特許第5910960号(P5910960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910960
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】アナログ式経過時間表示装置
(51)【国際特許分類】
   G04F 3/02 20060101AFI20160414BHJP
   G04F 3/06 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   G04F3/02 B
   G04F3/06 E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-126717(P2011-126717)
(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公開番号】特開2012-242374(P2012-242374A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月9日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510271336
【氏名又は名称】花岡 潤
(72)【発明者】
【氏名】花岡 潤
(72)【発明者】
【氏名】小平 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和義
(72)【発明者】
【氏名】岩垂 武志
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−018562(JP,U)
【文献】 特開2000−098058(JP,A)
【文献】 特開平05−196755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/00
G04B 19/04
G04B 45/00
G04F 3/00 − 08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の起点を示す指標を円環状に配列した固定表示板と、上記指標の一つを露出させる窓部が上記指標を通過するように設けられると共に上記指標と同心円に1周が複数分で回転する回転板と、この回転板を所定時間で回転させるアナログ時計ムーブメントとを備え、上記回転板の上記窓部が上記固定表示板の所定の上記指標を露出したときを起点として、上記回転板が1周して再び同じ上記指標を露出することにより所定の複数分の経過時間を表示するアナログ式経過時間表示装置であって、
上記固定表示板は上記回転板よりも大きく形成され、上記回転板の外周近傍に起点を示す表示具を設置可能な表示部を形成したアナログ式経過時間表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開始から終了までの経過時間を使用者に認識させるアナログ式経過時間表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、作業、調理、待機、運動、治療等を行うとき、開始から終了まで予め時間が定められる場合が多い。例えば、健康診断時の採血、或いは、治療のための静脈注射が施す際に、所定部位に採血針や注射針が穿刺される。その後、針を抜いた後には消毒用アルコール綿で穿刺部位を圧迫して止血する。穿刺部位を圧迫する時間は、一般的に約3分とされている。このように、止血するための圧迫時間を計測するために、通常の場合、時計を使用するが、被採血者側も圧迫時間が不明確になるために誤って外すことがあり、十分な止血ができない問題があった。
【0003】
この問題を解決する目的で、実用新案登録第3087743号(特許文献1)或いは、実用新案登録第3090260号(特許文献2)に、採血用のタイマー付き止血帯が提案されている。この止血帯は、採血用止血帯の外面に止血時刻通知タイマーが取り付けられ、採血用止血帯により穿刺部位を圧迫する時間を通知タイマーにより通知するようにしている。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3087743号公報
【特許文献2】実用新案登録第3090260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
健康診断は、多数の被採血者が連続して採血される。従って、被採血者が採血した後に穿刺部位を止血するために圧迫を開始する時刻は各々異なる。多数の被採血者が採血する場合には、上述した特許文献1或いは特許文献2に示されるタイマー付き止血帯を多数備える必要がある。このため、医療機関としては多額の費用が必要になることから、実際にはタイマー付き止血帯が殆ど実用に供されていないのが実情である。従って、採血等を行う現場では、穿刺部位の圧迫時間を被採血者に任せられ、適正な止血ができない問題は依然として解消されていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、この問題を解決し、多数の人が順次開始から終了までの予め定められた時間を視覚的に容易に計測することができ、しかも、1台の装置で多数の人が利用可能なアナログ式経過時間表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によるアナログ式経過時間表示装置は、複数個の起点を示す指標を円環状に配列した固定表示板と、上記指標の一つを露出させる窓部が上記指標を通過するように設けられると共に上記指標と同心円に1周が複数分で回転する回転板と、この回転板を所定時間で回転させるアナログ時計ムーブメントとを備え、上記回転板の上記窓部が上記固定表示板の所定の上記指標を露出したときを起点として、上記回転板が1周して再び同じ上記指標を露出することにより所定の複数分の経過時間を表示することを要旨としている。
【0008】
さらに、本発明のアナログ式経過時間表示装置は、回転板の上面に、この回転板よりも高速で回転する動作表示板を同軸に設け、利用する人が、視覚的に経過時間表示装置が動作していることを確認できるようにすることが望ましい。
【0009】
また、固定表示板を回転板よりも大きく形成することにより、上記回転板の外周近傍に起点を示す表示具を設置するような表示部を形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアナログ式経過時間表示装置によれば、固定表示板には、複数個の起点を示す指標が円環状に配列され、この指標と同心円に1周が複数分で回転する回転板には、上記指標の一つを露出させる窓部が設けられているので、アナログ時計ムーブメントによって回転板が回転するとき、開始時には、窓部に露出された指標を目視して起点とし、回転板が1回転して再び窓部に露出された同じ指標を目視したときを終了時とすることにより、予め定められた複数分の経過時間を視覚的に容易に計測することができる。これは多数の人が利用する場合でも同様であり、各々の人が、窓部に露出された指標を起点として開始し、回転板が1回転して再び窓部に同じ指標が露出したときを終了することにより、各々の人が所定の複数分の経過時間を視覚的に計測することができる。
【0011】
また、回転板の上面に、この1周が複数分で回転する回転板よりも高速で回転する動作表示板を同軸に設けることにより、利用する人が、視覚的に経過時間表示装置が動作していることを確認することが可能となる。
【0012】
さらに、固定表示板を回転板よりも大きく形成して、上記回転板の外周近傍に起点を示す表示具を設置するための表示部を形成することにより、開始時に窓部から目視した指標を忘れることが予測される場合であっても、表示具によって目視した指標を記憶することができることから、回転板が1回転して再び窓部に同じ指標が露出したとき、表示具の位置によって終了時を視覚的に認識することができるので、種々の人が利用可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明によるアナログ式経過時間表示装置は、複数個の起点を示す指標を円環状に配列した固定表示板と、上記指標の一つを露出させる窓部が上記指標を通過するように設けられると共に上記指標と同心円に1周が複数分で回転する回転板と、この回転板を所定時間で回転させるアナログ時計ムーブメントとを備えている。上記回転板の上記窓部が上記固定表示板の所定の上記指標を露出したときを起点として、上記回転板が1周して再び同じ上記指標を露出することにより所定の複数分の経過時間を表示する。
【0014】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明によるアナログ式経過時間表示装置を示す平面図である。固定表示板1は、例えば、プラスチック板や木製板によって円盤上に形成されている。固定表示板1の表面には、複数個の起点を示す指標2円環状に配列されている。図1に示す実施例においては、起点を示す指標2として、子、丑、寅といった十二支が等間隔に配列している。
【0015】
固定表示板1の裏面には、図2に示すように、アナログ時計用のムーブメント3が配設され、固定表示板1に穿設された透孔1aから、回転軸4を表面側に突出させている。回転軸4は、2重構造となっていて、外側の筒状軸が一般の時計における分針駆動用の軸に相当し、内側の軸が一般の時計における秒針駆動用の軸に相当する。ムーブメント3の構成としては、一般に周知の時計用の構成と同様であり、詳細な説明は省略するが、周知の時計と相違する点は、外側の筒状軸が、例えば3分、5分、10分等の予め設定された所定の分複数分の時間で1周するように設定されていることである。すなわち、3分、5分、10分といった複数分で1周するように回転することは、周知の時計に例えるならば、分針のようなものである。また、内側の軸については、周知の時計の秒針と同様に1分で1周するように設定しても良いが、これに限らず、少なくとも外側の筒状軸よりも高速で回転するように設定されている。
【0016】
固定表示板1の表面には、図2に示すように、回転板5が回転軸4の外側の筒状軸の上端に載置固定されている。回転板5は、図1に示すように、指標2の一つを露出させるための窓部6が設けられている。図1に示す実施例においては、窓部6として、回転板5の一部を半円状に切開している。そして、窓部6は、指標2を通過する位置に設けられ、指標2の一つを露出させ、他の指標2は遮蔽するようにしている。このため、ムーブメント3の回転駆動によって回転板5が回転すると、窓部6から子、丑、寅といった十二支からなる指標2が順次一つづつ露出される。
【0017】
回転板5の上面側には、図1及び図2に示すように、動作表示板7が回転軸4の内側の軸の上端に載置固定されている。このように、回転板5と同軸に設けられた動作表示板7は、回転板5よりも高速で回転し、利用者が視覚的にアナログ式経過時間表示装置が動作していることを確認できるようにしている。
【0018】
次に、本発明によるアナログ式経過時間表示装置の動作を前述した健康診断において、複数の被採血者が連続して採血される場合を想定して説明する。経過時間表示装置の回転板5は、ムーブメント3の回転駆動によって1周を3分で矢示の方向に回転している。いま、被採血者Aが採血を行い、針を抜いた後に消毒用アルコール綿で穿刺部位を圧迫して止血を始める。このとき、被採血者Aは、図3(A)に示す回転板5を目視する。回転板5には起点を示す指標2の一つを露出させるための窓部6が設けられているので、固定表示板1の表面に配列された指標2の一つが露出されている。図3(A)に示す時点では「卯」の指標2が露出されているので、被採血者Aは、この「卯」の指標2を目視し起点として記憶する。その後、図3(B)に示すように回転板5が回転し、やがて図3(C)に示すように、「卯」の指標2が露出される。この時点で3分が経過し、被採血者Aは穿刺部位の圧迫を終了する。
【0019】
被採血者Aが止血を開始した後、暫くしてから被採血者Bが採血を行い、穿刺部位を圧迫して止血を始める。このとき、被採血者Bは回転板5を目視して回転板5の窓部6に露出された指標2の一つとして例えば「申」を起点として記憶する。被採血者Aは止血中である。その後、所定の3分が経過すると、回転していた回転板5の窓部6から「申」の指標2が露出され、被採血者Bは穿刺部位の圧迫を終了する。このように、多数の被採血者が順次採血を行った後、穿刺部位を圧迫して止血を始めるとき、各々の被採血者が回転板5の窓部6に露出された指標2を起点として目視し、回転板5が回転して再び窓部6に露出された同じ指標2を目視することにより終了までの複数分の経過時間を認識することができる。
【0020】
図4は、本発明によるアナログ式経過時間表示装置の第2の実施例を示し、前述した経過時間表示装置と相違している点は、固定表示板1を回転板5よりも大きく形成し、回転板5の外周近傍に表示部7を形成したことである。そして、表示部7には、起点を示す表示具8が設置される。表示具8としては、マグネットボタンまたはマグネットシートが好適である。このマグネットボタン等を使用する場合には、固定表示板1の材質を鉄板等の磁性としている。また、表示具8としては、面ファスナーを使用することができ、この場合は、固定表示板1の表面にも面ファスナーを設けられる。
【0021】
被採血者が採血して止血を始めた後、被採血者の中には開始時に窓部6から目視した指標2を忘れることある。この場合、窓部6に対応する表示部7に表示具8を取り付けることにより、開始したときの指標2を表示具8が記憶する。これにより、回転板5が1回転して再び窓部6に同じ指標2が露出したとき、表示具8の位置によって終了時を視覚的に認識することができる。図4に示すように、予め複数の形状の表示具8を用意することにより、複数の被採血者が開始時の指標2を各々記憶することができる。
【0022】
図5は、本発明によるアナログ式経過時間表示装置の第3の実施例を示し、固定表示板と回転板の形状、或いは、窓部の形状を変更した例である。すなわち、固定表示板10は四角形に形成され、その中心には、前述した実施例と同様に、複数個の指標11が円環状に配列されている。また、回転板12は正六角形に形成され、指標11の一つを露出する回転板12の窓部13が四角形に形成されている。このように、固定表示板10や回転板12、窓部13の形状は種々に変更することができる。
【0023】
図6は、本発明によるアナログ式経過時間表示装置の第4の実施例を示し、前述した図1等に示した指標2をアルファベットに変更して例を示している。このように、指標は、利用者が記憶し易い文字、記号、イラスト等とすることが望ましい。
【0024】
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施例においては、回転板が1周する時間を3分とした例を示したが、一般の作業、調理、待機、運動、治療等を行うときの開始から終了まで予め定められた複数分の時間に応じて、変更しても良い。また、固定表示板や回転板を平板状に形成した例を示したが、略皿状に形成する等、立体的に構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、種々の経過時間を多数の人が認識するための経過時間表示装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるアナログ式経過時間表示装置を示す平面図である。
図2図1に示すアナログ式経過時間表示装置を示す断面図である。
図3】(A)(B)(C)アナログ式経過時間表示装置の動作を示す説明図である。
図4】本発明によるアナログ式経過時間表示装置の第2の実施例を示す平面図である。
図5】本発明によるアナログ式経過時間表示装置の第3の実施例を示す平面図である。
図6】本発明によるアナログ式経過時間表示装置の第4の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 固定表示板
2 指標
3 ムーブメント
5 回転板
6 窓部
7 動作表示板
8 表示具
図1
図2
図3
図4
図5
図6