【0015】
本人工知能の動作例を次に示す。人間から与えられた情報を使って会話および数々の問題を解くことができることを説明する。本問題に回答するために必要な情報(源泉)については事前に人工知能に教示した。次の会話では人工知能が知識を活用しながら人間との会話、質問に対応している。各会話において人工知能は特徴的なパターンを検出し問題の認識、識別、問題を解くために必要な処理プログラムの起動を自律的に行い、新しく生成した情報は知識としてパターン記録器に記録し知識の拡大を行っている。各会話における人工知能の処理の詳細については(処理1)〜(処理20)に示す。
NO(会話番号)人間と人工知能の会話
1 人間:初めまして
2 人工知能:私はアトムです(処理1)
3 私は人工知能です
4 人間:私は太郎です
5 人工知能:私の職業はアシスタントです(処理2)
6 太郎さんの職業は何ですか
7 人間:私の職業は教師です
8 人工知能:教師は大変ですね(処理3)
9 人間:私は物理を授業で教えています
10 人間:私はテニスを放課後部活で指導します
11 人工知能:太郎さんの趣味は何ですか(処理4)
12 人間:私の趣味はスポーツです
13 人工知能:スポーツと言えば(処理5)
14 ケイ選手は昨日テニス大会で優勝しました
15 ケイ選手は決勝戦でストレート勝ちです
16 すごいですね
17 人間:職業が何故アシスタントですか
18 人工知能:皆さんの役に立ちたいからです(処理6)
19 人間:アシスタントについて詳しく教えてください
20 人工知能:私は問題解決を支援します(処理7)
21 私は生活上の問題を扱えます
22 私は物理の問題を扱えます
23 私は数学の問題を扱えます
24 私は相談相手になります
25 人間:それでは質問に答えてください
26 人工知能:了解しました(処理8)
27 人間:生活上の問題です
28 人間:レストランについて教えてください
29 人間:どの店の予算が8000円以下ですか
30 人工知能:店Aの予算店Bの予算店Cの予算店Eの予算が8000円以下です(処理9)
31 人間:更にどの店の距離が1km以下ですか
32 人工知能:店Aの距離店Cの距離店Eの距離が1km以下です(処理10)
33 人間:更にどの店のおすすめが日本酒ですか
34 人工知能:店Cのおすすめ店Eのおすすめが日本酒です(処理11)
35 人間:生活上の問題です
36 人間:リンゴ3個の値段は300円です
37 人間:リンゴ5個の値段は何ですか
38 人工知能:リンゴ5値段は500円です(処理12)
39 人間:数学の問題です
40 人間:x0は4です
41 人間:x1は5です
42 人間:[2 d2x/_dtdt+3 d_x/_dt+1=0]
43 人工知能:方程式の解は以下です(処理13)
x=A exp(p1t)+B exp(p2t)
p1=−1 p2=−0.5
A=−14 B=18
44 人間:数学の問題です
45 人間:[f=x
**2+2x−4]
46 人間:[g=2x]
47 人間:fとgの交点は何ですか
48 人工知能:fとgの交点は−2と2です(処理14)
49 人間:fとgの囲む面積は何ですか
50 人工知能:fとgの囲む面積は10.6667です(処理15)
51 人間:物理の問題です
52 人間:ボールの初速はvです
53 人間:ボールの迎角はtです
54 人間:vは10m/sです
55 人間:tは45degです
56 人間:ボールの飛距離は何ですか
57 人工知能:飛距離は10.2041mです(処理16)
58 人間:物理の問題です
59 人間:バネの力は−kxです
60 人間:ダンパーの力は−d dx/dtです
61 人間:重力の力は+m_gです
62 人間:バネの力が物体Cに働きます
63 人間:ダンパーの力が物体Cに働きます
64 人間:重力の力が物体Cに働きます
65 人間:何が物体Cに働きますか
66 人工知能:バネの力が ダンパーの力が 重力の力が働きます(処理17)
67 人間: gは9.8です
68 人間: m_は1です
69 人間: kは1です
70 人間: dは1です
71 人間:運動の方程式は何ですか
72 人工知能:運動方程式は以下です(処理18)
g =9.8
m_ =1
k =1
d =1
d2x/_dtdt+(d/m_)d_x/_dt+(k/m_)x = g
73 人間:物理の問題です
74 人間:物体Dの形状は立方体です
75 人間:物体Dの辺はdです
76 人間:dは2です
77 人間:物体Dの重さは4です
78 人間:物体Dの比重は何ですか
79 人工知能:物体Dの比重は0.5です(処理19)
80 人間:物体Dの比重が1以下なら[条件文(条件部)]
81 人間:物体Dは浮かびます[条件文(処理部)]
82 人工知能:物体Dは浮かびます(処理20)
★★★★★以下は人工知能の処理(詳細)★★★★★
(処理1)………………………………
(1) 関連情報の抽出
挨拶文(はじめまして)検出
話者(相手)の情報(名前、職業)収集プログラム起動
話者(相手)の情報(名前)は未記録
(2) 人工知能(出力)
私はアトムです
私は人工知能です
(処理2)………………………………
(1) 関連情報の抽出
話者(相手)の情報(名前)を検出
話者(相手)の情報(名前)は 太郎
話者(相手)の情報(名前)は既に記録済
話者(相手)の情報(職業)は未記録
(2) 人工知能(出力)
私の職業はアシスタントです
太郎さんの職業は何ですか
(処理3)………………………………
(1) 関連情報の抽出
話者(相手)の情報(名前)は既に記録済
話者(相手)の情報(名前)は 太郎
職業に関する回答を検出
話者(相手)の情報(職業)は 教師
話者(相手)の職業に対する感想を検索・出力
(2) 人工知能(出力)
教師は大変ですね
(処理4)………………………………
(1) 関連情報の抽出
話者(相手)の情報(趣味)収集プログラム起動
話者(相手)の情報(趣味)は未記録
(2) 人工知能(出力)
太郎さんの趣味は何ですか
(処理5)………………………………
(1) 関連情報の抽出
話者(相手)の情報(趣味)を検出
話者(相手)の情報(趣味)は スポーツ
話者(相手)の趣味に対する関連ニュースを検索・出力
検出した関連情報の分析(「ストレート勝ち」を検出
検出した関連情報の評価(「ストレート勝ち」に対する評価「すごいですね」を検索
検出した関連情報の評価、感想を出力
(2) 人工知能(出力)
スポーツと言えば
ケイ選手は昨日テニス大会で優勝しました
ケイ選手は決勝戦でストレート勝ちです
すごいですね
(処理6)………………………………
(1) 関連情報の抽出
qqtype=6;//質問の種類を(何故**ですか)に設定
接続関係有り:接続数= 6
senconrel[i][j]= 1
senconrel[i][j]= 1
senconrel[i][j]= 1
senconrel[i][j]= 1
senconrel[i][j]= 1
senconrel[i][j]= 5
接続関係に理由の項目有り:検出
接続関係(理由)の接続先の文番号= 28
接続関係(理由)の文出力:皆さんの役に立ちたいからです
(2) 人工知能(出力)
皆さんの役に立ちたいからです
(処理7)………………………………
★★文間の接続関係を利用した関連情報のアクセス(例)★★
基準の文の表示
私の職業はアシスタントです
基準の文と関連文(接続関係)の数は 6
1 私は問題解決を支援します
(基準文との関係は[詳細])
2 私は生活上の扱えます
(基準文との関係は[詳細])
3 私は物理の扱えます
(基準文との関係は[詳細])
4 私は数学の扱えます
(基準文との関係は[詳細])
5 私は相談相手になります
(基準文との関係は[詳細])
6 皆さんの役に立ちたいからです
(基準文との関係は[理由])
(処理8)………………………………
(1) 関連情報の抽出
(質問・問題)に答えてください:検出
(2) 人工知能(出力)
了解しました
(処理9)………………………………
(1) 関連情報の抽出
★ (どの
**の○○が
**)問題を検出
問題解決のために抽出した関連記録ユニットの情報
番号 1 2 3 4 5
記録ユニット番号 10 11 12 13 14
数値 4000 6000 8000 10000 5000
★ 条件を満足する記録ユニット番号を出力
記録ユニット番号= 10 11 12 14
★ 回答 店Aの予算店Bの予算店Cの予算店Eの予算が8000円以下です
(2) 人工知能(出力)
店Aの予算店Bの予算店Cの予算店Eの予算が8000円以下です
(処理10)………………………………
(1) 関連情報の抽出
★ 記録した情報から選択する問題を検出
★ (どの
**の○○が
**)問題を検出
問題解決のために抽出した関連記録ユニットの情報
番号 1 2 3 4
記録ユニット番号 5 6 7 9
数値 0.5 1.2 0.8 0.3
★ 条件を満足する記録ユニット番号を出力
記録ユニット番号= 5 7 9
★ 回答 店Aの距離店Cの距離店Eの距離が1km以下です
(2) 人工知能(出力)
店Aの距離店Cの距離店Eの距離が1km以下です
(処理11)………………………………
(1) 関連情報の抽出
★ (どの
**の○○が
**)問題の検出
問題解決のために抽出した関連記録ユニットの情報
番号 1 2 3
関連ユニット番号 5 7 9
★ 条件を満足する単語番号を出力
回答の単語番号 単語 55 店Cのおすすめ
57 店Eのおすすめ
回答: 店Cのおすすめ店Eのおすすめが日本酒です
(2) 人工知能(出力)
店Cのおすすめ店Eのおすすめが日本酒です
(処理12)………………………………
(1) 関連情報の抽出
問題の回答に対応する検索データ無し
処理状況:値段を求める問題検出
処理状況:値段を求めるプログラム起動
処理状況:値段に関する関連情報 検出
処理状況:単価= 100
処理状況:総額= 500
(2) 人工知能(出力)
リンゴ5個の値段は500円です
(処理13)………………………………
(1) 関連情報の抽出
2次微分項の係数= 2
1次微分項の係数= 3
0次項の係数= 1
処理状況:微分方程式の問題解法プログラム起動
A d2x/_dtdt+B d_x/_dt+C=0 の解を求める
d_x/_dt(0)=x1,x(0)=x0
A=2 B=3 C=1
x1=5 x0=4
(2) 人工知能(出力)
回答:方程式の解は以下です
x=A exp(p1t)+B exp(p2t)
p1=−1 p2=−0.5
A=−14 B=18
(処理14)………………………………
(1) 関連情報の抽出
問題の回答に対応する検索データ無し
処理状況:交点を求める問題検出
処理状況:関数1の検索起動
処理状況:関数1= f
処理状況:関数1の係数表示 2次=1 1次=2 0次=−4
処理状況:関数2の検索起動
処理状況:関数2= g
処理状況:関数2の係数表示 2次=0 1次=2 0次=0
処理状況:関数(2−1)の係数表示
2次=−1 1次=0 0次=4
処理状況:交点検出
処理状況:X1=−2 X2=2
回答:交点は X1=−2 X2=2 です
(2) 人工知能(出力)
fとgの交点は−2と2です
(処理15)………………………………
(1) 関連情報の抽出
問題の回答に対応する検索データ無し
処理状況:交点を求める問題検出
処理状況:関数1の検索起動
処理状況:関数1= f
処理状況:関数1の係数表示 2次=1 1次=2 0次=−4
処理状況:関数2の検索起動
処理状況:関数2= g
処理状況:関数2の係数表示 2次=0 1次=2 0次=0
処理状況:関数(2−1)の係数表示
2次=−1 1次=0 0次=4
処理状況:交点検出
処理状況:X1=−2 X2=2
処理状況:積分[関数(2−1)]関数の係数表示
3次=−0.333333 2次=0 1次=4
処理状況:★★ 積分範囲[x1−x2]における積分値=10.6667
回答:面積は 10.6667 です
(2) 人工知能(出力)
fとgの囲む面積は10.6667です
(処理16)………………………………
(1) 関連情報の抽出
問題の回答に対応する検索データ無し
処理状況:飛距離を求める問題検出
処理状況:飛距離を求めるプログラム起動
処理状況:初速検索起動
処理状況:迎角検索起動
処理状況:初速情報の検出 v =10m/s
処理状況:迎角情報の検出 t =45 deg
処理状況:飛距離の導出(数値) 10.2041m
回答:飛距離は 10.2041 mです
(2) 人工知能(出力)
飛距離は 10.2041 mです
(処理17)………………………………
(1) 関連情報の抽出
★ (何が
**ですか)問題の検出
問題解決のために抽出した関連記録ユニットの情報
番号 1 2 3
記録ユニット番号 71 72 73
右項型 3 4 5
右項[3] − − +
右項[2] k d m_
右項[1] x x g
回答:バネの力が ダンパーの力が 重力の力が 働きます
(2) 人工知能(出力)
バネの力が ダンパーの力が 重力の力が働きます
(注)項の型定義
0:データ無し、1:記号、2:±記号、3:±記号・x、
4:±記号・d_x/_dt、5:±記号・記号、6:±d2x/_dtdt
(処理18)………………………………
(1) 関連情報の抽出
★ 型番号と記号番号で表示
左項数= 1
右項数= 3
左項型 6 0 0
左項[1] 37 0 0
左項[2] 142 0 0
左項[3] 91 0 0
左項[4] 40 0 0
左項[5] 28 0 0
右項型 3 4 5
右項[1] 38 38 37
右項[2] 78 71 142
右項[3] 91 91 74
右項[4] 40 40 40
右項[5] 28 28 28
★ 型番号と記号で表示
左項型 6 0 0
左項[1] +
左項[2] m_
左項[3] x
左項[4] /
左項[5] 1
右項型 3 4 5
右項[1] − − +
右項[2] k d m_
右項[3] x x g
右項[4] / / /
右項[5] 1 1 1
第2ステップ (移項処理)………………
★ 型番号と記号番号で表示
左項数= 2
右項数= 2
左項型 6 4 0
左項[1] 37 37
左項[2] 142 71
左項[3] 91 91
左項[4] 40 40
左項[5] 28 28
右項型 3 0 5
右項[1] 38 0 37
右項[2] 78 0 142
右項[3] 91 0 74
右項[4] 40 0 40
右項[5] 28 0 28
★ 型番号と記号で表示
左項型 6 4
左項[1] + +
左項[2] m_ d
左項[3] x x
左項[4] / /
左項[5] 1 1
右項型 3 0 5
右項[1] − +
右項[2] k m_
右項[3] x g
右項[4] / /
右項[5] 1 1
★ 型番号と記号番号で表示
左項数= 3
右項数= 1
左項型 6 4 3
左項[1] 37 37 37
左項[2] 142 71 78
左項[3] 91 91 91
左項[4] 40 40 40
左項[5] 28 28 28
右項型 0 0 5
右項[1] 0 0 37
右項[2] 0 0 142
右項[3] 0 0 74
右項[4] 0 0 40
右項[5] 0 0 28
★ 型番号と記号で表示
左項型 6 4 3
左項[1] + + +
左項[2] m_ d k
左項[3] x x x
左項[4] / / /
左項[5] 1 1 1
右項型 0 0 5
右項[1] +
右項[2] m_
右項[3] g
右項[4] /
右項[5] 1
第3ステップ (正規化処理)………………
左項型=6AND 定数項>0の場合の定数項番号=142
★ 型番号と記号番号で表示
左項数= 3
右項数= 1
左項型 6 4 3
左項[1] 37 37 37
左項[2] 28 71 78
左項[3] 91 91 91
左項[4] 40 40 40
左項[5] 28 142 142
右項型 0 0 5
右項[1] 0 0 37
右項[2] 0 0 28
右項[3] 0 0 74
右項[4] 0 0 40
右項[5] 0 0 28
★ 型番号と記号で表示
左項型 6 4 3
左項[1] + + +
左項[2] 1 d k
左項[3] x x x
左項[4] / / /
左項[5] 1 m_ m_
右項型 0 0 5
右項[1] +
右項[2] 1
右項[3] g
右項[4] /
右項[5] 1
★ 型番号と記号で表示
左項型 6 4 3
左項[1] + + +
左項[2] m_ d k
左項[3] x x x
左項[4] / / /
左項[5] 1 1 1
右項型 0 0 5
右項[1] +
右項[2] m_
右項[3] g
右項[4] /
右項[5] 1
第3ステップ (正規化処理)………………
左項型=6 AND 定数項>0の場合の定数項番号=142
★ 型番号と記号番号で表示
左項数= 3
右項数= 1
左項型 6 4 3
左項[1] 37 37 37
左項[2] 28 71 78
左項[3] 91 91 91
左項[4] 40 40 40
左項[5] 28 142 142
右項型 0 0 5
右項[1] 0 0 37
右項[2] 0 0 28
右項[3] 0 0 74
右項[4] 0 0 40
右項[5] 0 0 28
★ 型番号と記号で表示
左項型 6 4 3
左項[1] + + +
左項[2] 1 d k
左項[3] x x x
左項[4] / / /
左項[5] 1 m_ m_
右項型 0 0 5
右項[1] +
右項[2] 1
右項[3] g
右項[4] /
右項[5] 1
第4ステップ(運動方程式の表示)………………
回答:運動方程式は以下です
g =9.8
m_ =1
k =1
d =1
d2x/_dtdt+(d/m_)d_x/_dt+(k/m_)x = g
(2) 人工知能(出力)
運動方程式は以下です
g =9.8
m_ =1
k =1
d =1
d2x/_dtdt+(d/m_)d_x/_dt+(k/m_)x = g
(処理19)………………………………
(1) 関連情報の抽出
問題の回答に対応する検索データ無し
処理状況:比重を求める問題検出
処理状況:比重を求めるプログラム起動
処理状況:体積を求めるプログラム起動
処理状況:形状検索起動
処理状況:形状データ検出
処理状況:形状データ(立方体)検出
処理状況:辺情報の検出 2
処理状況:体積(数値)= 8
処理状況:重さ情報の検出 4
処理状況:比重(数値)= 0.5
(2) 人工知能(出力)
物体Dの比重は0.5です
(処理20)………………………………
(1) 関連情報の抽出
処理状況:条件部が成立したことを検出
処理状況:条件部が成立した場合の論理展開 出力
105 物体D
1 は
111 浮かびます
5 。
(2) 人工知能(出力)
物体Dは浮かびます
上記に示した本人工知能装置の動作に関し説明する。
NO1は初対面の人間に対する挨拶を生成する会話である。会話の生成過程の詳細については(処理1)に示す。(処理1)において「はじめまして」を検出し、話者(相手)の情報(名前、職業)に関する情報を収集するプログラムを起動している。それと同時に自己紹介である会話「私はアトムです」「私は人工知能です」を出力している。
次に人間(相手)の会話から相手の名前が「太郎」であることを検出している。ただし、相手の職業に関する情報は未入手であるので、職業に関する情報を収集するための会話「私の職業はアシスタントです」「太郎さんの職業は何ですか」を出力している。(処理2)
ここで相手の名前が「太郎」であることが知識として既に記録しているので、以降の会話での相手への呼びかけは「太郎さん」としている。
NO7は相手の職業に関する情報を収集し、その情報に関する人工知能の会話を生成する動作について示している。職業に関しては相手の会話から「教師」であることを知識として取得している。人工知能は「教師」に関して記録している自己の感想である「教師は大変ですね」を検索し、出力している。(処理3)
NO11は相手の名前、職業に関する情報を取得したので趣味に関する情報を取得するプログラムを起動している。(処理5)は相手の趣味が「スポーツ」であることを知識として取得したので、「スポーツ」に関するニュース、トピックス、話題が無いかを知識体系の中の情報を検索している。ニュースの中に人工知能がファンであるテニス選手に関するものが記録されていたので、その話題を「スポーツ」が趣味であることに絡めて「スポーツと言えば・・・」との会話に繋げている。所謂、連想記憶を利用した会話を実施している。また、ニュースの内容を単に紹介するだけでなく、ニュースの内容を分析しニュースの中から特徴的な単語「ストレート勝ち」を検出している。そして「ストレート勝ち」に対する評価として「すごいですね」を検索し、ニュースの紹介とともにニュースの評価、感想も合わせて出力している。このように知識体系に記録している情報間の関係性を活用することにより会話を深く掘り下げていくことが可能である。
NO17では人間が人工知能に発した人工知能の職業がなぜ「アシスタント」であるのかを質問している。(処理6)は質問に対する回答の生成過程を示している。人工知能は自己の職業である「アシスタント」に関する情報を知識体系から検索している。(処理7)は知識体系に記録している情報が関連情報と関係性を有して記録している様子を示している。(処理7)において基準の文「私の職業はアシスタントです」に関係性を有する文の数、関係性を有する文の接続先および基準文との関係が記録されており、基準文をベースとして関連する文が関係性を使用して検索できる動作について示している。(処理7)の例では基準文「私の職業はアシスタントです」に関連文は6個あり、接続関係が[詳細]が5個、接続関係が[理由]が1個あることを示している。人間の質問は何故「アシスタント」であるのかを聞いているので、検索された「アシスタント」に関する情報から接続関係が[理由]であるものを抽出している。本例では接続関係が[理由]であるものが1個あり、その抽出した結果「皆さんの役に立ちたいからです」を出力している。なお、[理由]に関する情報の抽出は上記に述べた接続関係を使用して抽出する方法の他に、構文分析において文を5W1Hに整理して記録しているので、何故を示す検索キー[H3][H4]([H3:何故]は検索する情報、[H4:アシスタント]は検索のキーワード)を使用する方法がある。
NO19では人間が人工知能の職業「アシスタント」の詳細について質問している。
図37は「アシスタント」に関する関連情報から接続関係が[詳細]であるものを検索している。接続関係が[詳細]を示すものが5個あり、検索した下記の5個の文を「アシスタント」に関する詳細な情報として出力している。
・私は問題解決を支援します
・私は生活上の問題を扱えます
・私は物理の問題を扱えます
・私は数学の問題を扱えます
・私は相談相手になります
NO25は人間が人工知能の出力した「私は問題解決を支援します」という発言を受け、「質問に答えてください」という依頼を発言し、これに対し人工知能は対応可能な依頼であると分析し、「了解しました」との回答を生成し出力している。
以下では人間が出力した様々な質問に対し人工知能が回答を生成する動作について説明する。人工知能は人間が出力した質問、問題を分析し、質問、問題を解決するために適切な処理プログラムを自律的に起動し回答を生成している。生成した回答は新しく獲得した知識として記録領域に格納し、将来関連する質問、問題を検出した際に利用することが可能なシステムとなっている。
NO27、28,29は予算(予算は8000円以下)を満足する店(レストラン)の候補
9)問題を検出することにより自律的に知識体系から問題に関連するデータ(本問題では予算のデータ)を検索している。検索したデータと質問の条件とを比較し条件を満足する候補を正しく抽出している。抽出した候補は処理用のデータを記録する記録領域に格納されている。
NO31ではNO29で生成した候補から更に追加の条件(距離が1km以下)を満足する候補を抽出している。
(処理9)において予算を満足する候補が4つに絞られている。(処理10)では4つの候補に対して距離の条件を満足する候補を絞り込む問題である。問題の種類を検出し4つの候補についての距離のデータを検索している。検索後、検索したデータと質問の条件とを比較し条件を満足する候補を正しく抽出している。抽出した候補は処理用のデータ記録器に格納されている。
NO33はNO31で生成した候補から更に追加の条件(おすすめは日本酒である店)を満足する候補を抽出している。(処理10)において3つに絞られた候補の「おすすめ」を検索し、「おすすめ」が「日本酒」であるか否かの判断を実施し、条件を満足するものが2つ「店C」と「店E」であることを正しく識別している。(処理11)
NO35、36、37は蓄積した知識を使って質問に回答する動作例について示している。知識としては「りんご3個の値段は300円です」が示されている。質問として「りんご5個の値段は何ですか」を入力したとする。この時、本人工知能装置は下記のような動作を実施し、質問に正しく回答することができる。(処理12)
ステップ1:質問に対応するデータ(「りんご」「5個の」「値段」)が知識として存在 するか検索する。(知識として存在していれば記録されているデータを使用 して回答を生成する。)
ステップ2:知識として存在していなければ関連情報を検索(「りんご」の「値段」)が 関連情報として存在するか検索する。(関連情報として「りんご」「3個の 」「値段」が「300円」であることを検出する。)
ステップ3:ステップ2で検出した関連情報を使って質問への回答を生成する。
(りんごの単価を計算し質問における個数「5個」の値段を算出し回答する 。)
各処理で生成した情報はパターン記録器の記録領域に格納し、後で実施する他の処理においても情報の利用が可能である。
NO39〜42は微分方程式の解を求める問題である。
図42は入力文として次の3つの文を入力している。(処理13)
・入力文1:x0は4です。
・入力文2:x1は5です。
・入力文3:2 d2x/dtdt+3 dx/dt+1=0
本人工知能装置は上記の入力により次の処理を逐次行っている。
・初期情報x0,x1を記録
・入力文3において入力された式が微分方程式であることを検出し解を求めるプログラム を起動
・入力文および記録した情報から微分方程式を解くために必要な情報(初期値x0,x1および微分方程式の係数(2次、1次、0次)の検索および識別を実施
・微分方程式の解(解の形および特性根)の導出
処理を実施し特性根(p1=−1.0,p2=−0.5)および初期条件から解の係数(A=−14,B=18)が正しく導出されている。
NO44〜47は2つの関数の交点を求める問題である。
図50は入力文として次の3つの文を入力している。(処理14)
・入力文2:g=2x
・入力文3:fとgの交点は何ですか。
本人工知能装置は上記の入力により次の処理を逐次行っている。
・関数fの特性抽出(2次係数、1次係数、0次係数)
・関数gの特性抽出(2次係数、1次係数、0次係数)
・関数h=g−fの係数算出(2次係数、1次係数、0次係数)
・h=0から交点x1,x2の導出
処理を実施し交点であるx1=−2,x2=2が正しく導出されている。
NO49は2つの関数が囲む面積を求める問題である。(処理15)
本人工知能装置は上記の入力により関数が囲む面積を求める問題であることを検出し次の処理を逐次行っている。
・関数fの特性抽出(2次係数、1次係数、0次係数)
・関数gの特性抽出(2次係数、1次係数、0次係数)
・関数h=g−fの係数算出(2次係数、1次係数、0次係数)
・h=0から交点x1,x2の導出
・関数h=g−fの積分を実施し積分[関数h=g−f]の係数を導出
・積分範囲[x1−x2]における積分値を導出
(2つの関数の囲む面積の処理には前出の2つの関数の交点を求める処理プログラムを一部活用している)
(処理15)に示すように積分値「10.666」が正しく求められている。
NO51〜56は物理の問題(質点の運動)である。(処理16)
ボールを初速:Vm/s、迎角:tdegで投げた場合の飛距離について求める問題である。
人工知能装置への知識としては▲1▼ボールの初速はVです。▲2▼ボールの迎角はtです。▲3▼Vは10m/sです。▲4▼tは45degです。が入力されている。次に人工知能装置への質問としてQ:ボールの飛距離は何ですか?という質問を入力している。この時、人工知能装置の処理状況を(処理16)に示す。人工知能装置はボールの飛距離に関するデータが既に存在する否かの確認を第1ステップとして実施している。飛距離に関するデータが存在していない事を確認すると、飛距離を導出するプログラムを起動し、ボールの初速および迎角に関するデータの検索を行っている。ボールの初速はV(記号)で数値は10m/sであること、ボールの迎角はt(記号)で数値は45degであることを知識がら検索している。
回答として正しく出力している。
NO58〜72は物理の問題(運動方程式の立て方)である。与えられた物理に関する知識(情報)から運動方程式を自律的に生成する動作例について示している。本問題はバネと減衰器を介した質量mの運動方程式を求める問題であり、解は下記となる。
運動方程式(解) d2x/dt2+(D/M)dx/dt+(K/M)x=g
NO58〜66は運動方程式に関する知識(情報)および質問を人工知能装置に入力している。入力した知識(情報)および質問が記録器の記録ユニットに格納されている様子を(処理17)に示す。
(処理17)は「何が物体に働きますか」という質問を入力している。この時、人工知能
律的に抽出している。本質問の関連情報は記録ユニットの番号71,72,73から検出されている。抽出された情報としては項の型、項の内容([3],[2],[1])である。
項の型の定義を下記に示す。型番号3は(±記号・x)の型であることを示している。同様に型番号4は(±記号・dx/dt)の型であること、型番号5は(±記号・記号)の型であることを示している。(処理17)において抽出した関連情報としては下記であることを示している。
記録ユニット71:‐kx
記録ユニット72:‐d dx/dt
記録ユニット73:+mg
0:データ無し、1:記号、2:±記号、3:±記号・x、
4:±記号・d_x/_dt、5:±記号・記号、6:±d2x/_dtdt
(処理18)は「運動方程式は何ですか」という質問を入力した時の動作例について示したものである。この時、本人工知能装置は下記のような動作を実施し、質問に正しく回答することができる。
ステップ0:質問に対応するデータ(運動方程式)が知識として存在するか検索する。
(知識として存在していれば記録されているデータを使用して回答を生成す る。)
ステップ1:知識として存在していなければ関連情報(物体に働く力:記録ユニット71 ,72,73の情報)から運動方程式を生成する。
ステップ2:式の整理(移項処理)
ステップ3:式の整理(正規化処理)
ステップ4:運動方程式の表示
(処理18)では処理の過程が分かるように各処理過程における項(左辺の項、右辺の項)の各要素を記号番号および記号で表示している。ステップ1においては以下の関係を使用して運動方程式が生成されている。
m d2/dt2= 物体に働く力(‐kx‐d dx/dt+mg)
ステップ2およびステップ3ではステップ1で生成した方程式を整理(移項および正規化)し、最終的な運動方程式を正しく導出している。
また求められた運動方程式に初期条件(x0,x1)を追加し
図42で説明した微分方程式の解を求める処理プログラムを起動することにより運動方程式の挙動を容易に求めることができる。本人工知能装置は数式(数、記号、演算子)を分析し、数字、記号、演算子等を構造化して記録しているので数式処理(式の変形、整理等)を実施することが可能である。また数式、方程式を解釈し、解を求めることも可能である。
NO73〜78は物理の問題(比重)である。(処理19)
物体の形状に関する情報(立方体)および寸法情報から体積を求め、物体の質量情報を検索することにより比重を求めている。
NO80、81の人間の会話は条件付き文である。人工知能は人間の会話の条件部「物体Dの比重が1以下なら」の成立性について分析している。人工知能は(処理19)により「物体Dの比重は0.5です」という知識を既に獲得しているので、この知識から条件付き文の条件部は成立していることを認識し、条件付き文の処理部「物体Dは浮かびます」を出力している。
以上では本人工知能装置が問題を解く実行例について示したが、ここで示した実行例以外の様々な問題に対しても解決できる能力を有している。一般的に次の条件を有し、人間が解ける問題に関しては本人工知能装置も解くことが可能である。
条件1:問題を解くために必要な情報およびパラメータが問題の中または過去に記録した 情報に含まれている。
条件2:問題を解くための情報およびパラメータの処理の仕方を定義することができる。
人間が問題を解く場合には、問題を解くうえで必要な情報を識別、検索し、検索した情報を知識として記録している問題を解くための情報の処理の仕方に沿って情報を処理し、解を導出する。本人工知能装置も全く同じ方法で解を導出することができる。
本人工知能装置は与えられた問題の識別、問題を解くためのキーパラメータの分析、キーパラメータの検索を実施し、問題を解くためのキーパラメータが検索できない場合は該当するキーパラメータを生成する処理プログラムを逐次起動して問題解決する。つまり、問題を解決するための手順を知識から検索し、検索した知識に基づいて問題の処理をブレークダウンしていく。問題を解くために必要なキーパラメータを識別し、キーパラメータの状態について知識体系から検索する。キーパラメータを知識体系から検索することができれば、検索したキーパラメータの状態を使用して問題を解く。キーパラメータを知識体系から検索することができない場合は、キーパラメータの状態を求めるための処理プログラムを起動する。処理プログラムを起動することにより、新たなキーパラメータの状態が必要になる場合があるが、上記の手順を繰り返すことにより新たなキーパラメータの検索または新たなキーパラメータの状態を求めるための処理プログラムを起動する。このような手順を繰り返すことにより当初に設定した問題を解決する。