特許第5911025号(P5911025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911025
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】トルク伝達ドライバ
(51)【国際特許分類】
   B25B 15/00 20060101AFI20160414BHJP
   B25B 23/12 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   B25B15/00 610A
   B25B23/12
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-518831(P2013-518831)
(86)(22)【出願日】2011年7月7日
(65)【公表番号】特表2013-540595(P2013-540595A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】US2011043198
(87)【国際公開番号】WO2012006427
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/362,107
(32)【優先日】2010年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312011855
【氏名又は名称】インファステック インテレクチュアル プロパティーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ルークス,リチャード ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ルーエンバーガ,ブライアン
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/136765(WO,A1)
【文献】 特開2000−254868(JP,A)
【文献】 特開2004−197908(JP,A)
【文献】 実開昭60−131715(JP,U)
【文献】 特開平07−293533(JP,A)
【文献】 特開2003−326472(JP,A)
【文献】 特公昭49−006439(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B15/00
B25B23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長寸法が1.524mm未満である締め具の凹所に適合するように構成されたトルク伝達ドライバであって、
駆動軸と、第1の端部および第2の端部を備える本体とを有するトルク伝達ドライバを含んでおり、
前記第1の端部が、トルク発生源から当該ドライバへとトルクを受け取って伝えるように構成され、
前記第1の端部とは反対側の前記第2の端部が、平行な側壁を有する5つのローブ又は6つのローブのキー形状と、突き出した先端を有しており、
前記キー形状が、締め具の凹所に適合するように構成され、1.524mm未満の長寸法および短寸法を有しており、
前記突き出した先端は、長寸法及び短寸法により規定されており、該長寸法が、当該ドライバの駆動軸に対して垂直な平面から10°〜30°の間のテーパ角度で先細りになっており、前記突き出した先端の少なくとも一部分が、前記キー形状の長寸法から始まっており、前記突き出した先端の短寸法が、前記突き出した先端の移行部に関して前記キー形状の短寸法と等しく、かつ、前記突き出した先端の残部に関して前記突き出した先端の長寸法と同化しており、
前記突き出した先端の残部は、前記テーパ角度で、前記移行部から前記トルク伝達ドライバの先端を形成する丸みを帯びた端部まで伸びている、トルク伝達ドライバ。
【請求項2】
前記本体の前記第2の部分の前記突き出した先端が、該突き出した先端を介して前記本体の前記第2の部分から締め具へとトルクを伝えることができるよう、締め具の凹所に一致するように形作られている、請求項1に記載のトルク伝達ドライバ。
【請求項3】
前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が、15°〜25°の間のテーパ角度を有している、請求項1に記載のトルク伝達ドライバ。
【請求項4】
前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が、18°〜22°の間のテーパを有している、請求項3に記載のトルク伝達ドライバ。
【請求項5】
前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が磁化されている、請求項1に記載のトルク伝達ドライバ。
【請求項6】
前記突き出した先端が、締め具の凹所の一部分に一致するように構成されたテーパを有している、請求項1に記載のトルク伝達ドライバ。
【請求項7】
2.54mm未満の長寸法を有する凹所を有する小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバであって、
駆動軸と、第1の端部および第2の端部を備える本体とを有するトルク伝達ドライバを含んでおり、
前記第1の端部が、トルク発生源から当該ドライバへとトルクを受け取って伝えるように構成され、
前記第1の端部とは反対側の前記第2の端部が、平行な側壁を有する5つのローブ又は6つのローブのキー形状と、突き出した先端を有しており、
前記キー形状が、締め具の凹所に適合するように構成され、2.54mm未満の長寸法および短寸法を有しており、
前記突き出した先端は、長寸法及び短寸法により規定されており、該長寸法が、当該ドライバの駆動軸に対して垂直な平面から10°〜30°の間のテーパ角度で先細りになっており、前記突き出した先端の少なくとも一部分が、前記キー形状の長寸法から始まっており、前記突き出した先端の短寸法が、前記突き出した先端の移行部に関して前記キー形状の短寸法と等しく、かつ、前記突き出した先端の残部に関して前記突き出した先端の長寸法と同化しており、
前記突き出した先端の残部は、前記テーパ角度で、前記移行部から前記トルク伝達ドライバの先端を形成する丸みを帯びた端部まで伸びている、トルク伝達ドライバ。
【請求項8】
前記本体の前記第2の部分の前記突き出した先端が、該突き出した先端を介して前記本体の前記第2の部分から締め具へとトルクを伝えることができるよう、締め具の凹所に一致するように形作られている、請求項に記載の小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバ。
【請求項9】
前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が、15°〜25°の間のテーパ角度を有している、請求項に記載の小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバ。
【請求項10】
前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が、18°〜22°の間のテーパを有している、請求項に記載の小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバ。
【請求項11】
前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が、磁化されている、請求項に記載の小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバ。
【請求項12】
前記本体の前記第2の端部の前記キー形状が、締め具の最大1.524mmの長寸法を有する凹所に適合するように構成されている、請求項に記載の小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバ。
【請求項13】
前記本体の前記第2の端部の前記キー形状が、締め具の最大1.016mmの長寸法を有する凹所に適合するように構成されている、請求項に記載の小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバ。
【請求項14】
前記突き出した先端が、締め具の凹所の一部分に一致するように構成されたテーパを有している、請求項に記載のトルク伝達ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2010年7月7日付の「トルク伝達ドライバ(TORQUE TRANSMISSION DRIVER)」という名称の米国仮特許出願第61/362,107号明細書の優先権を主張し、その開示が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、動力ドリルなどのトルク発生源から構造体または装置の組み立てのための締め具へとトルクを伝えるために使用され、とりわけ締め具が小さい場合に使用される改良型のトルク伝達ドライバに関する。
【背景技術】
【0003】
トルク伝達ドライバは、ねじおよびボルトなどのねじ山付きの締め具による構造体および装置の組み立てに、一般的に使用されている。そのようなトルク伝達ドライバは、締め具を組立体へとねじ込むために、トルク発生装置によって生成されたトルクを締め具へと伝達する。種々のそのようなトルク伝達ドライバが過去において提供されており、通常は使用の相手の締め具の頭部の凹所または突起と対をなす駆動端の形状を有している。例として、ドリルチャックおよびねじ回しが挙げられる。
【0004】
例えば、1946年に発行された米国特許第2,397,216号明細書が、トルク伝達駆動システムのいくつかの形態または形状を開示している。PHILLIPS(登録商標)トルク駆動システムなど、六角形および十字形のトルク伝達ドライバが知られている。また、米国特許第3,584,667号明細書が、自動車、航空宇宙、および電気器具の製造に幅広く使用され、TORX(登録商標)という商標のもとで市販されているトルク伝達ドライバを示している。さらに、TORX(登録商標)駆動システムと同様の種々のローブ(lobe)形式のトルク駆動システムが、1991年〜1938年の間に発行された米国特許第5,025,688号明細書、同第4,269,246号明細書、同第4,006,660号明細書、同第3,885,480号明細書、同第2,969,250号明細書、および同第2,083,092号明細書に示されている。また、2010年5月27日に公開された米国特許出願公開第2010/0129176号明細書も参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トルク伝達ドライバにおけるこれまでの発展にもかかわらず、ドライバをより速やかに位置合わせして締め具の凹所に結合させることができ、過去のトルクドライバよりも良好なトルク伝達能力を提供することができ、締め具の凹所からの抜け出しを少なくし、駆動トルクの不足の変化を少なくすることができるトルク伝達ドライバについて、ニーズが依然として存在する。このニーズは、締め具の頭部の凹所の長寸法(major dimension)が0.100インチ未満(約2.54mm未満)または0.060インチ未満(約1.524mm未満)である小さな締め具のためのトルク伝達ドライバにおいてとくに強く、長きにわたって求められてきている。これらの小さな締め具は、一般に、取り付けの際にトルク伝達ドライバに係合させて安定した状態に保つことが難しく、トルク伝達ドライバとの係合が少ないがゆえに、ドライバから締め具へと伝えることができるトルクの大きさが制限され、これまでに公知のトルクドライバによって取り付けた場合に傾いてねじ込まれやすく、さらには/あるいはなめやすい微細なねじ山を有している。結果として、これまでのところ、これらの締め具に専用の取り付け工具を使用しなければならず、したがって、これらの締め具を使用して組み立てられた構造体または装置の保守性および修理の可能性が制約されている。さらに、取り付けトルクのばらつきに起因して、これまでの伝達トルクドライバでは、組立体の品質管理を保つことが、不可能ではないかもしれないが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
駆動軸と、第1の端部および第2の端部を有する本体とを有するトルク伝達ドライバがここに開示され、前記第1の端部が、トルク発生源から当該ドライバへとトルクを受け取って伝えるように構成され、前記第1の端部とは反対側の前記第2の端部が、キー(key)形状および突き出した先端を有しており、前記キー形状が、締め具の凹所に適合するように構成され、0.06インチ未満(約1.524mm未満)の長寸法と短寸法(minor dimension)とを有しており、前記突き出した先端が、当該ドライバの駆動軸に対して垂直な平面から10°〜30°の間のテーパを有するとともに、前記キー形状とは異なる形状であり、前記突き出した先端の少なくとも一部分が、前記キー形状の長寸法から始まっている。あるいは、前記本体の前記第2の端部の前記突き出した先端が、15°〜25°の間または18°〜22°の間のテーパを有する。
【0007】
さらに、前記本体の前記第2の部分の前記突き出した先端が、該突き出した先端を介して前記本体の前記第2の部分から締め具へとトルクを伝えることができるよう、締め具の凹所に一致するように形作られる。前記突き出した先端は、円すい形、ドーム状、台形、および多面体形状で構成されるグループから選択される形状を有することができる。前記突き出した先端を、突き出した先端と締め具との間の接触の促進などのために、磁化することができる。
【0008】
前記本体の前記第2の端部の前記キー形状は、4つのスプライン(quadrasplinular)、5つのスプライン(pentasplinular)、6つのスプライン(hexasplinular)、4つのローブ(quadralobular)、5つのローブ(pentalobular)、6つのローブ(hexalobular)、六角形(hexagonal)、および五角形(pentagonal)で構成されるグループから選択される形状を有することができる。
【0009】
0.1インチ未満(約2.54mm未満)の長寸法を有する凹所を有する小さな締め具を駆動するように構成されたトルク伝達ドライバであって、駆動軸と、第1の端部および第2の端部を備える本体とを備えており、前記第1の端部が、トルク発生源から当該ドライバへとトルクを受け取って伝えるように構成され、前記第1の端部とは反対側の前記第2の端部が、キー形状および突き出した先端を有しており、前記キー形状が、締め具の凹所に適合するように構成され、0.10インチ未満(約2.54mm未満)の長寸法および短寸法を有しており、前記突き出した先端が、当該ドライバの駆動軸に対して垂直な平面から10°〜30°の間のテーパを有するとともに、前記キー形状とは異なる形状であり、前記突き出した先端の少なくとも一部分が、前記キー形状の長寸法から始まっているトルク伝達ドライバも開示される。あるいは、前記本体の前記第2の端部の前記キー形状を、締め具の最大0.060インチ(約1.524mm)または最大0.040インチ(約1.016mm)の長寸法を有する凹所に適合するように構成することができる。
【0010】
添付の図面を参照すると、以下の説明においてさらに詳しく説明されるとおりの本発明の具体的な実施の形態およびさらなる利点が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トルク伝達ドライバの正面図である。
図2図1のトルク伝達ドライバの先端の詳細図である。
図3】締め具に係合しているトルク伝達ドライバの断面図である。
図4】締め具に係合している別のトルク伝達ドライバの断面図である。
図5】トルク伝達ドライバの先端の斜視図である。
図6A】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図6B】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図6C】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図6D】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図6E】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図6F】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図6G】トルク伝達ドライバにおいて使用されるキーの断面図である。
図7A】締め具の上面図である。
図7B】締め具の上面図である。
図7C】締め具の上面図である。
図8A】突き出した先端の図である。
図8B】突き出した先端の図である。
図8C】突き出した先端の図である。
図8D】突き出した先端の図である。
図8E】突き出した先端の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面の詳細な説明
広く図1図8を参照すると、動力ねじ回しなどのトルク発生源から構造体または装置の組み立てのための締め具へとトルクを伝達するように構成され、とりわけ締め具が小さい場合に合わせて構成されたトルク伝達ドライバが、本発明において開示される。
【0013】
図1に示されるとおり、トルク伝達ドライバは、第1の端部12と第2の端部20とを有する本体10を有している。さらに、トルク伝達ドライバは、動作の際に回転の中心となる駆動軸を有している。本体の第1の端部が、トルク発生源(図示されていない)からのトルクを受け取って伝達するように構成されている。図1に示されている第1の端部12は、動力ドリルまたは動力ねじ回しなどのトルク発生源のチャックに固定することができる六角形の軸部14である。また、トルク伝達ドライバを、ユーザが所望のトルクをもたらして手動で操作することもできる。幅広くさまざまなトルク発生源が公知であり、第1の端部を、1つ以上の所望のトルク発生源に対応するように選択することができる。例えば、第1の端部が、設定変更可能なさまざまな工具において使用することができる円形の軸部であってよい。他の代案においては、第1の端部を、トルクの発生をもたらすためのユーザの手を収容するサイズのハンドルとすることができ、トルク伝達ドライバの本体が、手動操作の工具を形成することができる。このように、ここに開示されるトルク伝達ドライバを、手動、動力、および自動の用途において締め具へとトルクを伝えるように構成することができる。
【0014】
トルク伝達ドライバの本体10は、第1の端部12とは反対側の第2の端部20を有している。本体10は、第1の端部12と第2の端部20とを作動可能に接続する延伸部16を有することができる。延伸部16を、第2の端部20の第1の端部12からの到達範囲を延ばすために使用することができ、あるいは締め具を被加工物または組立体へとねじ込むべく締め具の凹所への結合を容易にするために使用することができる。
【0015】
図2を参照すると、トルク伝達ドライバの第2の端部が、拡大された側面図にて示されている。本体の第2の端部20が、締め具の凹所に適合するように構成されたキー形状22を有するとともに、キー形状とは異なる形状であり、締め具の凹所の少なくとも一部分に一致するように構成されたテーパを有している突き出した先端24を有している。図示のとおり、第2の端部20を、延伸部16またはトルク伝達締め具の本体の他の支持構造体へと接続することができる。図2に示されるとおり、突き出した先端24の少なくとも一部分は、キー形状の長寸法から始まっている。テーパは、突き出した先端の少なくとも一部分について、突き出した先端のこの部分が第2の端部のキー形状のローブに整列するように、キー形状の長寸法まで延びることができる。一実施の形態においては、突き出した先端が、キー形状の長寸法から始まり、締め具の凹所の少なくとも一部分に一致するようなテーパを有している。
【0016】
第2の端部20のキー形状22は、締め具のソケット凹所(socket recess)の支持面へと回転力を伝えるように構成される。図6および図7に関して後述されるように、本体の第2の端部20を、このトルク伝達ドライバによってトルクを伝達すべく締め具のソケット凹所に結合するさまざまなキー形状にて形成することができる。キー形状22の表面を、トルク伝達ドライバの長手軸に平行であるように設計することができる。トルク伝達ドライバが駆動軸を中心にして回転させられるとき、キー部分22が、締め具のソケット凹所の壁または軸方向の支持面に係合し、締め具へとトルクを伝達する。
【0017】
トルク伝達ドライバを、とくには、小さな締め具を駆動するように構成することができ、そのような場合には、第2の端部20が、締め具の最大で約0.100インチ(約2.54mm)の長寸法を有する凹所に適合するように構成されたキー形状22を有する。例えば、キー形状22は、相応の締め具の凹所に適合するように構成されたTORX(登録商標)という銘柄のT3というビットのサイズであってよい。あるいは、キー形状22が、相応の締め具の凹所に適合するように構成されたTORX(登録商標)という銘柄のT1というビットのサイズ、またはそれよりも小さいサイズを有することができる。あるいは、第2の端部が、最大で約0.040インチ(約1.016mm)の長寸法または最大で約0.060インチ(約1.524mm)の長寸法を有する締め具の凹所など、より小さい凹所またはより大きい凹所に適合するように構成されたキー形状を有することができる。いずれの場合も、キー形状の構成は、締め具を装置、構造体、または他の組立体へと取り付け、あるいは装置、構造体、または他の組立体から取り外すために、締め具の凹所に適合してトルク伝達ドライバから締め具へとトルクを伝えるような構成である。
【0018】
いずれの場合も、本体の第2の端部20は、突き出した先端24を有する。突き出した先端24は、締め具の凹所の少なくとも一部分に一致するように構成された角度θによって示されるテーパを有している。あるいは、突き出した先端24が、締め具の凹所の大部分に一致するように構成されたテーパを有することができる。突き出した先端24を、突き出した先端を介して本体の第2の部分から締め具へとトルクを伝えることができるよう、締め具の凹所と対をなすように形作ることができる。突き出した先端24は、第2の端部20のキー形状22から延びている。したがって、突き出した先端24を、おおむねトルク伝達ドライバの端部であると説明することができる。突き出した先端24は、頂点26を有することができる。頂点26は、尖っていても、丸みを帯びていてもよい。頂点26の丸みが、使用時にトルク伝達ドライバが締め具の凹所に進入するときの引っかきまたは他の望ましくない摩耗を減らし、ドライバの寿命を長くするために望ましくあり得る。
【0019】
突き出した先端24は、キー形状22から延びるおおむね円すい形の形状を有することができる。図2に示されるとおり、突き出した先端24は、丸みを帯びた頂点26を持つおおむね円すいの形状を有している。突き出した先端24について、他の構成も本発明において可能である。例えば、突き出した先端のさまざまな構成が、図8A図8Eに示されている。突き出した先端は、尖った円すい形状81または丸みを帯びた円すい形状82を有することができる。突き出した先端は、台形の断面83を有することができ、あるいはドーム形84を有することができる。明らかであるとおり、突き出した先端のテーパは、おおむねキー形状の部分から突き出した先端の少なくとも一部分に及ぶが、図示の台形またはドーム形の構成などのように、必ずしも突き出した先端の全長に及ぶ必要はない。さらに、突き出した先端に、図4に示されるようないたずら防止の開口を設けることができる。突き出した先端の断面および長さの両方とも、所望の構成をもたらすようにさまざまであってよい。
【0020】
いくつかの代案においては、突き出した先端が、おおむね多面体の構成を有することができる。図8Eに示されるとおり、突き出した先端は、突き出した先端の少なくとも一部について、先細りの六角形の構成85を備えることができる。この例において、突き出した先端が、本体の第2の端部のキー形状の先細りに一致することができる。あるいは、突き出した先端が、第2の端部のキー形状とは異なる先細りの断面を有してもよい。このように、突き出した先端24は、締め具の凹所の少なくとも一部分と対をなすように構成された先細りを有するさまざまな構成を有することができる。
【0021】
使用時に、トルク伝達ドライバは、図3に示されるように締め具の凹所へと挿入される。締め具40は、凹所を有する頭部42と、ねじ山(図示されていない)を有する軸部53とを有している。トルク伝達ドライバの第2の部分20を、トルク伝達ドライバが駆動軸を中心にして回転させられたときにトルクを締め具40へと伝えることができるように、締め具の頭部42の凹所へと挿入することができる。第2の部分20のキー形状22が、頭部の軸方向の支持面46に作用可能に係合し、組立体への締め具のねじ込みを容易にする。第2の部分20の突き出した先端24が、キー形状22から延び、凹所の少なくとも一部分(締め具40の頭部42の凹所の下部48など)と対をなすことができる。図3に示されるとおり、突き出した先端24の先細りは、凹所の下部48の先細りまたは傾斜と実質的に同様であってよい。
【0022】
締め具への結合の際に、突き出した先端24の先細りが、締め具の頭部42の凹所へのトルク伝達ドライバの整列を促すことができる。トルク伝達ドライバが締め具の凹所の中心からずれて挿入された場合には、突き出した先端24の先細りが、トルク伝達ドライバについて、締め具の頭部の凹所との中心合わせまたは整列を促進する。この中心合わせのプロセスが、結合の時間を短縮して、トルク伝達ドライバの生産性を向上させることができる。
【0023】
さらに、トルク伝達ドライバの第2の端部20の突き出した先端24が、締め具40の頭部42の凹所の下部48の少なくとも一部分に接触し、ドライバから締め具へのトルクの伝達を補助する。多くの締め具の凹所またはソケット、とくには0.050インチ未満(約1.27mm未満)または0.030インチ未満(約0.762mm未満)の長寸法を有する小さな締め具の凹所またはソケットを、所望のソケットの構成を生成し、凹所の軸方向の支持面を形成するように、ツールで頭部を打ち抜きまたはプレスすることによって形成することができる。そのようなツールは、通常は、打ち抜きまたはプレスの作業を促進するための先端を有しており、結果として軸方向の支持面の下方に延びる空洞(図3に示されている凹所の下部48など)がもたらされる。したがって、トルク伝達ドライバの第2の端部20の突き出した先端24は、ドライバから締め具へのトルクの伝達を補助するために、締め具40の頭部42にソケット凹所を形成するために使用されるツールの先細りに近似することができる。
【0024】
第2の部分20の突き出した先端24の図2に示されるとおりの先細りの角度θを、所望の範囲において選択することができる。例えば、先細りの角度θは、10°〜30°の間であってよい。あるいは、先細りの角度θが、15°〜25°の間または18°〜22°の間であってよい。一例においては、先細りの角度θが、締め具40の頭部42の凹所の下部48に実質的に一致するように、約20°であってよい。いずれにせよ、突き出した先端24が、締め具の頭部42の下部48の少なくとも一部分に接触する。
【0025】
使用の際に、トルク伝達ドライバが駆動軸を中心にして回転させられるとき、トルクの一部は、突き出した先端24を介して本体の第2の部分20から締め具40へと伝えられる。突き出した先端24が、締め具の頭部42の凹所の下部48の少なくとも一部分に摩擦によって係合して、締め具へのトルクの伝達を補助し、第2の端部20のキー形状22によって伝えられるトルクを補って、ドライバから締め具40へのより大きくてより効率的なトルクの伝達をもたらす。いくつかの例では、突き出した先端24が、締め具の頭部42の凹所の下部48の大部分に摩擦によって係合することができる。トルクが加わる総表面積が大きくなることで、トルク伝達ドライバまたは締め具40あるいは両方の摩耗の軽減も可能であり、締め具が傾いてねじ込まれる可能性および締め具をなめてしまう可能性も軽減することができる。ここに開示のトルク伝達ドライバによれば、トルク伝達ドライバと締め具との間の係合の増加によって、より大きな総トルクを締め具へと加えることも可能である。突き出した先端24を、締め具の頭部の凹所との所望の接触点を増やすように構成するなどにより、締め具の頭部の凹所の下部48への突き出した先端24の係合を増すように構成することができる。
【0026】
突き出した先端を、突き出した先端と締め具との間の接触および結合を容易にするために、磁化することも可能である。磁化された突き出した先端は、締め具をより迅速に接触させ、組立体への締め具のねじ込みの際にドライバの突き出した先端と締め具の頭部との間の接続を維持することを可能にする。
【0027】
図4を参照すると、いたずら防止式の締め具41に使用されるように構成された別のトルク伝達ドライバが示されている。一例においては、いたずら防止式の締め具41が、ピン45などのいたずら防止の造作を有する締め具の頭部43を有することができる。トルク伝達ドライバは、トルク伝達ドライバを締め具41の凹所へと挿入させて締め具に作用可能に係合させることができるよう、ピン45を受け入れるように構成された開口32を有する第2の端部30を有することができる。トルク伝達ドライバの開口32を、本体の第2の端部30の突き出した先端34に配置することができ、ピン45を受け入れるために第2の端部30へと必要に応じて延ばすことができる。図示のとおり、締め具41の凹所のピン45は、対応する開口32を備えていないトルク伝達ドライバの挿入を妨げると考えられる。ピン45および開口32の長さおよび断面を、締め具とトルク伝達ドライバとの間の関係を確立させるために、所望のとおりに選択することができる。
【0028】
ここで開示されるトルク伝達ドライバは、さまざまなキー形状に合わせて構成することが可能である。図5および図6Aに示されるように、トルク伝達ドライバの本体の第2の端部50は、突起またはローブ52がすき間または逆ローブ54と交互に位置することによって表されるヘキサローブのキー形状を有することができる。突き出した先端56は、第2の部分50のキー形状から延びることができる。第2の端部50のキー形状と第2の端部の突き出した先端56との間の移行部58を、キー形状から突き出した先端の先細りへの移行のために、所望のとおりに構成することができる。突き出した先端56の少なくとも一部分の先細りは、反対向きのローブ52の間のキー形状の長寸法から始まることができる。
【0029】
広く図6B図6Gを参照すると、トルク伝達ドライバにおいて使用するための複数の他のキー形状が示されている。明らかであるとおり、トルク伝達ドライバのキー形状は、所望の締め具のソケット凹所に一致するように選択される。同様に、キーのサイズも、所望の締め具のソケットのサイズに一致するように選択される。したがって、或る範囲の所望の締め具に対応するように、複数のキー形状およびサイズを備えるトルク伝達ドライバの組を生成することができる。
【0030】
図6A図6Cを参照すると、トルク伝達ドライバの本体の第2の端部のキー形状は、多数のローブからなる構成を有することができる。多数のローブからなる構成は、図6A図6Cにそれぞれ示されるように、ヘキサローブ(6つのローブ、hexalobular)61、ペンタローブ(5つのローブ、pentalobular)62、またはクワドラローブ(4つのローブ、quadralobular)63であってよい。ローブは、図示のように実質的に対称であってよいが、他の多ローブの構成も現時点において利用可能であり、トルク伝達ドライバにおいて使用することができる。ヘキサローブ61およびペンタローブ62のキーは、現時点においてTORX(登録商標)という銘柄で提供されている。あるいは、多ローブのキー形状を、星形キーまたは星形ドライバと称することもできる。
【0031】
図6Dおよび図6Eを参照すると、トルク伝達ドライバの本体の第2の端部のキー形状は、実質的に多角形の構成など、多辺の構成を有することができる。多角形の構成は、図6Dに示されるような六角(hexagonal)キー64であってよい。六角キー64は、ヘックスキーまたはアレン(Allen)キーとしても知られる。図6Eに示されるとおり、五角形(pentagonal)65などの他の多角形の形状を使用することができる。多辺の構成は、実質的に真っ直ぐな辺部分を有することができる。多辺のキーの角は、角張っていても、所望に応じて丸みを帯びていてもよい。いくつかの場合には、角の丸みは、本体の第2の端部について、締め具のソケット凹所への挿入を容易にし、締め具、被加工物、またはユーザのひっかき傷を防止するために望ましくあり得る。
【0032】
図6Fおよび図6Gに示されるように、4つのスプライン(quadrasplinular)を有する構成66および6つのスプライン(hexasplinular)を有する構成67など、2つの典型的な多スプライン(キー溝)のキー形状が示されている。5つのスプライン、すなわち5スプライン(pentasplinular)設計、および他の数のスプラインを備える設計など、他の形状も選択することができる。多スプラインの形状は、ブリストル(Bristol)キーまたは駆動部としても知られる。明らかであるとおり、スプラインの数および形状を、所与の用途に合わせて選択される締め具の1つ以上のソケット凹所に一致するように選択することができる。
【0033】
本体の第2の端部の他のキー形状を、ここに開示されるトルク伝達ドライバにおいて使用することができる。使用可能な他のキー形状として、これらに限られるわけではないが、三角形、二重六角形(double hex)、三重正方形(triple square)、ポリドライブ(polydrive)、三角凹所(TP3)、および三翼(tri−wing)が挙げられる。独自仕様または特注のキー形状も、対応する締め具のソケット凹所とともに使用すべく選択することができる。明らかであるとおり、キー形状を、締め具へのトルクの所望の印加をもたらすと同時に、取り付け時に締め具をなめることがないように選択することができる。さらに、各々のキー設計を、上述したようないたずら防止の変種にてもたらすことも可能である。
【0034】
例として、締め具の凹所の選択が、図7A図7Cに示されている。図7Aに示されている締め具のソケット凹所は、図6Aのヘキサローブキー61とともに使用するために適したヘキサローブソケット71である。代案として、図7Bに示されている締め具のソケット凹所は、図6Dの六角キー64またはアレンキーとともに使用するために適した六角形の形状72である。図7Cに示されている締め具のソケット凹所は、図6Bに示したペンタローブキー62とともに使用するために適したペンタローブソケット73である。明らかであるとおり、各々のキー形状が、所望の締め具の1つ以上のソケット凹所に適合する。
【0035】
いずれにせよ、締め具のソケット凹所は、図7Aに示されるとおりの長寸法Mおよび短寸法Nを有する。長寸法Mは、図示のヘキサローブソケットの反対向きのローブ74、75の間を延びるソケットの寸法である。短寸法Nは、ローブの間の向かい合うすき間または逆ローブ76、77の間を延びるソケットの寸法である。
【0036】
より一般的には、締め具の長寸法を、締め具の長手軸に中心を有する円であって、長手軸から延びて締め具の長手軸から最も遠いソケット凹所の外周上の点まで達する半径を有する円の直径と定義することができる。短寸法を、締め具の長手軸に中心を有する円であって、長手軸から延びて締め具の長手軸に最も近いソケットの外周上の点まで達する半径を有する円の直径と定義することができる。例として、六角形のソケット凹所72は、図7Bに示されるとおりの長寸法Mおよび短寸法Nを有する。ペンタローブソケット73は、図7Cに示されるとおりの長寸法Mおよび短寸法Nを有する。
【0037】
トルク伝達ドライバを、さまざまなやり方で製作することができる。本体の第1の端部を、トルク伝達ドライバの軸部またはハンドルを製造するための従来からの方法によって製造することができる。一例においては、トルク伝達ドライバの第2の端部を、素材から機械加工することができる。あるいは、突き出した先端24を、所望の先細りをもたらすようにキー形状部分の端部を機械加工するなどにより、既存のキー形状部分の端部に形成することができる。
【0038】
ここで開示されるトルク伝達ドライバは、締め具の凹所に据わるドライバの能力を向上させることによって締め具の取り付けを可能にし、したがって凹所へのドライバの結合時間を短縮し、接続を維持する。さらに、本発明のトルク伝達ドライバは、標準的なドライバよりも改善されたねじりの能力をもたらし、締め具の凹所をなめる可能性を減らし、不具合までのドライバのトルクのばらつきを減らし、被加工物または組立体への締め具のより一貫的かつ信頼できる挿入をもたらすことができる。また、このトルク伝達ドライバは、これまでのドライバと比べて改善された工具寿命をもたらすこともできる。
【0039】
本発明のトルク伝達ドライバの利点を示すために、不具合までのドライバのトルクの試験を、本発明のトルク伝達ドライバを使用して実行し、3つのこれまでのドライバの設計の不具合までの駆動トルクと比較した。結果を下記の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1を参照すると、「十字」(JCISまたはPHILLIPS(登録商標)ねじ回し)、「TORX」(従来からのTORX(登録商標)ドライバ)、および「平坦」を含む3つのこれまでのドライバの設計について、試験を行った。「平坦」は、突き出した先端24を持たない平坦な端部を有する設計である。「円すい」は、突き出した先端24が上述したような円すいの構成を備えている本発明のトルク伝達ドライバを表している。表1に見られるように、十字ドライバの各試験の結果は、締め具の凹所の不具合であった。TORX(登録商標)ドライバの各試験の結果は、ドライバのビットの不具合であった。本発明のドライバの不具合までの駆動トルクの標準偏差は、先行技術のドライバと比べて約60%改善されている。
【0042】
特定の実施の形態を説明したが、本発明の思想または範囲から離れることなく、さまざまな変更および均等物の置き換えが可能であることを、理解すべきである。さらに、本発明の思想または範囲から離れることなく、本発明の教示について、特定の状況または材料に合わせて多数の変更を行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E