特許第5910610号(P5910610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910610
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   F24F11/02 S
   F24F11/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-226705(P2013-226705)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-87067(P2015-87067A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2014年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須原 遼太
(72)【発明者】
【氏名】山本 高幹
(72)【発明者】
【氏名】桝田 智雄
(72)【発明者】
【氏名】横溝 剛志
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−160477(JP,A)
【文献】 特開2012−255567(JP,A)
【文献】 特開2000−240998(JP,A)
【文献】 特開2012−007887(JP,A)
【文献】 特開平02−146454(JP,A)
【文献】 特開2010−038375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機(12)および室外機(11)をそれぞれが有する複数の空気調和機(10)を備え、
全ての上記空気調和機(10)は、同一の空間を空気調和する一方、
上記複数の空気調和機(10)の一部が順次休止するローテーション運転を実行可能に構成された空気調和システム(1)であって、
上記複数の空気調和機(10)の一部が順次休止するローテーション運転が実行されるように、上記複数の空気調和機(10)のうち運転機として選択されるものと休止機として選択されるものとを順次変更する一つのローテーション制御部を備える一方、
上記複数の空気調和機(10)のそれぞれは、運転機として選択されている場合に空気調和運転を行い、休止機として選択されている場合に休止状態となるように構成され、
更に、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれは、
該空気調和機(10)の室内機(12)に設けられて該室内機(12)の周辺における人の有無を検知する人検知センサ(51a〜51c)と、
上記人検知センサ(51a〜51c)が人の在室を検知している場合には該空気調和機(10)に空気調和運転を行わせ、上記人検知センサ(51a〜51c)が人の不在を検知している場合には該空気調和機(10)を休止状態に保持する人検知制御部とを備え、
上記ローテーション制御部によって休止機に選択されている上記空気調和機(10)の人検知制御部は、該空気調和機(10)に設けられた人検知センサ(51a〜51c)が人の在室を検知している場合と、該人検知センサ(51a〜51c)が人の不在を検知している場合の両方において、該空気調和機(10)を休止状態に保持する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
請求項1において、
人の不在を検知している上記人検知センサ(51a〜51c)が設けられた上記空気調和機(10)を休止状態に保持する不在時動作の実行と停止とが切り換え可能になっている
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項3】
請求項1において、
人の不在を検知している上記人検知センサ(51a〜51c)が設けられた上記空気調和機(10)を休止状態に保持する動作が不在時動作であり、
上記各空気調和機(10)は、上記ローテーション運転による休止時間の長さが、上記不在時動作によって休止したか否かによっては変更されないように構成されている
ことを特徴とする空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和システムに関し、特に、複数の空気調和機の一部を順次休止させるローテーション運転を行う空気調和システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、同一の被空調空間を対象として複数の空気調和機を設けると共に、これらの空気調和機を順次休止させるローテーション運転を行うことが知られている。特許文献1の空気調和システムでは、同一の被空調空間を対象として、1つの集中コントローラにより制御される6台の空気調和機が設けられている。この空気調和システムでは、例えば、6台の空気調和機のうち1台を順次入れ替わりで休止させつつ、他の5台を運転するというローテーション運転が行われる。ローテーション運転は、運転状態にある空気調和機のみによって被空調空間の空気調和が十分になされることを前提として行われる。
【0003】
また、従来より、被空調空間における人の有無に応じて、空気調和機の運転状態を切り換えることが知られている。特許文献2の空気調和システムは、人検知センサを備えていて、この人検知センサが人の存在を検知している間は空気調和機を通常運転させる。また、人検知センサが人の存在を検知しておらず、かつその他一定の条件を満たす場合には、空気調和機の消費電力を低下させる。消費電力を低下させる手段としては、例えば空気調和機を停止させることが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−275458号公報
【特許文献2】特開2013−108693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、同一の被空調空間を対象として複数の空気調和機を設けた空気調和システムにおいて、上記ローテーション運転および人検知に基づく制御の双方を行うことが考えられる。
【0006】
しかしながら、ローテーション運転と人検知に基づく制御とを組み合わせると、被空調空間の空気調和が過剰になされる場合がある。すなわち、ローテーション運転が行われているときには、上述のとおり、運転状態にある空気調和機のみによって被空調空間の空気調和が十分になされている。ここで、ローテーション運転によって休止している空気調和機を、人検知センサによる人の存在の検知に基づいて運転させると、被空調空間の空気調和を十分に行うために必ずしも必要ではない空気調和機が運転されることになる(以下、過剰運転という)。過剰運転が行われると、電力が無駄に消費されてしまうと共に、空気調和システム全体の寿命が短くなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ローテーション運転および人検知に基づく制御を行う空気調和システムにおいて、過剰運転を防止して消費電力を抑制すると同時に、システム全体の長寿命化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、室内機(12)および室外機(11)をそれぞれが有する複数の空気調和機(10)を備え、全ての上記空気調和機(10)は、同一の空間を空気調和する一方、上記複数の空気調和機(10)の一部が順次休止するローテーション運転を実行可能に構成された空気調和システム(1)を対象とする。
【0009】
そして、第1の発明は、上記複数の空気調和機(10)の一部が順次休止するローテーション運転が実行されるように、上記複数の空気調和機(10)のうち運転機として選択されるものと休止機として選択されるものとを順次変更する一つのローテーション制御部を備える一方、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれは、運転機として選択されている場合に空気調和運転を行い、休止機として選択されている場合に休止状態となるように構成され、更に、上記複数の空気調和機(10)のそれぞれは、該空気調和機(10)の室内機(12)に設けられて該室内機(12)の周辺における人の有無を検知する人検知センサ(51a〜51c)と、上記人検知センサ(51a〜51c)が人の在室を検知している場合には該空気調和機(10)に空気調和運転を行わせ、上記人検知センサ(51a〜51c)が人の不在を検知している場合には該空気調和機(10)を休止状態に保持する人検知制御部とを備え、上記ローテーション制御部によって休止機に選択されている上記空気調和機(10)の人検知制御部は、該空気調和機(10)に設けられた人検知センサ(51a〜51c)が人の在室を検知している場合と、該人検知センサ(51a〜51c)が人の不在を検知している場合の両方において、該空気調和機(10)を休止状態に保持することを特徴とする。
【0010】
第1の発明では、空気調和システム(1)に設けられた全ての空気調和機(10)が、同一の空間を空気調和する。また、この発明では、空気調和システム(1)が、ローテーション運転を実行可能に構成されている。ローテーション運転では、複数の空気調和機(10)の一部が順次休止状態とされる。また、この発明では、人検知センサ(51)が人の不在を検知している間は、その人検知センサ(51)が設けられた空気調和機(10)が休止状態となる。
【0011】
ここで、人検知センサ(51)が人の在室を検知している間は、その人検知センサ(51)が設けられた空気調和機(10)に対して不在時動作は実行されない。つまり、人検知センサ(51)が人の在室を検知している間は、その人検知センサ(51)が設けられた空気調和機(10)は運転され得る状態にある。仮に、ローテーション運転によって休止している空気調和機(10)の人検知センサ(51)が人の在室を検知したとする。そのとき、当該空気調和機(10)がローテーション運転によらずに運転されると、過剰運転が行われることになる。
【0012】
しかしながら、本発明に係る空気調和システム(1)では、各空気調和機(10)は、その人検知センサ(51)が人の在室を検知したとしても、ローテーション運転によって休止状態とされている間は休止状態に保たれる。つまり、ローテーション運転によって休止している空気調和機(10)が、ローテーション運転によらずに運転状態となることがない。従って、本発明に係る空気調和システム(1)では、過剰運転が行われることがない。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、人の不在を検知している上記人検知センサ(51a〜51c)が設けられた上記空気調和機(10)を休止状態に保持する不在時動作の実行と停止とが切り換え可能になっていることを特徴とする。
【0014】
第2の発明では、不在時動作の実行と停止とが切り換え可能になっている。これにより、人の有無に応じて空気調和機(10)の運転状態と休止状態とを切り換えたい場合には、不在時動作を実行すればよい。一方、人の有無に関わらず、ローテーション運転によって運転されている空気調和機(10)を運転状態に保ちたい場合には、不在時動作を停止すればよい。
【0015】
第3の発明は、上記第1の発明において、人の不在を検知している上記人検知センサ(51a〜51c)が設けられた上記空気調和機(10)を休止状態に保持する動作が不在時動作であり、上記各空気調和機(10)は、上記ローテーション運転による休止時間の長さが、上記不在時動作によって休止したか否かによっては変更されないように構成されていることを特徴とする。
【0016】
第3の発明では、各空気調和機(10)のローテーション運転による休止時間の長さは、不在時動作によって休止したか否かによっては変更されない。これにより、不在時動作が行われたか否かに応じて休止時間を変更する必要がないので、ローテーション運転を行うための制御が比較的簡易なものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、各空気調和機(10)が、ローテーション運転によって休止している間は、人検知センサ(51)が人の在室を検知している間も休止状態に保持される。これにより、過剰運転が行われることがないので、消費電力を抑制すると同時に、空気調和システム(1)全体の長寿命化を図ることができる。
【0018】
また、上記第2の発明によれば、人の有無に応じて空気調和機(10)の運転状態と休止状態とを切り換えるべきか否かを用途毎に判断し、それぞれの用途に最適な空気調和システム(1)を提供することができる。
【0019】
また、上記第3の発明によれば、不在時動作が行われたか否かに応じてローテーション運転における各空気調和機(10)の休止時間を変更する必要がないので、ローテーション運転を行うための制御を比較的簡易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、空気調和システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、空気調和機の概略構成を示す冷媒回路図である。
図3図3は、空気調和システムのローテーション運転について説明するためのフローチャートである。
図4図4は、空気調和システムのローテーション運転について説明するためのタイミングチャートである。
図5図5は、空気調和システムの人検知制御について説明するためのフローチャートである。
図6図6は、空気調和システムの人検知制御について説明するためのタイミングチャートである。
図7図7は、空気調和システムにおいて人検知制御を停止させた場合について説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0022】
−空気調和システム−
図1は、実施形態による空気調和システム(1)の構成例を示している。空気調和システム(1)は、室内の空気調和を行う複数の空気調和機(10)と、リモートコントローラ(20)とを備えている。この例では、複数の空気調和機(10)は、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)によって構成され、同一の室内に配置されている。また、この空気調和システム(1)では、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の一部が順次休止するローテーション運転と、室内における人の有無に応じて空気調和機(10)の運転状態を切り換える人検知制御とが行われる。ローテーション運転および人検知制御については、後で詳しく説明する。
【0023】
〈リモートコントローラ〉
リモートコントローラ(20)は、表示部(21)と、操作部(22)と、制御部(23)とを有している。
【0024】
表示部(21)は、空気調和システム(1)の運転状態に関する情報や、室内環境(例えば、室内温度等)に関する情報等を表示する。操作部(22)は、空気調和システム(1)に各種運転を実行させるためにユーザによって操作される。操作部(22)は、例えば、ユーザによって押下される操作ボタンによって構成されている。
【0025】
制御部(23)は、CPUやメモリ等によって構成されていて、配線を介して第1〜第3空気調和機(10a〜10c)に電気的に接続されて第1〜第3空気調和機(10a〜10c)との間で通信を行う。そして、制御部(23)は、操作部(22)に与えられた操作に応答して、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)を制御する。制御部(23)は、ローテーション運転を行うローテーション制御部を有している。
【0026】
〈空気調和機〉
図2は、空気調和機(10)の構成例を示している。空気調和機(10)は、室外機(11)と室内機(12)とを有している。室外機(11)と室内機(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外機(11)と室内機(12)と液側連絡配管(13)とガス側連絡配管(14)とによって、冷媒回路(30)が形成されている。
【0027】
《冷媒回路》
冷媒回路(30)は、冷媒が充填された閉回路であり、圧縮機(31)と、四方切換弁(32)と、室外熱交換器(33)と、膨張弁(34)と、室内熱交換器(35)とを有している。室外機(11)は、圧縮機(31)と、四方切換弁(32)と、室外熱交換器(33)と、膨張弁(34)とを備え、室内機(12)は、室内熱交換器(35)を備えている。さらに、室外機(11)は、室外ファン(36)と、室外制御部(41)とを備えている。一方、室内機(12)は、室内ファン(37)と、室内制御部(42)と、室内温度センサ(50)と、人検知センサ(51)とを備えている。
【0028】
また、冷媒回路(30)において、圧縮機(31)は、その吐出側が四方切換弁(32)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(32)の第2のポートに、それぞれ接続されている。また、冷媒回路(30)では、四方切換弁(32)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(33)と、膨張弁(34)と、室内熱交換器(35)とが配置されている。さらに、室外ファン(36)は、室外熱交換器(33)の近傍に配置され、室内ファン(37)は、室内熱交換器(35)の近傍に配置されている。
【0029】
圧縮機(31)は、冷媒を圧縮して吐出するものであり、その容量を変更可能に構成されている。例えば、圧縮機(31)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機によって構成されている。
【0030】
四方切換弁(32)は、第1のポートが第3のポートと連通しかつ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図2に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通しかつ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図2に破線で示す状態)とに切り換え可能に構成されている。
【0031】
室外ファン(36)は、室外熱交換器(33)へ室外空気を供給する。室外熱交換器(33)は、室外ファン(36)によって搬送された室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(33)は、例えば、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ式の熱交換器によって構成されている。
【0032】
膨張弁(34)は、冷媒の圧力を調節するものであり、その開度を調節可能に構成されている。膨張弁(34)は、例えば、電子膨張弁によって構成されている。
【0033】
室内ファン(37)は、室内熱交換器(35)へ室内空気を供給する。室内熱交換器(35)は、室内ファン(37)によって搬送された室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(35)は、例えば、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ式の熱交換器によって構成されている。
【0034】
《室内温度センサ》
室内温度センサ(50)は、室内機(12)において室内熱交換器(35)の上流側(空気の流れる方向の上流側)に配置され、この室内温度センサ(50)によって検知された温度は、室内温度と実質的に等しくなっている。また、室内温度センサ(50)によって検知された室内温度は、室内制御部(42)に伝送される。
【0035】
《人検知センサ》
人検知センサ(51)は、室内機(12)に設けられている。本実施形態では、人検知センサ(51)は、第1〜第3人検知センサ(51a〜51c)によって構成されていて、室内の人の有無を検知する。より具体的には、各人検知センサ(51)は、それが設けられている室内機(12)の周辺における人の有無を検知する。例えば、第1空気調和機(10a)の室内機(12)に設けられている第1人検知センサ(51a)は、第1空気調和機(10a)の室内機(12)の周辺における人の有無を検知する。そして、人検知センサ(51)によって検知された人の有無に関する情報は、室内制御部(42)に伝送される。
【0036】
《室外制御部と室内制御部》
室外制御部(41)および室内制御部(42)の各々は、CPUやメモリ等によって構成され、配線を介して互いに電気的に接続されて互いの間で通信する。また、室外制御部(41)および室内制御部(42)は、配線を介してリモートコントローラ(20)の制御部(23)にも電気的に接続されて制御部(23)との間で通信する。室外制御部(41)は、室外機(11)に設けられた圧縮機(31)、四方切換弁(32)、膨張弁(34)、および室外ファン(36)の動作を制御する。室内制御部(42)は、室内機(12)に設けられた室内ファン(37)の動作を制御する。このように、冷媒回路(30)の動作や室外ファン(36)および室内ファン(37)の動作を制御することにより、空気調和機(10)の運転が制御される。
【0037】
また、室内制御部(42)のメモリ(図示せず)には、室内温度に対して予め設定された目標温度が記憶されている。室内制御部(42)は、後述する人検知制御を行う人検知制御部を有している。
【0038】
〈空気調和機の運転動作〉
次に、空気調和機(10)の基本的な運転動作について説明する。空気調和機(10)は、室内温度センサ(50)によって検知される室内温度が予め設定された目標温度に近づくように、室内の空気調和を行う。具体的には、空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。
【0039】
《冷房運転》
冷房運転では、室外制御部(41)および室内制御部(42)は、四方切換弁(32)を第1状態(図2に実線で示す状態)に設定し、圧縮機(31)と室外ファン(36)と室内ファン(37)とを駆動させる。これにより、冷媒回路(30)では、室外熱交換器(33)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(35)が蒸発器として機能する。具体的には、圧縮機(31)によって圧縮された高圧の冷媒は、室外熱交換器(33)に流れ込み、室外熱交換器(33)において室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(33)において凝縮した冷媒は、膨張弁(34)によって減圧された後に室内熱交換器(35)に流れ込み、室内熱交換器(35)において室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内空気が冷却される。室内熱交換器(35)において蒸発した冷媒は、圧縮機(31)に吸入されて再び圧縮される。
【0040】
《暖房運転》
暖房運転では、室外制御部(41)および室内制御部(42)は、四方切換弁(32)を第2状態(図2に破線で示す状態)に設定し、圧縮機(31)と室外ファン(36)と室内ファン(37)とを駆動させる。これにより、冷媒回路(30)では、室内熱交換器(35)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(33)が蒸発器として機能する。具体的には、圧縮機(31)によって圧縮された高圧の冷媒は、室内熱交換器(35)に流れ込み、室内熱交換器(35)において室内空気へ放熱して凝縮する。これにより、室内空気が加熱される。室内熱交換器(35)において凝縮した冷媒は、膨張弁(34)によって減圧された後に室外熱交換器(33)に流れ込み、室外熱交換器(33)において室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(33)において蒸発した冷媒は、圧縮機(31)に吸入されて再び圧縮される。
【0041】
〈休止機/運転機〉
この空気調和システム(1)では、空気調和機(10)は、休止機および運転機のいずれか一方となる。具体的には、空気調和機(10)の室内制御部(42)のメモリ(図示せず)には、空気調和機(10)が休止機となっているか否かを示す休止ビット値が格納されている。空気調和機(10)が休止機となっている場合には、休止ビット値は「1」となっており、空気調和機(10)が休止機となっていない場合(すなわち、空気調和機(10)が運転機となっている場合)には、休止ビット値は「0」となっている。
【0042】
休止機となっている空気調和機(10)では、室外制御部(41)および室内制御部(42)は、圧縮機(31)と室外ファン(36)と室内ファン(37)の動作を停止させる。一方、運転機となっている空気調和機(10)では、基本的には、室外制御部(41)および室内制御部(42)が、圧縮機(31)と室外ファン(36)と室内ファン(37)を運転させる。ただし、運転機となっている空気調和機(10)であっても、室内温度が所定の目標温度範囲に至ると、圧縮機(31)やファン(36,37)を停止させる(いわゆるサーモオフ動作を行う)ことがある。
【0043】
また、この例では、空気調和機(10)は、リモートコントローラ(20)の制御部(23)によって休止機および運転機のいずれか一方に設定される。
【0044】
具体的には、制御部(23)は、複数の空気調和機(10)のうち休止機として選択しようとする空気調和機(10)に対して、休止指令(例えば、「1」を示した休止ビット値を含む命令コード)を送信する。そして、休止指令の送信先である空気調和機(10)において、室内制御部(42)のCPU(図示せず)は、制御部(23)からの休止指令を受信すると、室内制御部(42)のメモリ(図示せず)に格納されている休止ビット値を「1」に設定する。このようにして、空気調和機(10)が休止機として選択される。
【0045】
また、制御部(23)は、複数の空気調和機(10)のうち運転機として選択しようとする空気調和機(10)に対して、休止解除指令(例えば、「0」を示した休止ビット値を含む命令コード)を送信する。そして、休止解除指令の送信先である空気調和機(10)において、室内制御部(42)のCPUは、制御部(23)からの休止解除指令を受信すると、室内制御部(42)のメモリに格納されている休止ビット値を「0」に設定する。このようにして、空気調和機(10)が運転機として選択される。
【0046】
〈ローテーション運転〉
次に、図3を参照して、ローテーション運転について説明する。リモートコントローラ(20)の操作部(22)に、ローテーション開始操作(ローテーション運転の開始を指示するための操作)が与えられると、空気調和システム(1)において以下の処理(初期運転、一部休止運転、過渡運転)が行われる。
【0047】
なお、この例では、リモートコントローラ(20)の制御部(23)のメモリ(図示せず)には、ローテーション運転における空気調和機(10)の運転順序に関する情報(具体的には、休止機の台数や、休止機の選択順序等)が記憶されている。また、制御部(23)のメモリには、ローテーション運転における運転時間に関する情報(具体的には、初期運転時間(T0)、一部休止時間(T1)、過渡運転時間(T2)等)が記憶されている。例えば、初期運転時間(T0)および過渡運転時間(T2)は、0.5時間に設定され、一部休止時間(T1)は、2.5時間から95.5時間までの間の任意の時間に設定されている。
【0048】
《ステップ(ST11)》
まず、初期運転が行われる。初期運転では、複数の空気調和機(10)のうち予め定められた台数の空気調和機(10)によって室内の空気調和が行われる。なお、初期運転において運転機となる空気調和機(10)の台数は、一部休止運転において運転機となる空気調和機(10)の台数よりも多くなっている。具体的には、制御部(23)は、予め定められた運転順序に基づいて、複数の空気調和機(10)の中から運転機となる空気調和機(10)を選択する。運転機として選択された空気調和機(10)は、冷房運転や暖房運転(以下、これらを総称して空気調和運転という)を行う。
【0049】
《ステップ(ST12)》
次に、制御部(23)は、初期運転の開始から予め設定された初期運転時間(T0)が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部(23)は、ステップ(ST11)において運転機となる空気調和機(10)を選択すると経過時間の計測を開始し、その経過時間が初期運転時間(T0)に到達したか否かを判定する。初期運転時間(T0)が経過している場合には、ステップ(ST13)へ進む。
【0050】
《ステップ(ST13)》
次に、一部休止運転が行われる。一部休止運転では、複数の空気調和機(10)のうち予め定められた一部の空気調和機(10)が休止機となる一方で、残りの空気調和機(10)によって室内の空気調和が行われる。具体的には、制御部(23)は、予め定められた運転順序に基づいて、複数の空気調和機(10)のうち運転機となっている空気調和機(10)の中から休止機となる空気調和機(10)を選択する。休止機として選択された空気調和機(10)は、空気調和運転を休止する。
【0051】
《ステップ(ST14)》
次に、制御部(23)は、一部休止運転の開始から予め設定された一部休止時間(T1)が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部(23)は、ステップ(ST13)において休止機となる空気調和機(10)を選択すると経過時間の計測を開始し、その経過時間が一部休止時間(T1)に到達したか否かを判定する。一部休止時間(T1)が経過している場合には、ステップ(ST15)へ進む。
【0052】
《ステップ(ST15)》
次に、過渡運転が行われる。過渡運転では、複数の空気調和機(10)のうち次に休止機となる予定の空気調和機(10)が空気調和運転を継続するとともに、休止機となっている空気調和機(10)の一部または全部が空気調和運転を再開する。具体的には、制御部(23)は、予め定められた運転順序に基づいて、複数の空気調和機(10)のうち休止機となっている空気調和機(10)の中から運転機となる空気調和機(10)を選択する。運転機として選択された空気調和機(10)は、空気調和運転を再開する。
【0053】
《ステップ(ST16)》
次に、制御部(23)は、過渡運転の開始から予め設定された過渡運転時間(T2)が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部(23)は、ステップ(ST15)において運転機となる空気調和機(10)を選択すると経過時間の計測を開始し、その経過時間が過渡運転時間(T2)に到達したか否かを判定する。過渡運転時間(T2)が経過している場合には、ステップ(ST13)へ進む。
【0054】
以上のような処理が繰り返されることにより、複数の空気調和機(10)の一部が順次休止していく。そして、リモートコントローラ(20)の操作部(22)に、ローテーション終了操作(ローテーション運転の終了を指示するための操作)が与えられると、リモートコントローラ(20)の制御部(23)は、複数の空気調和機(10)の全部を運転機として選択し、ローテーション運転のための処理を終了する。このようにして、ローテーション運転が終了する。
【0055】
〈ローテーション運転の具体例〉
次に、図4を参照して、ローテーション運転について具体的に説明する。この例では、第1空気調和機(10a)から一つずつ順に休止機となるように、一部休止運転において第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の中から一つの空気調和機(10)が休止機として選択される。また、初期運転において、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の全部が運転機として選択される。
【0056】
時刻(t0)になると、リモートコントローラ(20)の操作部(22)にローテーション開始操作が与えられ、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の全部が運転機となる。例えば、リモートコントローラ(20)の制御部(23)は、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の全部に対して休止解除指令を送信する。これにより、初期運転では、3台の空気調和機(10a〜10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0057】
次に、初期運転時間(T0)が経過して時刻(t1)になると、運転機となっている第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の中から第1空気調和機(10a)が休止機として選択される。例えば、制御部(23)は、第1空気調和機(10a)に対して休止指令を送信する。これにより、第1回目の一部休止運転では、第1空気調和機(10a)を除く2台の空気調和機(10b,10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0058】
次に、一部休止時間(T1)が経過して時刻(t2)になると、休止機となっている第1空気調和機(10a)が運転機として選択される。例えば、制御部(23)は、第1空気調和機(10a)に休止解除指令を送信する。これにより、第1回目の過渡運転では、次に休止機となる予定の第2空気調和機(10b)が空気調和運転を継続し、休止機となっている第1空気調和機(10a)が空気調和運転を再開する。また、第3空気調和機(10c)も空気調和運転を継続する。従って、3台の空気調和機(10a〜10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0059】
次に、過渡運転期間(T2)が経過して時刻(t3)になると、運転機となっている第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の中から第2空気調和機(10b)が休止機として選択される。これにより、第2回目の一部休止運転では、第2空気調和機(10b)を除く2台の空気調和機(10a,10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0060】
次に、一部休止時間(T1)が経過して時刻(t4)になると、休止機となっている第2空気調和機(10b)が運転機として選択される。これにより、第2回目の過渡運転では、次に休止機となる予定の第3空気調和機(10c)が空気調和運転を継続し、休止機となっている第2空気調和機(10b)が空気調和運転を再開する。また、第1空気調和機(10a)も空気調和運転を継続する。したがって、3台の空気調和機(10a〜10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0061】
次に、過渡運転時間(T2)が経過して時刻(t5)になると、運転機となっている第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の中から第3空気調和機(10c)が休止機として選択される。これにより、第3回目の一部休止運転では、第3空気調和機(10c)を除く2台の空気調和機(10a,10b)によって室内の空気調和が行われる。
【0062】
次に、一部休止時間(T1)が経過して時刻(t6)になると、休止機となっている第3空気調和機(10c)が運転機として選択される。これにより、第3回目の過渡運転では、次に休止機となる予定の第1空気調和機(10a)が空気調和運転を継続し、休止機となっている第3空気調和機(10c)が空気調和運転を再開する。また、第2空気調和機(10b)も空気調和運転を継続する。したがって、3台の空気調和機(10a〜10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0063】
次に、過渡運転時間(T2)が経過して時刻(t7)になると、運転機となっている第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の中から第1空気調和機(10a)が再び休止機として選択される。これにより、第4回目の一部休止運転では、第1空気調和機(10a)を除く2台の空気調和機(10b,10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0064】
以上のように、複数の空気調和機(10)の一部を順次休止させることにより、複数の空気調和機(10)の運転時間を平準化することができる。また、ローテーション運転の開始期間において初期運転を行うことにより、ローテーション運転の開始期間における空気調和システム(1)の空気調和能力の低下を抑制することができる。さらに、ローテーション運転において一部休止運転の間に過渡運転を行うことにより、休止機となっている空気調和機(10)を休止機から運転機へ切り換えた後に、次に休止機となる予定の空気調和機(10)を運転機から休止機に切り換えることができる。これにより、空気調和機(10)の休止機から運転機への切り換えによる空気調和システム(1)の空気調和能力の低下を抑制することができる。
【0065】
〈人検知制御〉
次に、図5を参照して、人検知制御について説明する。リモートコントローラ(20)の操作部(22)に、人検知開始操作(人検知制御の開始を指示するための操作)が与えられると、空気調和システム(1)において以下の処理が行われる。なお、以下の処理は、各室内機(12)において個別に行われる。つまり、第1空気調和機(10a)の室内機(12)に設けられた室内制御部(42)は、第1人検知センサ(51a)の出力に基づいてステップ(ST21)〜ステップ(ST23)の動作を行う。第2空気調和機(10b)および第3空気調和機(10c)においても同様である。
【0066】
《ステップ(ST21)》
まず、室内制御部(42)は、室内機(12)の人検知センサ(51)が人の在室を検知しているか、または人の不在を検知しているかを判定する。そして、人検知センサ(51)が人の存在を検知している場合には、ステップ(ST22)へ進む。一方、人検知センサ(51)が人の不在を検知している場合には、ステップ(ST23)へ進む。
【0067】
《ステップ(ST22)》
人検知センサ(51)が人の在室を検知している場合には、室内制御部(42)は、その人検知センサ(51)が設けられた空気調和機(10)に空気調和運転を行わせる。これにより、周囲に人が存在している空気調和機(10)は、空気調和運転を行う。なお、ローテーション運転によって休止機として選択されている空気調和機(10)については、その空気調和機(10)の人検知センサ(51)が人の在室を検知しても、運転機として選択されることはない。その後、再びステップ(ST21)へ進む。
【0068】
《ステップ(ST23)》
一方、人検知センサ(51)が人の不在を検知している場合には、室内制御部(42)は、不在時動作を実行する。すなわち、室内制御部(42)は、人の不在を検知している人検知センサ(51)が設けられた空気調和機(10)を休止機として選択する。これにより、周囲に人が存在していない空気調和機(10)は、休止状態に保持される。その後、再びステップ(ST21)へ進む。
【0069】
以上のような処理が繰り返されることにより、室内における人の有無に応じて、空気調和機(10)の運転状態が切り換えられる。そして、リモートコントローラ(20)の操作部(22)に人検知終了操作(人検知制御の終了を指示するための操作)が与えられると、人検知制御が終了する。
【0070】
〈人検知制御の具体例〉
次に、図6および図7を参照して、人検知制御について具体的に説明する。この例では、上述したローテーション運転が行われている空気調和システム(1)において人検知制御が行われる。また、不在時動作を含む人検知制御の実行と停止とは、切り換え可能となっている。ここでは、まず、人検知制御を実行する場合(図6を参照)について説明した後、人検知制御を停止させる場合(図7を参照)について説明する。
【0071】
《人検知制御を実行する場合》
図6に示すように、時刻(t0)になると、リモートコントローラ(20)の操作部(22)にローテーション開始操作および人検知開始操作が与えられる。すると、上述したローテーション運転が開始されると共に、人検知制御が行われる。つまり、人検知センサ(51)が人の不在を検知した場合に、不在時動作が実行され得る状態となる。
【0072】
時刻(t0)から時刻(t8)までの期間では、第1〜第3人検知センサ(51a〜51c)の全部が人の在室を検知しているので、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の全部が不在時動作によって休止状態となることはない。従って、時刻(t0)から時刻(t8)までの期間では、ローテーション運転によって第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の運転状態が切り替えられていく。
【0073】
次に、例えば、所定の時間が経過して時刻(t8)になると、第3人検知センサ(51c)が人の不在を検知する。このとき、ローテーション運転において、第3空気調和機(10c)は運転機として選択されている。これに対し、時刻(t8)では、不在時動作によって第3空気調和機(10c)は空気調和運転を休止する。また、時刻(t8)では、ローテーション運転において、第1空気調和機(10a)は運転機として選択され、第2空気調和機(10b)は休止機として選択されている。従って、3台の空気調和機(10a〜10c)のうち第1空気調和機(10a)のみによって室内の空気調和が行われる。
【0074】
次に、所定の時間が経過して時刻(t9)になると、第3人検知センサ(51c)が再び人の在室を検知する。すると、不在時動作は行われなくなり、第3空気調和機(10c)が再び運転機として選択される。これにより、第3空気調和機(10c)は空気調和運転を行う。また、時刻(t9)では、ローテーション運転において、第1空気調和機(10a)は運転機として選択され、第2空気調和機(10b)は休止機として選択されている。従って、第2空気調和機(10b)を除く2台の空気調和機(10a,10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0075】
ここで、時刻(t1)から時刻(t2)までの期間では、第1空気調和機(10a)は、ローテーション運転において休止機として選択されている。一方、第1空気調和機(10a)の第1人検知センサ(51a)は、同期間において人の在室を検知している。これらの条件下において、同期間では、第1空気調和機(10a)は、空気調和運転を休止している。すなわち、第1空気調和機(10a)は、ローテーション運転によって休止している間は、第1人検知センサ(51a)が人の在室を検知している間も休止状態に保持されている。このことは、時刻(t3)から時刻(t4)までの期間において第2空気調和機(10b)が休止状態にあること、および時刻(t5)から時刻(t6)までの期間において第3空気調和機(10c)が休止状態にあることから明らかなように、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)の全部に共通である。つまり、各空気調和機(10a〜10c)は、ローテーション運転によって休止している間は、各人検知センサ(51a〜51c)が人の在室を検知している間も休止状態に保持される。これにより、過剰運転が行われることがないので、消費電力を抑制すると同時に、空気調和システム(1)の長寿命化を図ることができる。
【0076】
また、図6に示すように、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)は、ローテーション運転によって休止するときには一部休止時間(T1)に亘って運転を休止している。特に、時刻(t8)から時刻(t9)までの期間に亘って不在時動作によって運転を休止した第3空気調和機(10c)も、その後の時刻(t5)から時刻(t6)までの期間では、一部休止時間(T1)に亘って運転を休止している。このように、第1〜第3空気調和機(10a〜10c)は、ローテーション運転による休止時間(ここでは、一部休止時間(T1))の長さが、不在時動作によって休止したか否かによっては変更されない。これにより、不在時動作が行われたか否かに応じてローテーション運転における休止時間を変更する必要がないので、ローテーション運転における制御を比較的簡易なものとすることができる。
【0077】
〈人検知制御を停止させる場合〉
次に、人検知制御を停止させる場合について、人検知制御を実行する場合と異なる部分を、図7を参照して説明する。
【0078】
時刻(t0)になると、リモートコントローラ(20)の操作部(22)にローテーション開始操作が与えられるが、人検知開始操作は与えられない。すると、上述したローテーション運転が開始される一方、人検知制御は行われない。つまり、人検知センサ(51)が人の不在を検知した場合でも、不在時動作が実行されない状態となる。
【0079】
次に、例えば、所定の時間が経過して時刻(t8)になると、第3人検知センサ(51c)が人の不在を検知する。このとき、ローテーション運転において、第3空気調和機(10c)は運転機として選択されている。そして、第3人検知センサ(51c)が人の不在を検知しても不在時動作は行われないので、第3空気調和機(10c)は運転機として選択されたままである。よって、第3空気調和機(10c)は、時刻(t8)から時刻(t9)の期間においても、休止することなく空気調和運転を行う。また、時刻(t8)では、ローテーション運転において、第1空気調和機(10a)は運転機として選択され、第2空気調和機(10b)は休止機として選択されている。従って、第2空気調和機(10b)を除く2台の空気調和機(10a,10c)によって室内の空気調和が行われる。
【0080】
その他の動作については、人検知制御を実行する場合と同様である。なお、図7では、人の有無と空気調和機(10)の運転状態との関係を示すために人検知センサ(51)の検知状態を表示しているが、人検知制御の停止にあわせて人検知センサ(51)の検知機能を停止させてもよい。
【0081】
以上のように、人検知制御を停止させる場合には、室内における人の有無によって空気調和機(10)の運転状態が変更されない。このことは、室内に人がいない場合でも一定数の空気調和機(10)に空気調和運転をさせて空気調和を行う必要のある用途(例えば、データセンター)において、極めて有用である。
【0082】
−実施形態の効果−
本実施形態の空気調和システム(1)では、空気調和機(10)が、ローテーション運転によって休止している間は、人検知センサ(51)が人の在室を検知している間も休止状態に保持される。これにより、過剰運転が行われることがないので、消費電力を抑制すると同時に、空気調和システム(1)全体の長寿命化を図ることができる。
【0083】
また、不在時動作を含む人検知制御の実行と停止とを切り換えることができるので、人の有無に応じて空気調和機(10)の運転状態と休止状態とを切り換えるべきか否かを用途毎に判断し、それぞれの用途に最適な空気調和システム(1)を提供することができる。
【0084】
さらに、各空気調和機(10)のローテーション運転による休止時間の長さは、不在時動作によって休止したか否かによっては変更されないので、不在時動作が行われたか否かに応じてローテーション運転における各空気調和機(10)の休止時間を変更する必要がない。従って、ローテーション運転を行うための制御を比較的簡易なものとすることができる。
【0085】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、リモートコントローラ(20)の制御部(23)から複数の空気調和機(10)の各々に休止指令および休止解除指令が送信されるが、これに限らず、複数の空気調和機(10)において休止指令が循環するように構成されていてもよい。すなわち、複数の空気調和機(10)の各々が他の空気調和機(10)を休止機および運転機のいずれか一方に設定するように構成されていてもよい。例えば、空気調和機(10)は、休止指令を受信すると休止機に設定され、休止機に設定された後に一時休止時間(T1)が経過すると自身を休止機から運転機に切り換え、その後、過渡運転時間(T2)が経過すると予め定められた送信先の空気調和機(10)に対して休止指令を送信するように構成されていてもよい。このように構成した場合も、リモートコントローラ(20)の制御部(23)から複数の空気調和機(10)のいずれか一つに休止指令を送信することにより、ローテーション運転を開始することができる。すなわち、リモートコントローラ(20)の制御部(23)によって複数の空気調和機(10)の一部を順次休止させることができる。
【0086】
また、上記実施形態では、人検知制御の処理は各空気調和機(10)の室内制御部(42)によって行われるが、これに限らず、例えば、リモートコントローラ(20)の制御部(23)によって行われるようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、空気調和機(10)が一つの室外機(11)と一つの室内機(12)とを備えているが、これに限らず、空気調和機(10)は、一つの室外機(11)と二つ以上の室内機(12)とを備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明は、ローテーション運転を行う空気調和システムについて有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 空気調和システム
10a〜10c 第1〜第3空気調和機(空気調和機)
11 室外機
12 室内機
51a〜51c 第1〜第3人検知センサ(人検知センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7