(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
95〜100モル%の前記(a)と、5〜0モル%の前記(b)〜(e)の少なくとも一種の共重合構成単位を含み、前記(a―2)がドデカン二酸であり、かつ前記塩素含有量が0.5%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアミド。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
[ポリアミド]
本実施の形態のポリアミドは、
(a)(a−1)パラフェニレンジアミンと(a−2)一種以上の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を含む構成単位90〜100モル%(以下、主構成単位と称することがある)と、
10〜0モル%の以下に示す(b)〜(e)の少なくとも一種の共重合構成単位ととを含むポリアミドであって、
(b)前記(a)の(a−1)以外のジアミンと前記(a)の(a−2)のジカルボン酸を含み、前記(a)の(a−1)のジアミンを含まない単位、
(c)前記(a)の(a−1)のジアミンと前記(a)の(a−2)以外のジカルボン酸を含み、前記(a)の(a−2)のジカルボン酸を含まない単位、
(d)前記(a)の(a−1)以外のジアミンと前記(a)の(a−2)以外のジカルボン酸を含み、前記(a)の(a−1)のジアミン及び(a)の前記(a−2)のジカルボン酸を含まない単位、
(e)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸を含む単位、
塩素含有量が1%未満であり、かつ25℃の硫酸相対粘度ηrが1.5〜7.0であるポリアミドである。
本実施の形態において、ポリアミドとは主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味する。
前記各構成単位を構成する成分は、例えば、ポリマーの
1H−NMRや
13C−NMRで分析でき、その割合は、それぞれの構成単位に特徴的な部位の積分比によって求めることができる。例えば、芳香族モノマー(パラフェニレンジアミン)からなる部位の場合は、芳香環部位のH原子(C原子)であり、脂肪族モノマーからなる部位の場合は、アミド結合の隣のメチレン基のH原子(C原子)を挙げることができる。これらの積分比よって分析することができる。
【0017】
[主構成単位]
本実施の形態のポリアミドは、(a−1)パラフェニレンジアミンと(a−2)一種以上の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を含む主構成単位を、全構成単位中の90〜100モル%を含む。
この主構成単位を少なくとも90モル%含むことにより、低吸水性、長期耐熱性、成形適合性などが良好なポリアミドを得ることができる。より好ましくは、95〜100モル%であり、さらに好ましくは、99〜100モル%であり、最も好ましくは100モル%である。
【0018】
<パラフェニレンジアミン>
本実施の形態における(a−1)パラフェニレンジアミンは、芳香環のパラ位(1,4位)に直接アミノ基が二つ結合したジアミンであり、1,4−フェニレンジアミンとも表記される。
本実施の形態では、主構成単位が前記パラフェニレンジアミンを構成単位とすることから、得られるポリアミドの短期耐熱性、低吸水性、長期耐熱性が向上する。
【0019】
<炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸>
本実施の形態のポリアミドは、前記(a−1)と(a−2)一種以上の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を含む主構成単位を、全構成単位中の90〜100モル%を含む。
本実施の形態では、主構成単位が前記炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を一種以上含むことから、成形適合性、長期耐熱性が良好である。
本実施の形態における(a−2)炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸などが挙げられる。
中でも、短期耐熱性などの観点で、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましく、ドデカン二酸がより好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
<他の構成成分>
本実施の形態における(a)は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、アミン成分として、前記パラフェニレンジアミン以外に、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミンやトリアミンなどの3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもよい。
また、本実施の形態における(a)は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、カルボン酸成分として、前記炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸以外に、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を含んでもよく、多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
[共重合構成単位]
本実施の形態のポリアミドは、共重合構成単位として、以下の(b)〜(e)の少なくとも一種の構成単位を0モル%10モル%以下含む。
(b)(a)の(a−1)以外のジアミンと(a)の(a−2)のジカルボン酸からなる単位、
(c)(a)の(a−1)のジアミンと(a)の(a−2)以外のジカルボン酸からなる単位、
(d)(a)の(a−1)以外のジアミンと(a)の(a−2)以外のジカルボン酸からなる単位、
(e)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸からなる単位
前記共重合構成単位が10モル%以下であることにより、低吸水性、長期耐熱性、成形適合性などが良好なポリアミドを得ることができる。より好ましくは、0モル%以上5モル%以下であり、さらに好ましくは、0モル%以上1モル%以下であり、最も好ましくは0モル%である。
【0022】
<(b)〜(d)>
(ジアミン)
前記(b)及び(c)の「(a)の(a−1)以外のジアミン」としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミンなどが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミンなどの炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミンや、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとして、特に限定されないが、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン(2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとも記される。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミンなどの炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
中でも、靭性や強度などの優れた機械特性や低吸水性の観点でヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどが好ましく、ヘキサメチレンジアミンが機械特性の点で特に好ましく、ドデカンジアミンが低吸水性の点で特に好ましい。
脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、特に限定されないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミンなどが挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記「(a)の(a−1)以外のジアミン」としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(c)の「(a)の(a―1)のジアミン」については、前記「[主構成単位](パラフェニレンジアミン)」で説明した内容が適用できる。
【0023】
(ジカルボン酸)
前記(c)、(d)の「(a)の(a−2)以外のジカルボン酸」としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
また、前記「(a)の(a−2)以外のジカルボン酸」は、前記(a−2)のジカルボン酸、すなわち炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸であっても、前記(a)の構成単位として含まれないジカルボン酸を包含することを意味する。例えば、前記(a)の(a−2)がドデカン二酸である場合、前記(c)、(d)の「(a)の(a−2)以外のジカルボン酸」は、炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸であってドデカン二酸以外のジカルボン酸、例えばセバシン酸を包含する。
脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
中でも、靭性や強度などの優れた機械特性や低吸水性の観点でアジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が好ましく、アジピン酸が機械特性の点で特に好ましく、セバシン酸、ドデカン二酸が低吸水性の点で特に好ましい。
【0024】
脂環族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの、脂環構造の炭素数が3〜10である、好ましくは炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。
中でも好ましくは機械特性の観点で1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
種々の置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基などのハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、並びにスルホン酸基及びナトリウム塩などのその塩である基などが挙げられる。
前記(b)の「(a―2)のジカルボン酸」については、前記「[主構成単位](炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸)」で説明した内容が適用できる。
【0025】
(他の成分)
前記(b)、(d)は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、アミン成分として、前記のジアミン以外に、アミン成分として、トリアミンなどの3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもよく、前記(c)は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、アミン成分として、前記パラフェニレンジアミン以外に、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミンやトリアミンなどの3価以上の多価脂肪族アミンを含んでもよい。
前記(c)、(d)は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、カルボン酸成分として、前記ジカルボン酸以外に、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を含んでもよく、多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記(b)は、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、カルボン酸成分として、前記炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸以外に、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を含んでもよく、多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
前記共重合構成単位は、特に限定されないが、融点を下げて、加工温度を低くできる点から、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から構成されるもの、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸から構成されるもの、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸から構成されるもの等が好ましく、引張強度の点から、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸から構成されるものが好ましい。また、低吸水性や成形性の観点からは、ヘキサメチレンジアミンとドデカン二酸やヘキサメチレンジアミンとセバシン酸から構成されるものが好ましい。
【0027】
<(e)>
前記(e)のラクタムとしては、特に限定されないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)などが挙げられる。
中でも、靭性の観点で、ε−カプロラクタム、ラウロラクタムなどが好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
前記(e)のアミノカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸やα,ω−アミノ酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸なども挙げられる。
中でも、低吸水性の観点で、12−アミノドデカン酸が好ましい。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
[ポリアミドの塩素含有量]
本実施の形態におけるポリアミドの塩素含有量は、1%未満である。この濃度にすることにより、成形性、長期熱安定性、耐熱変色性に優れたポリアミド組成物を得ることができる。好ましくは1.0%未満であり、より好ましくは0.5%未満であり、さらに好ましくは0.1%未満であり、さらに一層好ましくは、0.01%未満であり、特に好ましくは、0.002%未満である。
本実施の形態におけるポリアミドの塩素含有量の測定は、ICP発光分析(高周波プラズマ発光分析)で測定することができる。検出限界が0.002%(20ppm)である測定装置においては、実質検出限界以下であることが0.002%未満を意味する。
【0029】
[ポリアミドの硫酸相対粘度]
本実施の形態のポリアミドは、25℃の硫酸相対粘度ηrが1.5以上7.0以下である。前記硫酸相対粘度はポリアミドの分子量の指標となるものであり、JIS−K6810に準じて、98%硫酸中で、濃度1%、25℃で測定した値である。
25℃の硫酸相対粘度ηrが1.5以上であることにより、引張強度、引張伸度などの機械物性、長期耐熱性、成形適合性が向上する。25℃の硫酸相対粘度ηrが7.0以下であることにより、実際に溶融加工などが可能である。
25℃の硫酸相対粘度ηrは、靭性及び剛性などの機械物性、長期耐熱性並びに成形性などの観点で、好ましくは1.7〜6.0であり、より好ましくは1.9〜5.5である。
【0030】
[ポリアミドの融点]
本実施の形態におけるポリアミドの融点は、耐熱性の観点から、270℃以上であることが好ましく、長期耐熱性の点から350℃以下が好ましい。
前記融点は、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC(商品名)などの示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて測定され、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最大ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とするとき、前記融点Tm2を指す。
前記融点(Tm2)は、より好ましくは275℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。また、前記融点(Tm2)は、より好ましくは340℃以下であり、さらに好ましくは335℃以下であり、よりさらに好ましくは330℃以下である。
【0031】
[ポリアミドの物性]
本実施の形態のポリアミドの引張強度は、好ましくは75MPa以上であり、より好ましくは80MPa以上であり、さらに好ましくは85MPa以上である。
前記引張強度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張強度が75MPa以上であることにより、強度に優れるポリアミド組成物や成形体を得ることができる。
【0032】
本実施の形態のポリアミドの引張伸度は、好ましくは3%以上であり、より好ましくは6%以上であり、さらに好ましくは8%以上である。
引張伸度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張伸度が3%以上であることにより、靭性に優れるポリアミド組成物や成形体を得ることができる。
【0033】
本実施の形態のポリアミドの吸水率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
吸水率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
吸水率が5%以下であることにより、低吸水性に優れるポリアミド組成物や成形体を得ることができる。
【0034】
[ポリアミドの製造方法]
本実施の形態のポリアミドを構成するジカルボン酸添加量(前記(a)の(a−2)と前記(a)の(a−2)以外のジカルボン酸の合計量)は、ジアミンの添加量(前記(a)の(a−1)と前記(a)の(a−1)以外のジアミンの合計量)と同モル量付近であることが好ましい。
重合反応中の(b)ジアミンの反応系外への逃散も考慮して、(a)ジカルボン酸全体のモル量1.00に対して、(b)ジアミン全体のモル量は、好ましくは0.90〜1.20であり、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
【0035】
本実施の形態のポリアミドを重合する際に、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、特に限定されないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、ポリアミドの熱安定性の観点で、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環族モノカルボン酸;並びに安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミン;並びにアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミンなどの芳香族モノアミン;などが挙げられる。
モノアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本実施の形態のポリアミドの製造方法としては、例えば、以下に記載するように種々の方法が挙げられる:
1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又は「ジカルボン酸とジアミンの塩」とラクタム及び/又はアミノカルボン酸などの他の成分との混合物(以下、本段落において、「その混合物」と略称する。)の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)、
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)、
3)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダーなどの押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」と略称する場合がある。)、
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」と略称する場合がある。)、
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「モノマー・固相重合法」と略称する場合がある)、
6)「ジカルボン酸及びジアミンの塩」又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「塩・固相重合法」と略称する場合がある)、
7)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法「溶液法」。
また、前記重合方法の一部をアレンジする方法、例えば、「塩・固相重合法」において、重合中に逃散しやすいパラフェニレンジアミン(PDA)成分を追添してから重合する方法(以下、「塩・固相重合法改」と略称する場合がある)、「溶液法」において重合後の洗浄を強化した方法(以下、「溶液法改」と略称する場合がある)も適宜採用できる。
【0037】
本実施の形態のポリアミドを製造する方法としては、塩素原子の含有量を低減させるために、1)熱溶融重合法、2)熱溶融重合・固相重合法、3)プレポリマー・押出重合法、4)プレポリマー・固相重合法、5)モノマー・固相重合法も、6)塩・固相重合法いずれかによりポリアミドを製造することが好ましい。また、低反応性のフェニレンジアミンを用いるので、重合度を上げる場合には、5)モノマー・固相重合法、6)塩・固相重合法がより好ましく、6)塩・固相重合法がさらに好ましい。
また、重合中に逃散しやすいパラフェニレンジアミン(PDA)成分を追添した塩を固相重合する塩・固相重合法改もさらに特に好ましい。
【0038】
本実施の形態のポリアミドの製造方法の重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。
本実施の形態のポリアミドの重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
【0039】
本実施の形態のポリアミドの製造方法としては、特に限定されるものではなく、以下に記載するバッチ式の塩・固相重合法によりポリアミドを製造することができる。
まず、塩を製造する方法としては、例えば、エタノールなどのアルコールを溶媒として、フェニレンジアミンなどのジアミンを溶液にしたものと、ジカルボン酸も同じくアルコール溶媒で溶液にしたものを用意する。ここで、溶媒の沸点未満の温度に加温して溶解を促進しても構わない。次に、ジアミン溶液とジカルボン酸溶液を混合し、ジアミンとジカルボン酸の塩を生成、析出させ、塩が析出したスラリーをろ過、洗浄し塩を取り出す。また、塩を乾燥しても構わない。
次に、塩を固相重合する方法としては、例えば、乾燥した塩をオートクレーブなどで加熱し固相重合する方法が挙げられる。また、塩だけでなく、ジアミンやラクタムやアミノカルボン酸も塩とよく混合して反応させることも可能である。
反応条件としては、加熱する温度としては、アミド化が進行する温度であればよく、170℃〜240℃が一例として挙げられる。加熱する際の圧力は、加圧下や減圧下または常圧いずれでも構わない。また、初期の重合度が高くない状態では、モノマーの気化による反応系外への逃散を抑えるために、加圧条件で重合させ、重合度がある程度高くなってからは、減圧状態にし、反応時に生成する水を系外に積極的に除外し、アミド化を促進させる方法など複合する方法もある。
【0040】
[ポリアミド組成物]
本実施の形態においては、本実施の形態のポリアミドに無機充填材を配合して、強度や剛性などの物性を向上させたポリアミドとすることもできる。
前記無機充填材は、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、二硫化モリブデン、アパタイトなどを挙げることができる。この中でも、物性、安全性、経済性の面から、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、アパタイトが好ましく用いられる。
ガラス繊維や炭素繊維の中でも、数平均繊維径は、3〜30μm、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長数と平均繊維径とのアスペクト比(L/D)が10〜100のものが、高い特性を発現するという観点から好ましく用いられる。
また、ウォラストナイトは、数平均繊維径は、3〜30μm、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比(L/D)が3〜100のものが好ましく用いられる。
さらに、タルク、マイカ、カオリン、窒化珪素、チタン酸カリウムは数平均繊維径が0.1〜3μmのものが好ましく用いられる。
【0041】
前記無機充填材は、カップリング剤やフィルム剤を用いて表面処理したものが好ましく用いられる。
前記カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤を挙げることができる。
シラン系カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレアなどを挙げることができる。この中でもγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアミノシラン及びエポキシシランが、経済性に優れ、取り扱い易いため、好ましく用いられる。
チタン系カップリング剤は、特に限定されないが、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートイソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートなどを挙げることができる。
【0042】
前記フィルム形成剤としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーなどの重合体を挙げることができる。この中でも、経済性と性能が優れるという観点から、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0043】
前記カップリング剤及びフィルム形成剤を用いて、無機充填材の表面処理を行うには、公知の方法に従って行えばよく、前記カップリング剤及びフィルム形成剤の有機溶媒溶液又は懸濁液をいわゆるサイジング剤として表面に塗布するサイジング処理、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レーディミキサー、V型ブレンダーなどを用いて塗布する乾式混合、スプレーにより塗布するスプレー法、さらには、インテグラルブレンド法、ドライコンセントレート法などを挙げることができる。また、これらの方法を組合せた方法、例えばカップリング剤とフィルム形成剤の一部をサイジング処理により塗布した後、残りのフィルム形成剤をスプレーする方法なども挙げることができる。この中でも、経済性に優れるという観点から、サイジング処理、乾式混合、スプレー法及びこれらを組合せた方法が好ましく用いられる。
【0044】
前記無機充填材を本実施の形態のポリアミドと混合する方法は、特に限定されるものではない。例えば、溶融混練温度は、樹脂温度にして300〜380℃程度が好ましい。溶融混練時間は、1〜30分程度が好ましい。また、ポリアミドを構成する成分を溶融混練機に供給する方法は、すべての構成成分を同一の供給口に一度に供給してもよいし、構成成分をそれぞれ異なる供給口から供給してもかまわない。
より具体的には、混合方法は、特に限定されないが、例えば、本実施の形態のポリアミドと前記無機充填材とをヘンシェルミキサーなどを用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機で溶融状態にした本実施の形態のポリアミドに、サイドフィーダーから前記無機充填材を配合する方法などを挙げることができる。
溶融混練を行う装置としては、公知の装置を用いることができる、特に限定されないが、例えば単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー及びミキシングロールなどの溶融混練機が好ましく用いられる。
前記無機充填材の配合量は、特に限定されるものではないが、本実施の形態のポリアミド100質量部に対して、好ましくは5〜500質量部、より好ましくは10〜250質量部、さらに好ましくは10〜150質量部である。配合量が、5質量部以上であれば、機械物性が良好に向上し、また500質量部以下であれば、成形性の低下が少ない。
【0045】
本実施の形態のポリアミドには、必要に応じて本実施の形態の目的を損なわない範囲で、他の樹脂又はその変性体を混合して用いることもできる。配合する他の樹脂は、熱可塑性樹脂やゴム成分が好ましい。
【0046】
熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えばアタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアミド6、66、612、66/6Iなどの他のポリアミド;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメチレンなどの縮合系樹脂;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの含ハロゲンビニル化合物系樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂などを挙げることができる。
ゴム成分は、特に限定されないが、例えば天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンランダム共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−(1−ブテン)共重合体、エチレン−(1−ヘキセン)共重合体、エチレン−(1−オクテン)共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、並びにブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレンコアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)及びメチルメタクリレート−ブチルアクリレートシロキサンをはじめとするシロキサン含有コアシェルゴムなどのコアシェルタイプを挙げることができる。
他の樹脂の変性体とは、前記熱可塑性樹脂又はゴム成分を、極性基を有する変性剤により変性したものであり、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−(1−ブテン)共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−(1−ヘキセン)共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−(1−オクテン)共重合体、無水マレイン酸変性EPDM、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性エチレン−プロピレン共重合体、エポキシ変性エチレン−(1−ブテン)共重合体、エポキシ変性エチレン−(1−ヘキセン)共重合体、エポキシ変性エチレン−(1−オクテン)共重合体などが好ましく用いられる。
これら他の樹脂又はその変性体は、1種を配合してもよいし、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0047】
本実施の形態のポリアミドには、必要に応じて本実施の形態の目的を損なわない範囲で通常のポリアミド樹脂に用いられる充填剤、例えば、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミン、ポリリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、芳香族系ポリフォスフェート、ホスフィン酸金属塩、複合ガラス粉末などの難燃剤;チタンホワイト、カーボンブラックなどの顔料や着色剤;亜リン酸エステルなどのホスファイト系安定剤;ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの熱安定剤;ヨウ化銅やヨウ化カリウムなどの耐熱性改良剤;ステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウム、ステアリルステアレート、エルカ酸アミドなどの成形性改良剤;種々の可塑剤、耐候性向上剤や帯電防止剤などの各種添加剤を含有させることができる。
【0048】
[ポリアミドの成形]
本実施の形態のポリアミドは、前記添加剤などとともに、溶融混練などの公知の方法により、混練することができる。溶融混練法を用いる場合には、溶融混練を行う装置として、一般に実用されている混練機が適用できる。例えば一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーなどを用いればよい。中でも、減圧装置、及びサイドフィーダー設備を装備した2軸押出機が好ましい。溶融混練の方法は、全成分を同時に混練してもよく、あらかじめ予備混練したブレンド物を用いて混練してもよく、さらに押出機の途中から逐次、各成分をフィードし、混練を行ってもよい。
【0049】
本実施の形態のポリアミド又はその組成物は、公知の成形方法、特に限定されないが、例えばプレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、溶融紡糸など、一般に知られているプラスチック成形方法により各種部材に成形できる。
特に、従来の、パラフェニレンジアミンと比較的短鎖の脂肪族ジアミンとを用いる半芳香族ポリアミドでは、融点が高く、射出成形などの溶融加工が困難であったところ、パラフェニレンジアミンと長鎖の脂肪族ジアミンとを用いる本実施の形態のポリアミドによれば、射出成形が容易である。
本実施の形態のポリアミドは、塩素含有率をさらに低くすること、長鎖の脂肪族ジアミンとして炭素数12以上のものを使用すること、前記(a)の割合を増やすこと等により、成形適合性を一層向上し、射出成形などの成形により一層適したものとなる。
【0050】
本実施の形態のポリアミドは、特に限定されないが、例えば、自動車用、ギアやカムなどの機械工業用、電気又は電子用、産業資材用、工業材料用、日用・家庭品用などの各種部品材料として、また、フィルム、シート、フィラメント、チューブ、棒、中空成形品などの押出用途などに好適に用いることができる。
特に、本実施の形態のポリアミドは、引張強度、引張伸度などの機械的特性に優れ、吸水率が低いため、例えば、自動車の内装部品、外板部品、外装部品、自動車のエンジンルーム内の部品、自動車の電装部品などの自動車部材や例えばコネクター、スイッチ、リレー、MID、プリント配線板、電子部品のハウジングなどのような電気又は電子部材などにも好適に使用することができる。
本実施の形態のポリアミドは、塩素含有率をさらに低くすること、長鎖の脂肪族ジアミンとして炭素数12以上のものを使用すること、前記(a)の割合を増やすこと等により、成形適合性や耐熱エージング性が一層向上し、自動車部材や電気又は電子部材として一層好適なものとなる。
本実施の形態の部材は、強度、靭性などの機械特性、低吸水性に優れ、かつ、長期の耐熱性に優れる。
本実施の形態の部材は、表面外観にも優れるため、表面に塗装膜を形成させた部材としても好ましく用いられる。塗装方法は、特に限定されるものではなく、例えばスプレー法、静電塗装法などを用いることができる。また、塗装を行う塗料は、特に限定されるものではなく、メラミン架橋タイプのポリエステルポリオール樹脂塗料、アクリルウレタン系塗料などが使用可能である。
【実施例】
【0051】
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1Kg/cm
2は、0.098MPaを意味する。
【0052】
[原材料]
本実施例において下記化合物を用いた。
[ジアミン]
パラフェニレンジアミン(PDA) 東京化成工業製 商品名 1,4−フェニレンジアミン
ヘキサメチレンジアミン(HMD) 和光純薬工業製 商品名 ヘキサメチレンジアミン
[ジカルボン酸]
ドデカン二酸(C12DA) 和光純薬工業製 商品名 ドデカン二酸
セバシン酸(C10DA) 和光純薬工業製 商品名 セバシン酸
アゼライン酸(C9DA) 和光純薬工業製 商品名 アゼライン酸
スベリン酸(C8DA) 和光純薬工業製 商品名 スベリン酸
アジピン酸(ADA) 和光純薬工業製 商品名 アジピン酸
ドデカンジオイルジクロリド 東京化成工業製 商品名 ドデカンジオイルジクロリド
【0053】
[ポリアミド成分量の計算]
(a)主構成単位のモル%は、(a−1)パラフェニレンジアミンと(a−2)一種以上の炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸の1:1の混合体(塩)を1単位と考えた。(b)共重合構成単位についても、ジアミンとジカルボン酸の1:1の混合体(塩)を1単位と考え、ラクタムやアミノカルボン酸はそのまま1単位と考えた。したがって、例えば、(a−1)パラフェニレンジアミン(PDA)0.8モル、(a−2)ドデカン二酸(12DA)0.8モル、(b)ヘキサメチレンジアミン(HMD)0.15モル、アジピン酸(ADA)0.15モル、12−アミノドデカン酸0.05モルの共重合ポリアミドとしては、PDA12:66:12=80:15:5のモル比とした。
なお、上記式により計算する際に、重合中のアミン逃散など考慮して加えたジアミンなどのモル数は含めなかった。
【0054】
[測定方法]
(1)塩素含有量(%)
重合で得たポリアミドをICP発光分析(高周波プラズマ発光分析)法により、SEIKO電子工業社製Vista−Pro(商品名)を用いて定量した。測定限界20ppm(0.002%)のため、検出限界以下のものは「<0.002」と記載した。
【0055】
(2)25℃の相対粘度ηr
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作成し、25℃の温度条件下で測定した。
【0056】
(3)融点Tm2(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製「Diamond−DSC」(商品名)を用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最大ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点は325℃とした。また、測定温度は350℃までとし、それ以上の温度では分解の恐れがあるために測定は実施しなかった。
【0057】
(4)成形適合性
図1に示す小型試験片を射出成型にて成形した。その際の射出成形機のシリンダー温度は融点に応じて表1に示す温度に設定し、金型温度は120℃に設定した。成形品中に気泡が残らず、バリが出ない射出速度、射出圧力にて成形を実施した。条件を設定してから、20ショットは廃棄し、その後、50ショットをサンプルとして回収した。合計70ショットの間に成形機のシリンダーノズルからのガスの発生量を観察し、ガス発生がほとんどないもの◎、少ないものを○、少し多いものを△、多いものを×と判定した。同時に、ノズルからの樹脂の垂れ(ハナタレ)に関しても観察し、樹脂の垂れがほとんどないもの◎、少ないものを○、少し多いものを△、多いものを×と判定した。さらにこの両者の観察結果から総合的に成形適合性を判断し、適合性の高いものから◎→○→△→×とした。
△以上であれば、実用上問題はないが、○以上であることが好ましく、◎がより好ましい。
【0058】
(5)成形品の色(L値)
前記(4)で成形した小型試験片の成形品表面の色(L値)を測定した。日本電色社製色差計ND−300Aを用いて、成形試験片3枚を用い、成形片を三枚重ねた状態でゲート側の幅広部の中央位置について1枚ずつ3回測定し、平均値から求めた。フェニレンジアミンを用いたポリアミドは黒くなりやすいため、このL値が大きな値ほど白く明るい色であり、非常に好ましいことを示す。具体的に、15以上が好ましく、25以上がさらに好ましい。
【0059】
(6)吸水率(%)
前記(4)で成形した小型試験片(2mm厚)を成形後の絶乾状態(dry as mold)で、試験前質量(吸水前質量)を測定した。80℃の純水中に48時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率(%)とした。
【0060】
(7)引張強度(MPa)及び引張伸度(%)
前記(4)で成形した小型試験片(2mm厚)を用いて、引張試験機にてチャック間距離45mm、引張速度50mm/minでその他基本的にはASTM D638に準じて行った。
【0061】
(8)エージング色変化
前記(4)で成形した小型試験片(2mm厚)を熱風オーブン中で120℃、24時間処理した後、成形品の色を前記(5)と同様に測定した。
【0062】
(9)エージング後の引張強度保持率、引張伸度
前記(4)で成形した小型試験片(2mm厚)を熱風オーブン中で120℃、400時間処理した後と800時間処理した後の成形品を前記(7)と同様に引張試験を行い、引張強度及び引張伸度を測定した。引張強度については、エージング前の値に対するエージング後の値に対する割合を張強度保持率とし、引張強度が低下していないもの(90−100%保持)は○、低下がみられるが、半減期を迎えていないもの(50−90%保持)は△、半減期を超えているもの(50%未満保持)は劣化しているため×とした。
400時間後の評価で○以上の場合、実用上は十分であるが、800時間後の評価においても△以上、さらには○以上であることが好ましい。
【0063】
(10)SMTでの変色
前記(4)で成形した小型試験片(2mm厚)を、熱風リフロー炉で加熱して、加熱後の変色度合いを確認し、変色の少ないものを○、ある程度変色したものを△、大きく変色したものを×とした。本評価は、短期耐熱性の評価指標の一つであり、△以上であれば、実用上問題がないが、○であることが好ましい。
なお、このときに使用した熱風リフロー炉は、鉛フリーハンダ対応リフロー炉(UNI−6116H、日本アントム社製)であり、温度設定について、プレヒートゾーンの温度を180℃、ソルダリングゾーンの温度を280℃に設定した。また、リフロー炉内のコンベア−ベルト速度は0.3m/分に設定した。前記条件下において、炉内の温度プロファイルを確認したところ、140℃〜200℃の熱暴露時間が90秒、220℃以上の熱暴露時間が48秒、260℃以上の熱暴露時間が11秒であり、最高到達温度は265℃であった。
【0064】
[PDA12塩の製造]
ほぼ等量になるように、パラフェニレンジアミン(PDA)とドデカン二酸(C12DA)を用意した。それぞれエタノール溶媒に加え、40℃程度に加温し最終的に、15%パラフェニレンジアミンのエタノール溶液と20%ドデカン二酸のエタノール溶液を作成した。パラフェニレンジアミンのエタノール溶液を撹拌しながら、ドデカン二酸のエタノール溶液を発熱に注意しながら、ゆっくり加えていった。この際、冷却しながら添加した。添加するに従い、PDA12塩が析出してくるが撹拌を続け、すべて加えた。その後液温が15℃程度になるまで撹拌と冷却を続け、その後濾過で析出物を単離し、濾紙上で大量のエタノールを用いて、塩の固体を洗浄した。その後、粉砕し粉末状にしたのち乾燥した。
【0065】
[PDA10塩、PDA9塩、PDA8塩の製造]
ドデカン二酸の代わりに、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸を用いて、PDA12塩同様に、各々、PDA10塩、PDA9塩、PDA8塩を製造した。
【0066】
[66塩(AH塩)、612塩の製造]
ほぼ等量になるように、ヘキサメチレンジアミン(HMD)とアジピン酸(ADA)を用意する。水にヘキサメチレンジアミンを加え水溶液にしたのちに、アジピン酸を添加していき、加熱し約60℃の50%の塩水溶液を作成した。均一になったら、エタノールを多量に添加し、66塩(AH塩)を析出させた。その後濾過で析出物を単離し、濾紙上で大量のエタノールを用いて、塩の固体を洗浄する。その後、粉砕し粉末状にしたのち乾燥した。612塩もアジピン酸の代わりにドデカン二酸を用いる以外同様に実施し、製造した。
【0067】
[実施例1]
「塩・固相重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
パラフェニレンジアミンとドデカン二酸からなるPDA12塩を固体粉末の状態で、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に1200g仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブを内温が220℃になるように加熱し、220℃到達後1.5時間220℃で保持した。その後、内温を305℃になるように加熱し、350℃到達後、圧力を大気圧(ゲージ圧0MPa)まで落し、その後、槽内を真空装置で200torrの減圧下で3時間保持した。その後、加熱を止め、冷却し、槽内温度が40℃になってから、槽内から、ポリマーを取り出し、粉砕して、約3mm程度の粒状物にして、窒素乾燥機にて120℃で8時間乾燥した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0068】
[実施例2]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
パラフェニレンジアミンとドデカン二酸からなるPDA12塩を固体粉末の状態1200g用意し、1200gのPDA12塩中のPDA分の4%に相当するPDAの粉末を15.3g別途用意した。塩とPDAを窒素下のヘンシェルミキサーでよく混合したのち、実施例1と同様にオートクレーブに仕込み重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0069】
[比較例1]
「塩・固相重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
実施例1同様PDA12塩をオートクレーブに1200g仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブを内温が210℃になるように加熱し、210℃到達後1.5時間210℃で保持した。その後、加熱を止め、冷却し、槽内温度が40℃になってから、槽内から、ポリマーを取り出し、粉砕して、約3mm程度の粒状物にして、窒素乾燥機にて120℃で8時間乾燥した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0070】
[比較例2]
「溶液法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
Macromoleules,8,(2),104−111(1975)の実験項Bと同様な方法(窒素雰囲気下、ジメチルアセトアミド溶媒にPDAを撹拌しながら溶解させ、アイスバスで10℃に冷却しながら、撹拌は継続しながら、ドデカンジオイルジクロリドを徐々に加えて、反応させ、添加後も10−15℃に冷却しながら1時間撹拌を続けた。その後アイスバスを取り除き、室温下で3時間撹拌続け、その後水を添加し、ポリマーを沈殿させ、沈殿物固相と液相を分離し、固相の沈殿物をエタノールと水を用いて、5回洗浄し、その後風乾した。)風乾後、粉砕して粒状物にして、窒素乾燥機にて120℃で8時間乾燥した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0071】
[
参考例3]
「溶液法改」によりポリアミド重合反応を実施した。
[比較例2]と同様にポリアミドを得たのち、風乾し、粉砕したのちに再度約50℃の大量の水(ポリマーに対して約10倍の質量)に粉砕ポリマーを加え約1時間よく撹拌し、濾別後、風乾し、もう一度大量の水にポリマーを加えて約1時間よく撹拌し、濾別後、窒素乾燥機にて120℃で8時間乾燥した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0072】
[実施例4]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩の代わりにPDA10塩を用いた以外は、[実施例2]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0073】
[比較例3]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩の代わりにPDA9塩を用いた以外は、[実施例2]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0074】
[比較例4]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩の代わりにPDA8塩を用いた以外は、[実施例2]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。ただし、融点が高すぎ成形はできなかった。
【0075】
[実施例5]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩と66塩(AH塩)がモル比で95:5になるように混合した混合塩1200g、さらに全PDA分の4%のPDAも加え、窒素下のヘンシェルミキサーでよく混合したのち、[実施例2]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0076】
[実施例6]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩と66塩(AH塩)のモル比を90:10にした以外は、[実施例5]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0077】
[比較例5]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩と66塩(AH塩)のモル比を85:15にした以外は、[実施例5]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0078】
[実施例7]
「塩・固相重合法改」によりポリアミドの重合反応を実施した。
PDA12塩と612塩がモル比で95:5になるように混合した混合塩1200g、さらに全PDA分の4%のPDAも加え、窒素下のヘンシェルミキサーでよく混合したのち、[実施例2]と同様に重合した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【0079】
[参考例]
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
アジピン酸(ADA)とヘキサメチレンジアミン(HMD)の等モル塩66塩2000gと水2000gを5。4Lのオートクレーブの中に仕込み50℃に加温して良く撹拌し均一な水溶液にした。その後、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧はゲージ圧で1.76MPaになるが、1.76MPa以上の圧にならないよう水を反応系外に除去しながら加熱を続けた。更に2時間後内温が260℃に到達したら、加熱は続けながら、オートクレーブのバルブの開閉調整を行い、ゆっくり約60分かけて、内圧が0MPaになるまで降圧した。その後、窒素で内圧を0.2MPaにしたのち加熱を止め約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、1600gのポリマーを取りだし粉砕し、約3mm程度の粒状物にして、窒素乾燥機にて120℃で8時間乾燥した。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表1に示す。
【表1】