【実施例】
【0130】
実施例1
本実験では、アロオシメンをイソプレンモノマーと共重合させ、イソプレン−アロオシメンコポリマーゴムを製造した。使用された手順では、ヘキサン(Ashland、重合グレード)は、シリカゲル中で4時間再循環してから使用した。イソプレン(Liグレード)は蒸留してから使用し、n−ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中1.6M溶液)は受け取ったままの状態で使用した。Aldrich社製のアロオシメン(Allo)モノマー、すなわち2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン(工業グレード80%、CofA GC純度95.6%)は、酸化アルミニウムカラム(Aldrich、中性、ブロックマンI活性)に通し、窒素でパージし、水素化カルシウム(Aldrich、試薬グレード、粗粒、<20mm)上で保管した。ジ−(テトラヒドロフリル)−プロパン(DTP)は、まずシリカゲルモレキュラーシーブ混合物上で乾燥させ、窒素でパージし、CaH
2上で保管した。
【0131】
SEC測定は、4種類の検出器(45及び90度レーザー検出器(波長650nm)、RI及びUV検出器)及び二つのMixed−Cカラム(5μm Mixed−C PL−ゲル 300×7.5mm)を備えたPolymer Laboratories PL−GPC 50 Plusシステムを用いて実施した。移動相は1mL/分の流速のTHFであった。測定は40℃で実施した。MW計算は、PIについてのdn/dc値0.14を用いて実施した。
【0132】
重合は、65℃の10 USGバッチリアクター中で、15重量パーセントのIP/ヘキサンプレミックス、開始剤として0.276mmphmのn−ブチルリチウム(n−BuLi)、及び改質剤として3molのDTP/モル開始剤を用いて実施した。反応時間は、対照の場合100分、IP−アロオシメンコポリマーの場合230分であった。モノマー供給材料中の初期アロオシメン含有量は1.28モルパーセントであった。重量法によって測定された変換率は、対照の場合99重量パーセント、IP−Alloコポリマーの場合91重量パーセントであった。重合をイソプロパノールの添加によって停止させ、トルエン中に溶解された0.25phrのBHTの添加によって安定化させた。
【0133】
モノマーの組込み−反応性比
モノマーの組込みはGC測定によってモニターした。
図1に、共重合実験中の二つのモノマーの測定変換率を示す。IPの変換率は2.5時間以内に約98%に達した。他方、Alloの変換率はわずかに16〜17重量パーセント付近であった。最終生成物は組み込まれたAlloを0.27モルパーセントしか含有していなかった。
【0134】
反応性比の計算から、Alloの組込みが反応時間の延長(extra reaction time)に伴っても増加しなかった理由について一定の理解が得られた。反応性比は、より高い変換に対して推奨されているTurcsanyi−Kelen−Tudos法(Tudos,F.;Kelen,T.;Foldes Berezsnich,T.及びTurcsanyi,B;J.Macromol Sci.−Chem.,A10,1513(1976)参照)を用い、下記式:
【0135】
【数1】
【0136】
を用いて決定された。上記式中、r
1はイソプレンの反応性比及びr
2はアロオシメンの反応性比であり、M
1及びM
2はそれぞれイソプレン及びアロオシメンの濃度である。
各モノマー濃度の読みは独立測定点として処理され、ポリマー組成(Y)及び対数平均モノマー濃度比(X)はt
1及びt
2時間における濃度値を用いて計算された。計算を簡単にするためにα=1を使用した。この場合、傾きはr
1とr
2の和であり、切片は−r
2に等しい。
【0137】
図2に、変換データを用いて作成されたη−ξプロットを示す。点は直線関係に従っておらず、四つの生長速度定数(propagation rate constants)に基づく単純な共重合方程式はこの系を説明するのに不適切であることを示している。このことは、Allo組込みに多数の可能な様式があること(2,3−、4,5−、6,7−、2,7−)及びイソプレン組込みにも二つの様式があること(1,2−及び3,4−)を考えると、驚くことではない。直線性からの逸脱は、モノマー装入物が極めてAlloに富む高変換(低ξ値)時により顕著なようである。(ξ=0.1で、モノマー装入物の推定Allo含有量はおよそ40mol%である)。このことは、直線性からの逸脱は主にAlloによって起きていることを示している。点に対して強制的に直線近似(linear fit)を行うと、r
Alloについて人工的な−1.4値及びr
IPについて16.7が得られる。これらの結果はすべて、Alloはホモ重合ステップを容易に受けられないことを示している。
【0138】
この所見は文献で得られる限られた情報と一致している。Alloを含む共役トリエンのホモポリマーは、極性溶媒(例えばTHF)の存在下、アニオン重合によってのみ製造できる(R.L.Veazey:Polyalloocimene and Method for the Preparation Thereof,米国特許第4,694,059号(1987);Vernon L.Bell:“Polymerization of Conjugated Trienes”,J.Polymer Sci.Part A,5291−5303(1964);及びR.P.Quirk,R.Rajeev,Alkyllithium Initiated Polymerization of trans−1,3,5−Hexatriene and “Copolymerization with Styrene”,Rubber Chemistry and Technology,332−42,62(2)(1989)参照)。これから、Alloの変換は、非極性溶媒中の改質剤を変えることによって及び/又はより極性の溶媒を使用することによってAlloがホモ重合できる重合系を確認することによってのみ改良できることは明白である。あるいは、Alloの変換は、半連続重合技術を利用することによって改良することもできる。この場合、重合は、使用する予定の全Alloモノマーと他のモノマー又はモノマー混合物の一部を含有する部分充填されたリアクター中で開始される。この一部とは使用される全モノマーの5〜20%であろう。次に、この部分装填リアクターは、例えばアルキルリチウム化合物を用いて開始され、残りのイソプレンは緩やかなストリームでリアクターに添加される。
【0139】
製造されたポリマーの物理的性質
高ビニルPI対照ポリマー(Allo含有せず)及びIP/Alloコポリマーの物理的性質を表Iに示す。コポリマーの数平均分子量(Mn)は対照ポリマーと比べて多少低く、MWDは広くなっており、多少の連鎖移動反応の存在を示している。分布の狭い対照ポリマーは従って高いムーニー値を示した。
【0140】
ポリマーのガラス転移温度(T
g)及び微細構造組成は非常に類似している。コポリマーのAllo含有量は、GC変換率測定に従っておよそ0.27重量パーセントと算出された。これから、鎖あたりのAllo単位の数は約12という数を与えると推定された。しかしながら、モノマー組込みの可能な様式を考えると、このほんの一部しか側鎖又は鎖内共役ジエンを有する所望の形態ではない。
【0141】
コポリマーの共役ジエン含有量は
1HMR分光法では定量できなかった。それは、プロトン帰属の欠如のほか、共役ジエンの濃度の低さ及び異なる化学構造のためである。しかしながら、6.2ppm付近で共鳴ピークが検出でき、ポリマー中に共役ジエン単位が存在することが示された。
【0142】
コポリマー中の未反応Alloの量は、対照モノマーに異なる濃度のAlloを加えて定量された。これらの測定に基づくと、コポリマー中に存在する未反応Alloモノマーはおよそ0.09重量パーセントと推定された。
【0143】
【表1】
【0144】
コポリマーが鎖内及び/又は側鎖共役ジエン単位を有していることの追加の証明は、UV及びRI検出器を用いたSEC測定によって得られた。溶出ポリマーのUV吸収を220nmで測定した。この波長でポリイソプレン対照は本質的に透明である。これを
図3に示す。これに対し、コポリマーは、共役ジエンに特徴的なこの波長で非常に強い吸収を示した。両ポリマーのUVシグナルは、濃度効果を排除するために累積RIシグナルによってノーマライズされた。溶出コポリマーの強いUV吸収は、共役ジエンに伴う6.2ppm付近での
1HMR共鳴は別に形成されたAlloホモポリマーに由来するのではなく、高分子量コポリマー鎖の一部であることを裏付けている。
【0145】
実施例2
本実験では、ブタジエン/アロオシメンコポリマーをポリブタジエン対照ポリマーと共に合成し、両ポリマーの特徴付けと比較を行った。使用された手順では、ヘキサン(Ashland、重合グレード)は、シリカゲル中で4時間再循環してから使用した。ブタジエンはExxonから入手した。それを蒸留し、安定剤及び重質物(heavies)を除去してから使用した。n−ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中1.6M溶液)は受け取ったままの状態で使用した。2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン(Aldrich、工業グレード80%、CofA GC純度95.6%)は、酸化アルミニウムカラム(Aldrich、中性、ブロックマンI活性化)に通し、窒素でパージし、水素化カルシウム(Aldrich、試薬グレード、粗粒、<20mm)上で保管した。ジ−(テトラヒドロフリル)−プロパン(DTP)は、まずシリカゲルモレキュラーシーブ混合物上で乾燥させ、窒素でパージし、CaH
2上で保管した。
【0146】
SEC測定は、4種類の検出器(45及び90度レーザー検出器(波長650nm)、RI及びUV検出器)及び二つのMixed−Cカラム(5μm Mixed−C PL−ゲル 300×7.5mm)を備えたPolymer Laboratories PL−GPC 50 Plusシステムを用いて実施した。移動相は1mL/分の流速のTHFであった。測定は40℃で実施した。MW計算は、dn/dc値0.12を用いて実施した。
【0147】
重合は、40℃の10 USGバッチリアクター中で、15wt%のBD/ヘキサンプレミックス、開始剤として0.276mmphmのn−BuLi、及び改質剤として15molのDTP/モル開始剤を用いて実施した。反応時間は、対照の場合120分、BD−アロオシメンコポリマーの場合250分であった。BD−アロオシメンコポリマーは、モノマー装入物中に1.28mol%のアロオシメンを用いて製造された。重合をイソプロパノールの添加によって停止させ、トルエン中に溶解された0.5phrのBHTの添加によって安定化させた。
【0148】
モノマーの組込みはGC測定によってモニターした。
図4に、共重合実験中の二つのモノマーの測定変換率を示す。BDの変換率は2時間以内に約98%に達した。反応時間を延長してもアロオシメンの変換には何ら顕著な増加をもたらさなかった。アロオシメンの組込みは低いままであった。最終生成物は組み込まれたアロオシメンを0.19mol%しか含有していなかった。
【0149】
図5に、変換データを用いて作成されたη−ξプロットを示す。α=1のとき、切片はアロオシメンの反応性比(r
Allo)に等しい。切片は明らかにほぼゼロで(r
Allo=0)、ヘキサン中ではアロオシメンは容易にホモ重合ステップを受けられないことを示している。切片がゼロと証明されたので、傾きはブタジエンの反応性比(r
BD)に等しい。傾きはおよそ24である(r
BD=24)。このことは、BDでキャップされた生長アニオンは、アロオシメンと交錯するより24倍ホモ重合ステップを受けやすいことを意味する。
【0150】
この所見は文献で得られる限られた情報と一致している。アロオシメンのホモポリマーは、極性溶媒(例えばTHF)の存在下、アニオン重合によってのみ製造できる。しかしながら、このことがこの結果に従って共重合を妨げているわけではない。アロオシメンの組込みは、連続重合によって又は強制理想共重合(forced ideal copolymerization)技術によって増大できる。強制理想共重合は、モノマーの緩やかな添加を基本としている。このモノマー不足条件下では、アロオシメンの組込みは、低濃度のブタジエンによって強制される。あるいは、極性溶媒を使用してもよいし又はより適切な改質剤を見つけることもできるはずである。
【0151】
アロオシメンを含有しない対照及びコポリマーの物理的性質を表IIに示す。ポリマーのムーニー及び数平均分子量は互いに非常に近い。コポリマーの分子量分布のほうが広い。T
g及び組成も同一に近い。アロオシメンの含有量は、GCによって測定された変換率に基づいている。これから、鎖あたりのアロオシメン単位の数は約17という数を与えると推定された。しかしながら、コポリマーの実際の共役ジエン含有量は、それら濃度の低さ、オーバーラップ、及び広い共鳴のためにHNMR分光法では定量できなかった。しかしながら、BD/Alloコポリマー中に共役ジエン構造が存在することは、
1HNMRによって確認できた。
図6は、ドラム乾燥されたサンプルのHNMRスペクトルを示す。6〜6.2ppmの範囲におけるブロードな多重共鳴は共役ジエンに特徴的である。
【0152】
【表2】
【0153】
共役ジエン単位の存在は、UV及びRI検出器を用いてGPCによって確認された。UV測定は220nmで実施した。この波長でポリブタジエン対照は本質的に透明である。これを
図7に示す。これに対し、コポリマーは、共役ジエンに特徴的な波長で非常に強い吸収を示す。両ポリマーのUVシグナルは、濃度効果を排除するために累積RIシグナルによってノーマライズされた。
【0154】
親ジエン体によるBD−Alloコポリマー及びイソプレン−Alloコポリマーの硬化
コポリマー中に共役ジエン単位が存在していることの追加の証拠は、ポリマーを二官能性親ジエン体と反応させることによって得られた。スキーム1に、使用された二官能性親ジエン体の化学構造を示す。コンパウンドは、110℃に加熱されたプレス中で、5gのポリマーをプレスしてシートにし、このシートに親ジエン体を折り重ね、シート化(sheeting)と折重ね(folding)を12回繰り返すことによって製造した。コンパウンドの硬化活性は、160℃で7%歪を用いて測定した。
【0155】
【化22】
【0156】
三つの親ジエン体のうち、最も明確な結果はBMAAcで得られた。
図8に、IP/Alloコポリマー、IP/Alloコポリマーに2phrのBMAAcを混合したもの、対照ポリマーに2phrのBMAAcを混合したもの、及び対照ポリマーに2.8phrのAlloモノマーと2.0phrのBMAAcを混合したものについて記録された硬化曲線を示す。四つのサンプルのうち、IP/Alloコポリマーに2.0phrのBMAAcを混合したものだけがトルクの上昇を示し、BMAAcのマレアミド基(maleamic group)が、コポリマーへのAlloの好ましい組込みから生じた共役ジエン基とのディールス・アルダー付加を受けたことを示している。コポリマーはそのままでは顕著なトルクの増加を全く示さない。同様に、BMAAc又はBMAAcとAlloモノマーの混合物と混合された対照コポリマーも硬化活性を示さない。後者の場合、Alloモノマーが添加されたのは、BMAAcと混合されたコポリマーの硬化活性が少量の未反応Alloの存在によるものではないことを保証するためである。
【0157】
BMAAcはコポリマーの共役ジエン含有量よりも相対的に大過剰であるので、BMAAc入りコポリマーの硬化活性は、必ずしもBMAAcの両側での反応の結果ではないことは指摘されなければならない。一旦反応したBMAAcのH結合によって又は未反応のマレアミド酸側基の分子間反応を介して架橋が形成されることは可能である。
【0158】
対照ポリマーのトルク値は、その高い分子量(ムーニー)のために、コポリマーのそれより高いことに注意すべきである。従って、対照のS’値は、比較を助けるために、対照+BMAAcサンプルの場合0.75dN
*m、及び対照+Allo+BMAAcサンプルの場合0.3dN
*mだけ減らした。
【0159】
シリカポリマー相互作用のためのAlloコポリマーの官能化
本セクションでは、アニオン重合によって製造されたIP/Allo及びBD/Alloコポリマーにシリカ相互作用基を結合できることを証明するために行われた研究をまとめる。研究のために、コポリマーの共役ジエン基に結合させる親ジエン体としてBMAAc及びマレアミド酸(MAAc)を使用した。これらが選ばれたのは、強親ジエン体(MI、MAnh)は、スキーム2に示されているように“共重合”を受ける能力を有しているからである(R.N.Datta,A.G.Talma,A.H.M.Schotman:“Comparative Study of the Crosslinking of bis−Maleimides and bis−Citraconimides in Squaline and Natural Rubber”,Rubber Chem.& Techn.,1073−1086,71(1998)参照)。その上、BMAAc及びMAAcの−NH及びCOOH基はシリカと、極性−極性相互作用のほかにH結合を介して相互作用することができる。
【0160】
【化23】
【0161】
コポリマーは、バンバリー(Bunbury)ローターを備えた3ピースの75mL CW ブラベンダー(Brabender)ミキサー中で、70%の充填係数(fill factor)を用い、官能化され、シリカ及びオイルと混合された。ポリマーは、親ジエン体及び1phrのWingstay(登録商標)Kフェノール系抗酸化剤と60rpmのローター速度で3分間混合された。抗酸化剤は、イソプレンポリマーに添加された0.25phrのBHT及びPBDポリマーに添加された0.5BHTのほか、重合の終了後、官能化中にポリマーが分解するのを防止するために添加された。
【0162】
改質ポリマーを、50phrのシリカと、20phrのオイル(IP−Alloコポリマーの場合)及び30phrのオイル(BD/Alloコポリマーの場合)と混合した。コンパウンドを、Alpha Technology製造のRPA 2000を用いてシリカ相互作用について試験した。充填剤の凝集(flocculation)速度を決定するために、コンパウンドをまず100℃又は160℃に加熱し、1Hz及び0.48%の歪を用いてトルクの増加を時間の関数としてモニターした。その後、コンパウンドを40℃に冷却し、ペイン効果(Payne effect)、G’、G”及びtanδの歪依存性を決定するために、1Hzを用いて歪掃引(strain sweep)を実施した。
【0163】
図9に、低歪で測定されたシリカ充填対照コンパウンドとIP−アロオシメンコポリマーの剛性(S’)の増加を対数時間の関数として示す。トルクの増加は、充填剤−充填剤ネットワーク及び/又は充填剤粒子間のポリマー架橋の形成に関連している。時間が対数目盛でプロットされているのは、弾性率回復は対数時間プロット上で直線であり、予想された指数関数的回復に従わないことがわかったからである。対照もIP−Alloコンパウンドも、対数時間と良好な直線関係を示している。しかしながら、BMAAc及びMAAcで官能化されたIP−Alloコンパウンドの傾きは約75%〜85%小さく、ポリマーと充填剤間の強い相互作用と、それによって充填剤凝集が防止されていることを示している。
【0164】
G’及びG”の歪依存性も、官能化サンプルの場合、顕著に低下した。さらに、これらのポリマーのtanδも、2%を超える歪では対照ポリマーと比べて低く、その差は歪の増大と共に増加したことが測定された。
図10にその結果を示す。
【0165】
図11及び12に示されているように、同様の結果がBD/AlloコポリマーのMAAc官能化によっても得られた。この場合の充填剤凝集は、高ビニルPBDに特徴的な高温での架橋を避けるために低温(100℃)で実施された。結果として、充填剤凝集及びG’とG”の歪依存性における差は、IPサンプルと比べるとあまり顕著ではなかった。それでも、MAAc官能化BD−AlloコポリマーのS’−対数時間の傾きは、未改質コポリマーのそれよりも50%小さいと測定された(
図11参照)。低歪におけるG’及び高歪におけるtanδの低減は、
図12に示されているように明らかに存在する。
【0166】
比較例として、Alloの不在下で製造されたBD対照ポリマーを、MAAcのほかにAlloとMAAcの混合物とも混合し、高ビニルPBDへのこれらの添加が充填剤凝集速度の低下もペイン効果の低減ももたらさないことを示した。
図13及び14は、実際、対照ポリマー及び親ジエン体又は親ジエン体Allo混合物と混合された対照ポリマーを用いて製造されたシリカミックスの間には何ら顕著な相違がないことを明らかに示している。
【0167】
実施例3
本実施例では、トリエトキシシランなどのシリカ反応性官能基をIP/Alloコポリマーにディールス・アルダー反応によって結合できることを示す。想定している化学的戦略をスキーム3に示す。反応は、化学薬品の段階的添加を使用する単一混合サイクルで実施した。反応では等モルの無水マレイン酸(MAnh)及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APT)を使用した。量は、0.27mol%の組込みAllo単位を含有するコポリマーのイソプレン含有量に対して1mol%とした。
【0168】
【化24】
【0169】
最初に、コポリマーと無水マレイン酸(MAnh、1.44phr)を130℃に予熱されたミキサーに加えた。これらを60rpmのローター速度を用いて2分間混合した。次に、シリカ(65phr)、オイル(20phr)及び3.26phrのAPTの混合物を加え、混合をさらに6分間続けた。次に、コンパウンドをプレスしてシートにし、同じ条件及び3分間の混合時間を用いて再混合した。IP/Alloコポリマーを用い、MAnhもAPTも加えないコンパウンドも製造した。
【0170】
さらに、ポリイソプレン(PI)対照ポリマーを用いて二つの対照コンパウンドも製造した。これらはIP/Alloコポリマーと同一条件下で製造された。一つのコンパウンドにはシリカとオイルのみを加え、もう一つにはシリカとオイルのほかにIP/Alloコポリマーを官能化したのと正確に同じやり方でMAnhとAPTも加えた。
【0171】
その後、コンパウンドを試験して、充填剤の“凝集”速度と、貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)の歪依存性を決定した。どちらの測定も100℃で実施した。
【0172】
【表3】
【0173】
PI対照ポリマーとIP/Alloコポリマーは非常に類似したトルク値及びトルク増大速度を示した。MAnh/APT処理PI対照ポリマーも、多少低い出発トルク値と傾きではあるが、類似の結果を示した。これに対し、MAnh/APT改質コポリマーは、著しく低い初期トルクと充填剤凝集速度の低減を示した(
図15参照)。表IIIに、測定点の直線近似から誘導された傾きと切片を示す。両値は、未改質ポリマー(PI/Allo及びPI)並びにMAnh/APT処理PI対照ポリマーについては類似しているが、IP/Alloポリマーは著しく低い値を示した。初期トルク(1分時に測定)は、ほかのコンパウンドのおよそ半分であり、傾きすなわち充填剤凝集速度もそうである。この差は、提案されたポリマー充填剤結合がIP/Alloコポリマーの場合達成できたことを強く裏付けている。MAnhがIP/Alloコポリマーの共役二重結合と反応し、APTと付加物を形成し、APTのトリエトキシシラン基がシリカのOH基と反応した。
【0174】
図16は、MAnh/APT処理IP/Alloコポリマーの充填剤凝集遅延のほか、処理はペイン効果の顕著な低減ももたらしたことを示している。言い換えれば、MAnh/APT処理IP/Alloコポリマーは、シリカとオイルしか含有していないコンパウンドに比べて、G’及びG”の歪依存性を著しく低減した。しかも、MAnh及びAPTを対照PIポリマーに添加しても、ペイン効果のそのような大幅低減は得られなかった。
【0175】
ペイン効果の大きさは習慣的に低振幅(LAM)及び高振幅(HAM)で測定された弾性率の比を計算することによって表される。この場合、0.48%の歪及び100%の歪で測定された弾性率が選択された。表IVに得られた数値を掲載する。
【0176】
【表4】
【0177】
ペイン効果の低減は、IP/AlloコポリマーのMAnh/APT改質によって達成された相互作用改良の更なる証拠である。シリカとオイルだけで製造されたIP/Alloサンプルと比べて、LAM/HAM比は64%低下した。これに対し、PI対照ポリマーを同様に処理した場合、LAM/HAM比は同じままであった。
【0178】
充填剤ポリマー結合は、転がり抵抗などの特性に直接関係する循環歪下でのエネルギー損失を削減することも期待される。一定歪時のエネルギー損失はG”に正比例する。
図16(左側のプロット)に基づくと、エネルギー損失は、IP/Alloコポリマーの記載された官能化法によって著しく減少している。改質IP/Alloコポリマーとほかのサンプル間の差は、タイヤ用途の観点から最も重要な中間歪範囲(1〜10%)で最も顕著である。
【0179】
他方、エネルギー損失(一定エネルギー入力時)は、位相角の正接値(tanδ)、すなわちG”/G’比に正比例する。
図17に、エネルギー損失は、IP/AlloコポリマーのMAnh/APT処理によって著しく削減できることを示す。異なる歪時のエネルギー損失を示す数値を表Vに示す。
【0180】
【表5】
【0181】
実施例4
本実験では、ブタジエン−Alloコポリマーに親ジエン体、フラーレン、カーボンブラックを配合し、グリーンコンパウンドの性質及び硬化後の物理的性質を調べた。まず、BD/Alloコポリマーの共役ジエン単位が親ジエン体と反応する能力をN,N’−m−フェニレン−ビスシトラコンイミド(BCI)を用いて試験した。
【0182】
【化25】
【0183】
BCIがN,N’−m−フェニレン−ビスマレイミド(BMI)の代わりに選択されたのは、BMIは硬化中に1,2−架橋、ホモ重合、共重合ならびにマイケル付加を受けることが知られているからである。BCIのほうがこれらの副反応を受けにくく、主にディールス・アルダー反応を介して、硫黄加硫の戻り段階中に形成する共役ジエン及びトリエンと反応する(R.N.Datta,A.G.Talma,A.H.M.Schotman:Comparative Study of the Crosslinking of bis−Maleimides and bis−Citraconimides in Squaline and Natural Rubber,Rubber Chem.& Techn.,1073−1086,71(1998)参照)。
【0184】
使用された手順では、235℃のプレス中で5グラムのポリマーに1.8phrのBCIを反復折畳みによって配合した。硬化活性を160℃で7%の歪を用いて測定した。
図18に、得られたトルク曲線を、BD/Alloコポリマー及びBD対照のそれと共に示す。
図18によれば、BCIは、シトラコンイミド基とBD/Alloポリマーの共役ジエン単位間の架橋反応のために、トルクの即時上昇をもたらした。これに比べ、対照はトルクに何の変化も示さず、BD/Alloコポリマーはわずかなトルク上昇を示しただけであった。これは、二つの共役ジエン単位間で起きる何らかの架橋反応と関連しているのであろう。
【0185】
BCIのほかに、コポリマーには5phrのC
60Buckeyボールも配合した。非常に興味深いことに、これも多少のトルク上昇をもたらし、実際サンプルは不溶性になった。このことは、共役ジエン単位はフラーレン様構造と反応できることを証明しているように思われる。
【0186】
概念を証明するために、小粒径、高表面積及び吸油ASTMカーボンブラックN121が選ばれた。フラーレン様構造の濃度がこのカーボンブラックでは比較的高いと仮定してのことである。混合は、バンバリーブレードを備えた75mLの3ピースCBブラベンダーミキサーヘッドを用いて実施した。ノンプロダクティブ混合は、140℃の出発温度、60rpm及び73%の充填係数を用いて実施した。プロダクティブ混合は、60℃の出発温度、60rpm及び73%の充填係数を用いて実施した。ノンプロダクティブ混合には20phrのオイルを加えねばならなかった。というのは、オイルの不在下では50phrのカーボンブラック充填で、コンパウンドはポリマーの高分子量及び狭い分子量分布のために粉末状に変わるからである。プロダクティブ混合の場合、下記処方を使用した。
【0187】
【表6】
【0188】
アロオシメン単位を含有する組込み共役ジエンがN121と反応する能力は、最初にグリーンコンパウンドで試験した。コポリマーと対照間の相互作用における差は、充填剤凝集測定を用いて、及び貯蔵弾性率と損失弾性率の歪依存性(ペイン効果)を測定することによって決定した。
【0189】
貯蔵又は高温時の未硬化ブラックコンパウンドのコンパウンド剛性ならびに導電性の増大はよく知られた効果である(Bulgin,D.,Trans.Inst.Rubber Ind.,21,188(1945);Fletcher,W.P.,及びGent,A.N.,Trans.Inst.Rubber Ind.,29,266(1953)参照)。これは一般的に充填剤の凝集に起因する。この効果の大きさは、分散不良、温度上昇又は分子量低下に伴って増大するようである(Bohm,G.G.A.,及びNguyen,M.N.,J.Applied Poly.Sci.,55,1041(1995)参照)。充填剤の凝集は、充填剤の種類、充填剤の表面処理及び一般にポリマー−充填剤相互作用によって強く影響を受ける(Lin,J.,Hergenrother,W.L.,Alexanian,及びE.,Bohm,G.G.A.,Rubber Ckem.& Techn.,75,865(2002);Lin,J.,Hogan,T.E.,及びHergenrother,W.L.,Paper No.58,Presented at a meeting of the Rubber Division,American Chemical Society,San Francisco,CA,April 28−30(2003)参照)。ポリマー−充填剤相互作用の増大は、凝集体の移動の制限によって及び/又は凝集体間に追加のポリマー架橋を形成することによって、凝集速度を低下させる(G.A.Schwartz,S.Cerveny,A.J.Marzocca,M.Gerspacher,及びL.Nikiel,Polymer 44,7229−7240(2003)参照)。従って、コンパウンドの剛性の測定は、充填剤−ポリマー相互作用の評価を提供する。時間に伴ってS’の増大が小さくなることは、より強いポリマー−充填剤相互作用を示している。
【0190】
歪増大に伴う貯蔵弾性率及び損失弾性率(G’及びG”)の低下は、最初にPayneにより研究された(A.R.Payne,J.Appl.Polym.Sci.,6,57(1962)参照)。それは一般的に充填剤粒子の破壊及び凝集と関連している。充填剤−マトリックス相互作用もペイン効果に対する寄与因子と考えられている。そのようなプロセスは、結合ゴムと可動ゴム相との間の絡み合いの滑り、分子表面の滑り又は再配列及び充填剤ネットワーク内にトラップされていたゴムの放出である(G.Heinrich,及びM.Kluppel,Advances in Polymer Science,160,1436−5030(2002);S.S.Sternstein,及びAi−Jun Zhu,Macromolecules,35,7262−7273(2002);Ai−Jun Zhu,及びS.S.Sternstein,Composite Science and Technology,63,1113−1126(2003)参照)。動的弾性率の歪依存性の大きさは、分子量の低下に伴って増大し、カップリング剤などの使用によってポリマー−充填剤相互作用を増大させることによって大幅に削減される(J.D.Ulmer,W.L.Hergenrother,及びD.F.Lawson,Rubber Chem.& Techn.,71(4),637−667(1998);C.Gauthier,E.Reynaud,R.Vassoille,及びL.Ladouce−Stelandre,Polymer,45,2761−2771(2003)参照)。従って、ペイン効果の測定は、ポリマー−充填剤相互作用を定量するのに非常に適している。
【0191】
図19に、低歪で測定された対照コンパウンドとBD−アロオシメンコポリマーの剛性(S’)の増加を対数時間の関数として示す。時間が対数目盛でプロットされているのは、弾性率回復は対数時間プロット上で直線であり、予想された指数関数的回復に従わないことがわかったからである。対照もBD−アロオシメンコンパウンドも、対数時間と良好な直線関係を示している。しかしながら、BD−アロオシメンコンパウンドの傾きは約40%小さく、ポリマーと充填剤間の強い相互作用を示している。
【0192】
低歪でコンパウンドの16分及び160℃の熱処理をした後、弾性率及び貯蔵弾性率の歪依存性(ペイン効果)における差を決定するために、歪掃引を100℃で実施した。結果を
図20及び21に示す。
【0193】
図20によれば、G’の歪依存性は、BD−アロオシメンコポリマーの場合低歪で多少低いが、二つのコンパウンドで類似している。しかしながら、G”は、歪の関数として、より大きい差を示している。ここでも、コポリマーは低減された歪依存性を示している(
図21参照)。結果として、コポリマーのtanδ値は、
図22によって示されているように、対照のそれよりも全周波数範囲で低い。
【0194】
これらの測定から、ポリマー−カーボンブラック相互作用は、共役ジエン単位の鎖への組込みによって、及びおそらくはこの鎖要素とカーボンブラック間のディールス・アルダー反応を介して、改良できることが確認された。
【0195】
硬化サンプルの硬化及び動的性質
二つのプロダクティブコンパウンドの硬化曲線を
図23に示す。硬化の速度及び状態はコポリマーの場合いくらか低い。次に、コポリマーをペイン効果についても試験した。その際、硬化中の充填剤−ポリマー又は充填剤−充填剤相互作用を変えないために典型的な7%歪の代わりに“静的”硬化サイクル(0.28%歪)を用いた。硬化された対照及びBD−アロオシメンコポリマーのG’、G”及びtanδの歪依存性の比較を
図24〜26に示す。明らかに、コポリマーのほうが低いG’、G”及びtanδを示し、これらの値の歪依存性は低減されている。これは、グリーンコンパウンドの場合で検出された差と一致している。低減されたペイン効果及び低いレオロジーパラメーター(G’、G”及びtanδ)は、確かにコポリマーが充填剤とより強力な相互作用を有していることを示しているように思われる。これはおそらく鎖の共役ジエン単位と調査したカーボンブラック中に存在するフラーレン様構造との間の仮説ディールス・アルダー反応のためであろう。
【0196】
実施例5〜7
以下の実施例では、共役ジエン単位はイソブチレンとのカルボカチオン共重合によってブチルエラストマーにも組み込めることを示す。実純度レベル95.6%の工業グレード(80%)のアロオシメン(2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン)をAldrich社から購入し、酸化アルミニウムを用いるカラムクロマトグラフィー(中性、ブロックマンI活性、Aldrich)によって乾燥し、凍結−ポンプ−融解(freeze-pump-thaw)技術によって脱ガスした。イソブチレン(IB)、純度99%、及び塩化メチル(MeCl)、純度99.5%(Matheson TRIGAS)は、BaO/CaCl
2を充填したカラムに通すことによって乾燥後、気相から凝縮させた。ヘキサン(Mallinckrodt Chemicals、最小純度98.5%)はCaH
2(Aldrich)から蒸留したばかりのものであった。ジ−tert−ブチルピリジン(DtBP、97%、TIC)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA、99.8%、無水、Aldrich)及び四塩化チタン(TiCl
4、99.9%、Aldrich)は受け取ったままの状態で使用した。p−ビニルクミルメチルエーテル(イニマー)は(C.Paulo,J.E.Puskas,Macromolecules 2001,34,734−739)に記載の手順に基づいて合成した。これを中性ブロックマン活性Iアルミナ(Aldrich)及びn−ペンテンを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した。2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタン(TMPCl)は2,4,4−トリメチルペンタ−1−エン(TMP−1、Acros)の塩化水素処理によって製造した。反応の完了後、炭酸水素ナトリウムをゆっくり添加することによって溶液を中和し、CaH
2上で乾燥させ、ろ過した。これを凍結−ポンプ−融解サイクルで脱ガスした。
【0197】
重合は、MBraun LabMaster 130グローブボックス内の乾燥窒素雰囲気下(1ppm未満の水分及び5ppm未満の酸素)、−80℃及び−95℃で、オーバーヘッドミキサーを備えた500mLの三つ口フラスコ中で実施した。重合は、ヘキサン/MeCl(60/40 v/v)溶媒混合物中で実施した。
【0198】
実施例5
本実験ではイソブチレンとアロオシメンのカルボカチオン重合を−80℃で実施した。反応混合物の初期体積は200mLであった。表VIIに、使用された各種化学薬品の濃度のリストを提供する。重合中、重量分析、HNMR及びGPC分析のために5mLのサンプルを採取した。
【0199】
【表7】
【0200】
表VIIIに、変換率及び測定された分子量のほか、GPCによって決定されたUV/RI比のリストを示す。ΣUV
i/ΣRI
iは各GPCピーク下面積の比であり、UV
max/RI
maxはピーク高さの比である。UV吸収は240nmで測定した。この波長では、共役ジエン単位しかUV光を吸収しないので、二つのシグナルの比はポリマーの共役ジエン含有量に比例する。
【0201】
【表8】
【0202】
結果によれば、95%の変換が40分で達成された。ln(M
o/M
t)−時間のプロット(M
o及びM
tは開始時及びt時におけるモノマー濃度)は直線で(
図27参照)、この時間範囲では終結していないことを示している。M
n変換率プロット(
図28)も直線で、共重合はリビング性であることを示唆している。算出された開始剤効率は、類似しているが100%を超えており、何らかの制御されない開始が反応の初めに起きたことを表している。これは、
図29に示されているように、最初のサンプルのGPCトレースの二峰性によって確認される。最後のサンプルのUV及びRIトレースの類似した形状は、すべての鎖が組み込まれたアロオシメンを有している、すなわちサンプルはイソブチレンとアロオシメンのホモポリマーの混合物ではないことを示している。言い換えれば、真の共重合が起きたのである。変換に伴ってUV/RI比が減少しているのは、アロオシメンの反応がIBのそれより著しく速いことを示している。この結果は、ほとんどのアロオシメン単位はポリマー鎖の頭部に位置するということである。重合に精通した者であれば、これは連続重合によって、又はバッチ重合の場合、より反応性ポリマーの連続供給によって容易に補正できることは承知している。次の実施例で、IBを最初に添加した後、アロオシメンを連続添加することによって実施した実験の結果を示す。
【0203】
実施例6
この重合は、実施例5で詳述したのと同じ手順及び技術を利用して実施した。しかしながら、重合の3分後にヘキサン/アロオシメン(50/50 v/v)の連続ストリームを1ml/分の流速で反応混合物に導入した。添加された混合物の全量は50mLであった。このヘキサン/アロオシメンストリームの連続添加の停止後、重合をさらに60分続けさせ、その時点で終了させた。表IXに、11分〜111分の範囲の様々な重合時間後に達成されたポリマーサンプルの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、多分散性(Mw:Mnの比)、ΣUV
i/ΣRI
i及びUV
max/RI
maxを示す。
【0204】
【表9】
【0205】
結果は明らかに、アロオシメンの連続供給によってUV/RI比が維持でき、実際、経時的に増大したことを示している。分子量も時間と共に増大し、重合が一定のリビング特性を維持したことを示した。
【0206】
サンプルのH
1NMR分析から、ポリマー鎖に共役ジエン単位が存在していることが確認された。
図31は、60分時に取ったサンプルのH
1NMRを示す。ポリマー中に共役ジエンが存在することは、5.6ppm、5.8ppm、及び6.1ppm付近の共鳴によって証明される。孤立した不飽和のプロトン(ビニルプロトン)が予想される5.0〜5.5の領域に共鳴がないことは極めて驚くべきことである。これに対し、4.7〜5.0ppmの領域には大きくてブロードな共鳴がある。これはビニリデンプロトンの領域である。そのような構造の形成は、t−ブチル又はアリル性t−ブチルのカルボカチオンからのプロトンロスによってのみ可能である。これは、プロトントラップがない場合は連鎖移動、又はプロトントラップがある場合は(DtBP)終結を招くはずである。サンプルが高分子量であることを考慮すると、この反応は無視できそうである。しかしながら、もしプロトンが同じ又は隣接するアロオシメン単位の不飽和の別の部分に移動した場合、これは終結も別の分子への移動もなしにビニリデンプロトンの形成をもたらすことができる。5.0〜5.5ppmの領域における共鳴の欠如及び4.6〜5.0ppmにおける強い共鳴の存在は、短鎖枝分れ又はおそらくは環化によるビニルプロトンのダウンシフトの結果でもあろう。これの例は、IB/IPコポリマー中のイソプレンのビニルプロトンの、不飽和に隣接する短鎖分枝点に起因する5.1ppmから約4.9ppmへのダウンシフトである(White,J.L.;Shaffer,T.D.;Ruff,C.J.;Cross,J.P.Macromolecules 1995,28,3290)。
【0207】
このサンプル及び他のサンプルのHNMRスペクトルから、アロオシメン単位のおよそ8%が共役ジエン構造を有していると判定することができた。文献情報に基づくと、カルボカチオン重合によって製造されたIB/アロオシメンコポリマー中には微量の共役ジエン単位しか存在しないので、これは極めて驚くべきことである。(A.Priola,C.Corno,M.Bruzzone及びS.Cesca,Polymer Bulletin 4,743−750(1981))。
【0208】
様々なサンプルの共役ジエン含有量は、
図32に示されているように、サンプルのUV/RI比と非常に強い線形相関を示した。このことは、UV/RI比が確かにポリマーの共役ジエン含有量の非常に良好な尺度となることを裏付けている。共役ジエン含有量は、mol/100,000gの形態で表されている。この値は、100,000g/molの分子量サンプル中に存在する共役ジエン単位の数に等しい。この図は、得られたサンプルの共役ジエン含有量の迅速決定に使用することができる。例えば、UV/RI比が5ということは、ポリマーの100,000g/molセグメントごとに10個のCD単位を有することを意味する。
【0209】
カチオン性実施例7
この実施例では、非常に高分子量のIB/アロオシメンコポリマーも製造できることを示す。これは二重の機能を有する開始剤の使用によって達成された。それは開始剤でもありモノマーでもあるので名前をイニマーと言う。このイニマーを用いて、非常に高分子のいわゆる樹枝状ポリマーを製造できることが示されている(C.Paulo,J.E.Puskas,Macromolecules 2001,34,734−739)。
【0210】
この実験では、まず、高分子量の樹枝状PIBコア(ArbPIB)を2mol/Lのイソブチレンを用いて合成した。この後、2mol/LのIBと0.04mol/LのAllo(濃度は反応混合物の初期体積に基づく)のモノマー混合物を合成のために加え、ArbPIBをIBとアロオシメンのコポリマーでブロックした(ArbPIB−b−IB−co−Allo)。
【0211】
反応は−95℃で次のように実施された。0.14gのイニマー、0.23mLのdtBP、103mLのヘキサン、69mLのMeCl、及び31.8mLのIBを、撹拌機を備えた三つ口丸底フラスコに加え、−95℃に冷却した。この装入物に、予備冷却された0.98mLのTiCl
4と5mLのヘキサンの混合物を加え、重合を開始させた。38分時点でサンプルを分析のために採取し、40分の反応時間の時点で初めて0.1mLのDMAを加え、その後−95℃に冷却された31.8mLのIB、1.4mLのアロオシメン及び0.1mLのDtBPの混合物を加えた。追加のサンプルを81及び119分時に採取した。反応は、メタノールに溶解されたNaOHの添加により120分時に終了させた。
【0212】
図33に採取されたサンプルのGPCトレースを示す。38分時に採取されたサンプルは樹枝状PIBコア(ArbPIB)である。それは枝分かれした樹枝状(木のような)構造を有している。このイソブチレンのマルチアームホモポリマーに、IB/Alloモノマー混合物を40分時に添加することにより、IBとアロオシメンのコポリマーを結合させた。この結果、鎖端がIBとAlloのコポリマーでブロックされた樹枝状コア(ArbPIB−b−IB−co−Allo)が得られた。得られたポリマーの構造を
図34に示す。この図は、樹枝状ポリイソブチレンコアに結合されたポリイソブチレンアロオシメンアームを有するコポリマーを描いている。
【0213】
81及び119分時に採取されたサンプルのGPCトレースは、IB/Alloモノマー混合物のArbPIBコアへの組込みを証明している。これらのサンプルのGPCトレースは、コアのそれと比べて高分子量の方にシフトしている。表IVにPIBのdn/dc値(0.108)を用いて計算した絶対分子量を示す。
【0214】
図35に、IB/Alloモノマー混合物の添加前及び後に採取されたサンプルのUVトレースを示す。コアの残遺的なUVトレースは、開始剤(イニマー)の芳香族フラグメントの組込みによるものである。これに比べて、IB/Alloモノマー混合物の導入後に採取されたサンプルは強いUV吸光度を有し、ブロックされた生成物中に共役ジエン(CD)部分が存在していることを示している。
【0215】
図36は、81分時に採取されたサンプルのUV及びRIトレースを示している。これらのトレースの類似した形状は、CD単位がポリマー中にその分子量に関係なく存在していることを証明している。それはまた、ArbPIBコアに組み込まれたアロオシメン及びそれが別個のホモポリマーを形成しなかったことも証明している。GPCによって測定されたサンプルの分子量を表Xに示す。
【0216】
【表10】
【0217】
主題発明を説明する目的のために一定の代表的態様及び詳細を示してきたが、当業者には、主題発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正がその中でなされうることは明白であろう。