(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記精度測定装置および前記コギングトルク測定装置における測定結果が許容範囲内である場合に、前記ロボットによって搬送される前記モータについて前記回転軸の周囲へ所定の部材を組み込む組み込み装置
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のロボットシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するロボットシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
また、以下に示す実施形態では、前工程において粗組み立てが完了したモータを加工品とし、かかるモータの組立精度の測定などを行うロボットシステムを例に挙げて説明を行う。また、組立精度を示す例として、直角度や同心度などのいわゆる幾何公差を例に挙げることとする。
【0015】
図1は、実施形態に係るロボットシステム1の全体構成を示す上面模式図である。なお、
図1には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0016】
また、以下では、複数個で構成される構成要素については、複数個のうちの1個にのみ符号を付し、その他については符号の付与を省略する場合がある。かかる場合、符号を付した1個とその他とは同様の構成であるものとする。
【0017】
図1に示すように、ロボットシステム1は、直方体状の作業スペースを形成するセル2を備える。また、ロボットシステム1は、かかるセル2の内部に、ロボット10と、搬入路20と、コギングトルク測定装置30と、精度測定装置40と、シール圧入装置50と、シールストッカ60と、グリス塗布装置70と、接着剤塗布装置80と、バッファステージ90と、搬出路100とを備える。
【0018】
なお、セル2には図示略の開口部が設けられており、かかる開口部を介して上述の搬入路20、シールストッカ60および搬出路100はセル2の外部へ通じている。また、ロボット10を含むセル2内部の各種装置には、図示略の制御装置が情報伝達可能に接続される。
【0019】
ここで、制御装置は、接続された各種装置の動作を制御する制御部であり、種々の制御機器や演算処理装置、記憶装置などを含んで構成される。
【0020】
ロボット10は、かかる制御装置からの動作指示を受けて動作するマニュピレータであり、エンドエフェクタとしてロボットハンド(後述)を備える。なお、ロボット10の構成の詳細については、
図2、
図3Aおよび
図3Bを用いて後述する。
【0021】
搬入路20からは、前工程において粗組み立ての完了したモータが搬入される。コギングトルク測定装置30は、ロボット10によって搬入路20から移載されたモータのコギングトルクおよび軸ブレを測定する装置である。かかるコギングトルク測定装置30の詳細については、
図4を用いて後述する。
【0022】
精度測定装置40は、ロボット10によってコギングトルク測定装置30から移載されたモータの幾何公差を測定する装置である。かかる精度測定装置40の詳細については、
図5Aから
図7Cを用いて後述する。
【0023】
シール圧入装置50は、ロボット10によって精度測定装置40から移載されたモータの負荷側ブラケットについて、シャフトの周囲をシール部材でシールする装置である。なお、このときシール部材は、ロボット10によってシールストッカ60から取り出され、グリス塗布装置70においてグリスを塗布される。かかるシール圧入装置50に係る一連の動作については、
図8から
図10Dを用いて後述する。
【0024】
接着剤塗布装置80は、ロボット10によってシール圧入装置50から移載されたモータの反負荷側のブラケットについて、軸受のアウターレースとかかるブラケットとの間隙に接着剤を塗布し、軸受を固定する装置である。また、接着剤塗布装置80は、カメラによってかかる接着剤の塗布状態を確認する。かかる接着剤塗布装置80の詳細については、
図11Aおよび
図11Bを用いて後述する。
【0025】
バッファステージ90は、ロボット10によって接着剤塗布装置80から移載されたモータについて、規定時間の間、接着剤を乾燥させる領域である。かかるバッファステージ90については、
図12を用いて後述する。
【0026】
搬出路100からは、セル2内部における工程を完了したモータが搬出される。なお、搬出路100は、セル2内部で異常判定を受けたモータ、たとえば、精度測定装置40において幾何公差が許容範囲外であったモータの搬出路を兼ねてもよい。なお、本実施形態では、正常判定を受けた場合および異常判定を受けた場合のいずれについても、モータは搬出路100から搬出されるものとする。
【0027】
次に、ロボット10の構成例について、
図2を用いて説明する。
図2は、ロボット10の構成を示す斜視模式図である。
【0028】
図2に示すように、ロボット10は、単
腕型の多軸ロボットである。具体的には、ロボット10は、第1アーム部11と、第2アーム部12と、第3アーム部13と、第4アーム部14とを備える。
【0029】
第1アーム部11は、基端部を第2アーム部12によって支持される。第2アーム部12は、基端部を第3アーム部13によって支持され、先端部において第1アーム部11を支持する。
【0030】
第3アーム部13は、基端部を第4アーム部14によって支持され、先端部において第2アーム部12を支持する。第4アーム部14は、セル2(
図1参照)の床面などに固定された基台部(図示略)によって基端部を支持され、先端部において第3アーム部13を支持する。
【0031】
また、第1アーム部11〜第4アーム部14の各連結部分である各関節部(図示略)にはそれぞれアクチュエータが搭載されており、かかる各アクチュエータの駆動により、ロボット10は多軸動作を行う。
【0032】
具体的には、第1アーム部11および第2アーム部12を連結する関節部のアクチュエータは、かかる関節部を支点として、第1アーム部11を両矢印201の向きに回動させる。また、第2アーム部12および第3アーム部13を連結する関節部のアクチュエータは、かかる関節部を支点として、第2アーム部12を両矢印202の向きに回動させる。
【0033】
また、第3アーム部13および第4アーム部14を連結する関節部のアクチュエータは、かかる関節部を支点として、第3アーム部13を両矢印203の向きに回動させる。
【0034】
また、ロボット10は、第1アーム部11を両矢印204の向きに、第2アーム部12を両矢印205の向きに、第4アーム部14を両矢印206の向きに、それぞれ回動させる個別のアクチュエータを備える。
【0035】
なお、第1アーム部11の先端部には、ロボットハンドが取り付けられる。次に、かかるロボットハンドの構成例について、
図3Aおよび
図3Bを用いて説明する。
図3Aは、ロボットハンド15の構成を示す斜視模式図であり、
図3Bは、ロボットハンド15がモータMを保持した状態を示す斜視模式図である。
【0036】
図3Aに示すように、ロボットハンド15は、第1グリッパ15aと、第2グリッパ15bと、グリッパ駆動部15cとを備える。第1グリッパ15aは、4個の把持爪を有しており、
図3Bに示すように、かかる把持爪でモータMの負荷側に形成されたフランジ部を把持することによってモータMを把持する。
【0037】
また、
図3Aに示すように、第2グリッパ15bは、2個の把持爪を有しており、かかる把持爪で後述するシール部材などの比較的小さな部材を把持する。グリッパ駆動部15cは、上述した制御装置からの駆動指示に基づき、これら第1グリッパ15aおよび第2グリッパ15bを駆動する。
【0038】
なお、ロボットハンド15は、
図2にも示した第1アーム部11に固定して取り付けられている。すなわち、ロボットハンド15は、第1アーム部11とともに両矢印204(
図2参照)の向きに回動可能であり、これにより、把持したモータMやシール部材の向きを両矢印204に沿って自在に変えることができる。
【0039】
次に、コギングトルク測定装置30の構成例について、
図4を用いて説明する。
図4は、コギングトルク測定装置30の斜視模式図である。なお、ここでコギングトルクとは、非励磁状態でシャフトM1(およびそれに固着された回転子)を回転させた際にラジアル方向に生じる磁気吸引力のことを指す。
【0040】
図4に示すように、コギングトルク測定装置30は、モータスライダ部31と、第1位置決め部32と、第2位置決め部33と、回転機構34と、トルク測定部35と、ブレーキ開放部36と、軸ブレ測定部37とを備える。
【0041】
まず、モータMは、ロボット10によって搬入路20からモータスライダ部31へ移載される。モータスライダ部31は、図中のX軸方向に沿ってスライド可能に配設されたモータMの載置台である。
【0042】
このとき、モータMは、負荷側をX軸の負方向へ、反負荷側をX軸の正方向へ、それぞれ向けて載置される。
【0043】
そして、第1位置決め部32が、図中の矢印301の向きにモータMの負荷側ブラケットを押圧して、モータMをモータスライダ部31ごとスライドさせ、回転機構34の有する外部シャフト34aとモータMのシャフトM1とを連結させる。
【0044】
つづいて、第2位置決め部33が、かかる外部シャフト34aとシャフトM1との連結部を図中の矢印302の向きから係止する。これにより、シャフトM1は、モータMの反負荷側において回転機構34によって保持されたこととなる。
【0045】
そして、回転機構34が、外部シャフト34aを両矢印303の向きに回転させることによって、シャフトM1を非励磁状態で回転させる。そして、トルク測定部35が、かかる回転時のコギングトルクを測定する。なお、かかる際、モータMのブレーキは、ブレーキ開放部36によって開放されている。
【0046】
また、かかるコギングトルクの測定とあわせて、軸ブレ測定部37が、センサ37aをモータMの負荷側においてシャフトM1へ接触させ、シャフトM1の軸ブレを測定する。
【0047】
なお、コギングトルク測定装置30によって測定されたコギングトルクおよび軸ブレの測定結果は制御装置へ通知される。制御装置は、かかる測定結果が許容範囲内であるならば、モータMを精度測定装置40へ搬送するようにロボット10に対して指示する。また、測定結果が許容範囲外であるならば、モータMを搬出路100へ搬送するようにロボット10に対して指示する。
【0048】
次に、精度測定装置40の構成例について、
図5Aおよび
図5Bを用いて説明する。
図5Aは、精度測定装置40の正面図であり、
図5Bは、精度測定装置40の側面図である。
【0049】
図5Aおよび
図5Bに示すように、精度測定装置40は、第1保持部41(第1の保持部)と、第2保持部42(第2の保持部)と、第1サーボモータ43(駆動源)と、第2サーボモータ44と、スライド溝45とを備える。
【0050】
第1保持部41は、先端部が略円錐状に形成された部材である。また、第1保持部41は、第1サーボモータ43に連結されており、かかる第1サーボモータ43の回転駆動によって、鉛直方向に略平行な軸AXZまわりに回転する。なお、図示していないが、第1保持部41の先端部には、シャフトM1の反負荷側の端部と嵌合するための凸部が設けられている。
【0051】
第2保持部42もまた同様に、先端部が略円錐状に形成された部材である。また、第2保持部42は、その基部42aにおいて図示略の軸受によって軸支されており、軸AXZまわりに自在に回動可能に配設される。
【0052】
また、第2保持部42は、第2サーボモータ44の駆動により、鉛直方向に略平行に切られたスライド溝45に沿ってスライドすることが可能であり、その先端部の高さ位置を自在に調整することができる。
【0053】
なお、精度測定装置40は、ほかにモータMの幾何公差を測定するセンサ類を備えるが、かかる点については
図7Bおよび
図7Cを用いて後述する。
【0054】
ここで、かかる幾何公差に関連して、モータMの形状について
図6Aから
図6Cを用いて説明しておく。
図6Aは、モータMの側面模式図である。また、
図6Bは、モータMの負荷側を示す模式図であり、
図6Cは、モータMの反負荷側を示す模式図である。
【0055】
図6Aに示すように、モータMは、回転軸であるシャフトM1を含んで略円柱状に形成された加工品である。かかる略円柱状の形状は、略円筒状のハウジングM2の内周に固着された固定子(図示略)へシャフトM1を含む回転子(図示略)を対向配置させ、ハウジングM2の負荷側へブラケットM3を、反負荷側へブラケットM4を取り付けることによって形成される。
【0056】
また、
図6Bに示すように、ブラケットM3は、シャフトM1の軸心を中心とした同心円状の凸部M3aを有する。凸部M3aは、モータMが製品として配設される際の嵌合部となる部位である。なお、シャフトM1は中空構造となっており、負荷側の端部には穴部M1aを有する。かかる穴部M1aは、上述した第2保持部42の先端部に設けられた凸部が挿し込まれる係合部となる。
【0057】
精度測定装置40は、かかる凸部M3aのシャフトM1に対する同心度を測定する。また、精度測定装置40は、あわせてかかる凸部M3aの周縁の直角度を測定する。
【0058】
なお、
図6Bに示すように、ブラケットM3は、シャフトM1の周囲にシール部M3bを有する。かかるシール部M3bについては、シール圧入装置50に関する説明で後述する。
【0059】
また、
図6Cに示すように、ブラケットM4は、シャフトM1の軸心を中心とした同心円状の凹部M4aを有する。凹部M4aもまた、上述の嵌合部となる部位である。精度測定装置40は、かかる凹部M4aのシャフトM1に対する同心度を測定する。また、精度測定装置40は、あわせてかかる凹部M4aのインローの直角度を測定する。
【0060】
なお、
図6Cに示すように、シャフトM1は、反負荷側の端部に穴部M1bを有する。かかる穴部M1bは、上述した第1保持部41の先端部に設けられた凸部が挿し込まれる係合部となる。
【0061】
また、
図6Cに示すように、ブラケットM4は、接着孔M4bを有する。かかる接着孔M4bについては、接着剤塗布装置80に関する説明において後述する。
【0062】
次に、
図7Aから
図7Cを用いて、精度測定装置40における一連の動作を説明する。
図7Aは、精度測定装置40の動作を説明するための説明図である。また、
図7Bおよび
図7Cは、精度測定装置40が備えるセンサ部を示す模式図である。
【0063】
まず、ロボット10によってコギングトルク測定装置30から搬送されるモータMは、あわせて反負荷側を鉛直下向きとされ、シャフトM1の穴部M1b(
図6C参照)へ第1保持部41の先端部を挿し込ませつつ、
図7Aに示すように第1保持部41へ載置される。
【0064】
そして、第2保持部42が、スライドされてその高さ位置を下げることによってシャフトM1の穴部M1a(
図6B参照)へその先端部を挿し込ませ、シャフトM1と係合する。すなわち、モータMは、第1保持部41と第2保持部42とにシャフトM1を両端から挟みつけられることによって保持される。
【0065】
そして、第1サーボモータ43が回転駆動することによって、第1保持部41が軸AXZまわりに回転する(図中の矢印401参照)。このとき、第1保持部41の先端部には、図中の矢印402に示すモータMの荷重にともなう相当の摩擦力が作用しているため、第1保持部41の回転は、あわせてモータM全体を回転させる(図中の矢印403参照)。
【0066】
また、上述したように軸AXZまわりに自在に回転可能である第2保持部42もあわせて従動して回転させる(図中の矢印404参照)。すなわち、精度測定装置40においてモータMは、シャフトM1を鉛直方向と略平行な軸AXZに沿わせて保持されたまま、かかる軸AXZまわりに回転する。
【0067】
これにより、同心度などの幾何公差の測定を精度よく容易に行うことが可能となる。また、シャフトM1を鉛直方向に沿わせて回転させるので、回転方向に対して均一に荷重がかかり、モータMを滑らかに回転させることができる。すなわち、モータMの組立精度を正確に測定することができる。
【0068】
また、シャフトM1は、先端部が略円錐状の第1保持部41および第2保持部42によってその両端を保持されるので軸心が定まりやすい。すなわち、精度よくモータMを回転させることができるので、やはりモータMの組立精度を正確に測定することができる。
【0069】
なお、ここで幾何公差を測定するセンサ部について説明する。
図7Bに示すように、精度測定装置40は、第1保持部41の近傍に、第1センサ部46aと、第2センサ部46bとを備える。
【0070】
第1センサ部46aは、モータMの反負荷側のブラケットM4(
図6C参照)の直角度を測定する。第2センサ部46bは、同じくブラケットM4の同心度を測定する。
【0071】
なお、ブラケットM4の凹部M4a(
図6C参照)のように凹んだ形状を測定する場合、第1センサ部46aおよび第2センサ部46bには、接触式センサを用いるのが好適である。なお、かかる点は、非接触式センサを用いることを妨げるものではない。
【0072】
また、
図7Cに示すように、精度測定装置40は、第3センサ部46cと、第4センサ部46dとを備える。第3センサ部46cは、モータMの負荷側のブラケットM3の直角度を測定する。第4センサ部46dは、同じくブラケットM3の同心度を測定する。
【0073】
なお、ブラケットM3の凸部M3a(
図6B参照)のように凸状の形状を測定する場合、第3センサ部46cおよび第4センサ部46dには、非接触式センサを用いることができる。また、かかる非接触式センサを可動式とすることで、モータMの大きさに影響を受けない測定を行うことができる。なお、かかる点は、接触式センサを用いることを妨げるものではない。
【0074】
これらのセンサ部を用いて、精度測定装置40は、モータMを回転させつつ、負荷側および反負荷側の組立精度を同時に測定することができる。これにより、精度のよい測定を行うだけでなく、あわせてスループットの向上も図ることができる。
【0075】
なお、精度測定装置40によって測定された幾何公差の測定結果は、上述したコギングトルク測定装置30の場合と同様に制御装置へ通知される。制御装置は、かかる測定結果が許容範囲内であるならば、モータMをシール圧入装置50へ搬送するようにロボット10に対して指示する。また、測定結果が許容範囲外であるならば、モータMを搬出路100へ搬送するようにロボット10に対して指示する。
【0076】
次に、シール圧入装置50の構成例について、
図8を用いて説明する。
図8は、シール圧入装置50の斜視模式図である。
【0077】
図8に示すように、シール圧入装置50は、載置台51と、シール圧入部52と、治具ストッカ53とを備える。
【0078】
載置台51は、ロボット10によって精度測定装置40から搬送されるモータMが文字通り載置される台である。なお、かかる載置台51において、モータMは、負荷側を鉛直上向きとして載置される。
【0079】
シール圧入部52は、エアシリンダなどを用いて構成され、後述するシール部材をブラケットM3のシール部M3b(
図6B参照)へ圧入する。治具ストッカ53は、後述するシール圧入治具を吊持する部材であり、その先端部は二股に形成される。
【0080】
ここで、シール圧入の準備動作およびシール部材へのグリス塗布について、
図9Aから
図10Bを用いて説明しておく。
図9Aおよび
図9Bは、シール圧入の準備動作を説明するための説明図である。また、
図10Aは、グリス塗布装置70の斜視模式図であり、
図10Bは、グリス塗布動作を説明するための説明図である。
【0081】
図9Aに示すように、シール圧入前においては、シール圧入治具Jは治具ストッカ53において保持されている。ここで、シール圧入治具Jは、首部がくびれた中空構造に形成されており、首部を治具ストッカ53の先端部の二股に挟まれて吊持されている。
【0082】
そして、まず、ロボット10によって精度測定装置40から搬送されたモータMは、あわせて負荷側を鉛直上向きとされ、さらに
図9Aの矢印501に示すようにシャフトM1をシール圧入治具Jへ挿し込まれる。
【0083】
つづいて、
図9Bに示すように、モータMは、矢印502の向きに移動されることによって、シール圧入治具JをシャフトM1へ装着したままの状態で治具ストッカ53から引き抜いた後、載置台51へ載置される。
【0084】
そして、グリス塗布装置70においてシール部材へのグリス塗布が行われる。
図10Aに示すように、グリス塗布装置70は、環状のシール部材Sの内径に応じてそれぞれ異なる径を有する複数個の塗布部71を備える。すなわち、シール部材Sは、その内径に応じた径の塗布部71へ通される(図中の矢印601参照)。
【0085】
また、塗布部71は、それぞれ所定の間隔で設けられた孔部71aを有しており、かかる孔部71aからはグリスが漏出される。
【0086】
そして、シール部材Sへのグリス塗布は、ロボット10によって行われる。すなわち、
図10Bに示すように、シール部材Sは、上述したロボット10の第2グリッパ15b(
図3A参照)によって把持され、塗布部71へ通される。
【0087】
なお、シール部材Sは、シール切り出し装置(図示略)などから切り出されてあらかじめシールストッカ60(
図1参照)へストックされたものがロボット10によって取り出される。
【0088】
そして、
図10Bに示すように、シール部材Sは、たとえば、鉛直方向に略平行な軸AXZ2まわりに回動されながら塗布部71へ押し付けられ(図中の両矢印602参照)、その内周にグリスを塗布される。このとき、軸AXZ2の直交方向からシール部材Sをやや傾けて回動させてもよい。
【0089】
次に、シール圧入装置50におけるシール圧入動作について、
図10Cおよび
図10Dを用いて説明する。
図10Cおよび
図10Dは、シール圧入動作を説明するための説明図である。
【0090】
図10Cに示すように、グリス塗布装置70においてグリスを塗布されたシール部材Sは、モータMのシャフトM1へ装着されたままのシール圧入治具Jへ、ロボット10によって通される(図中の矢印701参照)。
【0091】
そして、
図10Dに示すように、シール圧入装置50のシール圧入部52が図中の矢印702の向き(すなわち、鉛直下向き)に駆動される。シール圧入部52は、
図10Dに示すように中空構造となっており、シール圧入治具Jを中に通してシール部材Sのみをシール部M3b(
図6B参照)へ圧入する。
【0092】
次に、接着剤塗布装置80の構成例について、
図11Aおよび
図11Bを用いて説明する。
図11Aは、接着剤塗布装置80の側面模式図であり、
図11Bは、接着剤塗布装置80が備えるカメラ部82の一例を示す図である。
【0093】
図11Aに示すように、接着剤塗布装置80は、ノズル部81と、カメラ部82とを備える。
【0094】
ノズル部81は、吐出口を鉛直下向きにして配設され、制御装置の吐出指示に応じて接着剤を所定量吐出する供給デバイスである。カメラ部82は、接着剤の塗布状態を撮像データによって確認するための撮像デバイスである。
【0095】
そして、シール圧入装置50からロボット10によって反負荷側を鉛直上向きとされつつ搬送されたモータMは、つづいてロボット10によって、まず、ノズル部81の下方へ位置付けられる。そして、上述した接着孔M4b(
図6C参照)においてノズル部81から吐出された接着剤の注入を受ける。
【0096】
接着孔M4bは、モータMの反負荷側の軸受のアウターレースとブラケットM4との間隙に対応しており、注入された接着剤はかかる双方の部材を固着させる。
【0097】
そして、ロボット10は、図中の矢印801の向きへモータMを移動させ、モータMをカメラ部82の撮像領域に位置付ける。そして、カメラ部82は、撮像した撮像データを制御装置へ通知する。
【0098】
制御装置は、撮像データを解析し、接着剤の塗布状態が良好であるならば、モータMをバッファステージ90へ搬送するようにロボット10に対して指示する。また、塗布状態が不良であるならば、ふたたび接着剤塗布装置80において接着剤を塗布するようにロボット10に対して指示する。
【0099】
なお、接着剤について、たとえば、蛍光着色剤などが添加されている場合には、
図11Bに示すように、カメラ部82の近傍に紫外線ライト83を設けることとしてもよい。これにより、接着剤の塗布状態の視覚的な確認をより精度を増して行うことが可能となる。なお、接着剤が、紫外線硬化タイプのものである場合に、同様にかかる紫外線ライト83を設けることとしてもよい。
【0100】
次に、バッファステージ90の構成例について、
図12を用いて説明する。
図12は、バッファステージ90の斜視模式図である。
【0101】
図12に示すように、バッファステージ90は、多段に配列された複数個の載荷台91を備える。載荷台91は、モータ受け91aをさらに備える。
【0102】
接着剤塗布装置80において接着剤を塗布されたモータMは、ロボット10によってかかるバッファステージ90へ搬送され、反負荷側を鉛直上向きにモータ受け91aへ載置される。
【0103】
なお、載荷台91へ感圧センサを備え、載荷台91ごとの在荷状態を制御装置へ通知することとしてもよい。
【0104】
そして、モータMは、接着剤の乾燥の規定時間分、バッファステージ90へ置かれた後、ロボット10によって搬出路100(
図1参照)へ移載され、エンコーダ組み込みなどの次工程へ搬送されることとなる。なお、かかる規定時間は、制御装置によって管理される。
【0105】
上述してきたように、実施形態に係るロボットシステムは、ロボットと、精度測定装置とを備える。ロボットは、モータのように回転軸を含んで形成された加工品を搬送する。精度測定装置は、ロボットによって搬送された加工品の回転軸を鉛直方向と略平行に保持し、かかる回転軸を回転させることによって加工品全体を回転させながらかかる加工品の組立精度を測定する。
【0106】
したがって、実施形態に係るロボットシステムによれば、回転軸を含んで形成された加工品の組立精度を正確に測定することができる。
【0107】
ところで、上述した実施形態では、主にモータのブラケットの直角度や同心度などの幾何公差を測定する場合を例に挙げたが、組立精度を示すものであればよく、たとえば、寸法公差を測定することとしてもよい。また、ブラケットに限らず、たとえば、ハウジングを測定対象とできることは言うまでもない。
【0108】
また、上述した実施形態では、加工品がモータである場合を例に挙げて説明したが、モータに限られるものではなく、シャフトのような回転軸を含んで形成された加工品であればよい。
【0109】
また、上述した実施形態では、シール圧入装置および接着剤塗布装置を別体の装置として構成した例を示したが、これに限られるものではなく、たとえば、回転軸の周囲へ所定の部材を組み込む1個の組み込み装置として構成してもよい。
【0110】
同様に、コギングトルク測定装置および精度測定装置を1装置として構成してもよい。なお、かかる場合、シャフトを鉛直方向に沿わせてモータを保持することとしたうえで、コギングトルクの測定にあたってはブレーキを開放してシャフトのみを回転させればよい。
【0111】
また、上述した実施形態では、単腕ロボットを例示したが、これに限られるものではなく、たとえば、双腕ロボットや3つ以上の腕を備える多腕ロボットを用いることとしてもよい。また、上述した実施形態では、6軸ロボットを例示したが、軸数を限定するものではない。
【0112】
また、上述した実施形態において例示した各種装置や各種部材、加工品などの形状は、図示した例に限定されるものではない。したがって、組立精度の測定対象となる部位は、たとえば、加工品の形状に応じたものとすればよい。
【0113】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。