特許第5910905号(P5910905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5910905-飲食用組成物 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5910905
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】飲食用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/00 20160101AFI20160414BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20160414BHJP
   A23L 5/40 20160101ALI20160414BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20160414BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20160414BHJP
   A23L 2/38 20060101ALI20160414BHJP
   A23F 3/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A23L1/03
   A23L1/30 B
   A23L1/27
   A23L2/00 A
   A23L2/02 A
   A23L2/38 C
   A23F3/00
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-229215(P2015-229215)
(22)【出願日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年11月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏哉
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】 原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/019498(WO,A1)
【文献】 特開2010−226995(JP,A)
【文献】 Green Hero Organic Smoothie with Spirulina and Matcha,Mintel GNPD,2015年 9月,URL,http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/3423889/from_search/SkiDY8diSC/
【文献】 Berry with 38 Superfoods Smoothie,Mintel GNPD,2015年 2月,URL,http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/2938255/from_search/SkiDY8diSC/
【文献】 五十嵐脩他編,丸善食品総合辞典,丸善株式会社発行,1998年,p.608-609
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00−5/49
A23L 29/00−29/30
A23F 3/00−5/50
A23L 2/00−2/84
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/WPIX/CAplus/FSTA/FROSTI(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセロラ、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする飲食用組成物であって、
アセロラ及びセラミドの配合比(質量比)が、アセロラ:セラミド=1:0.001〜50であり、
アセロラ及び抹茶の配合比(質量比)がアセロラ:抹茶=1:0.1〜500であり、
セラミド及び抹茶の配合比(質量比)がセラミド:抹茶=1:10〜2000であることを特徴とする、
飲食用組成物
【請求項2】
セラミド及び抹茶を含有することを特徴とするアセロラの呈味改善用組成物であって、
アセロラ及びセラミドの配合比(質量比)が、アセロラ:セラミド=1:0.001〜50であり、
アセロラ及び抹茶の配合比(質量比)がアセロラ:抹茶=1:0.1〜500であり、
セラミド及び抹茶の配合比(質量比)がセラミド:抹茶=1:10〜2000であることを特徴とする、
呈味改善用組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食用組成物、及び、アセロラの呈味改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アセロラはキントラノオ科ヒイラギトラノオ属の熱帯果実で、西インド諸島、南アメリカ北部から中央アメリカが原産とされる常緑低木である。アセロラの果実は、豊富なビタミンCやポリフェノールを含む植物として知られている。
【0003】
アセロラは、その豊富なビタミンCやポリフェノールを摂取する目的で、アイス等の飲食品や健康食品に使用されている(特許文献1,2)。しかしながら、アセロラは独特の酸味や渋味等が強いため、アセロラ単独では摂取しにくく、飲食品に用いるためには呈味の改善が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−344846号公報
【特許文献2】特開2002−034509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アセロラ、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする飲食用組成物を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする、アセロラの呈味改善用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、セラミド及び抹茶を使用することで、優れたアセロラの呈味改善効果を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明の概要は、以下の通りである。
<1>アセロラ、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする飲食用組成物。
<2>セラミド及び抹茶を含有することを特徴とするアセロラの呈味改善用組成物。
<3>セラミドと抹茶が1:10〜2000の配合比であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4>アセロラと、セラミド及び抹茶の混合物が、1:1〜300の配合比であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アセロラを含有する飲食用組成物は、セラミド及び抹茶を配合することによりその強い苦味、渋味が改善され、甘味、旨味、コクが良好となるため、嗜好性の高い飲食用組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】比較例1〜3、実施例1〜7の官能評価結果を表す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の組成物について説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
アセロラは、熱帯に生息するキントラオ科に属する果樹であり、その果実部には、ビタミンCやポリフェノールが豊富に含まれる。本発明の組成物に用いるアセロラとは、種部を含んだ果実全体であっても、アセロラから種部の除去、剥皮等の通常の処理を施したものであってもよい。アセロラは成熟果または緑果を使用することができる。本発明の組成物には、種々のアセロラの処理物を使用することができる。例えば、アセロラから調製されるピューレ、果汁、搾汁して果汁を採取した後の残留物であるパルプ、アセロラを破砕、粉砕等したアセロラ破砕物や、アセロラの抽出物等を使用することができる。アセロラの破砕物は、アセロラの可食部と種部、又は種部を取り除いた可食部を、ミキサー等で破砕することにより得ることができる。また、破砕物に抽出処理、凍結乾燥等の処理を施したものを使用することもできる。アセロラの抽出物は、アセロラを、水、有機溶媒等により抽出することにより得ることができる。本発明の組成物に配合されるアセロラの含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、0.0001〜30質量%、好ましくは0.0005〜20質量%、より好ましくは0.001〜10質量%、特に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で選択される。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0013】
セラミドは、スフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称である。セラミドは、天然又は合成のセラミドが知られており、角質層の機能低下の改善等を目的とした美容用途の他、医薬用途等の様々な用途で用いられている。
【0014】
本発明の組成物に用いるセラミドは、動物や植物、微生物等の原料を由来としており、それらに破砕・粉砕等の処理を行った加工物や、それらに分離・抽出等の処理を実施したもの、又は人工的に合成したものが含まれる。原料からのセラミドの抽出・分離方法及び合成方法は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。抽出方法としては、例えば、エタノール、水、含水エタノール等の当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて加温して抽出する方法等を挙げることができる。また、原料からセラミドを得るための破砕・粉砕処理方法は、特に限定されず、湿式・乾式どちらでも良く、粉砕条件、処理装置も特に限定されず、市販の装置等を適宜使用することができる。使用する装置としては、例えば、高圧ホモジェナイザー、超音波粉砕機、気流式粉砕機、高速回転衝撃粉砕機、ボールミル又はビーズミル等が挙げられる。これらの処理は、加工物の粒径等の物性が好ましい範囲内になるよう、必要に応じて複数回繰り返しても良く、複数の処理を組み合わせても良い。本発明においては、セラミドの中でも、植物由来のセラミドであることが好ましく、米由来のセラミドであることが特に好ましい。本発明の組成物に配合されるセラミドの含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、0.000001〜30質量%、好ましくは0.000005〜20質量%、より好ましくは0.00001〜10質量%、特に好ましくは0.0001〜5質量%の範囲で選択される。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0015】
本発明で使用される抹茶は、ツバキ科、チャノキ属の植物を由来とする緑茶の一種であり、てん茶を粉末にしたものである。抹茶は、煎茶と比べて葉緑素、カロチン、テアニンなどのアミノ酸含量が多い一方、カテキンなどの苦味成分が少ない。抹茶は煎茶と同様にポリフェノールを豊富に含み、ガンの予防や、糖尿病などの多くの生活習慣病に効果があるといわれている。本発明の組成物に配合される抹茶の含有量としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその含有量を適宜設定できる。例えば、0.01〜50質量%、好ましくは0.05〜30質量%、より好ましくは0.1〜20質量%の範囲で選択される。本発明においては、市販品を使用してもよく、また当該分野で公知の方法で製造したものを使用することもできる。
【0016】
本発明の組成物には、アセロラ、セラミド及び抹茶以外に、その他の成分を含有しても良い。前記のその他の成分としては、例えば、タンパク質、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維等の食物繊維、ミネラル類、植物又は植物加工品、藻類、乳酸菌、酵母等の微生物等を配合することができる。更に必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、でんぷん等の糖類、オリゴ糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、賦形剤、ビタミン類、栄養補助剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0017】
本発明の組成物を摂取する際の形状も特に限定されず、具体的な形状としては、例えば、粉や顆粒、細粒等の粉末状、タブレット(チュアブル)状、球状、カプセル状、カプレット状、液状等の形状が挙げられる。尚、カプセル状の経口組成物は、ソフトカプセル及びハードカプセルが含まれる。経口組成物とする場合は粉や顆粒、細粒等の粉末状が好ましく、特に、粉末飲料とすることにより、組成物としての安定性にも優れるとともに、カプセルや錠剤等と異なり1度に多くの組成物を摂取することができるので好ましい。
【0018】
本発明の組成物における、アセロラと、セラミド及び抹茶の混合物の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定でき、アセロラ:(セラミド及び抹茶の混合物)=1:0.01〜1000、好ましくは1:0.1〜50、より好ましくは1:1〜300が選択される。
【0019】
本発明の組成物における、セラミドと抹茶の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定でき、セラミド:抹茶=1:0.1〜10000、好ましくは1:0.5〜5000より好ましくは1:1〜3000、特に好ましくは1:10〜2000が選択される。
【0020】
本発明の組成物を調製する際、アセロラ、セラミド及び抹茶は、これらを抽出・分離・合成したもの又はこれらを含有する原料の加工物をそのまま使用しても良いが、デキストリン、二酸化ケイ素等の賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤等と混合し、成形等したものを使用しても良い。また、水(精製水等)、食用油(コーン油等)等の溶媒に溶解乃至分散させて使用しても良い。
【0021】
本発明において、アセロラ、セラミド及び抹茶の配合比(質量比)は特に限定されず、目的や使用対象等の条件に応じて適宜設定でき、アセロラ:セラミド:抹茶=1:0.0001〜100:0.01〜5000、好ましくは、1:0.0005〜50:0.05〜1000、特に好ましくは1:0.001〜50:0.1〜500が選択される。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
1.飲食用組成物の製造
以下の表1に示す配合を有する飲食用組成物を調製した。数値については、特に断りがない限り、質量%を表わす。
【0024】
【表1】
【0025】
2.官能評価
(1)サンプルの調製
上記表1に記載の比較例1〜3及び実施例1〜7のサンプルについて、各サンプル2gを、水100mLと混合して各試験サンプルを得た。
【0026】
被験者として、健常な成人7名を無作為に選出した。これらの被験者7名に対し、下記表2の評価項目について、アンケートを実施し、官能評価を行った。
【0027】
【表2】
【0028】
各サンプルについて、被験者の点数の平均点を算出した。その合計点を本評価点として、表3及び図1のグラフに示す。
【0029】
【表3】
【0030】
表3及び図1に示すように、アセロラを含有し、抹茶及びセラミドを含有していない比較例1は、いずれの項目も1〜2点台であり、特に、苦味、渋味、えぐ味、旨味、コク、舌触りが低い評価であった。また、アセロラ及びセラミドを含有する比較例2、アセロラ及び抹茶を含有する比較例3はアセロラのみと比較していずれの項目も嗜好性は改善するものの、いずれの項目も2点台であり、嗜好性はあまり改善されなかった。一方、アセロラ、セラミド及び抹茶を含有する実施例1〜7は、アセロラのみの比較例1や、セラミド又は抹茶のいずれか1つを添加した比較例2〜3と比較して、いずれの項目も優れるものであった。特に、比較例1〜3と比較して苦味、渋味が改善され、甘味、旨味、コクが良好なものとなり、嗜好性に優れるものであることがわかった。また、アセロラに対してセラミド及び抹茶の混合物が1:1〜100となる実施例2〜6では、全ての項目で特に高い評価であり、アセロラに対するセラミド及び抹茶の混合比を最適化することにより、嗜好性の優れた組成物が得られることがわかった。
【0031】
以上の結果より、アセロラ、セラミド及び抹茶を含有する本発明の組成物は、アセロラのみの場合や、セラミド又は抹茶とアセロラとを含有する場合と比較して、香りや味、舌触りが良く、嗜好性に優れる組成物であることがわかった。また、アセロラ、セラミド及び抹茶の全てを含有する場合において、アセロラに対してセラミド及び抹茶の混合物が1:1〜300とすることにより、特に嗜好性に優れる組成物を得られることがわかった。すなわち、本発明の組成物の嗜好性は、特定成分の組み合わせのみでなく、各成分の配合比によっても影響を受けるものであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、セラミド及び抹茶を含有することにより、アセロラの呈味を改善することができるため、嗜好性の高い組成物を提供することができる。
【要約】
【課題】
アセロラ、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする飲食用組成物を提供することを目的とする。また、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする、アセロラの呈味改善用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
アセロラ、セラミド及び抹茶を含有することを特徴とする飲食用組成物。
【選択図】
なし
図1