【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。尚、各例中、部及び%は特記しない限りすべて重量基準である。各例の物性値は、以下の方法により測定した値である。
【0028】
(1)粘度
B型粘度計を用いて、25℃にて測定した。
(2)重量平均分子量
以下の測定条件にて測定した。
GPC本体:東ソー(株)製
カラム:東ソー(株)製ガードカラムPWXL1本およびGMPWXL2本(温度40℃)
溶離液:N/2酢酸緩衝液(N/2酢酸(和光純薬工業(株)製)+N/2酢酸ナトリウム(キシダ化学(株)製)水溶液、pH約4.2)
流速:0.8ml/分
検出器:
LALLS法;東ソー(株)製濃度検出器(RI−8010)および光散乱検出器(LS−8000)(室温)
RALLS法;ビスコテック社製TDA
MODEL301(濃度検出器および90°光散乱検出器および粘度検出器(温度40℃))
(3)PCD電位計による測定電位
PCD電位計PCD02(MUTEC社製)を用いて、(メタ)アクリルアミド系重合体の濃度を0.2重量%に調整し、酸塩基成分によりpHを7.0に調整した水溶液を測定した。
【0029】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管および2つの滴下ロートを備えた反応装置に、イオン交換水350部を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、90℃まで加熱した。一方の滴下ロートにアクリルアミド322部、イタコン酸19.2部、メタアリルスルホン酸ナトリウム5.4部、75%ジメチルアミノエチルアクリレ−トのベンジルクロライド4級化物水溶液70.6部、メチレンビスアクリルアミド0.76部およびイオン交換水672部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。また、他方の滴下ロートに過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水180部を入れた。次に、両方の滴下ロートより系内にモノマーおよび触媒を約3時間かけて滴下した。滴下終了後過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を入れ1時間保温し、イオン交換水100部を投入し、固形分20.2%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0030】
実施例2
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水260部を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、90℃まで加熱した。一方の滴下ロートにアクリルアミド321部、62.5%硫酸24部、80%アクリル酸水溶液28.1部、メタアリルスルホン酸ナトリウム6.6部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド48.7部、メチレンビスアクリルアミド0.8部およびイオン交換水1250部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。また、他方の滴下ロートに過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水180部を入れた。次に、両方の滴下ロートより系内にモノマーおよび触媒を約3時間かけて滴下した。滴下終了後過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を入れ1時間保温し、イオン交換水170部を投入し、固形分20.4%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0031】
実施例3
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水304部を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、90℃まで加熱した。一方の滴下ロートにアクリルアミド336部、62.5%硫酸20部、80%アクリル酸水溶液18.9部、メタアリルスルホン酸ナトリウム6.6部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド41.0部、メチレンビスアクリルアミド0.8部およびイオン交換水909部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。また、他方の滴下ロートに過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水180部を入れた。次に、両方の滴下ロートより系内にモノマーおよび触媒を約3時間かけて滴下した。滴下終了後過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を入れ1時間保温し、イオン交換水185部を投入し、固形分20.5%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0032】
実施例4
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド316部、62.5%硫酸23部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト47.3部、イタコン酸29.4部、メタアリルスルホン酸ナトリウム6.4部、メチレンビスアクリルアミド0.77部及びイオン交換水1260部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水340部を投入し、固形分20.3%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0033】
実施例5
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水330部を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、90℃まで加熱した。一方の滴下ロートにアクリルアミド335部、62.5%硫酸16部、80%アクリル酸水溶液28.6部、メタアリルスルホン酸ナトリウム8.4部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト33部、メチレンビスアクリルアミド0.82部およびイオン交換水580部を仕込み、硫酸によりpHを3に調整した。また、他方の滴下ロートに過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水180部を入れた。次に、両方の滴下ロートより系内にモノマーおよび触媒を約3時間かけて滴下した。滴下終了後過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を入れ1時間保温し、イオン交換水100部を投入し、固形分25.3%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0034】
実施例6
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド342部、62.5%硫酸16部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド32.5部、イタコン酸20.3部、メタアリルスルホン酸ナトリウム4.1部、メチレンビスアクリルアミド0.8部及びイオン交換水1760部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水470部を投入し、固形分15.3%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0035】
実施例7
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド340部、62.5%硫酸16部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト32.6部、イタコン酸20.3部、メタアリルスルホン酸ナトリウム6.6部、メチレンビスアクリルアミド0.8部、硫酸アンモニウム200部及びイオン交換水1260部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水110部を投入し、固形分30.4%、粘度(25℃)が1,000mPa・sの共重合体分散液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体分散液の性状値を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド342部、62.5%硫酸16.5部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト33.7部、80%アクリル酸水溶液29部、メタアリルスルホン酸ナトリウム0.9部及びイオン交換水1260部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水320部を投入し、固形分20.2%、粘度(25℃)が10,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0037】
比較例2
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド345部、62.5%硫酸16部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド32.7部、イタコン酸20.4部、メタアリルスルホン酸ナトリウム1.7部及びイオン交換水1260部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水310部を投入し、固形分20.3%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例1で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0038】
比較例3
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド329部、62.5%硫酸48.1部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト48.1部、イタコン酸16.6部、メタアリルスルホン酸ナトリウム5.7部、メチレンビスアクリルアミド0.79部及びイオン交換水1212部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水365部を投入し、固形分20.4%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例1で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0039】
比較例4
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド332部、62.5%硫酸23.6部、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト48.3部、イタコン酸13.3部、メタアリルスルホン酸ナトリウム5.7部、メチレンビスアクリルアミド0.79部及びイオン交換水1260部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水340部を投入し、固形分20.3%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0040】
比較例5
実施例1と同様の反応装置に、アクリルアミド310部、75%ジメチルアミノエチルアクリレ−トの4級化物水溶液102.3部、イタコン酸6.2部、メタアリルスルホン酸ナトリウム6.0部及びイオン交換水1250部を仕込み、窒素ガスを通じて反応系の酸素を除去した。系内を55℃にし攪拌下に重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部とイオン交換水10部を投入した。90℃まで昇温した後30分保温し、過硫酸アンモニウム0.4部とイオン交換水10部を投入して1時間保温した。重合終了後、イオン交換水270部を投入し、固形分20.3%、粘度(25℃)が8,000mPa・sの共重合体水溶液を得た。本実施例で用いたモノマー成分と比率、及び得られた共重合体水溶液の性状値を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
また、実施例中の略語の名称を以下に示す。
AM:アクリルアミド
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
DMAEA−BQ:ジメチルアミノエチルアクリレートのベンジルクロライド4級化物
AA:アクリル酸
IA:イタコン酸
SMAS:メタアリルスルホン酸ナトリウム
MBAA:メチレンビスアクリルアミド
【0043】
[紙力剤の性能評価1]
段ボ−ル古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダ−ド・フリ−ネス(C.S.F)350mlに調整した紙料に芒硝を添加して電気伝導度を2.0mS/cmとした。硫酸バンドを1.0%添加した後、各実施例および比較例で得られた重合体水溶液を紙力剤として対パルプ繊維スラリー固形分重量に対し、それぞれ表2に示す添加量(0.6%または1.6)添加した。各パルプ繊維スラリーのpHは6.5であった。当該スラリーのゼータ電位を測定した後、当該スラリーをタッピ・シートマシンにて脱水し、5kg/cm
2 で2分間プレスして、坪量150g/m
2 となるよう抄紙した。次いで回転型乾燥機で105℃において4分間乾燥し、23℃、50%R.H.の条件下に24時間調湿したのち、圧縮強度、内部強度、定着率を測定した。それらの結果を表2に示す。なお、電気伝導度、圧縮強度、内部強度、定着率は、以下の方法で測定した。
【0044】
(1)電気伝導度
pH/COND METER D−54((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
(2)ゼータ電位
ゼータ電位計LAZER ZEE METER MODEL501(PEN KEM Inc.社製)を用いて、薬品添加後のパルプ繊維スラリーを80メッシュワイヤーにて濾過したろ液を測定した。
(3)圧縮強度
JIS P 8126に準拠して測定し、比圧縮強度(N・m
2/g)で示した。
(4)内部強度
J Tappi No.18−2に準拠して測定した。
(5)定着率
窒素分析装置(三菱化学(株)製)を用いて、得られた紙の窒素含有量を測定した後、下記の計算式から算出した。
定着率(%)=(紙力剤を添加して得られた紙の窒素含有量−紙力剤無添加で得られた紙の窒素含有量)÷(使用した紙力剤の理論窒素含有量)×100
【0045】
【表2】
【0046】
表2より、本発明の紙力剤は、重量平均分子量またはPCD電位計による測定電位(表中PCD測定電位)のいずれかが本願発明の範囲外となる紙力剤に対して、紙に高い強度を与えることが明らかといえる。
【0047】
[紙力剤の性能評価2]
つぎに、実施例5と比較例1の紙力剤を用い、それぞれ紙力剤について添加率を変更すること以外は、[紙力剤の性能評価1]と同様にして抄紙を行い、[紙力剤の性能評価1]と同様にして得られた紙の圧縮強度と内部強度を測定した。結果を表3に示す。また、
図1および2に、圧縮強度および内部強度それぞれについての結果を示す。
なお、実施例5と比較例1の紙力剤は、各共重合体組成に共通のものが多く、重量平均分子量が異なるもの(それぞれ600万と150万)として選択した。
【0048】
【表3】
【0049】
表3、
図1および2から明らかなように、本発明の紙力剤は、紙力剤添加率が0.5%未満の低い場合にも、紙に十分な圧縮強度および内部強度(紙力性能)を付与するが、添加率に応じて紙力性能の向上が図れ、特に、高い添加率において顕著な紙力性能を発揮するものといえる。