(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板上に、第一電極と、少なくとも発光層を含む発光媒体層と、発光媒体層上の第二電極とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光媒体層の少なくとも一層が、第一の高分子化合物と、該第一の高分子化合物より正孔移動度が小さい第二の高分子化合物から成る混合インキにより形成され、該第一の高分子化合物と該第二の高分子化合物の正孔移動度の差は10倍以上1000倍以下であり、該混合インキにおける前記第一の高分子化合物に対する前記第二の高分子化合物の重量比が30wt%以下であり、前記第一の高分子化合物に前記第二の高分子化合物を混合することにより、前記発光媒体層の少なくとも一層が前記第一の高分子化合物のみから成るインキにより形成された場合よりも、発光電圧が低下することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明において参照する図面は、本発明の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さ、寸法の比率等についてはそのまま実施の形態を表すものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態を説明するための有機EL表示装置の構成を示すための断面図である。
図1に示す本発明の実施形態に係る有機EL素子を用いた表示装置200では、基板101に、画素毎に具備された第一電極(陽極)102と、第一電極102の画素間を区画する隔壁203と、第一電極102の上方に形成された正孔輸送層104と、正孔輸送層104上に形成された発光層106と、発光層106上に全面を被覆するように形成された第二電極(陰極)107と、第一電極102、隔壁203、正孔輸送層104と発光層106を含む発光媒体層109及び第二電極107を覆うように基板101と接触した封止体208とを備えている。封止体208としては、
図1のような封止キャップ206で有機EL素子を覆い、封止キャップ206内を不活性ガスで封入したものや、
図2のように封止材209を樹脂層210を介して貼り合わせたものが挙げられる。
また、各画素を制御するためのスイッチング素子(薄膜トランジスタ)が第一電極102に接続されるが、図示していない。なお、
図3に示すように、ストライプ状の第一電極102と第二電極107を交差させて所定の画素を点灯させるパッシブマトリクス方式の有機EL表示装置としても良い。以下、第一電極102及び第二電極107で発光媒体層109が挟持されてなる領域を発光領域あるいは有機EL素子と呼び、隔壁203を含む有機EL素子のアレイ全体を表示領域と呼ぶ。
【0014】
ここで発光媒体層109は第一電極(陽極)102と第二電極(陰極)107に挟持された層である。
図1の素子では正孔輸送層104と発光層106が発光媒体層109に相当する。これ以外にも、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層(いずれも図示せず)等の層を発光媒体層109に適宜加えても良い。
【0015】
例えば
図1の例では、第一電極(陽極)102に順に積層された正孔輸送層104と発光層106の二層で発光媒体層109が構成されているが、正孔注入層(図示せず)と発光層106の二層で発光媒体層109を構成することもできる。また、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を順次積層した三層構成の発光媒体層106とすることも可能である。
一つの層がこれら複数の機能を有していてもよく、例えば、正孔輸送機能を発光層106が有している構成とすることも可能である。あるいは正孔注入層と、電子輸送層からなり、界面で発光する構成とすることもできる。
【0016】
本発明の有機EL表示装置においては、発光媒体層109を構成する少なくとも1層に2種類の異なる
正孔移動度を有する高分子化合物の混合インキを用いる。混合インキを用いる層は正孔注入層、正孔輸送層104、発光層106のいずれでも良いが、発光層106に用いた場合は、発光層106の正孔輸送性を向上させることができ、若しくは電子ブロック性を向上させることができ、正孔注入層や正孔輸送層104といった積層膜を低減することが可能となるため好ましい。また発光層106は他の正孔注入層や正孔輸送層104に比べ正孔移動度が低いため、発光層106の正孔輸送性を向上させることが素子の低電圧化に大きく寄与する。
【0018】
また、高分子化合物Aの正孔移動度(μA)と高分子化合物Bの正孔移動度(μB)の差は10倍以上、1000倍以下、より好ましくは50倍以上、500倍以下である。10倍未満では正孔輸送性向上の効果が小さく、1000倍より大きいと混合による特性のバラツキが大きくなってしまう。
【0019】
高分子化合物Aと高分子化合物Bの混合比は、高分子化合物Bの重量比が、高分子化合物Aに対して1wt%以上、30wt%以下であることが好ましく、より好ましくは1wt%以上、15wt%以下である。30wt%より多いと正孔移動度の低い高分子化合物Aに電流が流れすぎ、高分子化合物Aの劣化を早めてしまい寿命の低下が顕著となる。また、1wt%未満であると、正孔輸送性向上の効果が小さい点で不利である。
【0020】
混合インキを発光層106に用いた場合は高分子化合物Bのエネルギーギャップ(E
gB)が、高分子化合物Aのエネルギーギャップ(E
gA)より大きいことが好ましい。高分子化合物Bのエネルギーギャップ(E
gB)が、高分子化合物Aのエネルギーギャップ(E
gA)より小さいと、高分子化合物Aの発光を高分子化合物Bが再吸収してしまい、電流効率の低下、色度の変化を招く。
【0021】
発光媒体層109の膜厚は、発光層106単層から構成される場合も、多層構造の場合も、発光媒体層109の全体として1000nm以下であり、好ましくは50〜300nmである。1000nmを超えると、駆動電圧が高くなりすぎる点で不利である。
【0022】
図1及び
図2の有機EL表示装置の構成では、パターニングされた電極ごとに発光層106が赤(R)、緑(G)、青(B)の発光波長に対応するようにそれぞれパターニングされた発光層106R,106G,106Bが形成されていることで、フルカラーのディスプレイパネルが実現される。これ以外の方式として、青色発光層と色素変換層を用いた色素変換方式を用いてもよく、白色ELにカラーフィルタを設けた構成としても良い。
【0023】
本発明の有機EL表示装置においてはパターニングされた電極ごとの発光層、赤(R)、緑(G)、青(B)全てに混合インキを用いても良いし、1色、もしくは2色のみに混合インキを用いても良い。
【0024】
図4の(A)及び(B)は、本発明の有機EL素子の積層部分すなわち発光領域の断面図である。
図4の(A)はボトムエミッション型の有機EL素子の例であり、基板101上に第一電極102、発光層106、第二電極107aの順で積層されている。この順番に積層されていれば、発光媒体層109としては、正孔輸送層104、発光層106以外にもインターレイヤ105や、その他の発光層をそれぞれの間に積層しても良い。第二電極107aは光不透過性電極であり、金属等の反射率の高い材料を用いることで、第二電極107a側に放出された光を第二電極107aで反射して光透過性電極である第一電極102側から外部へ出射することができるために光取り出し効率が良い。
【0025】
図4(B)はトップエミッション型の有機EL素子の例であり、基板101上に反射層301、第一電極102、正孔輸送層104、インターレイヤ105、発光層106、第二電極107bの順で積層されている。この順番に積層されていれば、その他の層をそれぞれの間に積層しても良い。第二電極107bは光透過性電極であり、第一電極102側に放出された光は第一電極102を透過して反射層301で反射して第二電極107b側から外部へ出射する。一方、第二電極107b側に放出された光は、同じく第二電極107bを透過して外部へ出射する。以降の説明は、ボトムエミッション型の有機EL素子を基に行うが、第二電極107bを透明導電膜としたトップエミッション型についても適用される。
【0026】
以下、発光層106に混合インキを用いた場合の本発明の各構成要素及び製造方法について説明するが、本発明の構成はこれに限られるものではない。正孔輸送層104上にインターレイヤ105を積層した後、混合インキである発光層106を積層させてもよいし、発光層106を塗り分けない構成としても良い。
【0027】
基板101の材料は、例えば、ガラスや石英、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシート、あるいは、トップエミッション型の有機EL素子の場合には、これに加えて、上記のプラスチックフィルムやシートに酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜を単層もしくは積層させた光透過性基材や、アルミニウムやステンレスなどの金属箔、シート、板、プラスチックフィルムやシートにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属膜を積層させた光不透過性基材などを用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0028】
有機EL素子を用いた本実施形態の表示装置200の光取り出しを行う面はボトムエミッション型では基板101と隣接する第一電極102側から行えばよい。トップエミッション型では基板101と対向する第二電極107b側から行えばよい。これらの材料からなる基板101は、表示装置200内への水分や酸素の浸入を避けるために、基板101全面もしくは片面に無機膜の形成、樹脂の塗布などにより、防湿処理や疎水性処理を施してあることが好ましい。特に、発光媒体層109への水分の浸入を避けるために、基板101における含水率及びガス透過係数を小さくすることが好ましい。
【0029】
第一電極102は、基板101上に成膜し、必要に応じてパターニングを行う。第一電極102は隔壁103(
図1、2参照)によって区画され、各画素(サブピクセル)に対応した画素電極となる。
【0030】
第一電極102の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、AZO(亜鉛アルミニウム複合酸化物)などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものをいずれも使用することができる。また、オクチル酸インジウムやアセトンインジウムなどの前駆体を前記基板上に塗布後、熱分解によって酸化物を形成する塗布熱分解法等により形成することもできる。
【0031】
第一電極102を陽極とする場合、ITOなど仕事関数の高い材料を選択することが好ましい。TFT駆動の有機電界発光表示装置においては低抵抗であればよく、シート抵抗で20Ω・sq以下であれば好適に用いることが可能となる。
【0032】
第一電極102の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。なお、図示しない取り出し電極とは、同一工程で、かつ、同一材料で形成することが可能である。
【0033】
第一電極102のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
【0034】
また、第一電極102は、必要に応じてUV処理、プラズマ処理などにより表面の活性化を行ってもよい。
【0035】
トップエミッション型の場合、第一電極102の下部に反射層301(
図4参照)を形成することが好ましい。反射層301の材料としては、高反射率かつ低抵抗であることが好ましく、Cr、Mo、Al、Ag、Ta、Cu、Ti、Niを一種以上含んだ単膜および積層膜、合金膜、前記材料を用いた膜にSiO、SiO
2、TiO
2等の保護膜を形成したものを用いる事が出来る。反射率として可視光波長領域の全平均で80%以上あればよく、90%以上であれば好適に用いることが可能となる。発光媒体層109または第一電極102が光不透過性材料である場合はこの限りではない。
【0036】
形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0037】
反射層301のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
【0038】
次に、
図1、2に示すように、隔壁203は、各画素に対応した発光領域を区画するように形成することができ、発光媒体層109をウェットコーティング法でパターニングする場合、特に各画素で塗り分けを行なう際に、混色を防ぐための各画素の仕切りとなるものである。
【0039】
隔壁203は、第一電極102の端部を覆うように形成するのが好ましい。一般的にアクティブマトリクス駆動型の有機EL素子を用いた表示装置200は、各画素に対して第一電極102が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、第一電極102の端部を覆うように隔壁203が形成される。隔壁203の最も好ましい形状は各画素電極102を最短距離で区切る格子状を基本とする。
【0040】
隔壁203を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁203が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁203を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機EL素子の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
【0041】
隔壁203を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像方法により隔壁部のパターンを形成できる。また焼成に関してはオーブン、ホットプレート等での従来公知の方法により焼成を行うことができる。
【0042】
隔壁203のパターニング方法としては、基板101上に感光性樹脂を塗工し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとする方法が挙げられるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。必要に応じてレジスト及び感光性樹脂にプラズマ照射やUV照射等の表面処理を施しても良い。
【0043】
隔壁203の厚みは0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。隔壁203を隣接する画素電極間に設けることによって、各画素電極上に印刷された正孔輸送インキの広がりを抑え、また第一電極(陽極)102の端部からのショート発生を防ぐことが出来る。隔壁203が低すぎるとショートの防止効果が得られないことがあり、また高すぎると隔壁203と直交して第二電極(陰極)107を形成した際に第二電極(陰極)107の断線が起こってしまい表示不良となる。
【0044】
次に基板の前処理工程として、UV処理、プラズマ処理などを行なう。陽極として用いているITO表面の洗浄と仕事関数の調整が主な目的である。正孔を効率よく発光媒体層109に注入するためには、発光媒体層109と接する第一電極102の表面の仕事関数が、近いことが好ましい。従って、表面処理工程後の第一電極102の表面の仕事関数は、第一電極102と接する発光媒体層109の仕事関数との差が0.5eV以下であることが好ましく、0.2eV以下であることがより好ましい。ITOの場合、表面処理前の仕事関数は4.8eVであり、後述のように第一電極102上に発光媒体層109として正孔輸送層104や正孔注入層を形成する場合、例えば酸化モリブデンの仕事関数は5.5eVである。従って、当初の状態では仕事関数の差が大きすぎるために正孔注入障壁が高くなり、正孔が注入されづらくなるため、表面処理によって第一電極102の仕事関数を大きくし正孔輸送層104の仕事関数に近づける。
【0045】
また、UV処理の光源としては低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプ等があるが、本発明ではいずれの光源を用いても良い。酸素プラズマ処理を用いた場合は、電力、圧力、照射時間を調整することにより第一電極102の仕事関数を任意の状態に制御可能であるが、酸素プラズマ処理を用いた場合は第一電極102の表面処理と同時に隔壁203にも多少のエッチング効果を及ぼす為注意が必要である。
【0046】
酸化したITO表面は経時変化で元の状態に戻る為、第一電極102の表面の処理は正孔輸送層104を形成する直前に行うことが好ましい。
【0047】
次に、正孔注入層は第一電極(陽極)102から正孔を注入する機能を持った層であり、正孔輸送層104は発光層に正孔を輸送する機能を持った層である。これらの層は正孔注入機能と正孔輸送機能とを併せ持つ場合もあり、その程度に応じてどちらかあるいは両方の名称で呼ばれることになる。本明細書においては、「正孔輸送層」という場合には正孔注入層も含む場合があるものとする。
【0048】
正孔輸送層104の物性値としては、陽極(第一電極102)の仕事関数と同等以上の仕事関数を有することが好ましい。これは陽極から発光媒体層109(インターレイヤ105)へ効率的に正孔注入を行うためである。陽極の材料により異なるが、4.5eV以上6.5eV以下を用いる事ができ、陽極がITOやIZOの場合、5.0eV以上6.0eV以下が好適に用いる事が可能である。また、ボトムエミッション構造では第一電極102側から放出光を取り出すため、光透過性が低いと取り出し効率が低下してしまうため、可視光波長領域の全平均で75%以上が好ましく、85%以上ならば好適に用いることが可能である。
【0049】
このような正孔注入層又は正孔輸送層104を構成する材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の高分子材料を用いることができる。
この他にも導電率1.0×10
−2〜10
−6S/cmの導電性高分子を好ましく用いることができる。湿式法による層形成が可能である点で、高分子材料を用いることが好ましい。これらを水又は溶剤を用いて溶液化若しくは分散液化して使用することができる。また正孔輸送材料として無機材料を用いる場合、Cu
2O、Cr
2O
3、Mn
2O
3、FeOx(x〜0.1),NiO、CoO、Bi
2O
3、SnO
2、ThO
2、Nb
2O
5、Pr
2O
3、Ag
2O、MoO
2、ZnO、TiO
2、V
2O
5、Nb
2O
5、Ta
2O
5、MoO
3、WO
3、MnO
2などを用いることができる。
【0050】
正孔輸送層104は表示領域全面にスピンコート法、ダイコート法、ディッピング法、スリットコート法等の簡便な方法で一括形成することができる。正孔輸送層104を形成する際には、前記正孔輸送材料を水、有機溶剤、あるいはこれらの混合溶剤に溶解してインキとすることができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等が使用できる。また、インキには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。無機材料の場合には抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などのドライプロセスを用いて形成することができる。
【0051】
電子ブロック層としてのインターレイヤ105は、発光層106と正孔輸送層104の間に積層することで、素子の発光寿命を向上させることができる。トップエミッション型の素子構造では正孔輸送層104形成後に積層することができる。通常は正孔輸送層104を被覆するように形成するが、必要に応じてパターニングを行っても良い。
【0052】
インターレイヤ105の材料としては、有機材料ではポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。また無機材料では、Cu
2O、Cr
2O
3、Mn
2O
3、NiO、CoO、Pr
2O
3、Ag
2O、MoO
2、ZnO、TiO
2、V
2O
5、Nb
2O
5、Ta
2O
5、MoO
3、WO
3、MnO
2等の遷移金属酸化物およびこれらの窒化物、硫化物を一種以上含んだ無機化合物が挙げられるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0053】
これらの有機材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機インターレイヤインキとなる。有機インターレイヤ材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの単独またはこれらの混合溶媒が上げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機インターレイヤ材料の溶解性の面から好適である。また、有機インターレイヤインキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
【0054】
これらインターレイヤ105の材料としては、仕事関数が正孔輸送層104と同等以上の材料を選択することが好ましく、更に有機発光層106よりも仕事関数が同等以下であることがより好ましい。これは正孔輸送層104から有機発光層106へのキャリア注入時に不必要な注入障壁を形成しないためである。また有機発光層105から発光に寄与できなかった電荷を閉じ込める効果を得るため、バンドギャップが3.0eV以上であることが好ましく、より好ましくは3.5eV以上であると好適に用いることが出来る。
【0055】
インターレイヤ105の形成法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0056】
本発明の実施形態に係る発光層106は、両電極102及び107の間の電圧の印加によって注入された電子と正孔とを再結合させ、この再結合の際に発光するものである。発光した光は、光透過性電極側を通して外部に放射される。各画素で異なる発光層106を形成する場合、たとえばRGBのフルカラーでは、各発光層106R、106G、106Bをそれぞれ第一電極102上の画素部位にパターン状に形成する。
【0057】
本発明では発光層106に2種類の異なる
正孔移動度(μ)を有する高分子化合物A(
正孔移動度μA)、および高分子化合物B(
正孔移動度μB)から成る混合インキを用いる。各発光層106R、106G、106B全てに用いても良いし、これらのうちの1種類のみでも良い。
【0058】
発光層106に用いる高分子化合物A、高分子化合物Bの材料としては、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィリン系、キナクドリン系、N,N’−ジアルキル置換キナクドリン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系等の発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に溶解させたものが使用できる。また、デンドリマー材料、PPV系やPAF系、ポリパラフェニレン系等の高分子発光材料を用いることも可能である。好ましくは、水又は溶剤に可溶で溶液化できる材料である。
【0059】
また前述のインターレイヤ105の材料として挙げた、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどを、高分子化合物A、Bの材料として用いても良い。
【0060】
これらの発光層106の材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの単独またはこれらの混合溶媒が上げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機発光材料の溶解性、分散性の面から好適である。また、有機発光インキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
【0061】
混合インキは高分子化合物Aと高分子化合物Bを混合した後に溶媒に溶解または分散させインキ化しても良いし、それぞれをインキ化した後に混合しても良い。
【0062】
これら各発光層106は、スクリーン印刷法、インクジェット法等の印刷法によって形成することができる。印刷法で形成する場合には、前記発光材料を、有機溶剤、水、あるいはこれらの混合溶剤に溶解してインキとすることができる。
【0063】
電子注入層は陰極(第二電極107)から電子を輸送する機能を持った層であり、電子輸送層は発光層106に電子を輸送する機能を持った層である。これらの層は電子輸送機能と電子注入機能とを併せ持つ場合もあり、その程度に応じてどちらかあるいは両方の名称で呼ばれることになる。このような電子注入層又は電子輸送層を構成する材料としては、例えば、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)などのニトロ置換フルオレン、ジフェニルキソン誘導体などが挙げられる。
【0064】
次に、発光媒体層109上に本発明の実施の形態に係る第二電極(対向電極)107を形成する。アクティブマトリクス駆動型の有機EL表示装置の場合、第二電極107は表示領域の全面に形成される。第二電極107の具体的な材料にはMg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体層109と接する界面にLiや酸化Li、LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いたりしてもよい。
または電子注入効率と安定性とを両立させるため、仕事関数が低いLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的にはMgAg、AlLi、CuLi等の合金を使用することができる。またITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、AZO(亜鉛アルミニウム複合酸化物)などの金属複合酸化物等の透明導電膜を用いることができる。
【0065】
トップエミッション構造におけるこれらの第二電極107は、発光媒体層109から放出される表示光を透過させるため、可視光波長領域に対して光透過性が必要である。Mg、Al、Yb等の金属単体では20nm以下であることが好ましいく、更には2〜7nm以内であることがより好ましい。透明導電膜においては可視光波長領域の平均光透過性として85%以上を保つように膜厚を調節し好適に用いることができる。
【0066】
第二電極107の形成法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0067】
封止体208は、例えば第一電極102、隔壁203、発光媒体層109、第二電極107が形成された基板101に対して、その周辺部において接着させることにより封止がおこなわれる。この際、トップエミッション構造では発光媒体層109から基板101側と反対側の封止体208を通して放射される表示光を取り出すため、可視光波長領域に対して光透過性が必要となる。光透過性として可視光波長領域の平均光透過性として85%以上であることが好ましい。
【0068】
封止体208は、
図1に示すように、例えば第一電極102、隔壁103、発光媒体層109、第二電極107が形成された基板101に対して、凹部を有するガラスキャップ又は金属キャップ等の封止キャップ206を用いて、第一電極102、発光媒体層109、第二電極107の上空に凹部があたるようにして、その周辺部について封止キャップ206と基板101を接着剤により接着させることにより封止がおこなわれる。凹部には吸湿剤を形成し、窒素ガス等の不活性ガス下で封止することで水分、ガス等による素子劣化を防ぐことができる。
【0069】
また、封止体208による封止は、
図2に示すように、例えば第一電極102、隔壁103、発光媒体層109、第二電極107が形成された基板101に対して、封止材209上に樹脂層210を設け、該樹脂層210により封止材と基板を貼りあわせることによりおこなうことも可能である。
【0070】
このとき封止材209の材料として、水分や酸素の光透過性が低い基材である必要がある。また、材料の一例として、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス、石英、耐湿性フィルムなどを挙げることができる。耐湿性フィルムの例として、プラスチック基材の両面にSiOxをCVD法で形成したフィルムや、光透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルムまたは吸水剤を塗布した重合体フィルムなどがあり、耐湿性フィルムの水蒸気光透過性は、(1×10
−6g/m
2)/day以下であることが好ましい。
【0071】
樹脂層210としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。樹脂層210を封止材209の上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。必要に応じて吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることもできる。封止材209上に形成する樹脂層210の厚みは、封止する有機EL素子の大きさや形状により任意に決定されるが、5〜500μm程度が望ましい。5nm未満であると、接着力が低下する点で不利である。また、500nmを超えると、封止性が劣る点で不利である。
【0072】
第一電極102、隔壁203、発光媒体層109、第二電極107が形成された基板101と封止体208の貼り合わせは封止室でおこなわれる。封止体208を、封止材209と樹脂層210の2層構造とし、樹脂層210に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好ましい。熱硬化型接着樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着した後、さらに硬化温度で加熱硬化を行うことが好ましい。光硬化性接着樹脂を使用した場合は、ロールで圧着した後、さらに光を照射することで硬化を行うことができる。なお、ここでは封止材209上に樹脂層210を形成したが、基板101上に樹脂層210を形成して封止材209と貼りあわせることも可能である。
【0073】
封止材209を用いて封止を行う前やその代わりに、例えばパッシベーション膜として、EB蒸着法やCVD法などのドライプロセスを用いて、窒化珪素膜など無機薄膜による封止体208を基板101上に形成して封止することも可能であり、また、これらを組み合わせることも可能である。パシベーション膜の膜厚は、100〜500nmを用いることができ、材料の透湿性、水蒸気光透過性などにより異なるが150〜300nmが好適に用いる事ができる。100nm未満であると、被覆性や平坦性が低下する点で不利である。また、500nmを超えると、成膜時間が長くなり生産性が低下し、さらにクラッキングが発生しやすくなる点で不利である。トップエミッション型の構造では、上記の特性に加え、パシベーション膜の光透過性を考慮する必要があり、可視光波長領域の全平均で70%以上であれば好適に用いる事が可能である。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の有機薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置の実施例を挙げるが、本発明は下記実施例に何ら制限されるものではない。
【0075】
[実施例1]
ガラス基板を透光性基板として対角1.8インチサイズのガラス基板の上にスパッタ法を用いてITO(インジウム−錫酸化物)薄膜を形成し、フォトリソ法と酸溶液によるエッチングでITO膜をパターニングして、画素電極を形成した。画素電極のラインパターンは、線幅136μm、スペース30μmでラインが約32mm角の中に192ライン形成されるパターンとした。
【0076】
次に隔壁を以下のように形成した。画素電極を形成したガラス基板上にポジ型感光性ポリイミド(東レ社製フォトニースDL−1000)を全面スピンコートした。スピンコートの条件を150rpmで5秒間回転させた後500rpmで20秒間回転させ1回コーティングとし、隔壁の高さを1.5μmとした。全面に塗布した感光性材料に対し、フォトリソグラフィ法により露光、現像を行い画素電極の間にラインパターンを有する隔壁を形成した。この後隔壁を230℃30分でオーブンにて焼成を行った。
【0077】
次にITOの表面処理としてオーク製作所製UV/O
3洗浄装置にて隔壁を形成したガラス基板に対して3分間紫外線照射を行った。ITOの仕事関数は照射前の4.8eVから5.3eVに変化した。
【0078】
次に正孔輸送層を形成した。無機材料として酸化モリブデンを表示領域全面が成膜されるようにスパッタリング法を用いて50nm成膜した。パターニングは120mm×300mmの開口のあるメタルマスクを用いた。
【0079】
次に、正孔移動度が1.0×10
−3[cm
2/Vs]、エネルギーギャップが2.8[eV]である有機発光材料ポリフェニレンビニレン誘導体Aを濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキAと、正孔移動度が2.0×10
−5[cm
2/Vs]、エネルギーギャップが3.0[eV]である有機発光材料ポリフェニレンビニレン誘導体Bを濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキBを作製し、インキAとインキBを95対5の重量比で混合した混合インキIを作製した。
次に、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて発光層を凸版印刷法で印刷した。印刷、乾燥後の発光層の膜厚は100nmとなった。
【0080】
その上にCa、Alからなる陰極層を画素電極のラインパターンと直交するようなラインパターンで抵抗加熱蒸着法によりマスク蒸着して形成した。最後にこれらの有機EL構成体を、外部の酸素や水分から保護するために、ガラスキャップと接着剤を用いて密閉封止し、有機ELディスプレイパネルを作製した。
【0081】
得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周辺部には各画素電極に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極側の取り出し電極があり、これらを電源に接続することにより、得られた有機ELディスプレイパネルの点灯表示確認を行った。
【0082】
得られた有機ELディスプレイパネルを駆動したところ、7Vの駆動電圧で500cd/cm
2の輝度、CIE色度はx=0.31、y=0.63を示し、初期輝度1000cd/m
2での寿命は300hであった。
【0083】
[実施例2]
実施例2においては、有機発光インキAと有機発光インキBを80対20の重量比で混合した混合インキIIを作製した。次に、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて発光層を凸版印刷法で印刷した。印刷、乾燥後の発光層の膜厚は100nmとなった。その他の条件は実施例1と同様である。得られた有機ELディスプレイパネルを駆動したところ、7Vの駆動電圧で600cd/cm
2の輝度、CIE色度はx=0.31、y=0.63を示し、初期輝度1000cd/m
2での寿命は250hであった。
【0084】
[比較例1]
比較例1においては、有機発光インキAと有機発光インキBを50対50の重量比で混合した混合インキIIIを作製した。次に、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて発光層を凸版印刷法で印刷した。印刷、乾燥後の発光層の膜厚は100nmとなった。その他の条件は実施例1と同様である。得られた有機ELディスプレイパネルを駆動したところ、7Vの駆動電圧で1000cd/cm
2の輝度、CIE色度はx=0.31、y=0.63を示したが、初期輝度1000cd/m
2での寿命は100hと低下してしまった。
【0085】
[比較例2]
比較例2においては、有機発光インキAと、正孔移動度が5.0×10
−3[cm
2/Vs]、エネルギーギャップが2.9[eV]である有機発光材料ポリフェニレンビニレン誘導体Cを濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキCを作製し、有機発光インキAと有機発光インキCを95対5の重量比で混合した混合インキIVを作製した。次に、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて発光層を凸版印刷法で印刷した。印刷、乾燥後の発光層の膜厚は100nmとなった。その他の条件は実施例1と同様である。得られた有機ELディスプレイパネルを駆動したところ、7Vの駆動電圧で350cd/cm
2の輝度、CIE色度はx=0.31、y=0.63を示し、初期輝度1000cd/m
2での寿命は300hであった。
【0086】
[比較例3]
比較例3においては、有機発光インキAと、正孔移動度が2.0×10
−3[cm
2/Vs]、エネルギーギャップが2.6[eV]である有機発光材料ポリフェニレンビニレン誘導体Dを濃度1%になるようにトルエンに溶解させた有機発光インキDを作製し、有機発光インキAと有機発光インキDを95対5の重量比で混合した混合インキVを作製した。次に、隔壁に挟まれた画素電極の真上にそのラインパターンにあわせて発光層を凸版印刷法で印刷した。印刷、乾燥後の発光層の膜厚は100nmとなった。その他の条件は実施例1と同様である。得られた有機ELディスプレイパネルを駆動したところ、7Vの駆動電圧で530cd/cm
2の輝度を示したが、CIE色度はx=0.38、y=0.58と変化してしまった。初期輝度1000cd/m
2での寿命は280hであった。
【0087】
各実施例の条件及び評価結果を表1にまとめた。
【0088】
【表1】