特許第5910487号(P5910487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910487
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】配線用モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20160414BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-280539(P2012-280539)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-127229(P2014-127229A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】若山 淳一
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹児
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
【審査官】 山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225449(JP,A)
【文献】 特開2012−252781(JP,A)
【文献】 特開平11−120987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極の電極端子を有する複数の単電池を並べてなる単電池群を備えた電池モジュールに取り付けられる配線用モジュールであって、
隣り合う前記電極端子間を電気的に接続するアルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材と、
アルミニウム製またはアルミニウム合金製の芯線を絶縁被覆で被覆してなる電圧検知用の電線と、を備え、
前記接続部材には、前記電線に圧着される圧着部が設けられるとともに、前記接続部材は前記電極端子と接続される端子接続部を有し、
前記電線の端末において露出する露出芯線は、前記接続部材の前記圧着部と前記端子接続部との間に溶接され、
前記接続部材の前記圧着部は前記電線の前記絶縁被覆で覆われた被覆部に圧着される配線用モジュール。
【請求項2】
前記接続部材は、前記電極端子と接続される端子接続部と前記露出芯線と接続される電線接続部と、を有し、前記端子接続部と前記電線接続部との間に前記端子接続部から立ち上がる起立部が設けられている請求項1に記載の配線用モジュール。
【請求項3】
前記接続部材を保持する樹脂プロテクタを備え、
前記樹脂プロテクタには、前記電線の前記接続部材と接続される部分を保持する電線保持部が設けられている請求項1または請求項2に記載の配線用モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッドカー等においては、単電池を複数並べて接続した単電池群を備える電池モジュールが搭載される。
【0003】
このような電池モジュールにおいては、隣り合う単電池の電極端子間を電気的に接続するバスバーと、バスバーを保持する樹脂プロテクタと、バスバーに重ねて取り付けられ、単電池の電圧を検知する電圧検知端子と、電圧検知端子に接続される電圧検知用電線と、を備える配線用モジュールが取り付けられることがある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−199007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているものも含め、従来の配線用モジュールでは、バスバーや電圧検知端子として銅製または銅合金製のものを用いるのが一般的である。そのため、配線用モジュールが全体として重くなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、軽量化した配線用モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして本発明は、正極および負極の電極端子を有する複数の単電池を並べてなる単電池群を備えた電池モジュールに取り付けられる配線用モジュールであって、隣り合う前記電極端子間を電気的に接続するアルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材と、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の芯線を絶縁被覆で被覆してなる電圧検知用の電線と、を備え、前記接続部材には、前記電線に圧着される圧着部が設けられるとともに、前記接続部材は前記電極端子と接続される端子接続部を有し、前記電線の端末において露出する露出芯線は、前記接続部材の前記圧着部と前記端子接続部との間に溶接され、前記接続部材の前記圧着部は前記電線の前記絶縁被覆で覆われた被覆部に圧着される配線用モジュールである。
【0008】
本発明においては、電圧検知用の電線の端末が、溶接により、隣り合う電極端子間を接続する接続部材に接続されているので、電極端子に接続される電圧検知用端子が不要である。また本発明において用いる接続部材及び電線の芯線はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるので銅製または銅合金製のバスバー等を用いるよりも軽量である。その結果、本発明によれば軽量化した配線用モジュールを提供することができる。
【0009】
さらに本発明によれば接続部材と電線の芯線とが同じ金属材料から構成されるので、芯線と接続部材とが接触する接続部において、塩分を含む水の浸入等に起因する電食の発生を防止することもできる。
【0010】
また、このような構成とすると、圧着部により、電線を保持することができる。
【0011】
前記接続部材は、前記電極端子と接続される端子接続部と前記露出芯線と接続される電線接続部と、を有し、前記端子接続部と前記電線接続部との間に前記端子接続部から立ち上がる起立部が設けられていてもよい。
接続部材に接続された電線は電池モジュールに配索されるときに引っ張られるため、接続部材と電線との接続部(電線接続部)に応力がかかって接続部材から電線が外れやすくなる。しかしながら、上記のような構成とすると、電線接続部と、接続部材の電極端子が接続される端子接続部との間の起立部により応力が緩和される。
【0012】
前記接続部材を保持する樹脂プロテクタを備え、前記樹脂プロテクタには、前記電線の前記接続部材と接続される部分を保持する電線保持部が設けられていてもよい。
このような構成とすると、樹脂プロテクタにより電線の接続部材と接続される部分が保持されるので、電線と接続部材との接続状態を良好に保ち、接続信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、軽量化した配線用モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の配線用モジュールを備えた電池モジュールの平面図
図2図1のA−A線における一部断面図
図3図1のB−B線における一部断面図
図4】単電池群に樹脂プロテクタを取り付ける様子を示す斜視図
図5】樹脂プロテクタに温度センサを取り付ける様子を示す斜視図
図6】電線を接続した接続部材の斜視図
図7】電線を接続した接続部材の平面図
図8】電線を接続した接続部材の一部断面図
図9】電線を接続した接続部材の側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
本実施形態において、電池モジュールM1は、複数の単電池12を並べてなる単電池群11と、単電池群11に取り付けられる本実施形態の配線用モジュール10とを備える。
電池モジュールM1は、電気自動車又はハイブリッド自動車等に搭載され、駆動用の電源として使用される。以下では、図2および図3の上方を上方、下方を下方として説明する。
【0016】
(単電池群11)
図4に示すように、電池モジュールM1は、複数の単電池12を並べてなる単電池群11を備える。単電池群11の両端部には、単電池群11を挟む絶縁樹脂製の挟持板18がそれぞれ配置されている。また、単電池群11の上面(単電池12の上面14)には絶縁樹脂製のセパレータ15が取り付けられている。
【0017】
セパレータ15には単電池12の一対の電極端子13が挿通される方形状の端子配置孔16が長手方向に2列に並んで形成されている。また、セパレータ15には、2列の端子配置孔16の間に温度センサ50が配される方形状のセンサ配置孔17が形成されている。
【0018】
(単電池12)
単電池群11を構成する単電池12は、図4に示すように、概ね扁平な直方体形状をなしている。単電池12は、電池要素(図示せず)を収容する電池本体12Aと、電池本体12Aの上面14に形成された正極および負極の電極端子13と、を有する。
【0019】
電極端子13は、単電池12の上面から上方に突出する金属製の端子台13Aと、端子台13Aから上方に突出するボルト状の電極ポスト13Bとを備える。端子台13Aは長方形状をなしている。電極ポスト13Bの外面には、ナット(図示せず)が螺合されるねじ山13Cが形成されている。
【0020】
(配線用モジュール10)
単電池群11には、配線用モジュール10が取り付けられている。この配線用モジュール10により、隣り合う単電池12の極性の相違する電極端子13同士が接続されて、複数の単電池12が直列に接続される。
【0021】
配線用モジュール10は、隣り合う単電池12の電極端子13を接続する複数のバスバー19(接続部材の一例)と、バスバー19に接続され、単電池12の電圧を検知する電圧検知用の電線45と、単電池12の温度を検知する温度センサ50と、隣り合うバスバー19同士を電気的に絶縁するとともに、バスバー19を保持する合成樹脂製の樹脂プロテクタ20と、を備える。
【0022】
(樹脂プロテクタ20)
本実施形態の樹脂プロテクタ20は、複数のユニット21からなる。各ユニット21には、図1における上側の端部から順に、バスバー保持部22(接続部材保持部の一例)、連結部27、センサ保持部30、電線収容部41、センサ保持部30、連結部27、およびバスバー保持部22が単電池12の並び方向に対して略平行に、かつ一体的に設けられている。
【0023】
(バスバー保持部22)
図1に示すように、左右両端部のユニット21Aのバスバー保持部22は、端部の単電池12よりも外側に突出しており、この突出したバスバー保持部22には外部接続バスバー19Bが保持されている。
【0024】
バスバー保持部22は、バスバー19の形状に沿った収容壁23A,23Bを備える。単電池12の並び方向に略平行に配される一対の収容壁23A,23Bのうち、外側に配される収容壁23Aには、バスバー19Aを抜け止めする抜け止め突部24が設けられており、内側に配される収容壁23Bにはバスバー19Aを係止する一対の係止片25,25が設けられている。一対の係止片25,25の間には、バスバー19に接続された電線45が導出される電線導出口26が形成されている。電線導出口26は連結部27に形成した電線保持溝29に連なっている。
【0025】
(連結部27)
連結部27には、隣り合うユニット21と連結される一対の連結爪28A,28Bが、両端部からそれぞれ突出形成されている。ユニット21の右端部(図1における右端部)に形成されている一対の連結爪28A,28Aの間隔は、反対側の端部(図1における左端部)に形成されている一対の連結爪28B,28Bの間隔よりも大きく設定されているとともに、隣り合う連結爪28A,28B同士が互いに係合するようになっている。複数のユニット21は連結状態において、単電池12間のピッチのずれを吸収可能に、単電池12の並び方向に移動可能とされる。
【0026】
一対の連結爪28A,28Bの間には電線導出口26から連なって電線45が保持される電線保持溝29(電線保持部の一例)が形成されている。電線保持溝29には、電線45のバスバー19に接続された部分が保持されるようになっている。電線保持溝29の内壁および電線保持溝29のセンサ保持部30側の端部には電線45の飛び出しを防止する電線押さえ部29Aが形成されている。
【0027】
(センサ保持部30)
センサ保持部30は連結部27に沿って形成されている。センサ保持部30は、温度センサ50の温度検知素子を備える本体部51が保持される素子保持部37と、温度センサ50に接続されたリード線56が保持・収容されるリード線保持部31とを備える。
【0028】
端部のユニット21Aは、素子保持部37とリード線保持部31とが一体的に設けられたセンサ保持部30を備えるが、端部ユニット21A以外のユニット21Bは、隣り合うセンサ保持部30のリード線保持部31と素子保持部37とを備える。
【0029】
センサ保持部30は、単電池12の並び方向に略平行に配される一対の側壁部32A,32Bと、隣り合うセンサ保持部30を隔離する隔離壁36と、一対の側壁部32A,32Bをつなげる底壁35と、を備える。
【0030】
一対の側壁部32A,32Bのうち、連結部27側の側壁部32Aには、電線保持溝29に保持した電線45(バスバー19に接続された電線45)を配置可能な第1開口部33が形成されている。一対の側壁部32A,32Bのうち、電線収容部41側の側壁部32Bには、電線45(バスバー19に接続された電線45)を配置可能な第2開口部34が形成されている。第1開口部33および第2開口部34は素子保持部37側に形成されている。
【0031】
隣り合うセンサ保持部30を隔離する隔離壁36には温度センサ50に接続されたリード線56が保持されるリード線保持溝36Aが形成されている。
【0032】
底壁35は、リード線保持部31に対応して設けられている。素子保持部37においては、底壁35が形成されておらず、素子保持部37に保持された温度センサ50が単電池12に直接接触するようになっている。底壁35は隔離壁36から連なって形成されており、底壁35の端部には傾斜面35Aが形成されている。底壁35の傾斜面35Aは温度センサ50を素子保持部37内に案内する案内面として機能する。
【0033】
素子保持部37には、温度センサ50の係止突部54を受け入れて係止する方形状の係止孔39Aと、温度センサ50の係止操作部55を受け入れて係止する凹部39Bが形成された保護壁38が形成されている。保護壁38は、温度センサ50の温度検知素子を備える本体部51の上側を覆うように配され、温度検知素子を保護する機能を有する。
【0034】
保護壁38の、温度センサ50の取付方向(図5における矢線Xの方向)における後方(図2における右側)の端部には傾斜面38Aが形成されており、この傾斜面38Aも温度センサ50を素子保持部37内に案内する案内面として機能する。
【0035】
この保護壁38は隔離壁36から連なって形成されている。保護壁38は隔離壁36の右側に形成され、底壁35は隔離壁36の左側に形成されている(図1を参照)。保護壁38は底壁35よりも高い位置に形成されている(図2を参照)。
【0036】
また、センサ保持部30においては、保護壁38の下方に連設され、温度センサ50が、温度センサ50の取付方向における前方(図2における左側)へ移動するのを規制する規制壁40が設けられている。
【0037】
(電線収容部41)
電線収容部41は、2列に並んだセンサ保持部30の間に設けられており、センサ保持部30の側壁部32Aが電線収容壁42Aを兼ねている。電線収容部41には電線収容壁42A,42Aをつなげる収容底壁42Bが形成されており、収容底壁42Bは上面視において平行四辺形状をなしている。
【0038】
一対の電線収容壁42A,42Aの上端にはバスバー19に接続された電線45の飛び出しを防止する一対の電線押さえ片43,43が形成されている。
【0039】
(温度センサ50)
温度センサ50は、図示しない温度検出素子を備える。温度検出素子は、例えば、サーミスタにより構成される。サーミスタとしては、PTCサーミスタ、又はNTCサーミスタを適宜に選択できる。また、温度検出素子としては、サーミスタに限られず、温度を検出可能であれば任意の素子を適宜に選択できる。
【0040】
温度センサ50は、図5に示すように、温度検出素子を備える合成樹脂製の本体部51と、本体部51の上面から上方向に突出する合成樹脂製のアーム状のバネ部53と、本体部51の端部から導出された一対のリード線56と、を有する。
【0041】
本体部51の底部(下端)には温度検出素子(図示せず)が収容されている。温度センサ50の本体部51の幅方向両側には外側方向に延出された延出部52が設けられており、延出部52の端部は挿入方向の前方側が傾斜面となっていて、本体部51を保護壁38の下側に挿入する際に案内する機能を有する。
【0042】
バネ部53は下方にたわみ変形可能とされており、バネ部53の上面には保護壁38の係止孔39Aに係止される係止突部54が突出形成されている。またバネ部53の端部には、保護壁38の凹部39Bに受け入れられて係止されるとともに、押圧することにより保護壁38に対する係止状態を解除する係止操作部55が上方に突出形成されている。バネ部53は、保護壁38の下側に配されたのち、本体部51の底部(温度検出素子が収容された部分)を単電池12と接触する方向に付勢される。
【0043】
一対のリード線56は、図示しない外部回路に接続されており、温度検出素子からの信号はこのリード線56を介して外部回路に送信されるようになっている。外部回路は、例えば図示しない電池ECUに配されて、温度検出素子からの信号によって単電池12の温度を検知するようになっている。
【0044】
(バスバー19)
バスバー19は、略方形状のアルミニウム製またはアルミニウム合金製の板材からなる。バスバー19は、隣り合う単電池12の電極端子13,13間を接続する端子接続バスバー19Aと、単電池12の電極端子13と外部機器(図示せず)とを接続する外部接続バスバー19Bとを備える。
【0045】
さて、本実施形態において、端子接続バスバー19Aは、隣り合う極性の相違する電極端子13,13の端子台13A,13Aに接触するように配される端子接続部19Eと、端子接続部19Eの端縁から上方に立ち上がる起立部19Iと、起立部19Iから連なって電圧検知用の電線45が接続される電線接続部19Fとを備える(図6図9を参照)。つまり、端子接続部19Eと電線接続部19Fとの間には、端子接続部19Eから立ち上がる起立部19Iが形成されていて、端子接続部19Eと電線接続部19Fとは段差状に設けられている。
【0046】
端子接続バスバー19Aの端子接続部19Eには、各電極端子13が電気的に接続されている。端子接続バスバー19Aには電極ポスト13Bが挿通される一対の端子貫通孔19Dが、端子接続バスバー19Aを貫通して形成されている。
【0047】
電線接続部19Fには電線45の露出芯線46が接合される芯線接続部19Gと電線45の絶縁被覆47に覆われた部分に圧着される圧着部19Hとが設けられている。
【0048】
外部接続バスバー19Bは図1において単電池群11から外側にはみ出すように配置されており、図4及び図5に示すように、段付き形状をなしている。
【0049】
外部接続バスバー19Bは、他の部分よりも高く形成され外部機器と接続される外部機器接続部191Bと、外部機器接続部から略垂直下方へ垂下する垂下部191Cと、垂下部191Cから連なって端部の単電池12の電極端子13と接続される端子接続部191Aと、起立部19Iと、電線接続部19Fとを備える。
【0050】
外部接続バスバー19Bの外部機器接続部191Bには、外部機器と接続されるボルト状の外部接続ポスト19Cが突出形成されている。この外部接続ポスト19Cの外面にはナット(図示せず)を螺合可能なねじ山19Eが形成されている。
【0051】
外部接続バスバー19Bの端子接続部191Aには、端部の単電池12の電極ポスト13Bが挿通される端子貫通孔19Dが1つ形成されている。外部接続バスバー19Bの起立部19Iは端子接続部19Eの端縁から連なって上方に立ち上がる部分であり、電線接続部19Fは起立部19Iから連なって電圧検知用の電線45が接続される部分である。外部接続バスバー19Bの電線接続部19Fにも電線45の露出芯線46が接続される芯線接続部19Gと、電線45の絶縁被覆47に覆われた部分に圧着される圧着部19Hとが設けられている。
【0052】
(電圧検知用の電線45)
電線45は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の芯線46を絶縁樹脂製の絶縁被覆47で被覆してなる。電線45の端末において絶縁被覆47の剥離除去により露出する芯線46は、バスバーの芯線接続部19Gに載置され溶接によりバスバー19に接続される。圧着部19Hは電線接続部19Fの幅方向に張り出し形成され一対の圧着片191Hを電線45の被覆部48に圧着することにより形成される。
【0053】
(電池モジュールM1の組み立て方法)
次に、温度センサ50の取り付け方法について説明する。電圧検知用の電線45の端末の絶縁被覆47を剥離除去して芯線46を露出させておき、この露出芯線46をバスバー19の電線接続部19F(芯線接続部19G)に載置し超音波溶接により溶接して接合する。この電線45の端末において絶縁被覆47で覆われている被覆部48にバスバー19の圧着片191Hを圧着すると、バスバー19に電線45が接続される。
【0054】
次に、複数のユニット21を連結させてなる樹脂プロテクタ20のバスバー保持部22に、電線45を接続したバスバー19を収容・保持する(図4を参照)。
【0055】
バスバー19を樹脂プロテクタ20に収容する作業と、同時または前後して、18個の単電池12を隣り合う単電池12の電極端子13の極性が逆極性となるように並べて、端部に挟持板18を配置し、電極端子13が形成された単電池12の上面14側にセパレータ15を取り付ける。セパレータ15の端子配置孔16に電極端子13を挿通させて図4に示すような状態の単電池群11を作製する。
【0056】
次に、単電池群11のセパレータ15が取り付けられた面に、バスバー19と電極端子13とを対応するように配置して、配線用モジュール10を被せ付けると、バスバー19の端子貫通孔19Dに電極ポスト13Bが挿通されるとともにバスバー19と端子台13Aとが接触し、セパレータ15のセンサ配置孔17のところで単電池12の上面14が露出状態となる。
【0057】
次いで、図5に示すように、温度センサ50を、上方から、検知対象となる単電池12に対応したセンサ保持部30に取り付ける。バネ部53の係止操作部55を下方に押してバネ部53を下方に撓み変形させた状態で、温度センサ50の本体部51をセンサ保持部30の上から差し込み、矢線Xで示す方向に移動させる。すると、温度センサ50のバネ部53が保護壁38の傾斜面38Aに案内されるとともに、本体部51の下面がセンサ保持部30の底壁35の傾斜面35Aに案内されて、本体部51が図2における左方向に移動する。
【0058】
バネ部53の上面に形成された係止突部54が保護壁38と当接すると、バネ部53がさらに下方に撓み変形する。さらに、温度センサ50の本体部51を矢線Xで示す方向に移動させて、本体部51の端部が規制壁40に当接する位置に至った後、係止操作部55の押圧状態を解除すると、バネ部53が弾性復帰して、係止突部54が保護壁38の係止孔39Aに嵌り込むとともに、係止操作部55が保護壁38の凹部39B内に受け入れられ、規制壁40により温度センサ50の本体部51が取付方向における前方への移動を規制される。この状態において、温度センサ50の本体部51は、図2に示すように、保護壁38の下側に配されて保護壁38に覆われるとともに、本体部51の底部が単電池12の上面14と接触する方向に付勢された状態で係止される。
【0059】
温度センサ50をセンサ保持部30に取り付けた後、各単電池12の電極ポスト13Bのねじ山13Cにナットを螺合させて、電極端子13とバスバー19とを接続し、バスバー19に接続した電線45を電線収容部41に収容すると本実施形態の電池モジュールM1が得られる。
【0060】
(作用および効果)
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、電圧検知用の電線45の端末が、隣り合う電極端子13間を接続するバスバー19に溶接により接続されているので、電極端子13に接続される電圧検知用端子が不要である。また本実施形態において用いるバスバー19および電線45の芯線46はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるので、銅製または銅合金製のバスバー19等を用いるよりも軽量である。その結果、本実施形態によれば軽量化した配線用モジュール10を提供することができる。
【0061】
さらに、本実施形態によればバスバー19と電線45の芯線46とが同じ金属材料から構成されるので、芯線46とバスバー19とが接触する芯線接続部19Gにおいて、塩分を含む水の浸入等に起因する電食の発生を防止することもできる。
【0062】
また、本実施形態によれば、バスバー19には、電線45に圧着される圧着部19Hが設けられているから、圧着部19Hにより、電線45を保持することができる。
【0063】
ところで、バスバー19に接続された電線45は電池モジュールに配索されるときに引っ張られるため、バスバー19と電線45との接続部(電線接続部19F)に応力がかかって、バスバー19から電線45が外れやすくなることが懸念される。しかしながら、本実施形態によれば、バスバー19には、電極端子13と接続される端子接続部19Eと露出芯線46と接続される電線接続部19Fとの間に端子接続部19Eから立ち上がる起立部19Iが設けられているから、起立部19Iにより応力が緩和され、バスバー19が電線45から外れるのを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、バスバー19を保持する樹脂プロテクタ20を備え、樹脂プロテクタ20には、電線45のバスバー19と接続される部分を保持する電線保持溝29が設けられているから、電線保持溝29により電線45とバスバー19との接続部分が保持されるので、電線45とバスバー19との接続状態を良好に保ち接続信頼性が高まる。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、電線45の被覆部48に圧着される圧着部19Hが設けられたバスバー19を示したが、参考例として、電線の露出芯線に圧着される芯線圧着部を備えるものであってもよいし、圧着部を備えないものであってもよい。
(2)上記実施形態においては、端子接続部19Eと電線接続部19Fとの間に起立部19Iが設けられているバスバー19を示したが、起立部のないバスバーであってもよい。
(3)上記実施形態においては、電線45のバスバー19と接続される部分を保持する電線保持部29が設けられている樹脂プロテクタ20を備える例を示したが、電線保持部のない樹脂プロテクタであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
M1…電池モジュール
10…配線用モジュール
11…単電池群
12…単電池
13…電極端子
19…バスバー(接続部材)
19A…端子接続バスバー
19B…外部接続バスバー
19D…端子貫通孔
19E,191A…端子接続部
19F…電線接続部
19G…芯線接続部
19H…圧着部(圧着片)
19I…起立部
20…樹脂プロテクタ
22…バスバー保持部
29…電線保持溝(電線保持部)
29A…電線押さえ部
41…電線収容部
42B…収容底壁
42A…電線収容壁
43…電線抑え片
45…電線
46…(露出)芯線
47…絶縁被覆
48…被覆部
図1
図2
図3
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図9