(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の短軸断面画像にもとづいて前記注目血管のボリュームデータを生成し、このボリュームデータにもとづいて前記注目血管の長軸断面ボリュームレンダリング画像を生成する血管内画像再構成部と、
前記長軸断面ボリュームレンダリング画像から前記注目血管の分岐血管の画像を特定する分岐血管特定部と、
前記長軸断面ボリュームレンダリング画像の前記分岐血管の画像の位置に対応する前記透視画像の前記注目血管画像上の位置を求め、この位置における前記透視画像内での前記分岐血管の分岐方向を特定する分岐方向特定部と、
前記分岐方向特定部に特定された前記透視画像内での前記分岐方向に応じて前記長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させる3D画像回転部と、
をさらに備えた請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る画像表示装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0009】
本発明の一実施形態にかかる画像表示装置を含む画像表示システムは、画像表示装置のほか、血管腔内を撮像可能な血管内撮像装置と、血管外を撮像する血管外撮像装置と、を備え、血管腔内の撮像画像および血管外の撮像画像の一方の画像に含まれる特徴画像の位置やユーザにより選択された位置について、他方の画像上のこの位置に対応する位置にマーカ画像などを表示することで、両画像の関連をユーザが容易に把握することができるようにするものである。なお、血管腔内を撮像可能な血管内撮像装置としては、IVUS撮影装置、OCT(Optimal Coherent Tomography)装置、血管内MRI(IVMRI:IntraVascular Magnetic Resonance Imaging)装置などを用いることができる。以下の説明では、血管腔内を撮像可能な血管内撮像装置として、IVUS撮影装置を用いる場合の例について示す。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置1を含む画像表示システム2の一例を示す全体構成図である。
図1に示すように、画像表示システム2は、画像表示装置1のほか、IVUS撮影装置11、X線透視撮影装置12および主表示部13を有する。
【0011】
本実施形態に係る画像表示装置1は、IVUS撮影装置11が生成する血管内超音波画像に含まれる特徴画像を抽出し、X線透視撮影装置12が生成するX線透視撮影画像にこの特徴画像を示す画像を重畳表示するよう構成される。
【0012】
図2は、主表示部13に表示される画像の一例を示す説明図である。
【0013】
画像表示装置1は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成される。画像表示装置1のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された画像表示プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って、IVUS撮影装置11から受けたIVUS画像14と、X線透視撮影装置12から受けたX線透視撮影画像(以下、透視画像という)15とを、主表示部13の一画面に並べて表示する(
図2参照)。
【0014】
画像表示装置1は、たとえばパーソナルコンピュータにより構成され、病院基幹のLAN(Local Area Network)等のネットワークとデータ送受信することができる。ネットワークには、たとえば画像データを蓄積するための画像サーバが接続される。
【0015】
血管腔内を撮像可能な血管内撮像装置としてのIVUS撮影装置11は、IVUS制御部20により制御されて、冠動脈等の血管の内部に術者Oにより挿入された超音波プローブ21を所定の速度で移動させ(オートプルバックさせ)、超音波プローブ21からのスキャンデータ(エコー信号)にもとづいて所定のフレーム周期で血管の短軸断面の超音波画像(以下、短軸断面画像という)を生成する。短軸断面画像のそれぞれには、フレーム番号などの各画像を特定可能な情報が付加される。また、IVUS撮影装置11は、複数の短軸断面画像にもとづいて血管の長軸方向の断面画像(以下、長軸断面画像という)を生成する。長軸断面画像は、複数の短軸断面画像から得られる血管の三次元画像を、血管の長軸方向の任意の断面で切断することにより生成することができる。以下の説明では、IVUS画像14が短軸断面画像および長軸断面画像を含む場合の例について示す。
【0016】
なお、血管腔内を撮像可能な血管内撮像装置としては、IVUS撮影装置11のほか、OCT(Optimal Coherent Tomography)装置や血管内MRI(IVMRI:IntraVascular Magnetic Resonance Imaging)装置などを用いることができる。OCT装置や血管内MRI装置によっても、血管の短軸断面画像を生成することができるとともに、複数の短軸断面画像にもとづいて長軸断面画像を生成することができる。
【0017】
IVUS制御部20は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従ってIVUS撮影装置11の動作を制御する。具体的には、IVUS制御部20のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶されたIVUS撮影プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従ってIVUS画像14を生成するとともに、このIVUS画像14を画像表示装置1に与える。画像表示装置1は、このIVUS画像14を、X線透視撮影装置12から与えられた透視画像15と並べて主表示部13に表示させる(
図2参照)。
【0018】
IVUS撮影装置11を用いてIVUS画像14を生成させる際には、一般に、術者Oは、まずIVUS撮影を行いたい血管(以下、注目血管という)にガイドワイヤ22を挿入し、このガイドワイヤ22に沿ってカテーテル23の先端に設けられた超音波プローブ21を目的の箇所まで挿入する。IVUS制御部20は、この超音波プローブ21をオートプルバックさせることにより、複数の短軸断面画像を生成することができるとともに長軸断面画像を生成することができる。IVUS画像14は、IVUS制御部20により、IVUS表示部24に表示されるとともに画像表示装置1に与えられる。
【0019】
術者Oは、主表示部13やIVUS表示部24に表示されたIVUS画像14を確認することにより注目血管の血管腔内情報を得ることができる。オートプルバックのプルバックレート(超音波プローブ21を移動させる所定の速度)は、術者OによりIVUS入力部25を介して設定される。
【0020】
また、血管腔内の病変箇所にステントを留置する場合は、カテーテル23を血管から引き抜いてからガイドワイヤ22に沿ってステントを血管に挿入する。そして、超音波プローブ21を再度注目血管に挿入し、主表示部13やIVUS表示部24に表示されるIVUS画像14にもとづいてステントが所望の箇所に留置されているか否かを確認する。
【0021】
一方、
図1に示すように、X線透視撮影装置12は、FL制御部30、X線発生器31、撮像部32、Cアーム33、寝台34、FL表示部35、FL入力部36、高圧電源37、Cアーム駆動部38および絞り駆動部39を有する。
【0022】
FL制御部30は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従ってX線透視撮影装置12の動作を制御する。具体的には、FL制御部30のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された透視撮影プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って透視画像15を生成してFL表示部35に表示させるとともに、この透視画像15を画像表示装置1に与える。画像表示装置1は、この透視画像15を、IVUS撮影装置11から与えられたIVUS画像14と並べて主表示部13に表示させる(
図2参照)。
【0023】
X線発生器31は、Cアーム33の一端に設けられ、X線管31aおよび絞り31bを有する。X線管31aは、高圧電源37により電圧を印加されてX線を発生する。X線管31aが発生するX線は、ファンビームX線やコーンビームX線として患者Pに向かって照射される。絞り31aは、複数枚の鉛羽で構成されるX線照射野絞りであり、絞り駆動部39を介してFL制御部30により制御されて、X線管31aから照射されるX線のスライス方向の照射範囲を調整する。
【0024】
撮像部32は、寝台34の天板34aに支持された患者Pを挟んでX線管31aと対向配置するようCアーム33の他端に設けられる。撮像部32は、イメージインテンシファイア、TVカメラおよびSPOT撮影装置などを備え、撮像部32に照射されたX線を検出し、この検出したX線にもとづき、透視画像15の画像データを出力する。FL制御部30は、この画像データにもとづいて透視画像15を生成する。術者Oは、FL入力部36を介して、撮像部32による撮像の開始や終了、撮像周期などを指示することができる。なお、撮像部32は、平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)を含むものであってもよい。
【0025】
Cアーム33は、X線発生器31と撮像部32とを一体として保持する。Cアーム33がCアーム駆動部38を介してFL制御部30に制御されて駆動されることにより、X線発生器31および撮像部32は一体として患者Pの周りを移動する。なお、
図1にはCアーム33がX線発生器31を天板34aの下方に位置するよう支持するアンダーチューブタイプの場合の一例について示したが、X線発生器31を天板34aの上方に位置するよう支持するオーバーチューブタイプであってもよい。
【0026】
寝台34は、床面に設置され、天板34aを支持する。寝台34は、FL制御部30により制御されて、天板34aを水平方向(XZ面内方向)、上下方向(Y軸方向)に移動させたりZ軸中心に回転(ローリング)させたりする。
【0027】
図3は、第1実施形態に係る画像表示装置1、IVUS制御部20およびFL制御部30の各CPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、これらの機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0028】
図3に示すように、画像表示装置1は、画像表示プログラムによってIVUS画像取得部41、透視画像取得部42、フレーム座標関連付け部43、IVUS特徴画像抽出部44および重畳透視画像生成部45として機能する。
【0029】
また、IVUS制御部20は、IVUS撮影プログラムによって、IVUS撮影装置11による撮影を制御して画像データを取得するためのIVUS撮影制御部51と、この画像データにもとづいてIVUS画像14を生成するIVUS画像生成部52として機能する。また、FL制御部30は、透視撮影プログラムによって、X線透視撮影装置11による透視撮影を制御して画像データを取得するための透視撮影制御部56と、この画像データにもとづいて透視画像15を生成する透視画像生成部57として機能する。
【0030】
図4は、第1実施形態に係る画像表示装置1により、IVUS画像14に含まれるステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62にもとづいて、透視画像15にステント留置予定箇所の端点を示す画像61aおよび62aが重畳される様子の一例を示す説明図である。
【0031】
IVUS画像取得部41は、IVUS画像生成部52からIVUS画像14を取得する。一方、透視画像取得部42は、透視画像生成部57から透視画像15を取得する。
【0032】
フレーム座標関連付け部43は、複数の短軸断面画像(複数のフレーム)のそれぞれと透視画像15の注目血管画像上の位置(XY座標)とを関連付けるとともに、長軸断面画像上の位置と透視画像15の注目血管画像上の位置とを関連付ける。なお、IVUS画像14のフレーム番号と透視画像15のXY座標とを関連付ける方法には、注目血管の分岐部などの目安を用いる方法(たとえば特開2003−24300号公報参照)や、透視画像15に含まれる超音波プローブ21もしくはガイドワイヤ22の画像にもとづく方法など従来各種の方法が知られており、これらのうち任意のものを使用することが可能である。
【0033】
IVUS特徴画像抽出部44は、長軸断面画像に含まれる所定の特徴画像を抽出し、長軸断面画像上の特徴画像の位置の情報を取得する。特徴画像として抽出する画像の種別は、たとえばIVUS入力部25や画像表示装置1自身が備える入力装置などを介して術者Oにより設定される。
【0034】
たとえば、IVUS特徴画像抽出部44は、種々の血管内治療デバイスの配置予定箇所を示す画像などを特徴画像として抽出することができる。この種の血管内治療デバイスとしては、ステント、バルーン、ロータブレータや、DCA(方向性冠動脈粥腫切除術)で用いられるデバイス、血管内放射線治療で用いられるデバイスなどが挙げられる。以下、血管内治療デバイスとしてステントを用いる場合の例について説明する。
図4には、IVUS特徴画像抽出部44は、長軸断面画像に含まれるステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62を特徴画像として抽出し、長軸断面画像上のステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62の位置の情報を取得する場合の例について示した。
【0035】
ステント留置予定箇所の端点などの血管内治療デバイスの配置予定箇所の位置情報は、たとえば術者OがIVUS表示部24に表示されたIVUS画像を参照しつつIVUS入力部25を介してIVUS撮影装置11に入力される。IVUS画像生成部52は、この入力された配置予定箇所の位置情報にもとづいてIVUS画像14の長軸断面画像上に血管内治療デバイスの配置予定箇所を示す画像を重畳し、この重畳画像をIVUS画像14として画像表示装置1に与える。
【0036】
また、この入力された配置予定箇所の位置情報はIVUS画像生成部52を介して画像表示装置1に与えられてもよく、この場合、画像表示装置1はこの入力された血管内治療デバイスの配置予定箇所の位置情報にもとづいてIVUS画像14の長軸断面画像上に血管内治療デバイスの配置予定箇所を示す画像を重畳することができる。さらに、画像表示装置1が入力装置を独自に備えている場合は、術者Oは、この入力装置を介して主表示部13に表示されたIVUS画像14を参照しつつ血管内治療デバイスの配置予定箇所の位置情報を画像表示装置1に与えてもよい。
【0037】
また、ステント留置予定箇所を示す画像としては、ステントの両端点の位置を示す画像に限られず、ステント留置範囲全体にわたる血管長軸方向に沿った線などであってもよい。
【0038】
重畳透視画像生成部45は、長軸断面画像上の特徴画像の位置に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置に対して、特徴画像の情報を重畳した重畳透視画像を生成し、この重畳透視画像および長軸断面画像を主表示部13の一画面に並べて表示させる。たとえば、
図4に示す例では、重畳透視画像生成部45は、長軸断面画像上のステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62の位置の情報をIVUS特徴画像抽出部44から受け、この位置に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置に対して、ステント留置予定箇所の端点を示す画像61aおよび62aを重畳する。
【0039】
IVUS画像14に含まれるステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62にもとづいて透視画像15にステント留置予定箇所の端点を示す画像61aおよび62aを重畳することにより、術者Oは、ステントを注目血管に挿入する際に、リアルタイムに更新される透視画像15を確認することで、ステントの現在位置とステント留置予定箇所との位置関係を容易に把握することができる。
【0040】
なお、ステントが生分解性や生体吸収性に優れたポリマーなどのX線透過性の材料で構成される場合は、ステントは金属などのX線不透過性の材料により構成されたマーカを有するものを用いる。マーカは、ステントの両端点に設けられてもよいし、ステントの本体中に粉末として分散されてもよい。
【0041】
図5は、第1実施形態に係る画像表示装置1により、IVUS画像14に含まれるステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62にもとづいて、透視画像15にステント留置予定箇所の端点を示す画像61aおよび62aが重畳される際の手順を示すフローチャートである。
図5において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0042】
まず、ステップS1において、IVUS画像取得部41はIVUS画像生成部52からIVUS画像14を取得し、透視画像取得部42は透視画像生成部57から透視画像15を取得する。
【0043】
次に、ステップS2において、フレーム座標関連付け部43は、複数の短軸断面画像(複数のフレーム)のそれぞれと透視画像15の注目血管画像のXY座標とを関連付けるとともに、長軸断面画像上の位置と透視画像15の注目血管画像上の位置とを関連付ける。
【0044】
次に、ステップS3において、IVUS特徴画像抽出部44は、長軸断面画像に含まれるステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62を特徴画像として抽出し、長軸断面画像上のステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62の位置の情報(ステント留置予定箇所情報)を取得する。
【0045】
次に、ステップS4において、重畳透視画像生成部45は、長軸断面画像上のステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62の位置の情報をIVUS特徴画像抽出部44から受け、この位置に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置(XY座標)を抽出する。
【0046】
次に、ステップS5において、重畳透視画像生成部45は、ステップS4で抽出された透視画像15の注目血管画像上の位置に対して、ステント留置予定箇所の端点を示す画像61aおよび62aを重畳した透視画像15を生成する。
【0047】
次に、ステップS6において、重畳透視画像生成部45は、重畳透視画像15および長軸断面画像を主表示部13の一画面に並べて表示させる(
図4参照)。
【0048】
以上の手順により、IVUS画像14に含まれるステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62にもとづいて、透視画像15にステント留置予定箇所の端点を示す画像61aおよび62aを重畳表示することができる。
【0049】
図6は、第1実施形態に係る画像表示装置1により、IVUS画像14に含まれる不安定型プラークの位置を示す画像63にもとづいて、透視画像15に不安定型プラークの位置を示す画像63aが重畳される様子の一例を示す説明図である。
【0050】
IVUS画像生成部52は、血管腔内に不安定型プラークや安定型プラークがあると、これらのプラークの位置や種別を自動的に抽出し、IVUS画像14に対して不安定型プラークの画像63および安定型プラークの画像64を含めることができる。
【0051】
プラークとは、血管腔内に限局的に存在する動脈硬化巣をいい、発達したプラークは血管内腔を挟搾する。プラークには安定型プラークと不安定型プラークとがあり、組成は例えばcalcification、fibrous、lipidなどから成る。不安定型プラークは、物理的接触等により破裂しやすく、破裂した破片は末梢血管や臓器を閉塞する危険がある。このため、ガイドワイヤ22やステントなどを注目血管に挿入する際には、不安定型プラークの位置に注意し、不安定型プラークを破裂させないようにすることが好ましい。ガイドワイヤ22やステントなどを注目血管に挿入する際にユーザが注意すべき血管腔内の注意物質としては、不安定型プラークのほか、血栓などが挙げられる。
【0052】
そこで、
図6に示す例では、IVUS特徴画像抽出部44は、IVUS画像14に含まれる不安定型プラークの画像63を特徴画像として抽出し、長軸断面画像上の不安定型プラークの画像63の位置の情報を取得する。また、重畳透視画像生成部45は、長軸断面画像上の不安定型プラークの画像63の位置の情報をIVUS特徴画像抽出部44から受け、この位置に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置に対して、不安定型プラークが存在することを示す画像63aを重畳する。
【0053】
IVUS画像14に含まれる不安定型プラークの画像63にもとづいて透視画像15に不安定型プラークの位置を示す画像63aを重畳することにより、術者Oは、ガイドワイヤ22やステントなどを注目血管に挿入する際に、リアルタイムに更新される透視画像15を確認することで、ガイドワイヤ22やステントの位置と不安定型プラークの位置とを容易に把握することができる。
【0054】
また、重畳透視画像生成部45は、透視画像15に不安定型プラークの位置を示す画像63aを重畳する際に、
図4に示すようなステント留置予定箇所がわかっている場合は、さらに透視画像15に対してステント留置予定箇所を示す画像を重畳してもよい。
図6には、ステント留置予定箇所の範囲を示す画像65を透視画像15にさらに重畳する場合の例について示した。
【0055】
なお、以下の説明では、画像表示装置1がIVUS画像14の画像解析によりIVUS画像14からプラーク画像を抽出する場合の例について示すが、IVUS画像生成部52が、IVUS画像14から抽出したプラークの位置や種別の情報(プラーク情報)をIVUS画像14とともに画像表示装置1に与えてもよい。
【0056】
図7は、第1実施形態に係る画像表示装置1により、IVUS画像14に含まれる不安定型プラークの位置を示す画像63にもとづいて、透視画像15に不安定型プラークの位置を示す画像63aが重畳される際の手順を示すフローチャートである。
図5と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
ステップS11において、IVUS特徴画像抽出部44は、IVUS画像14に含まれる不安定型プラークの画像63を抽出し、長軸断面画像上の不安定型プラークの画像63の位置の情報(不安定型プラーク位置情報)を取得する。
【0058】
次に、ステップS12において、重畳透視画像生成部45は、長軸断面画像上の不安定型プラークの画像63の位置の情報をIVUS特徴画像抽出部44から受け、この位置に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置(XY座標)を抽出する。
【0059】
次に、ステップS13において、重畳透視画像生成部45は、ステップS12で抽出された透視画像15の注目血管画像上の位置に対して、不安定型プラークが存在することを示す画像63aを重畳した透視画像15を生成する。
【0060】
以上の手順により、IVUS画像14に含まれる不安定型プラークの位置を示す画像63にもとづいて、透視画像15に不安定型プラークの位置を示す画像63aを重畳表示することができる。
【0061】
本実施形態に係る画像表示装置1は、IVUS画像14に含まれるステント留置予定箇所を示す画像や不安定型プラークの画像などの特徴画像にもとづいて、透視画像15の対応する位置に、この特徴画像に関する情報を重畳表示することができる。このため、この画像表示装置1によれば、IVUS画像14に含まれた特徴画像を容易に透視画像15上で確認することができる。
【0062】
したがって、術者Oは、IVUS画像14に含まれる特徴画像を参照する際には、IVUS画像14を見てもよいし、特徴画像を反映した画像が重畳された透視画像15を見てもよく、非常に利便性が高い。たとえば、特徴画像としてステント留置予定箇所の画像を抽出するよう設定されている場合は、術者Oは、ステントを注目血管に挿入する際に、透視画像15を確認することで、ステントの現在位置とステント留置予定箇所との位置関係を容易に把握することができる(
図4参照)。また、特徴画像として不安定型プラークの画像を抽出するよう設定されている場合は、術者Oは、ガイドワイヤ22やステントなどを注目血管に挿入する際に、透視画像15を確認することで、ガイドワイヤ22やステントの位置と不安定型プラークの位置とを容易に把握することができる(
図6参照)。
【0063】
なお、重畳透視画像生成部45は、重畳透視画像および長軸断面画像をIVUS表示部24やFL表示部35に一画面に並べて表示させてもよく、この場合、画像表示システム2は、主表示部13を備えずともよい。また、重畳透視画像生成部45は、重畳透視画像および長軸断面画像を一画面に並べて表示させる必要は無く、たとえば重畳透視画像のみを主表示部13に表示させてもよいし、主表示部13ではなくFL表示部35のみに重畳透視画像を表示させてもよい。一画面に並べなくとも、たとえば重畳透視画像のみを主表示部13に表示させる場合、重畳透視画像が表示された主表示部13を医師が確認することができるとともに、ステント留置予定箇所の端点を示す画像61および62を含む長軸断面画像が表示されたIVUS表示部24を技師が確認することができる。
【0064】
また、重畳透視画像生成部45は、血管内治療デバイスの配置予定箇所の位置情報をユーザから指定されると、この指定された位置情報にもとづいて重畳透視画像を生成してもよい。この場合、上述のとおり、ステント留置予定箇所の端点などの血管内治療デバイスの配置予定箇所の位置情報は、たとえば術者OがIVUS表示部24に表示されたIVUS画像を参照しつつ、IVUS入力部25を介してまたは画像表示装置1が独自に備えている入力装置を介して画像表示装置1に与えられる。すなわち、術者Oは、たとえば長軸断面画像上の所定の位置をクリックするだけで、透視画像15の対応する位置に、直線や円などの図形やその位置がユーザにクリックされた(選択された)旨を示す文字情報その他の所定の画像を表示させることができる。
【0065】
ところで、複数の短軸断面画像は、所定のフレーム周期で1枚ずつ順次IVUS表示部24に表示される。そこで、重畳透視画像生成部45は、複数の短軸断面画像のうちの所定の短軸断面画像がユーザにより選択されると、この所定の短軸断面画像に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置に対して、直線や円などの図形や選択された旨を示す文字情報その他の所定の画像を重畳した重畳透視画像を生成してもよい。
【0066】
以下、より具体的に説明する。たとえば術者Oが、IVUS表示部24に連続的に表示される短軸断面画像を見ている場合を考える。この場合、たとえば不安定型プラークなどの注意画像を含む短軸断面画像が表示されると、術者Oは、この短軸断面画像が表示されている間にIVUS入力部25をクリックするなどして、この短軸断面画像を選択する旨の指示を画像表示装置1に与える。そして、重畳透視画像生成部45は、この選択された短軸断面画像に関連付けられた透視画像15の注目血管画像上の位置に対してたとえば注目血管画像を横断する直線などの所定の画像を重畳した重畳透視画像を生成し主表示部13などの表示装置に表示する。このため、ユーザが選択した短軸断面画像は時間とともにIVUS表示部24から消えて次フレームの短軸断面画像に更新されるが、透視画像15にはユーザが選択した短軸断面画像に対応する位置に直線などの所定の画像を表示させつづける(消えない)ことができる。したがって、ユーザは透視画像15を参照することで容易に自らが選択した短軸断面画像の位置を把握することができ、たとえば不安定型プラークの位置を透視画像15上で容易に確認することができる。
【0067】
(第2の実施形態)
図8は、第2実施形態に係る画像表示装置1A、IVUS制御部20およびFL制御部30の各CPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。
【0068】
この第2実施形態に示す画像表示装置1Aは、透視画像15に含まれる特徴画像を抽出し、IVUS画像14にこの特徴画像を示す画像を重畳表示する点で第1実施形態に示す画像表示装置1と異なる。他の構成および作用については第1実施形態に示す画像表示装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、画像表示装置1Aは、画像表示プログラムによってIVUS画像取得部41、透視画像取得部42、フレーム座標関連付け部43、透視特徴画像抽出部71および重畳長軸断面画像生成部72として機能する。
【0070】
図9(a)は、第2実施形態に係る画像表示装置1Aにより、透視画像15に含まれるガイドワイヤ22の先端の画像73にもとづいて、IVUS画像14にガイドワイヤ22の先端位置を示す画像73aが重畳される様子の一例を示す説明図であり、(b)は、第2実施形態に係る画像表示装置1Aにより、透視画像15に含まれるガイドワイヤ22の先端の画像73にもとづいて、IVUS画像14にガイドワイヤ22の先端位置を示す画像73aが重畳される様子の他の例を示す説明図である。
図9(a)には、ガイドワイヤ22の過去の先端位置の軌跡とともに現在の先端位置が長軸断面画像上に重畳される場合の一例を、(b)には、ガイドワイヤ22の現在の先端位置を示す画像として血管長軸方向に直交する直線が重畳される場合の一例を、それぞれ示した。
【0071】
透視特徴画像抽出部71は、透視画像15の注目血管画像に含まれる所定の特徴画像を抽出し、透視画像上の特徴画像の位置の情報を取得する。特徴画像として抽出する画像の種別は、たとえばFL入力部36や画像表示装置1A自身が備える入力装置などを介して術者Oにより設定される。
【0072】
たとえば、
図9(a)および(b)に示す例では、透視特徴画像抽出部71は、透視画像15の注目血管画像に含まれるガイドワイヤ22の先端画像73を特徴画像として抽出し、透視画像15上のガイドワイヤ22の先端画像73の位置情報を取得する。ガイドワイヤ22の先端画像73の位置情報は、たとえばガイドワイヤ22が挿入されている間に連続して複数枚の透視画像が撮影されている場合は、これらの時系列的に連続する画像間で移動する端点を抽出することにより取得することができる。なお、ガイドワイヤ22の先端画像73にかえて、またはガイドワイヤ22の先端画像73と同時に、カテーテル23の先端画像を特徴画像として抽出してもよい。
【0073】
重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像15の注目血管画像上の特徴画像の位置に関連付けられた長軸断面画像上の位置に対して、特徴画像の情報を重畳した重畳長軸断面画像を生成し、この重畳長軸断面画像および透視画像15を主表示部13の一画面に並べて表示させる。
【0074】
たとえば、
図9(a)および(b)に示す例では、重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像15上のガイドワイヤの先端画像73の位置の情報を透視特徴画像抽出部71から受け、この位置に関連付けられた長軸断面画像上の位置に対して、ガイドワイヤ22の先端位置を示す画像73aを重畳する。
【0075】
なお、重畳長軸断面画像生成部72は、重畳長軸断面画像および透視画像15を主表示部13の一画面に並べて表示させる必要は無く、たとえば重畳長軸断面画像のみを主表示部13に表示させてもよいし、主表示部13ではなくIVUS表示部24のみに重畳長軸断面画像を表示させてもよい。一画面に並べなくとも、たとえば重畳長軸断面画像のみを主表示部13に表示させる場合、重畳長軸断面画像が表示された主表示部13を医師が確認することができるとともに、ガイドワイヤ22の先端画像73を含む透視画像15が表示されたFL表示部35を技師が確認することができる。
【0076】
図10は、第2実施形態に係る画像表示装置1Aにより、透視画像15に含まれるガイドワイヤ22の先端画像73にもとづいて、長軸断面画像にガイドワイヤ22の先端位置を示す画像73aが重畳される際の手順を示すフローチャートである。
図10において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。なお、
図5と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
ステップS21において、透視特徴画像抽出部71は、透視画像15の注目血管画像に含まれるガイドワイヤ22の先端画像
73を抽出し、透視画像15の注目血管画像に含まれるガイドワイヤ22の先端位置の座標を特定する。
【0078】
次に、ステップS22において、重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像15の注目血管画像に含まれるガイドワイヤ22の先端位置の座標を透視特徴画像抽出部71から受け、この位置に関連付けられた長軸断面画像上の位置を抽出する。
【0079】
次に、ステップS23において、重畳長軸断面画像生成部72は、長軸断面画像に対してガイドワイヤの先端位置を示す画像
73aを重畳した重畳長軸断面画像を生成する。
【0080】
次に、ステップS24において、重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像15および重畳長軸断面画像を主表示部13の一画面に並べて表示させる(
図9(a)および(b)参照)。
【0081】
以上の手順により、透視画像15に含まれるガイドワイヤ22の先端画像73にもとづいて長軸断面画像にガイドワイヤ22の先端位置を示す画像73aを重畳表示することができる。
【0082】
なお、一般に、血管がつまっている場所では、ガイドワイヤ22が前に進むことができず、したがって超音波プローブ21も前に進むことができない。このような場所では、通常のIVUSではガイドワイヤ22の先端位置の短軸断面画像を得ることが難しい。このため、血管がつまっている場所などのガイドワイヤ22が前に進むことができない場所の短軸断面画像を得るためには、IVUS撮影装置11としては前方視が可能な前方視IVUS(forward looking IVUS)機能を有するものを用いることが好ましい。
【0083】
図11は、第2実施形態に係る画像表示装置1Aにより、透視画像15に含まれるステントの画像にもとづいてIVUS画像14にステントの位置を示す画像が重畳される様子の一例を示す説明図である。
図11には、ステントの両端にX線不透過性のステントマーカが設けられ、透視画像15にこのステントマーカが示すステントの端点を示す画像74および75が含まれる場合の例について示した。この場合、画像表示装置1Aは、長軸断面画像に対してステントの端点の位置を示す画像74aおよび75aを重畳させる。
【0084】
図11に示す例では、透視特徴画像抽出部71は、透視画像15の注目血管画像に含まれるステントの端点位置を示す画像(ステントマーカ画像)74および75を特徴画像として抽出し、透視画像15上のステントの端点画像(ステントマーカ画像)74および75の位置情報を取得する。また、重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像15上のステントの端点位置を示す画像(ステントマーカ画像)74および75の位置の情報を透視特徴画像抽出部71から受け、この位置に関連付けられた長軸断面画像上の位置に対して、ステントの端点の位置を示す画像74aおよび75aを重畳する。
【0085】
図12は、第2実施形態に係る画像表示装置1Aにより、透視画像15に含まれるステントの端点位置を示す画像(ステントマーカ画像)74および75にもとづいて、長軸断面画像にステントの端点の位置を示す画像74aおよび75aが重畳される際の手順を示すフローチャートである。
図12において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。なお、
図10と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0086】
ステップS31において、透視特徴画像抽出部71は、透視画像15の注目血管画像に含まれるステントの端点位置を示す画像(ステントマーカ画像)74および75を抽出し、透視画像15の注目血管画像に含まれるステントマーカ画像74および75の座標を特定する。
【0087】
次に、ステップS32において、重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像15の注目血管画像に含まれるステントマーカ画像74および75の座標を透視特徴画像抽出部71から受け、この位置に関連付けられた長軸断面画像上の位置を抽出する。
【0088】
次に、ステップS33において、重畳長軸断面画像生成部72は、長軸断面画像に対してステントの端点の位置を示す画像74aおよび75aを重畳した重畳長軸断面画像を生成する。
【0089】
以上の手順により、透視画像15に含まれるステントマーカ画像74および75にもとづいて長軸断面画像にステントの端点の位置を示す画像74aおよび75aを重畳表示することができる。
【0090】
第2実施形態に係る画像表示装置1Aは、透視画像15に含まれるガイドワイヤ22の先端画像73やステントマーカ画像74および75などの特徴画像にもとづいて、IVUS画像14の対応する位置にこの特徴画像に関する情報を重畳表示することができる。このため、この画像表示装置1Aによれば、透視画像15に含まれた特徴画像を容易にIVUS画像14上で確認することができる。
【0091】
したがって、術者Oは、透視画像15に含まれる特徴画像を参照する際には、透視画像15を見てもよいし、特徴画像を反映した画像が重畳されたIVUS画像14を見てもよく、非常に利便性が高い。たとえば、特徴画像としてガイドワイヤ22の先端画像を抽出するよう設定されている場合は、術者Oは、ガイドワイヤ22を注目血管に挿入する際に、IVUS画像14を確認することで、血管の内壁とガイドワイヤ22の先端との位置関係を容易に把握することができる。
【0092】
また、特徴画像としてステントマーカ画像を抽出するよう設定されている場合は、術者Oは、ステントを注目血管に挿入する際に、IVUS画像14を確認することで、ステントとプラークとの位置関係を容易に把握することができる。このため、たとえば誤ってステントを血管分岐部に留置してしまうことによる弊害を未然に防ぐことができる。血管分岐部は一般に、透視画像15からは把握しづらいが、IVUS画像14からは容易に把握することができる。
【0093】
なお、重畳長軸断面画像生成部72は、透視画像および重畳長軸断面画像をIVUS表示部24やFL表示部35に一画面に並べて表示させてもよく、この場合、画像表示システム2は、主表示部13を備えずともよい。
【0094】
(第3の実施形態)
図13は、第3実施形態に係る画像表示装置1B、IVUS制御部20およびFL制御部30の各CPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。
【0095】
第3実施形態に示す画像表示装置1Bは、IVUS画像14と透視画像15に含まれる血管の分岐部にもとづいて、透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるようIVUS画像14を回転させる機能を有するものである。他の構成および作用については第1実施形態に示す画像表示装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
図13に示すように、画像表示装置1Bは、画像表示プログラムによってIVUS画像取得部41、透視画像取得部42、フレーム座標関連付け部43、IVUS分岐血管特定部81、FL分岐方向特定部82、IVUS画像回転部83および修正IVUS画像出力部84として機能する。
【0097】
図14は、IVUS画像14と透視画像15に含まれる血管の分岐部85にもとづいて、透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるよう短軸断面画像を回転させる様子の一例を示す説明図である。
【0098】
透視画像15の視点方向は、X線管31aと患者Pとの位置関係によって定めることができる。一方、IVUS画像14の視点方向は、注目血管86に挿入された超音波プローブ21が術者Oの意図しない回転をしてしまうことにより、事前に定めることが難しい。そこで、本実施形態に係る画像表示装置1は、
図14に示すように、血管の分岐部85における透視画像15上の分岐血管87の分岐方向に応じてIVUS画像の短軸断面画像を回転させることにより、短軸断面画像を透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像とする。
【0099】
IVUS分岐血管特定部81は、複数の短軸断面画像から注目血管86の分岐血管87の画像を含む短軸断面画像(分岐フレーム)を抽出し、この短軸断面画像内の分岐血管87の画像を特定する。
【0100】
FL分岐方向特定部82は、IVUS分岐血管特定部81に抽出された短縮断面画像に対応する透視画像15の注目血管画像上の位置を求める。この位置は、分岐部85の位置である。そこで、FL分岐方向特定部82は、この位置における透視画像15内での分岐血管87の分岐方向を特定する。
【0101】
IVUS画像回転部83は、短軸断面画像内での分岐血管87の分岐方向が、透視画像15内での分岐血管87の分岐方向と一致するよう、FL分岐血管特定部82に抽出された短軸断面画像を回転させる。また、分岐部85が複数存在する場合、IVUS画像回転部83は、隣り合う2つの分岐部85の間に位置する短軸断面画像(中間フレーム)のそれぞれについて、一端の分岐部85から他端の分岐部85まで回転角度が滑らかに連続するように(両端の分岐部85の回転角度を連続的に補間するように)回転させる。
【0102】
修正IVUS画像出力部84は、IVUS画像回転部83により回転された短軸断面画像を主表示部13に出力する。
【0103】
血管の分岐部85における透視画像15上の分岐血管87の分岐方向に応じてIVUS画像の短軸断面画像を回転させることにより、短軸断面画像と透視画像15の視点方向を一致させることができる。
【0104】
図15は、IVUS画像14と透視画像15に含まれる血管の分岐部85にもとづいて、透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるよう短軸断面画像を回転させる際の手順を示すフローチャートである。
図15において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。なお、
図5と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0105】
ステップS41において、IVUS分岐血管特定部81は、複数の短軸断面画像から注目血管86の分岐血管87の画像を含む分岐フレームを抽出し、この分岐フレーム内の分岐血管87の画像を特定する。
【0106】
次に、ステップS42において、FL分岐方向特定部82は、IVUS分岐血管特定部81に抽出された分岐フレームに対応する透視画像15の分岐部85の位置をフレーム座標関連付け部43から取得し、この分岐部85における分岐血管87の分岐方向を特定する。
【0107】
次に、ステップS43において、IVUS画像回転部83は、分岐フレーム内での分岐血管87の分岐方向が、透視画像15内での分岐血管87の分岐方向と一致するよう分岐フレームを回転させる。
【0108】
次に、ステップS44において、IVUS画像回転部83は、全ての分岐フレームについて回転処理を終了したか否かを判定する。終了している場合はステップS45に進む。一方、終了していない場合はステップS41に戻る。
【0109】
次に、ステップS45において、IVUS画像回転部83は、各分岐部85の間に位置する中間フレームのそれぞれを両端の分岐部85の回転角度を連続的に補間するように回転させる。
【0110】
次に、ステップS46において、修正IVUS画像出力部84は、IVUS画像回転部83により回転させた短軸断面画像を主表示部13に出力する。
【0111】
以上の手順により、IVUS画像14と透視画像15に含まれる血管の分岐部85にもとづいて、透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるよう短軸断面画像を回転させることができる。
【0112】
図16は、第3実施形態に係る画像表示装置1Bの変形例を示すブロック図である。
【0113】
本変形例において、画像表示装置1Bは、画像表示プログラムによってIVUS画像取得部41、透視画像取得部42、フレーム座標関連付け部43、IVUS分岐血管特定部81、FL分岐方向特定部82、IVUS画像回転部83、修正IVUS画像出力部84および3DIVUS再構成部88として機能する。
【0114】
3DIVUS再構成部88は、複数の短軸断面画像にもとづいて注目血管86のボリュームデータを生成し、このボリュームデータにもとづいて注目血管86の長軸断面ボリュームレンダリング画像を生成する。
【0115】
図17は、長軸断面ボリュームレンダリング画像と透視画像15に含まれる血管の分岐部85にもとづいて、透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるよう長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させる様子の一例を示す説明図である。
【0116】
本変形例において、IVUS分岐血管特定部81は、長軸断面ボリュームレンダリング画像(3D−IVUS画像)から注目血管86の分岐血管87の画像を特定することにより、長軸断面ボリュームレンダリング画像の分岐部85の位置を特定する。
【0117】
また、本変形例において、FL分岐方向特定部82は、長軸断面ボリュームレンダリング画像の分岐血管87の画像の位置に対応する透視画像15の注目血管画像上の位置を求め、この位置における透視画像15内での分岐血管87の分岐方向を特定する。
【0118】
また、本変形例において、IVUS画像回転部83は、長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させることにより、FL分岐方向特定部82に特定された透視画像15内での分岐方向と、長軸断面ボリュームレンダリング画像の分岐血管87の分岐方向とが一致する回転角を求め、この回転角で長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させる。この結果、長軸断面ボリュームレンダリング画像と透視画像15の視点方向を一致させることができる。
【0119】
また、本変形例において、修正IVUS画像出力部84は、IVUS画像回転部83により回転された長軸断面ボリュームレンダリング画像を主表示部13に出力する。
【0120】
本変形例によれば、血管の分岐部85における透視画像15上の分岐血管87の分岐方向に応じて長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させることにより、長軸断面ボリュームレンダリング画像と透視画像15の視点方向を一致させることができる。
【0121】
図18は、長軸断面ボリュームレンダリング画像と透視画像15に含まれる血管の分岐部85にもとづいて、透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるよう長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させる際の手順を示すフローチャートである。
図18において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。なお、
図5と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0122】
ステップS51において、3DIVUS再構成部88は、複数の短軸断面画像にもとづいて注目血管86のボリュームデータを生成し、このボリュームデータにもとづいて注目血管86の3D−IVUS画像(長軸断面ボリュームレンダリング画像)を生成する。
【0123】
次に、ステップS52において、IVUS分岐血管特定部81は、3D−IVUS画像の分岐部85の位置を特定する。
【0124】
次に、ステップS53において、FL分岐方向特定部82は、3D−IVUS画像の分岐部85の位置に対応する透視画像15の注目血管画像上の分岐部85の位置を求め、この分岐部85における透視画像15内での分岐血管87の分岐方向を特定する。
【0125】
次に、ステップS54において、IVUS画像回転部83は、3D−IVUS画像を回転させることにより、FL分岐方向特定部82に特定された透視画像15内での分岐方向と、3D−IVUS画像の分岐血管87の分岐方向とが一致する回転角を求める。
【0126】
次に、ステップS55において、IVUS画像回転部83は、この回転角で3D−IVUS画像を回転させることにより3D−IVUS画像と透視画像15の視点方向を一致させる。
【0127】
次に、ステップS56において、修正IVUS画像出力部84は、IVUS画像回転部83により回転された3D−IVUS画像を主表示部13に出力する。
【0128】
以上の手順により、長軸断面ボリュームレンダリング画像と透視画像15に含まれる血管の分岐部85にもとづいて透視画像15の視点方向と同一の視点方向から見た画像となるよう長軸断面ボリュームレンダリング画像を回転させることができる。
【0129】
なお、この変形例に係るIVUS分岐血管特定部81、FL分岐方向特定部82、IVUS画像回転部83、修正IVUS画像出力部84および3DIVUS再構成部88は、他の実施形態に係る画像表示装置1、1A、1C、1Dに備えられてもよい。
【0130】
第3実施形態に係る画像表示装置1Bは、IVUS画像14と透視画像15との視点方向を一致させることができる。このため、術者Oは、超音波プローブ21の回転によるIVUS画像14の回転に悩まされることなく、容易にIVUS画像14と透視画像15とを対比させることができる。
【0131】
(第4の実施形態)
図19は、第4実施形態に係る画像表示装置1C、IVUS制御部20およびFL制御部30の各CPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。
【0132】
第4実施形態に示す画像表示装置1Cは、透視画像15に含まれる注目血管86の画像を除く領域に対するX線照射をできるだけ遮蔽するように絞り31bを制御する機能を有するものである。他の構成および作用については第1実施形態に示す画像表示装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0133】
図19に示すように、画像表示装置1Cは、画像表示プログラムによってIVUS画像取得部41、透視画像取得部42、フレーム座標関連付け部43、FL内注目血管特定部91およびFL絞り制御部92として機能する。
【0134】
図20は、第4実施形態に係る画像表示装置1Cにより透視画像15に含まれる注目血管86の画像を除く領域に対するX線照射をできるだけ遮蔽するように絞り31bが制御される様子の一例を示す説明図である。
【0135】
術者OがIVUS撮影装置11を用いた手技を行う場合、注目血管86を除く画像は不要である場合が多い。そこで、
図20に示すように、注目血管86を除く領域に対するX線照射をできるだけ遮蔽するように絞り31bを制御することにより、患者PのX線被ばくを低減することができる。
【0136】
FL内注目血管特定部91は、透視画像15に含まれる超音波プローブ21の画像にもとづいて、透視画像15内の注目血管86の画像を特定する。なお、注目血管86は、ユーザによりたとえばIVUS入力部25を介して指定されてもよい。
【0137】
FL絞り制御部92は、注目血管86の画像を除く透視画像15の領域に対するX線照射を遮蔽するように絞り31bを制御するよう、FL制御部30の透視撮影制御部56に指示する。透視撮影制御部56は、この指示にもとづいて絞り駆動部39を介して絞り31bを制御する。
【0138】
第4実施形態に係る画像表示装置1Cは、透視画像15に含まれる注目血管86の画像を除く領域に対するX線照射をできるだけ遮蔽するように絞り31bを制御することができる。このため、この画像表示装置1Cによれば、患者PのX線被ばくを低減することができる。
【0139】
なお、画像表示装置1Cは、注目血管86および分岐血管87の画像を除く領域に対するX線照射をできるだけ遮蔽するように絞り31bを制御してもよい。
【0140】
(第5の実施形態)
図21は、第5実施形態に係る画像表示装置1D、IVUS制御部20およびFL制御部30の各CPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。
【0141】
第5実施形態に示す画像表示装置1Dは、IVUS画像14と透視画像15を同心位相で表示する機能を有するものである。他の構成および作用については第1実施形態に示す画像表示装置1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0142】
図22は、IVUS画像14と透視画像15が同心位相で表示される様子の一例を示す説明図である。
図22には、RR=80%の場合の例を示した。
【0143】
図21に示すように、画像表示装置1Dは、画像表示プログラムによってIVUS画像取得部41、透視画像取得部42、フレーム座標関連付け部43、心位相設定部101および同心位相画像出力部102として機能する。
【0144】
心位相設定部101は、IVUS画像14と透視画像15を表示させる際の心位相を設定する。
【0145】
同心位相画像出力部102は、心電図信号(ECG)にもとづいて、設定された心位相で短軸断面画像および透視画像15を取得し、この同心位相の短軸断面画像および透視画像15を主表示部13の一画面に並べて表示させる。
【0146】
第5実施形態に係る画像表示装置1Dによれば、1画面に並べて表示されるIVUS画像14と透視画像15を同心位相のものとすることができる。このため、術者Oは、容易にIVUS画像14と透視画像15とを対比させることができる。
【0147】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0148】
たとえば、第3実施形態に係る画像表示装置1BのIVUS分岐血管特定部81、FL分岐方向特定部82、IVUS画像回転部83および修正IVUS画像出力部84は、他の実施形態に係る画像表示装置1、1A、1C、1Dに備えられてもよい。また、第3実施形態に係る画像表示装置1Bの変形例のIVUS分岐血管特定部81、FL分岐方向特定部82、IVUS画像回転部83、修正IVUS画像出力部84および3DIVUS再構成部88は、他の実施形態に係る画像表示装置1、1A、1C、1Dに備えられてもよい。また、第4実施形態に係る画像表示装置1CのFL内注目血管特定部91およびFL絞り制御部92は、他の実施形態に係る画像表示装置1、1A、1B、1Dに備えられてもよい。また、第5実施形態に係る画像表示装置1DのFL内注目血管特定部91およびFL絞り制御部92は、他の実施形態に係る画像表示装置1、1A、1B、1Cに備えられてもよい。
【0149】
また、短軸断面画像や長軸断面画像は、IVUS撮影装置11ではなく画像表示装置1で生成されてもよい。この場合、IVUS撮影装置11は、超音波プローブ21を介して取得した画像データを画像表示装置1に与えるとともに、画像表示装置1は、IVUS画像生成部52と同等の機能を有するよう構成される。血管腔内を撮像可能な血管内撮像装置としてOCT(Optimal Coherent Tomography)装置や血管内MRI(IVMRI:IntraVascular Magnetic Resonance Imaging)装置などを用いる場合も、同様に短軸断面画像や長軸断面画像を画像表示装置1で生成してもよい。
【0150】
また、画像表示装置1、1A、1B、1Cおよび1Dは、透視画像15の撮影レートと超音波プローブ21のプルバックレートを同期させるようIVUS撮影装置11およびX線透視撮影装置12を制御してもよい。
【0151】
図23は、超音波プローブ21が1mm移動するごとに透視画像15が撮影される際の透視画像15の撮影レートと超音波プローブ21のプルバックレートの関係の一例を示す説明図である。
【0152】
透視画像15の撮影レートと超音波プローブ21のプルバックレートを同期させる方法としては、たとえば超音波プローブ21が所定の距離移動するごとにX線透視撮影が行われるよう、超音波プローブ21のプルバックレートに応じて透視画像取得部42によりX線透視撮影のタイミングを制御するとよい。この場合、透視画像取得部42は、超音波プローブが所定の距離移動するごとに透視画像15が撮影されるようにX線透視撮影のタイミングを制御するよう、透視撮影制御部56に指示するよう構成される。
【0153】
また、上記各実施形態において、画像表示装置1は、IVUS撮影装置11の構成要素として組み込まれてもよいし、X線透視撮影装置12の構成要素として組み込まれてもよい。
【0154】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。