(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5910983
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20160414BHJP
A45D 40/00 20060101ALI20160414BHJP
A45D 40/18 20060101ALI20160414BHJP
A45D 40/24 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
A45D33/00 625A
A45D33/00 625C
A45D40/00 L
A45D40/18 A
A45D40/24 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-241150(P2011-241150)
(22)【出願日】2011年11月2日
(65)【公開番号】特開2013-94481(P2013-94481A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2014年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140915
【氏名又は名称】株式会社カツシカ
(72)【発明者】
【氏名】並木 貴弘
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−182113(JP,U)
【文献】
実開昭63−8807(JP,U)
【文献】
実開昭59−90713(JP,U)
【文献】
実開昭59−101915(JP,U)
【文献】
実開平2−32716(JP,U)
【文献】
実公昭14−2304(JP,Y1)
【文献】
米国特許第4579133(US,A)
【文献】
特開2002−253335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00−40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(1)の基部(3)より基部(3)の軸線方向に伸びた化粧料(9)を収納する化粧料収納部(6)と塗布具(11)を収納する塗布具収納部(7)と、該基部(3)に抜脱可能に嵌合し、化粧料収納部(6)と塗布具収納部(7)を被うキャップ(2)とよりなり、
該本体(1)及びキャップ(2)の横断面形状が多角形状をしており、前記化粧料収納部(6)の化粧料(9)を収納する化粧料収納面(8)を横断面の対角線と平行に設け、該化粧料収納面(8)の縁部に基部(3)の軸線と平行に化粧料収納面(8)を被う中蓋(13)を蝶着し、該中蓋(13)により前記化粧料収納部(6)と塗布具収納部(7)とを区画し、化粧料収納面(8)を容器で得られるほぼ最大の面積としたことを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記中蓋(13)の前記化粧料収納面(8)と対向した面に、鏡(14)が貼着されてなり、鏡(14)を容器で得られるほぼ最大の面積としたことを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記塗布具収納部(7)の基部(3)側側壁に、塗布具(11)を抜脱可能に挿入保持する挿入孔(15)が穿設されてなり、塗布具(11)の全長を長くできることを特徴とする請求項1,2いずれかの項記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記塗布具(11)の横断面形状が縦横比の大きい非円形状をしており、該塗布具(11)が塗布具収納部(7)内に、横断面の長径方向と前記化粧料収納面(8)が平行になるよう収納されてなり、塗布具(11)の幅を広くできることを特徴とする請求項1,2,3いずれかの項記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、などの固形若しくは練り状の化粧料を底の浅い皿体に充填して収納した化粧料容器に関するものであり、さらに詳しく言えば、化粧料のほかに化粧に必要な塗布具や鏡を効率良く、使い勝手良く収納した化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、などの固形若しくは練り状の化粧料と、それに対応した塗布具などをひとつの容器に収納した化粧料容器は数多く提案されている。このうち特許文献1及び特許文献2には、台座より軸心方向に伸びた支持部を成形し、この支持部の一面に、固形若しくは練り状の化粧料を充填した皿体を収納し、反対面に収納した化粧料に対応する塗布具を収納保持する窪みを設け、台座に嵌合するキャップにより支持部を覆う化粧料容器が提案されている。また、特許文献3には、塗布具、化粧料を収容した基体を筒状ケース体内にスライド自在に収納し、基体の外側面に鏡を貼着し、基体をスライドさせることによって鏡を外部に露出させ、鏡を使用する化粧料容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−86014号公報
【特許文献2】実開昭62−182113号公報
【特許文献3】実開昭64−33923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献の構成の場合、容器形態が通常の棒状化粧料容器と同じ筒状の形態となるため、ハンドバッグなどに入れ携帯するのに適した形状となっていた。しかし、特許文献1及び2の容器を使用する場合、キャップを抜脱し、容器を横にして塗布具を取り出し、容器を逆さにして塗布具に化粧料を付着させ塗布するという手順となり、使い勝手があまり良くなかった。同様に、特許文献3の容器を使用する場合も、化粧料の収納面と鏡の貼着面が同一面でないため、容器を90度回転させて化粧料を塗布具に付着させ、再度容器を90度回転させて鏡を見ながら塗布するというように、使い勝手が良くなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本体1の基部3より軸線方向に伸びた化粧料9を収納する化粧料収納部6と塗布具11を収納する塗布具収納部7と、この基部3に抜脱可能に嵌合し、化粧料収納部6と塗布具収納部7を被うキャップ2とよりなり、この本体1及びキャップ2の横断面形状が多角形状をしており、前記化粧料収納部6の化粧料9を収納する化粧料収納面8を横断面の対角線と平行に設け、この化粧料収納面8の縁部に軸線と平行に化粧料収納面8を被う中蓋13を蝶着し、この中蓋13により前記化粧料収納部6と塗布具収納部7とを区画する。
【0006】
また、本体1及びキャップ2の横断面形状を縦横比の大きい非円形状とし、前記化粧料収納部6の化粧料9を収納する化粧料収納面8を横断面の長径方向と平行に設けても良いものである。
【0007】
また、前記中蓋13の前記化粧料収納面8と対抗した面に、鏡14を貼着しても良いものである。
【0008】
また、前記塗布具収納部7の基部3側側壁に、塗布具11を抜脱可能に挿入保持する挿入孔15を穿設しても良いものである。
【0009】
前記塗布具11の横断面形状が縦横比の大きい非円形状をしており、この塗布具11を塗布具収納部7内に、横断面の長径方向と前記化粧料収納面8が平行になるよう収納しても良いものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上のように、化粧料収納面8を容器横断面形状の対角線と平行か、若しくは長径方向と平行に設けたため、化粧料収納面8を容器外形状の割りに大きな面積とすることができ、結果化粧料9の露出面積を大きくすることができ、塗布具11に化粧料を付着させる際の使い勝手が向上する。
【0011】
同様に、化粧料収納面8を被う中蓋13も容器外形状の割りに大きな面積を持っているため、この中蓋13に貼着される鏡14も大きくすることができ、鏡14の使い勝手も良くなる。さらに鏡14は、中蓋13の化粧料収納面8に相対する面に貼着しているため、中蓋13を開いたとき、鏡14と化粧料収納面8の化粧料9が同一の視野中に収まり、鏡14を見ながらの塗布作業が行える。
【0012】
本発明は以上のような配置であるため、キャップ2を抜脱し、塗布具11を取り出し、中蓋13を開いて鏡14を見ながら塗布具11に化粧料9を付着させて塗布するという一連の操作が本体1を持ち替えたり、回転させたりすることなく行えるため、使い勝手が極めて向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明一実施例の化粧料容器の使用状態の斜視図。
【
図3】本発明一実施例の化粧料容器のキャップ嵌合状態の斜視図。
【
図5】本発明一実施例の化粧料容器のキャップ抜脱状態の斜視図。
【
図7】本発明その他の実施例の化粧料容器の使用状態の斜視図。
【
図9】本発明化粧料容器に収納される塗布具の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
【
図1】本発明一実施例の化粧料容器の使用状態の斜視図。
【
図3】本発明一実施例の化粧料容器のキャップ嵌合状態の斜視図。
【
図5】本発明一実施例の化粧料容器のキャップ抜脱状態の斜視図。
【
図7】
本発明化粧料容器に収納される塗布具の断面図。
【0015】
前記収納部4は、横断面の略四角形状の対角で分割されており、それぞれ横断面が略三角形状の化粧料収納部6と塗布具収納部7とに分かれている。この化粧料収納部6は、本体1の基部3より略三角柱状に立設している。この化粧料収納部6の、塗布具収納部7と分割された面は、化粧料収納面8となっており、この化粧料収納面8より収納凹所31を刻設している。
【0016】
この収納凹所31には、皿体10を収納している。この皿体10は、合成樹脂により成形しており、仕切り32が設けられ、4種類の口紅、アイシャドウ、アイブロウ、などの固形若しくは練り状の化粧料9を充填している。
【0017】
この化粧料収納面8の縁部には、軸線と平行に蝶番12が設けられ、中蓋13が開閉自在に蝶着している。この中蓋13は、閉じたとき前記化粧料収納面8を被い、化粧料収納部6と塗布具収納部7を区画しており、開くとこの区画が除去される。この中蓋13の化粧料収納面8に向かい合う面には、鏡14が貼着され、中蓋13を開いたとき鏡14と化粧料収納面8が連続した面となる。
【0018】
また、中蓋13の基部がわ端部側壁18には、係合突部19を突設し、前記基部3側壁には、中蓋13が閉じたとき係合突部19が係合し、中蓋13が不用意に開かないように保持する係合部20を突設している。この係合突部19と係合部20の係合力は、携帯時などの衝撃では容易に外れなく、中蓋13の開放操作では容易に外れるように調整している。
【0019】
塗布具収納部7の基部3がわ側面には、塗布具11が挿入される挿入孔15が穿設されている。この挿入孔15は縦横比の大きい略トラック形状をしており、長径が前記化粧料収納面8と平行に位置している。この挿入孔15の長辺部16内面には、弾性保持部17が突設している。
【0020】
次に、塗布具収納部7に収納される塗布具11について説明する。塗布具11は両端が開口した本体パイプ21と、両端に塗布部22、23を止着したスライダー24とよりなっている。
【0021】
本体パイプ21は、横断面が前記塗布具収納部7の挿入孔15の形状よりも相似でやや小さいトラック形状をしており、挿入孔15に抜き差し可能になっている。この挿入孔15内壁に設けられた弾性保持部17は本体パイプ21外壁に弾性を有して当接しており、塗布具11が挿入孔15より不用意に脱落しないようになっている。この本体パイプ21と弾性保持部17の保持力は、携帯時などの衝撃では容易に外れなく、塗布具11の抜き差し操作では容易に外れるように調整している。
【0022】
この本体パイプ21内には、スライダー24が摺動自在に内装している。このスライダー24の側壁には、スライドボタン25が突設している。このスライドボタン25の接合部には、スライドボタン25の幅よりも若干幅の広いストッパー26を設けている。また、スライダー24のスライドボタン25下方には、切り欠き27を設け、スライドボタン25が弾性を有して上下動するようになっている。また、スライダー24の両端には、ブラシ毛を口金29、30により保持した塗布部22、23を設けている。
【0023】
前記本体パイプ21側壁には、スライダー24のスライドボタン25が貫通するガイド溝28を穿設している。このガイド溝28の幅は、前記スライドボタン25の幅よりも広く、ストッパー26の幅よりも狭くなっている。
【0024】
このガイド溝28の両端及び中央には、ロック部33、34及び中央ロック部35を設けている。このロック部33,34及び中央ロック部35の長さ及び幅は前記スライダー24のストッパー26よりも若干大きくなっており、ストッパー26がロック部33、34及び中央ロック部35に係合し、スライダー24の摺動をロックすることができる。そして、前記スライドボタン25を下方に押圧することによってストッパー26がもぐり、ストッパー26とロック部33、34若しくは中央ロック部35の係合が解除し、スライド操作が可能となる。
【0025】
このロック部33,34は、ストッパー26とロック部33、34が係合したとき、スライダー24の端部に止着された塗布部22、23が本体パイプ21の端部より突出して塗布可能となる位置に設けている。また中央ロック部35は、ストッパー26とロック部33、34が係合したとき、スライダー24の端部に止着された塗布部22、23の双方が本体パイプ21内に収納する位置に設けている。
【実施例】
【0026】
以上、発明を実施するための形態を図によって説明したが、図は実施の一例であり、本発明を限定するものではない。
【0027】
本体1及びキャップ2の横断面形状は略四角形状について説明したが、横断面は四角形状ばかりでなく、多角形状若しくは、楕円形、トラック形などの長手、短手方向のある形状に対して実施可能である。この横断面が多角形状の場合、化粧料収納面は対角線と平行に設け、横断面が長手、短手方向のある形状の場合、化粧料収納面は長手方向と平行に設ける。(
図7及び
図8)
【0028】
前記塗布部22、23はブラシ毛を口金29,30によって束ねた構成を説明したが、塗布具に装着する塗布部は、ブラシ毛を束ねた筆、スポンジチップ、軸と一体となった成形ブラシ、コームなど自由に設定可能である。同様に、塗布具11(本体パイプ21)の横断面形状もトラック形状について説明したが、収納する塗布部の形状にあわせ、自由に設定可能である。たとえば、塗布部がリップブラシ、アイライナーブラシなどの丸筆の場合、塗布具(本体パイプ)は円筒形状となる。また、塗布部がシャドウブラシなどの平筆の場合や、スポンジチップの場合には、塗布具(本体パイプ)の横断面形状は略楕円形状や略トラック形状となる。
【0029】
前記化粧料収納面8に一ヶ所の収納凹所31を刻設し、この収納凹所31に収納される皿体10は、合成樹脂製で、4つに区画されたもの1つを収納する構成について説明したが、収納凹所の数、収納区画数、皿体の材質、皿体の収納数など設定は自由である。たとえば、化粧料収納面に3ヶ所の収納凹所を刻設し、この収納凹所それぞれに1つに区画された金属製の皿体を収納することも可能である。この場合、収納できる化粧料は3種になる。
【0030】
前記皿体10には、4種類の化粧料9が収納可能となっているが、収納できる化粧料の組み合わせは自由である。たとえば、収納する化粧料を口紅、アイシャドウ、アイライナーなど、異なる種類を組み合わせたり、口紅など単一の化粧料に限定し、異なる色を組み合わせたり、異なる種類、色を組み合わせたりすることが可能である。
【0031】
前記中蓋13を閉じた状態で保持する閉鎖機構は、係合突部19と係合部20の係合機構ばかりでなく、説明した以外の係合機構や、磁石による吸着機構も実施可能である。またこの閉鎖機構は必須ということではなく、特に機構を設けず、蝶番のフリーストップに依存した構成でも良い。
【0032】
前記塗布具収納部7には、1本の塗布具11が収納できる構成を説明したが、複数本の塗布具を収納できるようにすることも可能である。この場合、すべての塗布具を抜脱した後、中蓋を開く必要がある。
【0033】
前記挿入孔15の形状は、前記塗布具11の本体パイプ21の横断面形状と相似形状にした構成を説明したが、それ以外の形状にして、収納できる塗布具に汎用性を持たせることも可能である。この場合、挿入孔側面に突設する弾性保持部の形状を調整することにより可能となる。
【0034】
前記塗布具11は、両端から異なる塗布部を繰り出すスライドタイプの塗布具について説明したが、その他の構成の塗布具も収納可能であることはいうまでもない。たとえば、塗布部の繰上げ下げ機構のない筆タイプや、片方のスライドタイプなど、回転繰り出し機構などである。特に塗布部の出没機構のない筆タイプの場合、塗付部を挿入孔に挿入する際に塗布部が損傷し易くなるため、軸部分を挿入保持させる。
【符号の説明】
【0035】
1 本体
2 キャップ
3 基部
6 化粧料収納部
7 塗布具収納部
8 化粧料収納面
9 化粧料
11 塗布具
13 中蓋
14 鏡
15 挿入孔