(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5911076
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】柄の立つお玉
(51)【国際特許分類】
A47J 43/28 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
A47J43/28
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-214018(P2014-214018)
(22)【出願日】2014年10月20日
【審査請求日】2014年12月2日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514266518
【氏名又は名称】赤澤 育弘
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 林架
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−091537(JP,U)
【文献】
実開平07−003542(JP,U)
【文献】
特開2006−239335(JP,A)
【文献】
特開平10−309237(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3112969(JP,U)
【文献】
実開昭53−116365(JP,U)
【文献】
実開昭56−023042(JP,U)
【文献】
実開昭57−124347(JP,U)
【文献】
実開昭51−052766(JP,U)
【文献】
特開2007−236882(JP,A)
【文献】
実開昭49−032964(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受皿と、柄と、取手からなる調理器のお玉であって、
前記柄には鍋の縁部と当接する点を支点とするために第1の折曲部と第2の折曲部が近接されて設けられ、
前記第2の折曲部には、鍋の縁を保持するために前記取手と反対方向へ突出する突出部が設けられ、
前記第1の折曲部には第3の折曲部が含まれ、
該第3の折曲部は前記支点から前記受皿を回転させる回転モーメントを増加させるために前記支点から鍋の中心方向へ前記受皿の位置をシフトする上面が平らな突出形状を有し、
前記受皿は、該受皿の底部が使用する前記鍋の鍋底に接触しない位置に配置され、
前記第1及び第2の折曲部を重心よりも取手側位置に配置する重量配分構成と
前記第3の折曲部を有することにより、前記受皿が前記鍋の内壁側に向かって回転する回転モーメントが前記取手を外側に回転しようとする回転モーメントよりも大きくなる効果を増加させる構成を採用したことにより、
前記取手が鍋の上方内側に配置されることを特徴とする柄の立つお玉。
【請求項2】
受皿と、柄と、取手からなる調理器のお玉であって、
前記柄には鍋の縁部と当接する点を支点とするために第1の折曲部と第2の折曲部が近接されて設けられ、
前記第2の折曲部には、鍋の縁を保持するために前記取手と反対方向へ突出する突出部が設けられ、
前記第1の折曲部には第3の折曲部が含まれ、
該第3の折曲部は前記支点から前記受皿を回転させる回転モーメントを増加させるために前記支点から鍋の中心方向へ前記受皿の位置をシフトする上面が平らな突出形状を有し、
前記受皿は、該受皿の底部が使用する前記鍋の鍋底に接触しない位置に配置され、
前記第1及び第2の折曲部を重心よりも取手側位置に配置する重量配分構成と
前記第3の折曲部を有することにより、前記受皿が前記鍋の内壁側に向かって回転する回転モーメントが前記取手を外側に回転しようとする回転モーメントよりも大きくなる効果を増加させる構成を採用したことにより、
前記取手が鍋の上方内側に配置される効果を発揮させるとともに、
前記受皿の縁部から、前記取手の軸心を直線上に結びつつ、前記第3の折曲部を含む前記第1の折曲部と前記第2の折曲部を備えるように柄を変形させた構成を採用したことを特徴とする柄の立つお玉。
【請求項3】
前記第2の折曲部における前記取手と反対方向への突出部は、柄の一部領域が取手と逆方向に向かう突出部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柄の立つお玉。
【請求項4】
前記第2の折曲部における前記突出部の形状が、前記柄を取手と反対方向に突き出された後に取手に向かう方向となる形状であること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柄の立つお玉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器であるお玉の技術に関し、詳しくは、お玉を鍋の縁に掛けておくことが可能で、燃焼ガスに触れないように柄が立つお玉の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
調理に使用するお玉は、鍋等での調理をする際の具材の混合や、料理完成後の食器への盛り付け等を行うものである。従来のお玉は柄の部分が直線であり、加熱中の鍋の縁にお玉の柄を立て掛けて置くと、お玉が鍋の中ですべることがある。するとお玉が鍋に対して寝る形となり、鍋の外に露出している取手と熱源との距離が縮まり、取手が異常に加熱されて、取手が焦げ、これに手を触れてやけどをすることもあった。また、お玉を鍋に入れたまま、蓋をしようとすると、一部が持ち上がり、大きな隙間ができ、蓋としての機能が十分果たせなかった。
そのため、お玉を鍋に立て掛けた際に、お玉が鍋の中で滑ることがない構造が求められていた。また、鍋にお玉を立て掛けた状態で様々な蓋を安定して鍋に被せることができる構造が求められていた。
【0003】
これらの不便を解消するために、例えば、お玉を鍋に入れても柄が倒れないで、しかも
鍋の蓋が安定してできると共に取手が熱くなりにくいお玉(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、お玉の受皿(1)と取手(2)の間の柄(3)をN字形状にゆるやかに曲げて前後上下に凹状の溝を各々形成する構造である。この構造によって、お玉が鍋内で滑ることを防止でき、お玉を鍋につけたまま、ある種類の蓋をすることができる。
しかしながら、蓋には様々な種類があり、他の種類の蓋には適応できず、前記問題の解決には至っていない。
【0004】
また、鍋の縁に乗せて置くことができ、なおかつ置く角度が自動的に定まる機能的で安全なお玉(特許文献2参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、お玉の長い柄の部分を、山(3)と谷(4)から成る波の形(5)に形成し、この山の峰(3)の下側の曲面(6)を支点にすることにより、お玉の先(1)の方と取手(2)の双方の重心が支点(6)よりも低くできると共に、(6)を支点にして双方の重さも釣り合いがとれた、曲げた柄の曲面(6)を支点にバランスを保つ構造である。この構造によって、お玉が鍋内で滑ることを防止できる。
しかしながら、お玉が柄の中央でバランスを保てたとしても、柄が斜めになる場合もある。また、鍋に蓋をする際の対応については記載されていない。そのため、前記問題の解決には至っていない。
【0005】
また、直接鍋縁に差し込むお玉スタンド(特許文献3参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、柄5を裁断する時、柄下部鍋縁掛け位置中央に上部を残したU字状屈曲止具1または、両外側を一度にカット折曲げ成型し、柄の裏側にフック状の突起を形成する構造である。この構造によって、お玉を鍋に置いた際に、お玉が斜めになることを防止できる。
しかしながら、鍋に蓋をする際の対応については記載されていない。そのため、前記問題の解決には至っていない。
【0006】
本発明者はそれらの問題を解決しようと、お玉の柄に特徴的な折曲部を作ること、及び、該折曲部を支点として鍋の内側と外側とで、回転モーメントの大きさの違いから常に着目し、「柄の立つお玉」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−309237
【特許文献2】特開2001−46249
【特許文献3】特開2014−83418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、柄の立つお玉の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る柄の立つお玉は、
受皿と、柄と、取手からなる調理器のお玉であって、
前記柄
には第1の折曲部と第2の折曲部が近接されて設けられ、前記第2の折曲部には、鍋の縁を保持し、かつ支点として作用させるための、前記取手と反対方向への突出部が設けられ、前記受
皿は、該受皿の底部が使用する鍋の鍋底に接触しない位置に配置され、前記第
2の折曲部は、重心よりも取手側位置に配置することで、前記第
2の折曲部を支点として
、内側に働く回転モーメントが外側に働く回転モーメントよりも大きくなる重量配分構成を採用し
、かつ、近接する前記第1の折曲部と前記第2の折曲部との距離が、
前記受皿の鍋の内壁面に接触する接触点と、前記支点となる前記第2の折曲部との位置関係により、前記第2の折曲部を支点として、前記取手が鍋の上方内側に配置される距離である構成を採用した。
【0010】
本発明は、受皿と、柄と、取手からなる調理器のお玉であって、
前記柄には
鍋の縁部と当接する点を支点とするために第1の折曲部と第2の折曲部が近接されて設けられ、
前記第2の折曲部には、鍋の縁を保持
するために前記取手と反対方向へ
突出する突出部が設けられ、
前記第1の折曲部には第3の折曲部が含まれ、
該第3の折曲部は前記支点から前記受皿を回転させる回転モーメントを増加させるために前記支点から鍋の中心方向へ前記受皿の位置をシフトする上面が平らな突出形状を有し、
前記受皿は、該受皿の底部が使用する
前記鍋の鍋底に接触しない位置に配置され、
前記
第1及び第2の折曲部を重心よりも取手側位置に配置する
重量配分構成と
前記第3の折曲部を有することにより、前記受皿が前記鍋の内
壁側に
向かって回転する回転モーメント
が前記取手を外側に
回転しようとする回転モーメントよりも大きくなる
効果を増加させる構成を採用したことにより、
前記取手が鍋の上方内側に配置される構成を採用した。
【0011】
また、本発明は、受皿と、柄と、取手からなる調理器のお玉であって、
前記柄には
鍋の縁部と当接する点を支点とするために第1の折曲部と第2の折曲部が近接されて設けられ、
前記第2の折曲部には、鍋の縁を保持
するために前記取手と反対方向へ
突出する突出部が設けられ、
前記第1の折曲部には第3の折曲部が含まれ、
該第3の折曲部は前記支点から前記受皿を回転させる回転モーメントを増加させるために前記支点から鍋の中心方向へ前記受皿の位置をシフトする上面が平らな突出形状を有し、
前記受皿は、該受皿の底部が使用する
前記鍋の鍋底に接触しない位置に配置され、
前記
第1及び第2の折曲部を重心よりも取手側位置に配置する
重量配分構成と、
前記第3の折曲部を有することにより、前記受皿が前記鍋の内
壁側に
向かって回転する回転モーメント
が前記取手を外側に
回転しようとする回転モーメントよりも大きくなる
効果を増加させる構成を採用したことにより、
前記取手が鍋の上方内側に配置される効果を発揮させるとともに、
前記受皿の
縁部から、前記取手の軸心を直線上に結びつつ、前記第3の折曲部を含む前記第1の折曲部と前記第2の折曲部を備えるように柄を変形させた構成を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記
第2の折曲部における前記取手と反対方向への突出部
は、柄の一部
領域が取手と逆方向に向かう突出部である構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
また、本発明は、
前記第2の折曲部における前記突出部
の形状が
、前記柄を取手と反対方向に突き出された後に取手に向かう方向となる形状である構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明に係る柄の立つお玉によれば、鍋の縁に対し、お玉の取手部が立直する方向に取り付けることができ、調理器の燃焼ガスの影響を回避して火傷や火災を防止することができるという優れた効果を発揮するものである。
【0015】
また、本発明に係る柄の立つお玉によれば、さらに鍋蓋の形状が、内蓋形状であっても蓋の隙間を開けずに機能を阻害することがないという優れた効果を発揮するものであり、調理をする際にも、鍋底にお玉が付かないため、熱伝導で熱くならず、焦がすこともない。
なお、
図2では形状を特定し易くするため、固定用係止部12を大きくしているが、実際には、鍋に係止できる大きさであればよく、1~2mmの形状とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る柄の立つお玉の全体斜視図である。
【
図2】本発明に係る柄の立つお玉の折曲部のデザイン重視型実施例斜視図である。
【
図3】本発明に係る柄の立つお玉の鍋への立て掛け方を説明する断面図である。
【
図4】本発明に係る柄の立つお玉の広縁鍋への立て掛け方を説明する断面図である。
【
図5】本発明に係る柄の立つお玉の他の実施例での鍋への立て掛け方を説明する断面図である。
【
図6】本発明に係る柄の立つお玉の取手部のオフセット量についての説明図である。
【
図7】本発明に係る柄の立つお玉の保持用突出部についての機能等説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明である柄の立つお玉は、お玉を鍋の縁に安定して立てかけることができることを最大の特徴とする。以下、実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本実施例で示される柄の立つお玉の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で変更することができるものである。
また、説明上、柄について、受皿が付いているほうを表面とし他方を裏面とする。表面側に折ることを山折といい、裏面側に折ることを谷折とする。
(実施例1)
【0018】
図1から
図4に従って、本発明を説明する。
図1(a)は、本発明に係る柄の立つお玉の全体斜視図である。また、該発明を商品化するに伴って構造をデザイン化した
図1(b)は、本発明に係る柄の立つお玉を鍋に立てかけた図である。
【0019】
図2(a)は、本発明に係る柄の立つお玉の折曲部を、デザイン性を重視させ加工した場合の斜視図である。
図2(b)、
図2(c)は、本発明に係る柄の立つお玉の折曲部を、デザイン性を重視させ加工した場合の部分拡大図であって、
図2(b)及び
図2(c)は、それぞれ相反する方向から見た場合を表している。係る図面に示された態様は、お玉のゴミの付着を防止し、見た目の無骨なイメージから商品化に際し、デザイン化された態様の一例である。段差部分を極力なだらかな曲線でつなぎ、第1の折曲部と第2の折曲部を有しながら、その存在をできるだけ抑えて機能のみをもたせた実施例である。
【0020】
図3(a)、
図3(b)は、本発明に係る柄の立つお玉の鍋への配置の仕方を説明する断面図である。
図3(c)は、鍋に蓋をした際の断面図である。
【0021】
図4(a)は、本発明に係る柄の立つお玉の広縁なべへの配置の仕方を説明する断面図である。
図4(b)は、鍋に蓋をした際の断面図である。
【0022】
柄の立つお玉1は、受皿2と柄3と取手4とから構成されている。
受皿2は、曲面状の皿部分である。材質は、通常、ステンレス等の腐食しにくい材質の金属が用いられる。
取手4は、使用者が持つ部分であり、持ちやすいように、円柱状である。材質は、熱が伝わりにくいように、断熱性の高い材質が用いられる。樹脂、木材等が用いられる。
【0023】
柄3は、本発明の特徴を含む部分である。受皿2と取手4をつなぐ部分であり、細長い板状である。受皿2と同様に、材質は、ステンレス等の腐食しにくい材質の金属が用いられる。柄3の中間付近には、第1の折曲部5と第2の折曲部6が設けられている。受皿2に近いほうに第1の折曲部5が設けられている。第1の折曲部5は、柄3を山折に曲げられており、曲げ部分の断面は、略コの字型である。曲げの中央の平坦部は、受皿2の縁の線と略平行である。第2の折曲部6は、第1の折曲部5に近接し、第1の折曲部5よりも取手4側に設けられている。第2の折曲部6は、柄3を谷折に曲げられている。第2の折曲部6は、細いUの字型である。
柄3において、受皿2に近い部分と取手4に近い部分は、略平行でもよい。そうすることで、料理の盛り付け等でお玉を使用する際、中間にある第1の折曲部5、第2の折曲部6をあまり意識しないですむからである。
【0024】
次に、実際の使用例を示す。柄の立つお玉1を鍋8に入れ、立てかける際は、
図3(a)に示すように、第1の折曲部5の曲げ部に鍋8の縁を当接させるようにする。こうすることで、柄の立つお玉1は、鍋8の中で滑ることが無く、鍋8に対して、立てかけた状態を維持することができる。
【0025】
また、柄の立つお玉1における第1の折曲部5、第2の折曲部6の位置を柄の立つお玉1の重心点よりも取手4側に設置することによって、常に受皿2側が重く、傾くことになる。それゆえ、柄の立つお玉1は、取手4が鍋に対して立つ方向に傾く。よって、取手4が熱源に近づくことは無く、取手4が異常に加熱されて、取手が焦げたり、これに手を触れてやけどをしたりすることが無く好適である(
図3(b))。
【0026】
また、鍋8の蓋9において、蓋9の縁で鍋8の縁を覆うタイプの蓋9を被せた場合について説明する。鍋8に柄の立つお玉1を立てかけ、さらに、蓋9で覆う場合、通常のお玉であれば、お玉の柄が邪魔になり、蓋9で鍋8を十分覆うことができない。しかし、柄の立つお玉1の場合であれば、蓋9の縁901が、柄の立つお玉1の第2の折曲部6の曲げ部に入り、蓋9で鍋8を十分覆うことができる(
図3(c))。
【0027】
このように、柄3に第1の折曲部5、第2の折曲部6を持つことによって、柄の立つお玉1を鍋8に安定して立てかけられるし、鍋8の縁を覆うような縁901を持つ蓋9で、鍋8を十分覆うことができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0028】
次に、第1の折曲部5のコの字型形状について説明する。柄の立つお玉1の第1の折曲部5の中央部はフラットである。これは広縁鍋8で柄の立つお玉1を用いるときに効果が発揮される。
図4(a)に、柄の立つお玉1を広縁鍋8に立てかけた場合を示す。第1の折曲部5を単に山折にしただけでは、鍋8の縁802に第1の折曲部5の曲げ部にうまく入らず、柄の立つお玉1を鍋8に対して安定して立てかけることができない。第1の折曲部5がコの字型であることで、広縁鍋8の縁802にも対応することができ、柄の立つお玉1を安定させることができる(
図4(a))。
【0029】
また、第1の折曲部5の曲げ部の中央がフラットであることによって、縁802と第1の折曲部5の隙間を最小限とすることができる。そのため、蓋9で鍋8を覆う際に、蓋9の縁902と鍋8の縁802の隙間は、第1の折曲部5に厚さ分のみに抑えることができる。
【0030】
このように、第1の折曲部5がコの字型であることによって、より多くの鍋8に対して、安定して立てかけることができるし、その際に、蓋9への影響も最小限にすることができ、使用者の利便性を向上させることができる。
(実施例2)
【0031】
他の実施例について
図5を用いて説明する。実施例1と同様の部分については説明を省略する。
図5(a)は本発明に係る柄の立つお玉の他の実施例の側面図である。
図5(b)、
図5(c)は、お玉の他の実施例の使用例の断面図である。
柄3について、第1の折曲部5、第2の折曲部6に加えて、第3の折曲部7を備える。第3の折曲部7は、第1の折曲部5よりも受皿2側にあり、裏面側に屈曲している。より詳しくは、第1の折曲部5に近接する受皿2側に谷折を行い、1センチ程度の間隔を置いて山折を行う。谷折はほぼ90度の角度とし、山折は90度よりも広い鈍角とする。
この構成とすることで、鍋8に段差部803がある場合でも、柄の立つお玉1を鍋8に安定して立てかけることができる。また、縁に短い段差部903のある蓋9についても鍋8を覆う際、柄の立つお玉1が邪魔にならない(
図5(c))。
【0032】
このように、第3の折曲部7があることによって、より多くの鍋8に対して、安定して立てかけることができるし、その際に、蓋9への影響も最小限にすることができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0033】
図6は、本発明に係る柄の立つお玉1の取手4のオフセット量Fについての説明図である。
図6に示すように、受皿2と柄3の取り付け部から取手の延長線上に取手4の中心が同芯上に通る態様の実施例を示している。係る態様を採用した場合、オフセット量Fがなくなるので、通常のお玉と何ら変わらない使用感覚となる。
【0034】
図7は、本発明に係る柄の立つお玉1の保持用突出部10についての機能等説明図である。保持用突出部10は、本発明に係る柄の立つお玉1の鍋8への保持力を強めることが可能となる。保持用突出部10は、突出部剤を溶接等で固着してもよいが、図に示したような切り抜き部のようにレーザー加工等で切り抜き、曲げ加工で形成すればコスト的にも強度的にも十分且つ有効である。但し、係る構成に限定されるものではなく、何らかの突出部を設けて保持力を増加させる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る柄の立つお玉1は、一般家庭での利用から大規模な飲食店など、その利用範囲は広く、便利な調理器具である。従って、その生産によって産業上の利用可能性は大きいものである。
【符号の説明】
【0036】
1 柄の立つお玉
2 受皿
3 柄
4 取手
5 第1の折曲部
6 第2の折曲部
7 第3の折曲部
8 鍋
9 蓋
10 保持用突出部
11 切り抜き部
12 固定用係止部
801 縁
802 縁
803 段差部
901 縁
902 縁
903 段差部
F オフセット量
【要約】
【課題】鍋に用いられるお玉に関し、お玉の底が鍋底で滑ることがなく、安定して立てかけることができるので、火源から取手部の熱損や火傷を防止できる調理器の提供を図る。
【解決手段】柄には、山折りによる第1の折曲部と、続いて谷折りによる第2の折曲部を有し、第1の折曲部と第2の折曲部は近接しており、受け皿の底部が使用する鍋の鍋底に接触しない位置に配置され、第1の折曲部は、重心よりも取手側位置に配置することで、第1の折曲部を支点として、該支点の鍋の内側に働く回転モーメントが外側に働く回転モーメントよりも大きくなる重量配分構成を採用したことを特徴とする柄の立つお玉とすることを採用した。
【選択図】
図1