活性炭吸着塔1と濾過式集塵器4とを連通する連通口54が設けられる。連通口54は、活性炭吸着塔1の排ガス入口54aと濾過式集塵器4の排ガス出口54bとから構成される。仕切壁50が一枚の鋼板により構成される場合、この連通口54は、活性炭吸着塔1の排ガス入口54aと濾過式集塵器4の排ガス出口54bの機能を兼ね備えた単純な穴により構成される。仕切壁50が二枚の鋼板を合わせて構成される場合、各鋼板に穴を設けて穴同士を位置あわせして一つの連通口54とする。なお、二枚の鋼板から仕切壁50を構成する場合であって、鋼板と鋼板との間に隙間又は断熱層51があるとき、連通口54は、各鋼板の穴とその穴同士を連結する短い筒又は穴により構成される。
【0050】
このように、活性炭吸着塔1の本体10の両側面10aと当該活性炭吸着塔1の左右両側に配置した濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aとを一体化して仕切壁50を構成することで、装置全体のサイズを小さくできる。また、連通口54により活性炭吸着塔1の左右側から排ガスがガス管を介さずに本体内部に導入される。
【0051】
次に、この排ガス処理装置100の動作を説明する。
図10は、排ガスの流れを示す説明図である。焼却炉等から排出された排ガスGは、汚染ガス管5及び導入管9を通って濾過式集塵器4のホッパ8の中間位置から筐体42の内部に入る。濾過式集塵器4では、排ガスに含まれる煤塵を多数の円筒状瀘布41の外面で捕集する。捕集された煤塵は、定期的に内面に噴出されるパルスジェットによって払い落とされる。払い落とされた煤塵は、ホッパ8で集められて図示しないロータリーバルブから排出される。
【0052】
円筒状瀘布41を通過した排ガスには、未だガス状ダイオキシン等の気体として存在する有害物質が含まれている。この排ガスは、濾過式集塵器4の上部に流れ、前記連通口54を通り、活性炭吸着塔1の上部に導入される。活性炭吸着塔1では、排ガスが活性炭カートリッジ2を通過するときに活性炭層21により有害物質が除去される。活性炭カートリッジ2では、汚染ガス通路31に入った有害物質を含む排ガスが、活性炭層21のガス通過面25から当該活性炭層21に入り、反対側のガス通過面25から清浄ガス通路32に排出される。清浄ガス通路32から出た有害物質が除去された排ガスは、活性炭吸着塔1の排気管7を通過して清浄ガス管3に至る。清浄ガス管3に出された排ガスは、煙突等から排出される。
【0053】
以上、この発明の排ガス処理装置100によれば、活性炭吸着塔1の左右両側に濾過式集塵器4を隣接配置したので、装置全体がコンパクトになる。また、汚染ガス管5と清浄ガス管3とを、濾過式集塵器4と活性炭吸着塔1との間の空間に配置することで、装置全体をよりコンパクトにできる。更に、活性炭吸着塔1の上部から活性炭カートリッジ2の交換を行うようにしたので、活性炭吸着塔1の周囲の交換作業スペースを省略して当該活性炭吸着塔1の左右に濾過式集塵器4を配置できると共に、クレーンを利用して活性炭カートリッジを短時間で交換することもできる。
【0054】
図11は、上記活性炭カートリッジの変形例を示す説明図である。この活性炭カートリッジ120は、筐体122と、矩形の薄箱状の梁構造体からなる活性炭収納部24と、パンチングメタルや網状板等の通気性を有するガス通過面25と、ガスの流れを規制する遮蔽板126と、活性炭層21の出し入れを行う際に用いる蓋部127と、活性炭収納部24に粒状活性炭を充填して形成される活性炭層21と、活性炭層21の上部に収納されたスチールウール28とから構成されている。
【0055】
また、前記活性炭収納部24は、筐体122内の所定位置に設けられる。活性炭収納部24の上部と筐体122の一面の上部とは、遮蔽板126で連結されて覆われている。また、活性炭収納部24の下部と筐体122の他面の下部とは、遮蔽板128で連結されて覆われている。これにより、活性炭収納部24と筐体122の他面との間が汚染ガス通路31となり、活性炭収納部24と筐体122の一面との間が清浄ガス通路32となる。そして、汚染ガス通路31及び清浄ガス通路32には、拘束部材130が設けられている。拘束部材130は、鋼板からなる断面がコの字形状の長尺部材であり、排ガスの主たる流れ方向に沿って略垂直に設けられている。また、フランジ部131は、筐体122の内面及びこれに対向するガス通過面25に当接して固定されている。平面部132は、活性炭収納部24のガス通過面25に対して略垂直になるように配置されている。
【0056】
拘束部材130は、フランジ部131をガス通過面25に当接することで、活性炭収納部24が粒状活性炭を充填することにより膨らむのを防止する。拘束部材130は、汚染ガス通路31及び清浄ガス通路32にそれぞれ1枚設けても良いし、複数設けても良い。拘束部材130を複数設けることで、ガス通過面25の膨らみを更に防止できると共に、汚染ガス通路31及び清浄ガス通路32における排ガスの整流効果を高められる。その他の構成は、上記
図6及び
図7に示した活性炭カートリッジ2と同様である。また、
図6及び
図7に示した活性炭カートリッジ2の汚染ガス通路31及び清浄ガス通路32に拘束部材130を設けても良い。
【0057】
図12は、この発明の他の実施の形態に係る排ガス処理装置を示す斜視図である。この排ガス処理装置150は、上記実施の形態1に記載の排ガス処理装置100の濾過式集塵器4を活性炭吸着塔1の片側に設けた構成である。濾過式集塵器4及び活性炭吸着塔1の詳細な構成は実施の形態1と同じであるからその説明を省略する。この排ガス処理装置150でも、活性炭吸着塔1の下方で濾過式集塵器4の側方に形成される空間に清浄ガス管3及び汚染ガス管5を配置している。このため、ガス管スペースを排ガス処理装置150の周囲に設けなくても良い。更に、活性炭吸着塔1及び濾過式集塵器4の本体10,42の開口部11,45を上部に設け、クレーンにより活性炭カートリッジ2や円筒状瀘布を交換できるようにしたので、排ガス処理装置100の周囲に活性炭カートリッジ2の交換作業スペースが不要である。また、活性炭吸着塔1の本体10の片面10aと濾過式集塵器4の筐体42の一側面42aとは、一体化して仕切壁50を構成するので、装置全体のサイズを小さくできる。
【0058】
(実施の形態2)
図13は、この発明の実施の形態2に係る排ガス処理装置を示す斜視図である。この排ガス処理装置200は、濾過式集塵器204をドーナッツ状の円形とし、中央に活性炭吸着塔201を設けた構成である。この排ガス処理装置200も、上記実施の形態1と同様の構成要件を備え、同様の作用効果を備えている。即ち、容積が大きくなる濾過式集塵器204を活性炭吸着塔201の側方周囲に隣接し、濾過式集塵器204の筐体242の一側面242aと活性炭吸着塔1の本体210の側面210aとを一体化して仕切壁250とする。仕切壁250の上部には複数の連通口254が設けられる。これにより、濾過式集塵器204と活性炭吸着塔201との間の空間が省略されるので、装置全体がコンパクトになる。濾過式集塵器204の筐体242の一側面242aと活性炭吸着塔201の本体210の側面210aとの一体化においては、当該一側面242aと側面210aとは別々の鋼板からなりこれらを重ねて接合した構成でも良いし、当該一側面242aと側面210aとの間に断熱層を設けた状態で一体化しても良い。
【0059】
本体210の上部には開口部211が設けられ、開口部211の蓋部212を開閉することで活性炭カートリッジ202を交換できる。このため、装置の周囲に活性炭カートリッジ202の交換のためのスペースが不要である。更に、活性炭吸着塔201の周囲全てに濾過式集塵器204を配置できる。
【0060】
活性炭吸着塔201の底面213には穴207aが形成される。穴207aの周囲には、実施の形態1に示したものと同一構成の支持構造体216が設けられる。活性炭カートリッジ202は、支持構造体216の上に載せられ、実施の形態1に示したものと同一構成のパッキン及び底部の棒材(いずれも図示省略)によりシールされる。また、清浄ガス管203は活性炭吸着塔201の下部から延出する。
【0061】
濾過式集塵器204の筐体204は仕切板243により2層に分割されている。仕切板243には複数の穴244が設けられ、この穴244には上記実施の形態1と同じ濾布の円筒状瀘布241が着脱自在に設けられている。筐体204の上部には開口部245が設けられ、開口部245の蓋部246を開閉することで円筒状瀘布241を交換できる。汚染ガス管は、濾過式集塵器204の下面に設けたホッパ208に接続される。
【0062】
以上、この実施の形態2に係る排ガス処理装置200によれば、実施の形態1と同様、活性炭吸着塔201の側方周囲に濾過式集塵器204を配置したので、装置全体がコンパクトになる。また、活性炭吸着塔201の上部から活性炭カートリッジ202の交換を行うことができるので、活性炭吸着塔201の周囲の作業スペースを省略し、活性炭吸着塔201の周囲に濾過式集塵器204を配置できるようになる。更に、上側から活性炭カートリッジ202を取り扱うことができるので、クレーンを利用して短時間で活性炭カートリッジ202を交換することができる。同様に、濾過式集塵器204の筐体242の上部から円筒状瀘布241を交換できるようにしたので、濾過式集塵器204の周囲の作業スペースを省略できる。また、クレーン作業が極めて楽になる。