特許第5910969号(P5910969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マーベル ワールド トレード リミテッドの特許一覧

特許5910969LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ
<>
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000002
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000003
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000004
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000005
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000006
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000007
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000008
  • 特許5910969-LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910969
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20160414BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20160414BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
   H01L33/00 400
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-544730(P2012-544730)
(86)(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公表番号】特表2013-514671(P2013-514671A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】US2010060401
(87)【国際公開番号】WO2011075499
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年11月18日
【審判番号】不服2014-23503(P2014-23503/J1)
【審判請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/288,221
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/328,567
(32)【優先日】2010年4月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/965,001
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502188642
【氏名又は名称】マーベル ワールド トレード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ワンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、アルバート
【合議体】
【審判長】 河原 英雄
【審判官】 ▲高▼ 芳徳
【審判官】 近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−232062(JP,A)
【文献】 特開2008−91311(JP,A)
【文献】 特開2006−140438(JP,A)
【文献】 特開2008−258428(JP,A)
【文献】 特開2007−324416(JP,A)
【文献】 特開2009−59835(JP,A)
【文献】 特開2006−19594(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0021180(US,A1)
【文献】 特表2010−533975(JP,A)
【文献】 特開平9−26530(JP,A)
【文献】 特表2005−521205(JP,A)
【文献】 特表2008−507150(JP,A)
【文献】 特開2006−237104(JP,A)
【文献】 特開2006−245336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
H01S5/00-5/50
H01L27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオード(LED)と、
パルス幅変調(PWM)パルスを発生して前記複数のLEDを駆動する制御モジュールと
を備え、
前記複数のLEDおよび前記制御モジュールは、集積回路(IC)パッケージ内に集積され、かつ前記ICパッケージ内で単一のダイ配置されており、
前記ダイは、
第1面、および前記第1面とは反対側の第2面を有するセラミック層と、
前記制御モジュールを含むシリコン層と
を有し、
前記複数のLEDは、前記セラミック層の前記第1面に隣接して配置され、
前記セラミック層の前記第1面は、反射材料でコーティングされており、
前記シリコン層は、前記セラミック層の前記第2面に隣接し、
前記複数のLEDは、前記シリコン層に電気的に接続されており、
前記ダイは、前記制御モジュールによって発生された前記PWMパルスに基づいて前記複数のLEDに電力を供給するバック電源のインダクタンスおよびキャパシタンスのうち少なくとも一方を含む金属コア層をさらに有し、
前記金属コア層は、前記シリコン層の、前記セラミック層とは反対側の面に配置されている、
システム。
【請求項2】
前記複数のLEDは封止されておらず、
前記複数のLEDは、互いに直列に接続されている
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のLEDは、前記セラミック層に貫通孔を用いることにより、前記シリコン層に電気的に接続されている
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のLEDは、ボンドワイヤを用いることにより電気的に接続されている
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ダイは、複数のツェナーダイオードをさらに有し、
前記複数のツェナーダイオードのうち少なくとも1つは、前記複数のLEDのうち対応する1つに接続され、
前記複数のツェナーダイオードは、前記セラミック層の前記第1面に隣接して配置され、または前記シリコン層内に配置される
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
複数の発光ダイオード(LED)と、
パルス幅変調(PWM)パルスを発生して前記複数のLEDを駆動する制御モジュールと
を備え、
前記複数のLEDは、集積回路(IC)パッケージ内で第1のダイ上に配置されており、
前記制御モジュールは、前記ICパッケージ内で第2のダイ上に配置されており、
前記第2のダイは、
前記第1のダイに隣接する第1面、および前記第1面とは反対側の第2面を有するセラミック層と、
前記制御モジュールを含み、前記セラミック層の前記第2面に隣接するシリコン層と
を有し、
前記複数のLEDは、前記シリコン層に電気的に接続されている
システム。
【請求項7】
前記第1のダイは、複数のツェナーダイオードをさらに有し、
前記複数のツェナーダイオードのうち少なくとも1つは、前記複数のLEDのうち対応する1つに接続されている
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のLEDは、ボンドワイヤを用いて電気的に接続されている
請求項またはに記載のシステム。
【請求項9】
前記第2のダイは、前記制御モジュールにより発生された前記PWMパルスに基づいて前記複数のLEDに電力を供給するバック電源のインダクタンスとキャパシタンスのうち少なくとも一方を含む金属コア層をさらに有し、
前記金属コア層は、前記シリコン層の、前記セラミック層とは反対側の面に配置されている
請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ICパッケージは、前記複数のLEDに隣接する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第2面は露出パッドを有する
請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ICパッケージは、前記複数のLEDに隣接する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、ヒートシンクが前記第2面に取り付けられている
請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主にLEDに基づくディスプレイに関し、特に、LEDに基づくディスプレイ用の集積型バック電源アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2009年12月18日出願の米国仮出願第61/288,221号および2010年4月27日出願の米国仮出願第61/328,567号の利益を主張する2010年12月10日出願の米国出願第12/965,001号の優先権を主張する。上記出願の開示内容の全体を本明細書に参照として組み込む。
【0003】
本明細書において提供される背景についての記載は、開示内容の背景を全般的に提示することを目的とする。本願において名前を提示された発明者の本背景技術の項目に記載される仕事と、出願時に先行技術としての条件を満たさない本記載の側面とは、明示的にも黙示的にも本開示内容に対する先行技術と自認するものでない。
【0004】
発光ダイオード(LED)のPN接合は、順方向バイアスされたときに発光する。一般的に、LEDはエネルギー効率が良く、信頼性があり、保守の必要性が低く、環境に優しい。したがって、LEDに基づくディスプレイ(照明器具)は、住居用および商用に様々に用いられている。たとえば、ディスプレイは、電子レンジ、広告看板、産業用の制御パネル、街灯等に使用されている。
【0005】
LEDの明度は、通常、PN接合が順方向バイアスされたときのPN接合に流れる順方向電流の関数である。明度はさらに、PN接合の温度(接合温度)の関数でもある。PN接合に印加される順方向電圧によって、PN接合に流れる順方向電流が決まる。順方向電圧も、接合温度の関数である。
【0006】
LEDコントローラは、接合温度の変化に基づいてLEDに流れる電流を制御する。電流を制御することにより、LEDコントローラは、LEDの明度を所定のレベルに維持する。LEDに電力を供給するべく、複数種類のスイッチモード電源(SMPS)が使用される。たとえば、SMPSは、バックSMPS(buck SMPS)、ブースト(SMPS)、フライバックSMPS等であってよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
システムは、複数の発光ダイオード(LED)と、パルス幅変調(PWM)パルスを発生してLEDを駆動する制御モジュールとを備える。LEDおよび制御モジュールは、集積回路(IC)パッケージに集積されている。
【0008】
その他の特性においては、LEDは封止されておらず、LEDは、互いに直列に接続されている。
【0009】
その他の特性においては、LEDおよび制御モジュールは、ICパッケージ内でダイ上に配置されている。ダイは、第1面、および第1面とは反対側の第2面を有するセラミック層と、シリコン層とを有する。LEDは、セラミック層の第1面に隣接して配置されている。シリコン層は、制御モジュールを含む。シリコン層は、セラミック層の第2面に隣接している。LEDは、シリコン層に電気的に接続されている。
【0010】
その他の特性においては、LEDは、セラミック層に貫通孔を用いることにより、またはボンドワイヤを用いることにより、シリコン層に電気的に接続されている。
【0011】
その他の特性においては、ダイは、複数のツェナーダイオードをさらに有する。ツェナーダイオードのうち少なくとも1つは、LEDのうち対応する1つに接続されている。ツェナーダイオードは、セラミック層の第1面に隣接して配置されているか、またはシリコン層内に配置されている。
【0012】
別の特性においては、セラミック層の第1面は、反射材料でコーティングされている。
【0013】
その他の特性においては、ダイは、制御モジュールによって発生されたPWMパルスに基づいてLEDに電力を供給するバック電源のインダクタンスおよびキャパシタンスのうち少なくとも一方を含む金属コア層をさらに有する。金属コア層は、シリコン層の、セラミック層とは反対側の面に配置されている。
【0014】
その他の特性においては、LEDは、ICパッケージ内で第1のダイ上に配置されており、制御モジュールは、ICパッケージ内で第2のダイ上に配置されている。
【0015】
その他の特性においては、第1のダイは、複数のツェナーダイオードをさらに有する。ツェナーダイオードのうち少なくとも1つは、LEDのうち対応する1つに接続されている。
【0016】
その他の特性においては、第2のダイは、第1のダイに隣接する第1面、および第1面とは反対側の第2面を有するセラミック層と、シリコン層とを有する。シリコン層は、制御モジュールを含む。シリコン層は、セラミック層の第2面に隣接する。LEDは、シリコン層に電気的に接続されている。LEDは、ボンドワイヤを用いて電気的に接続されている。
【0017】
その他の特性においては、第2のダイは、制御モジュールによって発生されたPWMパルスに基づいてLEDに電力を供給するバック電源のインダクタンスおよびキャパシタンスのうち少なくとも一方を含む金属コア層をさらに有する。金属コア層は、シリコン層のセラミック層とは反対側の面に配置されている。
【0018】
その他の特性においては、ICパッケージは、LEDに隣接する第1面と、第1面とは反対側の第2面とを有する。第2面は、露出パッドを有する。
【0019】
その他の特性においては、ICパッケージは、LEDに隣接する第1面と、第1面とは反対側の第2面とを有する。ヒートシンクが、第2面に取り付けられている。
【0020】
別の特性においては、ICパッケージのサイズは、LEDのルーメン対ワット比に基づいて決定される。
【0021】
別の特性においては、ICパッケージのサイズは、LEDのルーメン対ワット比に反比例する。
【0022】
別の特性においては、LEDおよび制御モジュールは、単一の実装プロセスを用いてICパッケージに集積される。
【0023】
さらに他の特性においては、方法は、複数の発光ダイオード(LED)を集積回路(IC)パッケージ内に配置する段階と、制御モジュールを用いてパルス幅変調(PWM)パルスを発生してLEDを駆動する段階とを備える。LEDおよび制御モジュールは、ICパッケージ内に集積されている。LEDは封止されておらず、互いに直列に接続されている。方法は、複数のツェナーダイオードをICパッケージ内に配置する段階と、ツェナーダイオードのうち少なくとも1つを、LEDのうち対応する1つに接続する段階と、LED、制御モジュール、およびツェナーダイオードを、単一の実装プロセスを用いてICパッケージ内に集積する段階とをさらに備える。
【0024】
本開示内容のさらなる応用領域が、詳細な記載、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。詳細な記載および特定の実施例は、例示目的だけを意図されており、本開示内容の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
開示内容は、詳細な記載および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0026】
図1】LED用のバック電源の概略図である。
【0027】
図2】集積されたトランジスタQ、ダイオードD、およびLEDを示すLED用バック電源の概略図である。
【0028】
図3】集積されたトランジスタQ、ダイオードD、LED、および制御モジュールを示すLED用バック電源の概略図である。
【0029】
図4】集積されたLEDストリングおよびリニアレギュレータを示すLED用リニア電源の概略図である。
【0030】
図5A】LEDと、LED用のバック電源またはリニア電源の構成要素とを備える集積回路(IC)パッケージの多様な構成を示す。
図5B】LEDと、LED用のバック電源またはリニア電源の構成要素とを備える集積回路(IC)パッケージの多様な構成を示す。
図5C】LEDと、LED用のバック電源またはリニア電源の構成要素とを備える集積回路(IC)パッケージの多様な構成を示す。
図5D】LEDと、LED用のバック電源またはリニア電源の構成要素とを備える集積回路(IC)パッケージの多様な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の記載は、本来的に例示的であり、開示内容またはその用途もしくは利用を限定することは全く意図されていない。明瞭性を期する目的で、図面において同一の参照番号を使用して類似の要素を表す。本明細書において使用されるA、B、およびCの少なくとも1つという文言は、論理学上の非排他的論理ORを用いる(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきである。方法に含まれる各段階は、本開示内容の原理を変更することなく異なる順序で実行してよい。
【0032】
本明細書において使用されるモジュールという文言は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ(共有、専用、もしくはグループ)、記載される機能を提供するその他の適切な部材、または上記のうちのいくつかもしくは全てをたとえばシステムオンチップのように組み合わせたものを示してよく、それの一部であってよく、もしくは、それを含んでよい。モジュールという文言は、プロセッサにより実行されるコードを格納するメモリ(共有、専用、もしくはグループ)を含んでよい。
【0033】
上に使用されたコードという文言は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含んでよく、プログラム、ルーチン、関数、クラス、および/またはオブジェクトを示してよい。上に使用された共有という文言は、複数のモジュールからのコードのうちいくつかもしくは全てを単一の(共有)プロセッサを使用して実行してよいことを意味する。さらに、複数のモジュールからのコードのうちいくつかもしくは全てを単一の(共有)メモリに格納してよい。上に使用されたグループという文言は、単一のモジュールからのコードのうちいくつかもしくは全てをプロセッサ群を使用して実行してよいことを意味する。さらに、単一のモジュールからのコードのうちいくつかもしくは全てをメモリ群を使用して格納してよい。
【0034】
図1を参照すると、LED用の典型的なバック電源100が示されている。バック電源100は、制御モジュール102、トランジスタQ、ダイオードD、インダクタンスL、入力キャパシタンスCin、出力キャパシタンスC、および負荷としてのLEDを備える。キャパシタンスCinおよびC、並びにインダクタンスLは、バック電源100の受動的構成要素である。
【0035】
AC/DC変換器またはDC/DC変換器(不図示)は、入力電圧Vinをバック電源100に供給する。バック電源100は、LED間に出力電圧Vを発生させる。入力キャパシタンスCinは、入力電圧Vinをフィルタリングする。出力キャパシタンスCは、出力電圧Vをフィルタリングする。
【0036】
制御モジュール102は、パルス幅変調(PWM)を用いてパルスを生成し、トランジスタQを所定のデューティサイクルで駆動する。トランジスタQがオンしているとき、インダクタンスL、LED、およびトランジスタQを電流が流れる。トランジスタQがオフしているとき、インダクタンスL、LED、およびダイオードDを電流が流れる。
【0037】
バック電源100において、入力キャパシタンスCinおよび出力キャパシタンスCは、一般的に電解キャパシタンスである。電解キャパシタンスの寿命は、通常、約10時間である。対照的に、LEDは、通常、平均故障間隔(MTBF)が約10から10時間である。電解キャパシタンスはLEDより寿命が短いので、電解キャパシタンスを用いたLEDに基づくディスプレイは、LEDの寿命よりも早くに寿命が終わる傾向がある。
【0038】
さらに、電解キャパシタンスの大きさおよび電解キャパシタンスによるフィルタリングの質は、これらキャパシタンスの値に比例する。つまり、フィルタリングの程度を高めるには、より大きい電解キャパシタンスが通常用いられる。したがって、バック電源のいくつかの構成要素は集積回路(IC)に集積することができるのであるが、電解キャパシタンスはICに集積できない。さらに、バック電源のシリコン系構成要素(silicon−based components)をICパッケージに実装するには、LEDを実装するのとは異なる実装プロセスが必要である。したがって、LEDおよびバック電源のシリコン系構成要素のICパッケージへの実装には問題がある。
【0039】
本開示内容は、LEDおよびバック電源のシリコン系構成要素をICパッケージに実装するにおいて、単一の実装プロセスを用いることに関する。具体的には、非封止型LED(つまり、樹脂またはレンズ等の材料によって封止されていないLED;つまり、LEDのシリコン系部位(silicon−based portions))およびバック電源のシリコン系構成要素をダイ上に配置することができる。ダイをICパッケージに実装する。
【0040】
または、非封止型LEDを第1のダイに配置し、バック電源のシリコン系構成要素を第2のダイに配置することができる。第1のダイを貫通孔、ワイヤボンディング、またはその他の種類の接続を用いて第2のダイに電気的に接続する。第1のダイおよび第2のダイをICパッケージに実装する。
【0041】
非封止型LEDを含む層とバック電源のシリコン系構成要素を含むシリコン層との間にセラミック層を設けることができる。セラミック層は、LEDを含む層とシリコン層との間の膨張係数の差を補償する。さらに、任意のヒートシンクもしくは露出パッド(exposed pad;E−パッド)をICパッケージ上に設けて熱を放散させることもできる。
【0042】
さらに、LEDに基づくディスプレイは、バック電源において入力フィルターキャパシタンスおよび出力フィルターキャパシタンスとして非電解キャパシタンスを用いることにより長寿命化することができる。たとえば、電解キャパシタンスの代わりに、セラミックキャパシタンスもしくは薄膜キャパシタンスを用いてよい。バック電源の非電解キャパシタンスおよびインダクタンスは、ICパッケージの金属コア層に集積することができる。
【0043】
図2から図4を参照すると、バック電源の様々な構成要素をICパッケージに集積することができる。通常、異なる種類のシリコン系構成要素をICパッケージに集積するには、異なる実装プロセスが用いられる。たとえば、第1の実装プロセスを用いてトランジスタおよびダイオードをICパッケージに集積し、第1の実装プロセスとは異なる第2の実装プロセスを用いてLEDをICパッケージに集積してよい。しかし、本開示内容によると、単一の実装プロセスを用いてLEDおよびバック電源のその他のシリコン系構成要素をICパッケージに集積してよい。さらに、ICパッケージは、バック電源の受動的構成要素を実装するために用いられる金属コア層を含む。金属コア層は、ICパッケージのLEDおよびその他の構成要素が発する熱を放散させる。金属コア層は、アルミニウム、銅合金、鉄合金、または炭素であってよい。金属コア層の組成は、ICパッケージの熱放散および重量等の要因により決まる。
【0044】
たとえば、図2では、ダイオードD、トランジスタQ、およびLEDをICパッケージに集積することができ、単一の実装プロセスを用いてダイオードD、トランジスタQ、およびLEDをダイ上に集積してよい。さらに、受動的構成要素(つまり、インダクタンスL並びにキャパシタンスCinおよびC)は、ICパッケージの金属コア層に集積することができる。
【0045】
図3では、ダイオードD、トランジスタQ、およびLEDに加えて、制御モジュール102をダイ上に集積することができる。繰り返すが、単一の実装プロセスを用いてダイオードD、トランジスタQ、LED,および制御モジュール102をダイ上に集積してよい。さらに、受動的構成要素(つまり、インダクタンスL並びにキャパシタンスCinおよびC)は、ICパッケージの金属コア層に集積することができる。
【0046】
図2および図3では、キャパシタンスCinおよびCは、非電解キャパシタンスである。たとえば、キャパシタンスCinおよびCは、セラミックキャパシタンスもしくは薄膜キャパシタンスを含むことができる。AC/DC変換器が入力電圧Vinを供給する場合、入力キャパシタンスCinは、以下のように選択することができる。入力キャパシタンスCinは、出力電圧Vより高い入力電圧Vinを保持するのに十分な値を有することができる。DC/DC変換器が入力電圧Vinを供給する場合、入力電圧Vinは出力電圧Vより高い。さらに、制御モジュール102は、力率を補正することができる。
【0047】
図4では、LEDストリング用リニア電源200が示されている。LEDストリングは、直列接続された複数のLEDを含む。図示のように、ツェナーダイオード(Z)が、各LEDに接続されている。ツェナーダイオードは、ツェナーダイオードに接続されたLEDが誤動作したときに電流を伝導する。したがって、LEDストリングは、LEDストリングに含まれるLEDが誤動作したとき、用を成せなくならない。
【0048】
リニア電源200は、リニアレギュレータ202を備える。リニアレギュレータ202、制御モジュール204およびトランジスタQを有する。制御モジュール204は、トランジスタQを所定の振幅に駆動する制御信号を生成する。リニアレギュレータ202は、LEDストリングを流れる電流を定数に制御する。
【0049】
リニアレギュレータ202、LEDストリング、およびツェナーダイオードは、ICパッケージに集積することができる。リニアレギュレータ202、LEDストリング、およびツェナーダイオードは、単一の実装プロセスを用いてダイ上に集積することができる。または、LEDストリングを第1のダイ上に配置し、リニアレギュレータ202を第2のダイ上に配置することができる。ツェナーダイオードは、第1のダイまたは第2のダイに含めることができる。第1のダイは、貫通孔、ワイヤボンディング、またはその他の種類の接続を用いて第2のダイに電気的に接続される。第1のダイおよび第2のダイは、単一の実装プロセスを用いてICパッケージに実装される。
【0050】
バック電源100と異なり、リニア電源200は、インダクタンスL、ダイオードL、もしくは出力キャパシタンスCを用いない。リニア電源200の入力キャパシタンスCinは、セラミックキャパシタンスまたは薄膜キャパシタンスを含むことができる。入力キャパシタンスCinは、ICパッケージの金属コア層に集積することができる。
【0051】
図5Aから5Dを参照すると、LEDと、バック電源100またはリニア電源200の1つ以上の構成要素とを含むICパッケージが示されている。図示のLEDは、封止されていない。図5Aおよび5Bは、LEDと、バック電源100またはリニア電源200の1つ以上の構成要素とが単一のダイに配置されたICパッケージを示す。図5Cおよび5Dは、LEDが第1のダイに配置され、バック電源100またはリニア電源200の1つ以上の構成要素が第2のダイに配置されたICパッケージを示す。
【0052】
図5Aから5Dでは、参照番号によって示される要素は、例示目的においてだけ図示されている。要素は、いかなる尺度に合わせても図示されていない。図面は、図示される要素の実際の配置を表していない。以下の記載では、図4に示されるLEDおよびリニア電源200は、例示としてだけ用いられる。以下に記載される教示は、1つ以上のLED、および図2図3とに示されるバック電源100の1つ以上の構成要素を集積するのに適用することができる。
【0053】
図5Aでは、ICパッケージ300は、LED302−1、302−2、・・・、および302−N(まとめて、LED302)を備え、Nは、1より大きい整数である。さらに、ICパッケージ300は、セラミック層304、シリコン層306、金属コア層308、およびヒートシンク310を備える。ヒートシンク310は任意である。LED302、セラミック層304、シリコン層306、および金属コア層308は、単一のダイ上に配置される。
【0054】
セラミック層304は、LED302とシリコン層306との間にバッファを提供する。セラミック層304は、LED302とシリコン層306との間の膨張係数の差を補償する。セラミック層304のLED302に隣接する面は、LED302が発光した光を反射する反射材料でコーティングすることができる。反射性コーティングは、たとえば、二酸化チタン(TiO)、銀コーティング、金属コーティング、またはミラーコーティング(mirror coating)であってよい。
【0055】
シリコン層306は、リニア電源200のリニアレギュレータ202、およびツェナーダイオード(まとめて、リニア電源200のシリコン系構成要素)を含む。さらに、シリコン層306は、LED302およびリニア電源200のシリコン系構成要素用の静電放電(ESD)保護を含んでよい。LED302のコンタクト312は、図示のように、セラミック層304にボンドを有する貫通孔316を用いることにより、シリコン層306のコンタクト314に電気的に接続してよい。
【0056】
金属コア層308は、リニア電源200の受動的構成要素(たとえば、キャパシタンスCin)を含む。ヒートシンク310は任意である。または、ICパッケージの露出した金属プレートである露出パッド(E−パッド)(不図示)を用いることができる。E−パッドは、通常、ICパッケージのリードと同一の金属(たとえば、スズ)もしくは合金でメッキされる。E−パッドは、プリント配線基板(PCB)に直接的に半田付けされる。E−パッドによって、ICパッケージの電力損失特性が高められる。
【0057】
図5Bでは、ICパッケージ350はボンドワイヤを用いる。LED302のコンタクト312は、以下のようにボンドワイヤ320を用いることにより、シリコン層306のコンタクト314に電気的に接続される。LED302のコンタクト312を、ボンドワイヤ320を用いてセラミック層304上のコンタクト318に電気的に接続する。セラミック層304のコンタクト318を、図示のようにセラミック層304にボンドを有する貫通孔316を用いて、シリコン層306のコンタクト314に電気的に接続する。ICパッケージ350は、図5Aを参照して記載したように、セラミック層304、シリコン層306、金属コア層308、任意のヒートシンク310等を備える。
【0058】
図5Cでは、ICパッケージ370は、2つのダイを備える。第1のダイ372は、図示のように接続されたLED302およびツェナーダイオード303を有する。第2のダイは、セラミック層304、リニア電源200のリニアレギュレータ202を含むシリコン層306、および金属コア層308を有する。例示目的において、2つのダイが、点線375−1および375−2により隔離されて図示されているが、2つのダイは互いに電気的および/熱的に接触している。ヒートシンク310は任意である。または、E−パッドを使用することができる。
【0059】
LED302のストリングの第1端は、第1のダイ372上のコンタクト374に接続されている。LED302のストリングの第2端は、第1のダイ372上のコンタクト376に接続されている。コンタクト374および376は、図示のようにセラミック層304にボンドを有する貫通孔316を用いることにより、シリコン層306のコンタクト378および380にそれぞれ電気的に接続されている。
【0060】
図5Dでは、ICパッケージ390は、図5Cを参照して記載したように2つのダイを備える。ICパッケージ390は、ボンドワイヤを用いる。コンタクト374および376は、ボンドワイヤ396を用いて、セラミック層304上のコンタクト392および394に電気的に接続されている。セラミック層304のコンタクト392および394は、図示のようにセラミック層304にボンドを有する貫通孔316を用いて、シリコン層306のコンタクト378および380に電気的に接続されている。
【0061】
ICパッケージ300、350、370、および390において、LED302およびリニア電源200の構成要素が集積される1つ以上のダイのサイズ(つまり、ダイサイズ)は、LED302のルーメン対ワット比によって決まる。したがって、ICパッケージ300、350、370、および390のサイズも、LED302のルーメン対ワット比によって決まる。
【0062】
特に、ダイサイズ(およびICパッケージのサイズ)は、LED302のルーメン対ワット比に反比例する。これは、LED302のルーメン対ワット比が増えるにつれ、より少ない数のLEDで所望の光量を発光できるからである。使用されるLEDの数が少なくなるので、LED302が発する熱が少なくなる。したがって、LED302のルーメン対ワット比が高いほど、ダイサイズ並びにICパッケージ300、350、370、および390のサイズが小さくなる。
【0063】
または、ルーメン対ワット比が比較的低いLEDを用いる場合、所望の光量を発光するにはより多くのLEDが必要になる。LED302の数が増えるほど、LED302が発する熱の量が増える。したがって、ルーメン対ワット比が比較的低いLEDを用いる場合には、ヒートシンクまたはE−パッドを用いてLED302が発した熱を放散することができる。
【0064】
図示されていないが、ICパッケージ300、350、370、および390において、LED302は、シリコン層306のシリコン系構成要素に、その他の方法で(たとえば、フリップチップボンディングを用いて)電気的に接続することができる。さらに、ウェハレベルボンディングの一種であるAu−Sn共晶接合を用いてダイと、ICパッケージ300、350、370、および390の基板とを接合することができる。基板は、上部に回路が形成もしくは製造される支持材料である。Au−Sn共晶接合によって、ダイと基板との間に電気的接触が与えられる。さらに、Au−Sn共晶接合によって、ダイに機械的な支持が与えられ、ICパッケージの放熱特性が改善される。
【0065】
本開示内容の広範な教示は、多様な形態で実施することができる。したがって、本開示内容は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討することでその他の変形例が明らかになるので、本開示内容の真実の範囲を特定の例だけに限定するべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D