【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したいずれの従来設備しても、室間扉4の開扉時におけるエアカーテン形成用低露点空気SAの追加供給や低露点室1a,1bに供給する低露点空気SAの風量増加で、除湿機5における処理空気の風量が増加して除湿機5の除湿負荷が急に大きくなることに対し、風量増加した処理空気を増加前と同じ低露点温度に除湿処理し得る状態まで除湿機5が能力的に立ち上がるのに相応の時間が必要で、いわゆる立ち上がり遅れが生じる。
【0007】
そして、この立ち上がり遅れの為、除湿機5から給気路6を通じて低露点室1,1a,1bに供給する低露点空気SAの露点温度が室間扉4の開扉後において一時的にせよ上昇し、これが原因で、低露点室1,1a,1bの室内露点温度が上昇して低露点室1,1a,1bの室内低露点環境が悪化してしまう虞がある。
【0008】
特に、前述した特許文献2の設備において複数の低露点室1a,1b夫々の室間扉4がともに開かれたときには、除湿機5における処理空気の風量増加がさらに大きなものになって、除湿機5の立ち上がり遅れが一層助長されることで、上記の如き室内低露点環境の悪化が一層生じ易くなる。
【0009】
また、このように複数の低露点室1a,1b夫々の室間扉4がともに開かれたときには、処理空気の増加後の必要風量が除湿機5における適正処理可能な風量の上限より大きくなり、そのことで、各低露点室1a,1bに供給する低露点空気SAの露点温度が複数の室間扉4の開扉後において継続的に高くなったり、各低露点室1a,1bに供給する低露点空気SAの供給風量そのものが複数の室間扉4の開扉後において継続的に不足する状態になり、これが原因で、各低露点室1a,1bの室内低露点環境が悪化してしまう虞もある。
【0010】
この実情に鑑み本発明の主たる課題は、合理的な運転形態を採ることで、上記の如き問題を効果的に解消して、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に一層確実かつ安定的に保持できるようにする点にある。
【0011】
これに対し、第1の参考構成としては、
低露点室を補助室に対して開放する室間開口部に、その室間開口部を開閉する室間扉を設け、
除湿機により生成される低露点空気を前記低露点室に対する第1給気口と、前記補助室に対する第2給気口とに送る給気路を設け、
前記第1給気口からの前記低露点室への低露点空気の供給に伴い前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室に流出させる室間通気路を設け、
前記第2給気口及び前記室間通気路からの前記補助室への低露点空気の供給に伴い前記補助室の室内空気を外部へ排出する排気路又はその室内空気を前記除湿機に戻す還気路を設けてある低露点空調設備の運転方法であって、
前記室間扉の開扉時には、前記第1給気口から前記低露点室に供給する低露点空気の風量である第1給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量よりも増加させるとともに、
この第1給気風量の増加に背反させて、前記第2給気口から前記補助室に供給する低露点空気の風量である第2給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる
ことが考えられる。
【0012】
この構成では、基本的には先述の従来設備と同様、室間扉の開扉時には、第1給気口から低露点室に供給する低露点空気の風量(第1給気風量)を増加させることで、室間開口部を通じた補助室から低露点室への空気侵入に伴う水分侵入を防止するとともに、低露点室における水分負荷処理能力を高めて、室間開口部を通じメンテナンス作業を行なうメンテナンス要員の呼気や発汗などによる発生水分負荷にも対応できるようにし、これにより、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に保持する。
【0013】
そして、この構成では、室間扉の開扉時に低露点室に対する第1給気風量を増加させるのに背反させて、第2給気口から補助室に供給する低露点空気の風量(第2給気風量)を減少させるから、第1給気風量の増加による除湿機での処理空気の風量増加を、第1給気
風量の増加分と第2給気風量の減少分との相殺により抑止することができる。
【0014】
したがって、処理空気の風量増加に対する除湿機の立ち上がり遅れで、低露点室に供給する低露点空気の露点温度が室間扉の開扉後において一時的にせよ上昇することや、増加後の処理空気の必要風量が除湿機における適正処理可能な風量の上限より大きくなって、低露点室に供給する低露点空気の露点温度が室間扉の開扉後において継続的に高くなったり、その供給風量そのものが室間扉の開扉後において継続的に不足する状態になることを効果的に回避することができる。
【0015】
このことにより、先述の従来設備に比べ、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に一層確実かつ安定的に保持することができて、低露点空調設備の性能及び信頼性を高めることができる。
【0016】
また、この構成では、室間扉の開扉時に補助室に対する第2給気風量を減少させるが、室間扉の開扉時には、低露点室に対する第1給気風量の増加に伴い室間開口部や室間通気路を通じて低露点室から補助室に流入する低露点空気の流入量も増加することから、補助室の室内を準低露点室として所要の低露点環境に保つ上で、この第2給気風量の減少が特に問題になることはない。
【0017】
なお、この構成の実施において、低露点室に対する第1給気風量は室間扉の開扉の際、その開扉に先立ち予め増加させるのが望ましい。
【0018】
第2の参考構成としては、第1の参考構成の実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記第1給気風量の増加分だけ、前記第2給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる
ことが考えられる。
【0019】
この構成によれば、第1給気風量の増加分と第2給気風量の減少分との相殺により、除湿機における処理空気の風量を室間扉の閉扉時及び開扉時を通じて一定化することができ、これにより、
第1の参考構成による上述の効果を一層効果的かつ確実に得ることができる。
【0020】
第3の参考構成としては、第1又は第2の参考構成の実施において、
複数の前記低露点室を前記補助室に対して各別に開放する複数の前記室間開口部と、それら複数の室間開口部を各別に開閉する複数の前記室間扉とを設けた構成において、
複数の前記室間扉の開扉時には、対応する複数の前記低露点室の夫々に対する前記第1給気風量を、複数の前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量よりも増加させるとともに、
それら複数の低露点室の夫々に対する前記第1給気風量の増加分の合計分だけ、前記第2給気風量を複数の前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる
ことが考えられる。
【0021】
この構成によれば、室間扉が開扉された複数の低露点室の夫々に対する第1給気風量の増加分の合計分と、補助室に対する第2給気風量の減少分との相殺により、除湿機における処理空気の風量を複数の室間扉の閉扉時及び開扉時を通じて一定化することができ、これにより、複数の低露点室夫々の室間扉がともに開かれた場合にも、
第1の参考構成による上述の効果を一層効果的かつ確実に得ることができる。
【0022】
第4の参考構成としては、第1〜第3の参考構成のいずれかの実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記低露点室に対する前記第1給気風量を、前記室間扉が開かれた状態において前記低露点室の室内露点温度が前記室間扉の閉扉時における前記低露 点室の室内露点温度以下に保持される露点保持風量まで増加させる
ことが考えられる。
【0023】
この構成によれば、室間扉の開扉時にも低露点室の室内露点温度が室間扉の閉扉時における低露点室の室内露点温度以下となる状態(即ち、室内を所要の低露点環境に保った状態)を一層効果的に得ることができる。
【0024】
なお、この構成の実施においては、設備の試運転やシミュレーションなどにより上記の露点保持風量を予め検証しておき、そして、室間扉の開扉時に第1給気風量をその検証済みの露点保持風量まで増加させる運転形態、あるいは、低露点室の室内露点温度の検出する露点検出手段の検出情報に基づき第1給気風量を調整することで、室間扉の開扉時において第1給気風量を露点保持風量まで増加させる運転形態など、種々の形態を採ることができる。
【0025】
第5の参考構成としては、第1〜第4の参考構成のいずれかの実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記低露点室に対する前記第1給気風量を、前記室間扉が開かれた状態において前記低露点室の室圧が前記補助室の室圧より設定圧力差以上に高く保持される室圧保持風量まで増加させる
ことが考えられる。
【0026】
この構成によれば、室開扉の開扉時において、補助室から低露点室への空気侵入に伴う水分浸入を一層効果的に防止することができる。
【0027】
なお、この構成の実施においては、設備の試運転やシミュレーションなどにより上記の室圧保持風量を予め検証しておき、そして、室間扉の開扉時に第1給気風量をその検証済みの室圧保持風量まで増加させる運転形態、あるいは、低露点室と補助室との室圧差を検出する室内検出手段の検出情報に基づき第1給気風量を調整することで、室間扉の開扉時において第1給気風量を室圧保持風量まで増加させる運転形態など、種々の形態を採ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の如き参考構成に対し、本発明の第
1特徴構成は、低露点空調設備の運転方法に係り、その特徴は、
低露点室を補助室に対して開放する室間開口部に、その室間開口部を開閉する室間扉を設け、
除湿機により生成される低露点空気を前記低露点室に対する第1給気口と、前記補助室に対する第2給気口と、前記室間開口部の配設域に対する第3給気口とに送る給気路を設け、
前記第1給気口からの前記低露点室への低露点空気の供給に伴い前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室に流出させる室間通気路を設け、
前記第2給気口及び前記室間通気路からの前記補助室への低露点空気の供給に伴い前記補助室の室内空気を外部へ排出する排気路又はその室内空気を前記除湿機に戻す還気路を設けてある低露点空調設備の運転方法であって、
前記室間扉の開扉時には、前記第1給気口から前記低露点室に供給する低露点空気の風量である第1給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量に保った状態で、
前記第3給気口から前記室間開口部の配設域に供給する低露点空気の風量である第3給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第3給気風量よりも増加させるとともに、
この第3給気風量の増加に背反させて、前記第2給気口から前記補助室に供給する低露点空気の風量である第2給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる点にある。
【0029】
この構成においても、基本的には先述の従来設備と同様、室間扉の開扉時には、第1給気口から低露点室に供給する低露点空気の風量(第1給気風量)を室間扉の閉扉時における風量に保った状態で、第3給気口から室間開口部の配設域に供給する低露点空気の風量
(第3給気風量)を増加させることで、室間開口部を通じた補助室から低露点室への空気侵入に伴う水分侵入を防止するとともに、室間開口部の配設域における水分負荷処理能力を高めて、室間開口部を通じメンテナンス作業を行なうメンテナンス要員の呼気や発汗などによる発生水分負荷にも対応できるようにし、これにより、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に保持する。
【0030】
そして、この構成では、室間扉の開扉時に室間開口部の配設域に対する第3給気風量を増加させるのに背反させて、第2給気口から補助室に供給する低露点空気の風量(第2給気風量)を減少させるから、第3給気風量の増加による除湿機での処理空気の風量増加を、第3給気風量の増加分と第2給気風量の減少分との相殺により抑止することができる。
【0031】
したがって、
既述した第1の参考構成と同様、処理空気の風量増加に対する除湿機の立ち上がり遅れで、低露点室に供給する低露点空気の露点温度が室間扉の開扉後において一時的にせよ上昇することや、増加後の処理空気の必要風量が除湿機における適正処理可能な風量の上限より大きくなって、低露点室に供給する低露点空気の露点温度が室間扉の開扉後において継続的に高くなったり、その供給風量そのものが室間扉の開扉後において継続的に不足する状態になることを効果的に回避することができる。
【0032】
このことにより、先述の従来設備に比べ、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に一層確実かつ安定的に保持することができて、低露点空調設備の性能及び信頼性を高めることができる。
【0033】
また、この構成でも、室間扉の開扉時に補助室に対する第2給気風量を減少させるが、室間扉の開扉時には、室間開口部に対する第3給気風量の増加に伴い室間開口部の配設域から補助室に流入する低露点空気の流入量も増加することから、補助室の室内を準低露点室として所要の低露点環境に保つ上で、この第2給気風量の減少が特に問題になることはない。
【0034】
なお、この構成の実施においても、室間開口部の配設域に対する第3給気風量は室間扉の開扉の際、その開扉に先立ち予め増加させるのが望ましい。
【0035】
また、この構成の実施において室間扉の閉扉時には室間開口部の配設域に対する第3給気口からの低露点空気の供給を遮断しておく(即ち、室間扉の閉扉時における第3給気風量をゼロにしておく)ようにしてもよい。
【0036】
本発明の第
2特徴構成は、第
1特徴構成の実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記第3給気風量の増加分だけ、前記第2給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる点にある。
【0037】
この構成によれば、
既述した第2の参考構成と同様、第3給気風量の増加分と第2給気風量の減少分との相殺により、除湿機における処理空気の風量を室間扉の閉扉時及び開扉時を通じて一定化することができ、これにより、第6特徴構成による上述の効果を一層効果的かつ確実に得ることができる。
【0038】
本発明の第
3特徴構成は、第
1又は第
2特徴構成の実施において、
複数の前記低露点室を前記補助室に対して各別に開放する複数の前記室間開口部と、それら複数の室間開口部を各別に開閉する複数の前記室間扉とを設けた構成において、
それら複数の前記室間扉の開扉時には、対応する複数の前記室間開口部夫々の配設域に対する前記第3給気風量を、複数の前記室間扉の閉扉時における前記第3給気風量よりも増加させるとともに、
それら複数の前記室間開口部夫々の配設域に対する前記第3給気風量の増加分の合計分だけ、前記第2給気風量を複数の前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる点にある。
【0039】
この構成によれば、
既述した第3の参考構成と同様、室間扉が開扉された複数の室間開口部夫々の配設域に対する第3給気風量の増加分の合計分と、補助室に対する第2給気風量の減少分との相殺により、除湿機における処理空気の風量を複数の室間扉の閉扉時及び開扉時を通じて一定化することができ、これにより、複数の低露点室夫々の室間扉がともに開かれた場合にも、第6特徴構成による上述の効果を一層効果的かつ確実に得ることができる。
【0040】
本発明の第
4特徴構成は、第
1〜第
3特徴構成のいずれかの実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記室間開口部の配設域に対する前記第3給気風量を、前記室間扉が開かれた状態において前記低露点室の室内露点温度が前記室間扉の閉扉時における前記低露点室の室内露点温度以下に保持される露点保持風量まで増加させる点にある。
【0041】
この構成によれば、室間扉の開扉時にも低露点室の室内露点温度が室間扉の閉扉時における低露点室の室内露点温度以下となる状態(即ち、室内を所要の低露点環境に保った状態)を一層効果的に得ることができる。
【0042】
なお、この構成の実施においては、設備の試運転やシミュレーションなどにより上記の露点保持風量を予め検証しておき、そして、室間扉の開扉時に第3給気風量をその検証済みの露点保持風量まで増加させる運転形態、あるいは、低露点室の室内露点温度の検出する露点検出手段の検出情報に基づき第3給気風量を調整することで、室間扉の開扉時において第3給気風量を露点保持風量まで増加させる運転形態など、種々の形態を採ることができる。
【0043】
本発明の第
5特徴構成は、低露点空調設備の運転方法に係り、その特徴は、
低露点室を補助室に対して開放する室間開口部に、その室間開口部を開閉する室間扉を設け、
除湿機により生成される低露点空気を前記低露点室に対する第1給気口と、前記補助室に対する第2給気口と、前記室間開口部の配設域に対する第3給気口とに送る給気路を設け、
前記第1給気口からの前記低露点室への低露点空気の供給に伴い前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室に流出させる室間通気路を設け、
前記第2給気口及び前記室間通気路からの前記補助室への低露点空気の供給に伴い前記補助室の室内空気を外部へ排出する排気路又はその室内空気を前記除湿機に戻す還気路を設けてある低露点空調設備の運転方法であって、
前記室間扉の開扉時には、前記第1給気口から前記低露点室に供給する低露点空気の風量である第1給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量よりも増加させ、かつ、前記第3給気口から前記室間開口部の配設域に供給する低露点空気の風量である第3給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第3給気風量よりも増加させるとともに、
これら第1給気風量及び第3給気風量の増加に背反させて、前記第2給気口から前記補助室に供給する低露点空気の風量である第2給気風量を、前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる点にある。
【0044】
この構成では、室間扉の開扉時に、第1給気口から低露点室に供給する低露点空気の風量(第1給気風量)を増加させるとともに、第3給気口から室間開口部の配設域に供給する低露点空気の風量(第3給気風量)も増加させることで、室間開口部を通じた補助室から低露点室への空気侵入に伴う水分侵入を一層確実に防止するとともに、低露点室及び室間開口部の配設域の夫々における水分負荷処理能力を高めて、室間開口部を通じメンテナンス作業を行なうメンテナンス要員の呼気や発汗などによる発生水分負荷にも一層効果的に対応できるようにし、これにより、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に一層確実に保持できるようにする。
【0045】
そして、この構成では、室間扉の開扉時に低露点室に対する第1給気風量及び室間開口部の配設域に対する第3給気風量を増加させるのに背反させて、第2給気口から補助室に供給する低露点空気の風量(第2給気風量)を減少させるから、第1給気風量及び第3給気風量の増加による除湿機での処理風量の増加を、第1及び第3給気風量夫々の増加分の合算分と第2給気風量の減少分との相殺により抑止することができる。
【0046】
したがって、
既述した第1の参考構成や第1特徴構成と同様、処理空気の風量増加に対する除湿機の立ち上がり遅れで、低露点室に供給する低露点空気の露点温度が室間扉の開扉後において一時的にせよ上昇することや、増加後の処理空気の必要風量が除湿機における適正処理可能な風量の上限より大きくなって、低露点室に供給する低露点空気の露点温度が室間扉の開扉後において継続的に高くなったり、その供給風量そのものが室間扉の開扉後において継続的に不足する状態になることを効果的に回避することができる。
【0047】
このことにより、先述の従来設備に比べ、室間扉の開扉にかかわらず低露点室の室内を所要の低露点環境に一層確実かつ安定的に保持することができて、低露点空調設備の性能及び信頼性を高めることができる。
【0048】
また、この構成でも、室間扉の開扉時に補助室に対する第2給気風量を減少させるが、室間扉の開扉時には、低露点室に対する第1給気風量の増加及び室間開口部の配設域に対する第3給気風量の増加に伴い、低露点室や室間開口部の配設域から補助室に流入する低露点空気の流入量も増加することから、補助室の室内を準低露点室として所要の低露点環境に保つ上で、この第2給気風量の減少が特に問題になることはない。
【0049】
なお、この構成の実施においても、低露点室に対する第1給気風量及び室間開口部の配設域に対する第3給気風量は室間扉の開扉の際、その開扉に先立ち予め増加させるのが望ましい。
【0050】
また、この構成の実施において室間扉の閉扉時には室間開口部の配設域に対する第3給気口からの低露点空気の供給を遮断しておく(即ち、室間扉の閉扉時における第3給気風量をゼロにしておく)ようにしてもよい。
【0051】
本発明の第
6特徴構成は、第
5特徴構成の実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記第1給気風量の増加分と前記第3給気風量の増加分との合算分だけ、前記第2給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる点にある。
【0052】
この構成によれば、
既述した第2の参考構成や第
2特徴構成と同様、第1及び第3給気風量夫々の増加分の合算分と第2給気風量の減少分との相殺により、除湿機における処理空気の風量を室間扉の閉扉時及び開扉時を通じて一定化することができ、これにより、第
5特徴構成による上述の効果を一層効果的かつ確実に得ることができる。
【0053】
本発明の第
7特徴構成は、第
5又は第
6特徴構成の実施において、
複数の前記低露点室を前記補助室に対して各別に開放する複数の前記室間開口部と、それら複数の室間開口部を各別に開閉する複数の前記室間扉とを設けた構成において、
それら複数の前記室間扉の開扉時には、対応する複数の前記低露点室の夫々に対する前記第1給気風量を、複数の前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量よりも増加させ、かつ、対応する複数の前記室間開口部夫々の配設域に対する前記第3給気風量を、複数の前記室間扉の閉扉時における前記第3給気風量よりも増加させるとともに、
それら複数の低露点室の夫々に対する前記第1給気風量の増加分の合計分と、それら複数の前記室間開口部夫々の配設域に対する前記第3給気風量の増加分の合計分との合算分だけ、前記第2給気風量を複数の前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる点にある。
【0054】
この構成によれば、
既述した第3の参考構成や第
3特徴構成と同様、室間扉が開扉された複数の低露点室の夫々に対する第1給気風量の増加分の合計分と、室間扉が開扉された複数の室間開口部夫々の配設域に対する第3給気風量の増加分の合計分との合算分に対して、その合算分と補助室に対する第2給気風量の減少分との相殺により、除湿機における処理空気の風量を複数の室間扉の閉扉時及び開扉時を通じて一定化することができ、これにより、複数の低露点室夫々の室間扉がともに開かれた場合にも、第
5特徴構成による上述の効果を一層効果的かつ確実に得ることができる。
【0055】
本発明の第
8特徴構成は、第
5〜第
7特徴構成のいずれかの実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記低露点室に対する前記第1給気風量又は前記室間開口部の配設域に対する前記第3給気風量を、前記室間扉が開かれた状態において前記低露点室の室内露点温度が前記室間扉の閉扉時における前記低露点室の室内露点温度以下に保持される露点保持風量まで増加させる点にある。
【0056】
この構成によれば、室間扉の開扉時にも低露点室の室内露点温度が室間扉の閉扉時における低露点室の室内露点温度以下となる状態(即ち、室内を所要の低露点環境に保った状態)を一層効果的に得ることができる。
【0057】
なお、この構成の実施においては、設備の試運転やシミュレーションなどにより上記の露点保持風量を予め検証しておき、そして、室間扉の開扉時に第1給気風量又は第3給気風量をその検証済みの露点保持風量まで増加させる運転形態、あるいは、低露点室の室内露点温度の検出する露点検出手段の検出情報に基づき第1給気風量又は第3給気風量を調整することで、室間扉の開扉時において第1給気風量又は第3給気風量を露点保持風量まで増加させる運転形態など、種々の形態を採ることができる。
【0058】
本発明の第
9特徴構成は、第
5〜第
8特徴構成のいずれかの実施において、
前記室間扉の開扉時には、前記低露点室に対する前記第1給気風量を、前記室間扉が開かれた状態において前記低露点室の室圧が前記補助室の室圧又は前記室間開口部の配設域における域圧より設定圧力差以上に高く保持される室圧保持風量まで増加させる点にある。
【0059】
この構成によれば、室開扉の開扉時において、補助室から低露点室への空気侵入に伴う水分浸入を一層効果的に防止することができる。
【0060】
なお、この構成の実施においては、設備の試運転やシミュレーションなどにより上記の室圧保持風量を予め検証しておき、そして、室間扉の開扉時に第1給気風量をその検証済みの室圧保持風量まで増加させる運転形態、あるいは、低露点室と補助室との室圧差を検出する室内検出手段の検出情報に基づき第1給気風量を調整することで、室間扉の開扉時において第1給気風量を室圧保持風量まで増加させる運転形態など、種々の形態を採ることができる。
【0061】
因みに、低露点空調設備に関する第6の参考構成としては、
低露点室を補助室に対して開放する室間開口部に、その室間開口部を開閉する室間扉を設け、
除湿機により生成される低露点空気を前記低露点室に対する第1給気口と、前記補助室に対する第2給気口とに送る給気路を設け、
前記第1給気口からの前記低露点室への低露点空気の供給に伴い前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室に流出させる室間通気路を設け、
前記第2給気口及び前記室間通気路からの前記補助室への低露点空気の供給に伴い前記補助室の室内空気を外部へ排出する排気路又はその室内空気を前記除湿機に戻す還気路を設けてある低露点空調設備であって、
前記第1給気口から前記低露点室に供給する低露点空気の風量である第1給気風量を調整する第1風量調整ダンパと、
前記第2給気口から前記補助室に供給する低露点空気の風量である第2給気風量を調整する第2風量調整ダンパとを設けるとともに、
これら第1及び第2風量調整ダンパ夫々の開度を調整する制御手段を設け、
この制御手段は、前記室間扉の開扉を知らせる開扉信号を受信すると、
前記第1風量調整ダンパの開度を調整して前記第1給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量よりも増加させるとともに、
前記第2風量調整ダンパの開度を調整して前記第2給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる構成に
することが考えられる。
【0062】
この構成によれば、第1及び第2風量調整ダンパに対する制御手段の上記の如き制御動作により、既述した
第1の参考構成の運転方法を開扉信号に基づいて自動的に実施させることができ、これにより、
第1の参考構成による既述の効果を一層確実かつ簡便に得ることができる。
【0063】
なお、この構成の実施において制御手段は、開扉信号を受信したとき、第1給気風量の増加分だけ、第2給気風量を室間扉の閉扉時における第2給気風量よりも減少させる状態に第2風量調整ダンパの開度を調整する構成にし、これにより、既述の第2特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0064】
また、複数の低露点室を補助室に対して各別に開放する複数の前記室間開口部と、それら複数の室間開口部を各別に開閉する複数の室間扉とを設けた構成において、制御手段は、開扉信号を受信したとき、複数の低露点室の夫々に対する第1給気風量の増加分の合計分だけ、第2給気風量を複数の室間扉の閉扉時における第2給気風量よりも減少させる状態に第2風量調整ダンパの開度を調整する構成にし、これにより、
既述した第3の参考構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0065】
さらに、制御手段は、開扉信号を受信したとき、低露点室に対する第1給気風量を、室間扉が開かれた状態において低露点室の室内露点温度が室間扉の閉扉時における低露点室の室内露点温度以下に保持される露点保持風量まで増加させる構成、あるいはまた、開扉信号を受信したとき、低露点室に対する第1給気風量を、室間扉が開かれた状態において低露点室の室圧が補助室の室圧より設定圧力差以上に高く保持される室圧保持風量まで増加させる構成などにして、
既述した第4の参考構成や第5の参考構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0066】
これに対し、本発明の第
10特徴構成は、低露点空調設備に係り、その特徴は、
低露点室を補助室に対して開放する室間開口部に、その室間開口部を開閉する室間扉を設け、
除湿機により生成される低露点空気を前記低露点室に対する第1給気口と、前記補助室
に対する第2給気口と、前記室間開口部の配設域に対する第3給気口とに送る給気路を設け、
前記第1給気口からの前記低露点室への低露点空気の供給に伴い前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室に流出させる室間通気路を設け、
前記第2給気口及び前記室間通気路からの前記補助室への低露点空気の供給に伴い前記補助室の室内空気を外部へ排出する排気路又はその室内空気を前記除湿機に戻す還気路を設けてある低露点空調設備であって、
前記第3給気口から前記室間開口部の配設域に供給する低露点空気の風量である第3給気風量を調整する第3風量調整ダンパと、
前記第2給気口から前記補助室に供給する低露点空気の風量である第2給気風量を調整する第2風量調整ダンパとを設けるとともに、
これら第3及び第2風量調整ダンパ夫々の開度を調整する制御手段を設け、
この制御手段は、前記室間扉の開扉を知らせる開扉信号を受信すると、
前記第3風量調整ダンパの開度を調整して前記第3給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第3給気風量よりも増加させるとともに、
前記第2風量調整ダンパの開度を調整して前記第2給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる構成にしてある点にある。
【0067】
この構成によれば、第3及び第2風量調整ダンパに対する制御手段の上記の如き制御動作により、既述した第
1特徴構成の運転方法を開扉信号に基づいて自動的に実施させることができ、これにより、第
1特徴構成による既述の効果を一層確実かつ簡便に得ることができる。
【0068】
なお、この構成の実施において制御手段は、開扉信号を受信したとき、第3給気風量の増加分だけ、第2給気風量を室間扉の閉扉時における第2給気風量よりも減少させる状態に第2風量調整ダンパの開度を調整する構成にし、これにより、
既述した第2特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0069】
また、複数の低露点室を補助室に対して各別に開放する複数の前記室間開口部と、それら複数の室間開口部を各別に開閉する複数の室間扉とを設けた構成において、制御手段は、開扉信号を受信したとき、複数の室間開口部夫々の配設域に対する第3給気風量の増加分の合計分だけ、第2給気風量を複数の室間扉の閉扉時における第2給気風量よりも減少させる状態に第2風量調整ダンパの開度を調整する構成にし、これにより、
既述した第3特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0070】
さらに、制御手段は、開扉信号を受信したとき、室間開口部の配設域に対する第3給気風量を、室間扉が開かれた状態において低露点室の室内露点温度が室間扉の閉扉時における低露点室の室内露点温度以下に保持される露点保持風量まで増加させる構成にして、
既述した第4特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0071】
本発明の第
11特徴構成は、低露点空調設備に係り、その特徴は、
低露点室を補助室に対して開放する室間開口部に、その室間開口部を開閉する室間扉を設け、
除湿機により生成される低露点空気を前記低露点室に対する第1給気口と、前記補助室に対する第2給気口と、前記室間開口部の配設域に対する第3給気口とに送る給気路を設け、
前記第1給気口からの前記低露点室への低露点空気の供給に伴い前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室に流出させる室間通気路を設け、
前記第2給気口及び前記室間通気路からの前記補助室への低露点空気の供給に伴い前記補助室の室内空気を外部へ排出する排気路又はその室内空気を前記除湿機に戻す還気路を 設けてある低露点空調設備であって、
前記第1給気口から前記低露点室に供給する低露点空気の風量である第1給気風量を調整する第1風量調整ダンパと、
前記第3給気口から前記室間開口部の配設域に供給する低露点空気の風量である第3給気風量を調整する第3風量調整ダンパと、
前記第2給気口から前記補助室に供給する低露点空気の風量である第2給気風量を調整する第2風量調整ダンパとを設けるとともに、
これら第1,第3及び第2風量調整ダンパ夫々の開度を調整する制御手段を設け、
この制御手段は、前記室間扉の開扉を知らせる開扉信号を受信すると、
前記第1風量調整ダンパの開度を調整して前記第1給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第1給気風量よりも増加させ、
かつ、前記第3風量調整ダンパの開度を調整して前記第3給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第3給気風量よりも増加させるとともに、
前記第2風量調整ダンパの開度を調整して前記第2給気風量を前記室間扉の閉扉時における前記第2給気風量よりも減少させる構成にしてある点にある。
【0072】
この構成によれば、第1,第3及び第2風量調整ダンパに対する制御手段の上記の如き制御動作により、既述した第
5特徴構成の運転方法を開扉信号に基づいて自動的に実施させることができ、これにより、第
5特徴構成による既述の効果を一層確実かつ簡便に得ることができる。
【0073】
なお、この構成の実施において制御手段は、開扉信号を受信したとき、第1給気風量の増加分と第3給気風量の増加分との合算分だけ、第2給気風量を室間扉の閉扉時における第2給気風量よりも減少させる状態に第2風量調整ダンパの開度を調整する構成にし、これにより、
既述した第6特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0074】
また、複数の低露点室を補助室に対して各別に開放する複数の前記室間開口部と、それら複数の室間開口部を各別に開閉する複数の室間扉とを設けた構成において、制御手段は、開扉信号を受信したとき、複数の低露点室の夫々に対する第1給気風量の増加分の合計分と、複数の室間開口部夫々の配設域に対する第3給気風量の増加分の合計分との合算分だけ、第2給気風量を複数の室間扉の閉扉時における第2給気風量よりも減少させる状態に第2風量調整ダンパの開度を調整する構成にし、これにより、既述した第
7特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0075】
さらに、制御手段は、開扉信号を受信したとき、低露点室に対する第1給気風量又は室間開口部の配設域に対する第3給気風量を、室間扉が開かれた状態において低露点室の室内露点温度が室間扉の閉扉時における低露点室の室内露点温度以下に保持される露点保持風量まで増加させる構成、あるいはまた、開扉信号を受信したとき、低露点室に対する第1給気風量を、室間扉が開かれた状態において低露点室の室圧が補助室の室圧より設定圧力差以上に高く保持される室圧保持風量まで増加させる構成などにして、
既述した第8特徴構成や第9特徴構成の運転方法を自動的に実施させるようにしてもよい。
【0076】
本発明の第
12特徴構成は、
第11特徴構成の実施において、
前記低露点室の室内低露点空気を前記補助室へ漏出させて前記第1給気風量の増加に伴う前記低露点室の室圧上昇を緩和する差圧保持ダンパを設けてある点にある。
【0077】
この構成によれば、室間扉の開扉時において低露点室に対する第1給気風量を増加させたときに、その第1給気風量の増加により低露点室の室圧が急激に増大して室構造や室内機器あるいは室内物品などに悪影響を与えることを効果的に回避することができ、特に室間扉の開扉の際、その開扉に先立ち第1給気風量を増加させる場合に有効である。
【0078】
また、第1給気風量の増加に伴う低露点室の室圧上昇を緩和するには、別法として、室間扉の開き動作の進行に伴い第1風量調整ダンパの開度を徐々に増大させることも考えられるが、この場合、室間扉の開度と第1風量調整ダンパの開度との連係が必要になることで、第1風量調整ダンパを制御する制御手段の構成が煩雑になる。
【0079】
この点、上記構成によれば、室圧上昇の緩和については差圧保持ダンパが担うことから、制御手段は室間扉の開度とは無関係に開扉信号の受信に基づいて第1風量調整ダンパを制御するだけのものにすることができ、その分、制御手段を簡素化することもできる。
【0080】
本発明の第
13特徴構成は、第
10又は第
11特徴構成の実施において、
前記第3給気口は、低露点空気を供給する前記室間開口部の配設域として、前記補助室の側における前記室間開口部の対向箇所に低露点空気を供給する状態に配置してある点にある。
【0081】
この構成によれば、室間扉の開扉時においてメンテナンス要員が補助室の側における室間開口部の対向箇所に位置した状態で室間開口部を通じ低露点室の室内をメンテナンスする場合に、そのメンテナンス要員の呼気や発汗による発生水分負荷を、第3給気口から補助室の側における室間開口部の対向箇所に供給する低露点空気により集中的に効率良く処理することができ、これにより、メンテナンスのために室間扉が開かれた低露点室の室内を所要の低露点環境に保つことをさらに効果的に達成することができる。