(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911067
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】温度制御システム
(51)【国際特許分類】
F25B 27/00 20060101AFI20160414BHJP
F24F 3/00 20060101ALI20160414BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
F25B27/00 H
F24F3/00 B
F25B1/00 321B
F25B1/00 101Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-534821(P2012-534821)
(86)(22)【出願日】2010年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-508663(P2013-508663A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】IL2010000863
(87)【国際公開番号】WO2011048594
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年10月11日
(31)【優先権主張番号】61/253,573
(32)【優先日】2009年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512099840
【氏名又は名称】ディーズィーソーラー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DZSOLAR LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ザミール,オフリ
【審査官】
▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−159454(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第01176373(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0032760(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01925892(EP,A2)
【文献】
実開昭57−156762(JP,U)
【文献】
米国特許第05177977(US,A)
【文献】
特開2007−333364(JP,A)
【文献】
特開昭58−127070(JP,A)
【文献】
特開2009−016475(JP,A)
【文献】
実開昭58−107478(JP,U)
【文献】
特開昭56−168058(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102009004501(DE,A1)
【文献】
特開2009−109141(JP,A)
【文献】
特開昭58−085064(JP,A)
【文献】
特開平10−267416(JP,A)
【文献】
特開2003−188320(JP,A)
【文献】
特開昭54−157364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 27/00
F24F 3/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉冷媒回路を含む温度制御システムにおいて、閉冷媒回路が、
・冷媒によって熱を吸収し、それにより、冷媒を蒸発させるように構成された蒸発器ユニットと、
・前記回路内の冷媒の圧力および温度を上げるように構成されたコンプレッサユニットと、
・前記冷媒から熱を放出し、それにより冷媒を液化するように構成された凝縮器ユニットと、
を有する温度制御システムにおいて、
前記コンプレッサユニットが、前記冷媒の圧力を上げるように構成された機械式コンプレッサを備え、前記コンプレッサユニットはさらに、前記機械式コンプレッサの上流側に配置された上流の第1集熱器と、前記機械式コンプレッサの下流側に配置された下流の第2集熱器とを備え、前記上流の第1集熱器および前記下流の第2集熱器はともに、前記冷媒の温度を上げるために外部熱源を利用するように構成されており、
当該温度制御システムはさらに、
・前記上流の第1集熱器を迂回する第1バイパス管と、前記下流の第2集熱器を迂回する第2バイパス管と、前記上流の第1集熱器と前記第1バイパス管との間の切換を行う第1弁と、前記下流の第2集熱器と前記第2バイパス管との間の切換を行う第2弁と、前記第1弁および前記第2弁を切り換えて、冷媒の経路を選択的に決めるように構成されたコントローラとを含むことを特徴とする温度制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御システムにおいて、前記集熱器は、入射した太陽放射線から熱を取り込むように構成された太陽熱収集器を含むことを特徴とする温度制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の温度制御システムにおいて、前記太陽熱収集器は、密封容器内に冷媒搬送管を含み、前記密封容器の放射線に面する側が透明材料を含むことを特徴とする温度制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の温度制御システムにおいて、前記密封容器は真空とされることを特徴とする温度制御システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の温度制御システムにおいて、前記冷媒搬送管は、フィン付き管装置の一部を構成することを特徴とする温度制御システム。
【請求項6】
請求項3または4に記載の温度制御システムにおいて、前記太陽熱収集器は、前記冷媒搬送管に付属するヒートシンクをさらに含み、前記ヒートシンクは、太陽エネルギを吸収し、その太陽エネルギを前記冷媒搬送管に送るように構成されることを特徴とする温度制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の温度制御システムにおいて、前記ヒートシンクには、前記冷媒搬送管の少なくとも一部が形成されることを特徴とする温度制御システム。
【請求項8】
請求項6に記載の温度制御システムにおいて、前記ヒートシンクは、前記冷媒搬送管の少なくとも一部をヒートシンク内に受け入れるように形成されることを特徴とする温度制御システム。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の温度制御システムにおいて、前記ヒートシンクには、前記冷媒搬送管から半径方向に延びる突起が形成されることを特徴とする温度制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載の温度制御システムにおいて、前記突起は、前記冷媒搬送管の一部に沿って延びることを特徴とする温度制御システム。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項に記載の温度制御システムにおいて、前記ヒートシンクは、押出し材料で作製されることを特徴とする温度制御システム。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか一項に記載の温度制御システムにおいて、前記ヒートシンクは、金属で作製されることを特徴とする温度制御システム。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか一項に記載の温度制御システムにおいて、前記ヒートシンクの少なくとも放射線対向面は、その反射率が低くなるように設計されることを特徴とする温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム、特に、冷媒などの作動流体を圧縮することで冷房および/または暖房を行う空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調システムは、空間を暖房および冷房するために一般的に用いられる。コンプレッサユニットは、ガスの状態で供給された冷媒を圧縮し、それによって加熱するために設けられる。圧縮され、加熱された冷媒は凝縮コイルを通り、凝縮コイルでは、空気が凝縮コイルに強制的に当てられて熱を大気中に放散し、それによって、冷媒を液体の形態に凝縮する。液体冷媒は、液体冷媒の圧力を下げながらその流れを調整する調量装置を通り、次いで、冷房される空間内かまたはその近くに配置された蒸発器に流入することができる。空間からの空気は蒸発器コイルに強制的に当てられ、それにより、空間からの熱が冷媒によって吸収され、冷媒はガスになる。次いで、ガス状の冷媒は、コンプレッサユニットに搬送され、サイクルが再度始まる。
【0003】
暖房するには、流れの方向を逆転させる。コンプレッサユニットを通る流れの方向が、確実に冷房のときと同じままであるようにするために逆転弁が設けられる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、
・冷媒によって熱を吸収し、それにより、冷媒を蒸発させるように構成された蒸発器ユニットと、
・回路内の冷媒の圧力および温度を上げるように構成されたコンプレッサユニットと、
・冷媒から熱を放出し、それにより冷媒を液化するように構成された凝縮ユニットと、
を有する閉冷媒回路を含む温度制御システムが提供され、
コンプレッサユニットは、冷媒の圧力を上げるように構成された機械式コンプレッサと、冷媒の温度を上げるために外部熱源を利用するように構成された集熱器とを含む。
【0005】
集熱器は、入射した太陽放射線から熱を取り込むように構成された太陽熱収集器を含むことができる。
【0006】
太陽光線検出モジュールは光電池を含むことができる。
【0007】
集熱器は、機械式コンプレッサの下流に配置することができる。
【0008】
第2の集熱器を設け、機械式コンプレッサの上流に配置することができる。
【0009】
各集熱器には、冷媒が集熱器を迂回することを可能にするように構成されたバイパスを設けることができる。
【0010】
温度制御システムは、少なくとも、集熱器における冷媒の予測される温度上昇に基づいて、機械式コンプレッサの動作を制御するように構成されたコントローラをさらに含むことができる。
【0011】
コンプレッサユニットは、機械式コンプレッサの回転数を変化させる可変周波数ドライブを含むことができる。
【0012】
コントローラは、少なくとも、可変周波数ドライブに機械式コンプレッサの回転数を変えさせることで、機械式コンプレッサの動作を制御するように構成することができる。
【0013】
温度制御システムは、集熱器に出入りするときの冷媒の温度を測定するように配置された温度センサをさらに含むことができ、コントローラは、温度センサによって測定された温度に基づいて、予測される温度上昇を求めるように構成される。
【0014】
温度制御システムは、太陽熱収集器で利用できる太陽放射線の程度を測定するように構成された1つまたは複数の太陽光線検出モジュールをさらに含むことができ、コントローラは、太陽光線検出モジュールによって測定された太陽放射線の程度に基づいて、予測される温度上昇を求めるように構成される。
【0015】
太陽熱収集器は、真空にすることができる密封容器内に冷媒搬送管を含むことができ、密封容器の放射線に面する側は透明材料を含む。
【0016】
冷媒搬送管は、フィン付き管装置の一部を構成することができる。
【0017】
太陽熱収集器は、冷媒搬送管に付属するヒートシンクをさらに含むことができ、ヒートシンクは、太陽エネルギを吸収し、その太陽エネルギを冷媒搬送管に送るように構成される。ヒートシンクには、冷媒搬送管の少なくとも一部を形成することができ、かつ/またはヒートシンクは、冷媒搬送管の少なくとも一部をその中に受け入れるように形成することができる。
【0018】
ヒートシンクには、冷媒搬送管から半径方向に延びる突起を形成することができる。突起は、冷媒搬送管の一部に沿って延びることができる。
【0019】
ヒートシンクは押出し材料で作製することができる。
【0020】
ヒートシンクは金属で作製することができる。
【0021】
ヒートシンクの少なくとも放射線対向面は、その反射率が低くなるように設計することができる。
【0022】
温度制御システムは、蒸気形態の冷凍サイクルを動作させるように構成することができる。
【0023】
温度制御システムは、液体冷媒の流れを調整するように構成された、凝縮器ユニットの下流にある温度自動膨張弁などの調量装置をさらに含むことができる。
【0024】
温度制御システムは、分割系空調システムとすることができる。
【0025】
温度制御システムは、冷媒を逆方向に流れさせ、それによって、蒸発器ユニットが冷媒から熱を放出し、凝縮器ユニットが冷媒に熱を吸収する、すなわち、凝縮器ユニットよって熱が吸収されるのを可能にするように構成された逆転弁をさらに含むことができる。
【0026】
凝縮器ユニットは、水加熱システムの一部を構成することができ、水加熱器は、冷媒から放出された熱を利用して水を加熱するように構成される。凝縮器の少なくとも一部は、水の加熱を可能にするために、熱交換器の一部を構成することができる。
【0027】
本発明の別の態様によれば、第1および第2の供給接続体、および入口、出口、ならびに第1および第2の弁を含む逆転弁が提供され、逆転弁は、第1および第2の弁が選択的に、
・第1の供給接続体を入口と流体連通させ、出口から流体的に遮断し、第2の供給接続体を入口から流体的に遮断し、出口と流体連通させるか、または
・第2の供給接続体を入口と流体連通させ、出口から流体的に遮断し、第1の供給接続体を入口から流体的に遮断し、出口と流体連通させる、
ように構成される形で配置される。
【0028】
第1および第2の弁は、それぞれが第1、第2、および第3のポートを含み、第2のポートが、第1および第3のポートの一方だけと流体連通することができるように構成された3つの三方弁とすることができる。
【0029】
弁は、
・各弁の第1のポートが互いに流体連通し、かつ第1の供給接続体と流体連通し、
・各弁の第3のポートが互いに流体連通し、かつ第2の供給接続体と流体連通し、
・第1の弁の第2のポートが入口と流体連通し、
・第2の弁の第2のポートが出口と流体連通する、
ように接続することができる。
【0030】
弁は、互いに連動して流体接続の状態を変えるように互いに機械的に連結することができる。
【0031】
本発明を理解し、本発明が実際にどのように実施されるかを知るために、添付の図面を参照して、実施形態が非限定的な単なる例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明による空調システムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す空調システムで使用する太陽熱収集器の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明による空調システムの別の例の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明による空調システムのさらなる例の概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の空調の凝縮器ユニットの修正形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示すように、温度制御システムを構成する、全体として10で表される空調システムが提供される。システム10は、蒸発器ユニット12、およびコンプレッサユニット14、凝縮器ユニット16、および調量装置18を含む。システム10は、システム10の上記の構成要素間で冷媒を搬送するように構成された冷媒管20をさらに含む。空調システム10は、蒸発器ユニット12によって冷房を行うために蒸気形態の冷凍サイクルを動作させるように構成されている。
【0034】
蒸発器ユニット12は、空調システムで使用するために通常設けられる蒸発器ユニットと同様に設計することができる。したがって、蒸発器ユニット12は、冷媒管20と流体連通するように配置された蒸発器コイル22と、ファン24、または冷房される空間の周囲空気を強制的に蒸発器コイルに当てるように設計された他の同様の送風機構とを含む。蒸発器ユニット12は、液体の状態で蒸発器ユニットの入口26から蒸発器コイル22に流入した冷媒が、ガスの状態で蒸発器ユニットの出口28から蒸発器コイルを出るように設計される。
【0035】
コンプレッサユニット14は、蒸発器ユニットからガスの状態で冷媒を受け入れるように蒸発器ユニット12の下流に配置され、コンプレッサユニットの入口36からガスの状態で流入した冷媒が、より高い圧力および温度のガスの状態でコンプレッサユニットの出口38から出るように設計されている。コンプレッサユニットは、空調システムで使用するために通常設けられる機械式コンプレッサと同様に設計できる機械式コンプレッサ30と、機械式コンプレッサに接続された太陽熱収集器32とを含む。機械式コンプレッサ30および太陽熱収集器32は、冷媒が、機械式コンプレッサを通過した後、太陽熱収集器に流入するように配置されている。コンプレッサユニット14は、下記に説明するように、コンプレッサユニットの動作を制御するように構成されたコントローラ40をさらに含む。
【0036】
機械式コンプレッサ30は、ガス状冷媒の圧力を上昇させ、ひいては温度を上昇させるように構成されている。機械式コンプレッサ30には、コンプレッサを動作させるモータ34が設けられている。モータ34は、モータ34の回転数を変化させて、コンプレッサが、例えば、冷房需要が減ったのに応答して、部分負荷で作動できるように設計された可変周波数ドライブを含むことができる。そのような装置は、「インバータ」として販売されることがある。
【0037】
太陽熱収集器32は、機械式コンプレッサ30と流体連通し、圧縮された冷媒を機械式コンプレッサ30から受け入れるように設計された冷媒搬送管を構成する太陽熱コイル42を含む。太陽熱コイル42は、太陽放射線に当てられ、それによって、ガス状冷媒の温度を上げるように設けられている。太陽熱収集器32は、それらに限定するものではないが、太陽反射鏡、太陽熱コイル42を囲む真空チューブ、フィン付き管装置などを含む、太陽熱収集器の効率を高めるための任意の装置をさらに含むことができる。
【0038】
図2に示すように、太陽熱収集器32は、その中に太陽熱コイル42を収容する密閉容器44をさらに含む。密閉容器44は、システム10が設置されたときに太陽に対向するように設計され、最大量の太陽放射線、または最大量の所定の周波数の太陽放射線(例えば、赤外線)が通過するのを可能にするように設計された放射線対向側46を含む。密閉容器44は真空にすることができる、すなわち、太陽熱コイル42および他の任意の固体構成要素が密閉容器内に設置されると、残りの空間を真空にするか、または不活性ガスもしくは他の任意の透明断熱物質を充填することができる。これは、太陽熱コイル42から密封容器44を囲む大気への熱の損失を低減する。冷媒流の方向が、
図2に矢印で示されている。
【0039】
コンプレッサユニット14は、システム10の運転中にコンプレッサユニットの状態を測定するための1つまたは複数のセンサ(図示せず)を含むことができる。下記に説明するように、これらのセンサの出力をコントローラ40で使用して、コンプレッサユニット14の動作をどのように制御するかを決めることができる。
【0040】
コンプレッサユニットには、太陽熱収集器32で利用できる、または太陽熱収集器32に当たる、太陽放射線の程度(例えば、強度など)を測定するように構成された1つまたは複数の太陽光線検出モジュールを設けることができる。これは、任意の所望の手段、例えば、光電池を設けることによって行うことができる。太陽光線検出モジュールは、様々な周波数の太陽放射線、特に赤外線を検出および識別するように構成することができる。太陽光線検出モジュールは、太陽熱収集器32に隣接してか、または太陽熱収集器の密閉容器44の後ろに配置することができる。コントローラは、太陽光線検出モジュールによって測定された太陽放射線の程度に基づいて、システムに寄与するのに利用できる太陽エネルギの量を求めることができる。例えば、測定した太陽放射線に、太陽熱コイル42の面積がモジュール内の感光材料の総面積を超える量に相当する係数を乗じることができる。
【0041】
上記に加えて、または上記の代替案として、温度および/または圧力センサを太陽熱コイル42への入口、およびそこからの出口に配置することができる。コントローラ40は、システム10の運転中にこれらの箇所で測定した温度および/または圧力を冷媒のタイプなどの他の因子とともに使用して、使用中に太陽エネルギが分担する量を求めることができる。コントローラ40は、例えば、各一連の測定結果をリアルタイムに検証するために、これらの測定値を太陽光線検出モジュールの測定値と併用するように構成することができる。
【0042】
さらに、コンプレッサユニット14および/または空調システム全体の使用パラメータを測定するのに他のセンサを設けることができる。これらのセンサは、例えば、システムの様々な要素をフィードバック制御するなど、任意の所望する用途用に設けることができる。
【0043】
説明したように、コンプレッサユニット14は、これを通過するガス状冷媒の圧力および温度を上げるように設計される。使用時、コントローラは、冷媒がコンプレッサユニット14を出るときにとるべき望ましい圧力/温度を、例えば、冷房需要に基づいて求める。こうしてコントローラは、太陽熱収集器32から供給される太陽エネルギの分担量を求める。この分担量を求めた後、コントローラ40は、冷房需要を満たすために必要とされるエネルギを追加して機械式コンプレッサ30を動作させる。
【0044】
例えば、機械式コンプレッサ30のモータ34に可変速ドライブを設けた場合、この可変速ドライブにより、モータは、太陽熱収集器32がない場合に冷房負荷を満たすために必要な回転数と比較して、大幅に減速して動作することができる。日光が全くない場合、コンプレッサは通常通り動作することができる。
【0045】
凝縮器ユニット16は、空調システムで使用するために通常設けられる凝縮器ユニットと同様に設計することができる。したがって、凝縮器ユニットは、冷媒管20と流体連通するように配置された凝縮器コイル48と、ファン50、または空気を強制的に凝縮器コイルに当てるように設計された他の同様の送風機構とを含む。凝縮器ユニット16は、ガス状態で凝縮器ユニットの入口52から凝縮コイル48に流入した冷媒が、液体状態で凝縮ユニットの出口54から凝縮器コイルを出るように設計される。
【0046】
調量装置18は、空調システムで使用するために通常設けられる調量装置と同様に設計することができる。調量装置は、凝縮器ユニット16から蒸発器ユニット12に流れる冷媒の量を制御するように設計された温度(または、温度自動)膨張弁として設けることができる。さらに、冷媒の圧力が、冷媒が調量装置18を通るときに落ちて、空調システム10の効率を上げるのに寄与する。
【0047】
図3に示すように、上記の空調システム10は、ヒートポンプとして使用することができて、冷媒は、暖房される空間の温度よりも高い温度で蒸発器ユニット12に供給される。したがって、雰囲気が強制的に蒸発器に当てられると雰囲気は温められる。このように動作させるためには、流れが機械式コンプレッサ30、および任意選択でコンプレッサユニット14を冷房時と同じ方向で通らなければならないことを除いて、流れの方向を逆転する必要がある。そのように使用する場合、逆転弁56が設けられる。逆転弁56は、空調システムで使用するために通常設けられる逆転弁と同様に設計することができる。
【0048】
あるいは、
図4Aに示すように、逆転弁56は、2つの独立した三方弁、すなわち、コンプレッサユニット14の入口となる入口弁58と、コンプレッサユニットの出口となる出口弁60とを含むこともできる。入口弁58および出口弁60のそれぞれは、3つのポート(それぞれが第1の供給接続体Aを介して蒸発器ユニット12に接続される蒸発器側ポート58a、60a、それぞれが第2の供給接続体Bを介して凝縮器ユニット16に接続される凝縮器側ポート58b、60b、ならびにCを介して機械式コンプレッサ30の入口、およびDを介して太陽熱ユニット32の出口にそれぞれ接続されるコンプレッサ側ポート58c、60c)を含み、3つのポートのうちの2つは互いに流体連通し、一方、3つ目はストッパとして機能する。
【0049】
使用時、蒸発器ユニット12によって冷房を行うために、
図4Bに示すように、入口弁58は、その蒸発器側ポート58aとコンプレッサ側ポート58cとが互いに流体連通するように位置を合わされ、出口弁60は、その凝縮器側ポート60bとコンプレッサ側ポート60cとが互いに流体連通するように位置を合わされる。入口弁58の凝縮器側ポート58bおよび出口弁60の蒸発器側ポート60aはストッパとして機能する。蒸発器ユニット12からの冷媒は、第1の供給接続体Aを介して入口弁58の蒸発器側ポート58aを流れ、入口弁のコンプレッサ側ポート58cから出ていき、機械式コンプレッサ30に流入する。太陽熱収集器32からの冷媒は、出口弁60のコンプレッサ側ポート60cを流れ、出口弁の凝縮器側ポート60bを通って第2の供給接続体Bから出ていき、凝縮器ユニット16に流入する。冷媒流の方向は
図4Bに矢印で示されている。
【0050】
使用時、蒸発器ユニット12によって暖房を行うために、
図4Cに示すように、入口弁58は、その凝縮器側ポート58bとコンプレッサ側ポート58cとが互いに流体連通するように位置を合わされ、出口弁60は、その蒸発器側ポート60aとコンプレッサ側ポート60cとが互いに流体連通するように位置を合わされる。入口弁58の蒸発器側ポート58aおよび出口弁60の凝縮器側ポート60bはストッパとして機能する。凝縮器ユニット16からの冷媒は、第2の供給接続体Bを介して入口弁58の凝縮器側ポート58bを流れ、入口弁のコンプレッサ側ポート58cから出ていき、機械式コンプレッサ30に流入する。太陽熱収集器32からの冷媒は、出口弁60のコンプレッサ側ポート60cを流れ、出口弁の蒸発器側ポート60aを通って第1の供給接続体Aから出ていき、凝縮器ユニット16に流入する。冷媒流の方向は
図4Cに矢印で示されている。
【0051】
逆転弁56は、第1の側を蒸発器ユニット12とコンプレッサユニット14との間に配置され、第2の側をコンプレッサユニットと凝縮器ユニット16との間に配置される(コンプレッサユニットを横断する冷媒流がすべてのタイプの運転で同じ方向であることを保証する)と説明したが、当然ながら、逆転弁は、冷媒が機械的に圧縮される前に太陽放射線によって加熱されるように、第2の側を機械式コンプレッサ30と太陽熱ユニット32との間に配置してもよい(単に、機械的コンプレッサを横断する冷媒流がすべてのタイプの運転で同じ方向であることを保証する)。
【0052】
入口弁58および出口弁60は、空調システム10の性能を望ましくないものにし、かつ/または空調システムの構成要素に損傷を与えることになる、それぞれ異なるモードで動作するように位置を合わされる状況を防止するために、互いに機械的に連結されて、連動して入口弁および出口弁の流体接続の状態(すなわち、どのポートが流体連通するか)を確実に変えるようにすることができる。
【0053】
修正形態によれば、
図5に示すように、コンプレッサユニット14は、上流の太陽熱収集器32a、および下流の太陽熱収集器32bを含むことができる。太陽熱収集器32a、32bの一方にそれぞれ付属するバイパス管33a、33bが設けられている。適切な弁(例えば、三方弁、逆止弁など、図示せず)が、各バイパス管33a、33bの端部に設けられて、太陽熱収集器32a、32b経由か、またはそれを迂回させるか、冷媒の経路を選択的に決める。コントローラ40は、冷媒を適切に送るために弁を動作させるように構成されている。
【0054】
使用時、蒸発器ユニット12によって冷房を行うために、上流の太陽熱収集器32aに付属するバイパス管33aの弁は、冷媒を上流の太陽熱収集器経由で送るように動作し、下流の太陽熱収集器32bに付属するバイパス管33bの弁は、下流の太陽熱収集器を迂回して冷媒を送るように動作する。したがって、冷媒はコンプレッサに流入する前だけ加熱される。
【0055】
上流の太陽熱収集器32aに当たる日光が全くない場合、または測定した太陽熱収集器の温度が冷媒の温度よりも低い場合、弁は、上流の太陽熱収集器に付属するバイパス管33a経由で冷媒を送るように動作することができ、コンプレッサユニット14は通常のコンプレッサとして動作する。
【0056】
使用時、蒸発器ユニット12によって暖房を行うために、上流の太陽熱収集器32aに付属するバイパス管33aの弁は、上流の太陽熱収集器を迂回して冷媒を送るように動作し、両方のバイパス管33a、33bの弁は、冷媒をそれらのそれぞれの太陽熱収集器32a、32b経由で送るように動作する。したがって、冷媒は、コンプレッサに入る前、さらに、出た後に加熱される。
【0057】
太陽熱収集器32a、32bに当たる日光が全くない場合、または測定した太陽熱収集器の温度が冷媒の温度よりも低い場合、弁は、バイパス管33a、33b経由で冷媒を送るように動作することができ、コンプレッサユニット14は通常のコンプレッサとして動作する。
【0058】
別の修正形態によれば、
図6に示すように、凝縮器ユニット16は、水源に接続された熱交換器70を含むことができる。(熱交換器70が、管形熱交換器のシンボルで
図6に示されているが、当然ながら、任意の適切な熱交換器を設けることができる)。したがって、空調システム10、具体的には、凝縮器ユニット16は、水加熱システムの一部として機能することができる。
【0059】
太陽熱収集器32は、太陽熱収集器32に当たる太陽放射線からの熱の吸収を増大させ、その熱を太陽熱コイル42に送るように設計された装置を含むことができる。例えば、太陽熱収集器はフィン付き管装置を含むことができ、太陽熱コイル42はフィン付き管装置の管を構成する。
【0060】
あるいは、
図7A、および
図7Bに示すように、太陽熱収集器は、例えば、押出しアルミニウムで作製されたヒートシンク62を含むことができる。太陽熱コイル42のヒートシンク62を貫通する部分をヒートシンク内に形成された管64内に配置することができるし、または管64が太陽熱コイルの一部を構成することもできる(すなわち、太陽熱収集器32は、冷媒が直接ヒートシンクを通り、各管の端部に取り付けられた半円形コイル66によって隣接する管に送られるように設計することができる。突起68は、入射太陽放射線が当たる領域を拡大するために設けられている。
【0061】
ヒートシンク62の表面は、その反射率が低くなるように設計することができる。例えば、ヒートシンク62の表面は暗色で塗り、マットペイントなどの低反射材料または無反射材料でコーティングすることができる。
【0062】
ヒートシンク62の一実施形態が示されたが、当然ながら、太陽熱収集器32に当たる太陽放射線からの熱の吸収を増大させ、その熱を太陽熱コイル42に送るように構成される任意の適切な形状を形成することができる。例えば、太陽熱コイル42の一部を構成する(または、太陽熱コイル42の一部が貫通するのを可能にする)貫通穴を有する、適切な材料からなる平板として、ヒートシンク62を形成することができる。
【0063】
太陽熱収集器に関連して上記に説明したが、当然ながら、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、必要な変更を加えることで、太陽熱収集器の代わりに任意の集熱器を使用することができる。例えば、空調システムは自動車用途に適合することができ、集熱器は、冷媒の温度を上げるために、自動車の運転で生じた廃熱を捕捉および利用するように構成される。こうしてもたらされた、またはこうしてもたらされると予測される熱エネルギ量を求めるために、任意選択で適切なセンサを設けることができる。他の例には、それに限定されるのもではないが、オーブン、洗濯物乾燥機などを含む産業用途からの廃熱を捕捉および利用するように構成された集熱器がある。
【0064】
本発明が属する技術分野の当業者ならば、本発明の範囲から逸脱することなく、必要な変更を加えて、多数の変更、変形、および修正を行うことができると容易に分かるであろう。