(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、コイルエンドの形状を互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている、請求項1に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、コイルエンドの折曲状態を互いに異ならせることにより形状を互いに異ならせて、互いに周長が略同じになるように構成されている、請求項2に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、前記ステータコアの半径方向の内側に折り曲げられている、請求項1に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、前記ステータコアの半径方向の内側に折り曲げられ、かつ、前記ステータコアの軸方向に沿って前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンド側から前記スロットに挿入可能に構成されている、請求項6に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、前記突出量に加えて、前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルの前記折曲部の形状を異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている、請求項8に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルの前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンドにおける前記折曲部は、略U字形状、略L字形状および略S字形状のうちの少なくとも1つを有する、請求項9に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、前記ステータコアの半径方向の内側に折り曲げられているとともに、一方側のコイルエンドにおいて、前記ステータコアの軸方向に沿って延びるかまたは前記ステータコアの半径方向の外側に折り曲げられている、請求項6に記載の回転電機。
前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルは、前記ステータコアの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、接触せずに互いに交差するように配置されることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている、請求項1に記載の回転電機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図8を参照して、第1実施形態による電動機100の構成について説明する。第1実施形態では、回転電機の一例である電動機100を説明する。
【0018】
図1に示すように、電動機100は、固定部であるステータ1と、回転部であるロータ2(一点鎖線参照)とを備えている。ロータ2は、シャフト21(一点鎖線参照)と、ロータコア22(一点鎖線参照)と、図示しない複数の永久磁石とを含み、シャフト21を中心に回転可能となっている。なお、ステータ1は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0019】
ステータ1は、複数のスロット11を有するステータコア1aと、各スロットに装着された複数のコイル1bとを含んでいる。ステータコア1aは、円筒形状に形成され、内周側で半径方向Bの内側に延びる複数のティース12を有する。ティース12は、ステータコア1aの周方向Cに沿って等角度間隔で設けられており、このティース12の間の部分がスロット11である。
【0020】
電動機100は、3相のコイルが分布巻の同心巻で各スロット11に装着された3相交流の回転電機である。たとえば、電動機100は、8極、48スロットを有し、毎極毎相スロット数qが、q=2(=48/(3×8))の回転電機からなる。複数のコイル1bは、3相交流の各相に対応して、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の3種類のコイルから構成されている。ここで、第1実施形態では、
図4〜
図6に示すように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、互いに異なる形状でかつ互いに周長が略同じになるように構成されている。なお、各コイルの形状の詳細については、後述する。また、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、それぞれ、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」の一例である。
【0021】
同心巻のコイル配置は、一例としては
図7に示すものである。1つのコイル1bが間隔(
図7では4スロット分)を隔てて異なる2つのスロット11を占有し、他の相の隣接する2つのコイル1bが片側ずつ、間のスロット11に配置される。このため、各コイル1bは、
図7の右側からU相コイル30、V相コイル40、W相コイル50の順で2スロットずつ配置される。
【0022】
図8に示すように、それぞれのコイル1bは、平角導線を巻き重ねて積層した扁平な帯状のエッジワイズコイルである。具体的には、平角導線は、断面における幅W1、厚みt1(W1>t1)の略長方形断面を有する。平角導線は、スロット11内で厚み方向に1列に積層されている。これにより、コイル1bは、平角導線が積層されることにより形成された積層面fと、積層方向の端面eとを有する。積層面fの積層幅W2は、平角導線の厚みt1×積層数に略等しく、端面eの幅(コイル1bの厚み)は、平角導線の幅W1に等しい。
図1に示すように、スロット11内に配置されるそれぞれのコイル1bは、ステータコア1a(スロット11)の軸方向Aの両端から軸方向に突出(露出)する部分(コイルエンド)を有する。
【0023】
次に、各相のコイルについて具体的に説明する。以下では、円筒形状のステータコア1aの軸方向Aを「軸方向」、ステータコア1aの半径方向Bを「径方向」、ステータコア1aの周方向Cを「周方向」とする。
【0024】
図1および
図4に示すように、U相コイル30は、それぞれ異なるスロット11に挿入される一対のコイル辺部31と、コイルエンドのステータコア1aの軸方向の一方側(矢印A1方向側)において、一対のコイル辺部31から連続した一対の折曲部32と、一対の折曲部32を連結する連結部33とを有している。なお、コイル辺部31は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部33は、「第1連結部」の一例である。
【0025】
一対の折曲部32は、同一形状を有する。具体的には、折曲部32は、スロット11から軸方向に突出したコイル辺部31がコイルエンドにおいて径方向外側に略U字形状に折り返される(
図1参照)ことにより形成されている。
図7に示すように、折曲部32のコア端面1cから突出高さ(最大高さ)はH1である。また、折曲部32は、折曲部32の先端面32a(
図7参照)がステータコア1aの軸方向端面(以下では、コア端面1cという)の近傍の距離D1(D1<H1)の位置で、ステータコア1aと対向するように形成されている。
【0026】
図1および
図4に示すように、連結部33は、周方向に沿って延びるように形成され、コア端面1c近傍の折曲部32の先端部同士を連結している。また、連結部33は、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行になるように配置されている。また、U相コイル30のコイルエンドは、径方向から見て、一対の折曲部32と連結部33とからなる軸方向外側が開放された凹状部34を有する形状に形成されている。
図1および
図7に示すように、凹状部34の内部には、他のコイル(W相コイル50)のコイルエンドの一部が配置されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、
図4に示すように、U相コイル30は、ステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドにおいて、径方向内側に略L字形状に折り曲げられた一対の折曲部35と、一対の折曲部35同士を連結する連結部36とを含む。また、U相コイル30は、平角導線の積層方向に沿ってステータコア1aの径方向にV相コイル40およびW相コイル50と異なる形状になるように折り曲げられている。また、U相コイル30は、ステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドにおいて、径方向内側に折り曲げられ、かつ、ステータコア1aの軸方向に沿ってステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンド側からスロット11に挿入可能に構成されている。また、折曲部35のステータコア1aの径方向内側への突出量L1は、後述するV相コイル40の折曲部43の径方向内側への突出量L2(
図5参照)、および、W相コイル50の折曲部54の径方向内側への突出量L3(
図6参照)と比べて、最も小さい。なお、突出量とは、折曲部35の径方向の外側の端部から内側の端部までの長さである。
【0028】
また、連結部36は、周方向に沿って延びるように形成されている。また、第1実施形態では、連結部36の周方向の長さL4は、後述するV相コイル40の連結部44の周方向の長さL5(
図5参照)およびW相コイル50の連結部55の周方向の長さL6(
図6参照)に比べて、最も大きい。また、連結部36は、エッジワイズコイルの端面eが軸方向を向き、ロータ2の軸方向端面と対向するように配置されている。なお、連結部36は、「第2連結部」の一例である。
【0029】
図1および
図5に示すように、V相コイル40は、コイルエンドの一方側(矢印A1方向側)において、スロット11から軸方向に突出した一対のコイル辺部41の先端部同士を直接連結する連結部42を含む。連結部42は、U相コイル30の折曲部32、および、後述するW相コイル50の折曲部52を跨いで、周方向に沿って延びるように形成されている。連結部42は、エッジワイズコイルの積層面fが軸方向を向き、ロータ2の軸方向端面と対向するように配置されている。連結部42のコア端面1cからの突出高さは、H2(
図7参照)である。なお、コイル辺部41は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部42は、「第1連結部」の一例である。
【0030】
また、第1実施形態では、V相コイル40は、コイルエンドの他方側(矢印A2方向側)において、略S字形状の一対の折曲部43と、一対の折曲部43の先端部を連結する連結部44とを含む。また、V相コイル40は、平角導線の積層方向に沿ってステータコア1aの径方向にU相コイル30およびW相コイル50と異なる形状になるように折り曲げられている。また、V相コイル40は、ステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドにおいて、径方向内側に折り曲げられ、かつ、ステータコア1aの軸方向に沿ってステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンド側からスロット11に挿入可能に構成されている。また、折曲部43のステータコア1aの径方向内側への突出量L2は、U相コイル30の折曲部35の径方向内側への突出量L1(
図4参照)、および、後述するW相コイル50の折曲部54の径方向内側への突出量L3(
図6参照)に比べて、最も大きい。また、折曲部43は、U相コイル30の連結部36の軸方向内側を連結部36と接触しないように通るように形成されているとともに、W相コイル50の折曲部54の軸方向内側を連結部55(
図6参照)と接触しないように通るように形成されている。なお、連結部44は、「第2連結部」の一例である。
【0031】
また、第1実施形態では、連結部44の周方向の長さL5は、U相コイル30の連結部36の周方向の長さL4(
図4参照)および後述するW相コイル50の連結部55の周方向の長さL6(
図6参照)に比べて、最も小さい。また、連結部44は、エッジワイズコイルの積層面fが軸方向を向き、ロータ2の軸方向端面と対向するように配置されている。
【0032】
図1および
図6に示すように、W相コイル50は、コイルエンドの一方側(矢印A1方向側)において、一対のコイル辺部51から連続し、径方向外側に略S字形状に折り曲げられた一対の折曲部52と、一対の折曲部52を連結する連結部53とを有している。第1実施形態では、折曲部52は、折曲部52の先端面がコア端面1cとは反対側(軸方向外側)を向いて配置されている。折曲部52は、U相コイル30の凹状部34内に配置されている。連結部53は、周方向に沿って延びるように形成され、U相コイル30の連結部33と軸方向に重なるように配置されている。連結部53は、エッジワイズコイルの積層面fが軸方向を向き、ロータ2の軸方向端面と対向するように配置されている。連結部53のコア端面1cからの突出高さは、H2(
図7参照)である。したがって、一方側のコイルエンドにおいて、W相コイル50の連結部53とV相コイル40の連結部42とが、径方向に沿って並ぶように配置(
図2参照)されている。なお、コイル辺部51は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部53は、「第1連結部」の一例である。
【0033】
また、第1実施形態では、W相コイル50は、コイルエンドの他方側(矢印A2方向側)において、径方向内側に略S字形状に折り曲げられた一対の折曲部54と、一対の折曲部54を連結する連結部55と含む。また、W相コイル50は、平角導線の積層方向に沿ってステータコア1aの径方向にU相コイル30およびV相コイル40と異なる形状になるように折り曲げられている。また、W相コイル50は、ステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドにおいて、径方向内側に折り曲げられ、かつ、ステータコア1aの軸方向に沿ってステータコア1aの軸方向の他方側(矢印A2方向側)のコイルエンド側からスロット11に挿入可能に構成されている。また、折曲部54のステータコア1aの径方向内側への突出量L3は、U相コイル30の折曲部35(
図4参照)よりも大きく、V相コイル40の折曲部43(
図5参照)よりも小さい。すなわち、
図3に示すように、軸方向から見て、U相コイル30の連結部36と、W相コイル50の連結部55と、V相コイル40の連結部44とは、径方向外側から内側に向かってこの順で配置されている。なお、連結部55は、「第2連結部」の一例である。
【0034】
また、折曲部54は、U相コイル30の連結部36の軸方向内側を連結部36と接触しないように通るように形成されている。そして、第1実施形態では、
図1〜
図3に示すように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、接触せずに互いに交差するように(すなわち互いに所定の間隔を隔てた状態で)配置されている。
【0035】
また、連結部55は、周方向に沿って延びるように形成されている。また、第1実施形態では、連結部55の周方向の長さL6は、U相コイル30の連結部36の周方向の長さL4(
図4参照)よりも小さく、V相コイル40の連結部44の周方向の長さL5(
図5参照)よりも大きい。また、連結部55は、エッジワイズコイルの積層面fが軸方向を向き、ロータ2の軸方向端面と対向するように配置されている。
【0036】
このように、第1実施形態では、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、ステータコア1aの径方向内側に折り曲げられているとともに、一方側のコイルエンドにおいて、V相コイル40のようにステータコア1aの軸方向に沿って延びるか、または、U相コイル30およびW相コイル50のようにステータコアの半径方向の外側に折り曲げられている。
【0037】
以上のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を構成する(U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のコイルエンドの形状を互いに異ならせる)ことにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、互いに異なる形状でかつ互いに周長が略同じになるように構成されている。具体的には、まず、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンド(矢印A2方向側)において、径方向内側に折り曲げられた折曲部35、43および54の径方向内側への突出量L1、L2およびL3を互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている。また、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、突出量L1、L2およびL3に加えて、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の折曲部の形状(U相コイル30の折曲部35はL字形状、V相コイル40の折曲部43はS字形状、W相コイル50の折曲部54はS字形状)を異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている。さらに、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50は、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のそれぞれの連結部36、連結部44および連結部55のステータコア1aの周方向の長さ(L4、L5およびL6)を互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている。
【0038】
第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、互いに異なる形状でかつ互いに周長が略同じになるように構成する。これにより、同心巻でU相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50をスロット11に装着する際に各コイルのコイルエンドが干渉しないように互いの形状を異ならせながら、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の電気的な抵抗を互いに略同じにすることができるので、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50が互いに干渉するのを抑制しながら、電動機100が回転した際の脈動を抑制することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、コイルエンドの形状を互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成する。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のコイルエンドの形状が互いに同じ場合と異なり、容易に、コイルエンドの長さを調整することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、コイルエンドの折曲状態を互いに異ならせることにより形状を互いに異ならせて、互いに周長が略同じになるように構成する。これにより、コイルエンドの折曲状態を互いに異ならせることにより、容易にコイルエンドの長さが調整されるので、より容易に互いの周長を略同じにすることができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のうちの少なくとも2つ(U相コイル30およびW相コイル50)を、ステータコア1aの軸方向の一方側のコイルエンドにおいて、ステータコア1aの半径方向の外側へ折り曲げて、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のうちの少なくとも2つ(U相コイル30およびW相コイル50)の連結部33および連結部53同士を軸方向に沿って重ねる。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の連結部33、連結部42および連結部53を重ねずに径方向にずらして配置する場合と異なり、電動機100の径方向の長さが大きくなるのを抑制することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、コイルを、平角導線を巻き重ねて積層した帯状のエッジワイズコイルから構成し、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、少なくともステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、平角導線の積層方向に沿ってステータコア1aの半径方向(径方向)に互いに異なる形状になるように折り曲げる。これにより、エッジワイズコイルからなるU相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、容易に、径方向に折り曲げることができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、ステータコア1aの径方向内側に折り曲げる。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50がコイルエンドの両端において径方向外側に折り曲げられている場合と異なり、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50をステータコア1aの軸方向に沿ってステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンド側からスロット11に挿入することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、ステータコア1aの半径方向の内側に折り曲げ、かつ、ステータコア1aの軸方向に沿ってステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンド側からスロット11に挿入可能に構成する。これにより、コイルを径方向内側から外側に向かって移動させてスロット11に挿入する場合と異なり、電動機100の組み立て作業を容易に行うことができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、少なくともステータコア1aの半径方向の内側に折り曲げられた折曲部35、折曲部43および折曲部54のステータコア1aの半径方向の内側への突出量を互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成する。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の軸方向の長さを大きくすることなく、容易に、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の周長を互いに略同じにすることができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、突出量に加えて、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の折曲部35、折曲部43および折曲部54の形状を異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成する。これにより、たとえば、径方向の大きさが比較的小さい電動機のように、径方向内側の突出量のみによってはU相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の周長を互いに略同じにすることができない場合でも、突出量に加えて、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の折曲部35、折曲部43および折曲部54の形状を異ならせることにより、容易に、周長を互いに略同じにすることができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおける折曲部35、折曲部43および折曲部54を、略U字形状、略L字形状および略S字形状のうちの少なくとも1つを有するように構成する。これにより、容易に、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、径方向内側に折り曲げた形状にすることができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30の折曲部35を、略L字形状を有するとともに、ステータコア1aの半径方向の内側への突出量を最も小さくし、V相コイル40の折曲部43を、略S字形状を有するとともに、ステータコア1aの半径方向の内側への突出量を最も大きくし、W相コイル50の折曲部54を、略S字形状を有するとともに、ステータコア1aの半径方向の内側への突出量を、U相コイル30の折曲部35よりも大きく、V相コイル40の折曲部43よりも小さくする。これにより、容易に、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の折曲部35、折曲部43および折曲部54の形状を異ならせることができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のそれぞれの連結部36、連結部44および連結部55のステータコア1aの周方向の長さを互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成する。これにより、径方向内側の突出量および折曲部の形状を異ならせても、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の周長を互いに略同じにすることができない場合でも、径方向内側の突出量および折曲部の形状に加えて、さらに、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50のそれぞれの連結部36、連結部44および連結部55のステータコア1aの周方向の長さを互いに異ならせることにより、容易に、周長を互いに略同じにすることができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の連結部36、連結部44および連結部55を、幅広の積層面fと、積層面fと直交する幅狭の端面とを有するように構成し、積層面fまたは端面eがステータコア1aの軸方向に面するように構成する。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の軸方向の端部を平坦面(積層面fまたは端面e)にすることができるので、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50の軸方向の端部に衝突することに起因して、衝突した物が破損するのを抑制することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、ステータコア1aの径方向内側に折り曲げるとともに、一方側のコイルエンドにおいて、ステータコア1aの軸方向に沿って延びるかまたはステータコア1aの半径方向の外側に折り曲げる。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の両方側のコイルエンドにおいて、径方向内側に折り曲げる場合と異なり、ロータ2を容易に、ステータコア1aの内側に挿入することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50を、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンドにおいて、接触せずに互いに交差するように配置する。これにより、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50が互いに接触することに起因して、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50同士が短絡するのを抑制することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、
図9〜
図14を参照して、第2実施形態による電動機200の構成について説明する。第2実施形態では、V相コイル40の連結部42とW相コイル50の連結部53とが径方向に沿って並ぶように配置されていた上記第1実施形態とは異なり、U相コイル130の連結部33、V相コイル140の連結部144およびW相コイル150の連結部53が軸方向に沿って並ぶように配置されている例について説明する。なお、電動機200は、「回転電機」の一例である。また、第2実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0054】
図9に示すように、第2実施形態によるステータ101は、複数のコイル101b(U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150)を含む。なお、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150は、それぞれ、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」の一例である。また、ステータ101は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0055】
図9および
図12に示すように、第2実施形態のU相コイル130は、一方側(矢印A1方向側)のコイルエンドにおいて、上記第1実施形態のU相コイル30と同一の形状を有する。また、U相コイル130は、他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドにおいて、径方向内側に略S字形状に折り曲げられた一対の折曲部131と、一対の折曲部131同士を連結する連結部132とを含む。折曲部131の先端面131aは、軸方向外側を向くように形成されており、折曲部131の先端面131aのコア端面1cからの突出高さはH11である。また、折曲部131のステータコア1aの径方向内側への突出量L7は、後述するV相コイル140の折曲部145(折曲部146)の径方向内側への突出量L8(
図13参照)よりも大きく、W相コイル150の折曲部151の径方向内側への突出量L9(
図14参照)よりも小さい。なお、連結部132は、「第2連結部」の一例である。
【0056】
連結部132は、周方向に沿って延びるように形成され、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。また、連結部132は、ステータコア1aの径方向内側でステータコア1aとは軸方向に重ならないように配置されている。また、第2実施形態では、連結部132の周方向の長さL10は、後述するV相コイル140の連結部145の周方向の長さL11(
図13参照)よりも大きく、W相コイル150の連結部151の周方向の長さL12(
図14参照)よりも小さい。U相コイル130の他方側のコイルエンドでは、一対の折曲部131と連結部132とにより、軸方向内側が開放された凹状部133が形成されている。
【0057】
図9および
図13に示すように、V相コイル140は、軸方向に延びてそれぞれ異なるスロット11に挿入される一対のコイル辺部141を有する。また、V相コイル140は、コイルエンドにおいて、一方のコイル辺部141から連続する折曲部142と、他方のコイル辺部141から連続する折曲部143と、折曲部142および折曲部143を連結する連結部144とを有する。なお、コイル辺部141は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部144は、「第1連結部」の一例である。
【0058】
折曲部142は、径方向外側で、かつ、折曲部142の先端面142aがU相コイル130の連結部33側(コア端面1c側)に向けて折り返されており、U相コイル130の折曲部32と同様の略U字形状を有する。折曲部142の突出高さはH13は、折曲部32の突出高さはH12(
図12参照)よりも大きい。折曲部142の先端面142aは、U相コイル130の一対の折曲部32と連結部33とによって形成された凹状部34の内部で、かつ、連結部33の近傍の位置に配置されている。
【0059】
折曲部143は、スロット11から軸方向に突出したコイル辺部141がコイルエンドにおいて径方向外側で、かつ、折曲部143の先端面143aがU相コイル130の連結部33とは反対側(軸方向外側)に向けて折り曲げられており、略S字形状に形成されている。具体的には、折曲部143は、平角導線の積層方向(径方向)に沿って略90度で外折りされた後、略90度で内折りされることにより、略S字形状に形成されている。折曲部143の先端面143aは、コア端面1cとは反対側(軸方向外側)を向いている。折曲部143の先端面143aの突出高さは、折曲部142の突出高さH13と一致する。また、折曲部143は、折曲部142とは別のU相コイル130(隣接するU相コイル130)の凹状部34の内部に配置されている。
【0060】
連結部144は、コア端面1c側(連結部33側)を向いた折曲部142の先端部と、コア端面1cとは反対側を向いた折曲部143の先端部とを連結するように形成されている。また、第2実施形態では、連結部144は、径方向から見て、軸方向外側が開放された凹状の第1部分144aと、U相コイル130の折曲部32を跨ぐ凸状の第2部分144bとを含む段差状形状を有する。凹状の第1部分144aは、折曲部142の先端部と連結することにより、U相コイル130の凹状部34内で連結部33の近傍に配置されている。凸状の第2部分144bは、折曲部143の先端部と連結することによりU相コイル130の折曲部32を軸方向外側から跨ぐように形成されている。第1部分144aおよび第2部分144bは、中央の段差部分を除き、エッジワイズコイルの積層面fがコア端面1cと対向し、コア端面1cと略平行で、かつ、周方向に沿って延びるように形成されている。以上により、
図10に示すように、連結部144は、U相コイル130の連結部33と軸方向に重なるように配置されている。
【0061】
図9および
図13に示すように、V相コイル140は、他方側のコイルエンドでは、径方向内側に略S字形状に折り曲げられた折曲部145と、径方向内側に略U字形状に折り返された折曲部146と、折曲部145の先端部および折曲部146の先端部を連結する連結部147とを含む。ここで、一方側のコイルエンドにおける略S字形状の折曲部143の反対側(他方側)には、略U字形状の折曲部146が形成されている。また、一方側のコイルエンドにおける略U字形状の折曲部142の反対側(他方側)には、略S字形状の折曲部145が形成されている。また、第2実施形態では、折曲部145(折曲部146)のステータコア1aの径方向内側への突出量L8は、U相コイル130の折曲部131の径方向内側への突出量L7(
図12参照)、および、後述するW相コイル150の折曲部151の径方向内側への突出量L9(
図14参照)に比べて、最も小さい。なお、連結部147は、「第2連結部」の一例である。
【0062】
連結部147は、径方向から見て、軸方向内側が開放された凹状の第1部分147aと、軸方向外側が開放された凸状の第2部分147bとを含む段差状形状を有する。第1部分147aおよび第2部分147bは、周方向に沿って延びるように形成され、中央の段差部分を除き、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。また、第2実施形態では、V相コイル140の連結部147の周方向の長さL11は、U相コイル130の連結部132の周方向の長さL10(
図12参照)、および、後述するW相コイル150の連結部152の周方向の長さL12(
図14参照)に比べて、最も大きい。また、連結部147は、ステータコア1aの径方向内側でステータコア1aとは軸方向に重ならないように配置されている。また、凹状の第1部分147a内にU相コイル130の折曲部131が配置されている。
【0063】
図9および
図14に示すように、W相コイル150は、一方側(矢印A1方向側)のコイルエンドにおいて、上記第1実施形態のW相コイル50と同一の形状を有する。また、W相コイル150は、他方側(矢印A2方向側)のコイルエンドでは、径方向内側に略L字形状に折り曲げられた一対の折曲部151と、一対の折曲部151の先端部を連結する連結部152とを含む。なお、連結部152は、「第2連結部」の一例である。
【0064】
一対の折曲部151は、径方向内側に向けて直線状に延びるとともに、V相コイル140の凹状の第1部分147aの内部(軸方向内側)に収まるように配置されている。さらに、折曲部151は、U相コイル130の凹状部133の内部(軸方向内側)に収まるように配置されている。また、折曲部151は、U相コイル130の連結部132の軸方向内側を通り、V相コイル140の連結部147およびU相コイル130の連結部132よりも径方向内側まで延びる。また、第2実施形態では、折曲部151のステータコア1aの径方向内側への突出量L9は、U相コイル130の折曲部131の径方向内側への突出量L7(
図12参照)、および、V相コイル140の折曲部145(折曲部146)の径方向内側への突出量L8(
図13参照)に比べて、最も大きい。
【0065】
連結部152は、周方向に沿って延びるように形成され、V相コイル140の連結部147およびU相コイル130の連結部132よりも径方向内側の位置に配置されている。すなわち、
図11に示すように、軸方向から見て、V相コイル140の連結部147と、U相コイル130の連結部132と、W相コイル150の連結部152とは、径方向外側から内側に向かってこの順で配置されている。また、
図14に示すように、連結部152は、エッジワイズコイルの端面eが軸方向を向いてロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。また、連結部152は、ステータコア1aの径方向内側でステータコア1aとは軸方向に重ならないように配置されている。また、第2実施形態では、W相コイル150の連結部152の周方向の長さL12は、U相コイル130の連結部132の周方向の長さL10(
図12参照)、および、V相コイル140の連結部147の周方向の長さL11(
図13参照)に比べて、最も小さい。
【0066】
第2実施形態のステータ101の他端側のコイルエンドにおける最大の突出高さは、U相コイル130の折曲部131の先端面131aの突出高さH11である。したがって、各相のコイルエンドが、突出高さH11のU相コイル130の凹状部133よりも軸方向内側に納まるように配置されている。
【0067】
以上のように、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150を構成することにより、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150は、互いに異なる形状でかつ互いに周長が略同じになるように構成されている。具体的には、U相コイル130、V相コイル140およびW相コイル150は、ステータコア1aの軸方向の他方側のコイルエンド(矢印A2方向側)において、径方向内側に折り曲げられた折曲部131、145(146)および151の径方向内側への突出量L7、L8およびL9を互いに異ならせ、折曲部の形状(U相コイル130の折曲部131はS字形状、V相コイル140の折曲部145はS字形状、折曲部146はU字形状、W相コイル150の折曲部151はL字形状)を互いに異ならせ、さらに、連結部132、連結部147および連結部152のステータコア1aの周方向の長さ(L10、L11およびL12)を互いに異ならせることにより、互いに周長が略同じになるように構成されている。
【0068】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
第2実施形態では、上記のように、V相コイル140の連結部147を、凹状の第1部分147aと凸状の第2部分147bとを含むように構成し、V相コイル140の凸状の第2部分147bを、U相コイル130の折曲部131を跨ぐように配置する。これにより、U相コイル130とV相コイル140とが衝突することなく、U相コイル130の折曲部131を径方向内側に突出させることができる。
【0070】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0071】
(第3実施形態)
次に、
図15〜
図19を参照して、第3実施形態による電動機300の構成について説明する。第3実施形態では、両端のコイルエンドが非対称形状となる(一方が径方向外側に折り曲げられているとともに他方が径方向内側に折り曲げられている)ように構成した上記第1および第2実施形態とは異なり、両端のコイルエンドが略同一形状(略対称形状)となるように形成した例について説明する。なお、電動機300は、「回転電機」の一例である。また、第3実施形態において上記第1および第2実施形態と同様の構成については、同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0072】
図15に示すように、第3実施形態によるステータ201は、複数のコイル201b(U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250)を含む。なお、U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250は、それぞれ、「第1コイル」、「第2コイル」および「第3コイル」の一例である。また、ステータ201は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0073】
図15および
図17に示すように、U相コイル230は、コイルエンドの一方側(矢印A1方向側)および他方側(矢印A2方向側)において、一対のコイル辺部231に接続される略L字形状の一対の折曲部232と、一対の折曲部232の先端部を連結する連結部233とを含む。連結部232は、エッジワイズコイルの端面eがコア端面1cと対向するように形成されている。また、
図15および
図16に示すように、連結部233は、後述するV相コイル240の連結部244およびW相コイル250の連結部253よりも径方向外側に配置されている。なお、コイル辺部231は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部233は、「第1連結部」の一例である。
【0074】
図15および
図18に示すように、V相コイル240は、コイルエンドの一方側(矢印A1方向側)および他方側(矢印A2方向側)において、コイル辺部241の一方に接続される径方向外側に略S字形状に折り曲げられた折曲部242と、径方向外側に略U字形状に折り返された折曲部243と、折曲部242の先端部および折曲部243の先端部を連結する連結部244とを含む。また、連結部244は、径方向から見て、軸方向外側が開放された凹状の第1部分245と、軸方向内側が開放された凸状の第2部分246とを含む段差状形状を有する。第1部分245および第2部分246は、周方向に沿って延びるように形成され、中央の段差部分を除き、エッジワイズコイルの積層面fがロータ2の軸方向端面と対向し、かつ、略平行になるように形成されている。また、V相コイル240の凸状の第2部分246は、U相コイル230の折曲部232を跨ぐように配置されている。また、後述するW相コイル250の折曲部252は、V相コイル240の凹状の第1部分245を跨ぐように配置されている。なお、コイル辺部241は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部244は、「第1連結部」の一例である。
【0075】
図15および
図19に示すように、W相コイル250は、コイルエンドの一方側(矢印A1方向側)および他方側(矢印A2方向側)において、一対のコイル辺部251から連続し、径方向外側に略S字形状に折り曲げられた一対の折曲部252と、一対の折曲部252を連結する連結部253とを有している。また、第3実施形態では、
図15および
図16に示すように、W相コイル250の連結部253と、V相コイル240の連結部244とは、互いに所定の間隔を隔てて、軸方向に沿って重なるように配置されている。なお、コイル辺部251は、「軸方向部分」の一例である。また、連結部253は、「第1連結部」の一例である。
【0076】
以上のように、U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250を構成することにより、U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250は、互いに異なる形状でかつ互いに周長が略同じになるように構成されている。具体的には、U相コイル230、V相コイル240およびW相コイル250は、U相コイル230の折曲部232のステータコア1aの径方向外側への突出量L13と、V相コイル240の凹状の第1部分245と凸状の第2部分246とを接続する接続部分247の長さL14と、W相コイル50の折曲部252のステータコア1aの軸方向の突出量L15(折曲部252の直線状の部分の長さL15aおよびL15b)とを調整することにより、互いに周長が略同じになるように構成されている。
【0077】
第3実施形態の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0078】
(第4実施形態)
次に、
図20および
図21を参照して、第4実施形態による電動機400の構成について説明する。第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態の各相のコイルに低高速用コイル部と低速用コイル部とを設けた例ついて説明する。なお、電動機400は、「回転電機」の一例である。
【0079】
第4実施形態では、各相のコイル形状は任意であり、上記第1〜第3実施形態で示したコイル形状のいずれにも適用することが可能である。そのため、ここでは、上記第1実施形態のコイル(U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50)に第4実施形態の構成を適用した例について説明する。
【0080】
図20に示すように、第4実施形態によるステータ401では、U相コイル30、V相コイル40およびW相コイル50から構成される各コイル401bが、それぞれ、低高速用コイル部460と低速用コイル部470とを含んでいる。具体的には、各コイル401bでは、積層された平角導線のうち、一部が低高速用コイル部460を構成し、他の一部が低速用コイル部470を構成している。これらの低高速用コイル部460と低速用コイル部470とは、絶縁部材480によって互いに分離されている。これにより、各コイル401bは、低高速用コイル部460と低速用コイル部470とが共通のスロット11内に配置されるように構成されている。なお、ステータ401は、「回転電機用ステータ」の一例である。
【0081】
各コイル401bの低高速用コイル部460は、電動機400の低速駆動時および高速駆動時の両方で使用され、低速用コイル部470は、電動機400の低速駆動時にのみ使用されるように構成されている。これらの低高速用コイル部460および低速用コイル部470は、
図21に示すように、巻線切替部CSによって接続状態を切替可能である。
【0082】
具体的には、電動機400は、電源部BUおよび巻線切替部CSとそれぞれ接続される。電動機400は、電源部BUから供給される3相の交流電力に対応して駆動するように構成されている。
【0083】
各コイル401bの低高速用コイル部460および低速用コイル部470は、電気的に直列に接続されている。低高速用コイル部460の一方側の端子TU1、TV1およびTW1は、電源部BUに接続されている。また、低高速用コイル部460の他方側で、かつ、低速用コイル部470の一方側の端子TU2、TV2およびTW2は、巻線切替部CSに接続されている。また、低速用コイル部470の他方側の端子TU3、TV3およびTW3は、巻線切替部CSに接続されている。
【0084】
巻線切替部CSは、電動機400の端子TU2、TV2およびTW2を短絡させるための高速用スイッチSW1と、電動機400の端子TU3、TV3およびTW3を短絡させるための低速用スイッチSW2とを含む。
【0085】
巻線切替部CSは、低速駆動時には、高速用スイッチSW1をオフ状態にするとともに、低速用スイッチSW2をオン状態にする。この結果、端子TU3、TV3およびTW3が短絡され、電動機400の各相のコイル401bにおいて低高速用コイル部460および低速用コイル部470の両方に電圧が印加される。これにより、各相のコイル401bのインピーダンスが大きくなるので、コイル401bに大きな電圧を印加することができ、低速駆動時の電動機400のトルクを大きくすることが可能である。
【0086】
また、巻線切替部CSは、高速駆動時には、高速用スイッチSW1をオン状態にするとともに、低速用スイッチSW2をオフ状態にする。この結果、端子TU2、TV2およびTW2が短絡され、電動機400の各相のコイル401bにおいて低高速用コイル部460のみに電圧が印加される。この結果、低速駆動時に比べて、各相のコイル401bのインピーダンスが小さくなるので、電動機400を高速駆動することが可能である。
【0087】
第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0088】
第4実施形態では、上記のように、各相のコイル401bに、低速時にのみ使用される低速用コイル部470と、高速時および低速時の両方に使用される低高速用コイル部460とを設け、低速用コイル部470と低高速用コイル部460とを共通のスロット11内に配置する。これにより、電動機400が回転した際の脈動を抑制することが可能で、かつ、駆動速度に応じて巻線切り替え可能な電動機400を得ることができる。
【0089】
(第5実施形態)
次に、
図22を参照して、第5実施形態による自動車500の構成について説明する。なお、自動車500は、「車両」の一例である。
【0090】
図22に示すように、自動車500は、上記第1〜第4実施形態の電動機100、200、300および400のうちのいずれか1つが備えられている。なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
【0091】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0092】
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、電動機および電動機用ステータを示したが、電動機以外の発電機などの回転電機および回転電機用ステータであってもよい。
【0093】
また、上記第1〜第5実施形態では、平角導線を巻き重ねて積層したエッジワイズコイルを用いた例を示したが、丸線を束ねたコイルを用いてもよい。
【0094】
また、上記第1〜第5実施形態では、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを、コイルエンドの一方側において外側に折り曲げるとともに、他方側において内側(または外側)に折り曲げる例を示したが、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを、コイルエンドの両方側において内側に折り曲げてもよい。
【0095】
また、上記第1〜第5実施形態では、U相、V相およびW相の各相コイルの連結部を、ステータコアの周方向に沿って延びるように形成した例を示したが、連結部を、周方向に沿って円弧状に延びるように形成してもよいし、周方向に沿って直線状に延びるように形成してもよい。また、連結部を、周方向に沿って円弧状以外の曲線状に延びるように形成してもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態では、
図4に示す形状のコイルをU相コイル(第1コイル)とし、
図5に示す形状のコイルをV相コイル(第2コイル)とし、
図6に示す形状のコイルをW相コイル(第3コイル)とする例を示したが、
図4に示す形状のコイルをV相コイル(W相コイル)とし、
図5に示す形状のコイルをW相コイル(U相コイル)とし、
図6に示す形状のコイルをU相コイル(V相コイル)としてもよい。すなわち、同じ形状のコイルが同じ相であればよい。また、第2実施形態のコイル(
図12、
図13、
図14)および第3実施形態のコイル(
図17、
図18、
図19)も同様に、同じ形状のコイルが同じ相であればよい。
【0097】
また、上記第5実施形態では、自動車に上記第1〜第4実施形態の電動機が備えられている例を示したが、建設機械用等の車両や、農業用の車両に上記第1〜第4実施形態の電動機を備えてもよい。また、車両以外にも、たとえば、船舶や航空機等に上記第1〜第4実施形態の電動機を備えてもよい。