【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも表面に強カチオン性基を有する架橋重合体粒子をオゾン処理して得られた液体クロマトグラフィー用カラム充填剤である。
【0007】
本発明者らは、オゾン処理した、強カチオン性基を有するカラム充填剤を用いることにより、測定対象物質を短時間で高精度に測定できることを見出した。
この分離性能を向上させる効果は、従来から行われているオゾン処理による非特異吸着の抑制効果とは異なり、強カチオン性基を有するカラム充填剤を用いた測定時において認められる特有の効果である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の液体クロマトグラフィー用カラム充填剤(以下、本発明のカラム充填剤ともいう)は少なくとも表面に強カチオン性基を有する架橋重合体粒子で構成される。
本明細書において上記「強カチオン性基」とは、pH1〜14の全ての範囲で解離するカチオン性基を意味する。即ち、強カチオン性基は、水溶液のpHに影響を受けず解離した(カチオン化した)状態を保つことが可能である。
【0009】
強カチオン性基は、4級アンモニウム基であることが好ましい。
4級アンモニウム基としては、例えば、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルエチルアンモニウム基等のトリアルキルアンモニウム基等が挙げられる。
【0010】
強カチオン性基量の好ましい下限は、カラム充填剤の乾燥重量1gあたり1μeq、好ましい上限は、カラム充填剤の乾燥重量1gあたり500μeqである。強カチオン性基量が1μeq/g未満であると、カラム充填剤の保持力が弱く、分離性能が悪くなることがある。強カチオン性基量が500μeq/gを超えると、カラム充填剤の保持力が強くなりすぎ、短時間で溶出させることが困難になる。
【0011】
少なくとも表面に強カチオン性基を有する架橋重合体粒子は、(1)強カチオン性基を有する単量体を重合させた架橋重合体粒子、(2)強カチオン性基に変換可能な官能基(以下、反応性基という)を有する単量体を重合させた後、反応性基を強カチオン性基に変換させた架橋重合体粒子等が好ましい。より好ましくは(1)の架橋重合体粒子である。
【0012】
上記(1)の架橋重合体粒子を構成する強カチオン性基を有する単量体としては、4級アンモニウム基を有する単量体が好ましい。
4級アンモニウム基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリル酸エチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリル酸エチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドエチルジメチルエチルアンモニウムクロリド等のアクリル系単量体が挙げられる。
なお、本明細書において「アクリル系」とは、アクリル基又はメタクリル基を有することを意味する。また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」であることを示す。
【0013】
上記(2)の架橋重合体粒子を構成する単量体が有する反応性基は、非イオン性の官能基が好ましく、例えば、エステル結合、疎水性基、環状構造基、水酸基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、シアノ基、アルデヒド基等が挙げられる。なかでも、水酸基、エポキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基が好ましい。
【0014】
これらの反応性基を有する単量体としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート類、エポキシ化(メタ)アクリレート類、アミノ化(メタ)アクリレート類、アルデヒド化(メタ)アクリレート類、シアノ化(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」であることを示す。
【0015】
水酸基を有する(メタ)アクリレート類としては、例えば、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類や、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類や、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類や、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
エポキシ化(メタ)アクリレート類としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
アミノ化(メタ)アクリレート類としては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0018】
アルデヒド化(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクロレイン等が挙げられる。
【0019】
シアノ化(メタ)アクリレート類としては、例えば、シアノ(メタ)アクリレート、エチル−2−シアノアクリレート等が挙げられる。
【0020】
反応性基を強カチオン性基に変換する方法としては、例えば、反応性基がエポキシ基の場合、エポキシ基を有する架橋重合体粒子を水又は有機溶媒中に分散し、エポキシ基を活性化した後、3級アミン類を反応させる方法等が挙げられる。
反応させる3級アミン類としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、1−メチルピペリジン、1−メチルピロリジン、ピリジン、メチルピリジン類等が挙げられる。
【0021】
少なくとも表面に強カチオン性基を有する架橋重合体粒子は、更に、少なくとも表面に弱アニオン性基を有していてもよい(以下、強カチオン性基及び弱アニオン性基を合わせて、単にイオン交換基ともいう)。
弱アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0022】
弱アニオン性基量の好ましい下限は、カラム充填剤の乾燥重量1gあたり1μeq、好ましい上限は、カラム充填剤の乾燥重量1gあたり500μeqである。弱アニオン性基量が1μeq/g未満であると、弱アニオン性基によるイオン交換反応が弱く、分離性能が悪くなることがある。弱アニオン性基量が500μeq/gを超えると、弱アニオン性基が、強カチオン性基によるイオン交換反応を阻害し分離性能が悪くなることがある。
【0023】
少なくとも表面に弱アニオン性基を有する架橋重合体粒子は、(3)弱アニオン性基を有する単量体を重合させた架橋重合体粒子、(4)弱アニオン性基に変換可能な官能基を有する単量体を重合させた後、該弱アニオン性基に変換可能な官能基を弱アニオン性基に変換させた架橋重合体粒子等が好ましい。より好ましくは(3)の架橋重合体粒子である。
【0024】
上記(3)の架橋重合体粒子を構成する弱アニオン性基を有する単量体としては、弱アニオン性基を有するが強カチオン性基を有しない単量体が好ましく、弱アニオン性基としてカルボキシル基を有する単量体がより好ましい。このような単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0025】
上記(4)の弱アニオン性基に変換可能な官能基は、上記(2)の反応性基と同様である。以下、弱アニオン性基に変換可能な官能基も反応性基という場合がある。
反応性基を弱アニオン性基に変換する方法としては、例えば、アミノ基にカルボキシル基を有するシランカップリング剤を反応させる方法、水酸基にハロゲン化酢酸類やアルデヒド化合物を反応させる方法、エポキシ基にカルボキシル基を有する化合物を反応させる方法、エステル基を加水分解する方法、反応性基のエポキシ基を開環反応させる方法、不飽和結合等の疎水性基を紫外線やプラズマ照射等の公知の酸化処理反応によって酸化する方法等が挙げられる。
【0026】
反応性基が水酸基である場合、クロロ酢酸ナトリウム等のハロゲン化酢酸類を、水酸化アルカリ水溶液中で反応させることによりカルボキシル基を導入することができる。
【0027】
反応性基がアルデヒド基である場合、酸触媒下にてアセタール化反応により水酸基と反応させることにより、カルボキシル交換基を導入することができる。また、トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸等の多官能カルボン酸化合物と水酸基の脱水反応によるエステル化により、カルボキシル基を導入することができる。
【0028】
反応性基がエポキシ基である場合、グリコール酸等のカルボン酸化合物を反応させる方法等によりカルボキシル基を導入することができる。
【0029】
反応性基がアミノ基である場合、エピクロルヒドリンやトリグリシジルエーテルのようなエポキシ化合物を水酸化アルカリ水溶液中又は水酸化アルカリの有機溶媒溶液中で反応させてエポキシ化した後、上述した反応性基がエポキシ基の場合と同様の処理を行うことによりカルボキシル基を導入することができる。
【0030】
本発明のカラム充填剤が、少なくとも表面に強カチオン性基と弱アニオン性基とを有する架橋重合体粒子で構成される場合、強カチオン性基と弱アニオン性基とは、両者とも重合反応により導入されてもよいし、両者とも変換により導入されてもよい。また、それぞれ別々の方法により導入されてもよい。即ち、強カチオン性基が重合反応により導入され、弱アニオン性基が変換による方法により導入されてもよいし、強カチオン性基が変換により導入され、弱アニオン性基が重合反応により導入されてもよい。
【0031】
架橋重合体粒子は、ポリアクリレート等の有機合成高分子系の架橋重合体粒子や、シリカ等の無機高分子系の架橋重合体粒子が好ましく、有機合成高分子系の架橋重合体粒子がより好ましい。
【0032】
有機合成高分子系の架橋重合体粒子は、少なくとも1種の架橋性単量体を重合した架橋重合体粒子、又は、少なくとも1種の架橋性単量体及び少なくとも1種の非架橋性単量体を共重合した架橋重合体粒子が好ましい。
【0033】
架橋性単量体としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキルジ(メタ)アクリレート類、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有するアルキロールアルカン(メタ)アクリレート類、芳香族系架橋性単量体類等が挙げられる。
【0034】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる
【0035】
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、例えば、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)−ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
ヒドロキシアルキルジ(メタ)アクリレート類としては、例えば、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ウレタン(メタ)ジアクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−5−メチル−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,11−ジ(メタ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデガン−2,6,10−トリオール等が挙げられる。
【0038】
分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリル基を有するアルキロールアルカン(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
芳香族系架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。
【0040】
これらの架橋性単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。特にアクリル系単量体が好ましい。
【0041】
架橋重合体粒子を構成する非架橋性単量体としては、上記反応性基を有する単量体、(メタ)アクリル酸アルキル類、芳香族系非架橋性単量体等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
芳香族系非架橋性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン等のスチレン系単量体等が挙げられる。なかでも、アクリル系単量体が好ましい。
【0042】
架橋重合体粒子が、架橋性単量体と非架橋性単量体との共重合体からなる場合、該共重合体における架橋性単量体に由来するセグメントの含有割合の好ましい下限は10重量%である。架橋性単量体に由来するセグメントの含有割合が10重量%未満であると、架橋重合体粒子の耐圧性、耐膨潤性が低下し、カラム充填剤として用いた場合の分離性能が悪くなる。架橋性単量体に由来するセグメントの含有割合のより好ましい下限は20重量%である。
【0043】
本発明のカラム充填剤は、少なくとも表面に強カチオン性基を有する架橋重合体粒子をオゾン処理して得られる。このオゾン処理は、架橋重合体粒子とオゾンを接触させることで行う。架橋重合体粒子と接触させるオゾンの形態は、オゾンガス、又は、オゾンガスを溶解した水(以下、オゾン水ともいう)が好ましい。より好ましくはオゾン水による処理である。
【0044】
架橋重合体粒子とオゾンを接触させる方法としては、例えば、架橋重合体粒子をオゾン水に浸漬する方法、架橋重合体粒子をエンプティカラムに充填した後、得られたカラムにオゾン水を通液する方法等が挙げられる。
【0045】
オゾン水中のオゾン濃度の好ましい下限は20ppmである。オゾン濃度が20ppm未満であると、オゾン処理に長時間を要したり、オゾン処理の効果が不充分なため、カラム充填剤の分離性能が悪くなったりする。オゾン濃度のより好ましい下限は50ppmである。
【0046】
オゾン水の製造方法としては、例えば、特開2001−330969号公報に開示されている、原料水に透過膜を介してオゾンガスを溶解させる方法等が挙げられる。また、オゾン処理の際には、特開2007−178417号公報に開示されているオゾンによる酸化を促進する方法を併用してもよい。更に、架橋重合体粒子とオゾンとを接触させる時に、紫外線照射、超音波照射、アルカリ水添加等のオゾンの分解を促進する方法を併用できる。
【0047】
本発明のカラム充填剤の平均粒子径の好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。平均粒子径が0.1μm未満の場合、カラム圧が高くなり分離性能が悪くなることがある。平均粒子径が20μmを超える場合、カラム内のデッドボリュームが大きくなり分離性能が悪くなることがある。
【0048】
本発明のカラム充填剤は、従来の強カチオン性基を有するカラム充填剤が測定対象とする物質を分離できる。具体的には例えば、有機化合物、ペプチド類、タンパク質類、核酸類、多糖類等の有機物質や生体高分子物質等の分離に用いることができる。
【0049】
本発明のカラム充填剤を用いた液体クロマトグラフィーは、ウイルス由来の核酸及びヒト由来の核酸を測定できる。例えば、ウイルス由来の核酸を分離検出し、ウイルスの存在や型を判別することができる。また、ヒト由来の核酸を分離検出し、ヒト遺伝子の一塩基多型を含む遺伝子多型を判別することができる。
【0050】
測定対象の核酸としては、公知の方法により抽出及び精製した核酸、又は、精製した核酸を公知のPCR(Polymerase Chain Reaction)法等により増幅した増幅産物等が挙げられる。また、これらの核酸やPCR増幅産物を、制限酵素により切断した制限酵素断片等が挙げられる。
【0051】
本発明のカラム充填剤を用いた液体クロマトグラフィーには公知の溶離液を用いることができる。特に、公知の塩化合物を含む緩衝液類や有機溶媒類を用いることが好ましい。例えば、有機酸、無機酸、及び、これらの塩類、アミノ酸類、グッドの緩衝液等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、グリシン、タウリン、アルギニン等が挙げられる。
また、トリス塩酸緩衝液、トリス及びEDTAを含むTE緩衝液、トリス、酢酸、及び、EDTAを含むTAE緩衝液、トリス、ホウ酸、及び、EDTAを含むTBA緩衝液等が挙げられる。
【0052】
溶離液は塩類を含有してもよい。
塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物や、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。また、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の無機酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム等の有機酸塩を用いることもできる。
更に、溶離液には、他に一般に添加される物質、例えば、界面活性剤、各種ポリマー、親水性の低分子化合物、カオトロピックイオン類等を適宜添加してもよい。
【0053】
溶離液のpHの好ましい下限は5、好ましい上限は10である。pHが5未満であると、充填剤が弱アニオン性基を有する場合、弱アニオン性基の解離度が減少して分離性能が低下する。pHが10を超えると、クロマトグラムが変形し測定精度が低下する。溶離液のpHのより好ましい下限は6、より好ましい上限は9である。
【0054】
溶離液の塩濃度の好ましい下限は10mmol/L、好ましい上限は2000mmol/Lであり、より好ましい下限は100mmol/L、より好ましい上限は1500mmol/Lである。