特許第5911047号(P5911047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911047
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】エンジンへの燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 69/00 20060101AFI20160414BHJP
   F02M 37/04 20060101ALI20160414BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20160414BHJP
   F02D 9/10 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F02M69/00 350P
   F02M37/04 A
   F02M37/00 A
   F02M69/00 340T
   F02M69/00 320J
   F02M69/00 320Z
   F02D9/10 H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-94760(P2011-94760)
(22)【出願日】2011年4月21日
(65)【公開番号】特開2012-225290(P2012-225290A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】若森 誠二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 和幸
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−105987(JP,A)
【文献】 特開2004−232495(JP,A)
【文献】 特開2005−023800(JP,A)
【文献】 特開2004−116359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 69/00
F02D 9/10
F02M 37/00
F02M 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気ポートに連なる吸気路(2)を有するスロットルボディ(1)と、このスロットルボディ(1)に軸支されて前記吸気路(2)を開閉するスロットル弁(3)と、前記吸気路(2)に燃料を噴射すべく前記スロットルボディ(1)に装着される燃料噴射弁(5)と、この燃料噴射弁(5)に燃料を供給すべく前記スロットルボディ(1)に取り付けられる電動式の燃料ポンプ(6)とを備える、エンジンへの燃料供給装置において、
前記燃料噴射弁(5)の燃料入口筒部(5c)及び前記燃料ポンプ(6)の燃料吐出管(19)互いに平行に配置されていて
互いに平行に並んで前記燃料吐出管(19)及び前記燃料入口筒部(5c)にそれぞれ嵌合されている第1及び第2支持部(22,40)と、これら第1及び第2支持部(22,40)間を連通する連結筒部(42)であって、内部の中空部前記燃料吐出管(19)及び前記燃料入口筒部(5c)間を連通する燃料通路(43)とされる連結筒部(42)とで保持部材(9)構成されており
前記連結筒部(42)の一側でこの保持部材(9)に、互いに平行に並ぶ前記燃料ポンプ(6)及び燃料噴射弁(5)が保持されていることを特徴とする、エンジンへの燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1記載のエンジンへの燃料供給装置において、
口部(12)を一側に有するデバイスケース(8)が、前記スロットルボディ(1)に一体的に備えられていることを特徴とする、エンジンへの燃料供給装置。
【請求項3】
請求項2記載のエンジンへの燃料供給装置において、
前記デバイスケース(8)前記燃料ポンプ(6)に隣接し、且つ燃料タンク(15)内に連通していて前記燃料ポンプ(6)からベーパが排出される燃料室(10d)を有し、前記保持部材(9)、前記燃料通路(43)から余剰燃料を前記燃料室(10d)に排出して前記燃料ポンプ(6)の吐出圧力を調整するレギュレータ(7)を有することを特徴とする、エンジンへの燃料供給装置。
【請求項4】
請求項1記載のエンジンへの燃料供給装置において、
前記燃料噴射弁5、そのノズル筒部(5a)が前記吸気路(2)の下流側に指向するように前記吸気路(2)に対して傾斜していることを特徴とする、エンジンへの燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気ポートに連なる吸気路を有するスロットルボディと、このスロットルボディに軸支されて前記吸気路を開閉するスロットル弁と、前記吸気路に燃料を噴射すべく前記スロットルボディに装着される燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に燃料を供給すべく前記スロットルボディに取り付けられる電動式の燃料ポンプとを備える、エンジンへの燃料供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝるエンジンへの燃料供給装置は、下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−105987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のかゝるエンジンへの燃料供給装置では、燃料ポンプ及び燃料噴射弁のスロットルボディへの組み付け方向が異なっているので、組立性が良好とは言えない。
【0005】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、組立性が良好なエンジンへの燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンの吸気ポートに連なる吸気路を有するスロットルボディと、このスロットルボディに軸支されて前記吸気路を開閉するスロットル弁と、前記吸気路に燃料を噴射すべく前記スロットルボディに装着される燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に燃料を供給すべく前記スロットルボディに取り付けられる電動式の燃料ポンプとを備える、エンジンへの燃料供給装置において、前記燃料噴射弁の燃料入口筒部及び前記燃料ポンプの燃料吐出管互いに平行に配置されていて、互いに平行に並んで前記燃料吐出管及び前記燃料入口筒部にそれぞれ嵌合されている第1及び第2支持部と、これら第1及び第2支持部間を連通する連結筒部であって、内部の中空部前記燃料吐出管及び前記燃料入口筒部間を連通する燃料通路とされる連結筒部とで保持部材構成されており前記連結筒部の一側でこの保持部材に、互いに平行に並ぶ前記燃料ポンプ及び燃料噴射弁が保持されていることを第1の特徴とする。
【0007】
さらにまた本発明は、第1の特徴に加えて、口部を一側に有するデバイスケースが、前記スロットルボディに一体的に備えられていることを第2の特徴とする。
【0008】
さらにまた本発明は、第2の特徴に加えて、前記デバイスケース前記燃料ポンプに隣接し、且つ燃料タンク内に連通していて前記燃料ポンプからベーパが排出される燃料室を有し、前記保持部材、前記燃料通路から余剰燃料を前記燃料室に排出して前記燃料ポンプの吐出圧力を調整するレギュレータを有することを第3の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は、第1の特徴に加えて、前記燃料噴射弁、そのノズル筒部が前記吸気路の下流側に指向するように前記吸気路に対して傾斜していることを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、燃料噴射弁の燃料入口筒部及び燃料ポンプの燃料吐出管を互いに平行にした状態で、スロットルボディに同一方向から一挙に組み付けることができ、エンジンへの燃料供給装置の組立性が向上する。
【0011】
また、燃料ポンプ及び燃料噴射弁を保持部材に保持させることにより、燃料ポンプ及び燃料噴射弁間を直ちに連通させることができる。しかも燃料ポンプの燃料吐出管及び燃料噴射弁の燃料入口筒部は、互いに平行状態で保持部材に保持されるので、燃料ポンプ及び燃料噴射弁をスロットルボディに容易に一挙に組み付けることが可能となり、エンジンへの燃料供給装置の組立性が一層向上する。また保持部材が燃料ポンプ及び燃料噴射弁間を連通する特別な配管が不要となり、構造の簡素化を図ることができる。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば、単一のデバイスケースの一側に開口部が設けられていることで、該開口部に保持部材、燃料ポンプ及び燃料噴射弁を収容できるから、燃料ポンプ及び燃料噴射弁を他物との接触から保護することができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば、レギュレータは、燃料ポンプ及び燃料噴射弁を保持する保持部材に装着されるので、レギュレータを支持する専用の支持部材が不要となる上、レギュレータから排出される余剰燃料は、燃料ポンプからベーパが排出される燃料室に排出されるので、レギュレータからの余剰燃料排出のための専用の通路が不要となり、構造の簡素化に寄与し得る。
【0014】
本発明の第4の特徴によれば、吸気路において噴射燃料と吸気との混合を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るエンジンへの燃料供給装置の側面図で、ケース蓋を外した状態で示す。
図2図1の2−2線断面図。
図3図1の3−3線断面図。
図4図1の4−4線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて以下に説明する。
【0017】
先ず、図1図3において、自動二輪車用のエンジンへの燃料供給装置は、エンジンの吸気ポート(図示せず)に連なる吸気路2を有するスロットルボディ1と、上記吸気路2を開閉すべくスロットルボディ1に軸支されるスロットル弁3と、このスロットル弁3を開閉駆動する電動モータ4と、スロットル弁3より下流の吸気路2に燃料を噴射する電磁式の燃料噴射弁5と、この燃料噴射弁5に圧送する電動式の燃料ポンプ6と、この燃料ポンプ6の吐出圧力を所定値に調整するレギュレータ7と、上記電動モータ4、燃料噴射弁5及び燃料ポンプ6を収容するデバイスケース8と、このデバイスケース8に上記燃料噴射弁5及び燃料ポンプ6を保持する保持部材9とを備えるもので、その各部について順次詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、スロットルボディ1は、吸気路2の下流側端部に取り付けフランジ1aを一体的に備えており、この取り付けフランジ1aを図示しないエンジンのシリンダヘッドにボルト結合した状態で吸気路2は水平に配置される。スロットル弁3の弁軸3aも水平に配置され、その両端部は、スロットルボディ1の左右両側壁の軸受ボス1b,1cにベアリング20a,20bを介して回転自在に支持される。
【0019】
デバイスケース8は、合成樹脂を材料としてスロットルボディ1と共に一体成形される。このデバイスケース8は、スロットルボディ1の下側に配置されて弁軸3aと平行に延びる第1収容部10と、この第1収容部10の一端部から立ち上がってスロットルボディ1の左右方向一側に配置される第2収容部11とよりなっており、この第2収容部11の、スロットルボディ1と反対側の側面は開口部12とされる。
【0020】
第1収容部10は、第2収容部11と反対側の一端を閉塞した小径円筒部10aと、この小径円筒部10aの他端に連なると共に第2収容部11に向かって開口する大径円筒部10bとよりなっており、両円筒部10a,10bの一部の側壁が連続するように、大径円筒部10bは、小径円筒部10aに対してスロットルボディ1側に偏心している。
【0021】
小径円筒部10aの閉鎖端壁には、その外方に突出する燃料入口管13及び燃料出口管14が互いに離間して形成され、燃料入口管13には、スロットルボディ1より高所に設置される自動二輪車の燃料タンク15内の底部より延出する燃料供給管16が接続され、燃料出口管14には、上記燃料タンク15内に開口する燃料戻し管17が接続される。
【0022】
上記小径円筒部10aから大径円筒部10bに亙り、それらの内部に前記燃料ポンプ6が配設され、また第2収容部11には前記保持部材9が配設される。
【0023】
燃料ポンプ6は、円筒状の主要胴部6aと、この主要胴部6aの、第2収容部11側端面から、その周囲に環状段部6cを残して突出する円筒状の位置決め筒部6bとを備えており、主要胴部6aの端面には燃料吸入管18が、また位置決め筒部6bの端面には、第2収容部11側に向かって突出する燃料吐出管19が突設される。第1収容部10の内壁には、上記主要胴部6aの端面及び両側面に接する隔壁21が一体に形成される。
【0024】
また前記保持部材9は、前記大径円筒部10bの内周面に第1シール部材23を介して嵌合する円筒状の第1支持部22を有しており、第1シール部材23は、第1支持部22の外周面に形成される環状のシール溝24に装着される。第1支持部22には、前記位置決め筒部6bの外周面にOリング25を介して嵌合される第1保持孔26が設けられ、Oリング25は、前記環状段部6cによって、前記第1保持孔26の開口端部の環状凹部27へ押し込まれる。主要胴部6aは、このOリング25の軸方向の反発力により、小径円筒部10aの端壁側の隔壁21との当接位置に保持される。
【0025】
図4に示すように、保持部材9の第1支持部22の端面の一部は、デバイスケース8に形成される支持段部28に支承され、この支持段部28に第1支持部22を保持すべく、第1支持部22の背面のフランジ面22aに当接する押え板29が締結ボルト30によりデバイスケース8に固着され、この保持部材9によって燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5は第1収容部10及びスロットルボディ1の所定位置にそれぞれ保持される。
【0026】
而して、第1収容部10内は、前記隔壁21及び第1支持部22とによって、燃料入口管13に連なる第1燃料室10cと、燃料出口管14に連なる第2燃料室10dとに区画され、前記燃料吸入管18は第1燃料室10cに開口するように配置される。また燃料ポンプ6の主要胴部6aの端壁に設けられる脱泡孔31は第2燃料室10dに開口する。この脱泡孔31からは、燃料ポンプ6内で発生したベーパや気泡が排出するようになっている。
【0027】
図2及び図4に示すように、前記燃料吐出管19は、その先端部を小径にした段付きに形成され、この燃料吐出管19が第2シール部材33を介して嵌合する段付きの第2保持孔34が前記第1保持孔26の内端面に設けられる。したがって、第2保持孔34は、第1保持孔26と同様に第1支持部22に備えられる。第2シール部材33は、燃料吐出管19の環状段部19aと、第2保持孔40の環状段部34aとの間に配置される。
【0028】
而して、上記吐出管19から吐出される燃料圧力は、保持部材9を燃料ポンプ6からその軸方向に沿って離反させる方向に作用すると共に、その反作用により燃料ポンプ6を、その軸方向に沿って隔壁21との当接方向へ押圧する。したがって、前記Oリング25を省略しても、燃料ポンプ6をガタ無く隔壁21に押圧支持することができる。
【0029】
スロットルボディ1の、第2収容部11に臨む側壁には取り付けボス35が一体に形成され、この取り付けボス35内に前記燃料噴射弁5のノズル筒部5aが第3シール部材36を介して装着される。燃料噴射弁5は、その前端側から上記ノズル筒部5a、コイル部5b及び燃料入口筒部5cを備え、コイル部5bの外周面に給電用のカプラ37が一体に突設される。
【0030】
一方、保持部材9は、前記第1支持部22と、燃料噴射弁5の燃料入口筒部5c外周に第4シール部材39を介して嵌合する第3保持孔41を内側に形成した円筒状の第2支持部40と、この第2支持部40を第1支持部22に一体に連結する筒状の連結筒部42ととよりなっており、合成樹脂をもって単一部品に成形され、連結筒部42の中空部は、第2保持孔40及び第3保持孔41間を接続する燃料通路43とされる。したがって、燃料ポンプ6の燃料吐出管19と、燃料噴射弁5の燃料入口筒部5cとは、上記燃料通路43を介して互いに連通される。第4シール部材39は、燃料入口筒部5cの外周溝に装着される。上記燃料通路43は、保持部材9の成形時、中子ピンにより形成されるもので、その中子ピン挿入口44aは、連結筒部42に一体に連設される延長筒部44に設けられ、その延長筒部44の外周にスナップ結合されるキャップ45が第5シール部材46を介して上記挿入口44aに嵌合され、それを閉鎖する。ところで、延長筒部44の存在によりキャップ45は、デバイスケース8と、それの開口部12を閉鎖する後述のケース蓋86との少なくとも一方の内壁に近接し、その内壁がキャップ45の中子ピン挿入口44aからの抜け出しを阻止するようになっている。
【0031】
図2において、前記第1支持部22には、前記第2燃料室10dに開口するレギュレータ装着孔50と、前記燃料通路43の中間部から分岐してレギュレータ装着孔50に達する燃料分岐路43aとが設けられ、レギュレータ装着孔50に前記レギュレータ7が装着される。
【0032】
このレギュレータ7は、レギュレータ装着孔50に第6シール部材52を介して嵌合されて、第1支持部22の熱かしめ部53により抜け止めされる円筒状のレギュレータハウジング54と、このレギュレータハウジング54内に収容されて、レギュレータハウジング54の、前記燃料分岐路43aに連なる弁孔55を開閉する球状の弁体56と、この弁体56を閉じ方向に押圧し得る傘形の弁押圧部材57と、レギュレータハウジング54の内周面に圧入されて弁押圧部材57のロッド部を摺動可能に支持するリテーナ58と、このリテーナ58及び弁押圧部材57間に縮設され、所定のセット荷重をもって弁押圧部材57を弁体56の閉じ方向に押圧する調圧ばね59とで構成される。リテーナ58には、レギュレータハウジング54内を第2燃料室10d側に開放する複数の逃がし孔が設けられる。
【0033】
以上において、第1収容部11、取り付けボス35、燃料ポンプ6、燃料噴射弁5、第1及び第2支持部22,40、並びに第1,第2及び第3保持孔26,34,41は、各軸線が互いに平行になるように配置される。
【0034】
図2において、第2収容部11には、出力軸4aをスロットル弁3の弁軸3aと平行にした、スロットル弁駆動用の電動モータ4が配設される。この電動モータ4は、一側面にブラケット61,61が付設されており、これらブラケット61,61と、それらの間に介在させたディスタンスカラー78とを第2収容部11の底壁11aにボルト79で固着することで、電動モータ4は第2収容部11に固定される。上記出力軸4aは減速ギヤ列62を介して弁軸3aに連結される。減速ギヤ列62は、出力軸4aに固着されるピニオンギヤ63と、第2収容部11内に突出した弁軸3aの端部に固着され、ピニオンギヤ63に噛合するセクタギヤ64とで構成され、出力軸4aの回転を減速して弁軸3aに伝達し得るようになっている。
【0035】
図1図3において、保持部材9及び電動モータ4には、電子回路基板67を支持する第1及び第2支持凸部65,66がそれぞれ形成される。また第2収容部11には、同じく電子回路基板67を支持する端子支持ブロック68と、この端子ブロック68の外端より突出する外部カプラ69とが一体に形成され、端子支持ブロック68には、外部カプラ69から電子回路基板67に達する多数のカプラ端子71,71…がインサート成形により埋設、支持される。これらカプラ端子71,71…から電子回路基板67を介して前記燃料ポンプ6、電磁式燃料噴射弁5及び電動モータ4に給電されるようになっている。
【0036】
即ち、図3及び第4に示すように、保持部材9の前記連結筒部42及び第1支持部22には、一対のバスバー72,72がインサート成形により埋設される。これらバスバー72,72は、連結筒部42に埋設されてその長手方向に延びる直線部72a,72aと、これら直線部72a,72aの一端から屈曲して、前記段付きの第2保持孔40の両側を通って第1保持孔26に突入する屈曲部72b,72bと、これら屈曲部72b,72bの先端に形成されるコネクタ72c,72cとよりなっており、燃料ポンプ6の位置決め筒部6bより突出した一対のポンプ端子87,87が挿入接続される。直線部72a,72aの他端には、前記第1支持凸部65を貫通して電子回路基板67に挿入接続される端子72d,72dが屈曲形成される。したがって、燃料ポンプ6は、電子回路基板67からバスバー72,72を通して給電される。また上記バスバー72,72は、保持部材9への埋設によって、燃料ポンプ6への電気的配線を簡素化すると共に、保持部材9の剛性を強化することができる。したがって強固な保持部材9によって燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5を強固に保持することができる。換言すれば、簡単な構造で燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5からの燃料漏れに対するタフネスを確保することができる。
【0037】
また電動モータ4の複数の正逆用通電端子73,73…(図2にはその1本のみを示す。)は前記第2支持凸部66を貫通して電子回路基板67に挿入接続される。したがって、電動モータ4は、電子回路基板67から正逆用通電端子73,73…を通して給電され、正転及び逆転が制御される。
【0038】
また燃料噴射弁5のカプラ37には雌カプラ75が嵌合、連結される。この雌カプラ75にはリード線76を介してコネクタ77が接続され、このコネクタ77が電子回路基板67に接続される。したがって、燃料噴射弁5は、電子回路基板67からコネクタ77及びリード線76を通して給電される。
【0039】
図1図3に示すように、デバイスケース8の端面には、その開口部12を閉鎖する合成樹脂製で箱形のケース蓋86が第7シール部材80を挟んで接合され、この第7シール部材80は、デバイスケース8及びケース蓋86の一方の接合面に形成されるシール溝81に装着される。図示例では、デバイスケース8及びケース蓋86の接合は、それらの接合端部に形成されるフランジ82,83相互を複数のクリップ84により挟持することにより行われるが、溶着も可である。またデバイスケース8及びケース蓋86の接合に際しては、保持部材9及びケース蓋86間にウレタンフォーム等のクッション部材85が介装され、これにより保持部材9は、前記締結ボルト30と協働して、デバイスケース8の支持段部28との当接状態に保持され、燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5を定位置に保持することができる。
【0040】
次に、この実施形態の作用について説明する。
【0041】
エンジンへの燃料供給装置の組み立てに際しては、先ず、保持部材9のレギュレータ装着孔50にレギュレータ7を装着し、中子ピン挿入口44aを閉鎖するキャップ45を延長筒部44にスナップ係合する。また保持部材9の第1支持部22の第1保持孔26に燃料ポンプ6の位置決め筒部6bをOリング25を介して嵌合すると同時に、燃料ポンプ6の燃料吐出管19を第2保持孔34に第2シール部材33を介して嵌合し、また第2支持部40の第3保持孔41に燃料噴射弁5の燃料入口筒部5cを第4シール部材39を介して嵌合する。こうして燃料ポンプ6の燃料吐出管19及び燃料噴射弁5の燃料入口筒部5cは、互いに平行にデバイスケース8に支持されると共に、保持部材9内部の燃料通路43を介して相互に連通した状態となる。
【0042】
次に、こうして燃料ポンプ6の燃料吐出管19及び燃料噴射弁5の燃料入口筒部5cを互いに平行に保持した保持部材9をデバイスケース8の開口部12からその内部に向かわせ、上記電磁式燃料ポンプ6を第1収容部10の小径円筒部10a内に挿入して、同大径円筒部10bの内周面にデバイスケース8の第1支持部22を第1シール部材23を介して嵌合すると同時に、燃料噴射弁5のノズル筒部5aをスロットルボディ1の取り付けボス35に第3シール部材36を介して嵌装する。その際、上記第1収容部11及び取り付けボス35も互いに平行に配置されているから、燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5と、これらを互いに平行に保持した保持部材9とを、一つの開口部12から同一方向に沿ってスロットルボディ1及びデバイスケース8に一挙に組み付けることができ、組立性が良好である。また上記各嵌合部に軸方向のガタがあっても、上記シール部材23,25,33,39の存在により、各嵌合部からの燃料漏れを防ぐことができる。これにより、各嵌合部には軸方向の寸法誤差が大きく許容され、製作及び組み立てが容易となり、コストの低減に寄与得る。また第1収容部10の大径円筒部10bの内周面にデバイスケース8の第1支持部22を第1シール部材23を介して嵌合することで、第1収容部10内の燃料ポンプ6周りに第1及び第2燃料室10c,10dを画成することができる。
【0043】
次いで、保持部材9をデバイスケース8の支持段部28に押し付ける押え板29を締結ボルト30により固定する。こうして、互いに平行に並ぶ燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5が、互いに平行に並んで燃料吐出管19及び燃料入口筒部5cにそれぞれ嵌合されている第1及び第2支持部22,40と、これら第1及び第2支持部22,40間を連通するとともに内部の中空部が燃料吐出管19及び燃料入口筒部5c間を連通する燃料通路43とされる連結筒部42とで構成された保持部材9に、連結筒部42の一側且つデバイスケース8の所定位置保持される。
【0044】
また電動モータ4をデバイスケース8の第2収容部11の底壁11aにボルト79により固定すると共に、弁軸3aのセクタギヤ64に出力軸4aのピニオンギヤ63を噛合させる。
【0045】
その後、電子回路基板67を前述のように第1及び第2支持凸部65,66及び端子支持ブロック68上に取り付け、次いでケース蓋86をデバイスケース8の開放端面に第7シール部材80を介して接合し、複数のクリップ84によりケース蓋86をデバイスケース8に固定する。その際、保持部材9とケース蓋86との間には、前述のようにクッション部材85を介装する。こうして、デバイスケース8の開口部12は、ケース蓋86により閉じられるので、デバイスケース8及びケース蓋86の協働により、燃料ポンプ6、燃料噴射弁5、電動モータ4及び電子回路基板67を他物との接触から確実に保護することができ、また雨水、塵埃等からも保護することができ、これによりエンジンへの燃料供給装置の耐久性の向上を図ることができる。
【0046】
燃料タンク15内の燃料は燃料供給管16を流下して、燃料入口管13からデバイスケース8内の第1燃料室10cを常時満たしている。したがって、燃料ポンプ6が作動すると、第1燃料室10cの燃料が燃料吸入管18から吸入され、燃料ポンプ6内で加圧されて燃料吐出管19から燃料通路43へと吐出され、燃料噴射弁5は、上記燃料をエンジンの回転数及びスロットル弁3の開度に応じた量だけスロットルボディ1の吸気路2へと噴射する。吸気路2に噴射された燃料は、吸気路2を流れる吸気と混合しながらエンジンに供給される。
【0047】
その間、上記燃料通路43の圧力、即ち燃料ポンプ6の吐出圧力は燃料分岐路43a及び弁孔55を通して弁体56に作用するので、その吐出圧力が調圧ばね59のセット荷重に対応する所定値を超えると、弁体56が開き、上記吐出圧力の過剰分が弁孔55及びレギュレータハウジング54内を通してデバイスケース8内の第2燃料室10dへ放出されることで、上記吐出圧力が所定値に調整される。
【0048】
第2燃料室10dに排出された余剰燃料は、燃料出口管14から燃料戻し管17を通して燃料タンク15内に戻される。その間、燃料ポンプ6の内部でベーパが発生すると、そのベーパは、燃料ポンプ6の脱泡孔31から第2燃料室10dに排出されるので、上記余剰燃料の流れに乗って燃料タンク15内へと速やかに排出することができる。
【0049】
上記のように、スロットルボディ1に、一側に開口部12を有するデバイスケース8を一体的に形成し、このデバイスケース8内には、開口部12を通して燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5を配設し、さらにこれら燃料噴射弁5及び燃料ポンプ6を保持する保持部材9を前記開口部12を通してデバイスケース8内に配設し、この保持部材9の内部には、前記燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5間を連通する燃料通路43を形成したので、保持部材9が燃料導管を兼用することになり、したがって燃料通路43のための特別な配管が不要であり、しかも単一のデバイスケース8により燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5を他物の接触から保護することができるので、エンジンへの燃料供給装置の構造を効果的に簡素化することができ、そのコスト低減に寄与し得る。
【0050】
またレギュレータ7は、燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5を保持する保持部材9に装着されるので、レギュレータ7を支持する専用の支持部材が不要となる上、レギュレータ7から排出される余剰燃料は、燃料ポンプ6からベーパが排出される、第1支持部22内の第2燃料室10dに排出されるので、レギュレータ7からの余剰燃料排出のための専用の通路が不要である。
【0051】
さらにレギュレータ7は、保持部材9上で燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5間のデッドスペースを利用して配置されるので、レギュレータ7の装着による保持部材9の大型化を防ぐことができ、しかも燃料ポンプ6及び燃料噴射弁5間の燃料通路43の中間部から分岐してレギュレータ7の入口に達する燃料分岐路43aは極めて短いものとすることができ、これも保持部材9の大型化を防ぐことに寄与する。
【0052】
尚、エンジンへの燃料供給装置の組み立ての際には、最初にスロットルボディ1及びデバイスケース8に燃料噴射弁5及び燃料ポンプ6を組み付け、次いで燃料噴射弁5及び燃料ポンプ6に保持部材9を組み付けても、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0054】
例えば、燃料噴射弁5を露出式に配置する場合には、デバイスケース8は、燃料ポンプ6のみを収容するように構成される。
【0055】
またデバイスケース8は、これをスロットルボディ1とは別個に成形した後、スロットルボディ1に溶着もしくはボルト結合することもできる。
【0056】
またデバイスケース8の第1収容部10において、隔壁21を廃止し、第1燃料室10c及び第2燃料室10dを相互に連通して一つの燃料室に構成することもできる。この場合、燃料入口管13及び燃料吸入管18を、該燃料室の下部に、燃料出口管14及びレギュレータ7を該燃料室の上部に配置して、燃料ポンプ6から排出されるベーパやレギュレータ7からの余剰燃料を燃料出口管14から燃料タンク15へ速やかに排出させるようにすることが望ましい。
【0057】
また燃料噴射弁5は、そのノズル筒部5aが吸気路2の下流側に指向するように、吸気路2の軸線に対して斜めに配置すれば、吸気路2において噴射燃料と吸気との混合を良好にすることができる。この場合も組立性を考慮して、燃料ポンプ6は、燃料噴射弁5に対して平行に配置される。
【符号の説明】
【0058】
1・・・・・スロットルボディ
2・・・・・吸入路
3・・・・・スロットル弁
5・・・・・燃料噴射弁
5a・・・・燃料噴射弁のノズル筒部
5c・・・・燃料噴射弁の燃料入口筒部
6・・・・・燃料ポンプ
8・・・・・デバイスケース
9・・・・・保持部材
12・・・・保持部材の開口部
15・・・・燃料タンク
22・・・・保持部材の第1支持部
40・・・・保持部材の第2支持部
42・・・・保持部材の連結筒部
43・・・・燃料通路
図1
図2
図3
図4