特許第5911270号(P5911270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911270
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】砒素含有水の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/62 20060101AFI20160414BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20160414BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   C02F1/62 Z
   C02F1/72 Z
   C02F1/76 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-250295(P2011-250295)
(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公開番号】特開2013-103203(P2013-103203A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2014年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】507027162
【氏名又は名称】DOWAテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】中塚 清次
(72)【発明者】
【氏名】上原 恒彦
(72)【発明者】
【氏名】桜井 康祐
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−290777(JP,A)
【文献】 特開2007−203239(JP,A)
【文献】 特開2002−172395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00〜 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砒素含有量が10mg/L以上である非鉄製錬における排水である砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH10以上11以下とし、pH10以上11以下の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離することを特徴とする砒素含有水の処理方法。
【請求項2】
砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH10以上11以下とし、pH10以上11以下の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する工程を2回以上繰り返す請求項1に記載の砒素含有水の処理方法。
【請求項3】
酸化剤が、次亜塩素酸塩である請求項1から2のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法。
【請求項4】
アルカリがカルシウム系アルカリ剤である請求項1から3のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法。
【請求項5】
ポリ硫酸第二鉄の添加量が、0.5g/L以上8g/L以下である請求項1から4のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砒素を含有する排水から砒素を除去する砒素含有水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非鉄製錬業等では、工程内で砒素を含有する排水が発生している。この砒素を含有する排水は工程内で再度利用するか、又は0.1mg/L以下の排水基準を満たすまで砒素を除去した後、工場の系外に排出している。
砒素含有水から砒素を除去する方法としては、例えば、砒素含有水に3価鉄を添加し、殿物と共沈させる水酸化鉄共沈法、砒酸鉄(FeAsO)又は砒酸カルシウム(CaFeAsO)として固定することにより除去する方法などが知られている。
【0003】
前記水酸化鉄共沈法により砒素を除去する方法として、砒素含有水に、pH5.8〜8.6の条件下でポリ硫酸第二鉄等の無機凝集剤を添加し、沈殿物を濾過する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この提案では、砒素濃度が0.05mg/L〜5mg/Lの砒素含有水を処理対象としており、10mg/L以上の砒素濃度の砒素含有水に適応すると、装置が大型化し、薬剤コストが高価になってしまう。そこで、非鉄製錬業の工程から発生する高濃度に砒素を含有し、更に亜硫酸等の強還元性物質を含有する排水から砒素を十分に除去できる方法の提供が望まれている。
【0004】
また、前記特許文献1には、pH5.8〜8.6の中性領域を含む範囲で砒素の除去が行えることが記載されている。しかし、pH5.8〜8.6の中性を含むpH領域では、アルミニウム系凝集剤を用いることが好ましく、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系凝集剤を用いると、砒素を十分に除去させるためには水酸化鉄共沈量が増加し、砒素を含む殿物が多く生じ、生成した殿物の搬送工程が増え、砒素を含む殿物を廃棄処理するためにコスト高となってしまうという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−19404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、砒素含有水から、簡単な反応によって、少ない工程数で、砒素を効率よく除去できると共に、殿物発生量を低減できる砒素含有水の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、高濃度に砒素を含有する砒素含有水に、ポリ硫酸第二鉄を添加した後、前記pHを9以上に保持しながら反応させ、その後、固液分離することにより、簡単な反応によって、少ない工程数で、砒素含有水から砒素を効率よく除去できると共に、殿物発生量を低減できることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離することを特徴とする砒素含有水の処理方法である。
<2> 砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する工程を2回以上繰り返す前記<1>に記載の砒素含有水の処理方法である。
<3> 酸化剤が、次亜塩素酸塩である前記<1>から<2>のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法である。
<4> アルカリがカルシウム系アルカリ剤である前記<1>から<3>のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法である。
<5> 砒素含有水が、砒素含有量が10mg/L以上である非鉄製錬における砒素を含有する排水である前記<1>から<4>のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、砒素含有水から、簡単な反応によって、少ない工程数で、砒素を効率よく除去できると共に、殿物発生量を低減できる砒素含有水の処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の砒素含有水の処理方法の一例を示す工程図である。
図2図2は、本発明の砒素含有水の処理方法の他の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(砒素含有水の処理方法)
本発明の砒素含有水の処理方法は、砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0012】
前記砒素含有水の処理方法においては、砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する一連の工程を2回以上繰り返すことが、10mg/L以上の高濃度に砒素を含有する砒素含有水であっても効率よく砒素を除去でき、砒素含有量を排水基準の0.1mg/L以下とすることができる観点から好ましく、前記一連の工程を2回〜4回繰り返すことがより好ましい。
【0013】
<砒素含有水>
前記砒素含有水としては、砒素を含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自然環境に存在する各種の水(例えば、河川水、湖沼水、温泉排水、地熱水、又は鉱山跡地からの排水)、産業排水(例えば、農薬工場、薬品工場、硫酸精錬工場、木材防腐処理施設、ガラス製造工場、金属製錬工場、非鉄精錬工場、電子部品製造施設、ゴミ処理施設、又は地熱発電所からの産業排水)、化学実験室、生物実験室などで生成される砒素含有排水などが挙げられる。これらの中でも、10mg/L以上の高濃度に砒素を含有している点から、非鉄製錬における砒素を含有する排水が好適である。
前記砒素含有水における砒素の含有量は、砒素含有水の入手先、砒素含有水の種類などにより異なり一概には規定できないが、10mg/L以上であっても処理可能であり、100mg/L以上であってもよく、500mg/L程度までは処理可能である。なお、砒素の含有量が、10mg/L未満であっても勿論処理可能である。
本発明においては、上述したように、砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を加え固液分離する一連の工程を2回以上繰り返す多段処理が可能であるため、前記砒素含有水における砒素の含有量が、高濃度であっても処理可能である。
前記砒素含有水には、砒素以外に硫黄、セレン、重金属などを含んでいてもよい。前記重金属としては、例えば、銅、鉛、鉄、亜鉛、マンガン、カドミウム、アンチモン、ウラニウムなどが挙げられる。前記セレン、重金属の少なくとも一部は、砒素の除去と一緒に砒素含有水から除去される。
【0014】
<ポリ硫酸第二鉄>
前記ポリ硫酸第二鉄は、式:[Fe(OH)(SO3−n/2〔ただし、式中、n<2であり、m>10である。〕で表される化合物である。
前記ポリ硫酸第二鉄としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ポリテツ R(日鉄鉱業株式会社製)、バイオフェリック(卯根倉鉱業株式会社製)などが挙げられる。
前記ポリ硫酸第二鉄は、前記砒素含有水に対し、液体状、溶液状、及び固体状の少なくともいずれかの形態で添加することができる。
前記砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加すると、水酸化第二鉄が析出し、この析出した水酸化第二鉄が凝縮して沈降する。この水酸化第二鉄が析出して凝縮する際に、砒素含有水中の砒素イオン及び砒素化合物を捕捉するものと考えられる。
【0015】
前記ポリ硫酸第二鉄の添加量は、砒素含有水に対して8g/L以下であり、0.5g/L〜8g/Lが好ましく、1g/L〜5g/Lがより好ましい。前記添加量が、0.5g/L未満であると、砒素の除去効果が低下してしまうことがあり、8g/Lを超えると、発生澱物の量が多くなり、この発生澱物は砒素を含むので、廃棄コストが高くなってしまう。前記ポリ硫酸第二鉄の添加量が、前記より好ましい範囲であると、砒素の除去効果が高く、発生殿物の量が少ない点から有利である。
【0016】
<アルカリ>
前記アルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、苛性ソーダ(NaOH)、苛性カリ(KOH);石灰、生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH))、炭酸カルシウム等のカルシウム(Ca)系アルカリ剤;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等のマグネシウム(Mg)系アルカリ剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルシウム系アルカリ剤がpHの調整が容易であり、かつ砒素の除去をより効果的にする点から特に好ましい。
前記アルカリとしてカルシウム系アルカリ剤を用いた場合には、前記アルカリの添加量がカルシウム濃度で100mg/L以上であることが好ましい。
前記アルカリは、前記砒素含有水に対し、アルカリ剤、及びアルカリ水溶液の少なくともいずれの形態で添加することができる。
【0017】
<pHの調整>
前記砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加した後、前記アルカリを加えてpH9以上、好ましくはpH10以上に調整する。このpH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加する。
前記pHが、9未満であると、砒素の除去能力が低下してしまうことがあり、pHが11以上では発生殿物の量が徐々に増加し、pHが11.5以上になると殿物の発生量が急激に増加するので、pH10〜11がより好ましい。前記pHが、前記より好ましい範囲であると、砒素の除去効果及び重金属の除去の観点から有利である。
前記pHは、例えば、市販のpHメーターにより測定することができる。
【0018】
<酸化剤>
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、次亜塩素酸塩、過酸化水素、空気、酸素ガス、オゾンガス、オゾン水などが挙げられる。これらの中でも、酸化効率の観点から、次亜塩素酸塩が特に好ましい。なお、酸素ガス、オゾンガス、又は空気を用いる場合には、バブリングを行うのが好ましい。
前記次亜塩素酸塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられ、次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
前記酸化剤の添加量は、還元物質が含まれる場合、砒素の含有量とその還元物質の濃度の総和以上であれば特に制限はない。
【0019】
<固液分離処理>
前記固液分離処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膜濾過、吸引濾過、加圧濾過、沈降分離、遠心分離などが挙げられる。
前記固液分離処理では、発生殿物と濾液とを分離することができる。
得られた濾液の砒素含有量を、高周波誘導結合プラズマ(ICP)質量分析装置などで測定することにより、砒素の除去効果を確認することができる。
【0020】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、必要に応じて、例えば、撹拌工程、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
【0021】
ここで、図1は、本発明の砒素含有水の処理方法の一例を示す工程図である。この図1は、砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、撹拌した後、濾過により固液分離する。得られた濾液について砒素濃度を測定する。
また、図2は、本発明の砒素含有水の処理方法の他の一例を示す工程図である。この図2は、図1に示す一連の処理工程を2回繰り返して処理するものである。これにより、砒素含有量が10g/L以上の高濃度であっても、排水基準の0.1mg/L以下にまで除去することができる。
【0022】
本発明の砒素含有水の処理方法によれば、砒素含有水から、簡単な反応によって、少ない工程数で、砒素を効率よく除去できると共に、殿物発生量を低減できるので、各種砒素含有水の処理に好適に用いられ、例えば、砒素含有量が10mg/L以上である非鉄製錬における砒素を含有する排水の処理などに好適である。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0024】
(実施例1)
砒素含有水として非鉄製錬の工程で発生した排水を用いた。この砒素含有排水は、220mg/Lの砒素(As)を含み、更に銅、鉛、鉄、セレン及び硫黄をそれぞれ1mg/L〜5mg/L含んでおり、pHは1以下であった。
砒素含有排水1Lに28℃でポリ硫酸第二鉄(バイオフェリック、卯根倉鉱業株式会社製)を1g/L添加した。ポリ硫酸第二鉄を含む排水を撹拌し、次いで、石灰を添加しながら、pHを10とした。pH10を保持しながら、酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を2,000mg/L添加した。pHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製、HORIBA 9625−10D)を用いて測定した。
その後、得られた処理液をNo.5Cろ紙とブフナロートを用いて減圧濾過により濾過して、殿物と濾液とに分離した。得られた濾液の残砒素濃度を高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS Agilent 7500)で測定したところ、0.4mg/Lであった。この時、セレン濃度は0.04mg/Lであった。
発生殿物量は2.5kg・dry/mであった。ここで、発生殿物量は、処理した水量(m)に対する、発生した沈殿物の乾燥質量(kg・dry)である。
【0025】
(実施例2)
実施例1において、得られた濾液を砒素含有水として用い、実施例1と同じ条件で処理を行った。その結果、残砒素濃度は0.01mg/Lであり、0.1mg/L以下の排水基準以下となり、排出できる液成分となった。この時、セレン濃度は0.01mg/Lであった。なお、他の成分も排水基準を満たしていた。また、発生殿物量は5.5kg・dry/mと少量であった。
【0026】
(比較例1)
実施例1において、石灰の添加を調整してpH10をpH5とし、このpH5を保持しながら酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を2,000mg/L添加した以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は119mg/Lとなり、砒素が十分に除去できないことがわかった。
【0027】
(比較例2)
実施例1において、ポリ硫酸第二鉄の添加量を10g/Lとした以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は0.4mg/Lと実施例1と同レベルの良好な結果が得られたが、発生殿物量が20kg・dry/mと多く発生した。
【0028】
(比較例3)
実施例1において、ポリ硫酸第二鉄の添加量を10g/Lとし、石灰の添加を調整してpH10をpH5とし、このpH5を保持しながら酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を2,000mg/L添加した以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は0.23mg/Lとなり、発生殿物量は20kg・dry/mと多く生じた。
【0029】
(比較例4)
実施例1において、ポリ硫酸第二鉄の添加量を10g/Lとし、酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)の添加量を10,000mg/Lとした以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は1.2mg/Lであり、発生殿物量が20kg・dry/mと多く発生した。
【0030】
(比較例5)
実施例2において、酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は、0.55mg/Lであり、発生殿物量は、5.8kg・dry/mとなった。
比較例5は、実施例2と比較して、残砒素濃度の減少効果が得られず、発生殿物量も多く生じた。
【0031】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の砒素含有水の処理方法は、砒素含有水から、簡単な反応によって、少ない工程数で、砒素を効率よく除去できると共に、殿物発生量を低減できるので、例えば、砒素含有量が10mg/L以上である非鉄製錬における砒素を含有する排水の処理などに好適に用いられる。
図1
図2