特許第5911288号(P5911288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中川電化産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5911288-水位検出装置 図000002
  • 特許5911288-水位検出装置 図000003
  • 特許5911288-水位検出装置 図000004
  • 特許5911288-水位検出装置 図000005
  • 特許5911288-水位検出装置 図000006
  • 特許5911288-水位検出装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911288
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】水位検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/18 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   G01F23/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-273946(P2011-273946)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-124936(P2013-124936A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211880
【氏名又は名称】中川電化産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 梅志
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−56015(JP,A)
【文献】 特開2011−33421(JP,A)
【文献】 特開2005−24485(JP,A)
【文献】 特開2000−19043(JP,A)
【文献】 特開平7−280682(JP,A)
【文献】 特開平6−323935(JP,A)
【文献】 特開平2−42788(JP,A)
【文献】 米国特許第4662226(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/14−23/296
G01L 7/00−23/32
G01L27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下ケースと、
前記下ケース内に収容されるダイヤフラムと、
前記下ケースに設けられて前記下ケースと前記ダイヤフラムとの間に形成される空間に導通する導入口と、
前記ダイヤフラムの中央部と接続されるコアと、
前記下ケースに装着されて前記ダイヤフラムおよび前記コアを前記下ケースとで内包する上ケースと、
前記上ケースに形成される開口部と、
前記上ケース上に前記上ケースと一体形成される円筒状のコイル設置部と、
前記開口部と前記コイル設置部の円筒内部とで形成されて前記コアが内部を移動可能な円筒部と、
前記コイル設置部上に前記コイル設置部と一体形成される端子台と、
前記コイル設置部に導電線を捲いて形成されるコイルと、
前記端子台に装着される2端子の電子部品と、
前記端子台に設けられて前記コイルの一端および前記電子部品の一方の端子とそれぞれ電気的に接続される一対の外部端子と
前記コイルを前記コイル設置部とで挟んで前記上ケース上に設けられて前記コイル設置部,前記電子部品および前記端子台のみを内包しながら前記外部端子の端部を露出するカバーと
を有することを特徴とする水位検出装置。
【請求項2】
前記上ケースの前記電子部品の装着位置と対向する領域に前記電子部品が貫通できる穴を設け、前記電子部品の一部が前記空間に突出することを特徴とする請求項1記載の水位検出装置。
【請求項3】
前記電子部品がコンデンサであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の水位検出装置。
【請求項4】
前記端子台に形成されて、前記端子台を挟んで反対方向に突出し、前記カバーの向かい合う2つの内面とそれぞれが当接する2つのカバーロック爪をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ダイヤフラムが圧力を受けることによりコアをコイル内で移動させ、LC発振の周波数の変化を読み取って水位を検出する水位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の水位を検出する装置として、ダイヤフラムを備える圧力センサで所定の水位になったことを検出する水位検出装置が用いられている。例えば、装置内のタンクに注入される水が一定の水位に達したことを検出する際に、タンクの所定の位置に水位検出装置を設置し、その位置まで水位が達したことを水位検出装置で検出するものである。
【0003】
図5図6を用いて、従来の水位検出装置の構成を説明する。
図5は従来の水位検出装置の構造を示す断面図、図6は従来の水位検出装置の構造を示す分解斜視図である。
【0004】
図5図6に示すように、導入口10を備える下ケース9内にダイヤフラム6が設置され、ダイヤフラム6は接続板7を介してフェライト等からなるコア11に接続されている。上ケース30は下ケース9に装着され、上ケース30と下ケース9とでダイヤフラム6,接続板7,コア11等を内包する。31は台座であり、筒状のボビン32が形成されている。ボビン32には銅線が捲かれ、コイル8が形成されている。また、台座31にはコンデンサ12および2本の外部端子4が取り付けられており、それぞれの外部端子4が銅線の一端およびコンデンサ12の一方の端子と接続されている。上ケース30の内側には台座31を収納する台座収納室33が形成されており、台座収納室33にコイル8が装着された台座31が取り付けられる。この時、台座31に取り付けられた外部端子4は上ケース30の外部に突出する。外部端子4は、水位検出装置外に設けられた水位検出回路(図示せず)に接続される。
【0005】
このような構成の水位検出装置において、水位が所定の高さまで満たされることにより、エアトラップ(図示せず)を介して導入口10から空気が導入される。そして、空気の圧力によりダイヤフラム6の中心部が押し上げられることにより、ボビン32に形成されたコイル8内部にコア11が挿入されてインダクタンスが変化し、コイル8とコンデンサ12とで構成されたLC回路の発振周波数が変化する。発振周波数の変位を水位検出回路で検出することにより、水位が所定の高さになった旨を知らせる信号が生成される。
【0006】
従来の水位検出装置においては、水位検出回路を装置外に構成することにより、水位検出装置の小型化を実現している。また、上ケース30とボビン32とを別体として構成することにより、容易にコイル8を形成しながら水位検出回路の小型化を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−56015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、コイル8を設けるボビン32と上ケース30とが別構成となっており、ボビン32に銅線を捲きつけた後、上ケース30にボビン32が形成された台座31を装着する構成であるため、台座31ががたつき、コイル8とコア11との相対位置の安定性に限界があり、コア11が移動した時のインダクタンスが一定とならず、水位検出精度が低化するという問題点があった。
【0009】
上記問題点を解決するために、本発明の水位検出装置は、小型軽量化と安定した水位の検出を実現しながら、発振周波数の変化の検出精度を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の水位検出装置は、下ケースと、前記下ケース内に収容されるダイヤフラムと、前記下ケースに設けられて前記下ケースと前記ダイヤフラムとの間に形成される空間に導通する導入口と、前記ダイヤフラムの中央部と接続されるコアと、前記下ケースに装着されて前記ダイヤフラムおよび前記コアを前記下ケースとで内包する上ケースと、前記上ケースに形成される開口部と、前記上ケース上に前記上ケースと一体形成される円筒状のコイル設置部と、前記開口部と前記コイル設置部の円筒内部とで形成されて前記コアが内部を移動可能な円筒部と、前記コイル設置部上に前記コイル設置部と一体形成される端子台と、前記コイル設置部に導電線を捲いて形成されるコイルと、前記端子台に装着される2端子の電子部品と、前記端子台に設けられて前記コイルの一端および前記電子部品の一方の端子とそれぞれ電気的に接続される一対の外部端子と、前記コイルを前記コイル設置部とで挟んで前記上ケース上に設けられて前記コイル設置部,前記電子部品および前記端子台のみを内包しながら前記外部端子の端部を露出するカバーとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上により、本発明の水位検出装置は、小型軽量化と安定した水位の検出を実現しながら、発振周波数の変化の検出精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】水位を検出する構成を示す概略図
図2】実施の形態1における水位検出装置の構造を示す断面図
図3】実施の形態1における水位検出装置の構造を示す分解斜視図
図4】実施の形態2における水位検出装置の構造を示す図
図5】従来の水位検出装置の構造を示す断面図
図6】従来の水位検出装置の構造を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、水位検出装置による水位の検出方法について、図1を用いて説明する。
図1は水位を検出する構成を示す概略図である。
図1に示すように、様々な機器における水等を貯水する槽35の壁面の所定の位置にエアトラップ39を介して水位検出装置36が設置される。水位検出装置36は、槽35の外部の機器内に設置された水位検出回路37と接続される。槽35の水位が一定になるとエアトラップ39内に水が浸入し、エアトラップ39内の空気圧が上昇する。エアトラップ39内の空気が水位検出装置36に導入され、水位に対応して所定の圧力以上に空気圧が上昇すると、水位検出装置36のLC発振周波数が変化する。水位検出装置36で所定の水位になることにより生じた発振周波数の変化を水位検出回路37で信号に処理し、制御装置38に入力する。例えば、機器が洗濯機である場合、水位検出装置36で洗濯槽の水位を検出し、制御装置38により、水位が所定の値になった場合に洗濯を開始したり、すすぎを開始したりする制御を行う。
【0016】
ここでは洗濯機を例に説明したが、本発明の水位検出装置は洗濯機の水位検出に限らず、あらゆる機器における水位の検出に用いることができる。さらに、水位の検出に限らず、油等の他の液体が所定の量まで溜まったことを検出することができ、液体以外の粒状物が所定の量まで溜まったことを検出することも可能である。
【0017】
以下、図面を用いて本発明の水位検出装置の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
まず、図1図3を用いて、実施の形態1における水位検出装置の構造について説明する。
【0018】
図2は実施の形態1における水位検出装置の構造を示す断面図、図3は実施の形態1における水位検出装置の構造を示す分解斜視図である。
図2図3に示すように、導入口10を備える下ケース9内にダイヤフラム6が設置され、ダイヤフラム6は接続板7を介してフェライト等からなるコア11に接続されている。ダイヤフラム6の中央部は常圧下において周辺部に比べ窪んでおり、下ケース9とダイヤフラム6との間には所定の空間が形成されている。この空間は導入口10と接続されている。上ケース1は下ケース9に装着され、上ケース1と下ケース9とでダイヤフラム6,接続板7,コア11等を内包する。上ケース1外表面には円筒状のコイル設置部2および端子台3が上ケース1と一体形成されている。上ケース1外表面および端子台3には円形の開口部が形成され、上ケース1からコイル設置部2,端子台3にわたり連続的な円筒状の中空部が形成される。コイル設置部2の円筒外表部には銅線が捲かれ、コイル8が形成されている。また、端子台3にはコンデンサ12および2本の外部端子4が取り付けられており、それぞれの外部端子4が銅線の一端およびコンデンサ12の一方の端子と接続されている。そして、コイル8とコンデンサ12とでLC共振回路が形成され、一定の周波数でLC発振している。さらに、好ましくは、上ケース1上には、コイル8を保護するためのカバーが設けられる。カバーに外部端子4が収められるが、外部端子4が外付けの水位検出回路と電気的に接続できるようにカバーは構成される。コア11はコイル設置部2の中空部内部を上下に移動可能なように設置されている。また、中空部内部にはバネ13が挿入され、コア11およびダイヤフラム6の中央部を押圧している。端子台3の開口部にはネジ14が設けられ、中空部にふたをすると共に、ネジ14によりバネ13を押圧し、コア11のコイル8に対する位置関係、およびダイヤフラム6の窪みを調整している。外部端子4は、水位検出装置外に設けられた水位検出回路37(図1参照)に接続され、水位検出回路37(図1参照)で水位が所定の水位になった旨を知らせる水位検出信号を出力する。
【0019】
このような構成の水位検出装置を、図1に示すように、槽35の所定の水位となる位置にエアトラップ39(図1参照)を介して装着する。そして、槽35内に水を注入し、所定の水位になるとエアトラップ39(図1参照)に水が浸入してエアトラップ39(図1参照)内の空気を圧迫し、圧迫された空気が導入口10から水位検出装置36内に浸入する。水位検出装置36内に浸入した空気が水位の上昇に伴って所定の空気圧になることにより下ケース9とダイヤフラム6との間の空間の空気を圧縮し、ダイヤフラム6に一定以上の圧力がかかり、ダイヤフラム6の中央部の窪みが周辺部より突出して接続板7およびコア11を押し上げる。コア11が押し上げられてコイル8の内部に挿入されることによりコイル8のインダクタンスを変化させ、LC共振回路の発振周波数を変化させる。周波数の変化を検出することにより、水位検出装置36の外部端子4と接続された水位検出回路37で水位が所定の高さになった旨を知らせる水位検出信号が生成される。
【0020】
このように、水位検出信号を生成する水位検出回路37を水位検出装置36の外部に形成することにより、水位検出装置36を小型,軽量化することができる。特に、水位検出回路37は防湿対策が必要であるので、水位検出装置36の外部に形成することによる、小型化への寄与は大きくなる。また、コイル8の形成部であるコイル設置部2と上ケース1とを一体に形成することにより、従来のように上ケース内にボビンを収納する領域を設ける必要がなくなり、容易にコイル8をコイル設置部2に形成できると共に、より小型,軽量化を実現することができる。
【0021】
さらに、上ケース1とコイル設置部2とが一体であるため、上ケース1に対するコイル8の位置ずれが生じることがなくなるため、小型,軽量化を実現しながら、水位を検出するまでのインダクタンスが一定となり、コア8の移動による発振周波数の変化を安定して発生することができる。
【0022】
また、カバーによってコイル8を含む端子台3およびコイル設置部2のみを保護する構成とする場合には、上ケース1および下ケース9にて収容される体積を最適化しつつ、上ケース1上に設けられる端子台3およびコイル設置部2を保護するカバー5を必要最小限の形状,大きさにできるため、コイル8等の保護をしながら、より容易に水位検出装置の小型化を図ることができる。
【0023】
以上の説明では、コイル8等を保護するためにカバー5(カバー5を付加した場合の構成については図4参照)を設ける構成について説明したが、水位検出装置の使用環境によっては、図1図2に示すように、カバーを設けずに使用することもできる。
(実施の形態2)
次に、図4を用いて、実施の形態2における水位検出装置の構造について説明する。
【0024】
図4は実施の形態2における水位検出装置の構造を示す図であり、図4(a)は要部を示す分解斜視図、図4(b)は断面図である。
実施の形態2の水位検出装置の特徴は、実施の形態1の水位検出装置の上ケースに穴を設けることである。
【0025】
図4に示すように、端子台3のコンデンサ12を装着する位置に対向する上ケース1の領域に穴15を形成する。穴15の大きさはコンデンサ12を導通できる大きさである。このような穴15を設けることにより、端子台3と上ケース1の間隔となるコイル設置部2の高さをコイル8に必要な最低限の高さにした場合において、この高さより長いコンデンサ12を使用したとしても、コンデンサ12の一部を穴15内、あるいは穴15を貫通して上ケース1内部に配置することができ、コンデンサ12の大きさに制限されることなく、端子台3と上ケース1との間隔を最適化することができるので、より水位検出装置の小型化を図ることができる。さらに、端子台3と上ケース1との間隔がコンデンサ12の大きさと比較して小さいと端子台3にコンデンサ12を装着する工程が困難となる。しかし、穴15を形成することにより、穴15を介して上ケース1の内側からコンデンサ12を装着することができるため、上ケース1と端子台3との間にコイル8およびコンデンサ12を形成する構成であっても、端子台3と上ケース1との間隔に係わらず容易にコンデンサ12を装着することができる。
【0026】
ここでは、コンデンサ12の収容および装着のために穴15を用いる場合を例に説明したが、コンデンサ12以外の部品のために穴15を用いることもできる。例えば、水位検出回路に用いる部品の内、環境によって水位検出特性に影響を受けることの少ない部品等をコンデンサ12と共に端子台3に設け、その収容および装着のために穴15を用いることもできる。
【0027】
ここでも、カバー5の有無は任意であるが、上カバー1に穴15が形成されているので、穴15を包摂するようなカバー5を設けることにより、ケース内を保護することができ、有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 上ケース
2 コイル設置部
3 端子台
4 外部端子
5 カバー
6 ダイヤフラム
7 接続板
8 コイル
9 下ケース
10 導入口
11 コア
12 コンデンサ
13 バネ
14 ネジ
15 穴
30 上ケース
31 台座
32 ボビン
33 台座収納室
35 槽
36 水位検出装置
37 水位検出回路
38 制御装置
39 エアトラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6