(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有する積層シートであって、
前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、
前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、
放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、
放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmであることを特徴とする積層シート(ただし、前記樹脂組成物層が、放射線硬化型の樹脂組成物層である場合を除く)。
基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、
前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、
前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、
前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、
薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、
前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、
ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、
前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法(ただし、前記樹脂組成物層が、放射線硬化型の樹脂組成物層である場合を除く)。
基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、
前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、
前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、
薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、
前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、
ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、
放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、
前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法(ただし、前記樹脂組成物層が、放射線硬化型の樹脂組成物層である場合を除く)。
基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、
前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、
前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、
薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、
前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、
ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、
粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、
前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法(ただし、前記樹脂組成物層が、放射線硬化型の樹脂組成物層である場合を除く)。
基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、
前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、
前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、
薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、
前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、
ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、
放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、
粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、
前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法(ただし、前記樹脂組成物層が、放射線硬化型の樹脂組成物層である場合を除く)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4には、下記〔a〕〜〔g〕のステップを含む、半導体チップをプリント配線基板に装着する方法が開示されている。〔a〕合成樹脂フィルムの一方の面に熱硬化性樹脂層を設けて成る半導体チップ装着用シートを製造するステップ。〔b〕半導体ウエハーのバンプ電極が設けられた面に、半導体チップ装着用シートの熱硬化性樹脂層を圧着するステップ。〔c〕半導体チップ装着用シートが圧着された状態の半導体ウエハーの裏面を研削し、所望の厚さにするステップ。〔d〕裏面が研削された半導体ウエハーを、半導体チップ装着用シートが圧着されたままの状態で個片の半導体チップにダイシングするステップ。〔e〕ダイシングにより得られた半導体チップのバンプ電極面に圧着されている半導体チップ装着用シートの合成樹脂フィルムを引き剥がすステップ。〔f〕半導体チップのバンプ電極が、対応するプリント配線基板上の端子部に正しく対面し、接触するよう位置決めするステップ。〔g〕半導体チップのバンプ電極を、プリント配線基板上の対応する端子部に接合すると共に、熱硬化性樹脂を加熱硬化させるステップ。
【0008】
特許文献4では、半導体チップ装着用シートが圧着されたままの状態で個片の半導体チップにダイシングし(上記〔d〕参照)、その後、ダイシングにより得られた半導体チップのバンプ電極面に圧着されている半導体チップ装着用シートの合成樹脂フィルムを引き剥がしている(上記〔e〕参照)。しかしながら、このような工程では、ダイシングにより合成樹脂フィルムも個片化されているため、半導体チップから、合成樹脂フィルムを引き剥がす際には、複数の半導体チップから一括して引き剥がすことはできず、個別に引き剥がさなければならず、工数を要するといった問題がある。
【0009】
また、特許文献5には、互いに電気的接続されていない複数の電子素子と電極と電極が形成されている面に形成された半導体用接着組成物と半導体用接着組成物上にラミネートされたプラスチックフィルムとを有する電子デバイス基板を用いた電子デバイスシステムの製造方法が開示されている。この製造方法では、電子デバイス基板の半導体接着組成物上に粘着剤層を形成し、続いて電子素子が形成されていない電子デバイスウェハ面を研磨加工し、プラスチックフィルムを剥離した後、ダイシングにより個片化を行い、個片化した半導体用接着組成物付き電子素子を回路基板に搭載し、電子素子上に形成された電極と回路基板の上の電極を直接接触させることで電気的接続を行っている。
【0010】
しかしながら、特許文献5では、プラスチックフィルムを剥離した後、ダイシングを行っている。すなわち、半導体用接着組成物が剥き出しの状態でダイシングが行なわれている。そのため、ダイシング時の水が半導体用接着組成物に吸着され、フリップチップ実装時に半導体用接着組成物の層に空隙やボイドが生じる原因となる。また、切削屑が付着するおそれがある。そのため、接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすといった問題がある。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止可能であり、かつ、ダイシング後にバックグラインドテープを複数の半導体素子から一括して剥離可能な積層シート、及び、積層シートを用いた半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、積層シート、及び、積層シートを用いた半導体装置の製造方法について検討した。その結果、基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有する接着シートであって、前記粘着剤層の引張弾性率が特定の範囲内にあり、前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が特定の範囲内にある積層シートを用いることにより、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止可能であり、かつ、ダイシング後にバックグラインドテープを複数の半導体素子から一括して剥離可能であることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明に係る積層シートは、基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有する積層シートであって、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmであることを特徴とする。
【0014】
前記積層シートは、下記(1)〜(4)のいずれかの半導体装置の製造方法において使用されるものである。
(1) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
(2) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
(3) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
(4) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
【0015】
前記積層シートによれば、バックグラインドテープが樹脂組成物層上に貼り付けられた状態でダイシングが行なわれるため、ダイシング時の水を樹脂組成物層が吸収したり、切削屑が樹脂組成物層に付着したりすることを抑制することができる。その結果、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止することができる。また、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、放射線硬化後の前記T剥離強度が5N/20mm以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化後の引張弾性率が23℃において、0.1MPa以上5.0MPa以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。
【0016】
前記構成においては、前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むと、半導体素子をフリップチップ実装する際、半導体素子と被着体との間の封止材とすることができる。
【0017】
前記構成においては、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、バックグラインドテープが樹脂組成物層上に貼り付けられた状態でダイシングが行なわれるため、ダイシング時の水を樹脂組成物層が吸収したり、切削屑が樹脂組成物層に付着したりすることを抑制することができる。その結果、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止することができる。また、前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、前記T剥離強度が5N/20mm以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1MPa以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の前記引張弾性率が5.0MPa以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。
【0020】
前記構成においては、前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むと、半導体素子をフリップチップ実装する際、半導体素子と被着体との間の封止材とすることができる。
【0021】
前記構成においては、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備することを特徴とする。
【0023】
前記半導体装置の製造方法によれば、バックグラインドテープが樹脂組成物層上に貼り付けられた状態でダイシングが行なわれるため、ダイシング時の水を樹脂組成物層が吸収したり、切削屑が樹脂組成物層に付着したりすることを抑制することができる。その結果、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止することができる。また、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、放射線硬化後の前記T剥離強度が5N/20mm以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1MPa以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、5.0MPa以下であるため、放射線照射量をコントロールすることにより、放射線照射後の23℃における引張弾性率を0.1MPa以上5.0MPa以下とすることができる。その結果、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。
【0024】
前記構成においては、前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むと、半導体素子をフリップチップ実装する際、半導体素子と被着体との間の封止材とすることができる。
【0025】
前記構成においては、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0026】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備することを特徴とする。
【0027】
前記半導体装置の製造方法によれば、バックグラインドテープが樹脂組成物層上に貼り付けられた状態でダイシングが行なわれるため、ダイシング時の水を樹脂組成物層が吸収したり、切削屑が樹脂組成物層に付着したりすることを抑制することができる。その結果、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止することができる。また、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、放射線硬化後の前記T剥離強度が5N/20mm以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1MPa以上であるためダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、5.0MPa以下であるため、放射線照射量をコントロールすることにより、放射線照射後の23℃における引張弾性率を0.1MPa以上5.0MPa以下とすることができる。その結果、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。
【0028】
前記構成においては、前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むと、半導体素子をフリップチップ実装する際、半導体素子と被着体との間の封止材とすることができる。
【0029】
前記構成においては、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基材上に粘着剤層が形成された構成を有するバックグラインドテープと、前記バックグラインドテープの前記粘着剤層上に設けられた樹脂組成物層とを有し、前記粘着剤層は、放射線硬化型の粘着剤層であり、粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1〜5.0MPaであり、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、放射線硬化後の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmである積層シートを用いた半導体装置の製造方法であって、前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備することを特徴とする。
【0031】
前記半導体装置の製造方法によれば、バックグラインドテープが樹脂組成物層上に貼り付けられた状態でダイシングが行なわれるため、ダイシング時の水を樹脂組成物層が吸収したり、切削屑が樹脂組成物層に付着したりすることを抑制することができる。その結果、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止することができる。また、放射線硬化前の前記粘着剤層と前記樹脂組成物層とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、放射線硬化後の前記T剥離強度が5N/20mm以下であるため、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、0.1MPa以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープの飛びを抑制することができる。また、前記粘着剤層の放射線硬化前の引張弾性率が23℃において、5.0MPa以下であるため、放射線照射量をコントロールすることにより、放射線照射後の23℃における引張弾性率を0.1MPa以上5.0MPa以下とすることができる。その結果、粘着テープをバックグラインドテープとともに、樹脂組成物層から一括剥離することができる。
【0032】
前記構成においては、前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含むと、半導体素子をフリップチップ実装する際、半導体素子と被着体との間の封止材とすることができる。
【0033】
前記構成においては、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、樹脂組成物層の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止可能であり、かつ、ダイシング後にバックグラインドテープを複数の半導体素子から一括して剥離可能な積層シート、及び、積層シートを用いた半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層シートを示す断面模式図である。なお、図面では、説明に不要な部分は省略し、また、説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0037】
(積層シート)
積層シート10は、基材12上に粘着剤層14が形成された構成を有するバックグラインドテープ11と、バックグラインドテープ11の粘着剤層14上に設けられた樹脂組成物層16とを有する。
【0038】
積層シート10は、粘着剤層14が放射線硬化型粘着剤により形成されたものであり、下記(1)〜(4)のいずれかの半導体装置の製造方法において使用することができる。
(1) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
(2) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
(3) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
(4) 前記積層シートの樹脂組成物層面を半導体ウェハの回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る工程、前記積層シート付き半導体ウェハの積層シートが貼付されていない面を研削して薄化する工程、薄化した積層シート付き半導体ウェハの研削面にダイシングテープを貼り合わせて、ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを得る工程、前記ダイシングテープと積層シートとが貼り合わせられた半導体ウェハを、前記積層シート側からダイシングする工程、ダイシング後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、放射線照射後の前記積層シートに粘着テープを貼り付ける工程、粘着テープの張り付け後に、前記積層シート側から放射線を照射する工程、及び、前記粘着テープを前記バックグラインドテープとともに、前記樹脂組成物層から剥離する工程を具備する半導体装置の製造方法。
【0039】
(基材)
基材12は、積層シート10の強度母体となるものである。基材12の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0040】
また基材12の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。
【0041】
基材12の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。基材12の材質は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材12には、帯電防止能を付与する為、前記の基材12上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材12は単層あるいは2種以上の複層でもよい。尚、基材12としては、粘着剤層が放射線硬化型粘着剤層である場合、X線、紫外線、電子線等の放射線を少なくとも一部透過するものを用いることが好適である。
【0042】
基材12の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0043】
(粘着剤層)
粘着剤層14は、紫外線硬化型粘着剤を含み構成されている。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、例えば、粘着剤層14における樹脂組成物層を貼り付ける部分に対応する部分に放射線照射することにより他の部分との粘着力の差を設けることができる。
【0044】
粘着剤層14のうち、放射線照射されていない未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている部分は樹脂組成物層16と粘着し、半導体ウエハをバックグラインドする際や、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、半導体チップを基板等の被着体に固着する為の樹脂組成物層16を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。
【0045】
前記放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。前記感圧性接着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0046】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0047】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0048】
更に、前記アクリル系ポリマーは、架橋させる為、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0049】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、更に好ましくは40万〜300万程度である。
【0050】
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高める為、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、更には0.1〜5重量部配合するのが好ましい。更に、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0051】
配合する前記放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0052】
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる為好ましい。
【0053】
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0054】
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
【0055】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
【0056】
前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0057】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0058】
また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0059】
粘着剤層14の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や樹脂組成物層16の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。
【0060】
粘着剤層14の放射線硬化前の引張弾性率は、23℃において、0.1〜5.0MPaであることが好ましく、0.1〜1.0MPaであることがより好ましい。粘着剤層14の放射線硬化前の引張弾性率を、23℃において、0.1〜5.0MPaとすることにより、ダイシング時のバックグラインドテープ11の飛びを抑制することができる。
【0061】
また、上記(1)の半導体装置の製造方法に使用される場合、放射線硬化前の粘着剤層14と樹脂組成物層16とのT剥離強度は、23℃、300mm/分の条件で、0.1〜5N/20mmであり、0.3〜5.0N/20mmであることが好ましく、0.5〜5.0N/20mmであることがより好ましい。放射線硬化前の粘着剤層14と樹脂組成物層16とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープ11の飛びを抑制することができる。
また、上記(2)〜(4)のいずれかの半導体装置の製造方法に使用される場合、放射線硬化前の粘着剤層14と樹脂組成物層16とのT剥離強度は、23℃、300mm/分の条件で、0.1〜20N/20mmであり、0.3〜5.0N/20mmであることが好ましく、0.5〜5.0N/20mmであることがより好ましい。放射線硬化前の粘着剤層14と樹脂組成物層16とのT剥離強度が23℃、300mm/分の条件で、0.1N/20mm以上であるため、ダイシング時のバックグラインドテープ11の飛びを抑制することができる。
【0062】
また、上記(2)〜(4)のいずれかの半導体装置の製造方法に使用される場合、放射線硬化後の粘着剤層14と樹脂組成物層16とのT剥離強度は、23℃、300mm/分の条件で、0.01〜5N/20mmであり、0.01〜1.0N/20mmであることが好ましく、0.01〜0.5N/20mmであることがより好ましい。放射線硬化後の前記T剥離強度が5N/20mm以下であるため、粘着テープ30をバックグラインドテープ11とともに、樹脂組成物層16から一括剥離することができる。
【0063】
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層16は、半導体装置の製造の際に、ウェハ回路面に配置され、回路面に対する封止樹脂としての機能を有する。また、樹脂組成物層16は、ウェハ研削時にはウェハを保持・固定するために用いられる。樹脂組成物層16は、チップ搭載時にはチップ搭載用基板との空間の充填及び相互の固着に用いられる。
【0064】
樹脂組成物層16に用いられる樹脂としては、樹脂組成物層16をウェハの回路面へ貼り合わせる工程において、加熱と圧着力によりある程度の流動性を示して回路面の凹凸によく追従し、かつ、加熱により接着性を発現する樹脂が用いられる。かかる樹脂としては、例えば、Bステージの樹脂、粘接着剤が挙げられる。
【0065】
前記Bステージの樹脂としては、例えば半硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0066】
前記粘接着剤としては、例えば、常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂と熱硬化性樹脂との混合物が挙げられる。前記の常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルエーテル、ウレタン樹脂、ポリアミド等が挙げられる前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、レゾルシノール樹脂等が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が挙げられる。前記熱硬化性樹脂は、適当な硬化促進剤と組み合わせて用いることができる。前記の常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂、前記熱硬化性樹脂、前記硬化促進剤は、従来公知のものを適宜採用することができる。
【0067】
上記のような各成分を有する粘接着剤は、加熱と圧着力により適度な流動性が発現し、回路面の凹凸によく追従した樹脂組成物層16を形成することが可能である.またウェハ研削時にはバックグラインドテープ11に密着してウェハの固定に寄与し、実装時にはチップとチップ搭載用基板とを接着する接着剤として使用可能である。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、しかもせん断強度と剥離強度とのバランスにも優れ、厳しい熱湿条件下においても充分な接着物性を保持しうる。
【0068】
樹脂組成物層16は、ダイシング時にアライメント精度を向上させるため、可視光領域光が高透過率であることが好ましい。樹脂組成物層16の可視光透過率は、70~99%の範囲にあることが好ましい。
【0069】
樹脂組成物層16の厚み(T
A)は通常は3〜150mmである。ウェハ表面にバンプが形成されている場合には、ボイドの発生を抑制しかつ回路面を覆うため、バンプの平均高さ(H
B)と樹脂組成物層16の厚み(T
A)の比(H
B/T
A)が1.0/0.8〜1.0/1.8,好ましくは1.0/1.0〜1.0/1.5の範囲にあることが好ましい。バンプの平均高さ(H
B)は、チップ表面(バンプを除く回路面)からバンプ頂部までの高さであり、バンプが複数ある場合には、これらの算術平均による。
【0070】
樹脂組成物層16の厚みに対して、バンプ高さが高すぎるとチップ表面(バンプを除く回路面)とチップ搭載用基板との間隔があき、ボイドの発生要因となる。一方、樹脂組成物層の厚みが厚すぎると、バンプが接着剤層を貫通しないため、導通不良の原因となる。
【0071】
(積層シートの製造方法)
本実施の形態に係る積層シート11は、例えば、次の通りにして作製される。
先ず、基材12は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0072】
次に、基材12上に、粘着剤層14の形成材料である粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層14を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層14を形成してもよい。その後、基材12上に粘着剤層14をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、バックグラインドテープ11が作製される。
【0073】
樹脂組成物層16は、例えば、次の通りにして作製される。
先ず、樹脂組成物層16の形成材料である粘接着剤組成物溶液を作製する。当該粘接着剤組成物溶液には、前述の通り、常温で感圧接着性を有するバインダー樹脂、熱硬化性樹脂、硬化促進剤等が配合されている。
【0074】
次に、粘接着剤組成物溶液を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、樹脂組成物層16(粘接着剤層)を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて樹脂組成物層16を形成してもよい。その後、基材セパレータ上に、樹脂組成物層16をセパレータと共に貼り合わせる。
【0075】
続いて、バックグラインドテープ11及び樹脂組成物層16からそれぞれセパレータを剥離し、樹脂組成物層16とバックグラインドテープ11の粘着剤層14とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。バックグラインドテープ11と樹脂組成物層16との貼り合わせの方法としては、例えばプレス法、ラミネート法などが挙げられるが、生産性を考慮するとラミネータ法が好ましい.このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。これにより、本実施の形態に係る積層シート10が得られる。
【0076】
(半導体装置の製造)
次に、半導体装置の製造方法について説明する。
図2〜
図11は、積層シート10を用いた半導体装置の製造方法の一例を示す断面模式図である。先ず、積層シート10の樹脂組成物層16面を半導体ウェハ40の回路面に貼り合わせて、積層シート付き半導体ウェハを得る(
図2参照)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。マウントの際の貼り付け温度は特に限定されず、例えば20〜100℃の範囲内であることが好ましい。
【0077】
次に、積層シート10付き半導体ウェハ40の積層シート10が貼付されていない面を研削して薄化する(
図3参照)。薄型加工は、常法を採用できる。薄型加工機としては、研削機(バックグラインド)、CMPパッド等があげられる。薄型加工は、半導体ウエハが所望の厚さになるまで行われる。
【0078】
次に、薄化した積層シート10付き半導体ウェハ40の研削面にダイシングテープ20を貼り合わせて、ダイシングテープ20と積層シート10とが貼り合わせられた半導体ウェハ40を得る(
図4参照)。半導体ウェハ40の研削面とダイシングテープ20の貼り合わせの方法としては、例えばプレス法、ラミネート法などが挙げられるが、生産性を考慮するとラミネータ法が好ましい.このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。ダイシングテープ20としては、例えば、基材と粘着剤層とを有する従来公知のものを採用することができる。ダイシングテープ20を構成する粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤を採用してもよく、紫外線硬化型の粘着剤層を採用してもよい。
【0079】
次に、ダイシングテープ20と積層シート10とが貼り合わせられた半導体ウェハ40を、例えば、ダイシングブレード62を用いて、積層シート10側からダイシングする(
図5参照)。これにより、半導体ウェハ40を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ42を得る。本工程では、例えばダイシングテープ20まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。本実施形態では、バックグラインドテープ11が樹脂組成物層16上に貼り付けられた状態でダイシングが行なわれるため、ダイシング時の水を樹脂組成物層16が吸収したり、切削屑が樹脂組成物層16に付着したりすることを抑制することができる。その結果、樹脂組成物層16の接着力の低下や電気的信頼性の低下を引き起こすことを防止することができる。なお、本工程において、積層シート10は、半導体ウエハ40とともに、チップ状に個片化されている。
【0080】
次に、必要に応じて(上記(2)又は上記(4)の半導体装置の製造方法を採用する場合)、積層シート10側から放射線を照射する(
図6参照)。これにより、粘接着剤層14が硬化し粘着力が低下する。前記放射線の照射量としては、例えば、波長10nm〜400nmの紫外線の照射強度が10mW/cm
2〜1000mW/cm
2(好ましくは20mW/cm
2〜200mW/cm
2)の範囲内であり、前記紫外線の積算光量が10mJ/cm
2〜50mJ/cm
2(好ましくは30mJ/cm
2〜50mJ/cm
2)の範囲内であることを挙げることができる。具体的には、例えば、高圧水銀ランプによる光照射で、照射強度が10mW/cm
2〜1000mW/cm
2(好ましくは20mW/cm
2〜200mW/cm
2)の範囲内であり、前記紫外線の積算光量が10mJ/cm
2〜50mJ/cm
2(好ましくは30mJ/cm
2〜50mJ/cm
2)の範囲内である照射条件であってもよい。
【0081】
次に、積層シート10に粘着テープ30を貼り付ける(
図7参照)。この際、粘着テープ30は、チップ状に個片化された複数の積層シート10を覆う形態で貼り付けられる。粘着テープ30としては、粘着テープ30と基材12との接着力が、粘着剤層14と樹脂組成物層16との接着力よりも大きくなるものであれば、従来公知のものを採用することができる。
【0082】
次に、必要に応じて(上記(3)又は上記(4)の半導体装置の製造方法を採用する場合)、積層シート10側から紫外線を照射する(
図8参照)。これにより、粘接着剤層14が硬化し粘着力が低下する。前記放射線の照射量としては、例えば、波長10nm〜400nmの紫外線の照射強度が10mW/cm
2〜1000mW/cm
2(好ましくは20mW/cm
2〜200mW/cm
2)の範囲内であり、前記紫外線の積算光量が100mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2(好ましくは400mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2)の範囲内であることを挙げることができる。具体的には、例えば、高圧水銀ランプによる光照射で、照射強度が10mW/cm
2〜1000mW/cm
2(好ましくは20mW/cm
2〜200mW/cm
2)の範囲内であり、前記紫外線の積算光量が100mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2(好ましくは400mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2)の範囲内である照射条件であってもよい。
【0083】
次に、粘着テープ30をバックグラインドテープ11とともに、樹脂組成物層16から剥離する(
図9参照)。この際、バックグラインドテープ11は、前記ダイシングにより個片化されているため、個片化された複数のバックグラインドテープ11は、粘着テープ30とともに、一括して樹脂組成物層16から剥離される。
【0084】
次に、ダイシングテープ20の粘着剤層が紫外線硬化型である場合には、ダイシングテープ20に紫外線を照射し、粘着剤層の粘着力を低下させる。
【0085】
次に、ダイシングして得られた半導体チップをダイシングテープ20から剥離する為に、半導体チップ42のピックアップ(剥離)を行う(
図10参照)。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ42をダイシングテープ20側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ42をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0086】
ピックアップした半導体チップ42は、
図11に示すように、樹脂組成物層16を介してフリップチップボンディング方式(フリップチップ実装方式)で被着体44に接着固定される(フリップチップボンディング工程)。具体的には、半導体チップ42を、半導体チップ42の回路面(表面、回路パターン形成面、電極形成面などとも称される)が被着体44と対向する形態で、被着体44に常法に従い固定させる。例えば、半導体チップ42の回路面側に形成されているバンプ(図示せず)を、被着体44の接続パッドに被着された接合用の導電材(図示せず)に接触させて押圧しながら導電材を溶融させることにより、半導体チップ42と被着体44との電気的導通を確保し、半導体チップ42を被着体44に固定させることができる。また、半導体チップ42と被着体44との間の空隙には、樹脂組成物層16が配置されることになる。すなわち、樹脂組成物層16は、半導体チップ42搭載時には、半導体チップ42と被着体44との空間の充填及び相互の固着を行なうことができる。
【0087】
被着体44としては、リードフレームや回路基板(配線回路基板など)等の各種基板を用いることができる。このような基板の材質としては、特に限定されるものではないが、セラミック基板や、プラスチック基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、エポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド基板等が挙げられる。
【0088】
前記バンプや前記導電材の材質としては、特に限定されず、例えば、錫−鉛系金属材、錫−銀系金属材、錫−銀−銅系金属材、錫−亜鉛系金属材、錫−亜鉛−ビスマス系金属材等の半田類(合金)や、金系金属材、銅系金属材などが挙げられる。
【0089】
次に、フリップチップボンディングされた半導体チップ42と被着体44との間の配置されている樹脂組成物層16の熱硬化を行う。例えば165℃〜185℃で数分間〜1時間程度硬化することができる。
【0090】
上記(2)の半導体装置の製造方法は、ダイシング後に紫外線照射を行ない、粘着テープ30の貼り合わせ後には、紫外線照射を行なわない。上記(2)の半導体装置の製造方法の場合、粘着テープをバックグラインドテープとともに樹脂組成物層から一括剥離する際の剥離力を低減ことができ,剥離が容易になる点で好ましい。
上記(3)の半導体装置の製造方法は、ダイシング後に紫外線照射を行わず、粘着テープ30の貼り合わせ後に、紫外線照射を行う。上記(3)の半導体装置の製造方法の場合、粘着テープとバックグラインドテープとの密着力を向上でき,さらに粘着テープをバックグラインドテープとともに樹脂組成物層から一括剥離する際の剥離力を低減ことができ,剥離が容易になる点で好ましい。
上記(4)の半導体装置の製造方法は、ダイシング後に紫外線照射を行ない、粘着テープ30の貼り合わせ後にも、紫外線照射を行なう。上記(4)の半導体装置の製造方法の場合、粘着テープとバックグラインドテープとの密着力を向上でき,さらに粘着テープをバックグラインドテープとともに樹脂組成物層から一括剥離する際の剥離力を低減ことができ,剥離が容易になる点で好ましい。
【0091】
上述した実施形態では、放射線が紫外線である場合について説明したが、本発明では、この例に限定されず、X線、電子線等であってもよい。この場合、粘着剤層には、使用する放射線に対応する粘着剤(例えば、X線硬化型粘着剤、電子線硬化型粘着剤)を使用すればよい。
【実施例】
【0092】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、部とあるのは、重量部を意味する。
【0093】
[樹脂組成物層の製造]
下記に示すエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、硬化促進剤を準備した。
【0094】
エポキシ樹脂A:エポキシ基当量が142g/eqのナフタレン型エポキシ樹脂(製品名:HP4032D、DIC社製)
エポキシ樹脂B:エポキシ基当量が169g/eqのトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(製品名:EPPN501HY、日本化薬社製)
フェノールノボラック樹脂:フェノール当量175g/eqのアラルキル型フェノール樹脂(製品名:MEH−7800M/MEH−7800SS、明和化成社製)
アクリル樹脂:重量平均分子量450000のアクリル酸エチルとアクリル酸ブチルとアクリロニトリルの共重合ポリマー(製品名:テイサンレジンSG−P3、ナガセケムテックス社製)
硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(製品名:TPP−K、北興化学社製)
【0095】
前記エポキシ樹脂Aを60部、前記エポキシ樹脂Bを15部、前記フェノールノボラック樹脂を90部、前記アクリル樹脂を115部、前記硬化促進剤を2部混合し、樹脂組成物を得た。次に、剥離フィルム(三菱化学(株)製、MRA、厚さ50um)の剥離処理面に前記樹脂組成物を、乾燥後の塗布厚が100umとなるように塗布し、110℃で5分間乾燥した。これにより、樹脂組成物層を得た。
【0096】
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計、及び、撹拌装置を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート100部、及び、2−ヒドロキシエチルアクリレート重量20部を入れ、トルエン溶液中において窒素気流中で60℃にて8時間重合処理をし、アクリル系ポリマーAを得た。
【0097】
アクリル系ポリマーAに対し、15部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを加え、空気気流中で50℃にて12時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーA’を得た。
【0098】
次に、アクリル系ポリマーA’100部に対して、ポリイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)2部、アセトフェノン系光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)2部を加えて、粘着剤組成物溶液Aを得た。
【0099】
粘着剤組成物溶液Aを、厚み50μmのPETフィルム上に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥し、厚さ30μmの粘着剤層Aを形成した。PETフィルム上に粘着剤層Aが形成されたテープをバックグラインドテープAとした。
【0100】
(実施例2)
実施例1のバックグラインドテープAと同一のバックグラインドテープを実施例2に係るバックグラインドテープBとする。また、バックグラインドテープBを構成する粘着剤層を粘着剤層Bとする。なお、実施例2に係るバックグラインドテープBは、後述するように、ダイシング後、且つ、粘着テープ貼り合わせ前に50mJ/cm
2の紫外線を照射して使用される。
【0101】
(実施例3)
実施例1のバックグラインドテープAと同一のバックグラインドテープを実施例3に係るバックグラインドテープCとする。また、バックグラインドテープCを構成する粘着剤層を粘着剤層Cとする。なお、実施例3に係るバックグラインドテープCは、後述するように、粘着テープ貼り合わせ後に400mJ/cm
2の紫外線を照射して使用される。
【0102】
(実施例4)
実施例1のバックグラインドテープAと同一のバックグラインドテープを実施例4に係るバックグラインドテープDとする。また、バックグラインドテープDを構成する粘着剤層を粘着剤層Dとする。なお、実施例4に係るバックグラインドテープDは、後述するように、ダイシング後、且つ、粘着テープ貼り合わせ前に50mJ/cm
2の紫外線を照射し、さらに、粘着テープ貼り合わせ後に400mJ/cm
2の紫外線を照射して使用される。
【0103】
(比較例1)
冷却管、窒素導入管、温度計、及び、撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、エチルアクリレート80部、及び、2−ヒドロキシエチルアクリレート40部を入れ、トルエン溶液中において窒素気流中で60℃にて8時間重合処理をし、アクリル系ポリマーEを得た。
【0104】
アクリル系ポリマーEに対し、45部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを加え、空気気流中で50℃にて12時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーE’を得た。
【0105】
次に、アクリル系ポリマーE’100部に対して、ポリイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)0.2部、アセトフェノン系光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)3部を加えて、粘着剤組成物溶液Eを得た。
【0106】
粘着剤組成物溶液Eを、厚み50μmのPETフィルム上に塗布し、120℃で3分間加熱乾燥し、厚さ30μmの粘着剤層Eを形成した。PETフィルム上に粘着剤層Eが形成されたテープをバックグラインドテープEとした。
【0107】
(比較例2)
実施例1のバックグラインドテープAに基材フィルム面(PETフィルム面)側から、UV照射装置(日東精機(株))を用いて、400mJ/cm
2の紫外線を照射した。これをバックグラインドテープFとした。なお、バックグラインドテープFを構成する粘着剤層を粘着剤層Fとする。
【0109】
(粘着剤層の引張弾性率の測定)
粘着剤層A〜Gの引張弾性率を求めた。具体的には、テンシロン型引張試験機((株)島津製作所,AGS−J)を使用し、測定した荷重−伸び曲線の接線による計算値から、引張弾性率を得た。測定条件は、チャック間を10mm、引張速度を50mm/minとした。結果を表1に示す。
【0110】
(粘着剤層と樹脂組成物層とのTピール強度測定)
貼付装置(大正ラミネータ(株)製)を用いて、ゴム製ラミネートローラーで、貼付速度0.6m/min、ローラー温度25℃、荷重0.5MPaの条件下で、上記バックグラインドテープAの粘着剤面と前記樹脂組成物層とを貼り合わせ、積層シートAを作製した。積層シートAを実施例1に係る積層シートとした。また、バックグラインドテープB〜Gについても、同様にして前記樹脂組成物層を貼り合わせ、積層シートB〜Gを作製した。積層シートBを実施例2に係る積層シートとした。積層シートCを実施例3に係る積層シートとした。積層シートDを実施例4に係る積層シートとした。積層シートEを比較例1に係る積層シートとした。積層シートFを比較例2に係る積層シートとした
。
積層シートA〜
Fの粘着剤層と樹脂組成物層とのTピール強度測定をテンシロン型引っ張り試験機((株)島津製作所,AGS−J)により測定した。剥離条件は、300mm/minの速度とした。結果を表1に示す。
【0111】
(ダイシング時のバックグラインドテープの飛び評価)
上記と同様にして積層シートA〜Gを作製した。次に、貼付装置(大正ラミネータ(株)製)を用いて、ゴム製ラミネートローラーで、貼付速度0.6m/min、ローラー温度70℃、荷重0.5MPaの条件下で、積層シートの樹脂組成物層面とウェハのミラー面とを貼り合わせた。ウェハは、片面ミラーウェハ(シナジーテック製,8インチ)を用いた。
【0112】
次に、貼り合わせた積層シートをウェハ形状にカットし、バックグラインド装置((株)ディスコ製)を用いて、積層シート付きウェハのウェハ面を厚み200μmに研削した。
【0113】
次に、貼付装置(大正ラミネータ(株)製)を用いて、ゴム製ラミネートローラーで、貼付速度0.6m/min、ローラー温度25℃、荷重0.5MPaの条件下で、積層シート付きウェハの研削面とダイシングテープ(日東電工(株)製、DU−300)の粘着剤面とを貼り合わせた。
【0114】
次に、ダイサー((株)ディスコ製)を用いて、バックグラインドテープ側から、スピンドル回転数40,000rpm、切断速度30mm/secで1度目はバックグラインドテープAの粘着剤層中まで、2度目はダイシングテープ基材フィルム中までダイシングを行った。ダイシング時にバックグラインドテープの飛びがなかった場合を○、あった場合を×として評価した。結果を表1に示す。
【0115】
(ダイシング後に紫外線照射(1)を行なった後の引張弾性率、及び、Tピール強度測定)
ダイシング後、実施例2、実施例
4の積層シートについては、粘着剤層に表1に記載の量だけ紫外線を照射した(紫外線照射(1))。その後、各粘着剤層の引張弾性率を求めた。具体的には、テンシロン型引張試験機((株)島津製作所,AGS−J)を使用し、測定した荷重−伸び曲線の接線による計算値から、引張弾性率を得た。測定条件は、チャック間を10mm、引張速度を50mm/minとした。結果を表1に示す。
また、各積層シートの粘着剤層と樹脂組成物層とのTピール強度測定をテンシロン型引っ張り試験機((株)島津製作所,AGS−J)により測定した。剥離条件は、300mm/minの速度とした。結果を表1に示す。
【0116】
(剥離テープ貼り合わせ後に紫外線照射(2)を行なった後の引張弾性率、及び、Tピール強度測定)
ダイシング後、貼付装置(大正ラミネータ(株)製)を用いて、ゴム製ラミネートローラーで、貼付速度0.6m/min、ローラー温度25℃、荷重0.5MPaの条件下で、ダイシングテープ付きウェハのバックグラインドテープ面に粘着テープ(日東電工(株)製,BT−315)を貼り合わせた。次に、実施例3、実施例4の積層シートについては、粘着剤層に表1に記載の量だけ紫外線を照射した(紫外線照射(2))。その後、各粘着剤層の引張弾性率を求めた。具体的には、テンシロン型引張試験機((株)島津製作所,AGS−J)を使用し、測定した荷重−伸び曲線の接線による計算値から、引張弾性率を得た。測定条件は、チャック間を10mm、引張速度を50mm/minとした。結果を表1に示す。
また、各積層シートの粘着剤層と樹脂組成物層とのTピール強度測定をテンシロン型引っ張り試験機((株)島津製作所,AGS−J)により測定した。剥離条件は、300mm/minの速度とした。結果を表1に示す。
【0117】
(ダイシング後のバックグラインドテープの剥離性評価)
紫外線照射(1)、及び/又は、紫外線照射(2)の後、テンシロン型引っ張り試験機((株)島津製作所,AGS−J)を用いて、剥離速度300mm/min、T剥離法で粘着テープを引っ張った。バックグラインドテープが粘着テープに貼り合わされた状態で、樹脂組成物層から剥離できた場合を○、バックグラインドテープが粘着テープに貼り合わされた状態で、樹脂組成物層から剥離されなかった場合を×として評価した。ただし、積層シートFについては、ダイシング時にバックグラインドテープに飛びが発生したため、評価しなかった。結果を表1に示す。
【0118】
【表1】