特許第5911269号(P5911269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5911269特に自動車用オートマチックトランスミッションのクラッチを制御するための圧力制御弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911269
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】特に自動車用オートマチックトランスミッションのクラッチを制御するための圧力制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20160414BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F16K31/06 305L
   F16K31/06 385A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-245756(P2011-245756)
(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公開番号】特開2012-102876(P2012-102876A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2014年11月5日
(31)【優先権主張番号】10 2010 043 697.6
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー シュミット
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/112263(WO,A1)
【文献】 特開2006−258293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用オートマチックトランスミッションに設けられたクラッチを制御するための圧力制御弁(10)であって、ケーシング(12)と、該ケーシング(12)内でガイドされる摺動弁体(22)とを備えており、該摺動弁体(22)が、その周面に、摺動弁体の長手方向に延びる切欠き(23)を有しており、該切欠き(23)が、摺動弁体(22)の第1の軸方向位置では、前記ケーシングに設けられた2つの横方向孔(14,16)を互いに流体接続し、且つ第2の軸方向位置では互いに分離する形式のものにおいて、
切欠き(23)が、少なくとも1つの横方向孔(16)の直近に位置する端部に、アンダカット(40)を備えた端面(38)を有しており、前記切欠き(23)の、一定の半径方向深さにおいて軸方向に延在する基部(45)から、アンダカットされた端面(38)に至る移行部に丸みが付けられており、前記切欠き(23)が、摺動弁体(22)の全周にわたって環状溝の形式で延在していることを特徴とする、圧力制御弁。
【請求項2】
前記横方向孔(16)が流体流出部として働く、請求項1記載の圧力制御弁。
【請求項3】
摺動弁体(22)の半径方向軸線に対して、前記アンダカット(40)の角度(W)が約15°〜45°である、請求項1記載の圧力制御弁。
【請求項4】
摺動弁体(22)の半径方向軸線に対して、前記アンダカット(40)の角度(W)が約30°である、請求項1記載の圧力制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用オートマチックトランスミッションに設けられたクラッチを制御するための圧力制御弁であって、ケーシングと、該ケーシング内でガイドされる摺動弁体とを備えており、該摺動弁体が、その周面に、摺動弁体の長手方向に延びる切欠きを有しており、該切欠きが、摺動弁体の第1の軸方向位置では、前記ケーシングに設けられた2つの横方向孔を互いに流体接続し、且つ第2の軸方向位置では互いに分離する形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のオートマチックトランスミッションに設けられたクラッチを制御するための複数の圧力制御器が市場から公知である。これらの圧力制御器は電磁石を介して操作され、この電磁石は、スライド弁の軸方向に摺動可能なピストンを、少なくとも2つの終端位置又は切換位置にもたらすことができる。電磁石の給電時に、前記ピストンが軸方向に摺動され、その結果、ピストンの制御縁部がスライド弁の1開口を開放することができるようになっており、これにより、例えば流体流がクラッチの所定の作動部材に流入することができる。
【0003】
前記開口を通流する流体流は、付加的に軸方向の力成分を生ぜしめ、この軸方向の力成分が大きければ大きいほど、所望の半径方向からの、流体流の方向の偏向が著しくなる。軸方向の力成分は、電磁石の力に抗して作用し且つ前記開口を通流する流体流を減少させる。このことは、今日のオートマチックトランスミッションに課せられた、比較的多くの通流量及び短い切換時間に関する要求を妨げている。
【0004】
この専門分野における特許公開は、例えばEP1703178A2において成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP1703178A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記公知の欠点を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明では、切欠きが、少なくとも1つの横方向孔、特に流体流出部として働く横方向孔の直近に位置する端部に、アンダカットを備えた端面を有しているようにした。
【0008】
有利な構成は従属請求項に記載されている。更に、本発明に関して重要な構成は、以下の説明及び図面に記載されており、これらの構成は、再度明確に述べるまでもなく、単独でも様々な組み合わせでも、本発明にとって重要であってよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明による手段は、圧力制御弁の作動時に生じる流体流に起因する軸方向の力成分が比較的小さく、且つ圧力制御弁の通流量及び/又は切換速度が比較的大きいという利点を有している。同時に、本発明による圧力制御弁は、特に頑丈に作動する。それというのも、圧力制御弁のケーシングが横方向孔の形の半径方向の開口しか有しておらず、環状溝又は周方向の制御縁部を必ずしも有してはいないからである。
【0010】
本発明による圧力制御弁は、少なくとも2つの液圧接続部を有しており、これらの液圧接続部はそれぞれ、圧力制御弁の(大抵は円筒形の)ケーシングに設けられた横方向孔として構成されている。これらの「横方向孔」は、円形の横方向孔として構成されているか、又は択一的に円形とは異なる横断面を備えて構成されていてよいと理解される。例えば、横方向孔は、楕円形又は方形の横断面を備えた通路として構成されていてもよい。圧力制御弁内に配置された摺動弁体の軸方向に延在する1切欠きを介して、前記液圧接続部は、摺動弁体の所定の軸方向位置に関連して互いに流体接続され且つ/又は互いに流体分離され得る。圧力制御弁内に生じる、部分的に軸方向の流体流は、本発明に基づき、少なくとも一時的に流体流出部として働く第2の横方向孔に向かって半径方向に変向され、この場合、摺動弁体の周面の、前記第2の横方向孔の直近に位置する端部において、一方の端面がアンダカットを有している。これにより、摺動弁体の前記端面に沿って、軸方向から半径方向に変向された流体流には、軸方向の力成分が減少されるという影響が及ぼされる。なぜならば、横方向孔の領域の圧力制御弁のケーシングは、環状溝を有していないので、摺動弁体の所要の軸方向行程が比較的大きくてよく、これにより、圧力制御弁の切換え動作は特に強力になる。別の利点は、摺動弁体とケーシングとの間のギャップにおける漏れが比較的少ない、ということにより得られる。
【0011】
当該圧力弁は、摺動弁体の半径方向軸線に関してアンダカットの角度が約15°〜45°、特に有利には約30°であると、特に良好に作動する。これにより、多くの圧力制御弁に関して、摺動弁体若しくはアンダカットの、流れ案内に特に適したジオメトリが得られる。
【0012】
圧力制御弁の1構成では、切欠きの軸方向に延在する基部から、アンダカットされた端面に至る移行部に、丸みが付けられている。例えば、所定の曲率を有する約0.03mmの半径部がアンダカットの30°の角度との関係において特に適した構成であってよく、この構成は、圧力制御弁の製作性に関して良好な妥協点を成していてもよい。
【0013】
更に、前記切欠きは、摺動弁体の全周にわたって環状溝の形式で延在している。これにより、摺動弁体は切欠きの領域に最大の軸方向横断面を有しているので、圧力制御弁の切換え動作が改善される。別の利点は、摺動弁体の角度配向が不要であることによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】圧力制御弁の軸方向断面図である。
図2図1に示した圧力制御弁の摺動弁体の軸方向断面図である。
図3図2に符号IIIで示した部分の詳細図である。
図4】アンダカットを備えた摺動弁体及びケーシングの1軸方向区分を概略的に示した第1の断面図である。
図5図4に符号Vで示した部分の詳細図である。
図6】アンダカットを備えた摺動弁体及びケーシングの1軸方向区分を概略的に示した第2の断面図である。
図7図6に符号VIIで示した部分の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。全ての図面において、同じ機能を有するエレメント及び量には、異なる実施形態においても同一符号が用いられる。
【0016】
図1には、自動車用オートマチックトランスミッションに設けられるクラッチを制御するための圧力制御弁10が、軸方向で断面されて示されている。圧力制御弁10は、横方向孔14として構成された第1の横方向開口と、横方向孔16として構成された第2の横方向開口と、別の横方向孔18,20とを備えた円筒形のケーシング12を有しており、第1の横方向開口と第2の横方向開口とは、長手方向軸線26の方向で見て互いに隔てられている(「軸方向の間隔」)。ケーシング12内には、このケーシング12に対して同軸的な摺動弁体22が配置されている。この摺動弁体22は、電磁石24によって長手方向軸線26の方向で軸方向に摺動され得る。ピストン状に構成された摺動弁体22は、本実施形態では長手方向軸線26の方向に延びる(「軸方向の延在」)3つの切欠き23を有しており、これらの切欠き23は、それぞれ摺動弁体22の全周にわたって環状溝状に延びている。図面中央の切欠き23だけに符号が付されている。電磁石24は、コイル28と、磁極29と、摺動弁体22に作用する可動子30とを有している。図面左側の領域において、摺動弁体22の一方の端区分と、ケーシング12内に配置された収容部32との間には、コイルばね34が配置されている。図1に描かれた円36は、摺動弁体22のアンダカット40を備えた端面38を示すものである。更に、圧力制御に必要な通路41が示されている。圧力制御弁10は、長手方向軸線26を中心としてほぼ回転対称的に構成されている。
【0017】
図1に示した摺動弁体22は中間の軸方向位置を占めており、この中間の軸方向位置では作動接続部Aが、流出接続部Tからも、流入接続部Pからも分離されている。「第1の」軸方向位置(図1には図示せず)では、コイル28が給電されており、摺動弁体22は図面左側の位置に位置しており、この場合、作動接続部A若しくは第2の横方向孔16は、流入接続部P若しくは第1の横方向孔14に液圧的に接続されている。「第2の」軸方向位置(やはり図1には図示せず)では、コイル28は給電されておらず、摺動弁体22は図面右側の位置に位置しており、この場合、作動接続部A若しくは第2の横方向孔16は、流出接続部T若しくは横方向孔18に液圧的に接続されている。この第2の軸方向位置では、横方向孔14は横方向孔16から流体的に分離されている。
【0018】
図2には、図1に関してやや拡大された摺動弁体22の軸方向断面図が示されている。本実施形態では、制御縁部42と、可動子側の端区分44とが、長手方向軸線26に関して約10°の面取り部若しくは傾斜部を有している。中央の切欠き23は、軸方向に延びる基部45を有している。端面38の半径方向外側の縁部は制御縁部46を形成している。
【0019】
図3には、図2に符号IIIで示した部分の詳細図が示されている。端面38のアンダカット40は、摺動弁体22の半径方向軸線に関して30°の角度Wで構成されている。更に、アンダカット40は端面38と基部45との間に、所定の曲率を有する第1の半径部R1を有しており、且つ制御縁部46に所定の曲率を有する第2の半径部R2を備えた丸みを有している。つまり、切欠き23の、軸方向に延びる基部45からアンダカットされた端面38への移行部は、やや丸みを付けられている。本実施形態では、基部45に対するアンダカット40の減寸は約0.05mmであるか、又は0.05mm未満である。
【0020】
図4には、摺動弁体22の円36の領域(図1参照)における軸方向区分の第1の概略断面図が示されている。図5には、図4に符号Vで示した部分の詳細図が示されている。本実施形態では、アンダカット40の角度Wは約15°である。更に指摘しておくと、制御縁部46及び面取り部52の領域の傾斜は45°である。
【0021】
図6には、図4と同様の第2の概略断面図が示されている。図7にもやはり、図6に符号VIIで示した部分の詳細図が示されている。本実施形態では、角度Wは約30°であるが、45°であってもよい。
【0022】
電磁石24若しくはコイル28が給電されると、可動子30は磁力によって図1では左側に向かって軸方向に摺動され、その結果、横方向孔14,16は互いに流体接続されている。圧力制限弁10において中央の切欠き23には、流入接続部Pから作動接続部Aに流れる、ほぼ水平方向の流体流が形成される。この流体流は、円36の領域内で横方向孔16に向かって半径方向外側に変向される。
【符号の説明】
【0023】
10 圧力制御弁、 12 ケーシング、 14 第1の横方向孔、 16 第2の横方向孔、 18,20 別の横方向孔、 22 摺動弁体、 23 切欠き、 24 電磁石、 26 長手方向軸線、 28 コイル、 29 磁極、 30 可動子、 32 収容部、 34 コイルばね、 36 円、 38 端面、 40 アンダカット、 41 通路、 42 制御縁部、 44 端区分、 45 基部、 46 制御縁部、 48 減寸、 52 面取り部、 A 作動接続部、 T 流出接続部、 P 流入接続部、 R1 第1の半径部、 R2 第2の半径部、 W アンダカットの角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7