【実施例】
【0020】
図1は、本発明の実施例に係る端子保護カバー1、および電気接続箱100の斜視図である。
なお、
図1は、アッパーカバー120を透視してその内部が見えるように図示している。
図2は、
図1に示した端子保護カバー1を取り付ける側の面11から視た図である。
図3は、
図1に示した端子保護カバー1を取り付ける側の面11から視た斜視図である。
図4は、
図3に示した端子保護カバー1の端子保持部20周辺を拡大した図である。
図5は、
図1に示した端子保護カバー1の拡大した端子保持部20周辺を上方から視た図である。
図6は、
図1に示した端子保護カバー1を左側面から視た図である。
図7は、
図3に示した端子保護カバー1に端子付き電線140がセットされた状態を示した図である。
なお、便宜上、図中矢印に示すように前後、左右及び上下方向を定義する。
本発明の実施例に係る端子保護カバー1は、車両等に搭載される電気接続箱100に取り付けされる端子付き電線140の屈曲板状端子141を保護するものである。電気接続箱100は、箱本体110の上部がアッパーカバー120で覆われ、下部がロアカバー130で覆われるようになっている。
【0021】
まず、箱本体110について説明する。
箱本体110は、コネクタ、リレー、ヒューズ等の電気部品111aが内部に収容され、電気接続箱100の主な収容部を構成する箱である。
この箱本体110は、絶縁性の合成樹脂からなり、筒状の外壁によって外郭が形成されてなり、電気部品111aが装着されたブロック状のカセットブロック111が内部に区画されて収容されるように仕切り壁110aが設けられている。
【0022】
また、箱本体110は、上端から下端まで直線状に延びるように箱外面110bに形成されてなる箱側溝部110cを有し、箱側溝部110c内に端子付き電線140の屈曲板状端子141が収容されるようになっている。
屈曲板状端子141は、板状の導電部材が直角に屈曲されてなり、電線Wとの接続部となる電線接続部142に対して略直角に屈曲され、その先端が円弧状に形成されてなる先端側屈曲部143が不図示の相手端子との接続部となっている。この先端側屈曲部143には、相手端子を固定するためのネジが挿通されるネジ挿通孔144が設けられている。
【0023】
端子付き電線140は、
図7に示すように、屈曲板状端子141が箱側溝部110c内に収容され、電線Wがロアカバー130の溝部131から導出され、不図示の外部電源に接続されるようになっている。
このような箱側溝部110cには、端子保護カバー1が箱側溝部110cの上端から下端に向けてスライド移動されて取り付けられるようになっている。
【0024】
次に、アッパーカバー120について説明する。
アッパーカバー120は、下面が開口された箱形形状をなし、
図1に示すように、下端縁部が箱本体110の上端縁部にかぶさるようにして箱本体110に組み付けられるようになっている。
【0025】
次に、端子保護カバー1について説明する。
端子保護カバー1は、端子付き電線140の屈曲板状端子141が保持される端子保持部20を有し、屈曲板状端子141を保護するためのカバーである。この端子保護カバー1は、屈曲板状端子141が収容される箱側溝部110cを塞ぐように箱本体110に取り付けられるようになっている。
【0026】
端子保持部20は、端子保護カバー1の本体部となる板状基部10の箱本体110に対して取り付け側の面11に設けられている。
この端子保持部20は、一対の横方向ガタツキ防止壁部30と、第一縦方向ガタツキ防止壁部40と、第二縦方向ガタツキ防止壁部50と、第三縦方向ガタツキ防止壁部60とを有してなり、これらの壁よって屈曲板状端子141が保持されるようになっている。
【0027】
一対の横方向ガタツキ防止壁部30は、端子保護カバー1の取り付ける側の面11に立設され、屈曲板状端子141が保持された場合、屈曲板状端子141の各側端縁面145に向かい合う面31を含む壁である。
【0028】
第一縦方向ガタツキ防止壁部40は、一対の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端部32の間を橋渡す壁であり、屈曲板状端子141が保持された場合、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143の内面143aに向かい合う第一端縁面41を含む壁である。
【0029】
第二縦方向ガタツキ防止壁部50は、一方の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端部32から他方の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端部32に向けて突出される一対の突出壁51を有してなり、屈曲板状端子141が保持された場合、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143の外面143bに向かい合う第二端縁面51aを含む壁である。
【0030】
各突出壁51は、横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端縁面32aと同じ側の面52が、第二端縁面51aから上側の上縁面51bまで、立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されてなる。
これにより、屈曲板状端子141を取り付ける際、各突出壁51が先端側屈曲部143の先端部分に干渉しないようになっているので、第二端縁面51aと第一端縁面41との間隔をできるだけ小さく設定することができる。
また、各面52が、横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端部32から突出方向に向かって漸次厚みが減少されるように傾斜されるようになっている。すなわち、各突出壁51は、屈曲板状端子141に干渉されないように面52が立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されつつ、横断面積を出来るだけ小さくしないようになっている。
【0031】
第三縦方向ガタツキ防止壁部60は、対となる第二縦方向ガタツキ防止部50の間に立設方向先端縁面32aより凹むように取り付ける側の面11に立設され、かつ屈曲板状端子141が保持された場合、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143の外面143bに向かい合う第三端縁面61を含む壁である。
この第三縦方向ガタツキ防止壁部60は、立設方向先端縁面32aに対して一対の突出壁51よりも凹むように形成されてなる。これにより、屈曲板状端子141を取り付ける際、第三縦方向ガタツキ防止壁部60が先端側屈曲部143の先端部分に干渉しないようになっている。
【0032】
また、端子保護カバー1は、屈曲板状端子141が取り付けられる場合、屈曲板状端子141を取り付け完了位置までガイドする取り付けガイド壁部70と、電線Wの一部を固定する電線固定部80とをさらに有してなる。
取り付けガイド壁部70は、取り付け面側ガイド壁部71と、ガタツキ防止壁側ガイド壁部72とを有してなる。
【0033】
取り付け面側ガイド壁部71は、取り付ける側の面11に並んで立設された一対のガイド壁であり、各取り付け面側ガイド壁部71は、第一縦方向ガタツキ防止壁部40の下方位置から第三縦方向ガタツキ防止壁部60の下端位置まで直線的に延びる壁である。
各取り付け面側ガイド壁部71は、
図6に示すように、屈曲板状端子141を取り付け完了位置で屈曲板状端子141が、取り付ける側の面11側から第一縦方向ガタツキ防止壁部40に近づくように移動をガイドする段部が形成されている。
より具体的には、各取り付け面側ガイド壁部71は、下端面側で、取り付ける側の面11に対して段を形成する下端側ガイド段部71aと、上端側で第一縦方向ガタツキ防止壁部40にさらに近づくように下端側ガイド段部71aに対して段を形成する上端側ガイド段部71bを有してなる。
【0034】
ガタツキ防止壁側ガイド壁部72は、第一縦方向ガタツキ防止壁部40の壁内面40aに設けられ、取り付ける側の面11に平行な平行ガイド面72aと、平行ガイド面72aの上端から上方に向けて壁内面40aとの距離が小さくなるように傾斜された面である傾斜ガイド面72bとを有してなる。
【0035】
電線固定部80は、板状基部10の下端から下方に向けて片状に延出された部分であり、電線Wが嵌め込まれて保持されるようにその断面が電線Wの径に応じた半円状に形成されている。電線Wは、この電線固定部80に不図示の粘着テープ等で固定されるようになっている。
【0036】
ここで、
図8および
図9を用いて、端子保護カバー1に屈曲板状端子141を取り付ける手順について説明する。
図8および
図9は、端子保護カバー1に屈曲板状端子141を取り付ける手順を示した図である。
まず、作業者は、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143が第一縦方向ガタツキ防止壁部40の壁内面40a側に入り込むように屈曲板状端子141の移動を開始する(
図9(a)−
図9(c)参照)。ここで、屈曲板状端子141は、取り付けガイド壁部70によってガイドされながら移動される。
【0037】
その後、作業者は、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143が第一縦方向ガタツキ防止壁部40と第二縦方向ガタツキ防止壁部50との間に入り込むように屈曲板状端子141を移動させる(
図9(d)、
図9(e)参照)。この際、先端側屈曲部143の先端部分が回転軌跡を描くようにして移動されながら第一縦方向ガタツキ防止壁部40と第二縦方向ガタツキ防止壁部50との間に入り込む。
ここで、先端側屈曲部143の先端部分が各突出壁51の第二端縁面51aよりも上側に位置されながら移動されるものの、一対の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端縁面32aと同じ側の面52が、第二端縁面51aから上端縁面51bまで、立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されてなるので、各突出壁51が先端側屈曲部143に干渉されない。
【0038】
より具体的には、屈曲板状端子141は一対の突出壁51の近傍を移動される際、一対の突出壁51の各面52の間が相対的に短い位置となる面52の深い凹み位置に、屈曲板状端子141の円弧状の先細り先端部分を近接させた後、一対の突出壁51の各面52の間が比較して長い位置となる面52の浅い凹み位置に、屈曲板状端子141の円弧状の幅が拡大された部分を近接させるようにして移動される。すなわち、一対の突出壁51の各面52が傾斜されることによって、屈曲板状端子141の円弧状先端部分が干渉されないようになっている。
【0039】
その後、作業者は、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143が水平になり、その先端が第一縦方向ガタツキ防止壁部40と突出壁51との間から外方に出るように移動させることによって、屈曲板状端子141取り付け完了位置に配置する(
図9(f)参照)。これにより、屈曲板状端子141が、第一縦方向ガタツキ防止壁部40、第二縦方向ガタツキ防止壁部50、第三縦方向ガタツキ防止壁部60、一対の横方向ガタツキ防止壁部30によって囲われた位置に配置される。このため、屈曲板状端子141が、第一縦方向ガタツキ防止壁部40、第二縦方向ガタツキ防止壁部50、さらには第三縦方向ガタツキ防止壁部60によって縦方向の移動が規制され、一対の横方向ガタツキ防止壁部30によって横方向の移動が規制される。
【0040】
なお、屈曲板状端子141が取り付け完了位置に配置された後、作業者は電線Wを電線固定部80に粘着テープ等によって固定することによって、屈曲板状端子141を端子保護カバー1にさらに安定して固定させることができる。
【0041】
本発明の実施例に係る端子保護カバー1は、屈曲板状端子141が第一縦方向ガタツキ防止壁部40、第二縦方向ガタツキ防止壁部50、一対の横方向ガタツキ防止壁部60によって囲われた位置に先端側屈曲部143が配置されるようにして取り付けられ、しかも第二縦方向ガタツキ防止壁部50の立設方向先端縁面32aと同じ側の面52が、立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されているので、屈曲板状端子141が取り付けられる際、第二縦方向ガタツキ防止壁部50が干渉しないように、第二端縁面51aと第一端縁面41との間隔をできるだけ小さく設定することができるので、屈曲板状端子141が容易に取り付け可能であり、かつ屈曲板状端子141のガタツキを防止することができる。
【0042】
また、本発明の実施例に係る端子保護カバー1は、各突出壁51の立設方向先端縁面32aと同じ側の面52が、突出方向に向かって漸次厚みが減少されるように傾斜された面であるので、屈曲板状端子141の円弧状の先端部分が干渉されないように各突出壁の横断面積をできるだけ大きく設定できるので、各突出壁51の強度を増すことができるとともに、屈曲板状端子141の先端側屈曲部143の外面に向かい合う第二端縁面51aが大きく設定されることによって、屈曲板状端子141のガタツキ防止効果を高めることができる。
【0043】
また、本発明の実施例に係る端子保護カバー1は、対となる突出壁51の間に屈曲板状端子141に干渉しないように設けられた第三縦方向ガタツキ防止壁部60によって、屈曲板状端子141のガタツキ防止効果をさらに高めることができる。
【0044】
また、本発明の実施例に係る端子保護カバー1は、取り付けガイド壁部70によって、屈曲板状端子141を取り付け完了位置までガイドすることができるので、屈曲板状端子141を容易に取り付けることができる。
【0045】
また、本発明の実施例に係る電気接続箱100は、端子保護カバー1によって屈曲板状端子141が保護されるので、屈曲板状端子141が容易に取り付け可能であり、かつ屈曲板状端子141のガタツキを防止することができる。
【0046】
(変形例1)
次に、
図10を用いて本発明の実施例の端子保護カバー1の変形例1について説明する。
図10は、本発明の実施例の変形例1の端子保護カバー2の端子保持部200周辺を拡大した斜視図である。
この変形例1の端子保護カバー2は、端子保持部20に代わって端子保持部200を有してなる点で実施例の端子保護カバー1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0047】
端子保持部200は、第一縦方向ガタツキ防止壁部40と、第二縦方向ガタツキ防止壁部50と、を有してなり、第三縦方向ガタツキ防止壁部60を有しない。
【0048】
この変形例1の端子保護カバー2は、実施例の端子保護カバー1と同様に、屈曲板状端子141が容易に取り付け可能であり、かつ屈曲板状端子141のガタツキを防止することができる。
【0049】
(変形例2)
次に、
図11を用いて本発明の実施例の端子保護カバー1の変形例2について説明する。
図11は、本発明の実施例の変形例2の端子保護カバー3の端子保持部300周辺を拡大した斜視図である。
この変形例2の端子保護カバー3は、端子保持部20に代わって端子保持部300を有してなる点で実施例の端子保護カバー1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0050】
端子保持部300は、第二縦方向ガタツキ防止壁部310が、一対の突出壁311を有してなり、各突出壁311の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端縁面32aと同じ側の面320が、突出方向に向かって漸次厚みが減少されるように曲面をなしている。
【0051】
この変形例2の端子保護カバー3は、実施例の端子保護カバー1と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(変形例3)
次に、
図12を用いて本発明の実施例の端子保護カバー1の変形例3について説明する。
図12は、本発明の実施例の変形例3の端子保護カバー4の端子保持部400周辺を拡大した斜視図である。
この変形例3の端子保護カバー4は、端子保持部20に代わって端子保持部400を有してなる点で実施例の端子保護カバー1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0053】
端子保持部400は、第二縦方向ガタツキ防止壁部410が、第一縦方向ガタツキ防止壁部40に対して上側位置で一対の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端部32の間を橋渡す壁であり、横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端縁面32aと同じ側の面420が、立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されてなる。
【0054】
この変形例3の端子保護カバー4は、実施例の端子保護カバー1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(変形例4)
次に、
図13を用いて本発明の実施例の端子保護カバー1の変形例3について説明する。
図13は、本発明の実施例の変形例4の端子保護カバー5の端子保持部500周辺を拡大した斜視図である。
この変形例4の端子保護カバー5は、端子保持部20に代わって端子保持部500を有してなる点で実施例の端子保護カバー1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0056】
端子保持部500は、第二縦方向ガタツキ防止壁部510の各突出壁511の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端縁面32aと同じ側の面520が、第二端縁面511aから上側の所定の位置まで、立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されてなる。
【0057】
この変形例4の端子保護カバー5は、実施例の端子保護カバー1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(変形例5)
次に、
図14を用いて本発明の実施例の端子保護カバー1の変形例5について説明する。
図14は、本発明の実施例の変形例5の端子保護カバー6の端子保持部600周辺を拡大した斜視図である。
この変形例5の端子保護カバー6は、端子保持部20に代わって端子保持部600を有してなる点で実施例の端子保護カバー1と異なる。
なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0059】
端子保持部600は、第二縦方向ガタツキ防止壁部610の各突出壁611の横方向ガタツキ防止壁部30の立設方向先端縁面32aと同じ側の面620が、立設方向先端縁面32aに対して段差状に凹むように形成されてなる。
【0060】
この変形例5の端子保護カバー6は、各突出壁611の横断面積が小さくなってしまうものの、屈曲板状端子141に干渉されないように面620が立設方向先端縁面32aに対して凹むように形成されているので、実施例の端子保護カバー1と同様に屈曲板状端子141が容易に取り付け可能であり、かつ屈曲板状端子141のガタツキを防止することができる。また、面620が、立設方向先端縁面32aに対して段差状に凹むことによって、屈曲板状端子141の先端形状が円弧状でない直線形状であっても、干渉され難い。
【0061】
なお、本発明の実施例に係る端子保護カバー1,2,3,4,5,6は、電気接続箱100に組み込まれるものを例示したが、これに限らず、その他の電気接続ユニットに組み込まれるものであってもよい。
【0062】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。