【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
(色素Aの合成)
2‐ホルミル‐5‐ヘキシルチオフェンの合成
【0041】
【化5】
【0042】
2‐ヘキシルチオフェン(20.0g)と脱水テトラヒドロフラン(100ml)を入れた反応容器を、−10℃まで冷却し、そこへn‐ブチルリチウム(90ml)を滴下した。2時間後、DMF(18ml)をゆっくり滴下した。この溶液を、10℃で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を滴下し、ヘキサンで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた油状物を、シリカゲルカラム(クロロホルム/ヘプタン=1/1)により展開分離し、生成物(2‐ホルミル‐5‐ヘキシルチオフェン、22.8g)を得た。
【0043】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0044】
【化6】
【0045】
反応容器に、ピロール(2.73g)、2‐ホルミル‐5‐ヘキシルチオフェン(6.0g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(1.67g)、クロロホルム(1500ml)とエタノール(6ml)を加え、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(1.45g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(6.94g)を加え、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=3/1)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、1.43g)を得た。
【0046】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0047】
【化7】
【0048】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(1.35g)をクロロホルム(160ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(38ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(3.77g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、1.53g)を得た。
【0049】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0050】
【化8】
【0051】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(1.40g)をTHF(210ml)と水(70ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(7.0g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/THF=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、1.27g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)0.98(t,9H),1.45(m,12H),1.61(quin,6H),1.96(quin,6H),3.14(t,6H),7.17(d,3H),7.71(d,3H),8.35(d,2H),8.53(d,2H),8.89(d,2H),9.23(d,2H),9.24(s,4H)
【0052】
(色素Bの合成)
2‐(4‐ヘキシルフェニル)‐4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロランの合成
【0053】
【化9】
【0054】
反応容器に、1‐ブロモ‐4‐ヘキシルベンゼン(10.00g)、ビス(ピナコレート)ジボラン(12.60g)、酢酸カリウム(12.13g)とDMF(200ml)を加えて撹拌した。そこへビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.61g)を投入して80℃に加温した。一晩加熱撹拌した後、クロロホルムと水を加えて分液洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した。これをシリカゲルカラム(ヘキサン→ヘキサン/クロロホルム=1/2)で精製して、生成物(2‐(4‐ヘキシルフェニル)‐4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン、9.30g)を得た。
【0055】
5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐カルバルデヒドの合成
【0056】
【化10】
【0057】
反応容器に2‐(4‐ヘキシルフェニル)‐4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン(5.10g)、5‐ブロモチオフェン‐2‐カルバルデヒド(4.07g)、10%炭酸ナトリウム水溶液(55ml)とジオキサン(60ml)を加えて撹拌した。そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(598mg)を投入し、80℃に加温した。一晩加熱撹拌した後、クロロホルムと水を加えて分液洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/クロロホルム=4/1→クロロホルム)で精製して、生成物(5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐カルバルデヒド、4.70g)を得た。
【0058】
5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0059】
【化11】
【0060】
ピロール(1.58g)、5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐カルバルデヒド(4.80g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(0.97g)をクロロホルム(180ml)とエタノール(3ml)に溶解させ、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(0.83g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(4.10g)を入れ、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、0.50g)を得た。
【0061】
5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0062】
【化12】
【0063】
5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.50g)をクロロホルム(120ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(60ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(0.70g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/クロロホルム=2/1)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.40g)を得た。
【0064】
5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0065】
【化13】
【0066】
5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(0.40g)をTHF(50ml)と水(30ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(3ml)を加え、約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。クロロホルムで抽出し、有機層を水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を留去した。これをシリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/酢酸エチル=4/1)で精製して、紫色生成物(5,10,15‐トリ[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.30g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)0.92(t,9H),1.30‐1.42(m,18H),1.69(quin,6H),2.69(t,6H),7.31(d,6H),7.67(d,3H),7.79(d,6H),7.87(d,3H),8.36(d,2H),8.52(d,2H),8.91‐9.34(m,8H)
【0067】
(色素Cの合成)
9‐(2‐チオフェン)‐3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾールの合成
【0068】
【化14】
【0069】
反応容器に、3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾール(12.46g)、銅(8.23g)、炭酸カリウム(8.15g)、2‐ブロモチオフェン(8.73g)とニトロベンゼン(100ml)を加え、160℃で1日加熱撹拌した。反応液にクロロホルムを投入し、セライトに通した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=1/2)で分離精製して、生成物(9‐(2‐チオフェン)‐3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾール、6.75g)を得た。
【0070】
9‐[(2‐ホルミル)チオフェン‐5‐イル]‐3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾールの合成
【0071】
【化15】
【0072】
9‐(2‐チオフェン)‐3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾール(6.75g)を脱水THF(50ml)に溶解させ、0℃まで冷却した。そこへn‐ブチルリチウム(13ml)をゆっくりと滴下した。30分後、DMF(1.6ml)を投入した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=20/1→10/1→8/1)で精製して、黄色生成物(9‐[(2‐ホルミル)チオフェン‐5‐イル]‐3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾール、5.65g)を得た。
【0073】
5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0074】
【化16】
【0075】
反応容器に、ピロール(0.62g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(0.38g)、9‐[(2‐ホルミル)チオフェン‐5‐イル]‐3,6‐ジ‐t‐ブチルカルバゾール(2.70g)、クロロホルム(150ml)とエタノール(2ml)を入れ、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(0.36g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(1.70g)を加え、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、0.98g)を得た。
【0076】
5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0077】
【化17】
【0078】
5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.98g)をクロロホルム(100ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(40ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(0.70g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、1.00g)を得た。
【0079】
5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0080】
【化18】
【0081】
5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(1.00g)をTHF(150ml)と水(15ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(1.5g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。紫色沈殿物を回収して、紫色生成物(5,10,15‐トリ[5‐(3,6‐ジ‐t‐ブチル‐9H‐カルバゾール‐9‐イル)チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.70g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)1.53(s,54H),7.63(dd,3H),7.67(t,6H),7.88(t,6H),8.01(dd,3H),8.22(s,6H),8.41(d,2H),8.59(d,2H),9.02(d,2H),9.42(d,2H),9.48(s,4H)
【0082】
(色素Dの合成)
5‐ホルミルチオフェン‐2‐カルボン酸メチルエステルの合成
【0083】
【化19】
【0084】
反応容器に、5‐ホルミルチオフェン‐2‐カルボン酸(0.50g)、4‐ジメチルアミノピリジン(0.11g)、メタノール(0.87g)とクロロホルム(12ml)を加え、5℃まで冷却した。そこへ1‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐3‐エチルカルボジイミド塩酸塩(0.74g)を加えた。室温で1時間撹拌後、3M塩酸(8ml)を投入した。反応液をクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で精製し、黄色生成物(5‐ホルミルチオフェン‐2‐カルボン酸メチルエステル、0.45g)を得た。
【0085】
5‐(5‐メトキシカルボニルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリンの合成
【0086】
【化20】
【0087】
反応容器に、ピロール(1.26g)、2‐ホルミル‐5‐ヘキシルチオフェン(2.77g)、5‐ホルミルチオフェン‐2‐カルボン酸メチルエステル(0.80g)、クロロホルム(700ml)とエタノール(3ml)を加え、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(0.67g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(3.20g)を加え、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=3/2→5/1)により展開分離し、生成物(5‐(5‐メトキシカルボニルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン、1.43g)を得た。
【0088】
5‐(5‐メトキシカルボニルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0089】
【化21】
【0090】
5‐(5‐メトキシカルボニルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン(0.50g)をクロロホルム(60ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(14ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(1.39g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5‐(5‐メトキシカルボニルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.42g)を得た。
【0091】
5‐(5‐カルボキシルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0092】
【化22】
【0093】
5‐(5‐メトキシカルボニルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(0.41g)をTHF(60ml)と水(20ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(2.00g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/THF=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5‐(5‐カルボキシルチオフェン‐2‐イル)‐10,15,20‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.40g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)0.98(t,9H),1.41‐1.47(m,12H),1.60(quin,6H),1.96(quin,6H),3.14(t,6H),7.17(d,3H),7.70(d,3H),7.94(d,2H),8.26(d,2H),9.12(d,2H),9.23(s,4H),9.26(d,2H)
【0094】
(色素Eの合成)
5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0095】
【化23】
【0096】
反応容器に、ピロール(1.34g)、5‐ホルミル‐2‐メチルチオフェン(1.89g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(0.82g)、クロロホルム(150ml)とエタノール(2ml)を入れ、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(0.72g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(3.40g)を入れ、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、0.34g)を得た。
【0097】
5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0098】
【化24】
【0099】
5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.30g)をクロロホルム(200ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(80ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(0.36g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.10g)を得た。
【0100】
5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0101】
【化25】
【0102】
5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐[(4‐メトキシカルボニル)フェニル]ポルフィリン亜鉛(II)錯体(0.10g)をTHF(70ml)と水(30ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(3ml)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。クロロホルムで抽出し、有機層を水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を留去した。これをシリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/酢酸エチル=4/1)で精製して、紫色沈殿物を回収して、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐メチルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.09g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)2.83(s,9H),7.17(d,3H),7.68(d,3H),8.35(d,2H),8.52(d,2H),8.88‐9.26(m,8H)
【0103】
(色素Fの合成)
5‐ブロモ‐5'‐ホルミル‐2,2'‐ビチオフェンの合成
【0104】
【化26】
【0105】
5‐ホルミル‐2,2'‐ビチオフェン(5.00g)をDMF(6ml)に溶解させ、0℃に冷却した。そこへN‐ブロモスクシンイミド(4.80g)を投入した。反応終了後、水を加え、分液洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して粗生成物を得た。これをTHFと酢酸エチルで洗浄して、生成物(5‐ブロモ‐5'‐ホルミル‐2,2'‐ビチオフェン、6.00g)を得た。
【0106】
5‐(5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル)チオフェン‐2‐カルバルデヒドの合成
【0107】
【化27】
【0108】
反応容器に、5‐ブロモ‐5'‐ホルミル‐2,2'‐ビチオフェン(5.52g)、2‐(4‐ヘキシルフェニル)‐4,4,5,5‐テトラメチル‐1,3,2‐ジオキサボロラン(6.23g)、10%炭酸ナトリウム水溶液(65ml)、ジオキサン(60ml)とキシレン(20ml)を加えて撹拌した。そこへテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.66g)を投入し、80℃に加温した。4時間加熱撹拌した後、クロロホルムと水を加えて分液洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/クロロホルム=1/1→クロロホルム)で精製して、生成物(5‐(5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル)チオフェン‐2‐カルバルデヒド、5.40g)を得た。
【0109】
5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0110】
【化28】
【0111】
ピロール(1.38g)、5‐(5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル)チオフェン‐2‐カルバルデヒド(5.40g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(0.85g)をクロロホルム(150ml)とエタノール(2ml)に溶解させ、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(0.73g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(3.40g)を入れ、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、0.40g)を得た。
【0112】
5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0113】
【化29】
【0114】
5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.40g)をクロロホルム(80ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(20ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(0.45g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/クロロホルム=1/2→クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.20g)を得た。
【0115】
5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0116】
【化30】
【0117】
5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(0.20g)をTHF(50ml)と水(30ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(3ml)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。クロロホルムで抽出し、有機層を水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒を留去した。これをシリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/酢酸エチル=4/1)で精製して、紫色生成物(5,10,15‐トリ[5‐[5‐(4‐ヘキシルフェニル)チオフェン‐2‐イル]チオフェン‐2‐イル]‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.15g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,THF,400MHz)0.92(t,9H),1.30‐1.40(m,18H),1.67(quin,6H),2.65(t,6H),7.25(d,6H),7.41(t,3H),7.45(t,3H),7.64(d,6H),7.70(t,3H),7.86(t,3H),8.31(d,2H),8.45(d,2H),8.86(d,2H),9.25(d,2H),9.27(s,4H)
【0118】
(比較例の合成)
比較例として、以下の化合物を合成した。
【0119】
【化31】
【0120】
(比較例1の合成)
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0121】
【化32】
【0122】
反応容器に、ピロール(2.73g)、2‐ホルミル‐5‐ヘキシルチオフェン(6.0g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(1.67g)、クロロホルム(1500ml)とエタノール(6ml)を加え、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(1.45g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(6.94g)を加え、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=3/1)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、1.43g)を得た。
【0123】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリンの合成
【0124】
【化33】
【0125】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.15g)をTHF(50ml)と水(10ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(1.50g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/THF=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン、0.10g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)0.98(t,9H),1.40‐1.50(m,12H),1.60(quin,6H),1.96(quin,6H),3.14(t,6H),7.17(d,3H),7.71(d,3H),8.35(d,2H),8.54(d,2H),8.78‐9.14(m,8H)
【0126】
(比較例2の合成)
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン銅(II)錯体の合成
【0127】
【化34】
【0128】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.53g)をクロロホルム(100ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(40ml)に溶解させた酢酸銅(0.50g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=1/1)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン銅(II)錯体、0.42g)を得た。
【0129】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン銅(II)錯体の合成
【0130】
【化35】
【0131】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン銅(II)錯体(0.42g)をTHF(100ml)と水(10ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(1.50g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/THF=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン銅(II)錯体、0.40g)を得た。
【0132】
(比較例3の合成)
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンコバルト(II)錯体の合成
【0133】
【化36】
【0134】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.53g)をクロロホルム(100ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(70ml)に溶解させた酢酸コバルト四水和物(0.70g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=1/2)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンコバルト(II)錯体、0.50g)を得た。
【0135】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリンコバルト(II)錯体の合成
【0136】
【化37】
【0137】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンコバルト(II)錯体(0.50g)をTHF(150ml)と水(15ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(2.00g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/THF=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリンコバルト(II)錯体、0.29g)を得た。
【0138】
(比較例4の合成)
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐メトキシカルボニル)ビフェニル)ポルフィリンの合成
【0139】
【化38】
【0140】
反応容器に、ピロール(1.07g)、2‐ホルミル‐5‐ヘキシルチオフェン(2.35g)、4'‐ホルミルビフェニル‐4‐カルボン酸メチルエステル(0.96g)、クロロホルム(120ml)とエタノール(3ml)を加え、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(0.57g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(2.80g)を加え、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐メトキシカルボニル)ビフェニル)ポルフィリン、0.40g)を得た。
【0141】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐メトキシカルボニル)ビフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0142】
【化39】
【0143】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐メトキシカルボニル)ビフェニル)ポルフィリン(0.40g)をクロロホルム(100ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(40ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(0.60g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐メトキシカルボニル)ビフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.40g)を得た。
【0144】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐カルボキシル)ビフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0145】
【化40】
【0146】
5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐メトキシカルボニル)ビフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(0.40g)をTHF(70ml)と水(30ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(3.00g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/酢酸エチル=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5,10,15‐トリ(5‐ヘキシルチオフェン‐2‐イル)‐20‐(4‐(4'‐カルボキシル)ビフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.37g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)0.96‐1.00(m,9H),1.44‐1.46(m,12H),1.60(quin,6H),1.96(quin,6H),3.14(t,6H),7.17(d,3H),7.70(d,3H),8.04(d,4H),8.33(d,4H),8.98‐9.25(m,8H)
【0147】
(比較例5の合成)
5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリンの合成
【0148】
【化41】
【0149】
反応容器に、ピロール(2.45g)、2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(4.06g)、テレフタルアルデヒド酸メチル(1.50g)、クロロホルム(540ml)とエタノール(7ml)を加え、約10℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素(1.43g)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。この溶液に、2,3‐ジクロロ‐5,6‐ジシアノ‐1,4‐ベンゾキノン(6.22g)を加え、さらに1時間撹拌した。反応液をセライトとシリカゲルに通し、ろ液を濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン=3/2)により展開分離し、生成物(5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン、1.13g)を得た。
【0150】
5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0151】
【化42】
【0152】
5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン(0.60g)をクロロホルム(70ml)に溶解させた。そこへ、メタノール(20ml)に溶解させた酢酸亜鉛二水和物(1.98g)を滴下した。反応終了をTLCで確認後、水を加えて分液した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(クロロホルム)で展開分離し、紫色生成物(5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.60g)を得た。
【0153】
5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体の合成
【0154】
【化43】
【0155】
5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐メトキシカルボニルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体(0.60g)をTHF(60ml)と水(20ml)に溶解させた。そこへ48%水酸化ナトリウム(2.0g)を加え、原料が無くなるまで約68℃で加熱した。反応終了後、THFを留去した。残渣に3%ギ酸水を加え、弱酸性にした。沈殿物を回収し、シリカゲルカラム(クロロホルム→クロロホルム/THF=5/1)で展開分離して、紫色生成物(5,10,15‐トリメシチル‐20‐(4‐カルボキシルフェニル)ポルフィリン亜鉛(II)錯体、0.45g)を得た。
1H‐NMR(δ
H/ppm,CDCl
3,400MHz)1.85(s,18H),2.64(s,9H),7.29(s,6H),8.37(s,2H),8.51(s,2H),8.78‐8.83(m,8H)
【0156】
(色素増感太陽電池の作製)
(1)以下の手順により、上記合成例により調製した各種色素A〜Fおよび比較例1〜5を用いた色素増感太陽電池を作製した。
【0157】
i. 基板(フッ素ドープ酸化スズ膜付ガラス板、35mm×33mm)上の1辺1cmの正方形面積部分にスクリーン印刷により酸化チタンペースト[触媒化成製PST−21NR]を膜厚8μmにスクリーン印刷し、乾燥後、その上にさらに酸化チタンペースト[触媒化成製PST−400C]を膜厚4μmにスクリーン印刷した。これを500℃で焼成することで、発電層を形成した。
【0158】
ii. 前記発電層を形成した電極を色素溶液[濃度:0.3mM、溶媒:アセトニトリル/t−ブタノール1/1(v/v)の混合溶媒]に40℃で2時間、浸漬することで、色素を前記発電層の酸化チタン上に担持させアノード電極を得た。
【0159】
iii. 上記アノード電極の発電層の周囲に接着剤を施し、このアノード電極と、別途用意した電解液注入孔を有するチオアセトアミドで処理した白金被覆チタン板(カソード電極)とを、該接着剤により接着し、両電極が50μm程度の一定間隔を置いて平行に配置されるようにした。
【0160】
iv. 次いで、電解液注入口より電解液を注入した。ここで、用いた電解液は、ヨウ素0.1M、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物0.8M、N−メチルベンゾイミダゾール0.5M、3−メトキシプロピオニトリルを溶媒とする溶液を用いた。
【0161】
v. 接着剤を用いて電解液注入孔を封止し、アノード電極上に端子取り出しのためのハンダを塗布して実験用セルを完成させた。
【0162】
(性能試験)
上記のようにして得られた色素増感太陽電池につきその性能を評価した。
【0163】
セルを作成後、該セルを庫内温度85℃の乾燥機(ヤマト科学株式会社製 DK810)内に設置した。24時間後セルを取り出し室温まで冷却した後、AM1.5,1SUN(100mW/cm
2)の照射条件下でセルの変換効率を測定した(この変換効率を「初期変換効率」とする)。その後セルを再度庫内温度85℃の乾燥機内に設置し、20日間放置した。その後、室温まで冷却し、変換効率を測定した。結果を表1に示す。
【0164】
なお光電変換効率は下記式により計算した。
光電変換効率(%)=
100×[(短絡電流密度×開放電圧×曲線因子)/(照射太陽光エネルギー)
【0165】
【表1】
【0166】
化合物A〜Fを用いた太陽電池は、85℃で20日間保持した後でも90%以上の光電変換効率を維持しており、耐熱性および耐久性に優れていることが明らかとなった。一方、比較例1〜5では耐久性に劣ることが示された。また、比較例2および3を用いた太陽電池は初期光電変換効率が0.1%未満と著しく低く、十分な性能を得ることができなかった。